※この作品はR-18です。

ロストキリギリス -番外編-   作:名無しの骸骨

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飢えた羅刹女 その2

・注意!

今回の話はフェイ(男の娘)×由奈(女性)となり、前回同様カニバリズム(食人描写)や残酷な描写を含みます。描写的にR-18Gには届かないかもしれないですがこのままお読みする際はご注意ください。話の流れとして『天魔衆撃滅戦 後日談』以降の話となります。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 

「ぅ゛っ、ぐぅ゛ァっ♡」

 

「っ……」

 

 悍ましい獣のような呻き声が私の口から漏れた。それと同時にぐちゃりと肉を頬張る咀嚼音と愛しい人(フェイ)の微かな悲鳴が響いて、それで私は浅ましく股を濡らしている。

 

「ふぇ、ぃ♡わたしっご、ごめんな、さいっ♡いひっ♡ぉ゛、ぐっ♡」

 

「は、ぁ…君の方が痛そうにみえちゃうね」

 

 覆い被さって彼の陰茎を膣に入れては何度も腰を振り上げて羅刹の本能のままにそのまま絶頂に至った。人肉食という禁忌に本能は発情と興奮に染まり、理性は恐怖と苦痛に吞み込まれている。

 

 数えきれない程にフェイと重ねたその行為を慣れる事は出来なかった。肉を喰らいたくて、吐きたくて溜まらない。彼を何処までも嬲りたくて、一つの傷も残したくない。相反する羅刹の本能と人間の理性が鬩ぎ合って、矛盾しながらも私の中にそれが留まっている。

 

「ぉ゛っ♡ぃぐっ♡ぃぎま、す♡ぅっぁ゛あぁアっ♡」

 

 喰らってはイって、冷静になった頭が肉を吐きそうになれば彼の唇が重なり合ってそれを許さない。もう嫌だと腕を藻掻いても、発情期の猿のように私は腰を振り続けるのを止めれなくて彼もまた身体を離してはくれない。

 

「ふふ、っ。一緒にいこ?」【理趣経】*1

 

「ほォ゛、っ♡ぉ゛、おぉォオっ♡♡ふぇ、ぃ゛っ♡♡」

 

 血が混じった涎を垂らしながらだらしなく絶頂すると共にフェイもイッて、ぷくりと膨らんだ亀頭から精液が注ぎ込まれていく。血と肉を喰らい続ける事で発情し切った私の身体は精液の熱までも感じ取って、マグマのように熱いそれが子宮を満たしていくと同時に気が狂ったように身体が跳ね上がった。

 

「は、ぁァっ…ふ、ぅっふっ……♡」

 

 相互絶頂によるマントラの発動。痛みと快楽の狭間にて青い虚ろな瞳がとろんと蕩けて、絶頂の吐息をフェイは零している。それと同時にその肉体は再生してその機能を取り戻すが、失った血や肉の全てを取り戻せる訳ではない。元から白い柔肌はさらに病的にまで透けていた。その上に散りばめられた彼の流した血が白を紅に染め上げて、それを見た私は昂って悲しくて、気づけばまたイっていた。

 

「ふぅ゛っぁ゛っ♡♡どうして、っまだぁ゛ッ♡♡♡」

 

 フェイの身体を貪って、肉も血も十分に捕食した。彼を犯して喰らって支配しているという興奮(絶望)も、絶対に傷つけたくないその身体の全てを痛めつけて苦しませているという絶望(興奮)という精神的な飢えも鎮めた筈なのに。身体も、心もまだ欲している。その気持ちを抑えようと、思わず自分の首を絞めた。

 

「由奈、それはだーめ」

 

 首を絞める私の手を解いて、男性器を引き抜きながらぐるりと私と彼の位置が入れ替わる。抜け落ちた秘所からごぽりと白濁した愛液が漏れて、発情し切った身体のまま彼を見上げた。

 

「ふぅ゛っ♡ゥう゛ぅ、っ♡はっ、ぉ゛っ♡♡」

 

「……確かに収まっていない。前回以上に食べさせた筈だけど」

 

 私の上に乗っかかりながら首を傾げるフェイの顔に無意識に手が伸びる。

 

「んっ、なぁに?」

 

