※この作品はR-18です。

タンク系魔法少女 ~負けてからが本番!?~   作:にゃんたるとうふ

4 / 32
第四話

陽香を落ち着かせるにはメッセージだけでは足りず、通話をしてようやく誤解を解いて落ち着かせることに成功する。

しかし埋め合わせという意味を込めて週末の土曜日の夜からお泊り会を彼女の家ですることに決まり、学校で陽香は常に上機嫌だったとか。

 

そんなことがあった日から数日後の土曜日の朝・・・午前中は部活の朝練がある陽香のお見送りをした彼女は、午後まで暇を持て余しているところに絵梨からの連絡を受ける。

「時間があったら、ボウリングしに行きませんか?ついでに映像があれば貰いたいなぁ、なんて・・・」

後者の方が重要度が高そうだなと内心で考えながら了承の返事をした彼女は、前回と同じ待ち合わせ場所で絵梨と落ち合うと談笑しながらボウリング場へと足を運ぶのだった。

 

「あー・・・たしかに宵ノ世界にいる間は外部との連絡はできないですね、そういえば伝え忘れてました」

「んっ、それは別にいいんだけど」

ストライクを叩き出して悠々と戻ってきた絵梨は頬を掻きながら申し訳無さそうに告げ、彼女は気にしてないと示すように首を横に振りつつ返事をする。

「もしかして、時間の進みも違う?」

「あっ、そうですね!宵ノ世界での一時間は、こっちの世界では十分くらいしか経ってないんです!」

「やっぱり」

考えが合っていたことに納得の息を吐いた彼女は立ち上がってボウリングの玉を手にすると、ピンを倒すべく向き合って構えを取る。

「ふぅ・・・えいっ」

彼女は一呼吸置いてから球を放ち、その軌道は少し中心から外れてピンが二本残ってしまう。

「惜しい、次こそ・・・っ」

二回目の投げで倒しきれた彼女はホッと安堵の息を吐いて席に戻り、絵梨はそんな彼女に言いにくそうに頬を朱に染めつつ口をモゴモゴさせる。

「・・・映像、渡そうか?」

「っ!いいんですか!?」

思い当たる事柄について声をかけると合っていたらしく、顔を綻ばせて嬉しそうな声を上げる絵梨に彼女は思ったことを口にする。

「やっぱり絵梨って、ムッツリだよね」

「むっ、ムッツリじゃないです!ちょっとそういうことに興味が出てくる多感なお年頃なだけですよ!」

その対象が自身の敗北した映像であることに複雑な思いを抱きながらも、深く追求するのは控えて映像を絵梨のスマホへと送る。

「今回も前より長いですね、相手は狼・・・ですか?イヌ科の生物は射精が長いんですよねっ」

なぜそんなことを知っているのかという疑問が浮かんだ彼女だが、それよりもふと思い出した疑問を口にする。

「そういえば、私の特性・・・発動に時間差があるみたい」

「そうなんですか?・・・あっ、もしかしたら相手の強さで変わるのかもしれませんよ?」

「強さ?」

「はいっ!実は魔の者もそれぞれに特性を持っている個体とそうじゃない個体がいるんです、多分その特性が強い魔の者ほど冬華さんの特性である『魔素吸収』に時間がかかるのかもしれませんっ!」

絵梨の仮説になるほどと納得の頷きを見せる彼女は、幼いながらも鋭い洞察力と深い発想力を持つ絵梨に内心で舌を巻く。

「絵梨はスゴイ、さすが魔法少女だっただけはある」

「え?えへへっ・・・そ、そうですか?じっ、実はもう一つ考えていることがあって!やっぱり魔の者も一体一体違いますから、体液に含まれる魔素もそれぞれ違うと思うんですっ!具体的に言えば、精液も濃い・薄いがあると思うんです!」

