・注意!
今回の話はフェイ(男の娘)がTSして凌辱される過去話になります(時系列としては1番前。その後の由奈視点のお話はオタクくんサマナー本編が始まる直前か直後位)
グロ要素が結構あったりフェイの尊厳が破壊される話でもあるので読む際はご注意ください。
瞼に届く光を感じて、僕は目を覚ました。
ぱちぱちと目を動かせば頭上で光るのは太陽ではなく点滅を繰り返す蛍光灯で、今居る場所も薄暗い鉄とコンクリートで作られた牢屋に過ぎない。
其処には僕と同様の用途で使われる子達がタコ詰めされて過ごしていた。
「ぎ、っ……ぁ、がっ……ぱ、ぱ……」
「へ、っ♡ぉ゛、っぁ゛♡はへっ♡はひっ♡」
その全てはデビルドーターで、スピリアによって心も体も弄られていた。苦痛によって歪み、髪の毛を千切りながら頭をかきむしる子や快楽によって心が融かされ、ずっと自慰をしている子もいる。
僕もその例に漏れる事はなく、スピリアの注入と抽出ならびに男性器の破壊と回復魔法による再生によって肉体は女性体となっていた。
実験の一環として行われたそれは僕自身がデビルドーターであり、元の存在が女性寄りである事から起きた事象とされた。同様に女性器を破壊して、男性の記憶のスピリアを注入或いは日数の経過により男性体に戻る事も分かったが僕にとっては痛いし苦しかっただけだしで酷くどうでも良かった。
男にせよ女にせよ、僕の身体は女寄りだ。顔立ちはいつみても少女のようだし、お腹はくびれて、足も長くて、全体に程よく肉がついてて骨は出ていない。男女の区別をつけるには股のそれがついているかどうかと胸が多少膨らんでいるかどうかであり、どちらの姿であっても受ける苦痛や快楽に差異が生まれるだけでその総量は変わらなかった。
「みんな、おはよう」
デビルドーターの子達に声を掛けて、錆びれた鉄床を裸足で歩く。僕も含めてその全てが裸体で服は纏っていない。その権利を持っていない。
部屋は掃除しているけれど用具も最低限しかないから限界があり、不衛生が過ぎて悪魔混じりのデビルドーターなのにそれで死んでしまう子も居た。
「今日は……お、今日はちょっと豪華だ。ラッキー」
その中で唯一衛生的な場所であり、外部からの配給があるボックスに手を伸ばす。既定の時間になれば食べ物と水が其処に収められている。それは少なくとも外の大人達は僕達を生かす気はあるという証明でもあった。肉奴隷や実験体としてではあるけれど
「はーい、自分で食べれる子は自分でね。食べれない子は待ってて」
水と食事を人数分振り分けて、それを配っていく。半数の子はまだ食べる意欲は残っている。元より与えられる水分や食事は最低限であり、とてもじゃないがその量は足りていない。
パンや固形栄養食にむしゃぶりついて、水を零さないように喉へと押し流す。だが、其処まで出来ない子達も居た
「あーん」
心を壊された子、身体を壊された子。どれだけの苦痛を与えられようと回復魔法以上の治癒を受けていないからもう自ら動けない子達も多い。そんな子達には僕が介助している。他の子はそんな余裕はなく、比較的正気で居られているのも僕だけ。それもいつまで続くか分からない。
「ん、っ……はぁーっ」
その間に傷を見て、必要なら
「よし」
そうして食べ終わったら、食器を集めてはボックスに戻した。後は外の人達に呼び出されるまではこのまま過ごす。
外に呼び出されればやる事は実験に使われるか悪魔かそれに類した人間に犯し潰されるだけ。どうせならこのまま何事もなく今日一日が終わってほしいが、此処に居てもどん詰まりなのは変わらない。
既に明日生きているか怪しい子も何人もおり、それは魔法ではどうしようもならない。外にはきっとそれらを治す為の施設があるのだろうが出る事は出来ないし、出たとしても価値のない僕達はそのうち野垂れ死ぬだろう。
