※この作品はR-18です。

弱小同人作家が、トップグラビアモデル二人にエロコス売り子してもらって、お口でぬきぬきしてもらうお話   作:itigo_miruku121

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 本格的なエロパートに入るまでの導入です。
本当はエロパートも一緒にしたかったのですが、
エロパート単体で25000字オーバーしたので、分けることにしました。


文中の「◆」はページ更新を意味しています。


※本作品はPixivとノクターンにも投稿しています。

Pixiv→https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=20662187

ノクターン→https://novel18.syosetu.com/n8748ij/


プロローグ&即売会での誘惑

 僕は絵を描くのが好きだ。

 

 

 小さい頃から暇さえあれば絵を描いていた。僕自身を含めた人物画はもちろん、テレビのアニメキャラや戦隊もの、蝶や蝉といった虫やそれがとまる草木……。とにかく、いろんなものを描いた。

 

 

 泣いている女の子を慰めるために、その子の似顔絵を描いてプレゼントしたこともある。その時は、すっごく喜んで、すぐ泣き止んでくれたっけ……。

 

 

 高校生になってからは、個人サークル主として、同人活動に手を出し始めた。作るのは主に成人向けの同人誌――――まぁ、年頃だから僕も例に漏れず、そういうのには興味がつきない。

 

 

 当然、これまでほとんど絵ばかり描いてきた僕だ。彼女なんていないし、出来たこともない。――――つまり、僕の作る作品は長年自分の内側で燻ってきたリビドーを、ほぼそのまま詰め込んだ作品だ。

 

 

 さすがに、日本最大級の同人誌即売会には参加したことはない。でも、これまで参加した数百人規模の小さな即売会では、一度の開催で十冊くらい売れたことがある。

 

 

 ――――そんな、慎ましくも順風満帆な同人活動を送っている僕には、悩みがある。それは……。

 

 

「ねぇねぇ、せんせ~。この水着どう?エロい??」

 

 

 明らかに僕を小馬鹿にしたような声で、その女性は僕に尋ねる。その女性の職業は、男性を主要顧客としているが、聞く相手が何故かいつも僕なのだ。

 

 

「『なんで僕に聞くんですか』って、そりゃあ次の仕事が男向けの水着グラビアだからに決まってんじゃん♪ほらほら、それよりさぁ~。こたえきかせてくださいよぉ、せんせ~」

 

 

むにゅううぅぅぅ~~~♥♥

 

 

 僕が言いたい事を理解しているくせに、わざと的外れな回答を返してきたその女性。そして、僕の背中にはとっても柔らかい二つの感触が押しつけられる。

 

 

 自他ともに認めるくらいに女性に対する免疫がない僕には、それが見え見えの罠だと分かっていても、軽く受け流すことなんて出来ない。だから僕は、声を荒らげて、彼女に離れるよう伝える。

 

 

「え~……いいじゃん。べつにぃ~~。現役グラビアモデルのおっぱい、タダで触らせてもらえてるんだぞ~。アタシにガチ恋してるファンがしったらぁ、ひゃく殺されちゃうよ~~~?」

 

 

 確かにそれだけ聞けば彼女のファン――――というか、日本全国の男子から殺されそうだ。でも、元を正せば、彼女の方から当ててきているのだから、僕は悪くない。

 

 

「とかなんとか言ってさぁ~、意識したんでしょ?顔真っ赤だしさぁw……はぁ~。相変わらず、作品はドスケベもいいとこなのに、本人はこれでもかってくらい、ウブだよね~。箱入り娘でも、もうちょっと耐性あると思うよ~?」

 

 

 最近――――というか、ここ数年の僕の一番の悩みの種であるその女性は、わざとらしくため息をついた後、保管してある過去作品をパラパラとめくりながら、「やれやれ」と言わんばかりに首を左右に振った。

 

 

 そんな彼女――――佐藤美奈(さとうみな)が言った『現役グラビアモデル』というのは、嘘ではない。というか、現役の前に「超人気」という枕詞すらつく。

 

 

 SNSのフォロワー数は当然のように五桁を記録し、自撮り画像もなにもない、ただのおはようツイートですら、何百、何千の拡散がされるほどの超人気グラビアモデルの彼女。

無論、職業が職業なだけに、その美貌は一般的な女性とは比較するまでもなく優れている。

 

 

 美しく艶のある黒髪は腰まで届き、国内外を問わずシャンプーのCMに起用された経験もある。少しつり上がった瞳はクレヨンで描いたようにハッキリとしているのに、それを彩るまつげは色鉛筆で描いたように細く長い。スラリと美しい直線を描く鼻筋に、細い顎筋……。とまぁ、女性が羨む要素の殆どを詰め合わせた美顔の持ち主。

 

 

 だが、彼女の魅力はその抜群の顔立ちだけじゃない……。

 

 

 バレーボールの選手に並ぶ182センチの高身長を持ちながら、その胸元についている二つの果実はバレーボールのサイズを遥かに上回る。一流モデルだからこその現実離れしたウエストラインを降った先には、みっちみちに媚肉がついた安産型の巨大ヒップがお目見えする。

 

 

 同人界隈という限られた世界じゃなく、広大な現実世界で、トップクラスの実力と人気……そして影響力を誇る彼女。そんな彼女が、なぜ僕の部屋にいるのかと問われれば、返す回答は一つ……。

 

 

「にしても、日本全国の男子が毎日オナネタに使ってるドスケベグラビアモデルの幼馴染が、こぉ~~んなムッツリスケベだとは、誰も思わないだろうねぇ~~……」

 

 

 そう……。何を隠そう、僕と彼女……美奈さんはいわゆる、幼馴染の関係なのだ。そんな関係なのに、僕が彼女に対して敬語を使っているのは、彼女のほうが僕よりも歳上だからだ。

 

 

 そして彼女は何も、僕に水着を見せたいがために、僕の部屋にいるわけじゃない。彼女は、僕の作品の"モデル”をするためにいる。

 

 

 ――――始まりは単純だった。

 

 

 小学生に上がるちょっと前くらいの頃。それまで顔しか描かなかった僕は、初めて描いた全身画で、クリーチャーを作ってしまった。

 

 

 両親は共働きで時間がなく、お金もなかったからデッサン人形なんて買ってもらえるわけがない。困り果てた僕は、唯一の幼馴染だった美奈さんに、「絵のモデルになってください」とお願いした。

 

 

 すると彼女は、容易く快諾してくれた。

 

 

 当時はヌードモデルなんて、存在自体知らなかったから、服を着ていた。――けれど、思い返せば服装もノースリーブとか半袖シャツ一枚だとか、薄着だったことが多い気がする。

 

 

 閑話休題。まぁ、そんな彼女の協力のおかげで、僕は全身を含めた人物画も描けるようになっていった。

 

 

 それが今では、僕のモデルと言う大義名分にカッコつけて、美奈さんは露出の多い水着や、ボディラインを強調する服なんかで、僕をからかってくる。

 

 

 ――――まぁ、おかげで作品のキャラ衣装には困らないんだけれど……。

 

 

「あ、そうだ。ねぇ、せんせ~さぁ……。今度の夏、暇でしょ?」

 

 

 フリンジビキニのような、黒い大人びた水着を着て、そのグラマラスすぎるボディをゆっさゆっさ♥と揺らしながら、美奈さんが話しかけてきた。僕の同人誌で隠れていた顔が浮かべていた表情は、これまでに何度も見てきたなにか悪だくみをしている顔だった……。

……今度はいったい、何を企んでいるんだろう。

 

 

 僕は少しばかり警戒を強めて、「特に予定が決まっていないです」と答える。

 

 

「だったらさ、アタシと一緒に東京行かない?」

 

 

 思わず気の抜けた声が出てしまった。

 

 

 たしかに全国的に有名な彼女であれば、東京に行くのは何も不思議じゃない。ただ、なぜそれに僕がついていくのか理由が全くわからない。

 

 

 夏の東京で僕が興味をいだきそうなイベントといえば、日本最大の同人誌即売会くらいしかないが、まだ受付も始まってないから、参加するも何もない。

 

 

「実はさ、今……綾華ちゃんと合同撮影の話きてるんだよね~」

 

 

 綾華。その名前を聞いた僕の頭には、一人のグラビアモデルが思い浮かんだ。

 

 

「あ、やっぱせんせ~も知ってるんだ。そう、“東の白雪姫”こと、高橋綾華ちゃん」

 

 

 高橋綾華(たかはしあやか)――――彼女も美奈さんと同じ超がつくほどの人気グラビアモデルだ。その異名通り、美しい銀髪と雪のような白肌を持ち合わせている。

ちなみに、そんな彼女とグラビア界の人気を二分する美奈さんには、“西のジャスミン”という異名がつけられている。

 

 

