シャニPと黛冬優子さんがなぁなぁでえっちしているお話 作:ふりーじ屋/家庭内禁書
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冬優子がシャニPに手コキ/乳首カリカリ/足コキ/フェラ&顔面騎乗/種絞り騎乗位します。
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黛冬優子ちゃんセ…ド下手くそ説 vs 玄人はだしの手練れ説
1 名前:アノニマス・ロマンサー 202x/xx/xx xx:xx:xx.xxx
どうよ?
※
「セックスを伏せ字にするならふゆの名前も伏せ字にしなさいよ!? おかげであさひが見つけちゃったじゃないのよ!」
「俺に言われても、その……困る」
アイドルユニット・Straylightのリーダーである黛冬優子と、彼女らの担当プロデューサーが肉体関係を持ち始めてしばらく経ったある日。プロデューサーは営業車で冬優子を送迎している最中、なんとも対応に困る苦情をぶつけられた。いやらしい……を通り越してはしたない憤慨だった。
「で、これ……『黛冬優子ちゃんセ…ド下手くそ説 vs 玄人はだしの手練れ説』?」
どうもネット上のどこかで、黛冬優子のセックステクニックは上手いか下手か? という激論が交わされていたのを、Straylightの最年少メンバーで未成年者の芹沢あさひがたまたま見つけてしまったらしい。しかも中途半端に伏せ字が使われていたせいで、冬優子は「冬優子ちゃん! 『セ…』ってなんのことっすか?」と聞かれ、サイトの内容を読まされ、しかも論争が彼女にとって無駄に熱く激しく濃厚だったため、すっかりボルテージが上がってしまった……が、それをあさひら他の関係者の前で表に出せず、プロデューサーと二人きりになるまで鬱憤を溜め込んでいたらしい。
なお、あさひの無遠慮な好奇心は、Straylightメンバーの最後の一人・和泉愛依がなだめてくれた。愛依の生暖かい気遣いは、冬優子の体面を守ってくれたが、冬優子の憤懣はなだめてくれなかった。
「あんたは、ふゆが……フェラでうっかり歯を立ててそうとか、亀頭責め強くしすぎて男が悶絶してるのを感じてると勘違いしてそうとか……逆に、言葉責めで煽り倒しながらの騎乗位はこの道10年トップランカーといっていい貫禄とか、使用済みマスクだのフリスクだの飛び道具を活用する技巧派とか、好き放題言われても良いっていうの!?」
「よかねぇよ。だからそういう厄介は、事務所に来るほうは弾いてるよ」
プロデューサーは冬優子の反応を奇異に思った。冬優子はデジタルネイティブ世代のアイドルである。積極的にエゴサーチして、ときどき小躍りさせられたり怒髪天を衝かされたりしても、うっかりタップして「公式巡回済み」の痕跡を……とならないよう気をつけている。そのぐらいのネットリテラシーは持っている。
「ちなみに、さ……」
助手席の冬優子からでは、運転中のプロデューサーに逃げ場はない。彼は、絶対にろくな言葉が続かないだろうな、と思いつつ、必要以上にハンドルを強く握りしめた。冬優子と目をあわせずに済むのがせめてもの救いだった。
「あんたは、どっちだと思う?」
「どっちって」
「へたっぴか、うまいか」
プロデューサーは、昔どこかで読んだ「女の理不尽な二択には、『そんなこと言わせてごめんな』とでも言っておけばいい」という切り返しを口走りそうになって、あやうく舌を押し留めた。ふつうの恋人どうしならともかく、彼はアイドル・黛冬優子の――性的魅力を含めた――キャラクターを切り売りしてお金を稼いでいる立場である。それが『そんなこと言わせてごめんな』など、白々しくて聞けたものではない。
「誰と、比べろって。上手い下手を」
絞り出したのは、日和った返事。判定の棚上げ。プロデューサーは『へたっぴ』と言っても『うまい』と言っても、冬優子から『誰と比べたのよ』と詰められる展開を恐れた。
「そういうんじゃないわよ、ばかっ」
「理不尽だ……」
そんな玉虫色の魂胆を冬優子は見透かしたのかどうか、彼女のご機嫌は斜めから地を這う角度へ。
冬優子はわざとらしいまでにぷりぷりしていた。
プロデューサーの思考がぐるぐる回る。冬優子は相対評価ではなく、絶対評価を……彼の冬優子に対する性的満足度を聞きたかったのだろうか。本当に聞きたいと思っているのか。「あんたまでふゆにそんなことを……!」と、憤慨を思いっきり表に出してもいい名目を彼から引きずり出そうとしている、というのが本音ではなかろうか。
やっかい以外の何物でもない。
「……うまいと思われたいのか? それとも、へたっぴだと思われたいのか?」
プロデューサーが疑問を投げる。アイドルにも、乱暴に分ければ、セックスがうまそうな路線とへたっぴそうな路線がある。ファンに対するイメージ戦略の話へすり替える。
「ファンがどう思ってるかって話じゃないわよ」
「違うのかよ」
「だいたい、匿名掲示板で、見ず知らずの他人の妄想を気にするのも、どうかと思うのよ」
冬優子は、プロデューサーがそれとなく示しつつ敢えて伏せた名詞――本当にファンかどうかも定かでない『見ず知らずの他人』――を引きずり出して放り捨てた。『ネット上のまとめサイトで、黛冬優子のセックステクニックは上手いか下手か? で激論が交わされていたのを』……というのが、ただの枕詞に成り下がった。
「あんたがどう思ってるかって話よ」
「こんなときに、あまり興奮させないでくれよ」
プロデューサーは逃げ道に窮した。
「じゃあ、興奮していいときなら、興奮させられたいってわけね……?」
返しの一撃で墓穴まで掘らされた。
※
プロデューサーは、黛冬優子のセックステクニックを正面から受け止める羽目になった。どこまで受け止めればいいのか、彼にはわからない。おそらく、彼女が納得するまで。
テクニックの参考資料は、プロデューサーがアダルト動画配信サイトで選ばされ買わされた。『あんたの趣味にあわせてあげるんだから協力しなさい!』とのこと。笑ってしまうほど、ありがたく押し付けがましい提案。
しかも冬優子は、プロデューサーがスマートフォンで動画を選んでいるところを、横から堂々と覗き見していた。あまりの無遠慮にいらついたプロデューサーは、わざと女優がイカされすぎて失禁する動画や、女優が動画配信で男にオナニーを見せつける露出快楽に堕ちていく動画をカートへ突っ込んで、冬優子にどつかれた。
『あんたがそうやってふゆにイキってられるのもいまのうちよ、焦らしてイカせてヒィヒィ言わせてやるわ!』
『ヒィヒィ言わせるって、勝負じゃないんだからよ……』
参考資料は、女性主導の作品が9割になった。けっきょくほとんど冬優子の意向が反映された。
プロデューサーは、「冬優子ったら、セックスで自分ばかりが絶頂しているのを負い目に思っているのかな、かわいいな……」と、がんばって自分に言い聞かせた。
冬優子はあらためて宣告する。『焦らしてイカせてヒィヒィ言わせてやるわ!』。日付まで決めてしまう。何食わぬ顔で、その日がやってくる。
