『聖天使』と呼ばれる変身ヒロインが敵の快楽責めに堕とされる話です。

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以下の要素が含まれています。

・手マン ・拘束 ・肉体改造 ・膨乳 ・奇乳 ・逆さ十字磔 ・媚薬

・尻尾イラマチオ ・触手 ・ニプルファック ・フィストファック ・失禁 ・微スカ

・アナルプレイ ・快楽堕ち ・輪姦


堕落へと誘う神託

普段は多くの人々が行き交う街路から白煙が立ち上り、混乱を極めた悲鳴が響き渡る。逃げ惑う人の数はあまりにも多く、怪我を負った者すらいる。

 

「化け物だーっ。化け物が現れたぞーっ!」

 

平日の昼間に、突如として現れた怪物。人や獣等の姿をしているものから、スライムのような姿をしたものまで多種多様な化け物が街を破壊し、人々を傷つける。

騒動を聞きつけて到着した警察も、人ならざる存在の攻撃には太刀打ちできない状況が続き、あっという間に壊滅寸前まで追い詰められていた。

 

「ゲシャシャシャッ、逃げれるものなら逃げてみろぉ。今日こそ人間界は我ら魔族のものとなるのだァ」

 

この破壊行為の首謀者と思われる怪物が高らかに嗤(わら)い、醜い顔に喜びを浮かべながら天を仰ぐ。アスファルトの上ではそこら中に鮮血の痕が飛び散り、地面も建物も粉々に破壊され、いつもと変わらない日常が数刻の間に阿鼻叫喚の地獄絵図と化してしまった。

「自分達の街はもうお終いだ」と、誰もが諦め絶望していた。そんな時、彼らの救世主は青天より舞い降りた。

 

「人々を無闇に傷つける憐れな魔族たちよ、悪行もそこまでです! 私が来たからには、もう誰にも悲しい思いをさせませんっ」

 

身の丈以上もある大きく白い翼を羽ばたかせ、純白の衣装に身を包んだ女性が惨憺(さんたん)たる大地に降り立つ。右手には細かい装飾を施された杖を握り締めて、女神と見紛う程の神々しさを放つ彼女は化け物を相手にそう言い放った。

天高くから現れたその姿を目にした瞬間、人々の心は安堵に包まれて歓声が起こる。沈み込んだ気持ちが一気に浮き上がり、希望を見出した表情で彼女を見守る。

 

「うおぉぉぉーっ、天使様だぁっ。天使様が助けに来てくれたぞぉっ」

「天使様ぁーっ、頑張って下さーいっ」

「あの化け物共をぶっ飛ばせぇーーっ」

 

喜びの声を上げる市民に微笑(ほほえ)んで見せると、杖の先を眼前の化け物へ向けて警告する。

 

「さぁ、また痛い思いをしたくない者はすぐに魔界へ帰りなさい。そして二度と人間界へ手を出さない事を誓ってください、魔人アークエル」

 

「クゥ、聖天使か…。たかだか雌一匹が調子に乗りやがって……。今日こそはお前をズタズタにしてやるからなぁッ! お前ら、かかれぇーーっ」

 

精一杯の慈悲を籠(こ)めた警告。彼ら魔族はそれを無視し、たった一人で対峙(たいじ)する彼女へ向かって一斉に飛び掛かった。

 

「全く、以前も同じような事を叫んで撤退した癖に。学習能力の乏しい、可哀そうな知能ですね」

 

穏便に事を済ませる気の無い怪物たちを前に悲しそうな表情を浮かべ、彼女は後方へと飛び退く。敵との距離を取った彼女が小さな声で何かを詠唱し、杖の先に力を集束させる。すると光り輝く無数の粒が一点に集結していき、小さな光の球体へと形作っていく。

杖の先で輝く金色の光弾はみるみる大きく成長し、ハンドボール程度の大きさになると勢いよく撃ち出された。

 

「「「グギャーーーァッ」」」

 

放たれた光弾は一直線に魔物たちの身体へと衝突して大爆発を起こす。銃弾すらはじき返す強靭(きょうじん)な肉体が何体も紙屑のように吹き飛ばされ、一撃で戦闘不能となった。

ただの一撃で手下の殆どを倒されたアークエルは悔しそうな表情を浮かべ、首謀者が怒りを露わにして叫ぶ。

 

「畜生っ、いつもいつも馬鹿みてぇな威力の魔法をぶっ放しやがってェ。ただの天使風情がァぁっっ!」

 

「そんなに苛つくのでしたら、少しは策を弄してみてはどうですか?」

 

「生意気なァぁぁっっ!」

 

飄々(ひょうひょう)と言葉を返す彼女を前に憤りを隠せない彼が、彼女と同じ様に掌へ力を込めて光弾を生成する。禍々(まがまが)しい輝きを放つその弾は、軽く十を超える数で宙に浮いている。

その一つ一つが、軽々と建造物を破壊してしまうような威力を有している凶弾。人間の有する兵器と匹敵する光の弾が彼女に向かって放たれる。――が、対する天使は悠然と立ち構えて動かない。

 

「“ただの天使”とは失礼な。私は女神アルテナ様より責務と力を頂いた、誇り高き天界の戦士が一人、――『聖天使オラクル』です」

 

彼女がそう言葉を紡いだ瞬間、複数の光弾が同時に大爆発を起こした。直撃してしまえば人間であろうと天使であろうと、まず間違い無く無事では済まない。

爆炎で巻き起こった土煙が次第に晴れていき、傷一つ無い聖天使が姿を現す。

 

「化け物め…………」

 

「それはお互い様でしょう」

 

底の見えない実力差を見せつけられた魔物は恨みがましそうな視線で彼女を射抜く。全力で撃った攻撃でも傷一つ付けられない現実を目の当たりにすれば、当然の反応だろう。

 

「グギャッ、グギャーッッ」

 

「うっ、うわぁぁーー」

 

すると、手下の内の一体が建物の陰で隠れている人間に向かって駆け出した。彼女に対する攻撃が無駄だと判断したのか、素早さだけは一級品の魔物はオラクルが杖を向けるよりも速く飛び掛かる。

――否、そもそも彼女には杖を向ける必要すら無かった。

 

「ギャッ!?…………」

 

鋭い爪を無防備な人間に振り下ろそうとした瞬間、その腕が自然発火現象に見舞われる。突然に発生したその炎はやがて魔物の全身を包み込み、刹那の内に燃やし尽くしてその身体を灰の山へと変えてしまった。

 

「死にたくなければ人々に害を加えようなどと考えないで下さい。既に結界を張っていますので、下手に動くと燃えカスになりますよ」

 

「……どこが天使だよ」

 

平然と恐ろしい事を口にしたオラクルにアークエルは呟く。だが、結界がある以上は戦うか魔界へ帰るかの二択しか無い。

自分たちに勝ち目が無い事を確信した彼は、自身の後ろに魔法陣を生み出した。

 

「お前らは倒れてる奴らと一緒に帰れ。俺はあのクソ雌天使に一発入れてくる」

 

有無を言わせない剣幕で手下に命令し、負傷した仲間を魔界へと帰らせる。どうやら、アークエルは殿(しんがり)として彼女の足止めをするつもりのようだ。

 

「あら、今回はあなたも逃げなくて良いのですか? 素直にここから立ち去るのであれば、私も寛大な心を以(もっ)て命だけは許しますよ」

 

「ハッ。馬鹿か、お前に一撃入れねぇと気が済まねェんだよ。それに尻尾巻いて逃げるくらいなら無様に死んだ方がマシだなァ」

 

「そうですか……それはお気の毒に。気持ち的には一発くらい受けて差し上げても良いのですが、あまり長引かせると人々の不安を煽ってしまいかねないですからね。すぐに決着を付けさせていただきます」

 

そう言って、聖天使は再び詠唱を始める。彼女の足下から力が粒子となって舞い上がり、奔流となってうねり出す。大技を繰り広げる雰囲気が見ているだけで伝わる程だ。

 

「その代わりと言っては何ですが、私の使える最上級神術を以てあなたを討ち倒します。出来る限り苦しまないように、一瞬で終わらせますからね」

 

「チッ…、どこまでも上から目線で語りやがって……」

 

光の粒子が天へと昇っていき、空に大きな光弾を形成していく。それはまるで、第二の太陽のようであった。膨大な力と光が集束している為なのか強い熱を放つ光球がアークエルを天空から見下ろしている。

 

「母なる輝き、生命の育つ光よ。

悪しき魂を浄化し、多大なる恵を以て裁きを下し給え。

慈悲深きその愛は人々の為に。

猛然たるその導きは邪鬼の為に。

悠久の極光をッ、〔撃ち滅ぼす退魔の一閃(セイクリッド・シャイニーレイ)〕!」

 

彼女が唱え終えると巨大な光球から、強烈なレーザーが眩く照射された。

 

「ッ、グゥアァァァーーッッ」

 

回避不可能な一撃はアークエルの身を焼き、聖なるエネルギーで清めていく。魔界の力を浄化された身体が崩れ始め、やがて微細な魔力を飛散させた後に跡形も無く消滅した。

到着してから、あっという間に魔族の侵攻を防いで見せた聖天使オラクルに人々から喝采が送られる。

 

「すげーーっ、天使様かっこいいー!」

「流石だぜ天使様ぁっっ! 大好きだーっ」

「助けてくれてありがとう、天使様っ」

 

「いえいえ、当たり前の事をしたまでです。それよりも、街や皆さんの手当てをしなくてはなりません」

 

拍手と共に上がる歓声を受けてそう言った彼女は、再び杖を介して力を集中させる。すると白い輝きを放つ神域が破壊された街を包み込み、元の状態へと戻していく。また、負傷していた人々の身体も元通りの健康な状態へ自然と回復していった。

魔族の撃退だけでなく、街の復興まで瞬く間に済ませた彼女に人々は再度歓声を上げた。

 

「それでは、私はこれで」

 

短く言い残した彼女が直ったビルの向こう側へ跳躍し、その姿を消した。

 

 ◆ ◆ ◆

 

「お疲れ様。オラクルちゃん」

 

「ん? あぁ、聖天使ミラクル……」

 

廃れたアパートの屋上で身を隠していた聖天使の下に、同じ天使仲間の女性が声をかけた。彼女はオラクルと古くから付き合いのある、数少ない友人の一人であった。

 

「別に疲れてなんかいないわ、と言うよりも疲れることなんか無いもの」

 

「へぇ~。……とか言いつつ、怪我してるけど?」

 

「えっ、どこ?」

 

「ほらここ。衣装が破れて血が出てる」

 

聖天使ミラクルが指さした場所には、確かに切られたように小さく破れた部分に血痕が付着していた。だが、彼女の治癒力が高い所為か傷痕はどこにも見当たらない。

それを見た彼女はふと気が付いた。魔人アークエルが消滅すると同時に放たれた魔力が、自分の方にも飛んで来ていたことを。

 

「最期の悪足搔きを喰らったようね。あーあ、本当に一撃だけ貰ってしまったわ」

 

「ふふふ、最強の聖天使ちゃんもボロは出すんだね♪」

 