 それを知った時、「推理漫画みたいですね」と言ったら、アニメをほとんど見ない美奈さんでも、流石になんのことかはすぐにわかったみたいで、ものすごく不機嫌になったのを覚えている。

 

 

 まぁ、それはおいておくとして……。そんな彼女たちは、なにかとライバル関係ともて囃されているが、実際はものすごく仲がいい。

 

 

 まぁ、同じ業界で共に第一線をはっている同い歳の同性なんて、仲良くならないほうが難しいだろうけど……。

 

 

 そんな二人が共演するとなれば、これがどれほど壮大な話かは、僕にもすぐわかる。……ただ、その話の規模がわかるからこそ、そこに僕が介入する理由が全くわからない。

 

 

 僕は美奈さんの幼馴染ではあるけれど、それ以外はただの一般人だ。間違っても、大人気グラビアモデルのコラボ撮影になんて同席できる訳がない。

 

 

 そんな質問を見抜いたかのように、美奈さんが更にイジワルげな笑顔を浮かべて言った……。

 

 

「にひっ♥その綾華ちゃんが、実はせんせ~の大ファンだ……って言ったら、どうする?」

 

 

 ――――僕はものの数分で、二度目の気の抜けた声をあげることになった。

 

 

◆ ◆ ◆ ◆

 

 

「あの……その、えっと……は、はじめまして。私、高橋綾華です。……先生の絵、大好きで……出されている本も、全部……持ってます」

 

 

 夏の某日、僕は美奈さんに連れられて、都内の撮影スタジオにいた。そこで僕を待っていたのは、高橋綾華本人だった。

 

 

 生で見る彼女は、雑誌やその他媒体で見るより何倍も綺麗で、本当に白雪姫のようだった。

 

 

 美奈さんより少し低いくらいの高身長に、地毛だからこその美しさを持つ長い銀髪。薄く長い眉の下にある垂れ下がった瞳、ファンデーションなんかいらないんじゃないかと思うほどの白い肌に、見事なアクセントとなっている薄い紅色の唇……。

 

 

 全体的にスラッとしたスリム体型をしていて、下半身は教科書に載りそうなほど美しく、僕のお腹にさしかかるくらいまで長い。――だけど、胸や臀部はしっかりと大きな丸みを帯びている。それでいて、全体的なバランスは崩れておらず、見事な調律を保っている。

 

 

 そんな彼女は美奈さんと同様……美の神に愛された一人であることは間違いなかった。

 

 

 僕は美奈さんを見慣れすぎていたせいか、グラビアモデル――というか女性に対する認識が甘くなっていた部分がある。

 

 

 どこをどれだけ盛ろうとも、現実では決してありえないスリーサイズを設定しようとも……ほぼ全部が罷り通る創作の世界。

 

 

 そんな夢の世界でも、僕はこれまで美奈さんをモデルにした女の子を描いてきた。となれば必然、現実で目にする女性はどうしても、脳内で美奈さんと比較してしまう。

 

 

「僕に彼女が出来なかったのはそのせいだ」――なんて大言壮語を吐くつもりはないけれど、一因であることは否定しない。

 

 

 ただ、目の前の彼女は違った。

 

 

 美奈さんという超一級品の女性の近くにいたせいで、天狗状態になっていた僕を、高橋さんは思いっきり殴りつけて、正気に引き戻してくれた。その衝撃は、新しい性癖を開拓された時みたいな……大きな悩みが解決した時みたいな……。そんな清々しいものだった。

 

 

 だけど、賢者モードに近い状態になって冷静さを取り戻した僕の頭は、この夢のような現実に、今更ながら置いてけぼりを食らっていた。

 

 

 日本中の男性からの人気と性欲を二分する超人気グラビアモデル――その両方と知り合ったという事実。しかも、片方とは古くからの幼馴染、もう片方は自分が描いている作品のファン……。そんなまさにフィクションのようなリアルに、脳の処理と理解が追いついかない。

 

 

 それに加えて……

 

 

「は、はい……! 私で先生のお役に立てるなら……。今度の即売会で売り子、是非やらせてください!!」

 

 

「だってさ、よかったねせんせ~。夢が叶ったじゃん♪」

 

 

 そう――――。日本を二分するほどの人気を誇るグラビアモデルの合同撮影に同席できただけでなく、僕は今度の即売会……あの日本一有名なイベントで、この二人に売り子をしてもらうのだ。

 

 

 秘部がギリギリ隠れるくらいのTバッグ水着に身を包み、四つん這いで肉付きのいい尻と太腿を強調した写真。ガラス張りのシャワールームで濡れた体のまま、手ブラ状態で立ち尽くしている写真……。

 

 

 AVのパッケージやPV映像に使われてもおかしくないくらい過激なエロ写真やイメージビデオ……。それらがごまんとある彼女たち。

 

 

 世の男性たちが幾度となく、そして際限なく興奮と肉欲を滾らせ、自分を慰める際のオカズに使ったであろうドスケベボディを持つ二人の美女。――そんな超ハイランクの彼女たちに、同人作家なら誰もが一度は願うコス売り子をしてもらう……。

 

 

 そんなハーレム物の主人公並みに恵まれすぎた環境に、突如放り込まれた僕。――知恵熱どころか今にも、やかんみたいな音をたてて、頭がパンクしそうだ。

 

 

「――――さて、それじゃあ、ちゃちゃっと撮影終わらせよっか、綾華ちゃん」

 

 

「あっ、はい……。先生の前だと、ちょっと……緊張しちゃいますけど、が……頑張ります……!」

 

 

 そんな僕をよそに、二人は撮影の準備を始めた。僕は冷静に今の状況を整理するため、なるべく人目のつかない奥地に逃げこむ。

 

 

「――せんせ~、おまた~~♪……ってぇ、あれ? せんせ~? いいの? そんな奥で……」

 

 

 でも、そんな弱腰丸出しの僕を美奈さんは見逃さない。

衣装に着替え終わったのか、ボディタオルに身を包んだ美奈さんが、僕を見つけて、声をかけてきた。

 

 

 僕はその声に、「撮影の邪魔をするわけにいかないですから」と答えた。すると、美奈さんはいつもの小馬鹿にした口調で、その言葉を遮った。

 

 

「違う、違う。そうじゃなくってぇ~……♥」

 

 

 美奈さんがわざとらしく僕に体を押し当て、耳元に顔を寄せる。

 

 

「私たち現役スーパーグラビアモデルの、ドスケベすぎる姿……。近くで観察しなくていいのかなぁ~~?♥日本全国の男たちをムラつかせるエロ姿勢も、ぜぇ~~んぶ独り占めできるんだよ?♥もしかしたらぁ……完品だと修正されちゃって見えないところも、見えちゃうか・も♥♥」

 

 

 美奈さんは本当に男――いや、僕の感情を手玉に取るのが上手い。

最近流行りのバイノーラル音声……俗にASMRと呼ばれる作品のような、脳に直接響くエロ声で僕の脳を更に沸騰させる。

 

 

「ねぇ、せんせ~も知ってるでしょ? 最近のグラビア撮影って、すっっっごぉ~~~く過激なんだよぉ?♥ヌード撮影は当たり前♥水着もぉ、たこ紐みたいに細かったりぃ、つけただけでおっぱいが透けちゃうやつとか……ばぁぁっかり♥――もちろん下もおんなじ。えっっっぐぅ~~いくらいスケスケだったりぃ……あっ、そうそう♪中には、お股の部分に穴があるタイプのを履かされるときもあるかなぁ……♥」

 

 

 いつもみたく、僕と彼女の二人きりだけじゃないのに、美奈さんはいつもより体を強く密着させ、僕へのボディタッチを繰り返す。蛇が木を登るように、美奈さんの柔らかくプニプニとした指が、僕の胸板を這い登る。その手つきは明らかに、いつものような冗談めいたものではなかった。

 

 

「アタシも綾華ちゃんも、ものすご~~くおっぱい大きくて、お尻もむっちりとした爆尻だからぁ……♥い・ろ・い・ろ♥ハミ出ちゃって大変なんだよ?♥特に、綾華ちゃんはせんせ~のファンだからぁ……♥好きな人に見られて興奮して……乳首が勃起しちゃったり、もしかしたら……下の水着も濡れちゃうかも……♥♥今日はプール撮影じゃなくて、スタジオ撮影だからぁ~~♥誤魔化しきれなくてぇ、スタッフさんたちにバレちゃうかも……♥♥」

 

 

 美奈さんのその言葉に、思わずゴクリ……と喉が鳴ってしまう――――ありえない、そんなわけない、想像するのは失礼なことだ……。そう心では思いながらも、美奈さんの言葉が頭から離れない。

 

 

