※この作品はR-18です。

錬金術のアトリエ M,Re 1   作:東京のぷるぷる

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マナの柱の中 7


錬金術のアトリエ M RE 7

7

 

 

「あう〜……こんなコテンパンにハジケ回るとは……思わなかったよぉ……」

夕方になり、マナノハシラの中で身体を冷やされながら、マルローネはボヤく。

 

……マナノハシラの、この巨大青プニの中は触手みたいな長いヤツだらけで、それが椅子になってみたり、冷たくなったり熱くなったり、非常に自在に動くし、固まったり存在を消したりする。

 

「マリーがノリノリだったから……」

マナノハシラは呑気なトーンのまま、そう話す。

マルローネの尻の穴から膣の穴から……ガッツリ詰め込んで、エロ汁採取しまくってしまった。

「俺も……もう立たない感じがするな……食事にしておこうか」

ワフールも、そう話す。

 

黄色いタベクサに、赤いタベクサ。

そんな2本を2人で齧り合う夕食。

……夕陽が沈んで行く……

 

「また、真っ暗闇になるねぇ……」

ワフールと、2色のタベクサを渡し合いながら、マルローネが、呟く。

今回はマナノハシラに取り込まれていれば、なんかぐっすりと眠っていられそうだけど。

「僕が光る事が出来るけど……」

マナノハシラは、黄色く光る。

お月様の中に居る……みたいな感じになった。

「うわぁ〜っ!これはロマンティック!ロマンティック過ぎるよぉ〜!」

ワフールの身体も、マルローネの身体も黄色い光の中に居る感じ。

マルローネは大はしゃぎする。

本当にどこまでも夢の世界だ。

「驚いたな……!こんな事まで出来るのか!?」

さすがのワフールも、驚きを隠せない感じになる。

 

……夕陽は、頭のてっぺんを残して沈み、空は紫色やらオレンジ色やら……

いよいよ夜になる色になった。

「……僕の中で、マルローネが頑張ってくれたお陰で、僕が2人を乗せたまま、飛んで行けそうだよ。飛行場まで行けば、僕に乗ったまま、マリーは念願の小屋にも帰れるね」

マナノハシラが言う。

でも、マルローネはやたら重い瞼で、こっくりこっくりしてる。

「……やたらハジケ回ったからな。さすがに疲れが出てるんだろうな……」

ワフールは、マルローネの身体を支えて呟く。

「じゃあ、ゆっくり眠って貰うのがいいね。夜になる訳だし、ワフールも疲れてるでしょ?」

マナノハシラが言う。

そこで夕陽が沈みきり、真っ暗闇が迫り……この場所を包む。

 

 

「……んはっ!」

マナノハシラの中でうつ伏せになり、ゆらゆらふらふらしていたマルローネは、ズバッと起きる。

……既に日が高くなっていて、鮮やかな七色タベクサ世界が、相変わらず広がっている。

「おはよう」

「おはよう、マリー」

ワフールとマナノハシラが、そう話し掛ける。

「夢見た……なんか……どこだろ?草の凄い道を抜き歩く仕事のお手伝いしてたんだけど〜……でっかいサカサガエルの群れがね〜……」

マルローネは、夢の話を始める。

 

ドナースターク道路の仕事の話をしながら、朝のタベクサを齧り合う。

黒いやつと黄色いやつを、ワフールと渡し合いながら、マルローネの話は弾む。

ワフールとマナノハシラは、その話を大人しく聞いておく。

 

「……あんまり長くラクしてるけど、流石に散歩とかしたいわね」

マルローネはマナノハシラから出て、自分の足で立つ。

……昨日のエロエロとか、ずっと取り込まれていたものだから、自分の体重が久しぶりだ。

……少しフラついた。

「こんな感覚、初めてだな」

ワフールも、そう言ってフラついていた。

そして、見事な七色タベクサ世界を、ぐるぐるする。

「……まだ地面には、到達してないかな?」

七色タベクサ世界の、壁の向こう側を見るマルローネが言う。

昨日よりも、かなり伸びてる……

「あの辺りで、終わってるみたいだからな……」

ワフールも、ついて来る。

 