プロデューサーはその夜、自分の部屋のベッドに全裸で座らされていた。彼自身の部屋のはずなのだが、自分の部屋ではない気分にさせられている。冬優子がセックス前からやりたい放題なせいだった。プロデューサーに馴染みのないアロマランプを持ち込むし、つっかえ棒やらカーテンじみた薄布やらで勝手に空間を断ち切っているのだ。ベッドも、彼女が持ち込んだタオルシーツをおっかぶせられているせいで、彼は肌触りが落ち着かない。
冬優子は、プロデューサーを裸にしているいっぽうで、彼女自身はバスローブをまとっていた。ベージュというには淡く、パステルイエローというには落ち着いた色合いだった。アロマランプの明かりだけではよくわからないが、確か今治産のsceneだった。プロデューサーが冬優子と揃いで買ったもの……揃いで買ったものなのに、自分だけいまここで着せてもらえていないのが、プロデューサーには引っかかっている。
「どう? いつもの部屋でも、雰囲気、変わるでしょ」
「変えすぎだろ……」
アロマランプ以外の明かりが落とされ、カーテンが締め切られて、私物もほとんど隠されてしまった。プロデューサーは、自室がいつもに輪をかけてこぢんまりしていると感じられた。
「いつもとは違うのよ、ふゆも、あんたも」
どうやら、雰囲気づくりから主導権を握っていく魂胆らしい。
「それじゃ、ふゆがプロデューサーさんの欲求不満を解消するお手伝い、しちゃいますね♥」
「ふ、ふゆ……?」
「……ド下手くそとかなんとか好き放題言われてたのは、『ふゆ』……こっちのあたしでしょ?」
あぁ、いちおうあの名目は生きてたんだ、とプロデューサーは心中で苦笑した。
「それに、ただびゅーびゅー射精しちゃって、っていうのも、味気ないでしょう?」
「それじゃ、一人でもできるからなぁ」
「男の人って、3回ぐらいイッて出しただけで、もうへとへとなんですよね? 便利なんだか、不便なんだか」
冬優子の手と腕が、プロデューサーの肩と首に絡まる。バスローブのふわふわなパイル地の向こうに、冬優子の意思を帯びた筋肉と骨が感じられる。引き寄せてくる。顔と顔が近づき、匂いとささやきを流し込んでくる。アイドル活動中の『ふゆ』なら口にしない言葉と感覚が、早くも冬優子の声音から漏れ出ている。わざと漏らしているのか。
プロデューサーは『3回ぐらいイッて出しただけで、もうへとへと……って、冬優子は3回イカされたぐらいじゃ満足しないのか?』という呆れが、肌や粘膜からもれないよう、冬優子の感覚に集中する。
「1回でも2回でも、ふゆを忘れられないように……なってくれたら、いいかな、って」
アロマランプが発するのは、ほの明るい白の光。LEDのような冷たい光色が、ランプの細工でざらついてぼやけて、温かいとも冷たいともとれる印象になっている。漂わせているアロマは、冬優子いわく「コンプリートのイランイラン。リラックスできるのよ」。直前に教えてくれた。プロデューサーは「イランイランって、確か催淫作用あったよな?」とは口に出さなかった。
プロデューサーは、緩んだバスローブのあわせめから、冬優子の首と肩を見る。肌が白くきれいに照らされているけれど、美容関係の宣伝には使えないだろうな……と職業病がよぎる。シミのない白だが、透明感がない。乳液か白蝋か陶器のような白さだった。
目線を上げる。冬優子が、セックス前に不似合いな朗らかさでニコニコしていた。暖色系で強めに点されたアイライン、チーク、リップに、冬優子にしてはキツめのハイライトとシェード……らしくないオルチャン風。ナチュラルに見せるメイクが常の彼女も、薄明かりに合わせて装いを変えているようだ。
なんだか冬優子の思う通りに誘導されている、というのが癪に障る。プロデューサーは目を閉じた。
「見過ぎですよ、暗いからって」
「……これは失礼」
あまのじゃくが頭をもたげる。薄目だけ開けて冬優子をうかがう。
「……ガマンしたほうが、気持ちよくなれるんですよね? プロデューサーさんが、教えてくれましたけど」
『教えてくれた』――教えさせたくせに。プロデューサーの頬や額あたりに、柔らかいふくらみ。皮肉めいた表情が包まれ押し隠される。彼の顔へ、柔らかいところをあててくる。冬優子は膝立ちしているらしい。乙女淡雪の若やる胸は、彼女らしいというべきか。バスローブのタオル地がプロデューサーの汗を吸う。プロデューサーの欲情まで吸ってしまわないだろうか。
「ふゆ、プロデューサーさんを気持ちよくしてあげたいです……♥」
冬優子がプロデューサーの頭を撫でる。許しのように優しい手付き。
許しというのは彼の錯覚かもしれない。けっきょくのところ、職業倫理的にいって、プロデューサーとアイドルは肉体関係を結んではならない。その負い目は、はじめて彼女と腕を絡め、肌とくちびると合わせたときからずっと、彼の心のどこかに潜んでいる。ただ冬優子とセックスがしたいだけなら、プロデューサーを辞めるかアイドルを辞めさせてしまえばいいのに。そうする勇気は出ない。
プロデューサーはそんな思考をよどませてしまう。自分に主導権がなく、冬優子に身を任せるのみ……そのせいか、余計なことが意識にじりじり湧き上がってくるらしい。
「……えっちしたいって気持ちは、けっして、悪いことじゃないんです……」
プロデューサーは、自分が冬優子の胸に顔を埋めつつ、息を潜めていたことに気づく。余計なことを見透かされたか。『ふゆ』は、周囲がどうしてほしいか見抜いて、それに合わせて気配りをして……人に好かれるよう振る舞うことについて、小さな頃からずっと覚えがあるようだ。
であれば、胸と腕の中にかき抱いているプロデューサーのことなんて、筒抜けなのだろうか。
「……少なくとも、ふゆと、プロデューサーさんと、いまなら、ね……?」
「あぁ、冬優子……」
黙ったままでは……何か返事してやらなければと思うが、いい文句は思いつかず、プロデューサーは詠嘆と冬優子の名前だけかろうじて絞り出す。また冬優子が頭を撫でてくれた。
プロデューサーからすると目と鼻の先に、しっとりと甘い匂い。冬優子の、肩や首のあたりだろう。ねっとり、というほど爛熟していない、恥じらい混じりに男を誘う若い女の匂い。それがイランイランを踏み台にして迫ってくる。
冬優子の体臭に没入するのがためらわれて、プロデューサーは強いて匂いに身も蓋もないレッテルを貼る。「冬優子の腋汗だろう」。冬優子が顔をしかめそうな形容。彼女をイカせまくったあと汗だくのグロッキーになっているときしか嗅がせてもらえない匂い。思い出してしまうセックス。
冬優子も『したいって気持ち』なのか。
「えっちしたいって思うのは、人間として自然なことなんです。ただ、えっちしたすぎて、悪いやり方でえっちしちゃ、悪いですよ、って。それだけの話なんです」
冬優子がもっともらしい理屈をこねる。それに流されるのもためらわれて、プロデューサーは彼女の口舌にもレッテルを貼る。『参考資料に、妙な理屈をこねるオイルマッサージモノでも混じっていたんだろう』。