 美奈さんの言う通り、高橋さんは僕の作品の大ファンだと言ってくれた。その事実に嘘はないはずだ。その彼女からしてみれば、この状況はそんな憧れの人に自分の仕事を……自分のあられもない姿を直接見て貰う機会なのだ。

 

 

――――そんなの、緊張しない方がおかしい。

 

 

 そして、僕もその“まさか”を……美奈さんが囁いた幻想をどうしても想像してしまう。

 

 

 大げさに見積もっても下の上……いや、なんとか下の中にさしかかれそうなくらいの僕。そんな僕がなんの因果か、上澄みの上澄み……最上位規模のサークルでしか実現できない売り子――――それも、現役の人気・知名度共に抜群のグラビアモデル二人にしてもらうのだ。

 

 

 天地がひっくり返っても手の届かないはずの夢が現実になったことで、僕の中にそのあり得ないIFへの期待感が強く芽生えてしまう。

 

 

「ほぉらぁ……想像してよぉ、せんせ~♥世の男性たちが一年間、毎日まいにちぃ……ず~~っとオナネタにして、チンポ扱いてるドスケベグラビアアイドルのエッチなポーズ♥それが目の前で拝めるんだよ?写真にはぜぇ~~~ったいに写らない。……写っちゃいけない、女の子の秘密でぇ、エッチでぇ、オスを誘惑しちゃうトコロ♥♥ネットのどこにもない、ここだけの……せんせ~しか見れない、おえらいさんも認めるぅ、合法で完全無修正なエッッッッッロ~~~い姿……♥」

 

 

「――みなくていいのかなぁ~~~?♥」

 

 

 普段の小馬鹿にするような声とはまるで違う、僕の……男の欲望に火を注ぐためだけに発せられる甘い声が脳に溶け込む。同時に、いつもこれみよがしに見せつけられている爆乳が、僕の腕をその深い谷間に引きずり込む。

 

 

ふにゅ♥もにゅにゅ♥むにゅうぅぅ~~……♥♥

 

 

 腕から感じる柔らかい感触は、まるでスライムの海に腕をまるごと突っ込んだようだ。その快感が血管を通して、下腹部に強烈な刺激となって送られる。

 

 

 口の中の水分が全て持っていかれたように、乾く。それでもなんとか口を開き、僕が喋ろうとしたその瞬間――――。

 

 

「なぁ~~んて♥そんなわけないでしょ、せんせ~♪アタシたちこれでもプロだし、NGくらいあるって~の。第一、もしそんな写真撮ったら、事務所が黙ってないし、信用問題になるから誰もやらないってw」

 

 

 美奈さんはケロッと態度を変えて、いつもの僕を小馬鹿にしたような口調へと、一瞬で戻った。美人局とかハニートラップなんて言葉があるけれど、それをトップグラビアモデルがやると、ここまでの威力を発揮するのかと、僕は末恐ろしくなった。

 

 

「ほ~~っんと、せんせ~はいつも最高の反応するよね~♪ なんていうか……いかにも、童貞丸出し!って反応で……」

 

 

 美奈さんは組んでいた僕の腕を解放し、ケラケラと演技じゃない本心からの笑いを浮かべる。わざわざ東京まで僕を連れてきて、最初にやることが、いつものように僕を小馬鹿にする事なんて、ちょっと子供っぽいと思う。

 

 

 でも、彼女の幸せそうで、楽しそうな笑顔を見ただけで(まぁ別にいっか……)と思えてしまう。多分そんな僕も、すっかり調教されているんだろう。

 

 

「ま、写真で保存とかは流石に無理だろうけど、せんせ~が気づいたことをメモするくらいなら、イイんじゃない?それくらいなら、撮影の邪魔にもならないしね。……それに、こういう業界の人って、何気せんせ~みたいな同人作家?さん重要視してるっぽいし……終わった後なら意見交換とかも出来るんじゃない?」

 

 

 ひとしきり笑った美奈さんは、見学する僕に注意事項を説明する。その口調と顔つきは、完全にプロのモデルそのもので、さっきまでのおちゃらけた態度が嘘のように真剣だった。

 

 

「今日はそんなポージングもそんな難しくないやつばっかりだし、すぐ終わるでしょ。見た感じ、スタッフさんもいつもの人たちだし」

 

 

 美奈さんはそう言って、撮影準備をしているスタッフさんにウインクする。その言葉通り顔見知りなのか、スタッフさんたちも、それに気づいて手を上げたりして返事をしている。……いつもとは違う美奈さんを目撃した僕は、ちょっとかっこいいと思ってしまった。

 

 

「撮影準備できました! お二人共、スタンバイお願いしまーす!!」

 

 

「「はーい!」」

 

 

 ちょうどいいタイミングで、ADさんっぽい人が声を張り上げる。美奈さんと、いつの間にか僕の隣にいた高橋さんが、大きく返事をした。

 

 

「えっと……じゃあ先生、その……行ってきますね」

 

 

「あっ、はい……。頑張ってください」

 

 

 どこか赤く照れた顔で高橋さんが僕にそう告げた。僕は掛ける言葉が思いつかず、月並みな言葉を返した。でも、それでよかったみたいで、高橋さんはすごく嬉しそうな顔をして、たくさんのカメラが向けられている、スタジオ中央へと歩いていった。

 

 

「さ~~ってと……それじゃあ私も、パパっと終わらせますか!」

 

 

 高橋さんを見送った美奈さんはその場で伸びをしたあと、羽織っていたボディタオルを脱ぎ始めた。威風堂々と歩く高橋さんに触発されたみたいだ……。

 

 

「――――あ、いけない。これ言うの忘れてた……。ねぇ、せんせ~」

 

 

 ボディタオルを脱ぐ直前。美奈さんの動きが止まり、また僕に近づいてきた。

 

 

「言っとくけど、さっきのはあくまで“お仕事”での話♥せんせ~が個人的にする場合は、NGもぉ、事務所も~、なぁ~~~んにも関係ないから……♥もちろん、売り子もそう♥どんなドスケベでエッチなコスプレでもしてあ・げ・る♥♥サークル主?の、特権ってやつ♥♥」

 

 

「綾華ちゃんもさっきの聞こえてたはずだけど、否定しなかったってことは……そういう事だからね♥♥――ヒュ~~♪せんせ~ってば、モテモテだねぇ♥」

 

 

 美奈さんがそんな悪魔のような捨て台詞を吐いて、スタジオ中央へと歩いていった。その一言は、順調に沈静化していた欲望を、一気に復活させ、全身の血流速度を上昇させた。

 

 

 ――――結局僕は、貴重な勉強の機会であるグラビア撮影を、ほとんど活かすことができなかった。

 

 

◆ ◆ ◆ ◆

 

 

 年に二度、有明で行われるオタクの祭典。

今や総開催数は三桁にのぼり、その経済効果は一回の開催で約百数十億円とまでいわれる超ビックイベント。

 

 

 そんなオタクならば誰もが一度は参加したいと願う大祭典に――僕は初参加、しかもサークル参加している。美奈さんと高橋さんの合同撮影日が近かったので、試しに参加申込をしてみたら、運良く当選したのだ。

 

 

 当然、僕は大手サークルなんかじゃないし、スペースも壁際でもなんでもない。たまたま当選した、吹けば飛ぶような、弱小個人サークルだ。

 

 

 当選したときは、一応SNSで告知したけれど、あの時期のTLはただでさえ当落発表で流れがはやい。そんな中、フォロワー500未満の僕の告知なんて、目に留まる事がまず奇跡と言っていい。僕の当選を知った人なんてせいぜい、当選サークル一覧を作ってくれている人みたいな、ごく一部の有志くらいだろう。

 

 

 だけど……。

 

 

「新刊と旧刊を一冊ずつですね! 800円になりま~す♪」

 

 

「はい、1000円お預かりいたします。――こちら、200円のお返しです。お買い上げ、誠にありがとうございます」

 

 

「次の方どうぞ~♪ 後ろの方は前の方を押さないよう、お願いしま~す!!」

 

 

 僕のサークルには長蛇の列が形成されていた。理由はもちろん、周囲の視線を集めてやまない二人のコス売り子だ。――その証拠に、並んでいる人たちの中には、既に同人誌を買い終えた人たちも、その場を離れず紛れている。

 

 

 一秒でも長く、彼女たちを長く目に焼き付けておきたいからだ。

 

 

「新刊残り15部です! なくなり次第、完売となりま~す♪」

 

 

「えっ、マジですか!?」

 

 

「マジです♪ 『指揮官様に嘘なんて、死んでもつきませんわ~♥』」

 

 

「うわぁ、スタイル以外も再現度すげぇ……。じゃ、じゃあ……1冊ください」

 

 

「は~い、ありがとうございま~~す♪」

 

 

 次から次へとやってくる無数のオタクたち。そんな彼らを、前日に高橋さんから教えてもらって身につけたにしては、やけに堂に入った演技で、いとも容易く手玉に取っているのは、僕の幼馴染である美奈さんだ。