 肉と臓腑で染まった私の手をフェイは細くて柔らかい両手で包んで、それを自らの頬へと当てた。べちゃりとフェイの頬が血に染まって、それだけでお腹の奥がきゅぅっと熱く火照って燃え尽きてしまいそう。

 

「ふぇ゛ぃっ♡ふぇぃっふぇいっ゛♡♡」

 

「あはは、そんなに名前呼ばなくても聞こえてるって」

 

 もっともっと、肉(フェイ)を喰らいたい。骨を折って、苦痛に悶えている顔が見たい。血を啜って、彼を身体の中に収めたい。■したい気持ちと■したい気持ちが混ざり合って、肉体はそれに抗えない。

 

「ラーヴァナと戦った影響かな。それで本能が強まって、こうなってる。お互いにその命に手を掛けたのだし、多少混ざり合ってもおかしくはないか」

 

 そんな私と反比例するようにフェイの様子はあまりに冷静で、自身の血に濡れたその顔もうっとりする程綺麗だった。ぐちゃぐちゃにしたい、壊してもっと私を、私だけを見てほしい。そんな衝動を歯を食いしばって堪えようとして

 

「ゆーなっ」

 

 不意にフェイの囁きが聞こえた。甘く蕩けて、何より堕落を求める悪魔のような声で私の名を呼んでいる。心臓が破裂しそうな程に鼓動を重ねて、最後に残った微かな理性が無碍に蒸発させられていく。

 

「まっへ゛っ、だめ゛っ♡」

 

 ぐじゅぐじゅになって茹った脳と発情し切って勝手に漏らしてイく身体は止まらない。それでも、静止を涎を垂らしながら叫んだ。怖かった。其処から先のフェイの言葉を聞いて、自分が何をしてしまうのか。かつての自分の過ちが遡って、恐怖で涙が零れ落ちる。

 

「何も駄目じゃないさ。これは君の本能を解消する為に必要な物だし、僕も昔とは違う。それを解消しなきゃ、君はいつか肝心な時に暴走するだろうしね。中途半端が一番駄目だ」

 

 震える手を伸ばして、フェイの顔を、口を塞ごうとする。それをするりと払いのけて、フェイは再び私の耳元に顔を近づけようとする

 

「お゛っ♡ぁ゛ぎっ゛ッ♡ほ、っぉ゛っ♡」

 

 力のままに暴れようと藻掻いて、それを身体を密着させる事で抑え込まれた。肌が溶け合うかのように触れ合って陰核や胸が押し潰されて私は無様に喘ぐ事しか出来ない。

 

「ふふっ、かわいい♪」

 

 フェイの顔が耳元に到達する。逃がさないように彼の両手が蛇のように私の頭に絡まって、耳たぶに唇が当たる感触がした。吐息が耳を通って、直接脳を犯していく。

 

「由奈、大好きだよ。今も昔も、これからも愛してる」

 

 舌先を耳穴に入れられながら告げられた言葉は私に対する真っ直ぐな好意・愛情。簡素なその言葉を聞くだけで私の頭はもうどうしようもない位にくしゃくしゃにおかしくなる。

 

「ヒぁ゛っ♡へ、へ゛ぇっ゛♡オ゛、ぉっ♡♡」

 

 視界が真っ赤に染まって、発情期の雌犬のような鳴き声が口から出た。本能のままに心も身体も歓喜の咆哮を上げて、フェイの身体を再度押し倒す。白と赤が混じり汚れたシーツの上に花弁のようにきめ細かな金色の髪が広がる。獲物を逃がさないようにと尖った爪は彼の柔らかなお腹を貫いて、暖かな血と肉の感触が手に伝わっていた。

 

「ぃやだっ、いやですっ♡ぅ゛、ぁあっ♡」

 

 かつてのトラウマが蘇る。青天井に膨れ上がる興奮と共に心の奥底にどうしようもない恐怖と後悔が思い出された。その苦痛と共に涙が零れて、興奮と共に鼻血と涎が垂れ落ちた。私の身体は最早制御もできずにフェイの肉体を引き裂き、弄んで、肉の暖かさを感じる度に絶頂している。

 

「じゃあ僕をあげるね」

 

