※この作品はR-18です。

剣聖外史始末旅   作:KKS

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七(思春)

 朱里が見つけておいてくれた廃屋で、あの日のように三人で火を囲った。

 ずぶ濡れになった上着を脱いで、壁の出っ張りに引っ掛ける。二人にもそうするように勧めようとしたところで、さすがにデリカシーがなさすぎると思い、一刀は言葉を飲みこんだ。修練はひとりですることが多かったし、相手がいたとしても甥の剣丞くらいだったのである。だから、どうにも自分はそのあたりの配慮に欠けているのだろう。ましてや、年頃の少女特有の心の鋭敏さなど、わかるはずがなかった。

 甘寧は黙ったまま、両手を火にかざしている。そういえば、と思い一刀はズボンのポケットに手を突っ込んだ。

 李烈一党を始末する前金として、銭だけを先に受け取ってある。残りの食料と馬は、成功報酬として準備させていた。一刀はその銭を三等分にし、ひとつを甘寧に向けて差し出した。

 

「どういうつもりだ、北郷。そんなもの、私には必要ない。言ってしまえば、身から出た錆なのだ。だから、それを掃除しただけで私はなにも……」

「いいから、受け取れ。腐り果てた元部下を、おまえはこれからも始末するつもりなのだろう。細かな事情は知らないが、自責の念に駆られて殺しをするのはやめておけ。そんなことをしては、おまえの心がそのうち押し潰されてしまう」

「えっ? 一刀さん。元部下……ということは、まさか甘興さんは」

「貴様の思っている通りだ、諸葛亮。笑いたければ、笑うがいい。無様に落ちぶれた、この鈴の甘寧のことをな」

「い、いえ。私は、決してそのようなつもりなんて……」

 

 抱えた膝に、甘寧が顔を突っ伏している。

 心の傷の深さは、それだけの誇りをもって錦帆賊を率いていたからなのだろう。義侠の集団が変わってしまったのには、なにかわけがあるはずだった。

 

「北郷。貴様はどうして、私のような女を気にかける。心が潰れてしまうと言ったが、そうなったところでなにか不利益があるわけではあるまい」

「旅をしていて偶然出逢い、同じ焚き火を囲って話をした。気にする理由など、それで十分ではないか。なあ、諸葛亮」

「は、はいっ! 私も、一刀さんの仰るとおりだと思います。それに運が悪かったとはいえ、甘寧さんはあのとき裸まで見られてしまったんですよね? だったら、そこに対する責任は果たしてもらいませんと。ねっ、一刀さん」

 

 朱里がいたずらっぽい笑顔を向けてくる。あの一件に関しては、確かに自分に非があるとは思う。とはいえ、それで責任をどうするといった話にされては、いつか似たような案件を山のように背負わされてしまうのではないかと思えてくる。

 少しだけ時間を空けて、甘寧が右手のひらを突き出した。突っ伏したままだから、表情はわからない。けれども、先ほどまであった重々しい感じからは、脱却できているのではないか。

 

「恨みのこもった銭をもらい、悪党を始末する。貴様は貴様で救いようのない悪人(ワル)だな、北郷」

「そのくらいの心構えで、ちょうどいいのさ。それに、金を手にしたからにはこれでおまえも同類だぞ、甘寧」

「ちっ……。私をはめたな、この痴れ者め。まあいい。服を乾かしたいから、貴様はその薄汚れた顔をあちらに向けていろ。いいと言うまで、絶対に振り向くなよ」

 

 ちょっと調子がでてきたのか、甘寧がそんなことを言い出した。

 大人しく命令に従い、小屋の入り口の方に足先を向ける。衣擦れ。妙に生々しく音を立てていて、気持ちが変に高まってしまうようだった。偶然眼に入っただけとはいえ、甘寧の裸体にはそれだけの魅力があったのだ。若い肉体というのは非常に愚直で、少しそちらに思考が傾いただけでも、身体の一部が熱くなってしまうのだ。不便といえば不便だが、それが生きるということの本質のようにも思えてくる。

 

「貴様も早くしろ、諸葛亮。そんなびしょ濡れの服をまとっていて、体調を崩しても知らないぞ」

「や、やっぱり私もなんですね……。わかりました、甘寧さん。私だって、一刀さんにいけないことをされた仲なんです。こ、このくらいのこと、なんだって……」

 

 甘寧に促されて、朱里までもが服を脱ぐ流れになってしまっている。

 そこから、もういいと言われるまで結構な時間があったような感じがする。体勢をもどしたときには、二人はほとんど裸の状態で火であたたまっていた。

 

「あう……。は、恥ずかしいのであまり見ないでください、一刀さん」

「くくっ。この状況、貴様が本物の痴れ者であるかどうか、試されているようだな。私の言い出したことだ。別に眼を向けるのは構わんが、おかしな真似をしてくれるなよ。そうなったら、貴様の男の部分を斬り落としてやる」

 