 

 

 彼女は今、大人気の美少女艦船ゲームに出てくる、ある人気キャラのコスプレをしている。

チューブトップのように、肩と上半球を大きく露出した、赤い和風の羽織に同色のミニスカート。そして黒のニーハイソックス……。

 

 

 それは、初期衣装のコスプレなのだが、それが実に様になっている。というか、ゲーム内のグラフィックと比較しても一切遜色がない。

 

 

 実装当初、ネット上でさえ『よく審査通ったな』、『やっぱなんだかんだ言って、あそこもエロには勝てないんだな』、『エロは世界を救うの実例がまた一つ増えたのか……』などと言われていたのを覚えている。

 

 

 そんなキャラの一番の特徴は、巨乳キャラが大半を占めるゲーム内でも、最大級の大きさを誇るその乳房だ。公式でサイズは公表されていないが、少なくとも、これまで僕が見てきたファンアートは全て巨乳だった。

 

 

 だがそれは、あくまでも二次元だからありえること。もし、その姿を現実で忠実に再現しようものなら、即公然わいせつ罪で捕まってしまう。……それくらい、露出が激しいキャラなのだ。

 

 

 しかし、美奈さんはそんな姿を完璧に再現できている。元々高身長で美しく長い黒髪をしていたのも相まって、その再現度は凄まじい。そしてなにより、彼女のバストサイズが元キャラとといい勝負なため、詰め物なしで、完全再現に至っている。

だからか、多少口調に違和感を感じたとしても、それが凝りになることはない。

 

 

 ――――常人ならば、恥ずかしくて着れないであろう衣装も、平然と着こなしている……。流石は人気絶好調のグラビアアイドルだ。

 

 

 そしてもう一人。美奈さんの隣では、メイド服姿の高橋さんが売り子をしている。

こちらも、同じゲームに登場する人気メイドキャラの一人、その初期衣装であるメイド服のコスプレをしている。

 

 

「旧刊三冊と新刊一冊ですね、1400円でございます。……はい、丁度お預かりいたします」

 

 

「はぁ……すげぇ。マジでそっくりだ」

 

 

「お褒めいただき感謝いたします、『ご主人様』」

 

 

「うわっ、やべっっ……! 今、俺ゾクってきた!! あのっ、俺! このゲーム始めたときから大好きで、ずっと秘書艦にしてるんです!!」

 

 

「『左様でございますか。ご主人様のご期待にお答えできるよう、これからも誠心誠意仕えさせていただきます』」

 

 

「……やべぇ、完璧に再現できてる。……あっ、ごめんなさい。急にキモいこと言って……」

 

 

「――あっ、いえ、大丈夫です。気持ちは……わかりますから。『ですが、ご主人様。どうか他の方にはご自重くださいませ』」

 

 

「原作セリフへのつなぎ方うっま……。はい、気をつけます。ありがとうございました」

 

 

 彼女は美奈さんと違い、キャラのなりきりも板についている。なんでも、僕の同人誌で使われた作品は調べて、人気キャラや使用率の高いキャラ程度は、wikiなどを参考にして完全に把握するらしい。

 

 

 そして、彼女もまた美奈さんと同様、凄まじい再現度を誇っている。衣装は通販で手に入れたものだけど、生まれつきの恵まれたスタイルと、美しい銀髪はやはり生まれ持った者だけの特権だ。

 

 

 首元から胸にかけて大きく開いた襟ぐりからは、高橋さんの巨乳と深い谷間が露出し、肩から肘にかけてむき出しになっている部分には、彼女の雪のように白い肌が惜しみなく晒されている。

 

 

 下はロングスカートだと暑いのか、ミニスカートに改造されている。だがそれはそれで、白いハイソックスに包まれたスラリと長い脚が露になっていて、原作とはまた違った良さを演出している。

 

 

 とまぁ、大手サークルのスペースでも滅多に見ないほどの超絶美女二人が、聞いたことのない無名サークルでコス売り子をしているのだ……。目立たないわけがなく、噂にならないわけもない。

 

 

 ――――実際、休憩ついでに、ネットで軽く調べてみると、二人のことは当然のように噂されていた。

 

 

『おい、お前ら艦船ゲー島にあるあのサークル行ったか? なんであんな美人が2人もいるんだよ。あそこ壁サーでも、誕生日席でもねぇぞ?』

 

『いやまず、その美女がしてたコスプレ完成度ヤバすぎだろ。マジで生まれ変わりかと思ったわ』

 

『わかる。ってか、あのクオリティーは間違いなくプロだわ。いや、マジで誰だ? レイヤー界隈はあんま詳しくないからわからん』

 

『それな。あれだけ似てるんだ。どこかしらで話題になってそうだけど、少なくとも俺は知らないな』

 

『私も~。そもそも、あそこまで再現できるレイヤーなんて、相当限られると思う~!』

 

『なんとなくだが……あの二人に関しては、レイヤーじゃない気がする。有名人がお忍びで参加するのに近いかんじ』

 

『あー、なんとなくわかる……。画像見たけど、なんか、オーラ?が違うもん。多分、プロのモデルとかじゃね?』

 

『……いや、なら尚更謎だろ。なんでプロモデル2人が、企業でも、大手でも、壁サーでもなんでもない、ほぼ無名の個人サーでコス売り子してんだよ』

 

『言われてみれば確かに……なんかムカついてきた。あのレイヤーの画像誰か持ってる?腹いせにシコるわ』

 

『自分でやれチー牛。てか、あのレイヤー二人とも、なんか見覚えあんだよなぁ……』

 

 

 といった感じで、話は到底尽きそうになかった。

僕が迂闊なことをしない限り、二人の特定はされないだろう。――が、そのかわりなんだか今にも誰かに襲われそうな気がしてならない。

 

 

『指揮官様♥お疲れのようでしたら、この”アタシ”が身も心も癒やして差し上げますわ~♥♥』

 

 

 耳元から甘ったるい声がかけられた。驚いて椅子から跳ね上がると、そこにはコスプレ姿のままの美奈さんが、いつものイタズラな笑みを浮かべて立っていた。

 

 

「休憩中で接客しなくていいからって、油断大敵ですよ。せんせ~♪」

 

 

 ただでさえ身長が高い美奈さんが、パイプ椅子に座っている僕に視線をあわせるため前かがみになる。

 

 

 まず間違いなく、その体勢は昨日の撮影でも何十回と行われただろう。でも僕は、撮影が始まる直前に彼女からかけられた言葉に囚われ、一回もメモを取らずに、ずっと下を向いて悶々としていた。

 

 

 だから、この時はじめて、彼女の……現役超人気グラビアモデルの洗練された美貌の威力を目の当たりにした。

 

 

 ロングストレートの黒髪がポニーテールになったことで、普段は隠されているうなじや首周りがあらわになっている。大きな瞳はカラコンで朱色に染まり、アイラインやマスカラで強調された長く美しい睫毛とともに、彼女を妖艶な女性へと変貌させている。

 

 

 そしてなによりも、デカすぎる彼女の胸がすごい。まさに乳袋と表現する他ないような巨乳が、前かがみになったことで、深さを増した谷間とともに、僕の視界に殴り込んできている。

 

 

 ――――これはもはや、凶器だ。こんなものを目の前にして、平静でいろというのは無理がある。

 

 

 僕は目を背けた。でも、それで見逃してくれるほど、美奈さんは優しくない。

 

 

「せんせ~♥なんだか目つきがイヤらしいけどぉ……どこみてるんですかぁ~~♥♥」

 

 

 僕が目を背けようと正面に向き直ると、既にそこには美奈さんが待ち構えていた。そして、今度は蹲踞の姿勢になり、その二つの乳袋を僕の膝の上に乗せた。

 

 

ずにゅううぅぅ~~……♥ずしっ♥むにゅにゅぅぅ~~……♥♥

 

 

 美奈さんの乳袋はスライムのように、むにゅり♥とその形を変えて僕の膝の上に乗っかり、沈み込んでくる。まるで巨大な高級クッションを乗せられているような快感が押し寄せる。

 

 

 あまりの気持ちよさに、膝を叩かれたみたいに、勝手に足に力が入り、浮き上がろうとする。だが、それを上からおさえつけるほど、彼女のデカチチはずっしりと重い。

 

 

(いったい何キロあるんだろうか……)

 

 

 その考えはスグに、"それだけの重さのものが、自分の体に乗せられている”という思考へと変わる。そして、血管を通じて股間に熱と大量の血液が送られ、ジワリジワリと硬くなっていく。

 

 

「ほらほら、せんせぇ~♥どこ見てたんですかって聞いてるんですよ~? ちゃんと答えなくっちゃ……♥コミュニケーションをしっかりとらないとぉ……いつまでも童貞のままだぞ~~……♥♥」