「……どうして嬉しそうなのよ」

 

「いや~可愛いじゃん。人間、多少は欠けてる方が魅力的だからね」

 

そう言ってミラクルは笑顔を見せた。そんな彼女の表情を見ると、オラクルも自然と頬が緩んでしまうのだ。

 

「馬鹿な事言ってないで、変身を解きましょう」

 

「そうだね~」

 

彼女たちが杖を地面に突き立てると、身に付けている衣装――『神衣』が光の粒へと分解されていく。服装だけでなく象徴的な翼も同様に分解され、少しずつ天に昇って消える。

そうして暫く経つと、そこには制服姿の少女が二人立っていた。

 

「ほら、学校に行くよ。遅刻確定だからって急がなくて良いわけじゃないからね」

 

「え~~。今日はもうサボろうよ~、清蕾(せいら)ぁ~」

 

「駄目です、ほらっ」

 

「ダルいなぁ~、も~~」

 

教科書やノート等を入れた鞄を手に、友人の手を引く少女。そして気怠そうに文句を言いながら引っ張られていくもう一人の少女。二人は朽ち果てたアパートの扉を引いて、屋上を後にした。

 

 

人々が平穏に暮らす現代社会。だが、その水面下――とか言いながら普通に表舞台――では天界と魔界による熾烈(しれつ)な争いが繰り広げられていた。人間界を力で支配し、混沌で満たそうとする存在――魔族。彼らの侵攻によって人々の生活は脅かされ、もう何人も死傷者が出ている。それを良しとせず、人間界を多大なる愛で保護し、秩序で守ろうとする神々。この争いは何百、何千年と前から続けてきた。

『聖天使』――それは、素質を持った人間が神によって神力を与えられ魔族と戦う能力を有した人類の味方。そして唯一の希望である。

 

「そう言えば清蕾は聞いた?」

 

「いや、特に何も聞いてないけど……」

 

二年程前に素質を認められ『聖天使オラクル』として魔族との闘いに身を置いてきた少女、“天都(あまみやこ) 清蕾(せいら)”は現役女子高生。成績優秀で才色兼備、学園のマドンナとも言える生徒の彼女は学校内外で老若男女問わず愛されている。

小学生の頃から同じ学校で親しくしている“西条(さいじょう) 茜子(あかね)”の問いかけに彼女は首を傾げた。

 

「何日か前の事なんだけど、敵前逃亡した聖天使が裁判にかけられたんだって。判決はまだ下ってないけど、まぁ良くて失格……悪ければ消滅よね。可哀そうだし、あんまり重い罰が下されなければいいんだけど」

 

「…………そう」

 

遠くの仲間が起こした問題に彼女は胸を傷める。魔族と戦うのが怖いのは理解出来るものの、だからと言って逃げて良い理由にはならないと彼女は考える。

魔族との戦闘を放棄するのは、何の罪も無い人々を危険に晒す行為に直結する。そんな事は同じ聖天使として、到底許される行為ではない。力を与えられた者として、戦いの宿命から逃れるのは卑怯以外の何物でもないのだ。

 

「罰を受けて当然、ね。魔族と戦う力と同時に、私達は使命も与えられている。我が身可愛さに人々を捨てるなんて、恥ずかしい事この上無いわ」

 

「ま~、清蕾ちゃんはストイックだからね~」

 

「これが普通でしょ? 私はこの力で、家族を……皆を守りたい」

 

彼女はそう言うと、自身の手に視線を落とす。

天都 清蕾が変身する『聖天使オラクル』は歴代でも指折りの実力派であり、使える者が数える程しか存在しない最上級神術をも扱える。傷ついた人々を街ごと治癒する等という芸当が出来るのは、現在数百といる聖天使の中でも彼女一人くらいだろう。故に、清蕾は最強の聖天使と呼ばれている。

そんな強大過ぎる力を手にした彼女だが、その心はどこまでも謙虚で献身的だった。決して驕り高ぶらず、世のため人のためと常に尽力してきた。

 

「ふふ、まぁそんな清蕾ちゃんが私は大好きなんだけどね♪」

 

「ちょっ…ちょっと茜子っ? 何よ急に……」

 

真っ直ぐな精神を持つ友人に抱き付き、頬擦りをする少女。

そんな仲睦まじい光景を、一つの人影が監視していた。すらっとした細身の長身を紳士服で包み、痩せた男性を思わせる容姿をしているそれはアンテナの上で制止している。

凡そ人間とは思えない存在が、僅かに声を震わせて呟く。

 

「あぁ……聖天使オラクル…………。我が愛しの天使よ…。もうすぐで貴女を、…我が家宝として迎えに参ります……」

 

目深に被った帽子で表情は窺えないものの、どことなく禍々しく怪しい雰囲気を醸し出している紳士。殺気にもよく似たそれは、それでいて害意を感じられず掴みどころが無い。

 

「っ!?」

 

そんな恐ろしい視線を感じ取った清蕾は咄嗟に振り向く。が、そこには誰もおらず他人の気配はまるで無い。嫌な冷や汗だけが彼女の背筋を伝い落ちていく。

 

「ん……どしたの?」

 

「いや…………、何でも無いわ。取り敢えず急ぎましょう」

 

言いようも無い恐怖を抱いた彼女は友人の手を引いて足早にその場から離れた。何事かと問いかける声さえも無視し、足早に急いで学校へ向かう。

 

 ◆ ◆ ◆

 

多くの市民が行き交う街中を真っ昼間から襲撃してきた魔族の侵攻は、その日から一週間以上が経過した今日も発生していた。

六時限目の授業が終わるとほぼ同刻に天界から出撃命令を受け、清蕾は茜子と一緒に魔族が暴れているという都内の商店街に向かった。今回は幹部クラスの魔族が確認された為、二人の他にも数人の聖天使が救援部隊として任務に参加している。

建物の屋上を蹴って天を翔る少女たち。遠くから見える程に大きな白煙、鼓膜を震わせる爆発音、そして必死に逃げ回る人々の姿を目にして心が痛み、彼女たちは――聖天使オラクルたちは全速力で現場に急行する。

 

「お止めなさいっ、罪無き人々を傷つける憐れな魔族たちよ! 私達が来たからには、もう誰にもこれ以上の悲しい思いをさせませんっ」

 

襲撃が始まってから一分足らず、颯爽と駆け付けた彼女たちの姿を見て隠れていた人々が歓声を上げた。もう大丈夫だと、助かったのだと心から安堵し舞い降りた救世主の応援をする。

 

(幹部クラスの魔族がいると聞いたけど……、それらしい姿は見えない。どこかに潜んでいるのかしら)

 

期待を寄せてくれる声援に力を貰いながら、オラクルは周囲の状況を判断する。

彼女の視界に映るのは大柄な人型魔物や見慣れた異形の魔獣ばかりであり、贔屓目(ひいきめ)に見ても幹部を名乗れるような実力を有する敵はいない。報告がデマでないとすれば、どこかに隠れており奇襲のチャンスを窺っていると考えるべきだろう。

 

「聖天使ミラクル達は雑魚魔物の掃討と、負傷者の手当てをお願いします。私は幹部クラスと呼ばれている魔族の発見,討伐に向かいます」

 

「了解♪ 気を付けてね」

 

「はい、お互いに」

 

役割を分担すると、仲間たちが魔族との戦闘を開始した。

その様子を確認したオラクルが杖を地面に向けて神域を展開する。それは強力な魔力に反応し、その位置を正確に把握するための神術である。普段から感じている低レベルな魔力は無視して何処かに身を潜めているであろう存在を探索した。

だが、それらしい気配は微塵も感じ取れない。

 

(馬鹿な。私が全力で索敵に集中しているというのに、見つからないなんて……。出来るかは分からないけど、もう少し範囲を広げてみるしかない…………)

 

魔族とは本来、大なり小なり魔力というものを体内に保有しており、その魔力が強さに直結している。つまり幹部を名乗る魔族ともなれば、わざわざ索敵するまでもなくその魔力を察知できるはずなのだ。魔力を察知できないのだとすれば――。

本格的に報告の信憑性を疑い始めた時、彼女の肩が優しく叩かれる。

 

「私をお探しですかな? 愛しの天使様(マイ・エンジェル)」

 

「――っ!?」

 

その瞬間、身の毛もよだつ恐ろしい存在感に睨まれて彼女は咄嗟に飛び退いた。直前までそこには何もいなかったのだが、音も気配も無くその魔物は彼女の背後を取っていた。

冷や汗が額に滲(にじ)み、有無も言わさず杖先を向けて光弾を放つ。

 

「これは酷い。挨拶と言うには少し物騒が過ぎますよ、聖天使オラクル。怪我でもしたらどうするのですか?」

 

「そんなの知った事じゃないわっ! お前は誰よっ」

 

次弾の発射準備を整えた彼女は警戒心を剥き出しにして問いかける。普段のような余裕が一切見られない、乱暴な質問に対して彼は溜め息混じりに答えた。

 

「私の名は“ルシャンドラ”と申します。一応、魔王様に仕えている参謀の一人……という立ち位置でやらせていただいております。どうぞ、以後お見知りおきを」

 

「ご丁寧にどうも。ただ『以後』なんて無いわ、私がこの場で消し去ってやるから」

 

「おや、恐い事を仰いますね。いつもはもう少し慈悲のある言葉遣いをしていたはずですが、私めには随分と荒々しい様子で……」

 

「それはそうでしょう。低級な魔族には更生の余地もあるでしょうけど、幹部クラスの魔族なんて討ち倒すしかないのですから」

 

「ああ、成程。それは確かにそうですね、魔族として力を付けた者は破壊や暴虐という野蛮極まりない言葉しか頭の辞書にはありません。更生する気は毛ほども無いでしょう」

 

わざとらしいジェスチャーを交えながら悲しそうな声色でそう言うルシャンドラに、彼女は生理的な嫌悪感を覚えた。いかにも演技らしい口調と態度が鼻に着く。

 

「……その言い方から察するに、お前は違うと言うのかしら?」

 

「はい勿論っ、その通りで御座います! そのような野蛮族どもと一緒くたにされるのは我慢ならない事なのです!」

 

「私からすれば何も違いは無いのだけれど…………」

 

「それは、……いえ。この続きはまた今度に致しましょう」

 

彼はオラクルから視線を外してそう言うと、彼女の仲間たちが各々の武器を構えて対峙した。どうやら、彼女が話しをしている間に魔物を全滅させて市民の治癒も終わらせて来たようだ。

心強い仲間の存在を背中に感じる彼女は胸の内に秘めている恐怖を振り払い、高らかに宣言する。

 

「何度も言わせないで貰えるかしら? お前に次なんて無いのです。私達がすぐにでも、お前を浄化してやるのですからっ!」

 

そう言い放ち、光弾を発射すると同時に数人の聖天使がルシャンドラに向かって飛び掛かった。ある者は鉄鎚を、ある者は大剣を振り翳(かざ)し、神力を纏わせた強力な一撃を放つ態勢を取っている。

 

「――さて、次が無いのは本当に私でしょうか」

 