「……エロエロ仕込まれたからかな?なんか……変な気分ね」

歩くマルローネが、そう話す。

「こんな場所だからだろう。俺みたいな落伍者でも、素敵な気分になれるのは」

ワフールが、呟いた。

また、葉擦れの音と生温い風が、通り過ぎていく。

ボリュームアップした、マルローネの髪がふわふわと揺れた。

 

「落伍者同士、仲良くやるんじゃないの?」

髪が治まり、マルローネは足を止めて、ワフールに微笑み掛ける。

そして、また足を踏み出す。

七色タベクサ世界の地面は複雑なので、歩くのは少し苦労する。

「マリー。お前はアイツの主だろ?俺は何者でもないままだ」

ワフールは、ひょいひょいと歩き、マルローネを待つ。

そんな歩き方。

「スネてるの?優秀な案内人だし、私の旦那様なのに」

マルローネは足元を選びながら、景色も見ながら……ゆっくりと進む。

強靭な葉っぱに、足が上手く乗ると心地良い。

 

「……まあ、これからの事を考えると不安だな……今までは、不安を感じる心も覚束なかったから、そう感じなかったが」

ワフールは、そう話す。

マルローネは、次の足をタベクサの葉っぱに、綺麗に乗せる。

「これからの事……あんまり考えてなかったなぁ……今日のこれからは、パンチゲームしたいって思ってるけど」

マルローネは、次の足元を狙いながら、話す。

 

「なるほど……帰った時にどうする、とか考えないのか?」

ワフールは、そう尋ねる。

「……取りあえずは〜……イングリド先生から貰った服を着たいかな。誰にも見せる事なく、ここに来ちゃったし。それに、このふわふわヘアーと合わせると、凄い可愛いと思うのよ!」

尋ねられて、マルローネは考え……そしてあの錬金術士の衣装に思いを致す。

 

「……なるほど……あまり将来の事を考えなければ、悩む事もないという訳か……」

ワフールは納得し、呟く。

「え〜!?将来の事は考えてるよ、失礼な……将来は、凄い錬金術士になって、凄い物を作るんだ!」

マルローネは次の1歩、次の1歩と選びながら、ワフールの呟きを拾う。

歴代最低成績なのに……

恐ろしい鋼メンタルの持ち主である。

「そ、そうか……」

ワフールは気圧されながら、そう相槌をしておく。

 

それからも色々と語り合いながら……

七色タベクサ世界をぐるぐるして、2人はマナノハシラの場所へと戻る。

「パンチゲームしたい!パンチゲーム!」

マルローネは戻るなり、そう主張する。

そういうのが無いと、またもコテンパンにエロエロされそうだし……

 

ワフールは、パンチゲームはやらずに、のんびり過ごす……

とか思ったのだけど、何故かマルローネに呼ばれて、汗だくになってもパンチゲームは続き、夕方になった。

また、なんか人の心を読むような迫り方をして来るし、時折、光らせながら迫る水の……触手?を出して来るし……

マナノハシラの触手達は、人を踊らせるのが上手い。

 

そしてまたもマナノハシラに取り込まれ、ホカホカしながら、タベクサを齧り合う夕食。

「あと2日……明日はエロエロ地獄に捕まりそう……」

マルローネが呟く。

「エロエロ地獄になれば、帰れる時も早まったり、七色タベクサにも、新しい色が出て来たりしそうだな」

ワフールはタベクサを受け取り、反対の手で、マルローネの乳房に手を当てる。

……マルローネは、タベクサを齧りながら、そんなワフールを眺める。

もはや、あまりにも動じない。

「そうだね。僕が飛べるようになれば、飛行場を使わなくても、ここからひとっ飛びなんだけど。そこまで魔力は溢れてないね〜」

呑気トーンで、マナノハシラが言う。

「え!?飛べるの!?」

マルローネは、目を輝かせる。

空を飛ぶのが好きな女だ。

「僕だけなら、今でも飛べるよ。でも、2人を乗せたまま飛ぶには、まだだね〜……」

マナノハシラは、相変わらずの能天気トーンで話す。

 