 

 

 未だ賑わい続ける即売会の喧騒の中、明らかに僕が見ていた場所を知っている美奈さんが、カマトトぶりながら僕を煽る。普段のからかいよりも、昨日の撮影前よりも……過激で、露骨な誘惑行為に、僕の股間は高く盛りあがる。

 

 

「今日アタシが応対した人の中にも童貞っぽい人はたくさんいたけどぉ~……♥せんせ~ほどわかりやすい人は、いなかったよ~~? あ~あ……♥今日、本を買った人たちはどう思うんだろうねぇ♥おっぱいが大きくて、オタクを毛嫌いしない、超ドスケベコスプレイヤーを二人も侍らせてたサークル主?がぁ……小学生並みの異性耐性しかないって知ったら……♥♥」

 

 

 彼女の言葉に返すことができない。彼女の僕に対する言葉は、逃げ場もないくらいに正論だ。

 

 

 さっき見たネットの反応から考えると、主に美奈さんたちの正体解明に関する話題と、僕に対する嫉妬の二つに話題が分かれるだろう。

中には既に彼女たちの正体に、感づいていた人もいた。

 

 

 だが、まさかそんなモデル二人にコスプレさせ、売り子にしていたサークル主が、小学生レベルに初心だなんて誰も思わないだろう。

 

 

「でも、アタシはそんなせんせ~好きだよ♥」

 

 

 それまでの挑発口調から一転 唐突な告白と受容の言葉が降りかかる。

 

 

 これまで長年の経験から、てっきり矢継ぎ早にこちらを煽る言葉が続くと思いこんでいた僕。思わず、顔をあげて、美奈さんと目を合わせてしまう。

 

 

 僕の視界の中心にあったのは、これまで何度も目にしてきたこちらを小馬鹿にしたような笑顔を浮かべた美奈さんではなかった。そこにいたのは、頬を染めて、潤んだ瞳でじっと僕を見つめる一人の女の子だった。

 

 

 ――――その時の美奈さんは、これまで見たどんな美奈さんよりも美しかった。

 

 

「だって、変に嘘ついたりしないし、見栄もほとんど張らないんだもん♥それに、サイコロみたいに表情コロコロ変わるしさ……そんなの、見てるだけで面白いじゃんw」

 

 

 異性との交際経験が豊富な人なら、さっきの美奈さんの「好き」が、決して恋愛的な意味を持っていないことは百も承知だっただろう。――でも、生憎と僕はそうじゃない。

 

 

 生まれてこの方、彼女の一人どころか女友達すら出来たことのない僕は、その言葉を本気で受け取ってしまう。

 

 

 その発言をした彼女――――美奈さんがどんな性格の人かなんて、重々わかっていたはずなのに、「好き」というたった二文字の言葉を耳にしただけで、僕の心は過去最高に跳ね踊った。

 

 

 結果としては、僕の早とちり。……先走った童貞丸出しの勘違い。つまり、僕はまた美奈さんに情緒をいいようにもてあそばれた。でも、不思議と嫌な気持ちは全くしなかった。

 

 

「あっ、な~にぃ~その顔……♥もしかしてぇ…………今、アタシが「好き」って言ったから、ドキドキしちゃったのかなぁ~~?♥♥『本当に告白された!』って思っちゃった~~っ??♥♥」

 

 

 そんな誰もが笑うくらいに愚直な僕の心情を、これまで散々僕をおもちゃにしてきた美奈さんが見抜けないわけもない。彼女は僕の膝の上に乳袋を乗せたまま、僕の顔を覗くように、じーっと見つめてくる。

 

 

 彼女のグラビアモデルとしての異名どおり、本物のお姫様みたいにきれいで整った顔が、真正面から僕を覗き込む。

 

 

「ふ~~ん♥そっかぁ~~……♥♥そういえば、せんせ~って……彼女どころか、女の友達すら出来たことなかったんだっけぇ~~?♥でも、仕方ないか~♥ずぅ~~~~っと、絵ばっかり描いてきたもんね♥女の子を上手に描くことに夢中で、耐性なんてつける暇なかったんだよね~~♥」

 

 

 彼女は僕を、『サイコロみたい』だと表現したけれど、もはやそれすら誤りだ。僕はビー玉のように彼女の言葉の上で転がされていた。彼女の放つ言葉一つ一つが、僕の喜怒哀楽を完全に操り、自由に一喜一憂することを許さない。

 

 

「だから早とちりしちゃったんだよね♥普通なら、軽く流しちゃうお遊びの「好き」って言葉に……『本気で告白された!』って思っちゃったんだよね……♥♥仕方ないよ……っ♥こんなにカワイくて、エッッロ~~い女の子から、面と向かってそんな事言われたの……生まれてはじめてだもんね♥」

 

 

 美奈さんは僕という人間の取扱説明書でも持っているのだろうか……。ついさっき抱いたばかりの感情を、一言一句、抱くに至った理由まで見事に言い当ててくる。

 

 

「いいよ……♥」

 

 

 またバカにされると身構えていた僕に振りかけられたのは、予想とは正反対の受容の言葉だった。

 

 

「いいよ……っ♥せんせ~が望むなら、何回でも言ってあげる♥せんせ~、好き♥大好き♥♥アタシ、せんせ~のことがすき♥すっごくすき♥おかしくなりそうなくらい、好き♥ダイスキ……っっ♥」

 

 

 美奈さんは僕の目を穴があきそうなくらい見つめたまま、お母さんみたいに優しく、甘い声で「好き」を連呼する。その言葉が耳に届く度、鼓膜を揺らすたび……脳内がトロトロの蜜で覆われたように思えてくる。

 

 

 ここが外でも、周りに沢山の人がいるのも――――もはやどうでもいい。僕はまるでネカフェの個室や自分の部屋で、エッチな音声を聴いているような気持ちに浸る。

 

 

 それくらい、彼女の……美奈さんの、好き好き攻撃は最高に気持ちいい。

 

 

「あ、言っておくけど嘘じゃないよ、せんせ~♥だってアタシ、超有名グラビアモデルだよ? 確かにお仕事だと水着姿とか、ヌード姿になってるけど、公私はきっちりするタイプだし♥♥せんせ~のことが好きだから……大好きだから♥こうして、お仕事でもないのに、露出の多いエッッロ~~~いコスプレしてあげてるの♥♥作品のことも、このキャラのことも……ほとんど知らないけど……っ♥せんせ~と一緒にいるから、せんせ~がエッチな目で見てくれるから……っ♥やってあげてるんだよ……っっ♥♥」

 

 

 いつの間にか、美奈さんが僕の目の前から背後に……僕の背により掛かるように回り込んでいた。そのまま、彼女の長い両腕が、僕の首を挟むようにして胸の前でクロスした。

 

 

 座っている僕の倍以上の身長を誇る美奈さん。そんな彼女によるこの体勢は、おんぶと言うよりはのしかかりに近い。僕の後頭部には、柔らかすぎる二つの果実が押しつけられている。まるでベッドのように、僕の頭を優しく受け止めるその感触に、身体がビクッと震える。

 

 

 僕は、美奈さんにその事を伝えるため、首を動かそうとした。だけど…………

 

 

「ダメだよ、せんせ~♥動いちゃダメ♥こういうのは、堂々としていた方が、逆に気づかれにくいものな~の♥ほら、このサークルで一番偉い人なんだから、ビシッと前を向いてなきゃ……ねっ?♥♥」

 

 

 美奈さんが顎を僕の頭頂部に載せてその動きを止めた。相変わらずの優しい口調で、僕に語りかける美奈さん。でも僕には、さっきとはまるで違う声が響いていた。

 

 

 口から近い顎が頭上に直接触れているせいか……彼女の声が脳内に直接轟く。まるで全部の脳細胞がスピーカーになったみたいに脳に響き渡り、快感の電気信号とともに彼女の甘くとろける声が全身に届けられていく。

 

 

「ねぇ、せんせ~……♥わかる?せんせ~は今、日本のトップモデルにエロコスさせてぇ♥グラビア界屈指のデカパイを……枕代わりにして寛いでるんだよ……♥♥」

 

 

 彼女の甘い声で判断力が低下している僕に、さらなる興奮材料が追加される。

 

 

「アタシのおっぱい、大きくて……柔らかくて気持ちいいでしょ……♥お仕事でも、毎回スタッフさんたちに、エロい目で見られちゃうアタシのおっぱい……♥写真に撮られただけで、日本中の男の人の精液を……ビュルビュル搾り取っちゃう、エロエロおっぱい…………♥今日もたぁ~~くさんのオタクから、女の子にぜ~~ったい向けちゃいけない視線で視姦されたムチムチおっぱい……♥♥それが今、せんせ~専用のおっぱい枕になってるの♥♥」