身体の内まで凍てつきそうな冷たい声が彼女たちの頭に響く。

するとオラクルの放った光弾が細かく分裂して、魔物に意識を向けている仲間たちの無防備な背中に直撃した。

 

「「えっ…………?」」

 

何が起きたのか理解できないまま、光弾の命中した聖天使は激しい衝撃を喰らって吹き飛ばされる。その光景を目の当たりにした市民や他の仲間たちが目を丸くして、驚きの余りただ茫然と立ち尽くしている。しかし、誰よりも驚いていたのは他ならない聖天使オラクルだった。

 

(う、嘘……。一体…何が…………)

 

仲間討ちをしてしまった事や不可解な光弾の軌道もそうだが、何より彼女を驚愕させたのは自(・)身(・)の(・)攻(・)撃(・)で(・)仲(・)間(・)に(・)ダ(・)メ(・)ー(・)ジ(・)を(・)与(・)え(・)た(・)こ(・)と(・)だった。

聖天使が持つ神力とは魔族退治に特化したエネルギーであり、魔力を持つ者に対してのみ肉体へ干渉を及ぼす。つまり、神力を用いて魔族以外に危害を加えることは不可能ということ。だが彼女は現実として仲間へ攻撃をし、それがダメージとして通っている。

これはつまり、彼女が神力とは別の力を有していることになる。例えば、魔族が有している魔力など――。

 

「せ、清蕾っ!? どうしてそんな事をっ………」

 

「違う……。違うの、茜子…………。私にもよく分からな――」

 

突然の事態に場は混乱し、二人は聖天使としての名前も忘れてしまう。それも仕方の無いことであり、普通であれば有り得ない現象が目の前で起きたのだ。

しかし、原因究明をしているような時間は彼女たちに無い。

 

「っ、茜子!! 後ろっ!」

(えっ!? 口が勝手に…………)

 

切羽詰まった声で清蕾が叫び、聖天使ミラクルは後方を向く。が、そこには誰もいない。

その代わりに彼女の正面から成人よりも二回り以上の体格を持つ魔物が迫り、強靭で極太の腕を振りかぶっていた。そしてその腕が勢いよく振り抜かれ、彼女の後頭部を思い切り殴り飛ばす。

悲鳴の一つすら上げられずに彼女の身体はアスファルトの上を転がり、建物を破壊しながら飛んでいった。

 

(口が……勝手に…………、何がどうなっているの……)

 

底知れない恐怖に苛(さいな)まれて、オラクルは頭を抱える。理解出来ない自身の奇行を考えようとするも、混迷を極める彼女の脳内は既にフリーズしていた。

瞬く間に窮地へ追いやられた一人の聖天使が後退り、脱兎の如く逃げ出した。どういう訳か最強の聖天使が同士討ちを始め、倒したはずの魔物が復活し、その上で幹部クラスの魔族であるルシャンドラと戦闘しなければならない。これ程までに絶望的な状況もそうそう無いだろう。

 

(っ!? また、身体が勝手に――)

 

飛翔して離れて行く聖天使の背中に向かって、オラクルは腕を伸ばした。小さくなっていく後ろ姿へ向けた杖の先から、魔法陣が展開される。それはいつもの白い輝きを放つものではなく、禍々しさを覚えるような赤黒い輝きだった。

彼女の知る神術の中に、そのようなものは存在しない。

 

(やめてっ!)

 

これは危険だと頭が警鐘を鳴らし、叫ぼうと口を開く。だが彼女の感情は言葉にならなかった。

展開された魔法陣が一層強く輝き、そしてどす黒い光線を放つ。その光は逃げた聖天使を呑み込み、暫(しばら)くした後に跡形も無く消え失せた。

 

「……そ、んな…………」

 

気が付けば、オラクル一人を残してこの場にいる聖天使は全滅してしまった。尤(もっと)も、その事態を引き起こしたのも彼女なのだが。

声援を送っていた人々の声も消えて、重苦しい沈黙が包み込んでいる。

 

「…………ぁ」

 

ふと顔を上げると魔人ルシャンドラが掌を翳して、彼女に何かしらの魔法を使っている。それが何なのかを考える暇も無く、彼女の意識は闇に閉ざされた。

 

 ◆ ◆ ◆

 

「…………、ここ……は?」

 

聖天使オラクルが目を覚ました場所は無骨で悪趣味な器具の散乱している、石造りの部屋だった。そして両手は鎖で壁に繋がれており、ひんやりとした感触が伝わる。

自分に何が起きて、今どうなっているのか。それを考えるよりも先に聞き覚えのある声が語りかけてきた。

 

「気が付きましたか、聖天使オラクル。お気分はいかがですか?」

 

「…最悪に決まっているでしょう、魔人ルシャンドラ」

 

彼女に何らかの魔法を用いて意識を一時的に奪った張本人である魔人が、彼女の目の前で恭しくお辞儀をする。いかにも演技らしい行動の一つ一つが胡散臭く、思考の読めない言動に彼女は不快感を示した。

あまり顔も見ていたくない魔族から視線を逸らし、オラクルは自身の置かれている状況を確認する。まず、神力は殆ど感じられない状態であり神術の使用はままならないだろうと考えられた。それは即ちこの部屋からの脱出が不可能ということであった。

 

(…………でも、少し妙ね)

 

だが、一つだけ彼女にとって不可解な事があった。それは変身が解かれていない、という現実である。装備している衣装や武器等の全てを神力で構成している彼女たち『聖天使』は、神力が無ければ変身することすら不可能となるのだ。

つまり、変身が解けない程度に加減してルシャンドラは彼女の力を奪い続けている、ということだ。どうしてそんな回りくどい事をしているのか、彼女には到底理解出来ない。

理解出来ないからこそ、彼に問い質(ただ)す必要がある。

 

「それで、わざわざこんな場所に私を連れて来て何がしたいの。拷問?」

 

「…拷問……、ふむ。近いと言えば近いですが、そのような悪逆非道の行いを貴女にするなどとんでもない。私がこれから行うのは裁判です」

 

「は? 裁判?」

 

分からないことを知る為に質問した彼女だったが、それによって余計に理解不能な回答が返ってくる。彼女の頭の混乱が更に加速した。

 

「貴女はつい先程、仲間に対して攻撃を行いましたね? 自身の攻撃で直接危害を加えた他、嘘を吐いて間接的に危害を加えた。違いますか?」

 

「っ! それは――」

 

「理由や経緯はどうであれ、貴女は仲間である聖天使を騙し討った。そしてそれは多くの民間人が目撃しておりましたし、普通に考えれば今すぐにでも天界の神々にまで伝わることでしょう」

 

反論しようとしたところを遮(さえぎ)り、ルシャンドラが淡々と事実を述べる。どうにも神経を逆撫でするような声で話す相手の魔人に彼女は腹立たしい気持ちが湧いてくる。

 

「そしてそうなれば、貴女はどうなるのでしょうか。敵前逃亡をしただけで命を脅かされるような天界に、裏切りの罪を背負う貴女がぬくぬくと帰ればどうなるか。……まあ、問答無用で首を刎(は)ねられることは間違い無いでしょう」

 

「っ………」

 

聖天使の同士討ちなど前例が無い事態だが、それでも彼女は魔人の言葉を否定出来なかった。いくら最強の聖天使と名高い彼女であれど、味方を攻撃したとなれば重罰が下ることは避けられないだろう。寧(むし)ろ、力を有しているからこそそのような存在を放置する等有り得ない。

言い返せない現実を突き付けられ、彼女は床を見下ろして唇を噛み締めた。

 

「そこで、です。そんな貴女にチャンスを差し上げたいのです」

 

俯(うつむ)いているオラクルに能天気な声が響く。

 

「これから貴女には賭けをして頂きます。貴女が勝てば聖天使としての素質を永久的に剥奪し、元の一般市民として暮らしていけるようにお手伝いしましょう。更に更に私の直属の魔族は全員、この手で排除して差し上げます。どうですか? ざっと数百万も存在する魔族の大部分を無力化させられるビッグチャンスを、貴女は受けますか?」

 

「…………お前の目的は、何?」

 

大法螺(おおぼら)吹きとしか思えない言動に、オラクルの猜疑(さいぎ)心が爆発した。自軍にとって損害しか無いであろう条件を賭け事に持ち出せる、相手の心理が恐ろしくて仕方なかったのだ。

僅かに怯えた瞳で見つめる彼女の問いかけに、ルシャンドラは簡潔に答える。

 

「私の目的など、最初から一つだけで御座います。……聖天使オラクル、貴女一人を我が物とする。ただそれだけ……。貴女を手に入れられないのであれば、魔族も天界も…人間界も全て無為に等しい」

 

「……………………」

 

平然とした様子で言葉を紡ぐ魔人は、狂気そのものだった。たかだか一人を手に入れようとする為だけに、何を犠牲にしようとも厭わない精神性。破壊本能しか持ちえない魔族は存在自体が彼女にとって異常ではあるが、この魔人は違う意味で常軌を逸している。

 

「…そんな賭け、乗るはずが無いでしょう」

 

そんな魔人の物になるなど、彼女からすれば死んだ方がマシというものだった。それに、魔族の言う事など信じられる訳が無い。

 

「聖天使としての素質を永久的に剝奪するだの、仲間を排除するだの……出来もしない戯言(たわごと)ばっかり口にして。信用なんか出来るはず無いでしょうっ」

 

「……出来ますとも」

 

しかし、彼は表情一つ変えずに言い切った。そして部屋の外にいる仲間へ合図を出して見せると、一体の魔物に連れられて誰かが中に入って来る。

 

「っ! ミラクル……」

 

その人物は聖天使ミラクル。殴り飛ばされてボロボロの状態だが、意識ははっきりとしているようだった。憎たらしい敵を見るように侮蔑(ぶべつ)的な視線をオラクルに送り、すぐに顔を背ける彼女。

それはオラクルにとって精神的に辛い反応だったが、仕方の無いことだ。

 

「よく見ていて下さいね」

 

気まずい雰囲気を漂わせている二人の間でルシャンドラはそれだけ言うと、静かに手を翳して魔法陣を展開させた。

すると、聖天使ミラクルの衣装や武器が光の粒子となり強制的に変身が解除されていく。困惑を顔に浮かべる二人をよそに、ミラクルは少しずつ姿を変えて“西条 茜子”へと戻っている。数分ほどの時間が経過した後、彼女の姿は完全に何の変哲もない女子高生へと変化していた。

 

「はい、素質を剝奪して見せましたよ。どうでしょうか? 身体の内側から湧いて来る力も、溢れんばかりの神力も、何も感じられなくなっていませんか?」

 

「え、これ……どうなって……」

 

急に戦う力を失った茜子は明らかに動揺していた。その様子からして、もう変身することは出来ないであろう事がオラクルにも伝わった。

 

「幹部クラスの魔族であれば誰でもこの魔法は使えます。ただ、事前に大半の神力を失わせた上で、実力など関係無く入念な準備をしておく必要があるため実戦には使えないのですが……。いかがでしょうか?」

 

「……………………」

 