とはいえ、パンチゲームに没頭した疲れがあり、暗くなるぐらいには、マルローネは爆睡となった。

マナノハシラに取り込まれて、頭だけ出して、プニプニの境界を枕にうつ伏せに眠る。

なんか、仰向けで寝る事をしない女だ。

 

 

また、朝が来る。

深い霧が辺りを包み、ナナメ上に飛んで行く雨も降っていた。

それでも真っ暗闇は居なくなり、霧で神秘的になった、朝の七色タベクサ世界。

「おはよ〜……」

マナノハシラに取り込まれて、うつ伏せで眠っているので、水死体みたいな寝方だったマルローネは、相変わらずズバッと起きる。

「……色々な女を見て来たが、毎回こんな起き方をする奴は覚えが無いな……」

既に起きていたワフールは、そんなマルローネを眺めて呟く。

ワフールは毎回、なんか暗いうちに目が覚めていたりする。

 

「……ん〜……それは田舎の頃から、結構言われてるかな」

マルローネは、そう言って笑う。

 

……この日も帰るには至らず、エロエロされて過ごす。

もはや、完全になんか別の生き物にされた感がある。

 

 

「……本当にコテンパンなんですけど……」

夕方、マルローネは水死体の構えのまま、ボヤく。

「マリーは、なんか全て終わるまでノリノリなのに、その後でボヤくよね」

マナノハシラが呑気トーンでそう話す。

「俺もコテンパンにされた気分だ……」

ワフールは仰向けで、天井のタベクサ世界を眺めながら、こちらもボヤく。

 

そして夜にはぐっすり眠り、マナノハシラに癒される。

 

 

そして朝……

話によると七色タベクサ世界が、地面まで伸びてる日でもある。

今日もマルローネはズバ起きて、ワフールとタベクサを齧り合う朝食。

 

「……さて、マリーは帰れるかも知れないね。飛行場まで行けるなら……だけど」

マナノハシラは、呑気なトーンでそう話す。

「ん〜……お別れとなると、名残り惜しい感じもするね……」

マルローネは呟く。

「ええ!?……また来たり帰ったりすればいいじゃない。マリーなら、自由に行き来できるよ?」

マナノハシラは驚く。

……初めて、驚きアクションされた……

「……あ、そうなんだ。じゃあ、またコテンパンに、されたくなったら来ようかな?」

マルローネは首を傾げる。

「毎回コテンパンコースだと、俺は持たないぞ」

そんなマルローネに、ワフールは笑い掛けた。

 

そして、マナノハシラに乗った状態で、七色タベクサ世界の壁へと動く。

なんか、スイーッと滑るように動き出した。

ぴょんぴょんしない……

マナノハシラに取り込まれてる身体に、無数の触手が絡まり掴み、身体が安定する。

そして……

 

「わお〜っ!」

「うおおぉぉ……!」

マナノハシラこと、巨大青プニは、かなりの角度で地面へと伸びる、七色タベクサ世界を滑り落ちて行く!

かなりのスピードで地面が近付いて来る。

……こんなトンデモな高さだっけ?