「・・・一概に否定できない、けど大きな声で言うことじゃないよ?」

彼女の指摘にハッとして周りに顔を向けてから、注目を浴びていないことに安堵の息を吐く。

「さっ、さすがに周りも騒がしいですから・・・聞かれてることはっ「濃い・薄い、って何の話してるんだ?」――――ひょわっ!?」

安心しきったタイミングで声を掛けられた絵梨は腰が浮くほどの驚きを見せ、慌てて弁明しようと思考を巡らせながら振り返る。

「いやそのこれは、飲み物の話といいますかっ――――って龍鬼さんじゃないですか、驚かさないでくださいよっ!」

しかし座席の背もたれに手をついて声を掛けてきた人物が龍鬼だと気付くと頬を膨らませて不満を口にし、それを受けた龍鬼は笑みを浮かべながら軽い謝罪を口にする。

「悪い悪い、見知った顔が見えたからついな・・・それにしても元気そうでよかったよ、絵梨」

「むぅ・・・なんだかはぐらかされている気分です」

「冬華から話を聞いて心配してたけど、どうやら杞憂だったみたいだ」

「まぁ、魔法少女は息抜きみたいなものでしたから・・・そういう龍鬼さんは、一人でボウリングですか?」

絵梨の問い掛けにキョトンとした龍鬼は視線を後方へと向け、バツが悪そうに顔を歪めて後頭部を掻きながら口を開く。

「あちゃ~・・・入り口で立ち止まってるかも、ちょっと連れてくるわっ」

そう告げると小走りで出入口へと駆け出した龍鬼に、彼女は疑問符を浮かべて絵梨は呆れた表情を浮かべながら背中を見送った。

 

「突然走っていくからびっくりしましたよ、龍鬼」

「ごめんごめんっ!ちょっと知り合いを見つけてついさ、聖歌もそういうことあるだろ?」

「少なくとも、お連れさんを放置しては行かないですね」

談笑しながら歩み寄ってきた龍鬼の隣には色白の腰まで伸びた茶髪の混じった黒髪を揺らす少女が並び立っており、絵梨に気付くと微笑みを浮かべてその隣の彼女に気付くと眉間に皺を寄せる。

「ほら聖歌、前話した絵梨から力を引き継いだ新しい魔法少女の冬華だ。んでこっちがアタシたちと同じ魔法少女の聖歌だ」

「『名撫(めいぶ) 聖歌(せいか)』です、話は龍鬼から聞いています」

「・・・よろしく、お願いします」

先輩である龍鬼を呼び捨てにする聖歌も年上だろうと考えて敬語で挨拶をした彼女だが、口元は笑みを浮かべているのに目が笑っていないことに気圧されて視線を逸らす。

「聖歌さん、お久しぶりです!」

「えぇ、お久しぶり絵梨ちゃん。また少し背が伸びましたか?」

「成長期ですからっ、お二人もボウリングをしに来たんですか?」

「あぁ、勉強の息抜きにな!・・・どうせなら相席にしてもらうか、ちょっと店員さんに聞いてくるわ」

店員の元へと駆け出した龍鬼の背中を見つめていた聖歌だが突然振り返ると彼女に一歩近づき、困惑する彼女を尻目に両肩に手を置くと前のめりになって顔を近づける。

「貴女のことは龍鬼から聞き及んでいます、初対面で物怖じせず接してくれたとか・・・とても嬉しそうな表情で教えてくれました、しかし念の為に言っておきますが龍鬼はわたくしの伴侶となる方です。これはすでに決まっていることで計画も大詰めなのです、ですから決して出過ぎた真似はしないようにお願いしますね?たしかに龍鬼は魅力的で素敵な女性です、ですがだからといって貴女にはもう付け入る隙は無いのです・・・お分かりですね?」

「・・・・・・そもそも、そういう目で見てないです」

「龍鬼に魅力がないと言いたいんですかっ!?」

「えぇ・・・」

龍鬼に対する強すぎる愛を語りだした聖歌にその気はないと告げたはずが理不尽な理由で責められた彼女はドン引きし、絵梨に助けを求めるように視線を向けると困ったように眉を下げながら乾いた笑いを漏らす。

「あはは・・・聖歌さんは龍鬼さんが大好きで、近づく人には牽制の意味を込めていつもこうなるんです」

自身も一度されたことがあるため諦めた様子で声を漏らす絵梨から視線を前に戻した彼女は、瞳に怪しい光を宿す聖歌を何とか宥めようとどうにか言葉を並べるのだった。

 

