※この作品はR-18です。

シャニPと黛冬優子さんがなぁなぁでえっちしているお話   作:ふりーじ屋/家庭内禁書

4 / 8
これは非有償依頼です。
一人称視点です。
ご依頼は http://skeb.jp/@freege_affected か、 http://twpf.jp/freege_affected からどうぞ。

あらすじ
イチャラブごっこ/キス、手コキフェラ、精飲、騎乗位
→レイプごっこ/(冬優子に)乳首責め、Gスポ責め、側位、強制絶頂

※ハーメルンへのマルチ投稿に関連して、他サイトへの転載情報を下記にご案内します。
pixiv(https://www.pixiv.net/users/3129576)、くるっぷ(https://crepu.net/user/xay35WDfHLBWk2s)に公開しています。


黛冬優子さん、シャニPに催眠アプリ(?)えっち♥をさせてくれる

「ねぇ、プロデューサー“さん”、こっち見て」

 

 担当プロデューサーの部屋にいるというのに、アイドル・黛冬優子は前触れ無く“ふゆ”として話しかけてきた。

 『なんだこいつは』と返したくなるのをぐっと堪える。

 『なんだこいつは』と返しかけたのがバレないように、大げさに目をパチパチさせてから冬優子へ視線を向ける。

 

 冬優子は彼女のスマートフォンを片手の5本指で持っていた。とつ、とつ、とつ、とつ……10回には届かないぐらい、短い間隔であちこちをタップ。それからすぐモニターを俺のほうに向けた。

 

「……なんだろう……それ、音楽再生アプリか?」

 

 モニターでは、黒い背景を白のシークバーが1本だけ水平線のようにほぼ両断していた。ついシークバーだと思ったが、バーの右端に小さくピンクのハート記号、左端に小さく青いハートのひび割れた記号が添えられているだけ。再生を示す三角形など、ほかのアイコンがまったくない。シークバーだか横スクロールバーだかの真ん中には、白をピンクで縁取った小さなスライダーが表示されていた。

 

「これは、催眠アプリです」

「さいみんあぷり?」

 

 俺は『なんだこいつは』を隠しきれなくなった。

 

 そもそも冬優子がきょう俺の部屋にいること自体、ちょっとおかしかった。

 アイドル・黛冬優子がリーダーを務めるユニット・Stray lightが、なんだかんだで仕事を順調に増やしていて、彼女も担当プロデューサーたる俺も忙しくなった。2人のオフは、かなり前から狙っていなければうまく重ねられない状態だった。

 きょうはまさしく2人のオフを重ねている日である。そして俺と冬優子は、もうプロデューサーと担当アイドルと割り切れないほど抜き差しならぬ仲になってしまっている。オフを重ねた理由は、某所にデートへ――行くはずだったんだが。

 

「さいみん……って?」

 

 バカのフリをして聞いてみた。

 

「催眠です。ほら、あなたはだんだん眠くな~る、って」

 

 冬優子のよそ行きらしき格好は、髪の毛や肌や上着がうっすら湿っていた。茨城の自宅から、わざわざ雨風で荒れ模様の都内まで突っ込んで俺の自宅までやってきたのだ。

 2人のオフを重ねているきょうは、折悪しく南関東に台風が近付いて、列車も減便するほどの暴風雨に見舞われる……そんな天気予報がされていた。昨夜は天気予報よ外れてくれと祈りながら眠ったが、けさ俺が目覚めると、残念ながら風音がヒュウヒュウ雨音がザンザンバラバラ絶え間なく雨戸を叩いていた。

 

 すぐ冬優子にメッセージを送った。

『きょうはこっちに来ないほうがいい』

『ふゆに会いたくないの?』

『行く予定だったあそこも臨時休業ってお知らせが出てた。つまりそのぐらいひどい』

『ふゆに会いたくないの? ってあんたに聞いてるの』

『うちの人も心配するぞ』

 冬優子から着信が来た。

『行くわ。あんたんとこ××駅でしょ。そこまでクルマ出しといて』

 しくじった。冬優子の問いに正面から答えず、中途半端にプロデューサーぶった理屈をこねたのがいけなかった。冬優子は『来てほしくない』と言わなければ来る女だった。

 

 やむなく車を出して最寄り駅まで迎えに行った。冬優子の湿り気は、乗降車のわずかなあいだにまとわりついた雨粒の余沫だった。

 

 来てすぐの冬優子は、風雨で乱れた身だしなみを直すのに集中していたが、そんな作業などすぐに終えてしまったのか、さっき見たときは俺の座椅子を勝手に占領してスマートフォンを片手にゲームをしつつ、もう片方の手で俺の部屋の本棚から何か引っ張り出したのを眺めていた。なるほど、『わざわざ来てやったのよ!』と言うのが最大の目的だったのか、と俺は決めてかかっていた。

 それがいきなり“催眠アプリ”なんて。暴風雨と退屈で頭がおかしくなったのか。

 

「催眠のアプリ? 自己催眠かなにかに使うものかな」

 

 ちょっと前にマインドフルネス――瞑想の同工異曲にしか思えなかったんだが――とやらが流行ったとき、瞑想用のアプリがあるらしいと聞いたのを思い出した。催眠アプリとやらは、それの仲間だと思った。

 

「違います……っ♥」

 

 冬優子の言い草は、間違いを指摘しているくせにやたらと甘ったるかった。あんまりギャップがあったので、俺はスマートフォンのモニターから冬優子の顔へ視線を移した。

 冬優子と目が合った。

 

「この催眠アプリを操作すると、なんと……ふゆの好感度を、上げたり下げたりできるんです……!」

「冬優子の好感度って、誰から冬優子への好感度を?」

 

 このアプリらしきものでファンから冬優子への好感度を機械的に上げられるなら、俺の仕事はなくなるだろうな、と思った。

 

「……ふゆからプロデューサーさんへの好感度を、ですっ」

 

 なんで『このオトコ、察しが悪いわね~』みたいな呆れ混じりの目線で見られなきゃならないんだ。俺も冬優子も芸能関係者だろうが。芸能界で“好感度”って言われたらふつうファンからの好感度って意味だろうが。

 

「だから、プロデューサーさんが……っ」

「んんっ!? ふゆ、こ……?」

 

 冬優子が空いている手で俺の手を引っ張った。俺の親指を、強引にスクロールバーの真ん中に、つまりスライダーの上に押し付けさせた。スマートフォンが一瞬だけぶるっと震えて、ホールドを検知したぞ、と教えてきた。

 

「いま……スライダーが真ん中にありますね。これを、プロデューサーさんの親指で、右のプラス側にスライドしてしまうと……」

「しまう、と……?」

「ふゆが……プロデューサーさんのことを、だいすきになって、仕方なくなっちゃうんです……!」

「それはすごいな……恐ろしいぐらいだ」

 

 このアプリらしきもので冬優子から俺への好感度を機械的に上げられるなら、俺の立場はなくなるだろうな、と思った。

 それより、“真ん中”だというのに、こっちに向けられている冬優子の頬がぽわぽわと赤らんでいるのが恐ろしかった。催眠アプリなんてまったくありえないが、冬優子が風邪を引いて熱っぽいなんてじゅうぶんありえる。

 

「恐ろしいなんて、そんな……怖くありませんよ~? ただ、ふゆが、ちょっと、プロデューサーさんのことをだいすきになって……」

 

 やっぱり冬優子は、暴風雨と退屈で頭……とまでは言わないが、テンションがおかしくなったんだろう。

 

「そうか、怖くないんなら」

 

 それなら2人でおかしくなろう、と親指でめいっぱいスライダーをプラス側に振った。

 

 

 

 

「プロデューサーさん」

 

 冬優子は俺の顔に視線を注ぎながら、スマートフォンを片手でどこかにぽんと放った。お粗末な催眠アプリもあったものだ。

 

「そんなに……ふゆに、好き好きーっ♥ って、されたかったんですか?」

 

 ありえない感覚がした。冬優子のささやきとまったく同時に、頬に柔らかい感触を押し付けられていた。こういう柔らかさは、冬優子の体の中でいくつも覚えがある……が、ソワソワした吐息(冬優子は認めないだろうが、たぶん鼻息も混じっている)まで当たってくる。

 キスと同時にささやかれた?