マルローネは思う。

 

巨大青プニは、頭から落ちて行く。

身体も髪も固定されている、マルローネとワフールは、そんなスピードに強く目を閉じたり、スピード風景が気になって目を開けたり……

そして、まだほんの少し地面に届いていない七色タベクサの道の果てで、巨大青プニはぴょこんと跳ねる。

そして、今度は地面をスイーッと滑る。

地面はやたらと石がころころしていて、色んな草が、めちゃくちゃな生え方をしている。

緑プニだらけで、歩きやすかった地面ではない。

 

そして、そんな草々の上をスイーッと滑り……

やたらとスピードが落ちて来て、凄くゆっくりになった。

「なんか、凄い長さだったね!タベクサの道!」

興奮冷めやらぬマルローネが、少し身体を高くする。

身体をガッチリ掴んでた触手は、まるでそんな思いにリンクするように、掴みを緩めて、身体を押し上げてくれる。

「3日で、あれだけ伸びるとは……」

ワフールは後ろを振り向き、長かった七色タベクサの道を見る。

 

そして振り向くと……

今まで住んでいた大木が見えるのだけど、最初に見た大木よりも、更に高く大きくなっている。

城なんて軽く超える大きさ……

そして空の果てまで伸びた大木は、地面から天空へと続く1本の七色タベクサ世界……

木の幹が見えないくらい、七色タベクサ世界の皮を纏っているのだ。

しかも、川が海みたいになっていて、水から生えてるみたいだ。

「な、なんじゃこりゃ〜!?」

マルローネが驚く。

「お陰様で、僕は元気いっぱいになって来たんだよね。主様々だよ」

マナノハシラが呑気トーンで話す。

 

「これは……歩けないね……」

マルローネは下の草々を見て、言う。

鋭い葉っぱを持ってる奴とか、硬そうな奴とか……

それの上を巨大青プニが、ゆっくりと滑っている。

「時々タベクサもあるな……それは地上と同じか……」

ワフールも、そんな草々を眺める。

 

 

……タベクサは、大きい植物に時折生えてくる1枚の葉っぱ。

寄生しているのか、植物に生える植物で、木の葉っぱに紛れていたりする事が多い。

どこにでも生えていて、食べられる。

ザールブルグには、タベクサ法という法律があって、タベクサについてはルールがある。

 

陽の光が出てる時間は、タベクサ以外の物を食べない。

タベクサは、売買禁止。

タベクサは、調理してはいけない。

 

このルールのお陰で、誰もが1日の終わり、豪華なディナーを楽しみにしていたりする。

王様であっても、ドナースタークの貴族であっても、日中はタベクサを齧るのみ。

ディナー以外は、平等だったりする。

 

 

「この辺りのタベクサは、七色じゃないんだね?」

マルローネは、マナノハシラに問いかける。

今まで見て来た、齧って来た白とか緑のタベクサが見受けられる。

若いのは緑で、時間が経つと白くなるタベクサ。

「そうだね〜……植物こぶって呼んでいた記憶があるなぁ……魔力を受けて、感染する病気みたいなもんだって。あと、キノコこぶと虫こぶ虫ってのがあるとかなんとか……」

マナノハシラは、そう話す。

……まだ覚束ない大昔の記憶では、植物こぶと呼ばれていたのだけど、マルローネとワフールはタベクサと呼んでいる。

「キノコこぶは、なんか覚えがあるな。憑依キノコと呼ばれていて、重宝したもんだ」

ワフールが、キノコこぶの話に食いついた。

キノコに生える、白い幽霊みたいなキノコ。

憑依キノコの方が、元のキノコよりも3倍程大きい傾向にある。

「幽霊キノコは、ディナーでよく食べた!」

マルローネも、そんな道路時代を思い出す。

クセが無くて僅かに甘くて……味付け次第で、ご馳走の側に居るデカいキノコ。

キノコは毒があったり無かったりして難しいんだけど、どのキノコに生えていたとしても、幽霊キノコには毒が無いんだとか。

 

そんな話をしながら、巨大青プニは草世界を滑り行く。

草の上を滑って行くのは、これまた……なんか不思議な光景。

「草も丈夫なの?」

マルローネはそう聞いてみる。

「存在の上を通ってる感じなんだけど〜……伝わらないよね?」

マナノハシラは、呑気トーンで答える。

「伝わらないね〜……」

マルローネは、苦笑いを浮かべる。

 