 裸に褌一枚になった甘寧が、挑発的に笑っている。ひとまとまりになっていた濡れ鴉のような髪は、羽を拡げたように妖艶に散らばっている。火によってほのかに照らされた褐色の肌はやはり美しく、男を狂わせるだけの魅力があるように思えてならなかった。

 一方、堂々としている甘寧とは対照的に、恥ずかしそうに身体を限界まで小さくしているのが朱里だった。ずっと思っていたことだが、やけに現代的な格好をしていて、そちらの方が気になりつい視線を送ってしまう。ガーターベルトというのだろうか。そうしたものを着用しているのもそうだし、甘寧の褌と違って下着も自分が現代で見てきたものとなんら違いがない。

 村落ではなく、もっと市街地まで行けばこういう格好で歩いている人が普通にいるのだろうか。そういった意味では、正直興味は尽きなかった。

 

「じろじろと見て、貴様諸葛亮のような小さな子が趣味なのではないだろうな」

 

 言いがかりをつけられるのにも、段々と慣れてきた。

 身じろいだ甘寧の腕の隙間から、淡い色をした突起が姿をのぞかせる。別に、見ようとして見たのではないから、気に病むことではなかった。

 

「……裸の付き合いをしているついでだ。貴様たちに、真名を預けてやってもいい。思春だ。呼びたければ、勝手にそう呼べ」

「一刀だ。遠慮なく呼ばせてもらうぞ、思春」

「えへへっ。私は朱里です、思春さん」

 

 真名というのは、不思議なものだ。

 神聖なものであるがゆえに、こうして相手に許してもらえるだけで、心で触れ合えたような気分になれてしまう。

 降り続く雨。しばらく、やんでくれそうにはなかった。今夜はこのまま、小屋で過ごすことになりそうだ。村にもどるのは、明日指導者を失った錦帆賊の様子を見てからでいい。

 心身ともに疲労が重なったせいか、一番先に朱里が眠ってしまう。この状況で全員が一度に睡眠をとるのはさすがに避ける必要があるし、ちょっと乾いてきた自分の上着を朱里にかけ、一刀は思春に話しかけた。

 

「この分だと、朱里は朝まで夢の中だな。私は平気だから、休みたければ先に休んでもいいのだぞ、思春。あとは、交代で朝まで見張りに立てばいい」

「むう……。貴様、そう言って私の寝込みを襲うつもりではないだろうな。本当に、油断のならない痴れ者だ」

 

 自分の提案に苦言を呈しつつ、思春が立ち上がった。

 両手をぶらつかせているから、裸体を隠すものがなにもなくなっている。乳房は大きさこそ小ぶりだったが、かたちはうつくしく整っていた。

 意図がわからず動向を見守っていると、遠慮がちに手が差し出されてくる。顔こそそっぽを向いているが、つまりはそういう誘いなのだろうか。

 誰だって、人肌が恋しくてどうにもならない瞬間がある。それを恥ずべきことだとは思わないし、すべては自然の流れのうえにあると一刀は感じていた。

 

「んっ……。痴れ者のくせに、あたたかなのが気に食わん……」

「それは、お互い様ではないのか? こんなところ、朱里に見られたらどんな責任を負わされることになるか」

 

 思春の身体を抱きしめる。まだ、どこかに冷たいところがあるような気がしていた。

 冷えた部分をなくそうと、肌と肌を強く合わせる。女を抱いてこれだけの昂りを感じるのは、はじめてのことだった。

 

「一刀。あっ、んむっ、んっ、ちゅっ……」

 

 流れに逆らわずに、思春の唇をやさしく吸った。

 返ってくる反応は想像以上に繊細で、たぶん男との経験がないのだろう、と一刀は感じていた。自分にしても剣とは違い、性行為に関しては導いてやれるだけの土台があるわけではない。女とは何年もそういうことをしていないし、いまは暴れかかる若い肉体を抑えつけるのが得策だとは思っている。

 

「黄祖という将が、荊州牧である劉表の下にいる。蛇のような女だ。何度も麾下になるよう迫られたが、私は首を縦には振らなかった。それで、恨みを買ったのだろう」

「錦帆賊の暴走に、その女が関与しているのか」

 

 ぎゅっと眼を瞑ったまま、思春が頷く。

 また、心の中で苦悩に苛まれているのだろうか。自分にしてやれることは、多くなかった。背中を撫で、唇を合わせる。それで思春の痛みがやわらぐのなら、幸いなのだろう。

 

「おそらくあの女に、鼻薬をかがされたのだと思う。それまで起きなかったような問題が何度か起こるようになり、ついには収集がつかなくなった。私の統制にも問題があったのだ。早くから膿を徹底して処断していれば、こんなことには……んっ」

 

 その黄祖を討つことが、思春の最大の目標なのだろう。

 州牧の有力な麾下となれば、やるのは簡単なことではない。それでも身体を衝き動かすだけの決意があるから、思春は殺しの旅をやめないでいる。

 因縁にけりをつけるため、錦帆賊頭領の座を辞したこと。黄祖の放つ追手と、数度剣を交えたこと。これまでの旅路で起きたことを、思春はゆっくりとだが自分に聞かせてくれている。

