一色いろはの手懐け方 作:カス
いつも昼食を共にしている友人が風邪だかで欠席している為(恐らく仮病だろう)、今日は一人ご飯だ。
弁当を持参しているわけでもないので、俺は適当なパンでも買おうと、購買方面に向かって廊下を真っすぐに進んでいた。
すると、前方から何やら賑やかな声がした。
6人いるが、全員見知った顔だ。
現在、総武高校二年である俺と同級生のバスケ部の男子三人に、女子マネージャーが二人。
それともう一人───バスケ部のマネージャーではなくサッカー部のマネージャーである一色いろはが6人の会話の中心となって談笑していた。
一色は相変わらずだな。
女子二人には目もくれず、男三人に目配せをしたり、袖をギュッと掴んでみたり、顔を至近距離にまで近づけたりと、男子なら誰でもたじろいでしまうような仕草を積極的に取っている。
男達はまんまと一色の術中にはまって、情けなくデレデレとして、顔を赤らめている。
そして、その一色無双を横から表面上は笑顔でも、内心、きっと歯噛みしながら見ているであろうマネージャー達。
彼女達の一色への好感度は最悪だろう。
一色からすれば彼女たちなど、洟にも引っかけていないだろうが。
まあ、そんな女達の水面下のドロドロとした戦いには露ほどの興味もない。
一見楽しそうな男女の会話風景を素通りしようとすると、俺の制服の裾が何者かに掴まれ、引き留められてしまう。
予想はついているが、振り向いてみると案の定、そこにはニッコリと綺麗な作り笑顔をした一色の顔があった。
「今日も放課後よろしくです!山中先輩!」
俺の横にピッタリとくっついて、楽しそうに一色が言った。
放課後───そう、俺はサッカー部に所属している。
つまり、一色とは共に総武高校サッカー部を盛り立てる仲間である。
俺個人の感情としては、仲間だなんて思ったことはないが。
「ああ、よろしくな。今日も頑張ろうな」
そう無感情に言って、俺は目的地である購買部の方に歩を進めた。
後ろでは「はい!頑張りましょう!」といった元気のよい掛け声が聞こえて、それからまたバスケ部男女との談笑が再開された。
全く、あんな生き方してて疲れないのかね。
俺のような縁遠い人間に対しても、顔見知りというだけであざとく立ち振る舞って。
あれが男に気に入られる為の演技ということは初対面の時点で看破できていたが、それでもあそこまでレベルの高い美少女に甘い対応をされれば、嫌でも心臓は高鳴ってしまう。
ああ、これが恋なのだろうか───否、俺が一色に対して抱くこれを『恋愛感情』などという綺麗な言葉で表現していいはずがない。
もっと暗愚で薄汚い、下卑た感情だ。
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一色いろはという人間について、どう思うか。
答えは即座に出る。
大嫌いだ。
異性に媚び、異性を誘惑し、異性からの目を最重要視する色欲の塊。
いや、色欲というのは違うかもしれない。
だって、彼女は恐らく未だに処女なのだから。
普段の立ち振る舞いから誰とでも寝るようなビッチと思われてもしょうがない一色だが、俺にはわかる。
あいつは決定的な部分で、男と距離を取ろうとする。
ひっきりなしに総武高の男子生徒を誑かし、デートに及んでいるようだが、そこから一色と男女の関係になれたという男の話は聞かない。
金を貪り、相手の男のランクをまるで自分のステータスかのように誇示するが、自分の純潔は決して渡さないのだ。
卑怯な女だ。
女の分際で、体は綺麗なまま、男から欲しいものだけ貪り取ろうなんて悪行、許されていいはずがない。
誰かが教えてやらねばならないのだ。
女は男が性欲を満たす為に、身体を提供することこそが至上の喜びだということを。
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次の日。
放課後の空き教室に一色いろはを呼び出した。
要件は伝えていないが、一色は傲慢にも、これから自分が告白されるのであろうと予見しているはずだ。
慣れたものだろうからな。
放課後に男子生徒に呼び出されて、告白されるなんてイベントは。
一体何度繰り返してきたのだろうか。
散々弄んで、自分へ好意を抱かせた男の、恋心を無残にへし折る残虐な作業を。