 フェイの両手が私の首に回されて、だらしなく牙を見せる私に止めを刺すが如く私達の唇は重ね合わされた。

 

「はっ、ぅっ……ちゅるっ、ちゅぅ……」

 

 鮮やか細い舌が口内に挿入され、ちろりと歯茎をなぞり、私の舌と絡んだ。深い深い接吻は血の味がして媚薬のような甘ったるい唾液を注ぎ込まれる度にびくりと私の身体は快楽を浸透させながら痙攣している。

 

「ぁ゛アっ♡ぎっ♡は、っはぁ゛っ♡ぉ゛っ♡」

 

 そしてその行為に私は耐えられない。舌が揺れ動く度に歯はそれを噛んでは血を溢れ出させて、それを飲み干していく。それでもフェイは口を離さずに、傷つき続ける舌で優しく私の口内(ナカ)に触れて

 

「ハ、ひゃッ゛」

 

 それを踏みにじる様に私(羅刹)は嗤った。牙を突き立て、歯を合わせて彼の舌を噛み切る。溢れ出した血と共に彼の舌が千切れて私の喉を通り、その衝撃で彼の身体はベッドへとぽすんと堕ちていった。

 

「きて、ゆな」

 

 そんな状態で舌足らずなまま言葉を紡いで、フェイはまた自らを両手を上げる。慈しむように、自らを差し出す様に身体を明け渡した彼を見て、最後の一線が容易く壊されて意識がトぶ。思考も心も何もかもが彼を捕食する事を意識して、抱えていた恐怖や苦痛すら全て塗りつぶしながら私は彼を無我夢中で貪り始めた。

 


 

 私がフェイに明確に好意を抱いてしまったのは、果たしていつ頃だっただろうか。

 

 共に過ごして1年経った頃か、フェイが私に嫌悪を向けないと気付いた時だったか。或いは初めて会ったあの時だったのかもしれない。

 

 考えれば分からなくなる程に私はいつの間にか彼の事が好きだったし、夢中だった。今まで生きてきた中で初めて自分を人間として扱い、人食いの業すら受け入れてその身を差し出しても尚生きてくれる人。世界中探しても決して見つからないと想像すら出来なかった人に私は出会ってしまった。

 

 その唯一無二の存在に対して執着するのは当たり前の話で、一度自覚さえしてしまえば転がり落ちる様に私はフェイに依存していった。

 

 隣に彼が居る事に心底ほっとする。手を繋いで、身体と心を重ね合うだけで酷く穏やかになれた。そんな彼の肉を喰らったとしても、私を嫌わずにいてくれる。

 

 そんな振る舞いを続けていつしか奴隷である筈の彼に傾倒し、いつしか対等な相棒関係へと至って数年後にはもう私の方から彼に告白していた。

 

 告白して、幻滅されたり嫌われるのは死ぬより怖かった。断られたら自分はどうなってしまうのかと心が締め付けられて、それでも私が彼と一緒に居てもいいのか確かめたかった。私は何より自分に自信がなくて、彼が何処まで一緒に居てくれるか分からなかったから

 

『うん、君がそう言ってくれるなら……喜んで』

 

 告白は頬が染まった晴れやかな笑みと共に受け入れられた。彼曰く僕も好きだったけど自分から言い出せなくてごめんだとか、僕も君に受け入れて貰えるか不安だったとその時聞いて、私と同様の不安を抱えていた事に思わず笑って心底嬉しくなってそのまま抱き締めてしまった。

 

 其処から恋人関係になった私達は心境の変化こそあれど凡そ変わらぬ日常を送っていた。一緒に仕事をして、生活を送って、身体を重ねて、そしていつもと同じように私は彼を喰らおうとした

 

 嫌いだった食人もまたフェイならばもう嫌ではなかった。彼は痛みに悶えるし、私もそれを見て心が締め付けられるけどそれでも私達は互いを受け入れ合っていたから。ずっと二人で生きていけると信じて、彼に喰らいついた。

 

 肉を貪り始めた私を撫でる様に伸ばされた彼の手を、引き千切ってしまうまでは

 

『……は?』

 

 思わず声が出て、身体が言う事を効かない事を其処で理解した。獣のような唸り声を上げて、無造作に爪を突き立てては柔肌を切り刻んで、臓腑を引き千切る私が其処には居た。

 