 それどころか、冬優子の匂いに呼吸を奪われる。キツいかキツくないかのぎりぎりに迫る甘ったるい匂いだった。おかしかった。冬優子の好みは香水なら柑橘系だったはずだ。では、これは冬優子自身の……だろう。ほかにあるか。季節外れな花の雨に降られたわけじゃあるまいし。

 

「ねぇ、プロデューサーさんっ」

 

 片腕を抱きしめられる。柔らかな感触を押し付けられる。デートのために選ばれたはずの一張羅へ、くしゃりとシワが入ってしまう。あとでプリプリされないといいんだが。

 

「そうだよ、されたいとも、冬優子に」

 

 ちょっとだけ冷静な自分も残っていて――これは売り言葉に買い言葉だ、なんだか他愛もない自慢で張り合っている小学生みたいだぞ――と、茶々を入れてくる。

 抱きしめ返す。冬優子の肩から背中側の肋骨の終わりまで、ちょっと手を伸ばせば撫でてしまえる。人間の体なのに、包み込んでくれそうに柔らかいのに、細い。

 

「えいっ♥」

 

 軽すぎる声と、余裕で支えきれてしまう体重をかけられる。けれど冬優子の意思は断固として重く、俺は部屋のちょっと湿っぽいベッドに押し倒された。

 

 

 

「ん、むっ……ぁ、ちゅっ、へぷ、んぅ、れぅ、んっ……ぁ、んんっ」

 

 キス、されている。その日最初のキスを冬優子に上からされるのは、言葉で表現するより新鮮に感じた。

 いつもはだいたい冬優子が俺にキスさせたり俺がキスしたりしていた。

 

「……んぷぁ、はむっ……んぁむ……れろ、れぅ、ん、ふぅ……っ」

 

 くちびるどうしで甘噛みし合ったり、舌先でつらつらくすぐり合ったりする。冬優子の唾液をぬちゃぬちゃ流し込まれる。淡くて、ほのかに甘酸っぱくて、あとを引く。食べてしまいたい――いや、やめられない、とまらない――こちらを食べさせてしまう味だ。しかも冬優子の唾液はじゅるじゅる景気よく尽きる気配すらない。溺れてしまいたい。

 

「んぢゅ、く、う、ぁふ、んんくっ」

 

 本当に呼吸が苦しくなってきたので、抵抗の代わりに鼻息をわざとらしく吹き付けてやる。舌で前歯をぐりぐり強くこすられた。黙ってされるがままでいろ、と? 既にそのつもりなんだが。

 

「はーっ、んっ、はー……ぁ……プロデューサー、さん……」

「ふゆ……キス、すごい、な……」

 

 いい加減に息が続かなくなって、キスを止める。お互いの顔を見つめる。俺にくちびるでちゅうちゅう噛み付いていた女は“ふゆ”だった。“冬優子”とは呼べなかった。

 

「ふゆのほうが、もっと、すごいの。こんなんじゃ、まだ、ぜんぜん伝わらないの」

 

 肩に爪か何かを立てられたらしい。きりきり、きりきり、痛いのか痒いのかという感覚に神経が乱される。

 乱されたまま再びくちびるを押し付けられる。

 

「んー……んっ、ちゅっ、んちゅっ、ふっ、んぁ……んむ……!」

 

 冬優子に舌を突っ込まれる。こっちも舌先で応酬しようと構えたら、彼女の舌はこっちの舌裏や口蓋に逃げる……のと同時に攻めてくる。アゴや鼻や目の間まで、キスの熱がじわじわくる。

 

「ぬちゅっ、れりゅえぅ……ぢゅばっ、ぢゅるる、んぶ……はぶ……ぶぢゅるっ、ちゅうううっ……!」

 

 ぶちゅ、じゅぞ、なんてはしたなく吸われる。こっちがやったら間違いなく冬優子が頬をふくらませるやり方を、とうの彼女からねだられる。歯と歯のあいだを一筋一筋もれなく舌先でやられて、印されている……何を? こんな舌使いを続けられると、デート中止のつもりの朝でちゃんと歯を磨けていたか、いまさら心配になる。こっちはざらざらの味蕾で冬優子の口腔のどこかをこすり返してやるのがせいぜい。

 

「れぅ、はむ……んくっ、ちゅ、ちゅっ……やぁんっ、そんな……んぷ、はぁ……っ♥」

 

 そのぐらいでも冬優子に効くのか、ときどき粘膜がひくり、と動揺する。こっちの胴体に押し付けられている肘や膝をぐりぐりされる。

 

「れちゅ、くちゅ、れる……んぉ、はむ、はぷっ、ぴちゅ、んっ、ぴちゃ……!」

 

 冬優子のキスが強くなる。勢いよく、濃厚になる……これまで以上に。“すごい”なんてもんじゃない。脳関門こじ開けられて頭蓋骨の裏側を舐められているのか、俺は……。

 

「……ぷは、ぁ……ふぁ、あは……キス、だけで……プロデューサーさん、おっきくしてますねーっ……♥」

「興奮させようとしてる口で、よく言うよ……」

 

 また、売り言葉に買い言葉をしてしまう。

 ええいままよ、と冬優子をもっと強く抱きしめ返したら、トップスとブラごしなのに彼女の胸のふくらみが鮮明に感じられてえらいことになる。心臓がどくどく騒がしい。自分の脈拍ペースが勝手にじりじり上がっていくのがわかってしまう。衣服を取っ払って素肌で抱き合えば冬優子に伝わってしまうだろうか。あるいは冬優子の心臓も……。

 それなら、こっちの腹と冬優子の腹に挟まれた勃起ペニスなんてもっと露骨に伝わっているだろう。開き直ってわざと押し当ててやる。腰を動かしてなすりつけてしまう。

 冬優子、お前はキスだけで俺をおかしくさせるんだよ、そうと知っていて俺はされるがままだったろ、満足か。

 

「ちゅっ、ちゅぅちゅぅ……ちゅぷっ、れろ、れろ、れるっれる、れろぉ……っ」

 

 再開されたキスがわずかに大人しくなったと思ったら、さっきまで身じろぎするぐらいだった冬優子の手足がぬらりと迫ってくる。動きはゆったりとしているが、あいかわらず有無を言わさぬ意思を帯びている。

 うなじに手のひらを回される。後頭部を押さえられる。じゅる、じゅる、と2度めいっぱい舌を突っ込んできたかと思うと、唐突にくちびるを解放される。

 

「脱いで下さい」

「……おう」

「ふゆも、脱いじゃいます……熱く、なってきちゃって……♥」

 

 お互い、アゴまでべたべたになった皮膚を拭いもできなかった。

 

 

 

「はむっふっ……ふっ、んぅ……ちゅるっ、ちゅ、ちゅぷっ……っ」

 