 

 

 いつも僕をからかう時とはまるでちがう――――本当に別人が喋っているんじゃないかと、疑ってしまうような甘い声で囁かれ続ける誘惑の言葉。

 

 

 頭を上から抑えられ、顔は前に固定されたまま、後頭部と首の後ろから、たぱったぽっ♥と音を立てて、柔らかい肉毬が揺れる音が聞こえる。

その音を聞くたびに、脳がますます消え溶けそうな感覚に陥る。

 

 

「せんせ~?♥今、せんせ~専用の枕になってるこのおっぱい……♥サイズいくつだと思う?」

 

 

 ゆりかごに揺られているような気持ちよさの中、美奈さんが僕に質問を投げかけた。まともな思考力を削がれた状態でも、なんとか頭を働かせて、彼女の事務所が公表した最新の3サイズを思い出す。

 

 

 ――――たしか、98センチだったはずだ……。

 

 

「ぷふっ……。やっぱり引っかかったね、せんせ~♥」

 

 

 僕の答えを聞いた美奈さんは、吹き出したように笑った。

そして、不正解の罰とでもいいたげに、僕の後頭部に添えたおっぱいを、ぐにぐにゅ♥と押し当ててきた。

 

 

 荒波に揉まれるように頭が……脳が揺さぶられる。宙に浮いているような気持ちの中、三半規管が揺らされる。

でも、少しも気持ち悪くない……。むしろ、もっとそれを続けてほしいと思うくらいだ。

 

 

「せんせ~が今言ったサイズはねぇ……♥事務所の指示で、サバを読んだ数字……つまりは、う・そ♥♥――あんまり大きいと、『偽物だ!』って疑う人がでちゃうんだってぇ。失礼だよね、アタシでさんっ…………っざんっシコシコしてるくせに……♥」

 

 

 頭ごとフラフラと揺らされている中、脳内で美奈さんが言った言葉が繰り返される。

 

 

 サバを読んでいる――――つまり、真っ赤な嘘。……98センチという日本人の中では、間違いなく巨乳に分類されるであろうサイズが……。

という事はつまり、今自分の頭を受け止めているこの乳枕は……それ以上のサイズだということになる。

 

 

「正解は……108センチのIカップ♥もう、1メートル超えちゃってる、超超ちょ~~デカパイなんだ……♥♥しかも、グラビアアイドルだから、垂れ乳なんかじゃなく、ツンって上向いたハリのある円錐形のロケットおっぱい♥♥普通、私みたいに大きい人は釣鐘型って言って、ちょっと垂れ気味になるんだよ♥綾華ちゃんがまさにそうかな~♥♥」

 

 

 僕の頭上で語られる美奈さんの本当のバストサイズとカップ数。

 

 

 事務所発表のスリーサイズを思い出すので、力を使い果たした僕の頭は、彼女の言葉の全てを理解することはできなかった。でも、一つだけ、意味が理解できた言葉あった。

 

 

 ――――「1メートル」その言葉が脳に焼きつき、何度も咀嚼される。1メートル、100センチ……広げた新聞紙と同じか、それより少し大きいサイズ。

 

 

 そんな巨大おっぱいが今、僕の頭を受け止めている……。その事実に、全身を流れる血液が一気にその温度を上げ、体のある場所へ……既に突き破りそうなほど盛りあがっている股間へと集まっていく。

 

 

「あの、先生……。新刊、全部売れまし――――」

 

 

 消失していく意識を引き戻すように、新しい声がかけられる。

 

 

「あ、綾華ちゃん。ごめんね~、店番まかせちゃって」

 

 

「いえ、別に……。――それより、何……してるんですか」

 

 

 ツンドラのように冷たい声が、それまでぬるま湯に浸っていた僕の意識を一気に冷まし起こす。その一声で、僕は今の周囲の状況を思い出した。そうだ、まだ即売会は終わっていないのだ。サークル主の僕が油を売っていいわけがない。

 

 

ぎゅううぅぅ~~……♥♥♥むにゅっ,もにゅ、つむみゅっ……♥

 

 

 慌てて立ち上がろうとするも、首に絡みついている美奈さんの腕が締めつけを強め、立ち上がることができない。同時に、悪魔の誘いのように、後頭部から伝わる柔らかい感触が強まる。

 

 

「なにって綾華ちゃん、そんな怖い顔しないでってばぁ~。せんせ~が疲れてたみたいだから、こうして癒やしてあげてたんだ~♥」

 

 

「……」

 

 

 石のように黙ったまま僕たちをじっと一瞥しているメイド――――もとい、高橋さん。その彼女が放っている重圧に冷や汗をかく僕。……そして、そんな彼女が放っている無言のプレッシャーを、まるで感じていない美奈さん。

 

 

「――――美奈さん。戻ってきてたなら、早く……売り子を手伝ってください」

 

 

「え~、新刊?が売り切れたなら、後は綾華ちゃんだけでもなんとかなるんじゃな~い?」

 

 

「二人でやったほうが、効率がいいですから……。それに、その……」

 

 

 高橋さんはそこまで言って、言葉を止めて僕を見た。最初は目に合わせられた視線が、徐々に下の方へとおりていく。そして――

 

 

「……っっ!」

 

 

 ――しまった、やってしまった……。

 

 

 度重なる美奈さんの甘い誘惑台詞と、帽子を被っているように、頭全体から感じる柔らかい胸肉によって、僕の股間は外からでもはっきりと分かるくらいに隆起していた。

 

 

 いくら彼女が僕の作品のファンで、彼女自ら協力してくれているとしても、こんな時にこんな事になっているのを目にしては、幻滅してしまうのも無理はない。

 

 

 機嫌を損ねた彼女が、今すぐ帰宅したとしても、僕には何も言う権利がない。

 

 

「……と、とにかく美奈さん。はやいところ、戻ってきてくださいね。――まだ、お客さんの勢いは弱まってないんですから……」

 

 

「は~い♪」

 

 

 高橋さんは勃起している僕の股間を見ても、特に何も言わなかった。ただ、美奈さんに早く戻るように促しただけで、そそくさと売り場の方へと戻っていった。

 

 

「……ふふっ♪ それじゃあ、せんせ~♥綾華ちゃんの許可もでたしぃ、さっきのつ・づ・き……♥してあげるね~」

 

 

 流石にこれ以上醜態をさらす訳にはいかない。……というか、美奈さんはさっきと違って、間違いなく面白がって声をかけている。僕はなんとか彼女の拘束から逃れようと、賢明に足掻く。

 

 

「大丈夫だよ、せんせ~」

 

 

 暴れる僕を抑えつけたまま、少しも力んでない声で美奈さんが続ける。

 

 

「綾華ちゃんは別に、せんせ~を嫌いになったわけじゃないから。――今の綾華ちゃんが怒っているとしたら、それはほぼ間違いなくアタシにだよ♪」

 

 

 僕はその言葉の意味を理解できず、抜け出そうと暴れさせていた体の動きを止めた。それを見た美奈さんは、話を続ける。

 

 

「綾華ちゃんね、本当にせんせ~とぉ、せんせ~の作品のこと大好きなんだよ♥グラビアを始めた理由も、せんせ~の作品がきっかけだし……♥今回の合同撮影だって、綾華ちゃん側から話持ちかけてきたんだよ?」

 

 

「『先生に直接会えるかもしれないから』って……♥日本を二分する超大人気グラビアモデルの一人に、そこまで想われてるなんて……せんせ~ったら罪な人だね~♥♥」

 

 

 僕の頭の上から発せられている美奈さんの言葉――――それが意味することは、僕の想像を遥かに超えていた。

 

 

 高橋さんは間違いなく、僕が会った美奈さん以外の女性の中で、一番キレイな人だ。グラビアモデルという職業は、まさに天職だといえる。そんな彼女に、まさか僕が……僕の作品がそんなにも多大な影響を与えているなんて、考えもしなかった。

 

 

「そんな憧れで、ず~~~っと大好きだった人がぁ、目の前で自分以外の女におっぱいおし当てられて……鼻の下伸ばして、勃起までしてるんだよぉ~??♥♥」

 

 

 人の情緒を読むのに長けた美奈さんが、僕にもわかるように高橋さんの内心を代弁する。その語りが進めば進むほど、僕は高橋さんから……僕のことを深く愛してくれている彼女から目が離せなくなる。

 

 

「そんなの見たら、嫉妬して当然だしぃ~~♥なにより……その女にムカついてしょうがないよねぇ~~♥♥自分はその人に会うために……好きになってもらうためだけに、トップグラビアアイドルになったのに……♥肝心の意中の人は、ちぃ~~っとも、夢中になってくれないんだもん♥」

 

 

 美奈さんの言葉で、高橋さんの想いがより鮮明になる……。同時に、彼女に対して申し訳ない気持ちが、僕の心を苛ませる。

 