信じたくない現実を前に、彼女の脳は既にパンクしていた。目の前でいとも容易く女神から与えられた力を奪われれば、安堵や期待などよりも不安や恐怖で埋め尽くされてしまうのも無理は無い。

呆然と黙り込む彼女の反応を見て、ルシャンドラは溜め息を吐いた。

 

「信用して頂く為に実演して見せたのですが……、まあ良いでしょう。その人間は繁殖場にでも連れて行きなさい。聖天使ではなくなりましたが、多少は魔族の子を産んでくれることでしょう」

 

「っ!? 待ってっ!」

 

理解が追い付かないまま部屋の外へ連れ出される途中で、オラクルは叫んだ。

 

「ミラクルには……、茜子には手を出さないで。お願いだから…………」

 

「ほう、では彼女を人間界に返せば賭けを受けて下さりますか?」

 

「っ、…………はい。賭けを受けます」

 

「清蕾っ、あんた何言って――」

 

「よろしい」

 

神妙な表情で『賭け』と口にしたオラクルに対して嫌な予感がした茜子が抗議する。しかし最初から彼女の意思は関係が無いと言わんばかりに、ルシャンドラは口角を上げて頷いて承諾した。

彼は急いで床に魔法陣を展開し、そこへ茜子と見張り役の魔物を立たせる。それは、以前にアークエルと名乗る魔族が仲間を帰す時に使用したものと同じ紋様の陣であり、彼女たちは一瞬にして部屋から姿を消した。

 

「それでは、早速ですが裁判という名のゲームを始めさせていただきます。ルールは単純明快、私が貴女に手淫を一分間だけ行いますので快楽に耐え抜いて下さい。絶頂せずに耐えきれば貴女の勝ちとなり、先程述べた報酬を必ずや約束致します。しかし仮に耐えられなければ、貴女は私の物となっていただきます。よろしいですね?」

 

「低俗な…………」

 

ある程度は予想出来た内容だったが、あまりにも直球で品の無い取引を提示してきた魔人に対してオラクルは不快感を言葉にする。

ルシャンドラが彼女の背後に回り込み、懐から古典的な砂時計を取り出した。

 

「かなり原始的な手法ではありますが、これで一分を計らせていただきます。……それでは、始めますね」

 

手にしている砂時計をひっくり返して床に置き、彼はゆっくりと彼女の股間を手で弄(いじ)り始めた。細長い指がしなやかな動きで秘部を優しく撫で、肌を直接刺激する。

 

「んっ、ぅぅっ…………」

 

下着との間に入り込んで、ねちっこい触り方をする指使いに彼女の身体は敏感な反応を示した。堪えようとも吐息が漏れ、刺激から逃れようと腰をくねらせる。

豊富な経験を感じさせる魔人の手淫が開始早々から彼女の秘部を責め立ててくる。だが、刺激の強さ自体はそこまで激しくない。オナニーより多少は感じる程度のもので、全く我慢が出来ないくらいに厳しい責めでもなく、充分に勝てる賭けだ。

 

(くっ…ふぅ……。これなら、耐えられそう……)

 

膣内と同時に弄られる陰核から送られる快感にも抗いながら、彼女は一分という時間が過ぎ去るのを待ち続ける。

勝負の開始から十数秒。砂が四分の一ぐらい落ちた頃、魔人の指による刺激で僅かな愛液が分泌され始め、彼女の秘部がくちゅくちゅと音を立ててきた。生理現象で生じる粘液が相手の責めを滑らかにさせて、脳まで伝わる快感がより強くなる。

 

「耐えますね……、ですが我慢は身体に毒ですよ。もう絶頂してしまってはいかがでしょうか? きっと凄く気持ちが良いはずですよ」

 

「はぁっ、あ…んぅっ……、くぅ……。うる…さいっ、…………このくらい、なんてこと…無い。私は、勝つ……のぉっ…」

 

快楽で脳が痺れてきた時、憎き魔人が唆すように彼女の耳元で囁(ささや)いた。意識外の場所に生温かい吐息がかかり、彼女の身体はビクンと反応する。

しかしこれしきの事で音を上げる程、彼女の精神も弱くない。途切れ途切れの言葉でも己を奮い立たせるように言い放つ。

 

(あと……、半分っ)

 

気が付けば砂の半分が下へ落ちており、折り返し地点に到達したことを告げていた。

たかだか一分。しかしその一分が、彼女の思うより長い時間だった。

 

「流石は聖天使オラクル、私めの想像以上に芯が強くございますね。では、私もそれに全力でお応えしなければなりません」

 

相手も内心では焦り始めたのか、少しばかり震えた声でそう言った。そして既に皮の剥けている陰核を摘まみつつ、彼女の膣内の一部――Gスポットを二本指で押し上げる。

 

「ひぅぅぅぅっっ! んっっ、あぁぁっっ」

 

ゴリゴリと抉るような動きで女性器を責め、敏感な肉芽を引っ張られる痛覚が快感に変換される。あまりにも強すぎるその性的刺激には、ついに耐えきれず彼女も思わず大きな声で嬌声をあげてしまう。

だが、まだ絶頂はしていない。

 

「ぃぐっ、ううっ……はぁぁっ、あぁっっ」

 

魔人の手淫で彼女の身体はすっかり火照り、奥から耐えがたい疼きを感じる。高まった熱は冷めることを知らず、次から次へと溢れ出す愛液がしなやかな指の動きで体外に掻き出されていく。

呼吸も脈拍も乱されながら、それでも聖天使オラクルは敵のいやらしい責めを必死になって耐えていた。

 

(もう少しっ、……もう少しでっっ)

 

透明な容器から零れている砂の量は残り僅か。感じまくっている所為で彼女の股間はビショビショになっているが、あと数秒で賭けに勝てると思えば気にならない事だった。本当に相手が約束を守ってくれるかは不明だが、それでも魔族の所有物になる事は無いのだから充分だろう。

一粒、また一粒と細かな砂の滝が細くなっていく。その光景をぼんやりと見つめながら、彼女は完全に勝った気でいた。

 

(これで、私の――)

 

とは言え、気を抜いた訳ではなかった。寧ろ最後だからこそ絶対に負けないよう、気持ちも膣壁も引き締めていた。

だが、彼女の身体は唐突に小さく震え始めて全身の血が沸騰したように熱くなる。そして砂が落ちきるよりも先に――、

 

「っっ、んひぃぃぃいィぃぃ~~っっ!?」

 

腰が浮いて激しく痙攣したかと思えば、潮を吹いて絶頂した。何が起きたかを考える時間すら無く彼女の視界が白く明滅し、四肢を拘束している鎖を鳴らしながら身体をのたうち回らせる。

 

「…………いやあ、惜しかったですね。あともう少しだったのですが、僅かに貴女の我慢が先に限界を迎えてしまったようです。非常に残念でした」

 

「はぁっっ、はぁっっ、はぁっっ……。そん、な……」

 

強く収縮している女性器から指が引き抜かれ、割れ目が透明な糸を引いている。疑いようも無く彼女は賭けに敗れたのだ。

 

(なんで……、一体何が…………?)

 

今なお信じられない現実に彼女は深く絶望し呆然としていた。直前までその気配が殆ど無かったにも拘らず、彼女の身体はオーガズムを迎えた。感覚が麻痺していたのか、それとも他に何か要因があったのか。

ふと、彼女は自身の下腹部――と言うよりも膣内に違和感を覚えた。妙に不自然なエネルギーの流れが体内の一部分で小さく蠢いている。

 

(これは…………。っ、魔力!?)

 

彼女が自身の性器で感じていた違和感の正体は魔族の有する魔力だった。流れとして感じ取れる程に大量のエネルギーは、明らかにルシャンドラが何かしらの魔法を使用した痕跡に間違い無い。

相手の不正を理解した彼女は意識が覚醒して、追及しようと口を開いた。が、その瞬間に相手は彼女の拘束を外して抱え上げる。

 

「さて、真(まこと)に口惜しい結果ではございますが貴女の敗けです。という事で残念ですが貴女は私の物となりました」

 

そう言いながら魔人は彼女の身体を十字型の器具へ寝かせ、両手首と両足首を金具で固定させた。そして右手を翳して魔法陣を展開させると、彼女の身体を拘束した器具が起き上がる。

股を少し開いた状態で磔にされた彼女が怒鳴るように抗議する。

 

「ふざけないでっ、あんなのは無効よ! 魔法を使用するなんて卑怯よっ」

 

「卑怯? まあそうでしょう。貴女は神術の使用を制限された状態であり、そんな貴女に魔法を用いて賭け事に参加するというのは卑怯と蔑まれて当然でしょう」

 

あくまでも他人事であるかのように頷く魔物に、オラクルは歯軋(はぎし)りしながら罵った。

 

「そうよ、卑怯よ! この嘘吐きの詐欺師めっ! さっきの勝負は無効試合だから、早くこの金具を外してよっ」

 

「それは聞き入れられません。勝負事の不正を、自身が敗けてから申されましても既に終わってしまったこと。ルール違反であると詰(なじ)るのでしたら、せめて勝負の最中に申し出て頂きませんと」

 

「っ、不正を働いておいてよくも抜け抜けと…………」

 

「私が何か間違ったことを申したでしょうか? 真の意味で快楽に耐えきったと言うのであれば、手淫の最中にも気づけたはずです」

 

相手の指摘は彼女の痛い所を突いていた。確かに、普段の彼女ならば魔法を使用しかけている時点で察知できていたであろう。だが実際には性感帯から与えられる刺激で絶頂しないように堪えるので精一杯になっており、魔力が流れ込んでいることには意識が向けられなかった。

 

「自身の不注意を相手の所為にするなど、とても聖天使の行いとは思えませんね。清く正しく在るべき聖天使には有るまじき発言には、相応の罰が必要です」

 

悔しくて唇を噛んでいたオラクルにかけられる言葉。そこに不穏な意図を感じた彼女が顔を上げると、目の前には謎の注射器を数本持ったルシャンドラが立っていた。

 

「何…………それ……」

 

青紫色の液体が封入されている容器を目にした彼女は恐怖のあまり身を捩(よじ)る。怯えた表情で訊ねた彼女に、魔人は淡々と答えた。

 

「これは貴女の身体を、その心と同じような醜さへ変貌させる薬。……まあ、一言で表すのであれば肉体改造薬、と言ったところでございます」

 

そう説明するや否や、魔人は神聖なる衣装の上から一思いに注射器の針を彼女の身体へ突き刺した。二本は乳房の先端へ一本ずつ、更に二本を下腹部へ。鋭い痛みと共に冷たい液体が体内へ流れ込み、血管を通じて全身へその感触が巡り回る。

 

「ひぐっっ、あ……あぁっっ」

 

やがて注射器から全ての薬液が注入され、針が一本ずつ抜き取られた。未だに残る痛覚と違和感に不快な思いを抱きながら、彼女は項垂(うなだ)れて乱れた呼吸を整える。

そして薬による改造は存外すぐに起きた。

 

「~っっ!? あっ、がぁぁっっ、はぁっ、はぁっ、ああぁぁぁぁぁっっ!」

 