 目を見開くフェイを見て、私はどうしようもない程の好意と劣情を抱きながらその行為を加速させていく。人喰い鬼が誰か一人に執着してしまえば、一体どうなってしまうのかという事を私は理解していなかった。

 

『っぁ゛、ぉ……ゆな、だめ…ぐぅ゛、っ!』

 

 フェイのか細い静止の声が耳を通り、それを臓腑を貫く事で黙らせた。絶対にしたくない行為を止めようとしても身体は止まってくれなくて、絶望する心は彼に対する歪んだ愛で満たされては飢えていた。血肉を喰らい、骨を砕き、フェイの命の灯火は私の手によって一度掻き消えた。

 

 理性を取り戻して半狂乱なった私は虚ろになった彼の骸を蘇生させ、失ってしまった彼の肉体部位を取り戻す為に無我夢中で誰かに頼り続けた。その過程で幾つかの知り合いから絶交されて、真澄には殺されかけたがフェイが生きてくれるのであれば全てがどうでも良かった。

 

 最終的にとある魔界医師の手によりフェイは元の姿を取り戻してその命を取り戻した。しかし、私がフェイにやってしまった事に何ら変わりはない。

 

 フェイはそれでも一緒に居てくれると言ってくれた。僕も悪いから、これで離れるなんて言わないで欲しい。これからの事はまた一緒に考えていこうと。

 

 その言葉を聞いて、私はまたどうしようもなく嬉しくなって同時に酷く恐ろしくなった。私の暴走は今に至るまで発生したことがなく、暴走しかけたのも人肉を摂取しなかった事以外に原因は存在していない。

 

 定期的にフェイを喰らう私にその欠乏はなく、それを踏まえた上で私が暴走した原因を考えるのであればフェイに対する好意や愛、執着……渇望。

 

 愛した人の何もかもが欲しい。愛も歓びも、苦しみも悲しみも全て喰らって一つになりたい。それが人を愛してしまった羅刹のどうしようもない本性。其処を踏まえるならば私はフェイとこの時点で絶交すべきだったのだろうが、私は彼と離れられなかった。

 

 私と離れたくないと縋る彼が居た事もあるし、彼以外の人肉を得る別の手段を考えなければならなかったのもある。そしてそれら以上に彼が居ない人生に一切の価値や未来を感じられなくて、いずれ破綻すると理解していても彼との別離は彼の死以上に恐ろしくて耐え難いと私は感じてしまっていた。

 

 だから私は彼と契約を結んだ。彼が主人で、私が奴隷。初対面の時と真反対の立場を以て、私に縛りを課した。恋人関係を解消し、私は彼に服従する。そして、私がもし羅刹から戻って来れなくなった時に私を殺す事。

 

 彼はそれを苦し気に受諾して、私の首には重い首輪が嵌められた。その契約は今に至るまで続き、私と彼の関係に変わりはない。けれど私は徐々に歯止めが効かなくなっているのを自覚していた。その証拠に徐々にではあるが捕食量が増加して、今も彼に誘惑されて容易く堕ちてしまっている。その理由も私は分かっていた。

 

 私が何より欲して消さなければならない業(カルマ)の名前は愛。どれだけ遠ざけようと、我慢しようとしても私はきっと貴方(フェイ)の事が欲しくて、何処までも手を伸ばしてしまう。私はこんな様になってもフェイに愛して、愛される事を望み続けていた。

 


 

 まず感じ取ったのはかぐわしい血の香り。豊潤なMAGと砂糖水のような甘ったるさを含んだをそれを飲み干して、目の前の肉に手を伸ばす。

 

 蜂蜜色の髪にエルフのような細い長耳、宝石のように蒼く虚ろな両眼に彫刻品のように整った鼻と血で彩られた真っ赤で小さな唇。理性を奪われても尚傷つける事が出来ない少女のような魅惑的な顔を見下ろして、それが歪むのを愉しみに彼の臓腑を体内から握り締めた。

 

「ぉ゛、くぅ゛っ…は、っ……」

 

 そのまま手を抜き入れて、血と臓腑を軽くかき混ぜながらぐちゃぐちゃにする。想像を絶する痛みを彼は呻き声を上げながら堪えていた。

 

