地肌の透けて見える薄い衣だけを身にまとい、紫苑は男の来訪を待ち焦がれていた。
寝台の縁に腰掛け、内股を擦り合わせる。璃々の寝かしつけは、すでに終わっていた。ここからは、大人だけの時間。母ではなく、ひとりの女として。明日の朝、愛する娘と心から笑うためにも、必要な儀礼なのだと自らを偽る。
長く忘れていた男根の熱さが、まだ手の中にあるような感じがする。
北郷一刀。言ってしまえば、旅のなんでも屋だった。外見から察するに、自分とは親と子ほどの歳の差がある。そのはずなのに、異質とも思える一刀の落ち着きぶりは、どこからきているのか。
風呂場でのいたずらだけで、気持ちが収まるはずがなかった。むしろ、さらに多くを求めて心が昂っている。それで、一刀とふたりきりになったところを見計らい、閨に誘った。
依頼ならば快く引き受ける、とあの人は静かにほほ笑んだ。
部屋の外から、足音が聞こえる。
ほどなくして、声がかけられた。物音を立てて、一刀はあえて到着を知らせてくれたのではないか。そうした勘ぐりをしたくなるだけの、不思議な雰囲気を備えた青年だった。
「よく、いらしてくださいました。さっ、こちらへ」
「本心からの依頼を、断るわけにはいかない。紫苑さんの苦しみ、始末屋として私が請け負わせてもらおう」
声に、包み込むようなあたたかな響きがある。旅をしていれば、自分のような葛藤を抱く女と出会うことも、ままあるのだろうか。
一刀の腕を取り、ほとんど隠せていない胸の谷間に引き入れる。動揺は、やはり少しもない。ただし、肉体のとある一点が反応を示したことに、紫苑は一刀の人間らしさを垣間見たような気分になる。
「若くてたくましくて、ほんとうに素敵。んっ、はあっ、あっ……。抱いてください、一刀さん。あなたの太い腕で、わたくしを……。あんっ、あっ、んむっ……」
前戯のような口づけは必要なかった。はじめから舌を絡ませ、互いの唾液を間で交差させる。
一刀の手が、衣のうえから胸にふれているようだった。重い肉を搾られると、途端に吐息が熱くなる。甘えるように唇の表面で舌先を遊ばせると、強く吸い上げられた。
「これ、んんっ……、すごくいい。はんっ、んふっ、んっ……。全身が痺れるような熱のぶつかり合い。わたくしが、ずっと、ずっと欲していたもの」
我慢が利かなくなり、一刀の服を脱がしにかかる。はしたない行いであることは、十二分に承知していた。純白の上着は部屋に残してきたようで、黒の薄手の一枚だけが紫苑の視線を阻んでいるのだ。
手を入れて大胆にめくると、鍛え上げられた肉体が姿をあらわす。見かけ倒しの鎧でないことは、ふれてみればわかる。これでも、武人の端くれだという自覚がある。瞬間的な迫力だけならば、連れの思春に軍配があがるのか。
北郷一刀から感じるのは、底の見えないおそろしさのようなものなのだ。
「淫らな行いを、毎晩のように自ら。でなければ、こうも容易く濡れるはずもないか」
なにも着用していない秘部を、太い指が確かめるように前後する。しなやかだが、男らしいざらつきもある指だった。
頭の中心が沸騰していく。一刀からの愛撫に身をふるわせながら、どうにか男根を外に出すことができた。部屋の片隅にある小さな灯りだけが、猛る肉槍を淫靡に照らしている。
粘つく汁の浮いた亀頭を撫でると、昂揚から心臓がとくんと跳ねた。
「ああっ、んっ……。おっ、お゙ーっ、お゙……おっ……♡」
ぐに、っと濡れた中を大きくかき混ぜられたせいで、雌の喘ぎが口から洩れた。
このような声、娘だけには絶対に聞かせられない。興が乗ったのか、一刀からの責めが何度も続く。情けない恰好で男の腰にしがみつき、恥ずかしい蜜で床を濡らす。ちょうど眼の前にあった男根の先を、紫苑は口を開けて貪った。
濃密な雄の味。唾液を全体にまぶしてから吸いあげると、頭の中がかっと熱くなる。
「んっ、じゅっ、じゅぽっ、じゅるるるるっ。はあんっ、あっ、んぅ……。わたくしは、けだものなんです。はしたない声が、とまらない。んぷっ、んーっ、れろっ、んれぇ……。一刀さんのおちんちん、おいひぃ♡ ちんぽ、んっ、ぐぽっ、ぐっ。ちんぽ、すてき……ぃ♡」
そのまま一度達し、膝から崩れ落ちた。それでも、咥えた男根だけは離さない。離したくないから、夢中になって舌を絡ませた。
せっかく整えた寝台には、これではたどり着けそうにない。
一刀が腰を遣って、喉の奥まで亀頭を滑り込ませてくる。嗚咽し、涎がぼたぼたと垂れ落ちようとも、やめる気はまったくなかった。もっと、この匂いと味で口内をいっぱいにしてほしい。床に両手をついた従順な態勢で、男根に奉仕を続けた。