「そうだったんですね、わたくしの早とちりでお恥ずかしい姿を見せてしまいました・・・」

「うぅん・・・もう、気にしてないです」

ようやく落ち着きを取り戻した聖歌の謝罪を耳にしながら疲労困憊の彼女は背もたれに全体重を預け、絵梨はお疲れ様ですと声を掛けながら飲み物を差し出す。

「んっ、ありがとう・・・」

「いえっ、私もその疲労は経験済みですから」

手渡された飲み物に口を付けて疲れた心を癒していると、店員との話を終えた龍鬼が戻ってくる。

「相席していいんだってさ・・・ってなんかあった?」

「何もありませんよ、龍鬼。そんなことよりボウリングを始めましょう?」

妙な雰囲気を纏う彼女と絵梨に疑問の声を上げた龍鬼だが、それを遮るように声を上げた聖歌によってその疑問は押し流される。

「そうだなっ、パーッと息抜きを楽しまないとな!」

「そうですね、ふふっ・・・♪」

元気な声を上げる龍鬼の姿を頬を朱に染めながら嬉しそうに眺める聖歌、そんな二人を見つめていた彼女はなぜか捕食者と被食者の対面のように感じていた。

 

一時間ほどボウリングを楽しんだ彼女たちは一旦休憩を挟み、お手洗いへと向かった絵梨と龍鬼を待つ間に聖歌が彼女へと話しかける。

「魔法少女になって日も浅いですから、何か困っていることはありませんか?先程は詰め寄ってしまいましたから、その謝罪ということで何でもお答えしますよ?」

「んっ・・・えぇっと」

最初に見せていた印象からガラリと変わって優しげな笑みを浮かべて尋ねてくる聖歌に、絵梨以外に伝えていいものか思案する。

「やはりまだ気にしていますか?すみません、どうにも龍鬼の事となると周りが見えなくなってしまって・・・ご不快な思いをさせてしまいましたよね」

シュンと落ち込んだ様子で沈んだ声を漏らす聖歌に、彼女は少しだけ視線を彷徨わせてから意を決したように口を開く。

「んと、その・・・実は自分の特性で、分からないことがあって・・・」

躊躇いがちに話を切り出した彼女に俯かせていた顔を上げた聖歌は、嬉しそうに微笑を浮かべながら彼女の話に耳を傾ける。

「私の特性『魔素吸収』、っていうんですけど・・・魔の者の魔素を取り込んで、自分の力に上乗せするもので」

「魔素を取り込む・・・それはなかなか、危険な特性ですね」

彼女の言葉に微笑みを浮かべていた聖歌は真剣な表情へと変わり、危険という部分に彼女は問いかけるような視線を向ける。

「魔素とは本来人にとって有害な物質なのです、魔法少女にはそれを退ける力が備わっているのは知っていると思いますが・・・稀に魔素を大量に体内に取り入れてしまい『魔素中毒』の状態に陥ってしまう方がいるのです、そうなってしまうと日常生活を送ることすら困難になっていまい・・・最悪、死に至るケースもあります」

聖歌の言葉に背筋に怖気の走った彼女は顔を青ざめ、そんな彼女を安心させるように手を優しく重ね合わせると微笑みを浮かべる。

「ですが安心してください、幸いにも私はその症状を和らげる特性を使った魔法が使えます。ですから正直に答えてください・・・魔の者と戦っている時、頭痛や吐き気・倦怠感などを感じたことはありますか?」

「そういうのは、無いです・・・えっ、ちな気持ちにはなりますけど・・・っ」

「はい?」

「あっ、えぇっと・・・これを見て、くださいっ」

柔和な笑みを浮かべていた聖歌だが予期していない返しだったのか怪訝そうに首を傾げ、見せたほうが早いかと考えた彼女はステッキを操作すると映像を聖歌に見せる。

「ふむっ・・・え、ひゃっ!?うそ、そんなっ・・・!ぇっ、えぇ・・・っ!?」

内容が進むにつれて顔の赤みが増していく聖歌はついには自身の手で顔を覆ってしまうが、指の間からしっかりと映像を確認して可愛らしい悲鳴を上げる。

「こんな感じ、なんですけど・・・」

「魔の者って意外と巨根、なんですね・・・は、初めて知りました・・・っ」

先程見たモノを思い出しているのか頬を朱に染める聖歌は、パタパタと手で熱を持つ顔を扇ぎながらそんな感想を呟く。

「それで、どうですか?」

「あんなモノで貫かれたらわたくし、死んでしまいまっ――――こほんっ!そ、そうですね・・・少なくとも貴女に関しては魔素中毒の心配はありません、別の心配はありますけど」