冬優子とセックスするなんて本来あってはならないこと、という罪悪感を、プロデューサーはまだ抱えている。罪悪感は苦いのに甘くて、簡単には手放し難い。罪の類義語は蜜、というどこかで読んだ文句がチラつく。
「だから、プロデューサーさんには……ふゆの良いやり方、知ってもらいたいなぁ、って……♥」
冬優子はプロデューサーを抱きしめながら、撫でる手をそろそろと下げていく。首。肩。胸板。親指の根元で撫でながら、中指か人差し指あたりの爪先がくすぐってくる。胸からそわそわという感覚が広がって、首や背中のぞくぞくとくっついてしまう錯覚。爪先は短くて丸い。切ってしまったのか。冬優子は、アイドルの中でもひときわ手と爪にこだわるたちだったのに。しばらく付け爪にしてもらわなければならない。
「良い、やり方……か……」
冬優子の爪先が、プロデューサーの胸板を円く行き来する。中心にじわじわと迫る。『乳首か』。他人事のように心中でつぶやく。
「どきどき、しちゃってます?」
「してるよ……気が早い、かな」
プロデューサーの胸板は男らしい分厚さがある。けれどその分厚さが、胸の鼓動や肺の伸縮を、冬優子の指先へ筒抜けにしてしまっている。
「……しょうがない、プロデューサーさん……♥」
乳首への刺激。弾くというほどでもない、スマートフォンをタップするぐらいの加減。声は漏らさなかった。びくり、という筋肉の動揺は漏れてしまった。冬優子がくすくす笑う。プロデューサーがいままで聞かされたことがないほど、ぴょんぴょんと軽く弾む笑い。
「声は……出してもいいですし、出さなくてもいいですよ。どっちでも、ふゆは、うれしいですから……」
声を殺しても無駄、と釘を差したつもりだろうか。
「もっと、気持ちよくなってくれますよね……?」
冬優子の指先がくすぐってくるのは、プロデューサーの乳輪の寸前。縁取るように、切り抜くように。プロデューサーは乳首快楽にふけった経験がない。そこに冬優子がみだらなくすぐったさを描く。『これはふゆの扱うべきものでしょ?』。親切で我が物顔な愛撫。彼は、彼女の爪先どころか、指腹の厚さまで覚えさせられそうだった。
「欲求不満ですね、プロデューサーさん」
「煽られてばかりで、さ」
白々しい、とこぼしそうになる。冬優子はプロデューサーに10本以上もAVを購入させたくせに、それらを使用してのオナニーは控えるよう彼に要求していた。「チグハグだなぁ」「ええ、そうね」。冬優子を、名も知れぬ男からセックスしたいと思わせつつ絶対にセックスさせてやらない偶像に仕立てている――彼はその立場にいる……そんなような矛盾だった。
そんなやり方を自分が冬優子へ教えたのだ、とプロデューサーは思う。そう思うとしょうがない気がした。そう思わなければやりきれない気もした。
「ん、ぐ……ふゆ、こ……っ」
「ちょっとプロデューサーさん……ふゆに、いじりたくさせすぎですよーっ」
プロデューサーは、自分の体までがチグハグになっていくのを感じた。冬優子に触れられている部分だけがぴりぴり緊張して鋭敏になって、それ以外がとろとろ弛緩して曖昧になっていた。
「ふ、ぅ、ぁ……は、ぁ……」
「いまから、プロデューサーさんには……射精、がまんしてもらいます。ふゆは、そのお手伝いをします♪」
「お、お手伝い……?」
冬優子がこぶし2~3個ぶんプロデューサーから離れる。
プロデューサーはあらためて冬優子の表情を見た。素面ではほとんど見せてくれない、細目気味にしたまぶた。半目なせいで底知れない瞳。二人の瞳のあいだに、さっきまで彼の胸板をくすぐっていた指先が並ぶ。
「プロデューサーさんが1回がまんできたら、ふゆはこの指を1本折ります」
「5回、も……?」
「できますよね、プロデューサーさんなら♥」
プロデューサーは少しだけ驚いた。彼女が『ふゆ』の顔をした冬優子なら、『残念でした、10回です♥』ぐらいのことを言ったりやったりするだろう、と思っていた。
「いたれりつくせりだな、これは」
「いっぱい、がまんして……それで……」
プロデューサーの勃起は、もし裸でなければ着衣へテントを張っていたであろう勢い。先走りに塗れるほどではないが、誰の目にも勃起していると明らかな大きさだった。冬優子はその勃起に指先を向け、しかし根本近くで止めてしまう。鼠径部の線をそろそろとなぞる。
「いっぱい、気持ちよくなって……ね……っ」
バスローブのあわせめが、はらりと開かれる。いつのまにバスローブのベルトをほどいていたのか。深く白くうっすら汗ばんだ女の乳房。魅入られる。しっとり甘い匂いが、プロデューサーの嗅球を殴りつける。『さっきのは腋汗じゃなかったな……本当のは、もっと濃い』。他人事の思考を吹き払う。めまいでプロデューサーの意識が揺れる。
「見ててもいいですけど……触るのは、ふゆのほうですからねっ」
お姉さんが近所の子供のいたずらを咎めるふうな口ぶり。プロデューサーは乾いた笑い。咎めと許しを表裏一体で受け入れさせられる。まるで冬優子が支配者か主権者のようだった。
「射精も、がまんしなきゃ、ですよ」
冬優子の指が、プロデューサーのペニスに添えられる。力は抜かれているが、それでいて手のひらも指もぴったりと密着している。勃起を値踏みするような手付き。
「……ん、ぅ……っ」
「あっつい……♥ それに、骨があるみたいに固い……っ」
冬優子の手が、陰茎を指圧しながら、ゆっくり上下に動き始める。
「んぐ、う、ぁう……っ!?」
「あは、先っぽは、柔らかいんですね……でも、敏感そう……♥」
裏筋――冬優子から見れば、表だろうが――をつつかれ、鈴口から滲み出したカウパー腺液を塗り拡げられる。もういっぽうの手も添えられる。逃さない、とばかりに押さえつけられる。背筋や肩が震える。
そこに冬優子が重みを寄せてくる。体を預けてきているのか、前のめりになっているのか。
「ちょっとかわいがってあげただけで、こんなにして……よっぽど、楽しみだったんですね♥」
冬優子の声音は、いままさに手コキで奉仕されているプロデューサーでも「やりすぎじゃないか?」というほど甘さを乗せている。『俺よりも冬優子のほうが、むしろ……』。順手の握りは、手コキというより、指の一本いっぽんを蠢かせてペニスを刺激しもみしだくようす。締め付けられる位置が行ったり来たりずれる。まだ値踏みは続いているらしい。
「まぁだ、ふゆの手にも、プロデューサーさんのこれ、味わわせて……」
包み込まれ、圧迫される。カリ首と亀頭を握られる。上下。深浅。柔らかいけれど狭くされた心地。にちゃ、ぬちゃ、と湿っぽい音がチラチラ立ちのぼり、冬優子の甘さにプロデューサーの生臭さが交じる。
「ふ、むうぅ……!? ん、くっ、う……」
「いけませんね、くちびる、乾いちゃって……」
冬優子にくちびるを奪われる。手コキをされながらのキス。控えめで探り探りな手技と真逆に、口舌は積極的に押し入ってくる。プロデューサーが飲み込もうとしたツバを吸い出しかねない勢い。
「んぢゅ、く、ぢゅ……んう、ぁふ、んんくっ……っ!」
キスが激しい。ペニスがうずく。もっと、してほしい、激しく……プロデューサーがつい腰を浮かせてしまう。