なにせ、此処に居るのは最早こういう形でしか利用価値のない廃棄物に等しい悪魔の娘だけだから。僕のように父親に見捨てられファントムソサリティに売られたか或いは消費される為だけに産み出されたか。どちらにせよ扱いは変わらず、家畜である事に変わりはない。
いっそ狂えてしまったのなら楽だった。此処に居る多くの子達のように思考を放棄し、苦痛か快楽に身を委ねて発狂してしまえば良かったと思う事もある。それでも僕は
魅了や麻痺、幻惑等を弾く身体に、記憶で心体を犯すスピリアに対する極めて強い耐性。頭の中の思念を搾り取っても廃人にならず、スピリアを大量に注がれても肉体が崩壊する事はなかった。
肉体も悪魔との異常性交によって内臓や外見がズタズタになっても回復魔法を掛ければ大抵の傷や破壊部位は元に戻った。喰いちぎられた肩も、拳が容易に入る様になった膣も、血と肉で原型が無くなるまで殴られた顔も治癒魔法さえあれば元に戻る。そんな外の人達にとってとても都合の良い構造に僕の身体はなっていた。
心にひびが入っても壊れ切らずに、体はぐちゃぐちゃにされても再生された。隣に居た僕と同じような境遇の子はあまりに呆気なく肉の塊に変えられて処分されていくのに、僕だけがこの場に生き残り続けている。
僕がこの子達に此処までしているのは実験体の中では一番余裕があって、何よりそうしなければ辛すぎたからでもあった。居なくなった父を求めて、その命を苦悶と絶頂の叫びと共に消費されていく彼女達の手を少しでも握る事で自らの居る意味を其処に求めていた。
愛された事はないから彼女達の愛を授ける事も出来ないし、同情で慰める事も彼女達にとって左程意味はない。死ぬ為に生まれてきた子達を延命しようと手を尽くし続けるのは外の人達にとっても僕にとってもあまりに滑稽で無意味だ。
「うん……大丈夫。きっとお父さんは来てくれるよ。だから、今はゆっくり休んで」
父は来ない。安息の日も訪れない。それでも束の間の放置されている時間を使って、足りない言葉で慰めてはぎこちなく彼女達を抱き締めた。ただ自分の心を保って罪悪感を積もらせない為に。
「餓鬼ども、全員出ろ。仕事の時間だ」
そして、そんな時間も終わりを告げた。
全身を黒く染め上げた完全武装の男が複数人、銃を持ちながら僕達に命令を下す。
逆らえば拘束された挙句に死が確定された実験に使われるか或いはこの場で銃殺されるか。この場に居る全員は既にその両方の結末を目撃している以上、選択肢はなく気が狂ってしまった子も含めて彼らに追随する。
裸足で冷たい鉄の床を踏みしめて、同じように檻から出てくる子達が何人も連れられて列になってある一箇所の場所を目指していた。
スピリアによって肌が変色した子も手足の数が多い子も既に死にかけている子も例外なく集められ、3mはあるであろう巨大なゲートより内部へと入っていく。
「……あはは、そういう事」
其処に辿り着いた時に思わず苦笑が出た。
ドーム状の広々とした空間は眩しい程の光源に照らされて、僕達の姿をはっきりと映している。床全体に撒き散らされた乾いた真っ黒のペンキのような物から感じられる痛みと死の思念から此処でどういった事が行われていたかは明らかで、何より僕達に向けられた視線が針のように全身を貫いている。
ドーム上部周辺に備え付けられた無数のカメラ。此方からは真っ黒に見える敷き詰められた強化ガラス。其処から向けられる思念は期待、嘲笑、情欲、軽蔑、一番に未知に対する興味が上げられた。
姿は見えないし、声も勿論聞こえない。ただ無数の人間が僕達を見ているのを感じている。無知蒙昧な僕でも大きな何かが外であり、その為に僕達は集められたのは理解できた。
それはきっと良からぬ事であり、見世物であり、巨大な実験であるのだろうと考えて
| Lv■■ | 外道 | 狂った悪魔の群れ |
ドームの反対側のゲートより現れた悪魔の群れを見て、これが一種の終わりである事を悟った。