命にかかわることがないと知って安堵の息を吐く彼女を眺めながら、再度咳払いを挟んだ聖歌は真剣な表情を浮かべて口を開く。

「おそらく貴女の魔素吸収の特性のおかげで特殊な症状が出ているのでしょう、魔素を取り込みやすくするために性的興奮などを高めているんだと思います。いうなれば『魔素中毒・Hバージョン』っといったところでしょうか?」

「H?私がエッチになる・・・から?」

「いいえ、この場合は''発情・排卵状態,,のHですね」

「発情は、わかるけど・・・排卵?」

「だって映像の貴女はどこからどう見ても女の顔・・・いえ、どちらかというと雌の顔でしょうか?をしていますから」

聖歌の言葉に衝撃を受けたような表情を浮かべる彼女だが、薄々自身でも感じていたことを指摘されて頬を朱に染めて俯くしかできないのだった。

 

「いやぁ、遊んだ遊んだっ!いい気分転換になったよ、ありがとうなっ!」

「いえっ!私も龍鬼さんたちと久しぶりに遊べて楽しかったです!」

「んっ、楽しかった」

「わたくしはこの後も龍鬼と一緒にいますけど、お二人に会えてよかったです。冬華とも連絡先を交換できましたから、ふふっ♪」

ボウリング場を出てすぐに背伸びをしながらそう口にする龍鬼に、皆思い思いの返事をしながら帰路へと着こうと歩き出す。

「たしか冬華は午後から用事だっけ?じゃあ絵梨、この後一緒に昼食行かないか?」

「・・・ふふっ」

「嬉しいお誘いですけど、私もこの後用事があるので・・・(聖歌さんの目が怖いからなんて言えない・・・っ!)」

絵梨の返事に残念そうに唇を尖らせる龍鬼を宥めるために声を掛けようとした聖歌だが、それを遮るように独特のアラーム音が三つその場で鳴り響く。

「近いな・・・アタシが行く、二人はっ――――」

ステッキを確認してすぐさま動こうとする龍鬼の姿に少し残念そうに眉を下げる聖歌、その様子を眺めていた絵梨は彼女へと視線を送る。

「私が、行きます・・・お二人はこのまま、昼食に行ってください」

「いやいやっ、後輩に押し付けるわけにはっ――――」

「大丈夫ですっ!冬華さんはここまで魔の者との戦いで負けなしですから、お二人は安心して任せてくださいっ!」

「たしかに負けなし(意味深)ですね・・・」

「本当か?絵梨がそう言うなら・・・冬華、任せたぞっ!」

龍鬼の応援を受けた彼女は強く頷きで返し、マップに目を通して赤い点を確認すると先輩たちに会釈をしてからその場を後にする。

その際何故か絵梨も自然な流れで自身についてきていることに、彼女も龍鬼と聖歌も疑問に思うことはなかった。

 

「冬華さん、私の目配せによく気付いてくれましたねっ!嬉しかったです!」

「んっ、私もあの二人は一緒にいるべきだと思ったから・・・でも絵梨、なんでいるの?」

彼女と一緒に赤い点へと移動している絵梨の言葉に、肯定と共に自身の考えを告げつつ疑問を投げかける。

「あっ、ここに入り口が出来てますよ!」

彼女の言葉が聞こえていないように受け流した絵梨は赤い点の場所へと辿り着くといつもはない路地を指差し、彼女は話を受け流されたことに少しだけしょんぼりしながらも、視線を路地へと向けて頷くと一歩踏み出してから絵梨に声をかける。