つくづく罪な女だ。
だが、その悪行も今日で終わりだ。
俺が逆に教え込んでやるのだから。
一色いろはが本来果たすべき、女としての役割を。
誰にも聞かれたくない話だと前置きして、呼び出し場所は総武高校の中でも滅多に使われることのない空き教室とさせてもらった。
別棟にある為、人通りも少ない。
一色いろはに思う存分、罰を下す場所としては最適というわけだ。
空き教室について俺は、すぐさま扉をガラッと開けた。
中には一色いろはが既にいた。
窓から夕日を眺めているようだ。
ビッチとはいえ見てくれは清楚感のある透き通った美少女だ。
オレンジ色の夕日に照らされている一色は絵になっていた。
「よお、待たせたな」
「あ、山中先輩!」
俺が声を掛けると、一色がこちらを振り向いて嬉しそうに駆け寄ってくる。
飼い主を見つけた子犬のような反応だ。
本当、仕草だけは可愛い女だ。
男を誑かすビッチとしての内面が無ければ、完璧なのだが。
「今日はどうしたんですかぁ?大事な話って聞きましたけど」
見当はついているはずなのに、一色はわざとらしく要件を聞いてきた。
こんな場面ですら、持ち前のあざとさを発揮する一色に苛立ち、拳を固く握ってしまう。
「ああ、悪いな。わざわざ呼び出して」
「いいですよ~。山中先輩にはいつもお世話になっているので!」
「はは。一色は良い後輩だなぁ」
「えへへ。山中先輩に褒められちゃいました」
茶番だなぁ、と俺は思う。
お互い思ってもないことを言って、場を繋いでいるだけ。
ああ、中身のない会話って本当につまらないなあ。
一色だってきっとそう思っているだろう。
早く俺からの告白を受けて、「ごめんなさい!山中先輩のこと、そういう目で見れなくて...」とか申し訳なさそうな表情でバッサリと断って、帰りたいはずだ。
だけど、ごめんな。
今日は結構遅くまで、帰す気はないから。
けど、代わりに普段取り繕いまくってる外面を引っぺがして、本心で異性と語り合う素敵な体験ができる。
心も体も素っ裸にして、長い時間を共にしよう。一色。
「一色はさあ、人と仲良くなるのが得意だよな」
「え?ま、まあ。はい、苦手ではありませんけど」
想定外の言葉に一色は少し困惑ぎみだ。
「特に異性。仲の良い男子がたくさんいるよな」
「え、えと。いますけど。何ですか、この質問?」
訝し気に一色が聞いてくるが、構わず俺は続ける。
「一色は可愛いからさ。仲良くなった男子は一色のことを好きになる奴が多いと思うんだ」
「...山中先輩はそう思うんですね」
「うん、凄く思うよ。多分、告白だってたくさんされてるんじゃない?」
要領を得ず、デリカシーの無い俺の言葉に一色が、少し不快そうな顔になった。
ニコニコとした外面は剝がれつつある。
この時点で、一色に少し嫌われることができたかもしれない。
いいぞ、この調子で俺に対する嫌悪感を露にしてほしい。
「......そんなこと、山中先輩に話す必要ないと思いますけど」
普段のようなきゃぴきゃぴとした作り声はもう影も形もない。
元来の声質が良いせいか、聞き心地はそれでもいいが。
「でも誰とも付き合ってないんだよね?なんでかな。あーあれ?セフレで十分って感じかな。恋愛なんてどうでもいいから、SEXだけしたいってこと?」
俺は下卑た笑みを作り、舐めるように一色の身体に視線を這わせた。
一色の警戒が更に高まるのを肌で感じる。
綺麗にぱっちりと開かれた目は薄くこちらを睨み、軽蔑の色が篭っている。
「もう...私、帰ります。そんなこと言う為に呼び出したんですか?では」
「待てって」
「きゃっ...」
鋭い目つきでこちらを射抜いた後、一色は扉に向かおうとするが、俺がすぐさま一色の右手首をがっしりとホールドする。
「離してください!私、もう帰りますから...!」
「いやいや、話はまだ終わってないから。後輩なんだから、ちゃんと先輩の話聞けよ」
「.........なんですか。早く済ませてください」
掴まれた腕から手を振りほどこうと何度か試みるが、俺の力に敵わないと判断すると、ようやくこちらに向き直ってくれた。
いい調子だ。男には力で敵わないと頭で理解できた。
一色は理解が早くて助かる。
これからの教育が捗りそうで楽しみだ。
「俺はさ、一色にはちゃんと立場ってもんを理解してほしいんだ」
「立場?」