 ぎりぎり脱ぎ“捨てる”にならない丁寧さで、着衣をベッド脇に片付ける。

 それからキス。さっきよりは控えめだった。控えめにせざるを得なかった。ベッドの上で素肌をこすり合わせていると、キスだけでなくもっと広い範囲の皮膚でキスしていて、キスの強さが何十倍にもなる。強すぎて錯覚というより幻覚みたいだ。

 お互い真夏のように汗ばんでいて、胸や腹あたりではべちゃべちゃ汗のしずくが潰されてだらしなく鳴いていた。こんなのふだんはセックスの終盤でしか味わえないのに。

 

「んむっ、はぷっ……ちゅっ、れろっ、ちゅる、んんぅう、えぅ……ふふっ……♥」

 

 脱衣してすぐ、俺は冬優子のいまの裸体を目に焼き付けていた。

 いつの間にか、髪をアップにまとめていた。長い髪をセックスに不便がる冬優子は以前からよくそうしているし、それが“シたい”の符牒の一つになりつつあるぐらいなんで俺も見慣れている。けれど、“ふゆ”のままアップにまとめたのは初めてかもしれない。

 どんどん目を離せなくなる。

 かなり前に汗が溜まっているのを舐めてひどく怒られたデコルテのくぼみ。そういう以前よりふっくらしてきた気がするおっぱいは、ほんのわずかに左側のほうが大きい。指でつまむにはちょっと大きい乳輪の先っぽで、乳首が既にぷっくりと勃起している。こっちのふくれ具合は左右どちらも同じぐらい。

 目線を下げる。維持にどれだけ苦労しているか毎日のように愚痴られるウエストの曲線は、左右の幅がさすがにキュッと引き締まっているがけっして痩せぎすではなく、肋骨や骨盤の出っ張りもうっすらアクセントに浮くぐらい。それでいて、下腹や恥丘のあたりは見た目よりフカフカしている。その触り心地を味わった記憶のままの見た目だった。プライベートゾーンに押し込められているように狭く密集している陰毛は、そこだけ土砂降りの雨に振られたようにべったりしていた。

 冬優子は――あは……上から、下に。視線、丸わかりですよ――そんなにじろじろ凝視していればいつも怒ってくるはずなのだが、きょうは勝手が違った。四肢をくつろげて俺の視線を打ち返すように正対してきた。気圧された。またあっさり押し倒され、キスとともに素肌をこすり合わせていた。

 

「ねぇ……おくちで、プロデューサーさんのを……シてあげたい、ですっ」

 

 強制力を帯びた懇願、というのが“ふゆ”らしかった。俺はベッドの上に背骨を立てさせられ、胡坐の姿勢に。冬優子が四つん這いになって、俺の下腹や太腿にふぅふぅと吐息を吹きかけてくる。いや、ペニスに頬ずりしている。先走りを頬やらアゴやら首やらに擦り付けている。可愛いけれど奇妙だった。ネコのマーキングじゃあるまいし。

 

「う、ぉ……む、ぐ……ふぁ、あぅ……!」

「まだぁ、まだです……ほっぺただけじゃ……これだけじゃ、済まさないんですからっ」

 

 冬優子の勢いがすごくて、フェラしてもらうのも慣れているはずなのにちょっと緊張してしまう。牽制の意味でこっちからも勃起ペニスを押し付けてやろうか。ペニスによるビンタ――と呼べるほど力強くないが――冬優子なら、少なくともその日と次の日は口を利いてくれなくなる所業だ。そうなったらどうしよう。

 考え直す前に、ぷに、と冬優子の頬に亀頭の張り出しを突きつけてしまっていた。

 

「やぁんっ……ほしがりさん、ですね……」

 

 冬優子の表情はかなり自分のペニスで隠されていて、微妙なニュアンスがとても見極められない。すぅはぁという吐息ばかりが涼しい。冬優子の細い両肩と、背中がかすかに浮き沈みした。まるまると白く大きなお尻が、ひくんっ、と力んで、曲面がえくぼのようにへこんだ。

 

「うふ、挑発のつもりですか……? かたぁくて、イケない、おちんちん……♥」

 

 冬優子の頬と俺の亀頭で糸が引かれた。俺、先走りすぎだろう……。

 

「う、ぉっ!? あ、ぅ」

 

 ちゅっ、と亀頭の先端、鈴口にバードキスされていた。

 粘膜への刺激はわずかだった。なのに――あるいは、そのせいで――冬優子の上目遣いにぐっさりやられ、情けない声を息を漏らしてしまう。

 

「わぁ、びくっ……♥ って。こんなに……俺は強いぞ、メスなんて腹の底まで食い散らかして、孕ませて、離れられなくしちゃうぞ……なんて見た目なのに、ちょっとちゅっ♥ ってするだけで、こんなに反応しちゃってますね。かわいいっ♥」

「は、はっ……聞き覚えのない煽り文句だなぁ……どこで勉強してきたのやら」

 

 ペニスの根本と、睾丸の付け根に、指先で抱き着かれる。

 

「いまのふゆだけ見て」

「ふ、ふゆ、こ……?」

「いまの“あたし”が、世界でいちばんあんたを好きなんだから」

 

 “ふゆ”か“冬優子”か定かでない女――とにかく目の前にいる女――の口腔に、ペニスを飲み込まれていく。

 

「んぢゅっ、ちゅ……はぷっ、んはぁ、あんっ……ちゅるぢゅ、んふ、ちゅ……」

「あ、うっ、あ、くぁ、あっ!」

「へぷ、ん、ぢゅ……んふふ、ふ……っ♥」

 

 その女は俺を知り尽くしているに違いない。

 少なくともペニスに関しては俺よりも知り尽くしている。

 

「んむ、ちゅっ、ぴちゅっ……れるるるる、れろっ、れろれろ……♥」

 

 最初にきゅうと強く攻めて、すぐゆったりまったりと手を緩める――お前の弱点はもうわかっているし、それですぐ追い詰められるのも不本意だとわかっているから手加減してやる――言葉よりもはっきり、好感度スクロールバーよりも生々しく伝えてくる。舌使い、目遣い、吐息、力んだりゆるんだりする四肢、フェラチオ快楽のあいだにメッセージが忍んで入ってくる。

 

「んっんっ、んっ、ふぽっ、はぷ……ふぽっ、ぐぽっ、んぢゅ、ぢゅぽっ♥」

 

 冬優子は実においしそうにフェラチオしてくれる。ペニスなんておいしいわけがないのに、激辛料理をはふはふ頬張るのにも負けないぐらい幸せそうな目つきだし、そのぐらい頬も赤らんでいる。その表情だけでつい射精してやりたくなる。その欲望とぴったり釣り合う反作用のように強烈な忌避感が走る。尻と太腿に力を入れてこらえる。

 

「むふっ、むふぅんっ んぁ、んふ、ぅんふ……あれぇ? プロデューサーさん……おちんちんから、精液、びゅーびゅーシたくないんですか……?」

 

 がまんがすぐにバレた。

 

「シたい、けど」

「じゃあ、しましょう♥ お手伝いしますっ」

「はうぅっくぅっ!? あ、あっ……は、ァっ」

 

 フェラチオ――だけじゃない、手も、指も。

 

「あ、うっ、あ、くぁ、あっ! ま、まずいって、ふゆこっ!」

「ぶぶっ……ぢゅるっ、ぢゅるれる……ふゆ、プロデューサーさんのなら、まっず~いのでも、だいすきっ♥」

 

 鈴口から離れたくちびると舌とが、裏筋をぢゅるぢゅるなぞってから、亀頭以下を順番にすべっていく。先走りの上からよだれを塗り重ねられると、俺の欲望そのものが冬優子に塗り替えられている錯覚さえする。

 