なんか、色んな花が咲いてるのを眺めて、巨大青プニは進む。

「季節感の無い風景だな……あのピンクの花が咲いてる横で、ゴールデンロッドが咲いてるとは……」

そんな中、ワフールが話す。

春の花と、秋の花が同時に咲いていたりするらしい。

ほとんどは緑の景色。

時折、花が咲いていたりする。

……そんな景色が流れて行く。

 

「旅かぁ……帰ったら色々と旅がしたいかなぁ……」

そんな巨大青プニに半分取り込まれてる、マルローネがそう話す。

なんか、湿った風が吹き抜けて行った。

「俺はここに残って……まあ、こちらを冒険しておくとするか……まあ、自由があれば、だが」

ワフールは、そう呟く。

何であれ、死なずに済んだので、これからの話も出て来ると言うものだ。

 

そうしていると、今度は雨が降って来た。

ナナメ上に飛ぶのではなく、ちゃんと上から下へと雨が降って来た。

「上から雨が降って来るなんて、久しぶり」

マルローネは、雨の降る空を見上げる。

「結構、強い雨だな……それに少し冷たい雨だ」

ワフールは、横の草世界を眺めながら言う。

「僕の心臓部では、水を巻き上げたりするからね。そこ以外では、水は落ちてる事があるよ」

マナノハシラは能天気トーンで、そう話す。

 

それからも、草世界の上を、巨大青プニは滑り続ける。

雨の中、マルローネのドナースターク道路の頃の思い出の話をしたり、ワフールの調理人時代の話をしたりして、時間は過ぎていく。

 

巨大青プニは、ゆっくりと滑り進んで行く。

……歩くよりも少し早いくらいなので、こんな草世界を行ってると考えると、かなり早い。

と、いうか全裸でこの草世界を進むのは、単純に無理だと思われる。

草の背丈も、マルローネの身長くらいの背丈がありそうだし……

「マナノハシラは、疲れないの?」

ずっと滑り続ける巨大青プニに、マルローネが尋ねる。

「マリーをコテンパンにした事で、魔力が充実してるからね〜……このまま1年くらいなら、余裕で滑り続ける事も訳ないんじゃないかな」

マナノハシラは、相変わらずの空を向く張り付いた笑顔で、呑気なトーンで答える。

「1年!?」

ワフールは驚く。

「……俺もコテンパンになっている感じはあるのだが……俺も魔力に貢献してたりは……?」

そして続けて聞いてみる。

「ワフールは、貢献というか……生きるのに魔力を消費してる側だね」

マナノハシラは、呑気トーンで答える。

 

「コテンパンにされたもんなぁ……」

マリーは苦笑いで、ワフールを見る。

……エロエロするという生業で生きていた男。

……おかげでなんか、違う生き物にされてしまった感じもする。

……でも、色々と吹っ切れる感じもするというか、エロエロ未経験よりも、動じない人間になれた感があると言うか……

マルローネは複雑な気持ちに思いを致す。

 

「コテンパンにされたら、世界が変わるなんて女が居るとは……驚きだな。俺もそれに救われている、という謎の状況になっているみたいだから、驚きだ」

雨で乱れる緑の髪を、オールバックに整えながら、ワフールは話す。

「ま〜……それだよね。喜んで貰えるのは嬉しい感じするけど〜……」

マルローネも、そう話す。

「また、コテンパンって言い出すのは面白いな。色んな女を調理して来たが、コテンパンとか言い出したのは、マリーが初めてだな」

ワフールは草世界を眺めながら、そう話して笑う。

四方、何処までも草世界だ。

……ナスとか実ってる奴が居る。

……ひまわりが1つ、咲いてる。

……そのひまわりの花の下に、タベクサを2つ抱えている。

 

