大体原作通りにいった設定です。
冬休みが終わった学園の三学期。ちょっとした事件があって休校になった昼過ぎの学園を歩いていた僕は何度か騎士団の人とすれ違った。今学園で起きている事件の捜査のためだろう。ご苦労様だ。
三年生はそろそろ卒業の時期だし内定が決まってるって言ってた姉さんも騎士団の仲間入りかー、でもしょっちゅう休校になってるけど大丈夫かなー、もしかして騎士団の仕事を手伝ってるのかなー、と呑気に考えていたらトボトボと俯いて歩いてくる黒髪の女生徒を見つけた。
「姉さんだ」
いつもなら隠れてやり過ごす状況だが、冬休みの約束をすっぽかした折檻は既に受けたので姉さんに対する負い目はない。そんな訳で僕は姉さんに声をかけた。
「どうしたの姉さん、落ち込んでるみたいだけど何かあったの?」
「……シド」
もっとお姉ちゃんを心配して何があったかまで察しなさい、とか言われたら逃げようと身構えていた僕はぎょっとした。
姉さんが涙目になっていた。
「どうしよう……お姉ちゃん、シドを騎士団に入れてあげられないかもしれない」
「いや、僕は別に騎士団になるつもりは――」
「話を聞いてくれるわよね?」
首根っこを掴まれた僕は抵抗することもできず姉さんの部屋に連れていかれた。
♦♦♦
姉さんの部屋は魔剣士を目指している人特有の内装だった。訓練用の木剣が壁に立てかけられ、本棚には剣術の指南書や魔力操作理論の教本が所狭しと並んでいる。でもやっぱり女子らしくミツゴシの化粧品や嗜好品も集めているらしい。流行も追ってるのかナツメ先生の本もちらほらと見受けられる。
部屋を見渡しながら僕は出されたミルクティーをすする。隠し味でも入れてるのか僕が知ってるミルクティーより甘い気がした……どこかで飲んだ気がするのは気のせいかな。机の上に広げられた魔法陣が書かれた本とか鋼の首輪とかは見て見ぬふりをしておいた。心の病は気にしてあげるのも優しさだけど、姉さんのはスルーしてあげるのが優しさだ。
「さっきね、偶然騎士団の採用担当の人を見かけたの」
「へー」
姉さんは優等生だしブシン祭でも優勝してる。近衛騎士団の団長と親しくなる機会があったとか言ってた気もするし、採用担当の人と顔を合わせる機会もあったんだろう。
「秋休みに『血の女王』を討伐しに行ったのは覚えてるわよね? アンタのために行ったんだから」
「も、もちろん」
危ない、そういえば無法都市に行ったのはそのためだった。僕に手柄を立てさせて騎士団にねじ込むとか。他に大きなイベントがありすぎてどうして無法都市に行ったのか忘れてたよ。
僕を鋭い目で睨みつけていた姉さんだったが、一転して深刻そうな顔で口を開く。
「アンタはろくに活躍してなかったかもしれないけど、お姉ちゃんはやればできる子って信じてるから。私の分の手柄も入れて報告しておいたの」
「余計なおせ――そうなんだ」
「だからシドが卒業するときに騎士に採用されるかどうかを聞こうとしたのよ……」
そこで姉さんは一旦話を止めた。徐に立ち上がると机の方に向かう。騎士団に入るつもりが全くなくて話を聞き流していた僕はそれをスルーし、ミルクティーを最後の一滴まで飲み干すべくカップを傾ける。
その動きについ連動して顎を上げた僕の首にガチャッ、と冷たい何かが嵌まった。それが首輪だと認識すると同時に僕はぐいっと引っ張られる。
踏ん張ることもできずに鎖を持つ姉さんの方へ引き寄せられた僕はベッドの上でマウントポジションを取られてようやく気付いた。僕に嵌められた首輪、魔封の効果がついてるって。
同時に思った。あれ、これやばくね?