 彼の、フェイのその肉体は無残極まる状態だった。首から上は無事ではあるものの全身が湧き出す血によって赤く染まり、痛々しい噛み痕が全身につけられている。お腹は私の手によって開かれて、外に出ようとする臓腑を無理矢理押し込められてその度に顔を歪めて、血を吐いていた。

 

 太腿と肩の肉も抉られたように喰われて、抉られた状態へと至っている。高位の覚醒者であるフェイであってもほぼ瀕死とも言えた。

 

 それでも彼が生きているのは部屋に構築された<回復の泉>*2と<生産の社>*3による回復とマグネタイト補給によるものだろう。それ以外でも時折回復アイテムを用いて、失った血肉を取り戻していた。

 

「ハ、っぁ゛あッ♡」

 

 な(・)ら(・)ば(・)も(・)う(・)少(・)し(・)余(・)裕(・)が(・)あ(・)る(・)筈(・)だ(・)と(・)、羅刹の本能ままにそう判断してゆっくりと臓物を引き抜いて体外へ露出させた。

 

「其処は回復難しいから、優しく扱ってくれると嬉しいな……!」

 

 荒く息をしながら痛々しく笑うフェイを見て、ニタリと私も嗤う。フェイの言葉に答える事もなく口の端から垂れ出た血を啜って、愛液に塗れた秘所を彼の下半身に擦り寄らせる。

 

「ふぅ、ぉ゛っ♡ほぉ゛、ぅゥッ♡♡」

 

 あまりに多くの苦痛に塗れたフェイの男性器は未だに膨張したまま脈打っており、それを一息に呑み込んで串刺しにしながら獣その物の喘ぎ声を上げた。

 

「ぅ、っ…ぁ、ふ……いいよ、ゆな」

 

 私によって削がれ喰われて、骨すら露出した肩肉の再生が完了した。彼は言葉と共に首を横にずらし、私は無我夢中にそれに喰らいついた。

 

「あ゛、ぐっ♡お゛ォ……♡♡」

 

 まろび出た臓腑をそのままに、再生された肩を再び真っ赤に染め上げる。蜘蛛が獲物を捕食するように両手を抑え付けて、腰を上下に激しく振ってあまりに強引に性交は重ねられていく。

 

「んぉ゛っ♡ぉ゛、ぉっ♡」

 

 肉を乱雑に頬張って、それを血で胃へと流す。これまで何度も繰り返したフェイの捕食は飽きる事はなく、私の飢えが満たされるまで無限に繰り返されていた。しかしどれだけ喰らって胃が破裂しそうになる程にお腹が膨れ上がっていても、飢えは満たされずに止まらない。

 

「ぃく゛っ♡い゛ぐっ♡は、へ゛っ♡」

 

 同時に彼の男性器に覆い被さりながら吸い付いて、本能のままに腰を振ってだらしなく何度も潮を吹いて私は絶頂していた。血肉を喰らう事で青天井に上昇していく快楽に身体は過剰に反応して、あらゆる体液を垂れ流しにしながら精液を強請って串刺しにされ続けている。

 

「ゆなっ」

 

 耳元でなければ聞こえない小鳥の囀りのような囁きと共に子宮口に押し込まれた亀頭が膨らんで、彼の精が溢れ出した。

 

「ほ、ォおぉォ゛おオぉ゛ぉっ♡♡♡」

 

 子宮を白く、胃袋を赤く。精液と血肉を貪り喰らって、私の全てが溶け落ちそうな逸楽が電流のように脳髄から手足まで全身を駆け巡った。イって(絶頂)、イって(捕食)、イ(逝)く。意識がトんで、私(羅刹)から私(由奈)が戻ってくる。

 

「ぁ…あ、ぁ゛っ」

 

 視界が白く染まる中で私は犯した過ちを悔いた。死を以ても贖えない、愛した人を痛めつけて喰らうという罪。今すぐに彼に与えた痛みを、それ以上の苦痛を自分に与えたかった。それで彼の痛みを取り払う事は出来ないけれど、そうしなければ心の底まで狂ってしまいそうだったから。

 

「ん、んっ……大丈夫。僕は大丈夫だよ、由奈」

 