「いまだって……ぷろでゅーさーの、かうぱー……♥ にがいっていうか、しょっぱいっていうか、とにかく、まっず~いんです……♥ でも、べろと、ほっぺたの裏と、ノドと……感じるたびに、ふゆは、ゾクゾクしますっ」

「う、ぐ、じゃあ、ふゆ、もう……く……ぅッ!? ……ぁ、ぅ……ッ」

「やめたくないですっ、やめません♥」

 

 冬優子がペニスを頬張ってさえいなければこっちも体勢を立て直せる……なんて見通しは甘かった。口腔粘膜からの刺激が減ったって、“ふゆ”の口舌が言葉でも俺をきっちり追い詰める。指も合わせてしごかれ、射精を促される。

 

「プロデューサーさんは……おくちに射精なんて、ほかの人にはできませんよね~」

「は、ァ……く、ぐう、う……っ、そりゃあ、シたら、な……んぐっ!」

「百年の恋も冷めますもんね。ふゆも、嫌いになっちゃうかも」

「じゃ、じゃあすぐやめっ」

「じゃあ射精させます」

「なんでだよ!? ぉうっく、ぐぅ、あ、あっ……も、う、あっ」

 

 冬優子は返事したつもりらしいが、答えが言葉になっていない。フェラチオが再開されてしまった。

 

「んぷ、んぐ……! ちゅ、れぅ、むぢゅっ、んんぐ、ぁぷ……っ!」

 

 えづく寸前まで深々とペニスを飲み込まれている。唾液がくちびるの端から後から後から垂れて止まらない。きゅうきゅう粘膜で締め付けてくるノドまんこ、口腔まんこ。本当のまんこならしっかりイってくれてるんだろうな、と確信できる露骨な痴態。

 けれどこれはフェラチオだ。

 

「ふ、ふゆ、ふゆこっ、も……ぐ、ぁっ! も、もう、本当に、げんか、ぃ、が……!」

 

 激しくはないが、濃厚で長いストロークで否応なく抜き差しされる。冬優子のノドまんこ快楽に一歩一歩と追い詰められている。献身的なふりで依存させて支配してくる。シてはならない口内射精のために、いま自分がこうされているんでしょう、このままイッちゃいなさいよ……なんて幻聴までぐるぐる回る。

 

「んぷっ、はぅ、んんっ、ちゅくっ、ふぅうっ……! ほら、出して♥ プロデューサーさん、ふゆの……おくちまんこに、出して♥」

 

 本当に限界に近い――くそ、前に口内射精やらかしかけたときはゲンコツで殴ってくるぐらい怒ったくせにっ!――腰に爪を立てられている。物理的には振り解けるはずが、逃れられない。

 

「あ、ぐっ……あ、うぁ、く……も、もう、で、る……!」

「はーっ、はっ、ん、ぁ、はっ……もう、ダメなんです……? プロデューサーさん……んっ……♥」

 

 寸前――本当に、射精の直前に括約筋がきりきりし始めたあたり――で、冬優子が止まる。ペニスの張り出しを頬に擦り付けて、勝ち誇った笑み。

 

「ほんと、だ……出るから、ぅ、あ……ふーっ、ぅうう……っ!」

 

 ペニスと睾丸は指に捉えられたまま。口内射精はだめだけど顔射もだめじゃねぇか。絶体絶命に変わりない。

 わかった、本当に冬優子の勝ちだから。なんの勝負だかよくわからないが俺は冬優子にさっぱり敵わないってわかったから。

 

「そんなにつらそうな顔をして……ふゆのご奉仕、お嫌だったんですか……?」

「嫌じゃないから、良すぎっ、良すぎだから、手を、はなし、て」

「よかったぁ♥」

「なにが!?」

「はぷ――ちゅ、ぢゅ……んんっ――ぢゅるぢゅっ、んぢゅぽぽっ……!」

 

 射精をぶちかまされた瞬間、さすがに冬優子は顔をしかめていたが、手もくちびるもペニスを離してくれなかった。むしろ、ストローのようにずるずると、精液なんだかカウパーなんだかもうはっきりしない体液を延々すすられた。

 ようやくペニスを解放してもらうと、冬優子は口に精液をためながらこっちに顔を近づけてきて、一瞬『あんたが出したんだから飲みなさいよ』なんてされるのかと思ったら、耳元でぐっちゃぐっちゃ、ぬっちゅぬっちゅと咀嚼音を聞かされた。歯がかちこちぶつかり合ってかすかに鳴るのも聞こえた。

 

「ごくっ……ん、んぐっ……んっ……ん、ふ……う、んごくっ……っ、ふ、ぅ……♥」

 

 嚥下の音。冬優子の首が見えなくてもわかる。冬優子の鎖骨の下あたりが、拍動のようにどくんと浮き沈みしていた。

 

「はぁ~っ♥ うわぁ、イカくっさくなっちゃいました、ふゆのおくち……♥」

「……水、持ってくるよ」

 

 押さえつけられたままキスされた。想像が時間差で的中していて、慌てず騒がず受け止めてやれた。歯と歯がちょっとかちかちぶっつかってしまったが。

 開き直っておそうじキスでもしようか、と冬優子の舌と口腔を舌でごそごそこすってやるが、半分もしないうちに引き剥がされた。

 

「んぅ、んっん……ぇあ……ぇう、ふおぅーしゃ……! ぅぷ、あ、ふぁあ……っ♥」

 

 冬優子は目を丸くしていた。

 なんだ、こっちが応じるのは想定外だったのか。

 

 

 

 

「嫌なら、突き飛ばして下さい。ひっぱたいてでも止めて下さい」

 

 俺を仰向けに寝かして馬乗りになって、冬優子は上から告げてくる。

 というか、勃起の衰えない俺のペニスを跨いでいる。

 かろうじてゴムは着けさせてもらったが、もう3秒後には騎乗位できる体勢だ。

 

「ムリだ」

「どうしてですか?」

 

 冬優子の笑いが薄くなった――何言ってるんだこいつ。

 

「……そういうこと、考えられない」

「あなたが、ふゆのこと好きだから、ですか? これ以上ないぐらい」

 

 言葉に詰まる。

 正直に言うと、“ふゆ”より“冬優子”のほうが好きだった。これから“冬優子”と同じぐらい“ふゆ”とセックスを重ねたら、いつか逆転するかもしれないが……。

 

「それとも……ふゆが、あなたのこと……だいすきだから、ですか。これ以上ないぐらい」

「それは、どうかな」

 

 なぜか確信していた、これは沈黙してはならない問い――でも、何を言えば――口が、役に立たない――“ふゆ”の手をつかむ。

 きれいだけど、ちょっぴり薄ら寒い冬優子の笑みに、視線を投げ返す。

 

「……やっぱり恐ろしい気がするんだが」

「プロデューサー、さん」

「手を握っててくれないか」

 

 浮気をしてしまっているように後ろめたい。

 ぜったいにバレるのに止められない浮気をしてしまっているように、やましさがたまらない。

 

「あなたが握ってるんですよ」

「ちょっとだけなら、俺のこと嫌いになってもいいよ。これは俺が悪い、しょうがない」

 

 意図が半分も通じていないんじゃないか、って心細いやり取り。

 冬優子の笑みが退いて、目が丸くなる。瞳がすぅっと飲み込まれそうなほど深い。

 こんな目ができるのか、冬優子は。

 

「ふゆは、あなたのこと、だいすき、です。これ以上ないぐらい」

 

 冬優子は俺の手を支えにして、俺の顔にあの瞳を向けたまま――ペニスも、彼女自身の女性器も見ないで――ずるり、と騎乗位で挿入してきた。

 