「その人は独り言でこう言ってたわ。『貴族の男で童貞ってダサすぎる。童貞卒業してる奴じゃないと面接で落とす』って。そのためのアーティファクトもあるって」
「待って。それは流石におかしくない?」
「なに? お姉ちゃんが嘘ついてるとでも?」
騎士団に童貞が一人もいないとかありえないでしょ。年下の婚約者がいてその人に操を立ててる男はどうするの? その理屈で言ったら女の人も似たような条件で落とされるし無茶苦茶だ。特に童貞かそうじゃないか見抜くアーティファクトがあるってくだりが特に!
姉さんが嘘をついてないとしても、その独り言が冗談の可能性だってある――そこを突っ込もうとしたら鎖を引っ張られて無理矢理黙らされる。
「独り言が嘘じゃない保証もないもの。それに……シドのここもやる気満々じゃない」
「えっ」
「私のお尻に硬くて熱いのが押し付けられてるのよ」
姉さんが軽くお尻を振る。すると僕の息子に左右から押しつぶすような柔肉の感触が与えられる。嘘だ。姉さんが美人とはいえ血の繋がった家族に欲情するはずが……。
「アレクシアにもらった媚薬、効果抜群ね。王家も御用達のミツゴシ商会の名前は伊達じゃないみたい」
道理で知っている味な訳だ。僕の脳裏で姉さんと同じくらい苛烈な王女がにこやかに手を振った。笑顔はとても黒かった。
ヤバい。沢山の女の子に手を出して(出された数の方が多い気がする)きたけど姉さんはヤバい。姉さんでもいいから欲望を吐き出してスッキリしたいと考えている自分がいるのがヤバい!
姉さんの前で魔封の効果を破るわけにはいかない。使う前にちゃんと効果を確かめてるだろうから不良品だったって嘘は通用しないだろうし、媚薬のせいで魔力がそこまで上手に操作できない。
こうなったらどうにか言葉で説得しないと! 唸れ陰の叡智! 僕のズボンに手をかけてる姉さんを止めるんだ!
「姉さん、駄目だよ、姉弟でこんなこと……」
「弟の面倒を見るのは姉の義務だからいいの」
「もしバレたらどう言い訳するつもり?」
「精力剤を間違えて飲んだから魔封の首輪をつけて拘束したけど、苦しそうだったから解消を手伝ったって言うわ。駄目そうならアンタはこの首輪を着けられて抵抗できなかったって言いなさい。責任は私が取る」
「姉さんに本当に好きな人ができたらどうするの?」
「処女かどうかで女を選ぶような男、こっちから願い下げよ」
駄目だ、覚悟が決まり過ぎてる。というか姉さん、正気を失いかけてる気がする。瞳の色がヴァイオレットに変化してるし。
「そもそも私が相手は嫌? お姉ちゃんのこと、美人って褒めてたのは噓だったの?」
「嘘じゃないよ」
「まさか……もう経験済みとか言わないわよね? お姉ちゃんに紹介もしないで」
「う、うん」
「じゃあ天井のシミでも数えてなさい。全部、お姉ちゃんがやってあげるから」
とうとうズボンから陰茎が取り出される。言い訳を許さないかの如くそそり立つ肉棒……姉さんともシたいと心のどこかで思っていた時点で僕はきっと詰んでいたのだ。
♦♦♦
童貞を卒業させるだけだし、服を脱いでたらその隙に逃げるでしょ。姉さんはそう言って服を脱ごうとしなかった。僕は容赦なくひん剝かれて全裸にされた。
「……ッ」
しばらく僕の身体を眺めたりペタペタと触っていたが、股に擦り付けられるような形で勃起している陰茎がピクピクと震えて布越しに蜜壺の入り口に当たると意を決したかのように自分の股へ手を伸ばした。
股の割れ目が薄っすら浮かんでいるタイツに二本の指を立て、左右へ引っ張る。それだけで漆黒の布は破れ、秘部を隠す最後の一枚である純白のパンツが露になる。
姉さんは下着にも手をかけ――ヌチュッと水音がした時は動きを止めて、顔を真っ赤にした。そういえば姉さんも媚薬は飲んだのだろうか。僕でも無効化できない代物を服用したらすごいことになってそうだ。