刺された箇所が異様な痒みに襲われて酷い熱を帯び始める。掻き毟(むし)りたい衝動に駆られるも、拘束された両手では叶わない。

気が狂いそうになる身体の異変。それはやがて、質量として彼女の姿を変化させていく。

 

「んぎぃぃぃぃっっ、あぁぁっっ……ぅ゛あ゛ぁぁぁぁっっっっ! な、にこ…れぇぇぇぇっっ!」

 

慎ましい膨らみを有していた彼女の両胸が段々と肥大化していき、数秒と経過しない内にグラビアアイドルも裸足で逃げ出す程の大きさへと成長していく。が、それでもまだ乳房の膨張は止まらない。あまりの大きさに衣装は破れて、靭帯が悲鳴を上げて千切れ始めようとも質量は更に増していき、ついには産まれたばかりの赤子が丸々一人入れる程の奇乳にまで変わり果ててしまった。

その重量は凄まじく、ただ縛り付けられているだけで両肩の骨が軋む。

 

「はぁぁっっっ、はぁぁっっっ、はぁぁっっっ……」

 

人間とは思えない程に膨らんだ乳房に合わせて、その先端である乳首や乳輪も大きく肥大化していた。彼女の腕がすっぽり入れられるぐらいの先端突起と、顔を覆うぐらいの桃色楕円。

しかし異様に膨張したのは胸部だけでなく、同じように注射器を刺された下腹部も等しく変貌を遂げていた。赤く腫れたように大きな瘤が二つ存在しているのだが、信じられないことにそれらは彼女の卵巣だった。本来は二センチ程度の大きさであるはずのそれらは、その倍以上にまで膨らんで皮膚と筋肉を押し上げている。

投薬されて一分と経たない短い時間でオラクルの容姿は部分的に天使とも人間ともかけ離れた、奇怪(きっかい)なものとなってしまった。

 

「嗚呼(ああ)、……とても素晴らしい。なんという芸術作品……。慎ましくも可憐で美麗な姿だった貴女が、ここまで私好みの醜い姿に…………。この美しさを的確に表す言葉を存じ上げないのが何とも心苦しいです」

 

肉体を無理矢理に変化させられた苦痛と快感で悶える彼女を前に、魔人ルシャンドラは手を叩いて賞賛する。その目尻には小さな水滴まで垂れており、感動の大きさを自然と表現していた。

大袈裟にも思えるリアクションで、己の感動を伝える魔人とは対照的にオラクルは絶望に満ちた表情を浮かべている。望んでもいない改造は肉体的には勿論のこと、精神的にもダメージが大きかった。

 

「何なの、これ…………」

 

ただ存在しているだけで両肩への負荷が尋常ではなく、非現実的な重量感が夢でないことを証明している。

だが、これでルシャンドラの目的が達成されたわけではない。寧ろこの肉体改造は準備段階でしかなく、彼の凌辱は更に苛烈さを増していくことになる。

 

「もう少しばかり眺め愛でたい気持ちはありますが、次の工程に入らせていただくとしましょう」

 

そう言って彼は彼女を縛り付ける器具を百八十度回転させて、彼女の身体を上下逆さまの状態にした。そうすると重力に従う彼女の乳房が逆方向へ垂れ下がり、顔を完全に覆い隠してしまう。

 

「それでは貴女の美しい生殖器にも、手を加えさせていただきます」

 

医療現場で用いられる点滴のような器具を手に取って彼は彼女へ近づく。そして無色透明な液体が入った袋から伸びる管を、彼女の膣内へ深々と挿入していく。しっかりと奥まで管が侵入したことを確認し、彼は袋のすぐ下にある調節器を操作して薬液の滴下を開始させた。

 

「これは所謂(いわゆる)『拡張剤』と呼ばれる代物でございます。魔族との性交渉は肉体――特に女性器への負担が非常に大きい為、その周辺の筋肉をゴムのように伸縮させられるようにする必要があります。そしてこの薬はかなりの劇物でございまして、魔族以外に用いる場合は希釈したものを少量ずつ注入しなければなりません」

 

「ひぃっっ、いやぁ…………」

 

膣内に少しずつ染み渡る冷たい薬品の感触。その感触が奥へ奥へと浸透していき、身体が熱を放ちながら変質していく。

その気持ち悪さに顔を歪める彼女には、魔人の説明を聞いていられる余裕など無かった。

 

「では投薬が終わるまで暫し時間があります故、少々戯れることに致しましょう」

 

暇が出来た彼はそう言うと自身に魔法をかけ始める。すると彼の身体がみるみる変化を遂げていく。

頭からは特徴的な形状をした二本の長く立派な角が生え始め、胴や脚が服を破って筋肉量を増加させていき、臀部からは男性器を思わせる造形をした尻尾が現れる。所々に個性を感じる部分はあるものの、その姿は人々が想像する悪魔のそれと近いものだった。

本来の姿に戻ったルシャンドラは彼女に近づき、圧倒的な体積と質量を誇る乳房へ手を伸ばした。

 

「おおっ……、この手に吸い付くような柔らかさと弾力、そしてシルク等とは比べるまでもない肌触り。それに何より驚くべき大きさ……。この乳房で育つ子を想像すれば、嫉妬のあまりに気が狂いそうだ」

 

両手で感触を楽しむように彼女の胸を揉み、触り心地を確かめる魔人。暫くすると掌だけでなく、腕で抱いてみたり頬擦りをしてみたり、規格外となったオラクルの乳房を全身で堪能し始める。

 

「んんっっ、ふぁぁっ……や、やめ…………」

 

「……しかし、これ程のサイズでは私のペニスがすっぽりと覆われてしまいますね。出来れば貴女の口腔(こうくう)も一緒に楽しみたいのですが…………。ふむ、こちらにしましょう」

 

全身で乳肉を味わった彼はブツブツと独り言を呟きだし、そして徐に自身の尻尾へ視線を向けた。

尻尾を股から通して身体の前側にもっていくと、男性器と酷似したそれを彼女の谷間へと挿入していく。大きな肉の暖簾に挟まれても尚ゆっくりと腰を突き入れ、オラクルの口に目掛けて尻尾を押し込んでいった。

 

「んっ、ぐぅぅぅ…………」

「お……おおっ。これは素晴らしい」

 

両の手で彼女の乳房を圧迫させながら長い尻尾を喉奥まで挿入させて、今度は流れるような動きで腰を引いていく。唾液で濡れた尻尾が口粘膜と乳肌に擦られ、言いようもない快感を彼に与えた。

投薬の影響か体温が上がり、じんわりと汗をかいている彼女の谷間は女性器に勝らずとも劣らない質であり、それがまた彼の性的興奮を高ぶらせていく。

 

「素晴らし過ぎる……。叶うならば赤子の頃に戻り、貴女の胎から産まれて体感したかった。もっと全身でこの柔らかさを、温もりを…感じたかった」

 

「んむぅっ、ぅぐっっ……じゅぷっ、じゅぽっっ。ぐじゅぅ、じゅりゅりゅっっ」

 

肥大化した彼女の乳房による尻尾パイズリイラマの感動は凄まじいようで、彼は天井を仰ぎ見るように顎を上げて肩を震わせていた。

段々と腰を振るスピードを上げて長い尻尾を突き込む。彼女の口腔を擦り上げる度に唾液が掻き出され、それを纏わせた表面が乳谷間を往復するのだから抽挿(ちゅうそう)をより滑らかなものにしていく。

 

「本当に……この乳房は逸品としか形容できない。あらゆる点において頂点に君臨し得る素質を持った、極上の乳が此処に在る。……否、乳だけに留まらず口粘膜もまた素晴らしい素質を有しているっ。聖天使オラクル――貴女の身体は最早(もはや)全世界の宝だ、至高の芸術作品だ…………」

 

乳肉を捏(こ)ね回しながら揉めば挟んでいる尻尾を刺激する箇所が変化し、股座(またぐら)がぶつかれば波紋となって全体に広がっていく。見るも良し、触るも良し、挟むも良し。あらゆる要素が彼の心の琴線をかき鳴らす。

その一方で口を塞がれているオラクルは息苦しさだけでなく、しっかりとした快楽をも感じていた。谷間から伝わる温度が、強引に喉を突く衝撃が、彼女の肉悦となって脳に快感を刻み込んでいく。

 

「んむぅっ、んんんん~~~っっ!!」

 

そして限界に達した彼女の身体が激しく痙攣し、割れ目から小さな噴水が湧き出た。性行為ですらない変態的な凌辱によって彼女は絶頂してしまったのだ。

その様子を目にした魔人は、また感動に身を震わせた。

 

「なんと、感度も良好でしたか……。貴女は本当に世界で唯一つの逸材です」

 

ビクビクと痙攣を繰り返す彼女の口から尻尾を引き抜いて手を叩くと、ルシャンドラは薬液の量を確認する。既に袋の中身は空であり、管にも薬は残っていない。念の為に膣内へ指を挿し入れて触診すると、投薬前よりも確実に伸縮性が向上していた。

 

「宜しい、下準備は着実に進んでおります。それでは最後の行程に入りましょうか」

 

そう言って彼は棚から一本の瓶と、小さなカプセルを手にして彼女の元に戻った。

 

「最終段階として『魔剤』――魔界での媚薬のようなものを注入し、それと同時に触手生物を用いて子宮を魔族仕様へ改造していきます。恐らく気を失う程に過酷な施術にはなりますが、出来る限り意識は失わないで下さいね」

 

「いや……、もう止めて…………。誰か、助けて……」

 

聞くだけで背筋が凍るような説明を聞いた彼女は涙声で許しを乞う。だが、疲弊して声が小さかった上に垂れ下がっている自身の乳房で声が籠り、魔人の耳には届かなかった。

ルシャンドラはカプセルを先に膣内へ落とし、栓をするように瓶を子宮口まで力強く捩じ入れた。

 

「ひぐぅぅっっ」

 

先程の点滴とは段違いの速さで魔剤が子宮を満たしていき、少しずつ彼女の下腹部を膨らませていった。魔界の媚薬と呼ばれるだけあって、その効果と即効性は凄まじいものであった。

膣口から逆流して溢れる粘液が魔剤と混じり合い、ずらした下着を汚していく。

 

「あ、あぁぁ…………」

 

パンパンに膨張した子宮が瞬く間に激しく疼き始め、全身が火照りだす。あらゆる感覚が研ぎ澄まされているのか視界は綺麗に澄み渡り、聞こえる音は全て普段と比較にならないほど鮮明に響く。そして何より、僅かな空気の流れすら感じ取れる肌は全体が性感帯となってしまったようだ。

無理矢理に発情させられていく身体の異変に苦しむ彼女だが、本当の苦痛はまだまだこれからであり、この程度は序の口でしかないのだった。

 

「っっ! あっ、がぁっっ……ぃぐうぅぅぅぅっっ」

 

魔剤によって膨らまされた子宮がドクンドクンと脈打ち始め、更に大きく膨張してきたのだ。カプセルに封じられていた触手生物が孵化し、彼女の胎内で急速に成長していく。そしてその数は一匹や二匹どころではない。