「あっ……はっ……はいっちゃ、った、ぁ……っ♥」

 

 冬優子のホンモノまんこは、ノドまんこに劣らず仕上がっていた。みっしりずっしりきつい。しかも、ぐぽ、ぬぢゅ、と入り口から垂れ落ちる愛液が、目でも音でも皮膚でもわかる。ねっとりフェラチオ中の唾液よりダダ漏れだ。

 

「冬優子、ぉ……き、キツ、ぅ……」

「ふ、ふゆ、ですっ」

 

 男のペニスをほしがっているくせに、男のペニスをいじめるほど狭くキツい冬優子のメス肉まんこ。肉ひだにみちみち迫られてペニスごと背筋を震わされる。

 このあまのじゃくが。お前がかわいこぶるのはいつも表向きばっかりだ。

 

「ふゆが、動きます、から……ぷろでゅーさーさんは、ラク~に、シててくださいね……♥」

 

 好感度をめいっぱい上げてしまったせいか、挿入して粘膜をずるずるこすり合うときの感度まで上がってしまった……冗談みたいな発想。

 

「ほ、ォん……♥ ぁっ、そこっ♥ ですよねぇ……ダメ、なの、っ……♥ ひふっ、きゅ、ぅ……っ!」

 

 冬優子が腰を落としきる。そのあいだにお互い息も絶え絶えになっていた。しばらく動きを止めて見つめ合う。何かしゃべったが、何をしゃべったかよく覚えていない。名前をささやきあっただけかもしれない。

 そのうち、冬優子の下っ腹がちゅぽちゅぽペニスをなめしゃぶって……もてなしてくれている。そう感じる余裕がでてきた。いや、冬優子も都合のいいところをこすって堪能してくれているだろう。

 冬優子はそういう蕩け顔をしていた。

 

「あ、あの……ぷろでゅーさー、さん……っ♥ ふゆ、ふゆ、はぁ……」

 

 聞き取りづらかったし、もっと冬優子の顔を見たかったし、腹筋に鞭打ってこっちの顔を寄せる。ペニスとまんこの角度がズレて粘膜がごそごそ擦れて、たまらない。ちょっと射精しかけた。

 

「ぷろでゅーさーさんに、おまんこ……うれしくって、こうシてるだけで、あかちゃん、できちゃいそう、です……♥」

 

 赤ちゃん、って。まさかゴムに穴開けられてないよな、と心配になる。『赤ちゃん、できちゃいそう』……けっこう心で深刻にわだかまってくるセリフだった。

 もし“冬優子”の……まぁまぁ現実的な一面を俺が知らなかったら、きっと慌てて突き飛ばしてペニスを抜いていた。“ふゆ”だか“冬優子”だか知らないが、俺から『恐ろしい気がする』って聞かされたのを根に持って当てつけて言ってるんだろう。

 

「なぁ、ふゆ」

 

 それなら、と膝や腰に力を入れる。こっちからも冬優子まんこの奥に押し込んでやる。

 

「く、んんっ、おほっおおぉおおォっ……!」

「は、ァ――お、おまっ――あ、ぐ、ぐう、ぅううッ……!」

 

 ぞりゅぞりゅ、とペニスが削られているような、それでいてぐいぐいと奥に膨張させられているような、ムチャクチャな締め付け。

 冬優子は、こっちからだとアゴと舌と鼻先ぐらいしか見えないぐらいキリキリと背筋を反り返らせていた。膣イキしているふうにしか感じられない。でも陶酔している……ようすにも見えない。むしろ、こっちを激しく怒っているのでは……? そんなアクメっぷり。

 まんこのあたりが、ぐしゅ、みちゅ、と号泣するようにメス汁垂れ流してヒクついていた。手もぎゅうぎゅうと強く握られっぱなしだ。冬優子の指は細いくせに、こんな力いっぱいやって折れないのか心配になる……。

 

「ハッ、ハッ、はっ、ハッ、はぁっ……! い、いきなり、なんて、ひどい……も、もうっ、ふゆ、怒りました、から、ねっ……!」

 

 いつのまにか、冬優子の仰け反りイキが終わっていた。耳たぶに噛みつかれながらささやかれた。

 やっぱり怒ってたのか。

 

「怒られるかぁ。いくら“だいすき”でも」

「……だいすきだから許せてっ、だいすきだから許せないんですっ」

「ごめんな、ふゆ」

「許さないって、言ったんですけど……?」

「申し訳ないとは思っているんだ……」

 

 目を閉じた。いま冬優子と目があったら、ちょっと耐えられないかもしれない。何に耐えられないのかよくわからなかったが、とにかくだめだった。

 冬優子に腕をほどかれた。すぐ首に腕を巻かれた。湯気じゃないかと思うほど火照った吐息を顔のそこかしこに浴びせられた。まんこ肉に舌なめずりされた。ペニスがしびれて熱くなる。

 

「んはぁ……っ、はーっ……こんな、おくまで……ふゆ……しちゃって、止まれそうも、ないです……っ♥」

「ふゆ、こ――っ」

 

 冬優子の膣肉にひっしとホールドされる。足もまんこと一緒になって俺を束縛してくる。チンポ絞りのうますぎる粘膜と肉と骨と筋と脂肪……返事しようにも、名前を呼ぶだけで頭がいっぱいいっぱいだ。

 

「あうぅぅっ、んううっ♥ ぷろ、でゅ……の、おちんちん、すご……きもちぃ、の、ぉ……♥」

 

 上の口唇からも冬優子に攻められる。びっくりする。この女が、こんな本気めいた声音で“おちんちん”“気持ちいい”って口走ったのか――俺だって冬優子からこんなの聞かせてもらった覚えないぞ――いま聞かされてるのも紛れもなく俺なんだが……時間差で頭がかんかん燃える。『おちんちん、すご……きもちぃ』……もう一回言われたらおしまいだ。

 

「や、ぁぁ……こ、こぇ、よ、よすぎ……っ♥」

「んぎゅっ!? う、ぐっ……」

「これ、よすぃ、です、ぅ……あはぁぁ~っ♥ しゅ、すごぃっ、ひううっ、ぁああぅ……っ♥」

 

 熱くて柔らかくてキツくて甘くて――まぁ、いちおう、愛おしくて――逆らい難い。切迫した締め付けのまま行ったり来たりされる。ぷじゅ、ぐじゅ、と、ぬるい愛液が流れて潰されていた。とうにアクメまで達してるのに、それをムリにぐいぐい引き伸ばされている気がする。いつまで続くのか。おかしくなっている。

 

「好きです、好き、なんですっ」

「す、すき、って……ッ、ぐ、あぁあ、つ、ょ……!」

 

 膣とペニスから理性を削られ、朦朧としているところに耳から冬優子に注がれる。好き、すきって何度も。冬優子のまんこでも手でも足でもくちびるでも絡め取られて、どうしようもない。

 好き、すき……催眠されているのは俺のほうじゃないか?