「なんか、お腹空いたなー……ヒマだと、お腹減るよね?」

長く振り続ける雨の中、マルローネが言い出した。

「お昼だね〜……タベクサを狙う〜?」

マナノハシラが、中の触手を身体に巻き付けて、固定する。

そして、取りやすそうなタベクサに向けて、マルローネを捕まえたままの触手を伸ばす。

ワフールの方も、反対側で同じように伸ばす。

巨大青プニから、飛び出しての採取を狙う訳だけど、こんな芸当もあるのか……と、マルローネは感心する。

「あ、こっちのタベクサは、すぐ折れるね〜」

びよ〜んと伸ばされたマルローネは、目の前になったタベクサを折る。

七色タベクサみたいに、規格外の強靭さはなく、慣れた手応え、慣れたサイズの白いタベクサ。

 

そして、僅かな甘みの、100点のタベクサだった。

七色のタベクサが規格外で、1000点とか2000点とか……

もはやタベクサではないのだけど、こちらは普通な感じのするタベクサだった。

「ふむ……これが懐かしい味だな……」

ワフールは、小さめの、まだ緑の残るタベクサを3本ばかり取り、巨大青プニの背中へと戻って来ていた。

「……おじさんって、その感じのタベクサが好きだよね?親方も、そんなの齧ってた」

マルローネは、そんなワフールを眺めて言う。

……苦味が少しあるタベクサは、緑がかっていて小さい。

 

……巨大青プニは、進み続ける。

2人がタベクサを齧り終えて、少しすると雨は止んだ。

水滴を湛える草世界は、なかなかに素敵な景色となっていた。

 

……夕方くらいになり、草世界の中に、草の全くないサークルが出てきた。

「やっと到着だけど……」

2人は仲良くくっついて眠っていて、マナノハシラはサークルの手前で止まる。

雨上がりの夕陽が、草世界と巨大青プニ、そして広大なサークルを照らしている。

 

 

……朝が来る前に、ワフールは目を覚ます。

真っ暗闇に、青プニの中と思われる縛られてる感覚。

この青プニの中で縛られてる事で、身体の位置、体勢が安定して……よく眠れたりする。

……マルローネの肌と、青プニの中を触る。

あまりにも暗く、触覚しか頼れる感覚がない。

顔は青プニから出ているハズなのに、何の音もしない。

……どのくらいこの場所に居るのだろうか……

そんな事を思う。

考えた所で答えは出ないのだが。

 

そんなこんなで、朝日の気配がしてくる。

腕にマルローネと髪と背中の感触……というか、ガッチリ抱き締められている。

この女、必ずズバ起きするから避難しておこうかと考えるが、もはや不可能な状態だ。

 

……明るくなって来て、ワフールを抱き締めている爆弾が、少し蠢き出した。

そして、マルローネがズバ起きる。

「はうっ!」

「ぐえっ!」

両ヒザ蹴りを食らって呻くワフール。

「おはよう、マリー」

そんな事は気にも止めず、相変わらずの呑気トーンで、マナノハシラが挨拶する。

「……おはよう……」

解放されたワフールは、マルローネから距離を取りつつ、挨拶する。

 

「……さて、ここのサークルに入れば、あの小屋に行けるけど、ワフールは行くと死んじゃうと思うから、ここからはマリーだけで行く感じだね」

マナノハシラは、そう話すとマリーを触手で縛ったまま、サークルの端っこに降ろした。

……草世界の高さが、マルローネよりも高く、その上に巨大青プニが居て、サークルに降ろされたマルローネは、そんな巨大青プニを見上げる。

張り付いた笑顔が下に下がり、マルローネに向いた。

 

「まあ、また戻って来たり出来るみたいだし、ちょっと錬金術士を目指す生活に戻りますか」

マルローネは、そう行って巨大青プニに笑顔を向ける。

「まだマリーをコテンパンにして、魔力を増幅したいからね」

巨大青プニは、相変わらずの張り付いた笑顔で、そう話す。

そして、顔が横滑りしてマルローネからは見えなくなると、マルローネから離れ、草世界だけが見える感じになった。

 