「さすがに、上手いな。いずれの世界においても、熟練の技とは尊いものだ」
「まあ、いけない御方なのですから。誰とお比べになっているのでしょうね、一刀さんは」
一刀が、自分の心を込めた奉仕に悦んでくれている。余裕を崩すまではいかなかったが、手応えがあるだけよかった。
髪を振り乱し、口内にためた唾液と一緒に腫れた亀頭をすする。濃厚な我慢汁を嚥下すると、それだけで腹の奥に熱が生まれた。
一刀の腰。小さく跳ねたかと思うと、呼吸が困難になるほど太いものを突っこまれた。その状態で、熱い液体を直接胃の中に注がれる。
肉体だけでなく、心までもがひどくふるえた。
「んっ、んーっ、んっ、んふ……ぅ♡ んぐっ、ぐっ、ぐっ、んあぅ……♡ んぷっ、じゅるっ、じゅっ、じゅずず」
使い物にならない口の代わりに、鼻でどうにか呼吸を繋いだ。
経験したことのない射精量。大きく爆ぜたあとにも関わらず、男根の勢いには少しの衰えもない。我慢汁とは比較にならないほど、粘度も味も濃い精液だった。腹がちょっと重くなっている。
これだけ規格外なモノの相手を小さな朱里がしているのかと思うと、興奮せずにはいられなかった。
満足したのか、喉奥を満たしていた男根がゆっくりと抜けていく。ふたり分の汁に塗れたことで、いやらしい輝きが全体に拡がっている。
濡れたままの先を頬に押しつけながら、一刀が言葉を発した。
「これが欲しいのだろう、紫苑。それとも、口だけで腹いっぱいになってしまったのかな」
鋭さのある声だった。腹が満たされているのは間違いないが、下の口はまだまだ満足していない。男の性欲に訴えかけようと、その場で仰向けとなり股を開いた。陰毛も入口の襞も、愛液でぐっしょり濡れている。
あとは、言いようのない切なさを、一刀の猛々しさで払拭してもらえればそれでよかった。
影がすっと降りてくる。頭を撫でられると、妙に嬉しい気持ちになった。
「当然だ、眠れなくなるのも。おまえのここは、こんなにも飢えている」
「んあっ、お゙っ、ほおっ、お゙ーっ……♡ きたっ、ちんぽ……、きたぁ……♡」
火傷しそうな肉の熱さ。乾ききっていた原野に、天から多量の水をぶちまけられたような爽快さがある。
これだ。自分が心の底から欲していたのは、これだったのだ。
夜な夜な指で慰めるだけでは、決して得られない快楽。一撃で膣肉を断ち割り、亀頭が最奥まで駆けてくる。これが戦だったならば、自分は見事に敗けたことになる。それが果てしない気持ちよさを生むのだから、男女の交わりはたちが悪い。
「かなりの締め具合だな、紫苑。ためていた寂しさなら、すべて吐き出せ。今夜は、私がいつまでもそばにいる」
「は……、はいっ♡ うれしい、一刀……さん」
喉奥に対する攻勢から一転、一刀の腰遣いが優しく穏やかなものになっている。
依頼人に寄り添う、という強い意志。甘く、蕩けるようなひと時だった。抜群の太さと硬度を誇る男根に、子宮の入り口付近をじっくりと攻め抜かれる。
子宮が降りる、という感覚があるとすれば、いまのような状態をきっというのだろう。
拡げていた両脚を、一刀の腰に巻きつくように固定する。今夜だけは、心も身体もこの人に捧げる。それが、自分にできる精一杯の返礼なのではないのか。
金だけでは、計り知れない価値がある。これが、始末屋。これが、北郷一刀という男。
いましがた、紫苑はその領域に足を踏み入れたばかりなのだ。
子種を欲して、どこまでも中を熱く蕩けさせてしまう。小刻みな腰遣い。いつの間にか、一刀の両手が胸のうえに乗っている。
出ないはずの母乳を、搾り出そうとするような動きだった。胸のつけ根から、かたく凝った乳首の先端まで。何度も、何度も刺激を受けた。
子宮を真下から突き上げられる。執拗な胸への愛撫から、肉体がいつしか勘違いしてしまうのではないか、と少し思えた。
「気持ちいいのか、紫苑。声なら、好きなだけあげていい。おまえのよくなっているところを、私も見たくなっている」
「一刀さんの、いじわる。わたくしがどうなっているかなど、直に繋がっているあなたが一番よくご存知でしょうに。とまらない。挿れられた瞬間から、気持ちいいのがとまらないのです。こんなに、相性がいいだなんて……。あっ、あんっ、んっ、んっ……おおおおっ、お゙……っ♡」
男根が一度退いたかと思うと、再び肉をかき分け奥への侵入を試みる。抽送が行われる度に、甘美な痺れが全身を襲う。
悶々として凝り固まっていた思考が、解き放たれていく。弄ばれている胸がいっそう熱くなっていた。