一秒毎に太く長く育っていく複数の触手が鋭敏な子宮の中で蠢き、激しい痛覚と快感が同時に彼女の脳天まで駆け抜ける。

 

(いや……、いやぁっっ! お腹が苦しい、痛いぃっっ……。子宮が破裂しちゃうぅ)

 

大量に孵化した触手によって彼女の腹部は臨月を迎えた妊婦のようで、改造されて肥大化した卵巣が小さく浮き出ているような状態だった。

 

「おぐっっ!? んおぉっっ、おごぉっっ」

 

そうして胎内で暴れ回る触手数本が子宮口を内側から何度も叩き、彼女の視界が幾度(いくど)となく明滅した。感覚が麻痺してしまったのか既に痛覚の殆どは快感に変換され、内臓が圧迫される息苦しさとそれを超える気持ち良さしか感じられない身体になってしまっている。

 

「んひぃいぃぃぃっっ!!」

 

異常な肉悦でよがり狂い始めていた彼女は突如、情けない嬌声を上げると共に意識を失ってしまった。完全に成長しきった触手から子宮改造用の針が生え、その表面を一斉に刺されたのだ。鋭い衝撃が何十――いや何千という数で襲い掛かり、そして毒物にもよく似た薬液を注入していく。

想像を絶する痛みから解放されて気持ち良くなれ始めていた刹那、一瞬にして白目をむき喘鳴さえも発せなくなってしまうオラクルを見て、ルシャンドラは頭を抱えた。

 

「効率が良い手法ではあるのですが、やはり母体への影響が大き過ぎるようですね。より良い手法の開発が今後の目標でしょう。……ともかく貴女には眠っていただくわけにはいかないので、少々心苦しいことですが今すぐにお目覚めいただきます」

 

そう言うと彼は垂れ下がっている彼女の両乳首へドーナツ型の金具を取り付け、魔道具らしき物から伸びる鎖を金具へ繋げる。そして魔力を道具に注ぎ込むと、それが浮かび上がり彼女の両乳首を吊り上げた。

顔が見えるくらいまで乳房が持ち上げられ、自身の腰くらいの位置にきた桃色の先端突起へ彼は躊躇(ちゅうちょ)無く拳を捩じ込んだ。

 

「――っ、ん゛お゛おぉォぉぉぉぉっっっっ!?」

 

乳首が大きくなれば、乳を分泌するための穴も大きくなる。肉体改造によって人間の常識から外れてしまった彼女の身体は、実現不可能とされていた変態プレイをも可能とさせていた。

本来は一方通行の器官へ侵入してくる魔人の両手が奥へ奥へと進み、やがて乳腺にまで到達した。

 

「これは、何とも言い難い感触だ……。改造の影響か温度はかなり高く、温かいというよりは熱いと表現するべきでしょうか。そして若干の滑(ぬめ)りけがあり、押し込んでみるととても柔らかい。これはこれで中々に素晴らしいです」

 

「ひぃいぃぃっっ、うっ…おぉぉぉ…………、お゛っっ」

 

指の腹で押されたり、爪の先で引っ搔かれたり、普通の行為では体験することの無かったであろう刺激に見舞われ、更にその間も触手による子宮弄りは続いている。

大きな胸の中には魔人の腕が肘まで挿入されていて、その感覚は乳房にまで触手を突き入れられているようであった。

 

「目が覚めたようなら何よりでございます、聖天使オラクル。子宮改造の最中は意識を失われると不都合が発生し兼ねないので、これから気を失われる度にこれを繰り返させていただきます」

 

「おほぉぉぉっっっっ!」

 

彼女に意識が戻ったことを確認した彼は笑顔でそう伝えると、挿入していた腕を一思いに引き抜く。その衝撃からか大きく仰け反る彼女の両乳首はぽっかりと開いたままで、女性器のようにヒクヒクと小さな痙攣を繰り返していた。

体液まみれとなった自身の腕を拭き取りながら、彼は膣口に捩じ込んだままとなっていた瓶を取り除き、中の状態を確認する。

 

「…………まだもう少しでしょうか。頑張ってくださいね」

 

「も…、むり…………。はやく、ころして…………」

 

「殺せだなんて、とんでもないっ! 貴女に死なれては私が困るのですよ? 貴方のような至高の宝物は無駄に長く生きてきて漸く見つけた逸品。次があるかも不明な歴史的遺産の究極。それを壊すなどと、この私が決して赦しませんよ」

 

精神的な限界を迎えた彼女の願望はその言葉で一蹴された。死ぬ事すら許されない彼女には、地獄すら生温く思える地獄を気絶しないように耐えるしかないのだ。

 

 

それからどれ程の時間が経ったのか。彼女の体感としては何ヶ月にも及ぶ苦痛であったのだが、恐らく一日も経ってはいないのだろう。

子宮内で暴れ回っていた触手が、より激しく蠢(うごめ)きだして出口を執拗(しつよう)に叩き始めたのだ。

 

「いぎぃぃぃぃっっ、しょくしゅ…………あばれ、てぇぇぇっっ!? ひぐっっ、ああ゛ぁぁぁぁぁっっ!」

 

「おお、遂に完了しましたか」

 

拘束具をガシャンガシャンと鳴らしながら暴れる彼女を見て、常に監視していたルシャンドラが喜びを顔に浮かべた。

彼はすぐさま彼女を拘束している器具ごと魔法で移動させ、元あった状態に戻す。そして彼女の秘部へ迷わず手を突き入れた。子宮へ滴下した拡張剤の影響が女性器全体に及んでいる為か、ゴムの如く伸びきった膣口は決して細くない彼の腕さえも容易く受け入れてしまった。

 

「触手を引っ張り出しますよ。踏ん張って下さいね」

 

それだけ言って、彼は指で子宮口を開き中の触手を一本掴み取ると強引に引き摺(ず)り出そうとする。薬の注入を終えた針はしなやかに曲がるものの、鋭い形状はそのままであり肉襞を引っ掻きながら膣内を擦り出て行く。

 

「~~~~~っっ!」

 

太い管状の肉塊が滑るように子宮から引っ張り出されていき、瞬く間に一匹目が彼女の股間から姿を現す。そしてそのままの勢いで触手の全体が体外へ引き出された。その衝撃と言えば、声にさえならない程のものだった。

 

「っ、ちょっと待っ――」

 

休む暇も無く二匹目を引っ張り出そうと膣内へ腕を捩じ入れるルシャンドラ。だが、それよりも速く彼の手が子宮口を抉じ開け、次の触手を握り締める。彼は一匹目と同様、胎内に居座る触手を力任せに引きずり出していく。

 

「っっっ~~~~~~~!!」

 

再度訪れる強制出産の苦痛と快楽。

あまりの衝撃に全身の筋肉が弛緩し、ジョロジョロと尿が漏れ出てしまう。しかし彼はそんな事も気にした様子は無く――寧ろそれに興奮した様子で――触手を止め処(ど)なく引っ張り出していった。

 

 

全ての触手を体外へ摘出した頃には、彼女の股下は排泄物だらけになっており、彼女自身も意識が朦朧としていた。

触手と汚物の処理を手早く済ませたルシャンドラが、彼女を拘束具から解放して抱き上げると隣の部屋に移動し、大きめの簡易ベッドのようなものに彼女の身体を寝かせる。

 

「さて、長くなってしまいましたがここからが本題でございます。貴方は賭けに敗れ、既に私の所有物」

 

「はぁっ、はぁっ、はぁっ…………」

 

「このまま愛のある初夜を……と思っていましたが、貴女には恐らく私への愛情など微塵も無いことでしょう。愛も無い貴女に行為を強制するのは私のプライドに傷が付いてしまいます」

 

(……こんな身体にしておいて、何を今さら…………)

 

支離滅裂にも思える発言を口にする魔人を相手に、彼女は内心でそう毒づいた。

 

「そこで、一つ賭けをしませんか? もしも貴女が勝てば、身体も全て元に戻した後に天界との関わりを絶ち、私は魔族側の戦力を大幅に削減することを約束致します。ですが、仮に敗けてしまった場合は……正真正銘、貴女は私のモノとなります」

 

「…………本当に“賭け”が好きね。呆れるわ」

 

相手に対する信用がまるで無い彼女は顔を背けたまま、言い捨てる。

――どうせ卑怯な手口を使ってくるに違い無い。――

そう考えざるを得ない。何しろ既に彼女は一度、騙されて敗北しているのだ。

 

「ちなみに、もしも私の提案を蹴られる場合はその姿のまま人間界へお返しすることになります。そしてこれまで通り、私は魔族の一員として人々を襲撃するでしょう。それに対して貴女は、聖天使としてこれまで通りに戦わせて貰えるのでしょうか?」

 

「っ…………」

 

ルシャンドラの言葉はオラクルの心に深く突き刺さった。

改造された身体で返されて、彼女がどうなるのか。それは彼女自身が一番よく理解していることだった。同士討ちをした彼女が天界の下で生きていける保証はどこにも無く、良くて晒し首。下手をすれば――。

多くの人を救える力を持ったまま神の裁きを下されるくらいならば、少しでも人々の為になり得る方を彼女は選択したかった。

 

「……、不正な行為は絶対に許さないから」

 

「勿論ですとも」

 

こうして、彼女は再び“賭け”に挑むこととなった。

 

「ルールは単純。私が貴女の肛門を生殖器で犯し、射精するまでに降参を認めなければ貴女の勝ち。しかし認めた瞬間、貴女は身も心も私のモノ。……良いですか?」

 

「魔力の使用は絶対に禁止。変な魔法とか使ったりすれば、お前の反則負けよ」

 

「心得ておりますとも」

 

彼女の忠告を聞き流すように了承すると、股間を露出させた。サイズとしては成人男性のそれとほぼ変わらない肉の棒が触れ、そのまま少しずつ体内へ侵入していく。

 

「うっ、くぅぅぅ…………」

 

「お……おおぉぉ…………」

 

段々と大きくなる異物感に耐えようとする彼女の呻き声が部屋に響く。出口を逆走してくる感触は不快だが、改造の影響か若干の快感もある。――否、実際には不快感よりも快感の方が数段と上であった。

 

「あぁ……、素晴らしい。貴女の身体は排泄器官でさえ、とても心地よい。熱くうねる肉の感触が愚息を包み込み、艶めかしく絡みつく。やはり至極の宝物だ」

 

「んっ、あぁっっ、気持ち……悪い」

 

過剰に思える感想を言葉にしながら、ゆっくりと腰を振ってイチモツで尻穴を穿る魔人。特に何と言うことも無いアナルセックスだが、投薬やら何やらの影響で感度が爆増した彼女の身体には強すぎる刺激が駆け巡る。

ゆったりとした腰の動きが故に、勃起した陰茎の詳細が脳へ鮮明に焼き付けられていく。

 

(駄目っ。こんなの耐えられない、今すぐ絶頂(イ)っちゃうっっ)

 