「あとは私がどうにかするから、絵梨は用事に向かっていいよ?・・・もしかして、映像を貰おうとしてる?」

「えっ!?そそっ、そんなわけないじゃないですか・・・っ!そんなことより頑張ってくださいね、冬華さん!」

彼女の言葉に慌てた表情を浮かべながらも大きく手を振って走り去っていく絵梨に、彼女は苦笑しながらも路地に向き直ると一息吐いてから足を踏み入れた。

 

 

 

徐々に狭くなる道を抜けた彼女はステッキを構えて変身し、辺りを見渡しながら地形の把握をする。

「今回の廃墟は大きい、それに周りに柱が何本も建ってる」

視線の先には塔のように高く聳(そび)え立つ廃墟があり、それを囲うように何本もの柱が廃墟に負けない高さで建っている。

「魔の者の姿は、ない・・・少なくとも、外にはいない?」

廃墟の周りを警戒しながら一周した彼女だが魔の者の姿は発見できず、廃墟内にいると結論付けて中へと足を踏み入れる。

 

警戒しながら一階一階をくまなく調べていた彼女だったが、遂に屋上の手前まで来たが魔の者を見つけられずにいた。

「あとは、屋上だけっ――――」

階段を登って最上階である屋上に顔を出した彼女はその場を蹴って跳躍し、今までいた場所から抉るような破壊音を耳にしてステッキから刀身を作り出して構える。

「ようやく、見つけたっ」

「――キュルルルルッ!」

切っ先を向ける先には巨大な翼を広げて鳴き声を上げ、大きな二つの目をギョロリと自身に向ける黒い梟に似た魔の者が、悠々と空中を泳ぐように羽ばたいていた。

「(飛んでいるのは厄介、まずは翼を狙う・・・っ!)『シルバーバレット』っ「――キュルルッ!」――――くっ、ぁ?」

魔の者の正体を把握した彼女はすぐさま剣ではなく魔法を放とうとステッキを構え直したが、突如魔の者の双眼が淡い赤色に輝くと一瞬全身が倦怠感に襲われて力が抜ける。

「うっ・・・しっ、『シルバーバレット』っ!」

「――キュ、キュァッ!?」

抜けていく力を何とか振り絞って魔法を放った彼女に驚愕の鳴き声を上げ、間一髪で魔法を躱した魔の者は信じられないものを見る目を彼女に向ける。

「――キュルルッ、キュルァッ!」

しかし直ぐに気を取り直した魔の者は自身の周りに風を起こし、圧縮してバレーボールぐらいの大きさの風の玉を作り出して放つ。

「くっ、わっ・・・!」

力が戻った足をどうにか動かして風の玉を回避する彼女は、屋上の床を抉って風穴が空けていく風の玉を見て最初に受けた攻撃だと気付く。

「(どうにかして近付かないと、ずっとジリ貧のまま・・・っ)どうにか、撃ち落とさないとっ――――ぅあ?」

速さはそれほどでもないが連続で降り注ぐ風の玉に苦い表情を浮かべて突破口を見出そうとしていた彼女は、またも魔の者の瞳の輝きを目にして力が抜けてステッキが手から零れ落ちる。

「(しまった、早く拾わないと・・・っ!)はっ、れ・・・?」

床に転がったステッキを拾おうと視線を向けようとするが、吸い込まれるように魔の者の瞳から目を離すことが出来ずに困惑の声を漏らす。

「なん、で・・・目が、離せない・・・っ?(それに何だか頭がボーっとして・・・この感覚、特性が発動した時に似てるような?)」

「――キュルルルッ」

双眼を輝かせながら屋上に着地した魔の者はやっとかというように鳴き声を上げ、ゆっくりとした足取りで彼女の側へと歩み寄る。

「今がチャンス、なのにっ・・・(身体から力が抜けて・・・頭も、思考を乱されて・・・っ)」

「――キュアァッ!」

「う、ぁっ――――」

一際強くなった瞳の光を目の当たりにした彼女は糸が切れた人形のようにその場に倒れ込み、それを見下ろす魔の者は嘴(くちばし)を歪めて喜色の表情を浮かべていた。

 

 

~♡♡♡~

 

 