僕の予想への答え合わせのように白い布地が横にずれることで姉さんの秘部が曝け出された。生臭い発情した臭いとパンツと繋がる粘度の高い汁が男の逸物を受け入れる準備が終わっていることを伝えてくる。
「……力を抜いてなさい……挿れるわよ」
最後の一線を越えるのは一瞬だった。
秘部から滲み出た淫蜜をまぶされた亀頭が
膣内は通り抜けるだけでうねる柔らかさと快楽を与えてきた。奥まで辿り着くと蕩けそうなほど熱く、甘い熱を帯びた膣肉が陰茎を包み込み、安らぎにも似た心地よさを味わってしまう。
僕はみるみるうちに脱力していった。血の繋がった姉と交わり、犯されている――その事実が背徳的な悦びを齎し、腰の奥にある熱を吐き出してしまいたいという欲求を増大させる。
「よし、じゃあ、腰を動かすわ。すぐに出しちゃだめよ……んっ」
破瓜の痛みで動きを止めていた姉さんが身体を弾ませる。始まった腰振りは僕のお腹に手をつきながらの軽いものだったけど、膣内にある柔突起が亀頭やカリ首ににゅるにゅると擦れる感触は、うっとりするほど気持ちいい。
更に姉さんの膣肉が締めつけては緩めて、陰茎を艶めかしく揉みしだいてくる。奥の方では子宮口が触れるたびに吸い付き、独特の触感を楽しませてきた。
「はっ、は……んっ、しっ、シド、これ、だめ……んぐっ、姉弟で知っちゃったらだめなのぉ……あんっ、はっ、あぁっ!」
余裕なく喘ぐ姉さんの顔。そうしているのが僕のモノだと思った途端にぞわぞわとした快楽とともに放出感が沸き上がり、腰がぶるっと震え――。
「――ン、ンンンンァアアアン!?」
どくっ、どぴゅっ……そんな音がしそうなくらい大量の精液を姉さんの中に出していた。射精によって吐き出された白濁液は姉さんの子宮を白く染め上げながら、子宮を内から叩く衝撃で彼女をよがらせる。
「あっつ……」
嬌声を上げてしまった口を咄嗟に押さえた手を外した姉さんはそんなことを呟きながら僕の顔を見つめた。どこか焦点の合わない目をしたまま、徐々に顔を近づけてくる。
が、はっとしたように顔を離した。そのまま僕に嵌めていた首輪を外し、結合部から滲み出ていた血と精液をハンカチで拭ったと思えば、腰を上げて放出を終えた陰茎を解放する。
「これでシドも童貞卒業ね。お姉ちゃんは身体洗ってくるから掃除しておいて」
身だしなみを整えると僕の方を見ないまま部屋を出て行った。
抜けた陰茎は媚薬のせいか僕の精力のおかげかまだ硬いままだった。え? まさか不完全燃焼のまま放置? 姉さんなら勃たなくなるまで面倒見てくれると思ったのに――。
♦♦♦
『媚薬を盛っておいて放置はひどいんじゃない? 一回だけするんじゃ男の人にとって生殺しも同然よ……昔読んだ書物にそう書いてあった気がするわ』
誰もいない廊下にクレアの足音だけが響いていく。すぐ傍から話しかけてくる長い黒髪に鮮やかなヴァイオレットの瞳をした深い紫のドレスをした美女の姿も声も自分しか認識できないと知っているクレアは無視して歩き続ける。いつも話しかけては無視される二人の立場は逆転していた。
寮の空き部屋に入ったクレアは扉の前で座り込むと、頭を抱えて思いっきり息を吐く。
「……明日からシドにどんな顔して会えばいいのよ~」
ヤることヤって少しだけ冷静さを取り戻したクレアは先ほどの情事を思い出す。
騎士団が童貞なら入団させないと言っていたなんて嘘っぱちだ。仮に本当にそんなことがあったらクレアは内定を蹴るし、シドを入団させたりしない。純粋な弟を騙して襲った事実がクレアの良心を責め立てる。
「私ってこんなに性欲強かったかしら……」
無法都市から帰ってきてから身体はおかしくなった。自分だけに幽霊が見えるようになるわ、右手に魔法陣が刻まれるわ、その右腕が突発的に疼くわ……でもこれはまだ我慢できる変化だった。