『ゲひヒひぃィ……へ、ぃぎっ……ッ』
血走った瞳を縦横に回転させながら数十の様々な悪魔が僕達を見つめ、近づいてきている。数で言うのであれば僕達の方が2倍以上ではあるが丸腰であるし戦闘経験等もなく、反抗心は根元より折られている。
相対する悪魔達も何処か可笑しかった。全身に纏う狂気はMAG不足による飢えと思っていたが悪魔達のMAGは満ち溢れている。此方に向ける思念も殺戮や加虐といった攻撃的な物ではなく、発露しているのはむしろその逆のように思えた。
『ギゃひ、ッひっ……ぉっ、ぉァ゛……』
「抵抗もできないし、せめて壊さない位にしてほしいね」
縋る様に僕の腰を掴んで持ち上げた邪鬼に努めて恐怖を出さずに言葉を返す。
迫りくる悪魔に叫び声を上げながら逃げる者も居るが入ってきたゲートはとっくに封鎖されている。他に出入り口等なく、壁を殴ろうとも合金で構築されたそれはびくともしない。
それが分かり切っているから大半の子達は何もせずに突っ立っている。悪魔の数は僕達より少ないがそれでもその体格と力の差によって直ぐに押し潰されるか纏めて複数人犯されるかされてしまうだろう。
悪魔達の様子が可笑しかろうとその目的は僕達を犯す事であるのはこの場所に僕達が集められた事から疑いようもない。現に多くの悪魔はもう幾名もの子供達を犯し始めている。
ペットに餌を与える様に悪魔の贄として僕達は捧げられる。直接的な害意がなくとも、悪魔の力は容易に人体を壊せるのだから。
『オ゛、ぉォ……ッ♡』
「ぁ゛、ぎ……ぁ゛、ん゛ぅッ゛……」
邪鬼が恍惚に浸り、不細工に嗤いながら濡れてもいない秘所を貫いた。骨が軋む程に腰を掴んでは上下に動かして、その度に身体がグラグラと揺れる。
邪鬼との体格差は約2倍で、それが持つ男性器は僕の腕よりも太くて長い。通常の人間であるのなら悪魔の怪力もあって一突きで秘所を喰い破って、膣や子宮を壊してしまう。しかしデビルドーターの中でも耐久性に優れた僕だからなのか、秘所が一時的に拡張されて血を溢れ出させながら骨に罅が入る程度で済んでいた。
「でぃ、ぁ゛」
千切れた血を潤滑剤に邪鬼は叫び、喘ぎ、あまりに強引にピストンを重ねる。
身体の防御反応として愛液が噴き出して、脳に刻まれた快楽の記憶から狂おしい程の性感が湧き出るもののそれを凌駕する苦痛が全身を襲っている。
まるで業火で真っ赤になった鋼鉄の杭が肉体を何度も貫いているようだった。子宮を他の内臓諸共にぐちゃりと押し潰して、僕の身体を発情期の猿のように上下を繰り返している。
何とか覚えている魔法で自らの命を繋ぐも内臓の損傷による吐血で息が苦しく、激しく揺れている事で意識を保つことで手一杯だった。
「が、ぁ゛……ァっ」
内側を突き刺し、平らだったお腹が押し込まれて棒状に浮き上がり、身体が仰け反る。平衡感覚も儘ならない逆さになった視界には地獄と化したこの場の情景がよく見えた。
大柄な魔獣が一人の子に覆い被さり、無遠慮に激しく性交を繰り返している。その子の口からこの世の思えない声が上がって痙攣すると共に声も力も抜けて、彼女の思念も消えていく。
左を見れば人面がついた妖樹が複数の子を触枝で縛り付けては股についた両穴に陰茎の様な形状の触手を突き入れて犯している。瞳から生気が抜けた彼女達は喘ぎ、苦しむものの次第にそれすら無くなって全身に蔦が伸びて妖樹の一部となっていく。
それ以外にも半透明の悪霊が子に取りついて骨が折れる程に狂った自慰をしたり、蛇のような邪龍が子供を一人縛り付けた後に丸呑みにしていたり、それは文字通り悪魔の為のサバトだった。
『フ゛、ひュ゛ぅ! ぅ゛オ゛、ぉ゛ン゛っ』
そんな事を余所に邪鬼は目で捉えられない程に腰をへこへこと肉オナホのように僕を振り続けて、その度にお腹が喰い破られそうな激痛と微かな快楽が身体を突き抜けた。