 

「あはっ……あっ、くる、きちゃ、あ、ぷろ……ッ♥ はぁっ、すご、ぃ……! くひぃっ……!! ハッ、はァッ……♥」

 

 言葉が出ない。

 俺が奥を一突きして膣イキさせられたら怒るくせに、自分がまんこでチンポぱこぱこ奥まで頬張ってイクのはいいのか。

 なるほど、教えてくれてるつもりか――“だいすきだから許せてっ、だいすきだから許せない”――まさか。

 

「あっ、だっ……お、お、く、や、め……ぁ、あ、い、イク、ぅ、ぁ、ああぁあっ!」

 

 竿どころか、玉裏からくすぐられ引きずり出されるように射精していた。射精が始まってから……終わってからもしばらく、冬優子のかかとらしき硬い感触で、俺は尻の上あたりをどしどし何度も押された。なんだかマッサージでもされてるように心地よかった。

 

 

 

「そういえば……ふゆに一つ聞きたいことがあるんだが」

「な、なんですか、プロデューサーさん……?」

 

 冬優子の問い返しは、てれてれと浮ついて響いた。彼女の手足も、同じぐらいてれてれと頼りなかった。先にシャワー浴びてこいと勧めたが、どうも腰が立たないらしく、ぺたんとベッドに座り込むのでさえ、よちよちと大儀そうにしている。

 しょうがないので肩でも貸して……いや、濡れタオルで肌を拭ってやるぐらいから……部屋を見回すと、放り捨てられていた冬優子のスマートフォンが先に目に止まった。

 危ないな。うっかり踏んづけたり上にモノでも乗せて壊れたら困る。

 

「あ、これ……」

「この催眠アプリ、だったかを……」

 

 7桁打ち込んで画面ロックを外してしまう。冬優子の顔がこわばった。

 

「何ぎょっとしてるんだよ。さっきこれ俺に見せたのは冬優子だろうが」

 

 ロックナンバーはそのときに覚えていた。冬優子のここまで迂闊なやらかしが珍しくて、ついつい。

 モニターでは、やっぱり黒い背景を白のシークバーが1本だけ水平線のようにほぼ両断していた。バーの右端に小さくピンクのハート記号、左端に小さく青いハートのひび割れた記号が添えられている。再生を示す三角形など、ほかのアイコンがまったくない。シークバーだか横スクロールバーだかの右端には、白をピンクで縁取った小さなスライダーが表示されている。

 すべてそのときのまま……いや、スライダーの位置が“だいすき”にスライドされていた。

 

「あ、そ……そぅ、でしたっけ……? で、聞きたいことって……」

「これ……マイナス側にスライドしたらどうなるのかな」

 

 冬優子は目つきも口もぽかんとしていた。無言のうちに『なんでそんなこと聞くのよ』という返事をくれた。

 冬優子にモニターを見せながらスライダーを親指でホールドした。また、スマートフォンが一瞬だけぶるっと震えて、ホールドを検知したぞ、と教えてきた。

 

「それは……ふゆが、ちょっと、プロデューサーさんのことを、だいきらいになって……」

 

 笑ってしまった。“ちょっと”“だいきらい”ってどっちなんだ。

 

「まぁ、でも怖くないんだろう?」

 

 ハートがギザギザに割れた側へ、一気にスライダーを振ってやった。

 

 

 

「み……見ないで、ください……見るんじゃないって言ってるんでしょう……!」

 

 冬優子はベッドシーツを勝手に引っ剥がして肌を隠そうとした――当然させてやらない。“ふゆ”が“冬優子”になっていた。冬優子の冗談だと思った。冬優子は、相当に心を許している相手でなければ“ふゆ”で対応する。自分がその“心を許している相手”に含まれているはずだ、と……“はず”と自分で願っていて気恥ずかしくなった。

 

「なぁ、ふゆ。俺のこと、だいきらいか?」

「き、きらい、よ……あんたなんて……吐き気がする、ぐらい……!」

 

 冬優子の声は震えていたが、熱く火照ってもいた。嫌悪より焦燥で震えているらしかった。

 

「大嫌いな男のチンポをまんこにくわえ込んで、さっきまでヒィヒィ言ってたのか」

「そ、それは、あ……!? なに、すんのっ、やめ、ぇ……!」

 

 冬優子の体を仰向けに転がす。のしかかって、もう一度ペニスをねじ込もうとして……うまく行かない。既に勃起が収まってしまっていた。きょうはフェラで1発、騎乗位で1発、それからおとなしくていたせいか。

 

「やめなさい、よっ、このフニャチンが……! け、警察、呼ぶわよっ」

 

 冬優子は俺のアゴをぐいぐいと両手で押し返していた。俺に裸の女体を見させない以外にほとんど役に立っていない抵抗。さっきお前は、嫌だったら突き飛ばしてとかひっぱたいてとか俺に聞かせたくせに、自分は“だいきらい”な男相手でもその程度か。目突き、ノド突き、金的ぐらいかましてやらんと――

 

「本当にレイプされるぞ」

「……ひっ、ぃ……あんた、なんか、に……きゃ、あっ……!?」

 

 ――冬優子の手をあしらいつつ、あらためて彼女の裸身を観察する。

 

 肌は汗だくで紅潮したまま。まとめられた後ろ髪が少しくしゃくしゃしていた。

 

「だ、だから、見ないでって……!」

「隠すなよ」

 

 冬優子はこっちを睨みつけていたが、頬と額が赤く瞳も潤んだままで、さっぱり迫力がない。

 

「男を誘うメスにしか見えないぞ」

「そんな、わけっ……きゃんっ!? 触る、なぁ……!」

 

 首筋を指先でなぞってやるだけで、冬優子の四肢がびくりとおののく。剥がされかけたベッドシーツにキリキリしわが刻まれる。

 それから、仰向けでほんのり平べったくなった乳房の膨らみを鷲づかみにする。

 

「きゃんっ……!? あ、ふ、ふぁ……ま、またぁ……っ、やめなさい、この、ケダモノ、ぉ……!」

「怖くないんだろう?」

 

 怖くないわけがなかった。さっきまで恋人どうしのように馴染みつつ甘ったるく激しいセックスに没頭していた相手が、いきなりレイプ魔に豹変して婦女暴行まがいの手付きで肌を蹂躙してくるのだから。

 豹変――やっぱり催眠にかけられてるのは俺じゃなかろうか。

 

「乳首おっ勃ててんじゃねぇよ」

「はぎゅっ!? お゛っ…ん゛ぁ゛っ♥ い、いだいっ、ま゛って……まって、ぇえ゛っ!」

 

 “だいすき”のとき待たせてすまない、の気持ちをこめて、冬優子の両乳首をぎゅうぎゅうとひねる。おっぱいの表面はふわふわなのに乳輪と乳首だけコリコリしていてとてもうれしそうだ。俺までうれしくなる。

 

「ち、ちくび、ぢぐびいや゛ぁ――ん゛お゛ぉ゛っ♥ お゛っ、ん゛ぉ゛♥ はお゛ぉ゛っ♥」

「きったねぇ喘ぎ声だなぁ。百年の恋も冷めるだろう」

 

 くりっ、ぐにっ、ぐいっ、ぎゅうっ。

 

「でもえらいぞ冬優子」

 

 すり、すり、きゅうっ。

 

「ふひっ、あ゛ぁっ、あ゛っひっ――いっ、きひっ、いぃっ……♥」

「その声、すごくエロいぞ」

「ぃ、いやなのにっ、いや゛ぁ゛――お゛っ……お゛っお゛ッ……♥」

 

 もしかすると、だいすきモードでパンパンしてたときも、本音ではこれぐらいエロ汚い喘ぎで叫びたかったのかも知れない。可愛くないからこらえていただけで。そのぐらい真に迫って聞こえる。胸の先っぽ指2本か3本でつまめるぐらいのところをいじってやってるだけなのに、腹の底か心の底から出ているよう聞こえる。喘ぎというだけでは足りない。嗚咽や慟哭も混じっている。これでも一回だけ冬優子が泣いてるときに胸を貸してやったことがあるから、冬優子が泣くのは知っている。

 