お腹が疼くようになった。友人である吸血鬼のメアリーが聞けば怒るかもしれないが、まるで吸血衝動のよう。身体を動かしたり、自分で慰めたりしてどうにか我慢していたのだが……弟を見た瞬間にひと際強い衝動が来た。その場で押し倒さなかったのは奇跡に近い。
ブラコンの自覚はあった。でも、今回は姉弟で超えてはいけない一線だった。自分の欲望への弱さに自己嫌悪が止まらないクレアに幽霊――アウロラが話しかける。
『吸血鬼の症状ね』
「えっ?」
『覚えてるかしら。無法都市で「血の女王」の攻撃を受けたこと』
忘れるはずがない。あの時の出来事がクレアに特別な力が眠っていることを気付かせたのだから。
『その時に説明したと思うけど、クレアは適応して吸血鬼の力を持ってるの』
「……聞いてないんだけど?」
『……そうだったかしら?』
可愛らしく首を傾げるアウロラをクレアは殴りたくて仕方なかった。
『手に刻んだ印とシャドウの光で気にする必要はなかったのだけど……私が貴女の身体を動かしている内に問題が出たみたい』
「人の身体で何してくれてるの!?」
『仕方ないでしょ。貴女じゃ勝てない敵が何度か襲い掛かってきたんだから』
そう言われると何も返す言葉がない。無法都市から帰ってきてから周囲で何度か不穏な事件があった。どれも裏社会の人間が死んだというものだったが、クレアでは勝てない強者ばかりだった。
「それで、私に起きてる問題は?」
『吸血衝動。でも貴女は吸血鬼じゃないから血は欲してない……代わりに男性の精液を求めてるの。他人から摂取できる魔力がたっぷり詰まったものを……ね』
彼が教えてくれたサキュバスかしら――そんなアウロラの声はクレアに聞こえてなかった。
「じゃあ何? これから私は吸血衝動が来るたびに誰彼構わず股を開くことになるの? そんなのいやっ!」
『うーん、股は開かなくていいと思うけど』
「え!?」
既に脳内で数えきれない男と肌を重ね、こんな汚れたお姉ちゃんを見ないでシド――そんな悲惨な未来を想像していたクレアの目が点になる。
『別に精液を性器で受け入れなきゃいけないなんてことはないもの。むしろそうしたくないから口ですると思っていたのに貴女、弟さんを犯したんだもの。びっくりしちゃったわ』
「……」
みるみるうちにクレアの頬が赤く染まる。耳まで真っ赤だ。
(アウロラが嘘を言ってないなら、私はシドになんてことを――)
『というかまだ衝動は治まってないのにどうしてやめたの? 一回しちゃったんだから最後まですればいいのに。彼も許してくれると思うわ』
「……あれ以上しちゃったら本当に歯止めが利かなくなりそうだったのよ」
肌を触れ合いさせたくなる鍛えられた肉体、破瓜の痛みを消し去るように自分の膣肉をかき分けてくる肉棒の雄々しさ、孕ませようとしてくる精液の熱さ。自分で慰めるよりも深い快感。
キスしそうになるのも我慢した。危険日じゃなくてよかった、ではなく、危険日じゃなくて残念と考える自分がいた。だから、理性を失う前に急いで逃げた。
トロリと膣から垂れてきた弟の精液を指ですくう。ハンカチで拭うのではなく口に含むと、苦さと青臭さが広がるが、嫌とは思わなかった。
「『童貞を卒業させる』って理由を越えたら駄目。私はシドのお姉ちゃんだから」
クレアは寂しそうに笑った。
『……結局どうするの? 完全に衝動を押さえないと誰彼構わず襲っちゃうわよ』
「……それは」
知りもしない男の精液を体内に受け入れるなんて嫌だし、そのために奉仕するなんて考えたくもない。でもこれ以上シドに迷惑をかけたくないし、どうすれば――。
『――仕方ないわね。私が悪者になってあげる。身体を動かすだけの魔力は補給できたし』
「え?」
アウロラのそんな声が聞こえたと思ったら彼女の姿が薄れ始める。