性交を始めて数分しか経っていないが血と愛液によって流動的に動くようになった膣内は僕の意志とは関係なく邪鬼の男性器を刺激させて、その大きさは膨れ上がっている。
それは即ち邪鬼の絶頂が近しい事を指しており、乱暴で大雑把な上下運動は最高速で繰り返されて、ついに終端へと至った。
『オ゛、ぉっぉ、ォ゛ォー゛ッ!!!』
邪鬼の咆哮が僕の声を搔き消しつつ、白濁とした液体を放出した。
馬の面をしているからか射精量もそれ相応であり、瞬く間に子宮も膣が液体で染め上げられて僕のお腹がぽっこりと膨らむ。
「これ、もしかして……ッ!」
射精中にも関わらず邪鬼は腰を振り続け、それと共に収まりきらない精液が血と混合しながら股から落ちていく。其処に含まれていたのは悪魔の存在維持すら困難になる程のMAGとスピリアだった。
人間から快楽や恐怖を発露させた上でMAGを喰らう。それが本来の悪魔が人間を襲う理由であり、そうであるからこそ邪鬼のこの有様は常軌を逸している。
吸収する為のMAGを放出してその放出量も自身の肉体を構築するMAG諸共に解き放った物。さらに言えば邪鬼自身もその行為に何ら疑問を抱いておらず、瞳は淀んでだらりと堕ちていた。
「く、ぁ゛…ぁっ゛♡」
邪鬼の声にもならない断末魔を聞きながら、二度目の射精が身体を奔った。だらけ切った表情とは裏腹に邪鬼は僕の身体を砕かんとする勢いで強く締め上げている。
それは何かに縋るようにも見えて、自身の肉体が消えていくのも無視しながら自殺的なMAGの放出を止めない。子宮内の精液が新たな精液で洗い流され、過剰なまでのMAGとスピリアによって異様なまでに身体が火照っている。それこそ与えられる痛みの全てが快楽に感じられるように。
『は゛、ぱ』
邪鬼の瞳から液体が零れ、僕の口に入った。塩気が感じられるそれは確かに涙であり、邪鬼の呟いた言葉が異様に耳に残った。
「まさか」
僕に注がれたMAGとスピリア。其処に込められた記憶はこの邪鬼に襲われ、弄ばれた性行為の時の物だった。悪魔である邪鬼からは当然スピリアの採取はできず、そもそも同一存在が女のように犯されるという矛盾があった。
そうであるならこの記憶はスピリアによって齎された物であり、邪鬼に犯され潰されて最終的にスピリアの原料にされたデビルドーターの記憶である事が理解できてしまった。
「ひどいコトするよね、まったく」
乾いた笑みを浮かべて、地面へと落ちていく。
MAGを放出し切った邪鬼は僕を最後まで抱き締めたまま消えていった。最後まで自分を見捨てたであろう父を求めて、僕を代替品として縋りながら。
『おと゛、ぅさぁ゛ん』
『どこ゛、ぉ゛みんな゛ぁ゛あぁっ』
『くるひぃ゛、だふけて』
注がれたスピリアと今まで注がれて身体に馴染んだスピリアが感応して、声が聞こえる。それはこの場に居る悪魔、子供達全ての声だった。
邪鬼と同様に父に見捨てられたデビルドーターの記憶をスピリアとして注がれた悪魔達。その悪魔達との性交の果てに身体が変異して悪魔そのものと化すか、耐え切れずに肉塊となっていくデビルドーター。
記憶を喰らい合い、注いで、その苦痛と快楽の思念でこの場は満たされている。
外の人間達はそれに多大な興味を以て見つめるが救いの手を差し伸べる事はない。傍観するか或いはさらにこのショーを激化させるように声を上げているのが思念を通して感じられた。
『ぱ、ぱっぱぱっぱぱぱっ』
『くるひ゛い、く゛るひぃ゛よぉ゛』
床で這いつくばる僕の身体を二つの影が掴み、持ち上げた。来る筈もない存在を求める人間の記憶を持つ悪魔に、苦痛に悶える上半身が異形と化したデビルドーター。気づけばこの場所は僕以外は殆どそんな物と化してしまった子達しか居なくなってしまった。
僕達の有様を見て、まるで塵を見るかのような侮蔑と嘲笑と落胆の思念が聞こえた。僕達をこうしたのは貴方達なのにどうしてそうも他人事のように振舞えるのか。僕には理解できなかった。