「んぷ、ふ、あは……気持ちいーい、ですかぁ、でも、まだまだ。がまんしてくれないと、ふゆ、いやですっ」
キスは唐突に打ち切られる。唾液のあとは不格好に浮いている。冬優子はまだ一本目の指も折ってくれていない。
「……冬優子がいやがるのは、困るなぁ……」
「もしかしたら、プロデューサーさんのこと、嫌いになっちゃうかも……?」
「恐ろしいこと言うなよ」
プロデューサーは、冬優子の手が急に凶器に思えてきた。自分の無防備さを突きつけられ、背筋のゾクゾクが色を変える。彼女が心変わりしたら、このペニスや睾丸を思いっきり握りしめるぐらい平気でやる。
「じゃあ、がまんしてください……いきます、よ」
冬優子の両手が肉の穴を作って、プロデューサーのペニスを一気に飲み込む。
「う、ぉ、ふぁ、ぁ、う……ふ、ゆ……っ!」
「声、押さえないで。もっと、ふゆの名前、呼んでっ」
単純な抜き差しが、プロデューサーにはてきめんに効く。張り出しているカリ首が、ひときわ苦しい快感に見舞われ、そこを冬優子の親指が握るたびに、亀頭が息を吸い込んだように膨らんで、涙を流したようにカウパー腺液を上塗りする。ぬぢゅ、にぢゅ、ぐちゅ――抜き差しが早くなる。
「は、ァ……あぐ……ふ、ゆ……く、うぅうぅ……っ!」
プロデューサーが奥歯を噛み締めて頬をこわばらせ、そこにかかる冬優子の吐息が波打つ。速い。強い。
「はぁい、まずは、ここまで……ですっ♥」
射精寸前の痙攣を、冬優子はぎゅううと握った。その刺激で達しそうになる。両膝を折りたたんで、やっと射精をこらえる。
「ちゃんと我慢できましたね、えらい、えらい♥」
冬優子が右手の親指を折ってみせた。指にまみれたカウパー腺液が糸を引いて切れた。
「……指、折っていったら、だんだん、やりづらくなっていくんじゃないか……?」
「さぁ、どうでしょうね~♥」
膝立ちの冬優子が、プロデューサーを見下ろしながら笑う。バスローブをしどけなく引っ掛けた乳房のふくらみが、呼吸を映したまま規則的に上下していた。
「2回目、始めちゃいます……♥」
左手でペニスを保持される。きりきりと締め付けながら上下に、射精を物理的に催促する動き。対して右手の四本指は、亀頭をぴんと弾いたり、鈴口をつついたりといたずらにもてあそんでくる。
「ぐ、う……っ! ぁう、ウぅ……ッ」
声を上げてしまう。こんな変則的な手技、参考資料になかったはず。あえて親指を封じた手コキなんて、ふつうならただやりづらいだけ。けれどいまの冬優子とプロデューサーのあいだでは、カウントダウンの意味合いがまさる。期待感が燻って熱くてたまらない。5回堪えてしまったらどうなるというのだろう。
「うーん……やっぱり、4本指だと、おちんちんのお相手はやりづらいですね……」
「俺は、別に、いいけどさ……」
「そう。それじゃ、こっちなら……?」
不意打ち。乳首に電流じみた快楽が走る。胸板どころか、肩や腹筋、ペニスまで動揺してしまう。声を出さなかったのが不思議なぐらい。
「2回目のがまんは、乳首で……ふふっ、女の子みたいに、たーっぷり、気持ちよく、してあげます」
プロデューサーは、冬優子の左手でペニスを握られながら、冬優子の右手で胸板に迫られる。されるがまま。乳首ギリギリのところで止められてしまう。期待のせいか、鳥肌が立ってしまったような、もうふだんの皮膚ではない感覚。もう乳頭も勃起してしまっている。
冬優子の指が曲がる。折りたたまれた親指のほかに、薬指だけくぃくぃと器用に曲げる。無駄な動きが挑発の色を強める。
「く、ぐぅ……あ、あっ、う、あっ……!?」
「プロデューサーさんったら、かわいい声、出しちゃって……♥」
焦らされた乳首を、薬指でそろそろとくすぐられる。歯を食いしばっても声を殺せない。恥ずかしさのあまり、現実逃避じみたことを考える……本当に冬優子から『かわいい』と思われてしまっているのか。
「ねぇ、プロデューサーさん、乳首、好き?」
「ひ、ぅ……そ、そんな、好きじゃ、ぁ……ぁ、うぅうっ……」
「じゃあ、ふゆが好きにしてあげます♪」
冬優子の薬指の動きは、彼女が自分の肌へクリームか軟膏を塗るときを連想させた。くりくりと、かすかな刺激がもどかしい。彼女はわざと、いちばん力の弱い指を使っているらしい。
「乳首も、乳輪も、すりすり、すりすりーっ♥ って。いっぱい、いっぱい、かわいがって……」
薬指が乳輪を1周まわるごとに、プロデューサーは目をつむって眉根を歪ませて堪えた。そしてまわり終わると乳首を弾かれる。また、押さえきれない声。
「……でも、気持ちよくっても、射精はがまんしてくださいね♪」
耳元で、そこは気持ちよくなれるところだ、気持ちよくさせられるところだ、と教え込まれる。この快楽は夢幻や錯覚ではなく、冬優子の意思で焼き付けられている、と念押しされる。繰り返し、何度も。
「ぁ――ふぁ、ぉ、……あ、め、ぐ、ぅう、う……っ!」
「あーぁ、だから、がまんって……あら、あららー?」
乳首と乳輪とささやきへ集中させたところに、いきなり左手のペニス刺激。たった一度、ぎゅうと握られる。プロデューサーは悶絶して、冬優子に捉えられたままのペニスをびくびくと弾けさせる。
「あぁんなに、びくびくしてたから、もう射精しちゃったのかと思いましたー♪」
冬優子はプロデューサーの乳首をゆるゆる愛撫しながら、ときどきペニスへ不意打ちをかける。亀頭を人差し指と親指でぷにぷにへこませたり、裏筋をつまんだり、睾丸をつついたり。ペニスを通じて、射精感そのものを手中にされ手懐けられようとしている。
「だめ、だめです。出しちゃ……たまたまから、おちんちんの奥から、せーえき、びゅうびゅうって、出しちゃ、ぜったいだめぇ……♪」
冬優子のくちびるから、プロデューサーは甘い毒を注がれる。『だめ』。そんなことしたら、『ぜったい』……『気持ちいいでしょ?』……腰が浮きかける。自分の太腿に爪を立てて堪える。『ふゆの前で、せーえきびゅうびゅうするとこ見られたい』『約束したのにがまんできなくって出しちゃうところ見られたいっ♪』……そんなことはない、ない、冬優子に……『だめ、イッちゃ、だめっ』。くちびるでそうつぶやくくせに、手は射精を催促する。乳首と亀頭を同時につねられる。太腿へいくら引っかき傷を重ねても打ち消せない快楽。
「……ぁあ、こっちの乳首もいじってあげなきゃ、かわいそう……♪」
プロデューサーがつぶやきの意味を理解する前に、そのつぶやきをつむいだくちびるが、彼の残りの乳首へ襲いかかる。
「んぢゅ、んぷ、ちゅ、ちゅうぅ……っ♥」
「あぅうっ!? ふ、ふゆこ、そぇ、やば、あッ!」
くちびるで噛み付いているのかというほどの勢いで吸われ、舌先でひたひたと唾液まみれにされる。もう声を抑えるどころではない。黛冬優子に捕食されてしまう。興奮と恐怖に震わされる。快楽という禍々しい凶器で骨も筋も解体され、彼女の腹に収められてしまう。死線に突き落とされているのに……あるいは、だからこそ、ペニスがぎちぎちとうなり、射精欲で跳ねる。
いや、だめだ、冬優子は承知しない、そうなったら、それこそ――
「ん、ちゅ、く……んぁ、きゃあっ!?」