 私の頭を白くて赤い柔らかな何かが包み込んで、そのまま抱き締められた。身体を奔る絶頂も痛みも柔らかなそれに受け止められて、優しい暗闇が私の視界を満たした。

 

「疲れたよね。今はゆっくり、おやすみ」

 

 彼の声が聞こえる。何処までも私を気遣って、愛してくれるフェイの体温を強く感じた。

 

「ぅ、ん」

 

 それに縋る様に私も手を伸ばして、抱き締めた。意識が揺蕩い、闇へと堕ちる。私の思いも罪も業も全てベールに隠してしまうように有耶無耶にしながら

 


 

「フェイ――」

 

 フェイに抱き締められて眠り、意識を取り戻したと共に私は跳ね起きた。理由はあの状態のフェイを放置して眠りこけてしまったからだ。

 

 暴走前と暴走後も含めて優に彼一人以上の肉を喰らって、彼は死に至る前に回復とMAG補給によって再生してそれを私に喰わせていた。しかしその再生も自然なものではなく多大な負担を肉体に掛けているのは明白であり、彼のレベルと言えど本来ならば死んでいてもおかしくはなかった。

 

「何処に……!何処に居る!」

 

 血の染み一つない真っ白なベッドに眠っていたのは私一人だけ。フェイの姿は何処にもなく、蒼褪めながら彼を探そうとしてそのままの姿のまま飛び出して

 

「わわっ、どうしたの由奈?」

 

「良かった……!」

 

 ぶかぶかのYシャツ一枚を着たフェイを見つけるや否やぎゅっと抱き締めながら衣服を剥ぎ取った。

 

「え、ちょっ」

 

 裸体にした彼の身体を隅々まで観察する。状態そのものは安定しているが、いつもより血色が悪くてただでさえ白い素肌がさらに色をなくしていた。全身の至る所に残る痛々しい赤い痕はその場の回復だけで治せなかった私が喰らった証なのだろう。そして、一番確認しなければならない手を抜き入れてしまった腹部を確認しようとして

 

「由奈っ!由奈ってば!」

 

「なんで…ぁ……っ」

 

 ビンタされた。其処には顔を真っ赤にして私が剥ぎ取ったYシャツで身体を隠すフェイが居た。とてもえっちだった。

 

「僕は大丈夫だから、そんなに慌てないでよ……!僕も君も素っ裸なんだし」

 

「それよりそのYシャツ、私のですか……?」

 

「き、君以外の服持ってくるの忘れちゃって……明日洗って返すよ」

 

「いえ、一日中着てから洗わずに返してください。その後回収して保管します」

 

「いやちゃんと洗って?後、服吸わないで僕に返して?君もだけど僕、裸だよ?」

 

 その後はシャワーを浴びてきてしっとりした彼の髪を吸おうとしたらビンタされたり、またお腹を確認しようとして服を剥ぎ取ろうとしたらビンタされたり、シャワー行かせられてシャツを強制的に着せられたりしたが取り敢えず私もフェイも落ち着いて綺麗になったベッドの上で隣り合わせに座った。

 

「……すみません、私。また危うく貴方を殺しかけた」

 

「急にしおらしくなるなぁ。まぁでも煽ったの僕だし、発散させないといけない理由もあったからさ」

 

 多分こうする以外に発散する方法はなかったとフェイは語った。ラーヴァナと交戦し、殺し合ったという経験は思った以上に私に影響を与えていたらしい。性交時におけるフェイを嬲るような仕草はラーヴァナが本来持ち得るものであり、ある意味ラーヴァナの一部が私に融合した結果であるとの事だった。

 

「まぁ僕を骨の髄まで喰らう、じゃなくて虐めながらもぐもぐするって感じだったから想定よりは楽できたね」

 

「しかし……」

 

 フェイの身体を確認するべく服を捲り上げた。引きずり出された臓腑は何とか収められていたがその過程で縫合する必要があり、その傷跡が亀裂のようにお腹に残ってしまっている。

 

「これとか他の食べられた所とかは完全に治るのに数日はかかるかな。でも機能的にはもう問題ないと思うよ。ちょっと痛むけれど」

 

「そう、ですか」

 