「あっ……あうッく♥ も、だ、め……ああ、あああ゛あ゛、んあッ、あああっあ――ッ!」

 

 いま乳首を虐待されて、くちびるを真ん丸の輪にしながら声をつまらせた女が、本当に黛冬優子だとすれば。

 そうさせた俺が、本当に冬優子の担当プロデューサーだとすれば。

 

「あ、あ゛……あぃっ、ひ、ぁ、おぉぉ……っ……」

 

 冬優子は表情で『信じられない』と叫んでいた。それで、いままさに彼女が乳首を痛めつけられながら達した、と察せられた。

 

「終わったぁ……みたいな顔するなよ」

「お゛ぅ゛っ!? あっ、あはっあ、あ゛ぉ゛っ♥」

「つれない女は嫌われるぞ」

「いっ、いやあっ! あんたなんか、嫌い、きら、ぁあ゛っ、う゛ぁ゛っ、ぢ、ぢぐびっやぁ――お゛っ…ん゛ぁ゛っ♥」

「ごめんなぁフニャチンで。そのぶんこっちをがんばるから」

「ま゛っで、イクのや、やらぁっ、やぁ――あ゛ッいぐっ、いぐいぐいぐっ……う……っ……!」

 

 冬優子の腰か太腿あたりに、自分が座り込んでどっしり体重をかける。まんこのあたりを尻に敷いてしまってなんだかベチャつく。冬優子の陰毛のせいだろうか。ちょっとだけ不快だったが、すぐ裏返って愉快になった。

 

「……うわ、すごいな冬優子」

 

 乳首を捉え直し、コリコリ、かりかり、くりっ、ぐにっ、ぐいっ、ぎゅうっ。

 冬優子は両手をぶん回して抵抗するが――ぎゅむぅぅっ、ごし、ごし、ぐに、ぐに――すぐ、俺の肘をつかんで爪を立てるだけになった。

 急に冬優子が背を仰け反らせた――くりっ、ぐにっ、ぐいっ、ぎゅうっ――エスカレートして、肋骨のあいだから何かが皮膚を突き破ってくるようなグロテスク一歩手前の痙攣が続く。ちょっと心配になったので、乳首から指をどける。あ、でも指先ぐらいにパンパンに勃起したエロ乳首がかわいい、もうちょっと――かり、かり、こしゅ、こしゅ――おっぱいの下が狂おしく震えている。胸筋のせいか肺のせいか。まさか心臓じゃあるまいし。

 

「んぐ……うっ、あ、お゛……ぉお゛イ、いって、ぇ……ぃ、グ……ぅ……っ!」

 

 冬優子は一線を超えると、いきなり声を詰まらせるらしい。腹に変な力が入って、ノドがどれだけ景気よく汚く喘いでやろうとしてもムリになるのか。

 それを無視してアンダーバストのあたりをさすっていると、何やら尻あたりにびちゃ、ぐちゅっとサラサラした水をぶつけられた。乳首絶頂で潮でも噴いたのか。もしそうだったらウォシュレットみたいで笑ってしまいそうなので確かめなかった。

 んぎゅ、くきゅ、と冬優子のノドのあたりから妙な音が聞こえた。俺は冬優子を横寝にさせた。肩も首も横にしてやると、冬優子のくちびるの端から透明でダラダラした唾液が一瞬どぱあっと漏れた。もしかしたら虫唾かもしれないが。酔っ払いの介護みたいでおかしくてけっきょく笑ってしまう。

 

「あはは、怖いぞ、冬優子の顔」

「かは……っひ、ゅ、うぁ……ど、どう……て……こんな、こ、と……っ」

「だいきらいな男に犯されたとき、冬優子はそういう顔をするんだな」

 

 ぜったいにバラされる浮気をしている、そんな背徳感がうっすらついてまわる。

 

「い、ぃ……や゛ぁ……そご、ぉ……や、め、やめな゛ざっ――お゛っ!? ゃ、め……おぇ、がぃ……っ!」

 

 冬優子の陰毛に愛液を絡めてぬちゃぬちゃしてると、それだけで冬優子の下半身ががくがく力んだ。ふっくら女っぽく可愛かった尻が、フェラチオのときの頬のようにすぼまった。太腿のシルエットが、雰囲気だけ陸上の選手のように角張った。

 

「冬優子はマン毛も可愛いなぁ」

「うう゛っく、くはぁ……あっ……ああ、あ、ぅ……っ……♥」

 

 残りの手でまんこをかき分ける。入り口を開いただけで、みちゅ、ぬちゅ、と濡れそぼった手触り、“耳触り”がする。しょうがないまんこだ。

 

「冬優子、まんこシてほしいんだ?」

「ぃ、イや、ぁ――あ゛っだめ゛だめ゛――お゛ひゅっ♥ ぉ、お……っ……♥」

 

 冬優子が勝手に足をピンと伸ばした。だめだろう、回復体位は膝を曲げるものなのに。俺の膝と太腿をなんとか動員して、冬優子の膝から上を動けないよう固めてしまう。セックスのことをプロレスごっこってごまかすお約束があったが、あながち的外れでもないのだろうか。

 

「おォおお゛……ッ!? ふ、か……いっ、ふか……い゛いィっ……!」

「さっきの10分の1も入ってないぞ」

 

 無防備まんこを中指と人差し指で開く。

 

「いや゛っ……い゛や゛ぁ、いや゛ああ゛……いぐっ、イ……グ……っ……」

 

 冬優子が腹や腰をじたばたさせているのを、なんとか捉え直す。ぷっくりしたクリトリスが目障りだった。懲らしめてやりたい。が、まんこに指を突っ込んだままでは……さりとて、もう片方の手と腕は冬優子のホールドに回っている。

 しょうがないので、突っ込んだままの指でクリの根本を突き上げるようにこする。

 

「ほぎょっ!? ら゛め゛、そ、ごぉ、い、いきゅっ」

「わかった、わかった」

 

 ごそごそ。ぐりぐり。

 

「いや、いや……これい、や……ああァああ゛っ! あ゛っ、あッあッ……う゛……ぉ……!」

 

 指と腕がしんどくなるまで続けると、冬優子まんこの入り口がしゃくりあげるように歪んだ。こっちが手を止めても、ひくっ、ひくっと痙攣が止まらない。また潮吹きするんだったら止めなきゃ、とまんこを手のひらで覆っていたら、ぶううっ――なんて気の抜けた音がズレて飛んできた。

 

「あはは、屁なんてこいたのか。初めて反撃らしい反撃もらったよ」

「ぁ……ぅ、う゛……ひぐっ、ぅ、ぅう……っ……」

 

 冬優子は顔でも泣いていた。よっぽど追い詰められていて、やっぱりショックなんだろうか。

 

「そう気にするなよ。オナラ引っ掛けるなんて、精液ぶっかけるのに比べればマシだろ」

 

 うっかり頭の悪すぎるフォローをしてしまって、自分でもこらえきらず腹が苦しくなるほど笑った。

 

 笑いが収まってしまったあとは、もうこの女を犯したい欲求から目をそらせなくなる。

 冬優子にオナラ引っ掛けられてゲラゲラ笑ったあともチンポが勃起したままで、我ながら驚く。むしろ“だいすき”のころよりバキバキに勃っているかもしれない。

 ふと、いたずらを思いつく。何も言わず、冬優子の両足と腰を解放する。

 

「ぁ……え……あん、た……」

 

 俺が部屋をうろうろするさまを冬優子に見せて、終わったんだ……と“思わせて”気を抜かせてやるつもりだった。冬優子が朦朧としている境地から戻ってくるのにずいぶん時間がかかっていたせいで、俺は部屋を何周もした。そのうち俺が焦れてたまらなくなって、予備のゴムの包装をびりびり破って戻る。