「んっ・・・んん、ここ・・・ぁっ!そうだ、私・・・魔の者にっ」

微睡む意識から覚醒した彼女は倒れる寸前の出来事を思い出し、勢いよく上体を起こすと額に手を当てながら思考を巡らせる。

「たしか、魔の者の目の光を受けて・・・それでっ「――キュル?」――――しまった、後ろに・・・っ」

思考の途中で鳴き声を耳にした彼女はすぐさま振り返ると対峙していた魔の者がおり、彼女は臨戦態勢を取りながら自身の取るべき行動に打って出る。

「貴方の、好きには・・・させないっ」

そう告げると足元に転がるステッキを蹴り飛ばし、自身の身に着けるスカートと白タイツを脱ぎ捨てる。

「これで、どう・・・っ?♡(まずは魔の者''様,,に敵意がないことを示して、私が従順な雌だとわかってもらわないとっ♡)」

両手を頭の後ろで組んで曝け出した恥部を見せつけるように腰を振る彼女は、魔の者の視線が自身に向いていることに悦楽の表情を浮かべる。

「私が貴方様の、雌だって理解してくれた?♡(私の身体を舐めるような視線で見つめてくれてる、このまま畳み掛ければ番として認めてもらえるっ♡)んっ、ぉほっ・・・ふっ、おぉ・・・っ♡」

愛液を撒き散らしながら下品な腰振りをして求愛する彼女の姿に興奮したのか、魔の者は排泄するための総排出口から少量の精液を垂れ流すと床に飛び散る。

「ぁっ、もったいない♡(けど今なら私にあの精液を恵んでくれるかも、なら善は急げっていうし・・・♡)」

飛び散った精液の匂いに口の中を涎でいっぱいにしながらも、舐め取るのを我慢してその場で仰向けになるとまんぐり返しの態勢を取って秘部を指で広げる。

「――キュルルッ!」

それを待っていましたとばかりに動き出した魔の者は、総排出口を彼女の秘所に擦り付けるようにして腰を下ろして精液を流し込む。

「んくっ、重っ・・・ひぁっ、あぐ・・・っ♡(まるで便器みたいに扱われて、無遠慮に精液を膣内に排泄っ♡こんなのすぐにイッちゃう・・・っ♡)んっ、わぷっ・・・おぉっ!?♡」

ゾクゾクと身体に走る快感に身を震わせていた彼女だがすぐ入りきらなかった精液が逆流し、身体を染め上げるように胸部や顔に降り注いできたことで潮を吹いて絶頂する。

「――キュルルルルッ」

もう入らないことに気付いた魔の者は腰を上げると少し離れて彼女を観察するように視線を向け、彼女は自身を包む雄の匂いに夢中で徐々に膨らむ腹部の異変に気付いていなかった。

「んっ、はぁ・・・臭っ、排泄物の混じったヒドイ臭いっ♡――――ぴぎょっ!?♡」

突如子宮に圧迫感を感じて悲鳴に似た嬌声を上げた彼女は、そこでようやく自身の腹部が膨らんでいることに気付く。

「なに、これっ・・・?♡もしかして、たまっ――――ごぉっ!?♡」

彼女が結論に辿り着くと同時にお腹の卵が胎動し、自身の意図に反して体外に出ようと子宮口を押し広げて膣内を進むのを感じる。

「ぁっ、待って・・・っ♡まだ、心の準備っ――――ぎょほっ!?♡」

彼女の意思とは関係なく体外に排出された卵の与える快感は想像以上で、思考を白く塗りつぶされた彼女は舌をだらしなく垂らしながら失禁する。

「――キュアァッ!」

そんな雌のことなどお構いなしに再び彼女に腰を下ろした魔の者は、膣内を精液で満たすために排泄行為を再開するのだった。

 

「んっ――――ほげっ!?♡」

二回目の産卵を意図せず行った彼女は意識を覚醒させると目の前に転がる卵が増えていることに気付き、さらには魔の者が自身に腰を下ろして総排出口を擦り付けている姿を目にする。

「ぁっ、あは・・・っ♡私、ママになっちゃった♡(これで魔の者様の番にしてもらえた、っということはもっと卵を産んで差し上げないと・・・っ♡)んくっ、ふぁ・・・っ♡」