なにかが、じわりと溢れる。一刀の指は変化を見逃さない。搾り上げる動きが、また強くなった。
「はへっ、はっ……へぇ……♡ 嘘、嘘でしょう? あっ、あっ、ああっ。母乳が、そんなっ♡」
「まさかとは思ったが、驚いたな。しかし、いい光景だ」
久しぶりに浴びた刺激が、きっと鮮烈すぎているせいだ。あるいは、雌であることを思い出した肉体が、本気で孕みにかかっているのかもしれない。
敏感になった乳首をすり潰される。軽く達したのと同時に、追加の母乳を漏らしてしまう。
「吸って、くださいませんか。はしたないお乳、いつまでも、ンッ……♡ ためておくわけには、まいりませんもの。ですから、一刀さん」
懇願を受けて、一刀の顔がゆっくりと胸に近づく。勃起した乳首に吐息がかかる。それだけで達しそうになるのが、いまの自分なのだ。
一刀は、すべてを受け止めてくれる。その安心感があるから、恥部もなにもかもさらけ出せる。
「あっ♡ いっ、いいっ。これ、大好きなんです。おっぱい、もっと吸ってぇ……♡ わたくしの淫らな母乳、たくさん味わってほしいのです」
どくん、と膣内に埋もれる男根がひと回り太くなったような気がしていた。
一刀の舌が、胸の表面をいやらしく這い回る。このまま、母になってもいい。出会って間もない男性なのに、心が惹かれてやまなかった。
勢いを増した亀頭が、子宮の入り口を甘く抉る。まさしく、世にふたつと存在しない名刀だった。だらしなく顔を歪ませ、快楽だけに耽る。
尻を持ち上げられ、杭を打つように、腰をぶつけられた。肉剣が研ぎ澄まされている。もうすぐ、射精がくる。期待と焦りで、膣奥がぞくりとふるえた。
「んふっ、んっ、ふう……う♡ お゙ぅ、んっ……♡ おっぱい吸われながら、おちんぽ打ちつけられるのだめぇ♡ こんなの、おかしくなる。わたくしの頭もおまんこも、一刀さんのことしか考えられなくなるんです。お゙ーっ、お゙おっ、うっ、お゙……んっ♡」
射精。射精。射精。早く、滾った子宮に精液を流し込まれたい。
ためにためた性欲が、爆発しようとしているのか。一番奥に、亀頭がまたぶつかる。わずかだったが、一刀の苦悶するような声が、交わってからはじめて聞こえた。
「あひっ、あーっ、あっ、んお゙ぅ……♡ びゅくびゅくって、元気な子種がわたくしのおまんこにたくさん。ああっ、そんなっ……♡ おちんぽで蓋したら、だめぇ♡ こんなの、絶対孕んでしまいます♡ 無責任な種付けされて、うお゙っ、んあぅ♡ おまんこ、ぞくぞくとまらない♡」
けだものの声で鳴きながら、脈打つ男根を締め上げ続けた。
束縛を緩めるつもりなど少しもない。自分の気持ちをわかっているから、一刀の方にも躊躇はなかった。
「ああっ、あっ……♡ 射精、おしっこみたいですごい……ぃ♡ あ゙っ、だめっ。いくのとまらないせいで、おっぱいもまた♡ 飲んで。全部飲んでください、一刀さん」
淫らな叫びだけが、室内に響き渡る。
乳房を搾られると、失神しそうなくらいの快楽に襲われた。
†
夢のような一夜のあと。
必要以上に朝食をゆったりととったのは、間違いなく別れが惜しいからである。結局、一刀とは陽が昇る直前まで交わった。
おそるべき体力の持ち主。自分が休むことを選んでいなければ、いつまでも付き合ってくれるつもりだったのだろう。閨での戦は、完敗だった。
「紫苑さん。いずれ、また。街を離れる際には、挨拶に伺います」
「こちらにいる間は、いつまでもいてくださって構いませんのに。ですが、一刀さんたちの旅の足どめをして、恨まれるのは嫌ですから」
門の外に出て、三人の旅路を見送る。まだ数日は街に残って、路銀を稼ぐつもりでいるらしい。
夜の分の依頼料は、璃々が起きるまでに渡した。
「おにーちゃん、あのね!」
「これは、璃々ちゃん?」
小さな袋を、璃々が一刀差し出している。どうやら、中身は銭のようだった。
「これ、璃々のためてたお小遣い。それだけあったら、来月も遊びにきてくれる? おかーさんも、きっとよろこんでくれるから、ねっ?」
「あははっ。璃々ちゃんは、とってもおねだり上手なんですね。どうしましょうか、一刀さん」
朱里の言葉に後押しされて、一刀が渋々袋を受け取った。
依頼を了承したからには、やり遂げるのが始末屋の矜持なのである。心の底から、紫苑は璃々を褒めてやりたい気分になっていた。
「わかったよ、璃々ちゃん。来月となると難しいが、半年以内には必ず。旅先の土産を持って、また遊びに来よう」
「ほんとに? やったぁ!」
飛びついた璃々を、一刀が抱き上げる。
ふたりの姿を見つめて、紫苑は晴れやかに笑った。