……手頃な所に、デカいネコじゃらしに付いたタベクサの葉っぱがあって、白いタベクサを抱えている。

1人取り残されたマルローネは、なんかタベクサを取ってしまったので、それを齧る。

……やたらあっさりと居なくなったもので……

 

……食べ終わり、サークルの広い地面を歩く。

……なんか、急に1人にされて、やたらと寂しい感じがする。

少し歩くと、小さい緑プニ的なのが遠くに見えた。

1匹だけ居る場所に、近付くように歩いて行く。

……襲い掛かって来られたら、ハダカなんで詰むんだけど……

……おそらくはマナノハシラの手の者のような気がする……

とはいえ、トンデモない弾丸タックルとか、意識と体力を奪い捕食する、謎の液体攻撃とかの噂も聞いているので、少し緊張する。

 

……近寄ると緑プニ的なのは、やはり緑プニで、口の無い顔をこちらに向けて、目をぱちくりさせる。

マルローネは一応構えつつ、その緑プニに近づいて行く。

すると、緑プニはぽんぽんと跳ねて後ろを向くと、ぽんぽんと進んで行く。

マルローネはそれについて行く。

サークルが広すぎて、草世界がやたらと遠い。

振り向くと、まだ近いハズのタベクサを食べた場所の草世界も、やたらと遠くなっている。

……やはり、不思議世界だ。

 

結構歩く。

緑プニは、ぽんぽんと進み続ける。

……少し硬い地面。

裸足に心地良い、砂の地面を歩き続ける。

 

……結構長く歩いて、歩いた先に髪の長い人影が見えて来た。

マルローネみたく、ボリューム満点の長い髪ではなく、細く長い髪……

緑プニは順調にぽんぽんし続け、人影に近づいて行く。

銀の髪の女の子である事が、分かって来る。

マルローネより先に行く緑プニは、銀の髪の女の子に近寄ると、すーっと色が薄くなって消えた。

「今回は驚かないんだね?」

銀の髪の女の子は、そう言うとマルローネに微笑み掛けた。

「今回は?初めて会ったんだけど……」

マルローネはそう言って、その女の子を見る。

「初めて会った時、気絶してたから、そういう認識なのかもね?青プニでお迎えした方が覚えが良かったかな?」

銀の髪の女の子は、そう話して首を傾げる。

マルローネよりも背の低い女の子は、胸も小さいしお尻も小さいし……男の子っぽくもある。

いや、女の子か……とマルローネは思う。

 

「青プニで居られても、ここじゃあんまり沢山の青プニが居たからなぁ……」

マルローネは、そう言って苦笑いする。

「まあ、僕もマナノハシラだからね。これからは空を飛んでマリーを小屋に送り届けるよ」

銀の女の子は、そう言うと微笑む。

「マナノハシラって女の子なの?」

マルローネは、そう尋ねる。

「この子は人間目線で綺麗みたいだったから、こういう意思疎通に使ってるだけだね。僕は……性別ってあるのかな?分からないんだよね」

銀の髪の女の子は、その女の子の声なのか、やたらと可愛い声で、そう話した。

「綺麗だったから?……その女の子はひょっとして、死んでたりするの?」

マルローネはそう尋ねる。

「残念ながら、そうだね。魂はもう消えてる命だよ」

銀の髪の女の子は、可愛い声でそう話す。

「なんか、複雑な気分だわ。ワフールみたいに、魔力で生かされてる感じなの?」

マルローネは、銀の髪の女の子の身体をぺたぺたと触る。

……張りもあるし、それほど冷たい感じでもないけれど……

「ワフールとは違うかな。こっちは魔力で操られてる感じだね」

触られても、ノーリアクションの銀の髪の女の子は、そう話す。

 

 

 

 

ワフール・ハイラム

デイドリオン

デイドリオン・アイン

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