 

「ほら、みてぇ……せんせ~♥綾華ちゃんったら、接客ししているように見せかけて、せんせ~にアピールしてる……♥♥さっきまで、私がおっぱいを押しつけて、あっま~~い声で煽ったみたいに……♥」

 

 

 やがて、美奈さんの話が終わり、彼女の顔が僕の顔の横に、両腕が両肩に添えられる。

 

 

「売り場のテーブルに上半身を乗せて、私のおっぱいに負けないくらいおっきい98センチのエロ尻をこっちに向けてる……♥ミニスカートだから、パンツ……ここからだとほとんど見えちゃってるね♥♥ワンちゃんみたいに腰フリフリして……♥あれ、ぜえぇ~~~っったい、せんせ~のこと誘ってるよ?♥」

 

 

 耳元で紡がれる美奈さんの美しい声による、僕個人に向けた誘惑ダンスの実況。美奈さんとは違い、状況にあった極めて自然な体を装った高橋さんの痴態に、僕は興奮が再び高まるのを抑えられない。

 

 

「せんせ~……綾華ちゃんの脚、すっごい長くて綺麗だよね~~♥綾華ちゃんってね、下半身だけで1メートルちょっとあるんだよ? 見た目だけじゃなく、脚も外国のモデルさんみたいに長いの……♥♥その長い脚が、せんせ~の大好きなキャラと同じ、白のニーハイに包まれて……♥子供の身長くらいに長くてスラッとした美脚も、ニーハイで締め上げられて集まったムッチムチの絶対領域も…………全部、ぜんぶ……せんせ~を誘惑するために使われちゃってるねぇ♥♥♥」

 

 

 頭上から続く美奈さんの淫靡な状況説明。同業者だからこその説得力を持つそれは、僕の理性をガリガリと音を立てて削り、本能を綱引きのように引っ張り出そうとする。

 

 

「イメージビデオ撮影でも、特典DVD撮影でも……ぜ~~ったいにやらない、大好きな人を誘惑するためだけのエロエロ腰振り……♥せんせ~のために日本一のグラビアモデルになった人がぁ、せんせ~の目の前で……せんせ~の望むスケベなコスプレをして、一生懸命せんせ~を挑発してるんだよ……♥♥優越感ヤバいね……幸せすぎておかしくなりそうだね♥♥」

 

 

 高橋さんが僕に見せつけてくる、一見しおらしそうにみえて、その実とても大胆で卑猥な誘惑。

 

 

 美奈さんの言う通り、とんでもない優越感を感じる。重力が反転したみたいに両手が浮き上がり、高橋さんに……目の前にいる僕専用のトップグラビアエロメイドにセクハラをしたいという欲求がムクムクと湧き上がる。

 

 

 だが、僕はそれをすんでのところで踏みとどまる。ダメだ……流されてはいけない。ここで欲望に負けてはいけない……。僕は自分に言い聞かせるように、内心で何度も繰り返す。

 

 

「ふ~ん、我慢するんだせんせ~……♥へぇ~……」

 

 

 そんな僕の葛藤を見透かしたように、美奈さんがまた何か含みのある言い方をした。

 

 

「――――確かに、今はまだイベントの途中だし、初参加のイベントで、サークル主?がセクハラをしたってバレたら……多分出禁になっちゃうよね。――もしかしたら、せんせ~が逮捕されるだけじゃなく、今後のイベント開催すら難しくなっちゃうかもしれないし……」

 

 

 美奈さんが今の現実と、起こりうる最悪の可能性に言及する。

 

 

 そうだ……もし、今僕が、ここで欲望の赴くまま彼女に狼藉を働いたら、僕以外の沢山の人に迷惑がかかる。僕自身も大好きで、参加すること自体が夢だったこの祭典。それを、僕の身勝手で、浅ましくて、下賤な欲望で汚す訳にはいかない。

 

 

 ――――だから、ここはなんとしても我慢しなければいけない……。

 

 

「でも、いいのかなぁ~……?♥あえて自分でいうけど、アタシも綾華ちゃんもぉ、この国を代表するグラビアモデルなんだよ♥? つまり、このイベントに参加してる男のほぼ全員が、一回はアタシたちの写真をシコネタにしたとしても、何も不思議じゃないの……♥♥」

 

 

 でも、この人はそれを……その常識を打ち破らせようとしてくる。

 

 

「そんな日本中の男全員にとって垂涎もののエロボディが、せんせ~以外の男の前に晒されてるんだよ?♥特に綾華ちゃんなんかは、前かがみになってるから、おっぱいが、差し出されるみたいになってるんじゃないかなぁ……♥♥大きすぎてちょっと垂れ気味の形だし……上乳♥ほとんど丸見えなんじゃないかなぁ……♥♥」

 

 

 美奈さんが、僕の性欲をさらに刺激するように、耳元で囁いていく。

 

 

「しかも、綾華ちゃんはアタシとちがって、キャラクターのことも詳しいから、せんせ~以外の人のことも……『ご主人様』って呼んでるんだよ……♥“キャラさいげん”なんて大義め~ぶん?にかっこつけてぇ……せんせ~にアピールするためだけに、露出多めのエロメイドコスしてるくせにぃ……♥せんせ~以外のオスにむかって、何回も、なんかいも……『ご主人様』って……媚び売ってるの♥♥そんなの、許しちゃっていいのかなぁ~~?……♥♥♥」

 

 

 美奈さんの声が、今の状況を別の視点から見て説明する。それは何ら不思議でもない、今まで僕が当たり前のように思いながら過ごしてきた状況。だけど、その言葉は、今の僕にとっては致命傷に匹敵する一言だった。

 

 

 高橋さんのキャラ再現度は、お願いした僕から見ても目を見張るレベルだ。一般入場が始まる少し前、キャラ再現の確認として『メイド』といくらか喋ったが、その時の彼女はまさに、実写化と呼ぶに相応しい出来栄えだった。

 

 

 そんな彼女が、僕のサークルにやって来たオタクたちに、そういった言動を取るのは何ら自然なことだ。むしろ、見た目もそっくりなこともあり、そうしなければ逆に、違和感が生じてしまうだろう。

 

 

 だが、彼女の……高橋さんの心情を知った今では、その再現度は僕にとって不要なものだった。僕のためだけに、今日この場にいる彼女――――つまり、今日一日……彼女は僕専属のメイドのようなものといえる。

 

 

 そんな彼女が、主人以外の男に向かって、敬称をつけて呼び、恭しい言葉で応対するというのは、我慢できない。

しかも、現在進行で僕を淫らに誘惑しているくせに、その釣鐘型のどたぷんおっぱいを差し出すように、他の男に見せつけているなど言語道断だ。

 

 

 普段の僕なら決してしないだろう、自分勝手極まる思考。

 

 

 だけど、再三に渡ってやられてきた美奈さんからの誘惑と、高橋さんの心情を知ったことで大いに高まった優越感。そしてそれによって表出してきた、雄としての生物的独占欲がその考えを当然だと強く主張する。

 

 

「――――やっていいよ、せんせ~♥」

 

 

 僕の耳に、悪魔のあまい囁きが再び脳へと侵入する。

 

 

「せんせ~を誘惑するために媚を売っているくせに、他の男に浮気するようなダメイドなんて……っ♥いっかい、オシオキしないと、ダメだと思うな~……アタシ♥♥大丈夫……アタシが他の人にはバレないように、うまく隠してあげるから……ね?♥」

 

 

 その一言が、その甘言が僕の理性にかかっていた歯止めを打ち壊した。――僕は休憩を始めてからずっと座っていたパイプ椅子から立ち上がり、ゆっくりと高橋さんの元へと近寄る。美奈さんはその背後から、ゆっくりと僕の背を隠すようについてくる。

 

 

「『はい、旧刊2冊で600円でございます。ご主人さっっ――――!!』」

 

 

 接客に夢中で僕の接近に気づいていない高橋さん。そんな彼女の脚……スカートの中でむっちりと肥え太っている絶対領域を鷲掴みにする。

 

 

むにゅぅ……♡むっちぃ……ぃぃ♡♡

 

 

 つき立ての餅のような、柔らかくも弾力のある感触が、僕の指を受け止める。

 

 

 メートル超えという破格の長さを誇る高橋さんの下半身。その上部……これまたメートル近いサイズの爆尻から生えている太腿は、お歳暮用のハムみたいにムッチムチで、たっぷり肉がついていて、その感触だけでどれだけ素晴らしいのかがよくわかる。

 

 

 しかも、ただ肉厚なだけじゃない。トップグラビアモデルという肩書きにふさわしく、日々のストレッチや僕では想像すらできないほど細かいケアが施されているそれは、程よく引き締まっており、手触りもシルクのように滑らかで、いつまでも触っていたくなるような心地よさをしていた。