「ぁ、あ――ふ、ふゆ、こ……あ、ごめん……っ」
――プロデューサーは力任せに冬優子を引き剥がしていた。屈服から逃れようとして……やらせたのは精神か、それとも本能か。
冬優子は何か言いたげにプロデューサーを見つめていたが、口を半開きにしたまま固まった。彼女はなぜか、物を言う代わりに舌を自分の指へ擦り付けてから、ため息をつく。
「……あーぁ、切れちゃったじゃないの」
「切れた? なにが」
「あんたの……ほら、そこ」
冬優子はプロデューサーの胸に手のひらを向けた。乳首の近くから血が一筋二筋と垂れ落ちている。彼が振りほどいた拍子に、彼女がびっくりして歯を立ててしまったのか。
プロデューサーは自分の胸の傷を見て痛々しいと思ったが、しかし胸に痛みを感じなかった。快楽で神経が飽和してしまったらしい。
「ま、ツバでも着けときゃ治るでしょ」
「俺はさっきまでツバ着けられてたんだがな……って、ふ、ゆ……っ!?」
「あぷ、んふ、んんっ……ぢゅ、ちゅ、んぐ……ふぁ、はぁ……っ♥」
冬優子はふたたびプロデューサーの胸板に顔を寄せて、血が垂れる傷にくちづけた。舌先のざらつきにさらされて、プロデューサーの胸にようやく痛みがしみてくる。
「あ……血、着いちゃ……これ、漂白剤使えるかしら」
バスローブの血汚れを気にしながら、冬優子はプロデューサーを離してくれない。
「んぷ……ふぁ……んっ、血ぃ、止まったかしら? まぁ、ルール違反はおあいこにしてあげるわ……でも、3回目は、ちょっときつくしちゃうわよ」
「……お、おう……これ、5回目まで続けるのか……」
「ふゆは、まだまだこれから♪ ですもん……っ」
冬優子が、くちびるについた血を名残惜しそうに舐めた……ように見えた。
思い込みだ、とプロデューサーは自分へ言い聞かせた。
※
「ふゆ、腕力じゃ男らしいプロデューサーさんに敵わないから……こうさせて、もらいますね」
冬優子が、自分の羽織っているバスローブをくつろげた。ウエストで結ばれていたベルトを、ループからずるずると抜いて、それを縄代わりにして、座ったままのプロデューサーを後ろ手に縛ってしまった。彼女は、体のラインがバスローブに覆われているけれど、へそや秘所や内腿は丸出し。作り物じみて白かった肌が、いまはほの赤く染まっている。
プロデューサーは首をもたげて冬優子の裸身に目を食いつかせてしまう。手首まわりの、強くない圧迫感が熱く感じる。縛られているのは手首だけなのに、首以外の自由まですべて奪われた錯覚へ陥る。
「足かぁ、マニアックだなぁ」
冬優子は、プロデューサーが手を伸ばしたとしてもギリギリ届かないぐらいの、ベッド端に陣取っている。ふだん使っている枕と自分が持ち込んだ枕を2段重ねにして、その上に腰掛けている。枕2段の高低差ぶん、彼より少し腰が高い。右足をゆるゆると伸ばしていく。
「足かぁ」ともう一度プロデューサーがつぶやいた。彼はそれで、いちおう首以外に口も動かせるようだ、と自覚する。
「ふゆがミニ穿いて黒のサイハイ履いてるの見て、足でおちんちんいじめてほしい……! って思われちゃう需要、あるみたいですよ?」
「その需要は知ってたが、その需要を冬優子が理解しているとは知らなかったよ」
「で、ふゆが知らないと思って、知らないのをいいことに、ってつもりでしたか」
プロデューサーは冬優子の右足を眺めた。すらりと優雅に伸びる脚線美であり、爪先が彼の腹筋に迫って寸止めされている。土踏まずがペニスに触れそうで、指2~3本ぶん遠くて触れられない。足の爪に目が行く。ペディキュアを塗る直前のようにツルツルと整えられた足の爪と、腋汗やアロマランプに混じった樹木系の残り香が意識に刺さる。
どうやら冬優子は、セックス前に身を清めるのと別に、フットバスで下準備していたらしい。
「足なら、ふゆでも押し負けませんっ」
足への準備の念入りさ。「俺が振りほどかんでも、足でするつもりだったろ……」とプロデューサーは言いたくなった。それを冬優子に悟られないよう、足に見とれているふりをした。
冬優子の足は優雅な素振りで、プロデューサーのすぐそばの空を撫でながら、付け根から親指の先まで、揺るぎなく自重を支えている。静かな優雅さは、力強さを暗示している。
プロデューサーはベッドへ直にあぐらをかいている。ジタバタしても、冬優子の足に上から押さえつけられてしまいそうだ。妙な束縛感は、彼女より腰の位置が低いせいか、と思う。だとすれば、これも彼女に計算された演出だろう。
「……怖いですか?」
「どうして?」
プロデューサーは、自分の返事が奇妙だと思った。冬優子は薄笑いを浮かべながら、爪先や親指の根本で、あいかわらず彼の下腹部をつついている。それぐらいなら怖くない。ただ、彼女がきょうここまで靴を踏みしめてきたのと同じ加減で、カカトからプロデューサーの男性器を蹴りつけてきたら、彼は泣いて悶絶……で済めばまし、という状況。
「じっと、見てますから。ふゆの足、ふだんよりずっと」
プロデューサーに怖いもの見たさという趣味はなかった。冬優子にはあるのだろうか。
「見せてもらっていないと、なかなかジロジロとは……見てはいけなかったかな」
冬優子が伸ばす右足の、足の甲のアーチへ注目する。骨が浮いている趾(あしゆび)の近くに対して、足首寄りは肉がふっくらと乗っていて、イメージより柔らかそうだった。そのふっくらの表面へ、細く青い静脈がうっすらと描かれている。
「見たければ、どうぞ? 見ている余裕があるうちに、ね……♪」
冬優子がくすくす笑うと、きっちり直線に並んだ5つの趾の先がゆるやかな弓形に和らいだ。人差し指と中指――趾の第2指と第3指もそう呼んでいいのか、プロデューサーは自信がなかった――だけ、ふわりと浮いた。
さっきまでプロデューサーを責めていた冬優子の両手が、いまは彼女に敷かれた枕の両脇で、彼女を支える脇役にしりぞいている。冬優子は膝を曲げ、彼に右足の裏を見せつける。スポーツ前の準備体操のように、足首から先をぶらぶらさせる。指での挑発にどこか似ていた。親指以外の4本の趾が、招き猫のように丸まっていた。
足先がどんどん上がる。プロデューサーはそれを視線で追っていた。土踏まずに浅いシワがそよいでいた。彼の胸板へ、鎖骨へ、あごへ……目と鼻の先に迫る。匂いもつかみやすくなる。さっき樹木系と当たりをつけたフットバスの残り香は、ティトリーだかユーカリだかサイプレスだか、とにかくシャープでこちらをスッキリさせようとするものらしい。冬優子そのものの匂いとははっきり趣が異なる。足だから、ほかより清潔感にこだわったのだろうか。
「冬優子……」
「ぁ、んん……ふゆの足の匂い、かぎたいんですか……ヘンタイ、みたい……っ」
スッ、と足を引かれる。くちづけでもしてやれば良かったかなという後悔と、そこまでしたらさすがに冬優子も嫌がるかなという自嘲が、プロデューサーの視線を粘つかせる。
「やん、見ちゃ、だめぇ……♥」