 そうしていながらも、肌での触れ合いはずっと継続されていた。

 

「ひとが話をしてやっているというのに、股間が大きくなっているぞ、痴れ者。あっ、んっ……。そ、そこは今日はだめだ、んあっ……」

 

 猛り狂った下腹部のモノが、思春の中に入りたいと駄々をこねてしまっている。今日は、と断りを入れられただけ、次回に対する期待が高まってしまう。ズボンの前はあふれる我慢汁でべとべとに濡れていて、擦りつけた褌まで汚してしまうような始末だった。

 どうにか、一度冷静にならなくては。そうやって無駄な抵抗をしただけ、肉体は熱くなっていく。まさしく天井知らずといった感じで、男根は果てしなく大きくなってしまっているのだ。

 

「はあっ、はっ……。手、手でなら、しごいてやる。だから早く出せ、一刀」

 

 ズボンを地面に落とし、ついでに下着を脱ぎ捨てる。

 思春の動きはかなりぎこちのないものだったが、あのしなやかな指で触れられていると思うだけでもこみ上げてくるものがある。

 少しでも早く射精してしまえるようにと、思春の手にしごくべき位置を教えてやる。立ちこめる女の匂い。気持ちよくなるなら、一緒であるべきだと思った。

 

「くっ、うあっ、あっ……。し、痴れ者チンポが、こんなにも熱く脈打って……。あっ、はあぅ……。そんなに私の手でされるのがうれしいのか、貴様は」

「うれしいさ。自分の浅ましさが、嫌になる程度にはな」

 

 とめどなくあふれる粘つく汁が、思春の指や手のひらを汚している。

 褌の紐を解き、思春の秘部をあらわにする。汗で湿る陰毛。亀頭の先がそこに触れると、言葉にならないくらいの快楽が起こるのである。初心な割れ目を丁寧に刺激し、思春の反応をうかがった。

 

「こ、こんな、はーっ。貴様にちょっと擦られただけなのに、どうして私……っ。ああっ、んぅ……。さ、さっさと子種を吐き出せ、痴れ者。一度出したら、男は落ち着くものなのだろう? わ、私だって、そのくら……いうっ♡」

 

 指の先を少しだけ挿しいれ、あたたかな媚肉に快楽を送った。

 思春の口から気持ちよさそうな声が洩れる。自分にもほとんど余裕はなかったが、これならどうにかなるという気になってくる。

 互いの性器を刺激しあい、何度も唇で唾液を交わらせた。

 思考がとける。とけても、それでいいといまだけは思えた。思春の指が亀頭の段差を幾度となく擦りあげる。やっているうちに、男の弱点がわかってきたようだった。

 反撃に移ろうと、膣口と一緒にツンと勃起した乳首を愛撫する。効果の大きさは明らかで、思春は身をよがらせながら、舌を強く吸い上げてくる。それがきっかけとなり、二人ともに急速に限界に近づいた。

 

「はあっ、ふうっ。い……ぐっ、あっ、んっ、んむっ……。さ、さっさと射精してしまえ、一刀。余裕がないことくらい、わかっているのだからな……ぁ♡」

「おまえだって、余裕がないのは同じだろうに。ははっ……。こんな時くらい、意地を張るのはやめたらどうだ、思春」

「わ、私がいつ意地を張った……♡ はむっ、ああっ、ん……いっ、い……っ♡」

 

 正直、もう持ち堪えられそうにない。せり上がる精液のせいで、腰が重く感じるくらいだった。

 いけ、思春。唇を耳元にやり、そう命じた。その一言だけで、思春が下腹部をがくがくとふるわせる。恥ずかしげもなく開かれた股から、愛液が噴き出る。その痴態を眼にしながら、一刀は自身も限界に達していた。

 

「な、なんだこれぇ……♡ 男の射精がこんなにすごいだなんて、聞いていなかった。こんな、こんなのっ、匂いだけで妊娠させられてしまう。ああっ、だめだっ……。そ、そんなに、私の腹にぶっかけるな……ぁ♡」

 

 自分でも信じられないくらいの量の精液が、マグマのように男根から放出されている。

 薄々感じてはいたのだが、これは単なる肉体的若返りではないと思った。尋常ではない粘り気と濃さ。しかも、それが女の腹全体を汚してもとまらない。まだ犯したりないというように、男根も隆々と天を衝いている。

 

「はあっ、あっ……。平気か、思春」

「このぉ、し、痴れ者め……ぇ。これだけ出して、どうやってきれいにするつもりだ……ああっ。そ、そんな、まだ出てくるだなんて、んぐっ、またいくっ♡ あっ、あぁっ♡」

 

 思春の言うように、困惑してしまう程度の量の白濁が、褐色の肌を覆っている。

 これは、自分の肉体との付き合い方を、本格的に考え直す必要があるのではないか。うわ言のように文句の言葉を並べる思春。その引き締まった腹に自然と男根を擦りつけながら、一刀はおのれとの闘いを続けていた。

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