いや、違う。彼女の姿が消えていくんじゃなくて自分の意識が――。
『精液は一回吸収して、タイツも脱いでっと……彼に恩返しもしたかったし丁度いいわね』
そんなアウロラの言葉を最後にクレアの意識は途絶えた。
♦♦♦
「お久しぶりね」
「え? ヴァイオレットさん?」
放心状態だった僕がいた姉さんの部屋がノックもなしに開かれる。姉さんがいなくなって五分も経っていないのですわ姉さんの同級生か!? と起き上がろうとしたら現れたのはヴァイオレットさんだった。安心して身体を横たえる。
「どうしてここに?」
「最近貴方の近所に引っ越したの。時間が取れたからその挨拶に」
なるほど。近所に引っ越したのか。
学園に侵入していることは特に驚かない。ベアトリクスより強いこの人なら学園のザル警備なんて余裕で突破できるだろう。僕も集中して探らないと見つけられないくらい気配を消すこともできるし。
でも気になることはある。
「どうして学園の服を着てるの?」
「学園に通ったことがなかったから一度着てみたかったの。似合ってる?」
今の彼女は僕が初めて出会った時に着ていた黒いローブと深い紫のドレスではなく、学園の制服を着ていた。似合っているかと言えば……正直、エッチなコスプレにしか見えない。サイズが合ってないのだ。
制服のサイズは姉さんが着ているのと同じだけど、ヴァイオレットさんはスタイルも身長も姉さんより大きい。ボタンが外されて柔らかそうな谷間が見える胸元は窮屈そうだし、短いスカートからは真っ白な脚が惜しげもなく晒されている。
とはいえ神秘的なエルフとは異なる芸術的な美貌を持っているので見れないことはない。
「よくそんな恰好で来たね。聖域だとスカートをめくろうとしただけで恥ずかしがったのに」
「……貴方だって人に言えるような恰好じゃないくせに。聖域の時みたいに下半身丸出し」
頬をむくれさせたヴァイオレットさんに言われて気付く。
そうじゃん、アホなのか僕は! 学園の人じゃなくても知り合いに見られたら不味いじゃないか今の状況! ぱっと見、姉さんの部屋で自慰行為が終わった後だよ!
また恥ずかしい恰好を見られてしまった、急いで服を着ないと、まだ勃起してるけどズボン履けるか? いや、それよりも自慰行為してたと勘違いされるならいい。姉さんとセックスしたことはバレないようにしないと――。
「血の繋がった家族と子作りしちゃうなんて……貴方っていけない人ね」
――終わった。
血の気が引いていくのがわかる。身体を動かす気力が根こそぎ奪われた感じだ。それでも大きいままの息子がとても恨めしい。
「あら、言い訳しないの?」
「もうバレてるんでしょ……何でもするんで言わないでください」
楽しそうな声で話しかけてくるヴァイオレットさんの顔が見れなくて、思わずそんなことを口走ってしまう。ヴァイオレットさんの性格的に言いふらさないと思うけど、ついうっかり口を滑らせそうな感じもするので、何が何でも口止めしないと。
「何でも?」
「何でも」
「へぇ……それじゃあ、今から私がすることを全部、受け入れてね」
ヴァイオレットさんが近づいてきたと思ったら、僕の足元で止まった。何をするんだろうと天井をボーっと眺めていると、
「れろっ」
「ひぅっ」
思わず変な声を出しながら腰を跳ねさせてしまう。射精して数分しか経過しておらず、まだ敏感な陰茎の先端が舐められたのだ。頭だけ上げると、僕の陰茎を舐めたであろう舌で舌なめずりするヴァイオレットさんの顔が見えた。
まるで獲物を丸呑みする蛇みたいだと思った。
「まずは綺麗にしてあげる……あーん」
「ちょっ、ちょっと……あぅぅっ」
ぱくりと。姉さんの愛液と僕の精液で汚れても衰えを知らない陰茎をヴァイオレットさんの口が咥え込んでいた。一瞬本当に食べられたかと思った。