 視界がぼやける。その権利などない筈なのに、泣きたいのはフェイの筈なのに零れ落ちる涙が止まらない。彼を喰わなければ理性を保てず、生きてもいけない自分の身体も喰らった末に何処までも浅ましく発情して彼に苦痛を与える事でどうしようもなく満たされてしまっている心も全てが許せなかった。

 

「そんなに自分を責めないで……って言っても、僕も君と同じ立場ならそういう風に責めちゃうか。なら、そうだね」

 

 幼児のように泣き出した私の顔を見上げながら、フェイは肌と肌を触れ合わせるように身体を密着させた。

 

「前さ、僕は君なら良いって言ったの覚えてる?あれってさ、君に食べられるのが好きって事でもあるんだよね」

 

「は?」

 

「別にその、被捕食願望があるとかそういうのじゃないよ。君に食べられるという事に充足感を覚えてる僕が居るって事さ」

 

 こてんと猫のように擦り寄って、瞳を細めて彼は恋する少女のように微笑んだ。言われた言葉が予想外過ぎて、うまく身体が動けない。鏡がない以上、私の顔を見る事は出来ないが呆気に取られた真顔を浮かべているのは容易に想像がつく。

 

「それは、どういう意味なのですか」

 

「君が相手なら痛いのも耐えられる。僕以外を食べてほしくない。これは前に言ったけど多分独占欲みたいなもんかな。君に食べられる事によって確かに君にとって僕は必要で求められて、一緒に居てもいいんだって思う事が出来る。そして君が僕を食べる事に罪悪感だったり苦痛を感じる事も……僕を大事にしてくれてるって意味合いで嫌じゃないんだよ。幻滅されるかもしれないけど、結局僕も不安を抱えながら君に依存してるんだ」

 

「いつか貴方は私に喰われて死ぬかもしれないんですよ。それでも、いいんですか……?」

 

 私の食人欲は増幅し続けている。ラーヴァナと戦った事もそうだが、フェイがこんな私を一切嫌わずに擦り寄ってくる事で心が彼を求めてやまないから。手を伸ばして、掴んでは喰らって、喰らい続けて、最後に彼は死ぬ。それが私と彼の関係の果てにあるどうしようもない袋小路。

 

「僕、個人としてはいいよ別に。君と一緒に居る最後がそれなら受け入れられる。でも実際にそうなっちゃったら結構困っちゃうよね。僕がミスって呆気なく死んじゃうかもしれないし、君が完全に暴走して突然僕の命を散らしてしまうかも」

 

 だから、と付け足して両手を首に回されて唇が重ね合わされる。今度は血の味はしなかった。

 

「僕が死んだら、君も後追いしてね。状況次第だけど君が僕なしで生きていけると思えないし」

 

「ぁ、ぇ……は、はぃ……」

 

 頬に手を添われ、耳元でそんな破滅的な言葉が聞こえた。どうしようもない一緒に心中しろという命令なのにそれがフェイだからというだけで脳が茹って、頬がだらしなく緩んだ。羅刹の本能ではなく私自身の何かが強く疼いて、上擦った声が漏れる。

 

「エリヤと真澄にはそうするって伝えてある。後は幾つかの対処パターンとその後どうするかもね。真澄には凄いあれこれ言われたり、エリヤにも難色示される部分はあったけど最終的に納得はしてくれた。場合に寄っては道連れが増えちゃうかもだけど」

 

「ぅ、っ……ぁ……♡」

 

「そういう訳だから宜しくね?」

 

 頬から顎へ、顎から喉元に手を這わされてしゅこしゅこと軽く首を絞められた。心臓が痛い位に脈打って、股から愛液が勝手に漏れ出す。我ながら常軌を逸しているとは思うけれど生殺与奪をフェイに握られているような感覚が気持ちよくて、一緒に死んでもいいという事自体が溜まらなく嬉しかった。

 

「どうしてそこまで、私の為に……」

 

「ずっと一緒に、傍に居たいから。君を離したくないから。それでも不足なら幾らでも理由は積み上げるけど?」

 

 されるがままに触れられて、挙句の果てに頭を抱き締められたままベッドに押し倒された。私と同様に激しく脈打つ彼の鼓動と暖かな体温に抗う気持ちは失せてしまった。

 