 

「やめ゛……っ、それ、そんな、あっ」

 

 横寝したままの冬優子にねじこむ。側位。初めてだが、尻肉といっしょに陰唇を開かせれば、なんとか行けそうだった。

 冬優子は必死に両膝を閉じ合わせてていたが、無駄な努力だ。

 

「ゴムは嫌いか? だいきらいな男の子供を妊娠したいなんて、変わってるなぁ」

「ち、ちが、ぁ……いや゛っ、い゛や゛ぁいや゛ん゛お゛ぉ゛っ♥」

 

 挿入される瞬間、冬優子の反応が見た目よりしっかりしていて安心した。

 少し怖くなくなった。

 

「お゛、ぉ、ぉぉぉぉおぉっ……♥」

「よしよし、いいまんこだ。最高だ、冬優子」

 

 抜き差しでビラビラがめくれ上がる。めくれ上がる具合がいつもと違って左右アンバランスで、なぜか笑えてくる。

 本当に俺はどうにかしてしまったんだろう。箸が転んで笑うどころじゃない。

 

「ひぎっ!? お゛、んお、ぉ゛、ぉぉぉ……っ……」

 

 どうやって抜き差ししたらいいのやら。よくわからない体位で、ストロークがほとんどできない。しょうがないので、なるべく冬優子まんこの奥に突っ込んで、そのままぐりぐり力を込める。

 

「へぅっ、え……いひっ♥ あ゛ーっ、あ゛ぁぁぁぁっ、そ、こぉお゛やらぁぁ……あ゛っお゛、ぉ……っ……♥」

 

 ぐりぐり。ごつごつ。

 冬優子がどんなに悶え狂っても逃さないよう、腰の腹側と背中側も押さえてしまう。フカフカしていたはずの恥丘がぶるぶる強張っていた。

 

「あ、はっ……んぐ……うっ、あお゛……ぉお゛ッ、い、いっ……っ……」

 

 ぴゅ、ぴゅ、と弱々しいイキ潮が漏れていた。

 脳が沸騰して煮崩れているんじゃないか、という興奮に襲われる。

 

「だいきらいな男にチンポねじ込まれて、トロトロまんこからぴゅぴゅってイキ潮か……」

「ぃや、いや……これい、や……ああァああ゛っ!!」

「かわいいぞ、冬優子」

 

 ウソをついた。そのときの冬優子はとてもソソったが、ぜんぜんかわいくなかった。

 かわいいって言われて辱められて震える冬優子を感じたいだけだった。

 

「ぐひぃっ――ぁむぅっ、ん゛ぅぅっ――ぐ、う゛ぅ、ぅ……っ!」

 

 冬優子は顔を手で覆った。声を殺していた。たぶんそれが最後の抵抗だった。ただの現実逃避だったかも知れないが――この催眠レイプが現実?――そんな、まさか。

 

「冬優子、エロい。お前は最高のまんこだ」

「ふぅ、ぅっ、お゛、ふお゛……う゛ぅう゛……っ」

 

 それにしても口を覆ったら、耳を塞げないじゃないか。冬優子のこと、言葉でいじめ放題だ。ぐしゃぐしゃにほどけた黒髪のあいだで、血そのもののように真っ赤な耳殻が、言葉責めを誘っているみたいじゃないか。

 

「ぃ……や゛……あ゛、あ゛ん゛だ、な゛ん゛、が……う゛ぅっ、ひ……くひ……い゛ぃっ……!」

 

 冬優子から“やめて”みたいな声が聞こえるたびに、ペニスも頭も気持ちよくしびれた。

 やっちゃいけないコトをやるのは興奮する、って……人よりは知っていたはずなんだが――プロデューサーと担当アイドルがセックスって時点でご法度だ――ぜんぜん知らなかったんだ。

 

「イけ、イけ、冬優子、もっと」

「い゛ぐの、や、あ……や゛め……ぇ……っ!」

 

 冬優子の奥を、ぐりぐり、ごつごつ。

 

「う゛ぅー……あぐ、く、ぁ……も、ぅ……むり、むぃ……う……」

 

 冬優子の嗚咽に浸りながら射精するのは、最低で最高だった。

 

 

 

 

 気づけば、外は静かになっていた。雨も風もすっかり消えて、雲に隠されていた太陽は西に傾いていた。

 お湯で濡らしたタオルで、冬優子の肌を拭ってやっていた。

 

「ごめんなさい」

 

 一通り済ませてから謝るつもりだったが、冬優子のあちこちに爪痕やアザを見つけてしまって、沈黙に耐えきれなくなった。

 

「謝るときは、理由も言ったほうがいいわよ」

「あんな無理やり……乱暴したし、冬優子を怖がらせた……」

 

 本当にレイプしているみたいで、あるいは浮気しているみたいで、後ろめたくて興奮した……とは、さすがに言えなかった。

 

「……あんたも、怖がってたように見えたわよ」

「怖がってた……俺が?」

「ええ。ふゆが“だいきらい”なときのあんた」

「そう言われれば……」

 

 後ろめたいのは、怖がってるのと似ているのか。同じか? わからない。

 わかったのは、冬優子はあんなヒィヒィ言ってた割に、俺をそこまで観察していたということ。

 ……俺としては、レイプ中バカみたいに笑ってた覚えがあるんだが、よっぽど不自然に笑ってたのか。

 

 ひょっとして、俺は冬優子を甘く見ていたのでは……?

 

「ふゆに嫌われちゃうの、怖かったんですか?」

「それは」

「それは?」

 

 冬優子がいきなり“ふゆ”になった。いかにも意味ありげだ。

 でも意味がわからなかった。しょうがないので、言葉をストレートに投げ返す。

 

「冬優子だろうと、ふゆだろと、嫌われるのは……現在進行系で、怖い」

「女々しいですね、プロデューサーさん」

 

 冬優子と、怖いほど異常なセックスに耽るのが興奮した……というのも、彼女はもうお見通しかもしれない。

 

「でも……そう言う割に、無理やりえっちは止めてくれませんでしたね」

「面目次第もありません」

「ここまででいいわ。ありがと」

 

 冬優子はフルヌードのままよろよろ立ち上がって、部屋の隅でかがんで何かを拾い上げた。

 

「また、それ」

 

 呆れた。

 冬優子は、あのスマートフォンを片手の5本指で持って、モニターを俺のほうに向けた。

 

「これは、催眠アプリです」

「……そうだな」

 

 モニターでは、やっぱり黒い背景を白のシークバーが1本だけ水平線のようにほぼ両断していた。バーの右端に小さくピンクのハート記号、左端に小さく青いハートのひび割れた記号が添えられている。再生を示す三角形など、ほかのアイコンがまったくない。シークバーだか横スクロールバーだかの左端には、白をピンクで縁取った小さなスライダーが表示されている。

 

「これを、ふゆの親指で、右のプラス側にスライドしてしまうと……プロデューサーさんが、ふゆのことを、だいすきになって、仕方なくなっちゃうんです……!」

「おい、効果が変わってるぞ」

「そーれ……すーっ♥」

 

 冬優子は可愛らしくころころ笑いながら、スライダーを親指でホールドして、そのままスライドさせて、めいいっぱいハート側に振ってしまった。

 

「ねぇ、効果ありました? プロデューサーさんっ」

 

 後戯と呼ぶには、くどくどしいキスを交わした。

 冬優子を送ってやらなきゃならない時間まで、あとどれぐらいだろう。

 

 

(おしまい)

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。