直後、陰茎が温かくてぬるぬるした粘膜に包まれる。口を下品に窄めながら行われた口淫の快楽は凄まじく、ねっとりとした動きで竿からカリ首の間を上下に扱き、舌がねちっこく亀頭を舐めまわしながら鈴口をちろちろと穿り回す。
そんな刺激に耐えられるはずもなく、
「で、出るっ」
「んぶっ――んふ、ごきゅっ……こくん」
跳ね上がりそうになる腰を押さえられながらの射精。精液は出るそばから一滴残らずヴァイオレットさんの口内で受け止められ、彼女は吐き出されたそれを喉を鳴らして飲み干してしまう。
「うふふ、初めてやったけどどうかしら? 気持ちよかった?」
「……」
「よかった。恩返しをしたかったけど、私は金貨の一つも持ってないし、強さも貴方には及ばないから身体で払おうと思ってたの。ちゃんとお返しになるみたいで嬉しいわ」
先端に吸い付いて残り汁まで飲み干してからようやく口を離したヴァイオレットさんの問いに僕は答えることができず、ただ頷くしかなかった。恩返しって何のことか聞く余裕もない。
「お返しにならないならやめてたけど、続きをするわね」
「……えっ」
ぱさり、と床に布切れが落ちるような音がしたと認識すると同時に、仰向けの僕の上に柔らかくて温かいものが跨ってくる。それはいつの間にか服を全部脱いだヴァイオレットさんで、妖艶な笑みを浮かべた彼女は僕の陰茎を指で支えながら、ゆっくりと腰を落としていった。
柔らかな感触と温かなぬめりが先端に密着し、次の瞬間――溶けてしまいそうな快感が股間全体を包み込んだ。
肉壁にびっしりと備わった肉ヒダ。比喩抜きで一枚一枚が独立した動作でうねり、亀頭やカリ首が責め立てられる。奥に進むほど快楽は強烈になっていき、陰茎が根元まで蜜壺に挿入されたとき、僕の頭の中は薔薇色に染まっていた。
どぐっ、どくっ、とぷっ――激しい脈動とともにヴァイオレットさんの膣内に精液が注ぎ込まれていく。挿入されて十秒にも満たない射精だった。
「あらあら? もう出しちゃったの? 私のお尻も掴んじゃって」
挿入するときの艶やかな笑みではなく困ったような笑顔を浮かべたヴァイオレットさんが頬に手を当てながら首を傾ける。そう言われて僕は衝動的に彼女の臀部を掴んでいたことに気付く。淫猥にお尻を歪めた指先からはしっとりした肌の感触と心地よい柔らかさが伝わってくる。
拒否されないことに甘えてお尻と膣内の感触を楽しんでいると、ヴァイオレットさんの笑顔が変わった。今度はいたずらっ子のような笑みを浮かべ、空気を切り替えるように手を叩く。
「はい、これで一旦恩返しはおしまい。ここからはお仕置きの時間」
「お仕置き?」
「そう、お仕置き」
僕の乳首をかりかりと軽く引っかきながら応じるヴァイオレットさん。まさかこれがお仕置きだろうか?
「貴方は気持ちよくなるためにた~くさん無駄撃ちして、避妊もせず中出しもい~っぱいしてきたでしょ? 私、結構怒ってるんだから」
「……ごめんなさい」
どうして彼女がそんなことを知っているんだろう? そんな疑問が浮かんだけど先に謝っておく。彼女の言ってることは正しいし。
とりあえず謝るとヴァイオレットさんは体勢を変えた。今までは膝立ちのような形で跨っていたのを、蟹股に変えたのだ。そうなればスカートがめくれ上がり、結合部がしっかりと見えるようになる。
そこでヴァイオレットさんの膣内が一瞬蠢いた。体勢を変えたせいかな、と考えた僕に彼女は信じれないことを口にする。
「ちょっと排卵してみたわ。ここからは気持ちよくなるための交わりじゃなくて子作り……確実な避妊対策もしないでセックスなんてしたらどうなるか教えてあげる」
「は、排卵? たった今? エロゲーでもないのにそんなことできるの?」
「えろげーが何かはわからないけど、私は血を操ったりできるの。自分の身体のことならお茶の子さいさいよ」
Vサインをしてくる、可愛い……じゃない!