身体の奥から湧いてくる感覚に流され始め、勝負開始から数秒の内に彼女は絶頂しかけてていた。絶頂したら敗けというルールも無いため堪える必要は無いのだが、それでも短時間で果ててしまうのは彼女の尊厳が許せなかった。

 

「んぅっ、ふっっ、ぅぅっっ、ひぅぅっ」

 

「どうしましたか? 随分と声が蕩けていますが、もう降参ですか?」

 

「そっ、んな…わけっっ、んんっぅ! あっっ、あぁっっ、無い……からぁぁっっ」

 

強気な姿勢とは裏腹に、もう彼女の身体は限界を迎えようとしていた。魔人に手出しをされていないはずの肛門が震え、快感に耐えかねて男根を力強く締め付ける。

 

「おおっ、更に締め付けが強く……。とても気持ち良いですよ、聖天使オラクル」

 

「だ、まれぇっっ……。くっっ、ぅぅぅ~~っっっ」

 

必死に抵抗する彼女。だが、どれだけ取り繕っても心と身体は誤魔化せない。高まる興奮は激しい波となり、限界を迎える――はずだった。

 

「っ!? な、んで……」

 

勝負開始から凡そ一分、絶頂を覚悟した彼女の身体が快感で打ち震えることは無かった。強い刺激は今も感じており、性的興奮が治まったわけではない。むしろそれは高まり続けて、止まることを知らない。

限界を超えて増幅していく快楽に戸惑う彼女へ、魔人は腰の動きを止めて言った。

 

「貴女は絶頂なんて出来ませんよ、私が射精するまで永遠に」

 

「それ、どういう…………」

 

相手が発した驚愕の事実に驚くオラクル。漏れ出るように紡いだ言葉を遮って、魔人は更に続ける。

 

「私の愚息は特別な性質を有しておりましてね。交わっている相手と粘膜から快感を共有し、絶頂の瞬間を揃えることが可能なのです。これは魔法などではありません」

 

「っ、うそ……。そんなのって…………」

 

彼女に告げられたのは絶望的な真実だった。

ルシャンドラの陰茎は相手との快楽神経を繋ぎ、お互いの性的興奮を共有する。つまり彼女は二人分の快感を味わいながらも、相手が絶頂して射精するまで高められた快楽を発散させることが絶対に出来ないのだ。更に使用を禁止されている魔法とは違って本人の意思が関与しない体質による影響の為、ルール違反として糾弾することも叶わない。

彼女にこの地獄から抜け出す道は二つ。可能な限り速く魔人の射精を促すか、自らの敗北を認めるか――そのどちらかだ。

 

「それでは再開しますね」

 

「っっ! んあぁっっ、ぐっっ、おぉっっ!!」

 

目の前が真っ暗になるような衝撃的告白。しかし彼女には、ゆっくりと絶望していられる余裕など無い。すぐさま抽挿が再開され、快楽が更に積み重ねられていく。

 

「止めっっ、止めてぇぇっっっ! 壊れるっ……こわれっ、るぅぅぅっっ!」

 

「もう降参ですか? 降参すると言うのでしたら、すぐに行為を止めますが」

 

「っっっっ、そ…れは…………」

 

相手の言葉に彼女は言葉が詰まる。降参を口にするという事は、この賭けに敗けることを意味している。

答えに悩む表情を見て、ルシャンドラは怪しく微笑んだ。

 

「それではスピードアップ致しましょう。私もその方が速く射精出来そうですから」

 

「っ! ちょっと待っ――」

 

オラクルが止めるよりも先に魔人は腰を素早く引いて、勢いよくイチモツを根本まで叩き込む。

 

「んおぉぉォぉっっっっ!!」

 

その衝撃で彼女は顎を突き上げ、大きく仰け反った。本来であれば激しく絶頂しているような快感も蓄積されるだけで、解放されることは無い。

そんな凄まじいピストンはまだまだ繰り返される。

 

「お゛おぉぉぉっっっ、イグッっっ、イグぅぅッっっっっ! これぇっっ、止めてぇえ゛ぇぇぇっっっ!」

 

「降参を認めますか? 認めて下されば止めますよ」

 

「それは嫌ぁぁ、あぁぁっっ……」

 

脳髄まで染み渡るような甘い囁きを、辛うじて残っている理性が必死に拒む。それを受け入れた瞬間に彼女は自分を失ってしまう気がしたのだ。

しかし、降参を認めないならばまだ地獄は終わらない。

 

「お゛おぉっっっっっ、おぐっっっっ、んう゛っっ、い゛ぅ゛っっっっ」

 

暴れ回る胸の揺れを抑えながら彼女は猛烈な快楽に耐え続ける。肛門から送り続けられる刺激は既に許容範囲から溢れ、全身を淫らな肉悦で蝕んでいく。微風(そよかぜ)が肌を撫でるだけで興奮は高まり、もう相手が何もしなくても勝手に快感で喘ぐくらいには感覚神経が壊れ始めていた。

 

(敗けないぃっっ! 絶対にっ、降参なんてぇっっっっ)

 

鋼の意思でボロボロな身体に鞭を打ち、必死に奮い立たせる。どう考えても絶望しか無い状況の中、限界を何度も超えて我慢し続けるオラクル。明確なゴールが見えない悦楽地獄をひたすら漂う彼女は、それでも諦めようとはしなかった。

 

 

勝負開始から凡そ十分、溜め込まれる一方で満たされる事の無い肉欲が確実にオラクルの精神を少しずつ瓦解させていく。身体の芯から伝わり続ける熱と疼きに悶え苦しみ、逃れようと身動ぎすれば腰を掴まれて力一杯に引き寄せられた。

ゾリゾリと腸壁を擦りながら出ていくイチモツの感触で視界スパークし、臓器を抉るような勢いで捩じ込まれる亀頭の衝撃で意識が呼び戻される。これを高速で繰り返されれば、人間も聖天使も関係無く快楽奴隷に堕とされて仕方無いだろう。

 

「ああ゛ァぁっっっ、があぁっっっっ、ひぐっっ、ぅあ゛あ゛っっっっ」

 

身体の内側を削り落されているような感覚がもたらす、抑えようのない苦痛と快感。並みの聖天使であれば気を失い、とっくに屈服させられる程の仕打ち。

 

(私は敗けないっ、こんな物にぃっっ! 慣れて…しまえばっ……、この程度の男性器なん…てぇぇっっ!)

 

しかし聖天使オラクル――“天都(あまみやこ) 清蕾(せいら)”は持ち前の意地と尊厳によって、与えられる快楽に抗い続ける。いつ終わるか分からない責め苦の中でも、絶望には決して呑まれまいと希望の光だけを見ていた。

 

 

勝負開始から凡そ二十分が経過し、彼女が自分を律していた希望は段々と薄れていた。

一擦り毎に蓄積される快感は時間が経過するほど増大していき、一突き毎に与えられる刺激は更にその倍をいく。それもそのはず、絶頂出来ないまま積み上がる快楽刺激は彼女の性的興奮を否(いや)が応でも高め、それは肉体の感度を向上させてしまう。つまり射精されずに続く行為が長引けば、その分だけ彼女の脳へ送られる快感の信号はより大きく、強くなっていく。

 

「お゛ぅっ、うぁ゛っ、あ゛ぅっっ…あぐっ」

 

既に処理できる許容領域を突破した快楽は彼女の思考回路を著しく疲弊させており、反応はかなり小さく弱々しいものに変わっている。

その様子を見て、ルシャンドラは面目無さそうに溜め息を吐いた。

 

「やはり単調な性行為では貴女も飽きてしまいますよね。仕方ありません、自信は無いですが少しばかり工夫を凝らしてみましょうか」

 

そう言って彼女の両太腿を掴むと、回転を加えながらゆっくりとイチモツを引き抜く。

擦られる場所が変化したためか彼女の喘ぎ声に色が戻った気配が見える。

全体的にしっかりと纏(まと)わりついた愛液で照り輝いている肉棒に力を込め、彼は全力で叩き込んだ。

 

「ん゛お゛オぉぉっっっっっ~~~~~~~!!」

 

思い切り突き上げられた男根の先端が尻側から子宮を刺激し、朦朧としていた彼女の意識をはっきりと目覚めさせた。

その衝撃によるものか、秘部からは大量の分泌液が塊のように噴出して、膝関節が引っ切り無しに痙攣している。しかし、体内で快楽神経の全てが爆発したような衝撃を受けても彼女が絶頂することは出来ない。

 

「お゛……、おぉぉぉ……」

 

言語能力が麻痺してしまったのだろうか、オラクルは言葉を発せずに汚い呻き声を漏らしている。それだけ凄まじい衝撃を受けた事は間違い無い。

だが、意識は戻った。焦点の合っていなかった視線はしっかりとルシャンドラの顔を見据えており、その瞳には輝きがある。その眼が見ているものは変わらない希望か、仇敵に対する復讐か――。

 

「っ、嗚呼……。貴女はそうでなくては…………、意思の灯る瞳にこそ貴女の真の価値が宿るのです。濁り淀んで燻んだ眼など、私の求めた貴女ではない。強靭で清純で…何よりも美麗で、それでいて繊細な貴女を……そしてそれを映した瞳を私は愛でていたい」

 

自分を見てくれていると実感した魔人は気分が高揚し、なるべく彼女の意識が飛ばないように力強く丁寧な腰振りを心掛けた。それこそ割れ物を取り扱うかのような気持ちで、壊れてしまわないように慎重な愛情を注ぐ。

 

「どうか……私と供に添い遂げる事になろうとも、その瞳は無くさないで下さいね」

 

自身の陰茎を擦り付けながら、魔人はそんな願いを小さく呟いた。それは相手を慈しむ優しい口調であり、静かな狂気を孕んだ声色だった。

そんな彼の声は相手の耳に届く事無く、彼女自身の嬌声に掻き消される。

 

 

勝負開始から約三十分、処理しきれない程の快楽が蓄積され続けており、耐えがたい肉悦で思考が支配され始めていた。下品な喘ぎ声を漏らしつつ、思考することさえままならない頭の中で本能と理性とが鬩(せめ)ぎ合う。

 

「んほぉっっ、おごっっ、お゛おぉっ、んおぉっ、お゛お゛ぉぉっっ」

 

「よくぞここまで耐えましたね。途中途中で気を失いかけていましたが……、まさかここまで強靭な精神をお持ちだとは思いもしませんでしたよ。私の想像以上です」

 

「お゛ぅっっ、うぐっっ、んう゛ぅっ、お゛ぉっ、んぐぅっっ」

 

「さて、私もそろそろ射精我慢の限界が近くなって参りました。このまま耐え続ければ晴れて貴女の勝利です。この快楽を味わうことは二度と無いでしょう」

 

(っっっ!!)