粘つきを振り払うように、冬優子は左手で下腹部を隠した。秘所の見えるぎりぎりまで隠されてしまった。右足は伸ばしたままで、太腿のラインはどこか緊張している。右太腿の外側は浮き気味なのか、むしろ内腿が縮こまっているのか、外腿と内腿の段差が肌へにじみ出ている。冬優子は私服でもよくサイハイソックスを見せているが、太腿の段差はちょうどそのサイハイの丈あたりから始まって、鼠径部の線に向かって伸びていく。
「見ちゃだめって、言ってるのにっ」
「ん、ぐあ、あ、く、ぅ……っ」
ペニスの先に、足の甲を押し付けられる。プロデューサーは呻きを漏らしてしまう。勃起ペニスの角度が、強引に捻じ曲げられる。彼の想像よりずっと生易しいプレッシャー。柔らかく力の入れにくい足の甲を感じて、彼は「冬優子の足に手心か」などと洒落が浮かぶ。
「3回目……ふゆの足でいじめられても、射精、がまんしてくださいね♪」
冬優子は右足の甲に、プロデューサーの先走りを塗りつける。ねちねちと音がするほど丹念に。受ける彼は、摩擦だけで快美感に震わされる。
「プロデューサーさんは……ふゆの足まんこ♥ なんかでおちんちんイカされちゃうヘンタイじゃ、ありませんよね……?」
冬優子がついに膝を曲げて両足を浮かせる。獲物をにらんで鎌首をもたげる2匹の白蛇にそっくりだった。白蛇が口吻を寄せ合って、土踏まずに縦長のスリットが作られる。それはまさしく性器、冬優子が『足まんこ♥』と呼ぶにふさわしい。足裏によるシワなど肉ひだに見える。いや、肉の下にどっしりとした骨が備わっているから、堅固さでいえば本物の女性器をしのぐだろう。
「ああうっ……ふ、ふゆの、ぁ、し……んんぐうぅ……ああぅうぅうぅ……!」
「ぁ、は……かたぁい、おちんちん……♥ ガチガチで……これなら、ふゆの足でぎゅうぎゅうって、しても、いいかな……?」
足セックス。冬優子の両方の土踏まずが、プロデューサーの亀頭とカリ首と茎とへぐりぐりと押し付けられる。カウパー腺液をまぶして肌になじませる。彼女の肌は、血色はいいのにひんやりとしていて、彼の胴をこわばらせる。
「気持ちいいですか? それなら、もっとサービス、しちゃいます……♪」
ペニスが、足裏の小指側で挟まれる。接触が面から線に変化して、刺激が強くなる。冬優子の両膝ははしたなくガニ股に割られている。プロデューサーは触覚と視覚でどんどん射精感を盛り上げられる。
冬優子の足使いが堂に入っていると気づいて、プロデューサーはなんだか頬が緩んでしまう。彼に買わせた参考資料を見ながら、彼女が一人で練習していた……その風景を妄想してしまう。
「だめ、だめですぅ……ふゆの足まんこ♥ なんかで、射精、しちゃ……いや、いやですっ♪」
トロトロ甘ったるく響く『ふゆ』の声音の下に、ニタニタいやらしく笑う冬優子の顔が重なっている。「ほらほら、足まんこで情けなく射精してみなさい……?」。そう思うと、プロデューサーは太腿や尻に力を入れて、射精をこらえる気力が蘇る。
プロデューサーは、自分を冬優子と同じぐらいあまのじゃくだと思った。
「あは……プロデューサーさん、顔だけじゃなくって、脚まで、びくびくして……そんなに、ふゆの足まんこが気持ちいいんですか?」
「あ、あぅ、うゥうぅ……ッ!」
射精してはいけない、と念じるほど、射精渇望がぐらぐらと泡立つ。「こらえろ! 冬優子は足コキに不慣れだろうし、こんな不自然な足の使い方してたら、すぐに疲れてしまうはず……」。刺激が土踏まずからに戻る。さっきほどひんやりしていない。土踏まずが陰茎のシルエットを確かめるように、圧迫と愛撫で挟み込んでくる。
「はぁ、あ、う……ほらぁ……おちんちんイッちゃえ♥ 出しちゃえ♥ ふゆの足まんこ、せーえきでべとべとにしちゃえっ♥」
冬優子の負担も相当のようで、甘い言葉に苦しい吐息が入り交じってくる。それがプロデューサーの神経には毒だった。
生まれつきか英才教育なのか、冬優子は他人から可愛く見られることについて、とにかくプロデューサーと出会うずっと前からこだわっているたちだ。なのに、いまの彼女はこだわりをかなぐり捨てて足まんこ愛撫で男性器に迫っている。すがりついている。
「わぁ……ホントに射精しちゃいそうですね♥ ぁは……はぅっ!? ぅぐ……ぁ、は……」
「ぉ、うぉ、ぉ……!? ふ、冬優子……?」
「ん、んんっ……まだ、ま、だ……っ」
暴発寸前の射精欲。もう冬優子と膝やスネどうしがぶつかりあっても、プロデューサーに痛みを感じる余裕はない。筋肉がしびれてくる。それがペニス快楽の飛び火のせいか、妙な姿勢で居続けてたしびれのせいかも、曖昧になる。
「……ぁ、ううっ」
足まんこコキの終わりは唐突だった。
冬優子が髪を振り乱すほど首を振って、がっくり肩を傾けた。足は、プロデューサーの脇腹あたりを、足裏の半分ぐらいで蹴っ飛ばしてベッドシーツへ落ちていた。
「んぐ、くっ……ふ、ゆ……あぁ、冬優子……お前」
「あ、はは……うぐ……ふ、ふふっ……きょうの、足、まんこ、このぐらいにしてあげます……よく、がまんできましたねぇ……っ」
「……ちょっと、休ませてくれないかなぁ、冬優子、頼むから……」
冬優子は足を投げ出したまま、両手で目を覆った。それはプロデューサーにとって好都合だった。「ふくらはぎか、それとも足まんこのあたり、攣ってしまったのかな」という邪推を、彼女から隠してやる時間を得られた。
※
プロデューサーの目の前は、ほとんど真っ暗になっていた。といっても意識がブラックアウトしたわけではない。
「汗かいてて……匂い、こもっちゃってますか?」
プロデューサーは手首の拘束を解いてもらったあと、ベッドへ仰向けに寝かされた。彼の顔に、冬優子のヒップと太腿が上から詰め寄っていた。
冬優子はバスローブを着たまま。アロマランプの光が彼女の手足をすり抜けてくる以外、プロデューサーの視界は真っ暗となっている。
「ふゆは、いい匂いしてるよ」
「ですよね♥」
プロデューサーは『いい匂いしてるよ』と言い、実際にさっきの腋汗と同じような蠱惑的な甘さを味わっていたが、さっきより甘さが濃厚すぎると思った。鼻の奥どころか、肺まで甘さに掴まれている気分になる。こんなものに慣らされたら、もう冬優子以外で勃起できないかもしれない。そうなってしまったら、彼女はよろこんでくれるだろうか。
「じゃあ、ふゆも、プロデューサーさんのを……♪」
「うっ……あぁっ、ふゆ……」
「ん、ちゅ……れちゅ、むあっ、ぇぶっ、ふぅー……♥」
プロデューサーの太腿が、冬優子の手か肘らしき感触に突かれた。変な感触で、それが手だと――ちゃんと右手の指が3本折られていた――気づいた。すぐにペニスへ、柔らかい潤いがじんわりと添えられる。土踏まずと違ってほんのり温かい。キスか、フェラチオか。乾きかけた先走りに、唾液を上塗りされる。
「んぷ、んぅ、ぷふぁ……あは、は……プロデューサーさんの匂いも、味も、えっちすぎます……♥」
「くっ……まるで、自分はえっちじゃないとでも言いたげだな」
「さぁ、どうでしょうね……? むちゅ、あーむっ……んむ、もっ、ぷふっ」