「何故っていう一番の理由は……もう言っちゃったからね。僕がそれ言って君がまたその気になって暴走しちゃっても困るし、もどかしそうな君の顔が可愛いから今日はもう言わないでおく」

 

「う゛、ぅぅっ……♡」

 

「うふふっ……じゃぁ……」

 

 私の頭を包み込むようにして彼の全身の熱が伝わってくる。意地悪されて、弄られて、私自身はすっかりその気にもうなっていた。羅刹の本能による捕食と蹂躙ではなく私自身と彼との確かな性交を望んで、私は彼に声を掛けようとして

 

「おやすみぃ」

 

「は?」

 

 コアラのように頭に抱き着いたまま彼は即座に寝た。爆睡だった。

 

 考えてみればこの部屋*4に来てからもう1日以上は優に経っている。肉を貪った時間も身体を重ねた時間はその大半を占めて、その疲労や体力消耗をフェイは回復していなかった。

 

 どちらかというとその事に思い至らなかった私の方が愚かでどうしようもない。けど、けれど。

 

「さ、最後の最後にこうする必要はなかったですよね、フェイ」

 

 私の身体は完全に火照って、それを言葉で惑わしてなしたであろう当の本人はにへりと笑いながら惰眠を貪っていた。許せなかった。後、フェイに包まれて凄い悶々とするのも許せなかった。すっっっごいムラムラする。

 

「意地悪だけしたかっただけなんですか?私を惑わして楽しかったですか?ねぇ?」

 

 胸を甘噛みしても、引っ掻いても眠りが深すぎて起きない。此処まで疲労させたのは私自身であるし、これ以上の方法で無理矢理起こすというのは流石に恥を知らなすぎる。其処まで含めてフェイの策略なのも見え透いていて、心の中で地団駄を踏んだ。凄いいい匂いがする。

 

「貴方がそうするならこっちだって考えありますからね!ぜっっったい……いつか!私が貴方を分からせてやるんですからね!」

 

 起こさないように小声でそう叫んで、私は眠りこけるフェイの胸に顔を押し付けた。

 


 

<久遠 由奈>

精神性は人間に近いが、肉体面がどうしようもなく悪魔に近い。和風バーゲスト。

自分より小さな子供に意地悪されて発情するタイプの駄目な大人。

パートナーがフェイであるが故に人間であり続けられているが、そのせいで性癖も心も身体もぐちゃぐちゃになっている被害者。ラーヴァナと交戦して、実質互いの命を奪い合う寸前まで行った事でそれぞれの因子が混ざり合う事に。ちなみにわからせが成功する事は今後もなく、この後発情が収まるまで必死に自慰した。

 

<久遠 フェイ>

肉体面は人間に近いが、精神性は悪魔に近い。

好きな人をちょろまかして依存させる事に快感を覚えるタイプのオスガキ。

惚れやすい、惚れた相手に骨の髄まで尽くす、依存されるのも依存するのも最終的に破滅するのも構わないという関わったら駄目なタイプの存在。暴走状態の由奈にはアホ程肉喰らわれながらエッチされたり、モツ抜きスパイダー騎乗位されたりしたが回復とMAG補給、そして喰われても再生が比較的可能な部位を優先的に喰わせる事で何とか耐え凌いだ。恐らく普通なら此処まで肉体は再生しないが出自が■■■■■■であるので肉体部位の自己補完性能が通常の悪魔人間より高い。

エッチ中の勃起は頑張って気合いで維持した。

*1:
TRPG基本編出典。男女交合しながらこれを唱える。

男女双方ともにHP/MP、さらには毒から昏倒までのコンディションは完全に回復する。

術には2時間をかけねばならず、両名が昇りつめねばならない。男性が行動不能であると行えない。マントラに分類されるカルトマジック 

*2:
NINE出典(RTSスキル)。1カウント毎にエリアに侵入した味方PT全キャラのHPを回復する。回復量はエリアLv×HPの25%となる

*3:
NINE出典(RTSスキル)。1カウント毎にマグネタイトを生産する。別室にラクシュミが待機しており、ラクシュミが持つ<幸運扶翼>で生産量が2倍となっている。

*4:
エッチ用の時間の流れが遅くなる部屋。エッチの時は概ねこの部屋を利用して時間短縮してる

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