 

「この快感を女性器で味わう事無く、普通の人間へと戻れます。辛く苦しい我慢も、あともう少しで解放されますよ」

 

この数十分間で規格外の快楽漬けにされた彼女にとって、その言葉はあまりにも効果的だった。人々を守りたいという正義感による理性も、圧倒的な快楽を求める本能だけは抑えられない。

これ程までに抑えつけられた快感が解放されたら、どれだけ気持ち良いだろうか。そしてそれを膣内でも味わいたい。このまま降参せずに耐えてしまったら、二度と経験出来なくなってしまう。

そう考えてしまった彼女には、もう理性など意味を成さなかった。

 

「降参っ、……降参しますっ! 今すぐに私を絶頂(イカ)させて下さいっっ!」

 

「おや、宜しいのですか? 今まで必死に耐えていたのに、あともう少しで普通の人間として生きていけるのに、降参してしまうのですか?」

 

「はいっ、降参しますぅっっっ! 今まで耐えていたのはぶっ飛ぶくらいに気持ち良くなるためだったのぉっっ。だから今すぐ絶頂(イカ)させてぇぇっっっ!!」

 

「…………そうですか、そういう事でしたら仕方無いですね。では存分に絶頂すると良いでしょう、……私と同時に」

 

涙ながらに肉欲を求める彼女の声。

不敵な笑みを浮かべルシャンドラは更に力強くイチモツを叩き込んだ。パンパンと弾ける音を鳴らして肉と肉がぶつかり、これまで以上の快感が身体中に蓄積されていく。

 

「んほぉぉっっ、はやくっっ、はやくぅぅっっっっ!」

 

だらしなく口を開けてよがり狂い、彼女は自らも腰を動かして肉悦を貪り始める。汗だくの身体が艶めかしく輝き、彼女の四肢がどんな宝石等よりも美しく魔人の眼には映った。

懸命に自分を求める表情と声。むせ返るような雌臭と熱気。それら全てが彼の性的興奮を一層高め、そして彼の陰茎を熱く滾(たぎ)らせた。

 

「さあ、射精(だ)しますよっ。受け取りなさい!」

「お゛っ、お゛お゛ぉぉぉォぉぉっっっッっっっっっっ!!」

 

魔人が一際強く男根を突き挿れた瞬間、彼女の腸内で精液が爆ぜる。灼熱の子種汁が勢いよく注がれると同時に、彼女の全身がのた打ち回り絶頂した。弓なりに仰け反った股間から噴水と見紛う程の潮を吹き、あらゆる関節を基点に細かい痙攣を繰り返す。

溜まりに溜まった性的興奮が満たされた解放感や達成感は凄まじく、記憶が全て吹き飛ぶ程に気持ちが良かったのだ。

 

「さいっ、こぉ…………」

 

恍惚(こうこつ)とした表情を浮かべ、色情魔の如き声を漏らすオラクル。

だが、それとは対照的にルシャンドラの表情は冷え冷えとしていた。

 

「…………嗚呼、残念です。貴女こそは至極の宝物だと思っておりましたが、所詮は只の雌に過ぎませんでしたか……」

 

彼の視線の先に映る彼女の眼には、勇ましい精神を映した輝きなど何処にも無かった。確かに行為の途中までは感じられていた美しさが、今の彼女に存在していない。

身体は艶めかしくも美しいまま。しかし何よりも重要な瞳の美は、そこに無い。聖天使オラクルは、彼が求めていた物ではなかったのだ。

 

「私は、聖天使オラクルに恋焦がれていました。彼女の美しさはその魂に、精神にこそ宿っていたものであり、宝石が霞む程の瞳に映されていたもの。それを失った貴女には、何の価値も無い」

 

魔人に屈服し、精液を受け取った為か彼女の身体や衣装が少しずつ変化していく。

白い翼は羽が抜け落ち始め、禍々しい角や尻尾が姿を見せた。段々と魔族へ変貌する彼女の肉体は、あらゆる男を誘惑するような色香を放つ。

だが肝心の彼女が虜になった相手は背を向けて立ち上がり、関心を無くした様子で部屋から出て行った。

 

「…………あれは兵士として活用するとしましょう。元が強力な聖天使だったのだから、戦力としては充分な活躍も見込める。……いや、人間の雄を魔界側へ堕とす肉人形として使うのも悪くないかもしれませんね」

 

魔人ルシャンドラは、快楽に堕ちてもなお精神の輝きを失わなず希望を抱き続ける――自身の理想的な聖天使(たからもの)を求め、魔界を再び旅立った。

部屋に独り残された聖天使オラクルは既に純朴そうな印象を受ける容姿から打って変わった、悍(おぞ)ましく邪悪で卑猥な雰囲気を纏う姿へ変貌を遂げていた。

 

 ◆ ◆ ◆

 

聖天使オラクル、もとい“天都 清蕾”が行方不明になってから半年以上が経過した。

彼女が最後に参加した戦いで仲間達は全滅し、天界はかなりの戦力低下を喰らった。しかし彼女達の活躍により市民や建物等の被害は最小限に留まり、死傷者の数に至っては二、三人で済んだ。

天界に住む女神にはそう伝わっている。どういうわけか、聖天使が同士討ちを始めた事を覚えていた人間が一人もいなかったため、そう解釈するしか無かったのだ。

 

「…………、清蕾……」

 

しかし一人だけ、その顛末を知る人物がいた。消息不明となったオラクルの親友、聖天使ミラクル――“西条 茜子”だ。

彼女は聖天使としての資質を奪われて人間界に戻された、例の事件の唯一の生存者。だが聖天使として戦う力を失った彼女は天界へ足を踏み入れることが叶わず、詳細な報告をすることは出来なかった。

 

「清蕾、今……どこで何をしてるんだろう」

 

人間界に帰ってすぐの頃は色々な事が起きて彼女も混乱していた。しかし時間が経って気持ちが落ち着き、ゆっくりと考えたことで整理がついた。

聖天使オラクルは仲間を裏切ったのではなく、何かしらの手段で操られていた。そして、その犯人は自分から資質を剝奪した張本人である例の幹部クラスの魔人。その魔人によって清蕾は追い詰められ、自分を人間界へ無事に返すため相手と取引をしたのだろう。

そこまで理解が出来た彼女は、大切な仲間だった友人の無事を毎日祈った。魔界から脱出して、今はどこかに隠れているのではないか思ってと探し回った日もあった。

しかし、姿を見る事は一度も無く今日まで時間は流れている。

 

「…………?」

 

友人がいなくなった学校から帰宅している最中、彼女は騒がしい声を聞いた。

人通りの少ない場所を歩いているのに、何があるのか。どこか遠くの方で揉め事でも起きているのだろうか。

確認するべきか迷い悩み、暫く考えた後に声のする方へ歩みを進める。好奇心も少しあるが、何よりも清蕾が関わっているかもしれないと直感的に思ったのだ。

 

「…………、っ!?」

 

舗装された道から外れ、かなり歩いた先にある静かな雑木林の中で声の主は騒いでいた。

そこには男が数人、誰かを囲んでいる光景が広がっている。それも男達は下半身を露出させており、酔っぱらっているのか変にテンションが高い。

 

(あれって…………)

 

しかし注目するべきは男達ではなく、彼らに囲まれている人物。

黒く大きな翼を生やして角や尻尾も見えるそれは魔族に違いなく、何より目を惹くのは尋常では無い大きさを持つ乳房だった。

――どうして魔族がこんな所にいるのか。彼らは何をしているのか。――

そんな疑問を頭に浮かべる彼女の耳に、彼らの会話が漏れ聞こえる。

 

「オラッ、このクソ魔族がっ! 家族の恨みを晴らしてやるッ」

「ほらほらもっと腰を振れよ馬鹿が、もっとマンコ締めろよ」

「下品なオッパイ揺らして気味わりぃ。チンコもずっぽりだぜ、これ」

 

その声を聞いて彼女は理解した。彼らは魔族の女性を辱め、強姦しているのだと。

止めさせるべきなのか、それとも無視するべきか。

自身の選択に悩む茜子。だが、彼女の脚は知らず知らずの内に動き、その異様な光景に惹き込まれている。

 

「涎(よだれ)垂らしてチンコを扱(しご)くんだよ、ほら。音も立てていやらしく」

 

「じゅぼ、じゅぶっ、じゅるるるっっ。ぐぽっ、ぐじゅう…じゅずっ、ずぞぞぞっ」

 

より近くに寄った彼女はその詳細を目にする。

魔族の女性は穴という穴にイチモツを挿入され、激しく腰を打ち付けられている。女性器や肛門、口だけに留まらず両方の乳首にまで逞しくも淫らな肉の棒が根元まで突き立てられていた。

 

「ったく、言っても分からんような阿呆にはこれが一番だろうなぁ」

 

「んぐぅ~~~~~っっ!!」

 

彼女の奉仕が気に入らなかったらしく、集団の中の一人が吸っていた煙草の先端を背中に押し付ける。凄惨(せいさん)な叫び声と共に煙が立ち上り、肉の焼け焦げるような酷い匂いが漂った。

 

(ひ、酷い…………)

 

いくら魔族だからと言って、無抵抗な状態の相手にする行為とは思えなかった。

こんな行為はすぐにでも止めさせるべきだと考えた彼女は、携帯電話の電源を点けて警察へ連絡しようと指を動かす。――と、その時だった。

 

「射精(だ)すぞ、オラッ!」

 

一人がそう言ったのを合図に、男達がそれぞれ精を放つ。魔族の体内は勿論、自分たちでイチモツを扱いていた者も精を放って柔肌にぶっかけた。

 

「んんん~~~~~~っっっ!」

 

口を塞がれている魔族のくぐもった声が周囲に響く。

自分の所まで届くようなきつい雄の臭(にお)いに嫌悪感を抱きつつ、茜子は止まっていた指を動かそうと視線を動かしかけた瞬間に変化は起きた。彼女と交わっていた男達が突然、奇妙な呻き声を上げて蹲(うずくま)ったのだ。

 

「っ、……?」

 

「おいっ、どうしたんだ!? 何があった!?」

「何かしやがったのかっ!? このクソ魔人がっ」

 

茜子も男達も、魔族の女に視線を向ける。この異変の元凶は間違い無く彼女なのだ。

周囲の人間が注目している中、その女は徐に口を開いた。

 

「私を犯して」

 

訊いた者の頭に自然と染み渡る声。

それが聞こえた時には茜子の思考にも変化が起きた。

――あの雌を犯したい。殴って、蹴って、辱めて。泣き叫ぶまで、……いや無様に泣き喚いたとしても凌辱の限りを尽くしてやりたい。――

ゆっくりと上げる女の顔は、どことなく嘗(かつ)ての親友であった清蕾に似ている。だがそれを気にする事は無く、茜子の脚はゆっくりと女の方へ吸い寄せられていく。視界の端で蹲る男達に角や尻尾が生え始めている事すら気にも留めず、魔族の女に向かって彼女は歩いて行った。

 

(あの子が…………、清蕾が呼んでる気がする……)

 

そんな風に感じた彼女の足は、もう止まらない。ぼんやりと薄れていく視界の中で親友の姿を見た彼女は声に誘われるまま身体を動かす。

そこからの記憶は、茜子には無かった。

 

 




磔にして肉体改造をする作品を描きたくて、好きなものを詰め込んでいったら癖が混ざり過ぎて統一感の無い感じになってしまいました。
次はもう少し落ち着いた展開と作風にしたいです。

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