「こ、子供はまずいよ! 僕、まだ学生だし、そういうのは結婚してから――!」
「あらぁ? 年下の子も年上の子も、身分も種族も関係なく孕ませているのはどこの誰かしら?」
なんでバレてるの!? このままじゃまずい。そう思って逃げようとしたけど無駄だった。ま、魔力がヴァイオレットさんを跳ねのけるほど残ってない!
「さっきの射精と一緒に魔力は吸わせてもらったの……それじゃあ、始めるわ」
――そこからのセックスは本当に『お仕置き』だった。
ヴァイオレットさんを跳ねのけようとした手は恋人のように指を搦めてつなぎ留められ、彼女が僕の上で胸を魅惑的に躍動させながら激しく上下に踊る。艶めかしい笑みを浮かべる彼女の腰振りによって僕の陰茎は徹底的に扱き抜かれた。
強烈な快楽に嬲られた僕は精を吐き出してしまう。妊娠させてしまうとわかっていながら子種を注ぎ込んでしまったのだ。
「もし結婚するなら子供は何人ほしい? 私は一人っ子だったから弟妹は沢山いた方がいいわよね。あっ、お姉ちゃんって呼んでみてくれない?」
休む暇もない。
まるで感じていないような平然とした様子で、豊満な胸を僕の胸板で押しつぶしながらそんなことを言ってくる間もヴァイオレットさんの腰裁きの激しさは増していく。陰茎の先端は子宮口に吸い付かれ、竿は膣肉が甘く絡みつくように密着している。そんな状態で行われる腰振りは極上の快楽を齎してきた。
どくっどくっと尿道から迸る大量の精液が吸い上げられる。子宮口を通じて注ぎ込まれた子種は彼女と僕の遺伝子を引き継いだ卵となり、子宮にしっかりと着床する準備を始めた。
「このままだとクレアに悪いかしら……ここからはお詫び。好きにしてくれていいわよ」
ヴァイオレットさんが姉さんの姿になってからは僕が彼女を犯した。どうして姉さんの姿になったのかを考えることもせず姉さんの身体を貪った。
駄目だとわかっているのに、耳に入る艶やかな喘ぎ声が僕の腰を突き動かす。姉さんの顔を快楽に蕩けさせるために膣内をかき混ぜる。
「あっ、あんっ、はっ、シド……きてっ……お姉ちゃんのナカに、いっぱい……!」
子宮を押し潰す勢いで腰を叩きつけ、彼女に腰を脚でホールドされながら射精する。
姉さんの顔をしたヴァイオレットさんとキスをした後も、肌の重ね合いはしばらく続き――。
「うふふ、寝顔は可愛らしいのね」
眠ってしまったシドの顔をアウロラは愛おしそうに眺めている。魔力も精液も搾り取られた彼は当分起きないだろう。
今いるのはクレアの部屋ではなくシドの部屋。茜色に染まる空を見てそろそろ他の生徒が帰ってくるから場所を移したとかではなく、性交の体液でベッドがびしょ濡れになったのと部屋に籠る臭いが嫌になって場所を移したのがアウロラクオリティ。
後に一人で掃除をすることになるクレアに怒られるが、幽霊さんは知らんぷりするつもりだ。
「こういう時は起きるのを待って『ご馳走様』って言ってあげるのが流行りのようだけど、貴方も喜んでくれたかしら」
愛おしそうにアウロラは下腹部を撫でる。そこには目の前で眠る少年と彼女の血を引いた子供が宿っているのだ。
「私とクレアと貴方の子供、三人で育てていきましょうね」
シドに口づけを落とし満足そうに微笑みながら、『災厄の魔女』は姿を消した。
次の話はこの人たちの後日譚かな?