 

 

「ひゃっ!? な、なっ……だ、だれでっ……!!」

 

 

 キャラ演技をやめて、素の高橋さんが出てきた。はじめて聴いた声のトーンで、なんともかわいらしい悲鳴を上げた彼女だったが、触っているのが僕だと認識すると、声を中断した。

 

 

「っっっ……♡♡」

 

 

むぎゅっ♡むにゅ、もみゅっ……もみもみもみ♡♡

 

 

 しばらく俯いていた高橋さんだったが、前かがみになっていた体勢を直立に変え、接客へと戻った。そして同時に、僕の手首を掴み、更に上部……太ももからお尻へと、僕の手が触れる位置を誘導し始めた。

 

 

「ね? アタシの言った通りだったでしょ、せ・ん・せ♥」

 

 

 僕の背後――ちょうど、僕の腕と高橋さんの背中を隠すように立っている美奈さんが、そっと耳打ちをする。僕はそれに小さく首肯し、高橋さんの誘導に従いながら、彼女の……もう一人のトップグラビアモデルの美脚とデカ尻の感触を味わう。

 

 

 高橋さんの誘導は、ただ僕の腕を動かすだけじゃなかった。

 

 

 太腿は白のニーハイとの感触の違い……。つまり、人工物と天然物の圧倒的な違いを、僕に分からせるように、刻みつけるように、掌全体を這わせ、全体で押し込むように圧力を加えさせる。

 

 

 彼女が履いている白ニーソも、おそらくはそれなりに値が張るものなのだろう。僕のような一般人が、服屋で見かけるような安物とは、感触が全く違っていた。だが、ひとたび彼女の脚に形成された段差……被覆物と生肌の境を超えると、手から伝わる感触はまるで別物になった。

 

 

 まさに山岳と海、あるいは地面と雲。

無駄毛なんかあるわけもなく、皮膚はスベスベかつサラサラ。だのに、その下には信じられないほどの密度をもった肉壁が広がっている。脂肪層に阻まれたその先には、きっと大量の血液が流れていて、無数に積み上がっている細胞には、コラーゲンなどといった美容成分がたんまり含まれているのだろう。

 

 

スススーーーッッ……♡♡ムッチチチイイィィ……♡ムチッ、ムチ、むぎゅぎゅぎゅうぅぅ~~♡♡

 

 

 そんな太ももを上がった先に待つのは、広大な面積と圧倒的な質量を誇る臀部。片尻の肉だけでも、僕の手をかるく凌駕するほどの大きさを持つ彼女の尻。太ももとは違い、その殆どがむき出しになっているエロ肉尻。

 

 

 これまで幾度となく写真や映像に収められ、日本全国の男子の欲望を受け、数え切れないほど妄想の中で犯され、怪我され、揉みしだかれてきたであろう媚肉。その感触は、写真はもちろん、どんなシリコン製の性玩具でも足元にも及ばない、至高の一品だ。

 

 

 そんな魅惑の桃源郷を、僕は思う存分に揉みしだいていく。僕だけじゃない、高橋さんの手もそれを推奨している。五本の指全てを尻肉の海に沈ませて、その中でスキューバダイビングをするかのように、関節を折り曲げさせて、僕の手指を操作する。

 

 

「あ、あの……大丈夫ですか? 後ろの人は?」

 

 

「あっ……♡いえ、ご心配なく。せんせい……っっ♡先生は、このサークルの主です……♡♡」

 

 

 目の前のオタクの声で、高橋さんが注意を戻す。でも、流石にキャラ演技を続ける余裕はないみたいで、挙動不審さが完全には隠せていない。

 

 

「はいは~い♪ 旧刊二つで600円、丁度おあずかりしま~す」

 

 

 急変した『メイド』の態度に怪訝な表情を浮かべる目の前のオタク。そんなピンチをごまかすように美奈さんが声を張り上げ、会計を進める。

 

 

 僕は内心で、安堵のため息を付きながら、高橋さんのスベスベでムチムチな下半身を楽しみ続ける。

 

 

「……♡♡」

 

 

 一方の高橋さんは、何も言いわない。多分、不必要に口を開いて失言するのを防ぐためだろう。その代わり、すこし腰を……お尻を後ろに突き出し、脚を少し広げて、裏腿だけでなく、内側も撫でられるようにしてくれた。

 

 

 数万人の人がいる中で、今日初めて会った人のお尻を背後から好きなように揉みしだく――――きいただけで一発逮捕確定の性犯罪。

 

 

 異性の体に許可なく、身勝手に触れる……。

 

 

 少し前までは、考えもしなかった事を現実にしている。しかも素面で、合意の元……。まさに童貞の妄想の一部が具現化したような事態に、興奮がどんどん高まっていく。

 

 

 これまで幾度となく同人誌やAV、エロゲーなんかのテーマにされてきた行為。性行為における初歩の初歩であると同時に、僕のような女性経験の乏しい童貞にとっては、ブラジルよりも遠い距離にある夢の境地。

 

 

 だからこそ、僕も同人誌では慎重に、自分の理想を込めて描いてきた。自分が触ってみたいと思う……抱いてみたいと思う女性を描き、それに触れるシーンは、描いている僕が羨むような触り方を描くように心がけてきた。

 

 

 それが今、絵に描いた表現ではなく、僕個人が実体験として味わっている。それも男子なら誰もが羨み、欲しがり、想像で犯した身体……。有名なグラビアモデルと聞かれれば、まっさきに名前が上がるであろう高橋さんを、公衆の場で痴漢しているのだ。

 

 

 これまでしてきた妄想の数百倍都合が良すぎる現実に、僕は滾る欲望を抑えることができない。

 

 

「ありがとうございました~♪」

 

 

「『あっ、りがとう……ござい……っっ、ましたぁ……♡』」

 

 

 会計を終えたオタクが売り場を離れていく。気づけば、机の上には何も残っていなかった――完売したのだ。明らかに僕の絵の実力ではなく、美奈さんと高橋さんという、どう考えても僕には分不相応なコス売り子のおかげだ。

 

 

 でも、今はもう……そんな事はどうでもよかった。

 

 

「せんせ~ったら、あれだけとやかく御託並べてたくせに……♥結局、ずうぅ~~っと綾華ちゃんのお尻揉んでましたね……♥♥いや~ん、サークル主の特権振りかざしてぇ、反抗できないコス売り子にイヤラシく痴漢するなんてサイテ~~……♥♥」

 

 

 最後のお客が十分に離れたのを確認した美奈さんが、また僕を揶揄う。自分から火を煽り、燻らせ、けしかけたくせに、酷い言われようだが、反論する気もないし、それが出来る余地もない。

 

 

「『ご主人様……♡完売、おめでとう……ございますっ♡♡』」

 

 

 僕にお尻を揉まれたまま、高橋さんがねぎらいの言葉をかけてくれる。その声は、休憩中の美奈さんと同じように、男を誘うような甘さが含まれていた。

 

 

「先生……♡完売した、お祝い……しませんかっっ♡♡その、この後って……時間、ありますか……っ♡」

 

 

 高橋さんの問いかけが意味するものが何なのかは、流石の僕でもわかった。でも、それは全エロ同人作家の夢といっても過言じゃない内容。

……ましてや、僕のような生まれつき根っからのオタクで、草食どころか露を食べて生きてきたような男には、何度転生しても縁がないような事象だ。

 

 

「うわっ、綾華ちゃんったら……もう完全にスイッチ入っちゃってる……♥まだ撤収作業も終わってないのに、もうオフパコに誘っちゃうんだ~~……♥♥」 

 

 

ぐぎゅぎゅうう~~♡ぎゅむぐぐぐぅぅぅ~~~……♡♡むぎゅ、ぐぎゅ、ぎゅっぐっ……もぎゅもにゅっ♡♡

 

 

 美奈さんが見計らったようなタイミングで、高橋さんが言葉に含ませた事を、直球に言葉に表す。改めて言葉にされたことで、僕の全身に力が入り、お尻を揉む手が握るような手つきへと変わる。

 

 

「っっ……♡♡」

 

 

 僕の手にお尻を潰されて、高橋さんの口から吐息が漏れ出る。同時に、彼女のお尻がさらに強く突き出される。

 

 

 高橋さんは僕の手を振り払うことなく、むしろより深いところまで僕の手を誘導していく。微かにパンツを浮かせると、僕の中指と人差し指の第一関節あたりまでを、その布の庇護下に入れる。

 

 

 ――――初めて触れた女性の秘部。そこは、梅雨入りしたときのように蒸れていて、指を曲げると水たまりの上で跳ねたときのように……

 

 

ぴちゅ♡ぴちゃ、ぴちゅあ……♡

 

 

 という水音が鳴った。

 




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