冬優子は鈴口のあたりだけをくちびるで挟んで、じゅるじゅる、じゅぞぞぞ、と強めに吸ってきた。強い刺激に、ペニス以外のプロデューサーも悶絶する。彼が上体を起こそうとすると、冬優子の体重――「55キロすべてまともにかかっているわけじゃないけど、けっこうきついな……」――が乗せられたお尻で、どしどしと押さえつけられる。
「ぢゅる……ぇぶっ、んひ、ぁ、やぁっ♥ もー、プロデューサーさんったら、ふゆの、触っちゃ……あ、あっ♥」
プロデューサーは、冬優子のお尻と太腿を掴んで、反撃に出る。彼女の抗議は鼻にかかった甘い響きばかり。わざとシックスナインを誘う体勢をとったらしい。
冬優子も手コキフェラに戻る。1枚のバスローブに2人でくるまって、愛撫の応酬。
「ふぇぷっ、ふぁ、あ、んぷっ……あぅっ、んんんっ……♥ ……れりゅ、んぅうっ、あむ……っ」
「ぅ、ぐ……んぬ、くふ、んむっ、ぢゅる、じゅう、ちゅうっ……」
冬優子のフェラは、舌で舐めるのと、くちびるでキスを落とすのがメインだった。足コキ前に乳首へ歯を立ててしまったのを気にしている素振り。プロデューサーに『気にしている』と思わせて、油断したところにぱっくりじゅぞぞぞ、と吸い尽くす魂胆かもしれない。どちらにしても彼にはよく効く。ペニスが震え、睾丸が出番を待ちかねて疼き、玉袋をきしませる。
「んふっ、ふっ、んはっ……プロデューサーさんの、おっきいです……ふゆじゃ、収まらないかも……♪」
ペニスを左手で保持して、亀頭を頬張るか頬張らないかという具合で吸ったり舐めたり。しかも2本指だけ立った右手も、睾丸の根本や鼠径部や内腿をくすぐってくる。
プロデューサーは奥歯を食いしばった。いままでの、ぎりぎりまで押し寄せてくる射精感を抑えなければ、という攻め方ではない。不意打ちの刺激に耐えなければ、という緊張を孕んだ責め。目が真っ暗で、音も匂いも感触も冬優子に塗りつぶされ、彼女だけの世界へ引きずり込まれる。
「んひゃっ!? は、ぁあ、ほぁ、ぁ……っ! ぁ、や、そこ、ちが、ぁ……」
「……ん、ふ……冬優子……」
「ちょ……だ、だめ……いけない、です、プロデューサ――ぁひぁっ!? あ、な、なんで、ぁ、ぁあっ」
それならいっそ、とプロデューサーが舌を伸ばすと、甘ったるい匂いに反して、かすかな苦味へ触れる。舌先で味わうすぼまり。触れてしまった器官に見当がつく。言ってしまおうか、知らないふりをしようか迷う。
「ほ……ぉ……っ! ぷ、ぷろ、りゅ……ぁ……♥」
自分で口をふさいでしまえば口先でごまかす必要もない……と開き直ったのか、単に冬優子の切羽詰まった反応が欲しくなったのか。プロデューサーはすぼまりに舌先を押し付けたり、鼻先でごしごしと摩擦してやる。「尻穴だろうな」とプロデューサーは確信していた。
柔らかかった冬優子の尻肉が、緊張でにわかにパツパツに張り詰める。反応がいい。プロデューサーは気を良くしてしまう。「そういえば、冬優子に尻穴をいじらせてもらった覚えがない」……好奇心も拍車をかける。
「は、ほ……ぉ……っ! ぷ、ぷろ、りゅ……そ、こぉ……おし……や、ぁ……きたなぃ、です、からぁ……♥」
冬優子は、自分の尻穴が汚いと抗議しつつ、ペニスの鈴口を舐め回す。プロデューサーは『どっちも排出口だろうが』と心中でツッコむ。言葉の代わりに指で恥丘を圧迫する。
「んきゅっ……ふ、ぁ……♥」
羞恥にしてはねっとりしていて、快楽にしてはしどろもどろな嬌声をもらう。「これなら4回目は楽そうだ」と思った瞬間、亀頭から根本まできつく密着してくる刺激。
「う、ぐ、はぁぅう! ぁ、あぅう……ふ、ゆ……っ!」
「んく、ふ、ぢゅ、ちゅう、んぷ……ああ、あんっ……! く、ふぅっ……!」
冬優子はいきなり深く激しいフェラチオに切り替えてくる。余裕をなくしたのか、もう可愛らしい『ふゆ』の所作は脇に置いてしまって、どこにそんな吸引力があるのかという強さで、ペニスを痙攣ごと吸い尽くさんばかりの勢い。亀頭が喉奥らしき狭い穴にとらわれる。歯を立てられる。細かいぎざぎざのエナメル質が食い込むのは、ペニスの固い根本近く。彼女が図っているのか、それさえいまのプロデューサーには快楽となってしまう。
シックスナインを始めた頃は、お互いの呼吸を探るリズムらしき雰囲気があったが、いつのまにかそれも脇に置かれてしまった。
「むぐ、んぢゅ、んっ……ぷは、ぁ、ふはぁ、あ……い、一時、休戦しません? ね、ねぇっ、ぷろでゅっ――ぁ、んっ……そ、そぇ、それぇ、や、ぁ、ああっ♥」
プロデューサーが、冬優子の尻穴をなぶりながら、秘所に指をねじ込む。触覚でクリトリスを探り当て、よだれと愛液を塗りつけて転がす。冬優子の尻ががくがくと浮き沈みし、指が内腿にきゅうと挟まれる。文字通りの手応え。
「あうっ、ああっ……も、もう、わた……はぅあ、ああぁ……んぁぁ……!」
きょうはじめて捕まえた反撃の機会。冬優子が尻をいやいやと何度も振っても、プロデューサーはのがしてやらない。どしどしと体重をかけられても、死にもの狂いで食らいつく。
「ふぁ……、あ、プロデューサーぁ♥ ……ひぅっ、おし、ぃ、も、や、ぁ……って……ぁ、ぁッ……!」
こみ上げるような声と息遣いの瞬間、冬優子はついに腰を振り上げ、プロデューサーから尻穴も秘所も引き剥がした。
プロデューサーは、冬優子の膝とふくらはぎから伝わってくる絶頂感につられて射精しないよう、必死にこらえていた。
※
「冬優子……?」
冬優子はプロデューサーの上半身からずるずると腰をずらした。バスローブの裾が引きずられて、彼の視界がアロマランプの明かりに戻る。暗順応がなかなか抜けず、まぶしくて目を細める。
冬優子のバスローブのタオル地は、彼女の肩甲骨からお尻にまで張り付いていた。彼女は肌にしがみつくそれもするすると剥がして、ベッド隅で2段重ねのままになっていた枕にかぶせた。
「あーぁ、誰かさんのせいで、まんこイライラさせられちゃったわ」
「はぁ、イライラさせられちゃった……イライラさせられたくなかったか、冬優子は」
「……ふーん、だ」
冬優子の裸身が半分だけ振り返る。右手が小指だけ立てられていて、その爪先がくちびるに寄せられた。最後の1本。5回目の焦らしとがまんの鍔迫り合い。「とうとう『ふゆ』ではない『冬優子』がお相手か……」と、プロデューサーが息を飲む。
その息を吐ききらぬ間に、冬優子がプロデューサーに正対して、彼の腰を膝立ちでまたいでいた。彼女が見下ろしてくる瞳は、薄暗い部屋なのにぎらついている。
「えっ」
「入れるわ。中出しはだめよ?」
「じゃあ、ナマは止め……ほぉっ!?」
「動かないで、ズレちゃうじゃないの……♪」
冬優子の入り口は、プロデューサーの視点では見えそうでほとんど見えない。ぷっくりといじらしく膨れたクリトリスと、その根本あたりの陰唇がちらりとわかるぐらい。見えない口にペニスを頬張られる。
「出すのは……!? ふゆ、だめだ、すぐ、出……ん、くぁ、はぁ……あぁあッ!」
男なのに、高い悲鳴と呻きをあふれさせてしまう。止められない。亀頭が埋まるか埋まらないかのうちから、ペニスを壊してしまえとばかりの搾精圧に見舞われる。ペニスは焼けるように熱く、背筋は震えるほど冷たい。「冬優子に中出し、してしまう……」してしまったら……?