再び精液を膣内へと流し込み始めた魔の者に、彼女は歓喜の笑みを浮かべて次の産卵を心待ちにするのだった。

 

 

~♡♡♡~

 

 

精液を注がれては卵を体外に排出するという産卵行為を幾度となく繰り返し、積み上がった卵の山を見つめながら彼女は恍惚とした笑みを浮かべる。

「え、えへへ・・・っ♡私の、赤ちゃん・・・♡」

「――キュルルッ」

そんな彼女の様子には目もくれずに卵の側に歩み寄った魔の者は、一つを嘴で摘(つま)み上げるとそのまま口に含んで噛み砕いた。

「えっ――――」

雄の突然の行動に呆けた声を漏らして思考を停止させる彼女は、二つ目の卵を噛み砕いて咀嚼する様を目にすると幽鬼のように立ち上がる。

「――キュル、キュルッ!キュアッ!?」

「私の赤ちゃんに、何してるのっ?」

ステッキを手元に呼び戻した彼女は静かに魔の者の背後に忍び寄るとその首を切断し、驚愕の声を上げて黒い靄へと霧散した魔の者をステッキが吸収する。

「っ、あ・・・れ?私、さっきまで・・・?」

魔の者を滅したことで支配されていた思考を取り戻した彼女は我に返ると、崩壊を始める宵ノ世界を確認すると視線を床に積み上がった卵へと向ける。

「貴方たちは、連れていけないの・・・ゴメンねっ」

悲しげに眉を下げながらそう呟いた彼女は、未練を断ち切るように視線を外すと足早に廃墟を後にし・・・宵ノ世界の出入り口の前で一度廃墟に振り返り、寂しげな視線を向けてから宵ノ世界から脱出するのだった。

 

 

 

元の世界へと帰還した彼女は周りに人気がないことを確認すると帰路に着き、自宅近くまで歩いたところで門の前に人が立っていることに気付く。

「あっ、冬ちゃーん!お出掛けしてたんだね、いないからビックリしちゃったよー!」

「んっ、ゴメンね。陽」

「んーんっ、気にしてないよ!それより、何かあった?」

心配そうな陽香の問い掛けに、軽く首を横に振った彼女は返事をする。

「大したことじゃないよ、命って尊いなって思っただけ」

「すんごく大したことありそうな話なんだけどっ!?とっ、とりあえずお家に入ろうよ!」

一旦落ち着ける場所に移動しようという陽香の提案に頷いて返した彼女は門を開いて玄関の鍵を開け、そこで不意に振り返った彼女はまっすぐに陽香を見つめて口を開く。

「あとで、抱き締めても・・・いい?」

頬を朱に染めて照れくさそうに告げる姿に、陽香は胸が高鳴るのを感じながら大きな頷きを何度も見せる。

「いくらでも抱き締めてくれて構わないよ!というか、いつでもウェルカムだよっ!」

「んっ、ありがとう。陽」

嬉しそうに頬を緩ませる彼女の姿に陽香も自身のことのように嬉しそうな笑みを浮かべ、手を繋いだ二人は彼女の自宅へと足を踏み入れるのだった。




名撫 聖歌・・・龍鬼と同級生の高校三年生。回復魔法が得意で、特性を生かして再起不能になった魔法少女の治療などを行っている。
龍鬼の家族や今後の進路についての外堀を既に埋めており、婚約と結婚式の準備も済ませているらしい。
お家がお金持ちらしい、エッチなことには人並みに興味あり。

攻撃   :E
魔法攻撃 :A
防御   :C
魔法防御 :B
素早さ  :D

特性『魔素消毒』・・・人体に有害な魔素を消毒・滅菌して取り除くことができる。



――魔の者(梟)――

攻撃   :E
魔法攻撃 :B
防御   :E
魔法防御 :E
素早さ  :C

特性『催眠瞳術』・・・瞳の輝きを見た者を操ることができ、常識や思考を操作することができる。



冬華が産み落とした卵・・・実は中に生命は宿っておらず、魔法少女の卵子と魔の者の精子を掛け合わせた複合物質が詰まっている。
これを食すことでステータスが向上し、更なる力を得ることができる。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。