「ああ。今の一色は駄目だ。一方的に男から搾取しているだろう。それはいけないことなんだ」
「はあ?」
狂人でも見るような目で一色は俺を見た。
失礼な奴だ。至極真っ当な指摘をしているだけなのに。
「逆なんだよ。女なら全てを男に捧げろ。頭なんて使わなくていい。肉壺として男に奉仕することこそが女の喜びなんだよ。女ならさ、男を喜ばせろ」
「...!最低!ほんと、最低!これでいいですか?本当に帰りますから!」
軽蔑の色に染まった一色は今度こそ、掴まれた腕を振りほどこうとするが───俺がそれを許すはずもない。
「離してっ!せ、先生を呼びますよ!」
血相を変えて叫んでいるが、無駄なことだ。
ここは別棟、人通りが少ない空き教室。
呼んでも教員はこないだろう。
だがしかし、万が一はある。
最善を尽くすなら、一色には黙ってもらっていた方が都合がいい。
さて、女を黙らせる方法か。
色々あるが、一番手っ取り早いのはこれだろう。
俺は掴んでいた一色の腕を引っ張り、一色の身体ごと床に叩きつける。
「きゃあっ!」
一色が仰向けに倒れ込んだ。
すかさず一色は立ち上がろうとするが、俺は即座に一色の腹部、鳩尾に向かって足を踏み下ろす。
「かはぁ...ぁ...!」
メリッと上履きが沈み込む感触がある。
同時に一色の呻くようなか細い声が喉の隙間から出た。
女の子の体はやっぱり柔らかいなぁと、俺は内心ほくそ笑んでしまう。
愉快な気分になって、グリグリとクッキー生地をこねるように、踵を軸に足を回転させた。
「う、うぐぅ...ぅ...ふぅぅ!.....ぐぅ...ぅ...ぐぅぅ!?」
楽しいなぁ。
特に強く踏んだ時の声が心地よくて、癖になりそうだ...っといけない。
こんな前座で楽しくなっちゃいけないんだ。
一色の尊厳を滅茶苦茶に破壊して、女としての役割を自覚させないとな。
踏みつけていた足を下ろして、今度は仰向けに倒れ伏した虫の息の一色の腹の上に跨るようにして、腰を下ろした。
良い座椅子だ。授業を受ける時も椅子の上に一色を置いて、それをクッションのようにして座るのも愉快かもしれない。
教員にバレて速攻退学になるだろうから、妄想だけに留めておくけど。
「さて、これからどうする?また逃げる?」
一色のこれからの展望を聞こうと顔を覗き込もうとするが、鳩尾に入った激痛に悶絶している一色は両腕で顔を覆い隠している。
隙間からは、涙が流れているのだけが見えた。
興奮してきた。後で舐め取ってあげよう。
「なあ、また踏まれたい?」
「!?」
俺の言葉にバッと顔を覆っていた両腕を今度は腹部を守る様にして配置した。
「や、やめて...ください。お腹...痛いです...逃げません...から」
ぶるぶると体を小刻みに震わせている一色が、怯えた目でお願いをしてきた。
いいね、女の顔になってきた。
女ならそうでなきゃね。
よく快楽で女を従わせたいと難易度の高い妄想をしている人がいるけど、そんな回りくどいことして何が楽しいのか。
効率的に女を楽しむなら、暴力で制してから、完全に服従させればいい。
「本当?やっぱり、一色は良い後輩だ。だけど、一色は演技も得意だからな。もう一発くらい食らっとこうか」
「えっ...!や、やだ!やです...!やめてくださ───かはぁっ...!!!」
一色の懇願は意味を為さず、俺は無慈悲に一色の腹部に今度は右拳を思い切り沈ませた。
上履きを履いていた状態での踏み下ろしとは違って、今度は生身の拳だ。
一色との密着感が凄くて、より強い感動が俺の胸を打った。
凄いな、人の腹ってここまで凹むんだなぁ。
セフレにはこんな暴力的なことできないから、楽しいな。
「ごめん、一応な。でもこれで大丈夫だよな。もう逆らうなよ」
「...............」
「返事は?」
「............はい」
「じゃあ、次のステップ。あ、暴力はないから安心しろよ。次は...一色の身体を思う存分に嬲ろうと思うんだ」
「なぶ...る...?」
おっと、一色には聞き慣れない言葉かな。
知らないなら教えてあげないと。これは教育だからね。
「簡単に言うと、おもちゃにするってことなんだ。勿論、おもちゃって言うのは一色のことな。まあ、言葉ではわからないよな。実践演習してみようか」
「ひゃっ」
俺は両掌を一色の両胸に這わせた。
よし、始めようか。