「だめ、抜いちゃ、いや……っ!」
「や、やめ、締めるな、ふゆ、こ……で、出ちまう、から、ぁ……!」
「ぁ、んきゅっ……♥ ふ、ふふ、出したら承知しないわ……これで、がまんしなきゃいけなくなったわね」
冬優子の笑みはニタニタと脂ぎっていた。芹沢あさひに見せてはいけないみだらさレベルとして、『黛冬優子セ…ド下手くそ説』の文字列よりずっとひどい。
「……プロデューサー、さぁんっ♥」
「あぁあぅっ!? ふ、ゆ……っ」
冬優子は左手のひらをプロデューサーの胸骨手前に突いて、ぐりぐり押しながら――もちろん膣内でペニスをくわえこみながら――彼のようすを探り探り、体を傾ける。ペニスが抜き差しされていなくても、摩擦角度のズレだけで暴発しかねない。
「ふゆ、いまプロデューサーさんからいじわるされたら……つい、おまんこきゅんっ♥ ってなっちゃって……どうなるか、わからないかも……♥」
「だ、だから、早く、抜い……はぁあぉおおおッ!?」
「いまだから、です♪ いま、プロデューサーさんは、本気でがまんしてくれる」
冬優子の瞳のぎらつきも、燃えるように熱く、凍えるように冷たい。
「がまんしてほしいの」
「だぇ……だめだ冬優子、本当に、これは……っ!」
「ふゆのためにがまんしてほしいの」
冬優子の言うことは、プロデューサーを制圧するためのブラフで……「本当はいつもどおり経口避妊薬を飲んでいるはず」……そんな可能性に賭ける気は、プロデューサーにさっぱり湧かない。確率が99%だとか1%だとかという程度で、起きたときの確率変数がもし無限大なら、期待値だって無限大になる。冬優子を孕ませる意味は、無限大といったいどれほど違うだろう。イプシロンぐらいだろうか。
「ひぁぅっ♥ ぁ、ふゆ、はぁ……ぷ、ぷろりゅーさーは、が、がまんしなさい、ねっ」
「おまっ、自分はがまんする気、ないのかよ……ッ!」
冬優子は腰を動かしていないが、わざと膣に力を入れたり抜いたりする。それだけで、プロデューサーとペニスは揃って狂おしくもだえる。ねちゃぬちゃ、ぺちゅくちゅと下品な愛液の響きさえ、彼女は面白がっていた。
「あっはは、良いようにきもちぃトコするの、格別ねっ……クセに、なっちゃうっ♥」
「お、おねがいだ、ふゆ……それだけは……っ」
「じゃあ、プロデューサーさんがふゆにきもちぃトコされるのクセになってもらえば……円満解決♥ ですねっ♪」
冬優子の顔は、プロデューサーの間近だった。それ以上の抗弁を許さない、というメッセージなのか、くちびるを押し付けてくる。もう『焦らしてイカせてヒィヒィ言わせてやるわ!』という宣言も置き去りだった。
冬優子はプロデューサーを離してくれない。ペニスをひしと抱きしめたまま。鼻息を浴びせかけ唾液を流し込んでくる。彼女の味は、さっきまでのニタニタ脂ぎった笑みやら楽しげだったフェラチオやら乳首への噛み付きやらが幻だったように、切なく甘酸っぱい。
「ふぇぷっ、ふぁ、あ、んぷっ……れりゅ、んぅうっ……んちゅ、ぢゅううう……プロデューサー、さん……あ――ふぁ、ぉ……ぉ……っ! ん、んふふっ、ぷ、ぷろ、りゅ……ぁ……♥」
プロデューサーの辛抱をうれしがって、冬優子は膣の中も外もぬちゃぬちゃ愛液をすり潰しながらはしゃぐ。2度と帰れないほど優しげにうねる。粘膜という粘膜で貪り合う。腰の上下運動だけは控えめなのに、粘膜のすすり合いが激しすぎて、かすかにぷぴゅぷぴゅと気の抜けた音まで聞こえる。一瞬だけ冬優子は顔を離すが、ケラケラ楽しげな声を立てて、こんどはプロデューサーの耳へ舌を伸ばす。
「ねぇ、プロデューサー」
あいかわらず、膣はペニスをくわえこんだまま。それでも足りないのか、細い腕をプロデューサーの首に回し、女の乳房を男の胸板へ押し付ける。
「ぁ、う……ふゆ、こ……っ」
「んふ、プロデューサーぁ……♥」
膣内が抱擁してくる。「いつ射精してもいいよ」という締まりで、「いつ射精しても逃さない」という密着。
「……だいすきっ♪」
「う、ぁ」
プロデューサーから断末魔の叫びを引きずり出した――勢い余って、冬優子も絶頂しているらしかった。
「ふゆ、こ……」
「んふ、ふふふっ、最後は、ただの力押しがよかった……? プロデューサー……んふ、ふふふっ……♥」
二人の震えが和らいでも、アロマランプの匂いが薄れても、汗が乾いても、冬優子はまだまだプロデューサーを離してやらなかった。引いていく熱を名残惜しんでか、むしろ腕を深く食い込ませた。
※
数日後、283プロダクション事務所内の片隅。
「あんた、さっき、はづきさんにデレデレしてたでしょ」
「してないって」
「してたわ。節操ないわね。ふゆにヒィヒィ言わされてたくせに」
「ヒィヒィ言わされてたのは認めるけど、はづきさんにデレデレは……きょうは、してないって」
「はづきさんってさ……なんだかえっち上手い……ような気がする……」
「冬優子。お前、あの掲示板に発想を毒されてないか」
プロデューサーが自分のデスクへと速歩きで逃亡し、冬優子も彼を速歩きで追いかけているところに、矢のような声が割って入る。
「あっ、冬優子ちゃん!」
スマートフォン片手の芹沢あさひが呼び止めてきた。
「冬優子ちゃんがマグロっぽいってどういう意味っすか!?」
「えっ」
「だから、マグロっす。まさか、魚のマグロじゃないと思うんだけど……」
「……あさひ、ちょっと貸しなさい」
2人の速歩きは同時に止まった。
「ふ、ふゆ……まぁ、なんだ、他人の、も、妄想、キにするの……ぷっ、ふ、くく……っ」
冬優子はあさひのスマートフォンを数タップしてから持ち主に返した。それから黙って、忍び笑いするプロデューサーに並んだ。
「ま、まぁ冬優子、気にしないほうが――ほひょっ!?」
「またこんど、ここから焦らしてあげます。プロデューサーさん……♥」
「あ、なんすかいまの声! 冬優子ちゃんいまの聞いてたっすか? プロデューサーさんっすよね!」
あさひの関心は、黛冬優子マグロ説から、プロデューサーの奇声へ移ったらしかった。
(おしまい)