そんな思考も意味はなく、僕達は虐げられる。彼らの未来と愉しみの為に見下ろされて、苦しみの中で消費されていく。怒りも憎悪も最早湧く事はなく、ただ虚しさと悲しさだけが残った。
「大丈夫」
手を伸ばす。綺麗だったその顔を内臓のように歪に膨らませた子の顔を撫でて、歪に笑う醜悪な悪魔の涙を指で払う。
「もう痛い事なんてさせないから」
父の精子と悪魔のデビルソース、それらを母胎に織り交ぜて誕生した僕達は穢れて呪われた子だと彼らは言っていた。自分の歪みを自覚している以上、それは間違いないとは思う。だけれど彼女達の父を求める無垢な思いは、愛されたいと願う思いを否定したくはなかった。
誰かに受け入れてほしかった。彼女達も僕も、ただ抱き締めてくれるだけで良かったのにそれがただ只管に遠いから苦しんでいる。こんなに苦しいならこの世に生まれるべきではなかったとそう思ってしまう程に。
「ほら、パパだよ。おいで?」
手を刺し伸ばしてくれる人は居ない。此処には僕達しか居ない。僕に父親のような人は居たけれど、あの人はそういう振る舞いをしたことはなかったから参考には出来ない。
僕の妄想上だけの父親像、子供を無条件で受容して愛してくれる存在。それをイメージして、思念をドーム全体に拡散させた。
「そう、こっちだよ」
虚像の父を演じる。この場においてそれは自らが好物の餌である事を広め回っている事と同義である。だからその場の全ての存在は僕を知覚した。縋れる、抱き締めてくれる唯一の存在として穴が開くほどに見つめられている。
「ァ゛、ぅ……ふふっ、大丈夫。恐い夢を見ていただけだから」
その二体だけではない多くの何かの手が僕を掴んだ。視界が彼女達の身体で覆われ、掴まれた手足が歪な方向に折れ曲がっている。身体中の穴を彼女達の何かに犯されている。背筋が凍るような恐怖と苦痛を心の奥底へと追いやって、彼女達の全てを取りこぼさない様に必死に抱き締めた。
「ぉ゛……ァ、ぁっ……」
犯され、侵され、冒される。自分の思念の境界が曖昧になって、彼女達の記憶も思念も僕の心に溶けていく。彼女達の受けた痛みを払う事は出来ない。出来るのは抱き締める事だけで、痛くて泣き叫びそうな思いを
声が出せないままに笑みを浮かべて、壊される続ける身体を回復し続けて、気が遠くなる程に時が過ぎた。次第に僕に届く思念が少なくなって、身体への負担も減っていった。代わりに注がれた精液とスピリアが全身に残って、僕と彼女達の心が混ざっていく。
僕の心が喰われて消えて、その穴を埋めるように彼女達の心が入っていく。僕は果たしてフェイなのか、ひょっとした僕は死んで彼女の誰かになってるのではないか。僕は私で、俺で……誰なのか。受容した幾多の心の流動に耐え切れずに意識もあやふやだ。
「あ、ぇ……?」
頭部につけられた謎の機械が視界を塞ぐ。それはスピリアを抽出・注入する機械であり、僕が現状を理解する間もなく混ぜられた心が抜き取られていく。
「は、ぁ゛っ♡ぁ゛ーっ♡ぉ、っ♡」
僕となった彼女達の記憶が抜かれ、また新たに
「ぅ゛、ぃ゛ふっ♡い゛、っぐっ゛♡♡」
頭から、秘所からスピリアを注がれて身体が勝手に発情しては覚え込まされた絶頂の言葉と共に身体が跳ねた。痛みもなく快楽だけという事ならあれだけ傷ついた身体はもう完治しているという事なのだろう。
あれだけの苦痛で満たされた場所で身体を差し出して彼女達を受け止めたのに僕は生き残ってしまった。傷一つなく、受け止めた彼女達の心は僕の欠片諸共にスピリアとして抽出されてきっとまたそれは使われる。
擦り切れた僕の記憶を辿って、これがもう複数回繰り返された事であるのも思い出した。そう思い出した事もきっと忘れて、同じことを僕は繰り返すのだろう。
彼女達の痛みは和らいだだろうか。あの子達は少しでも救いを得て、僕の心になったのだろうか。この行為に意味はあるのだろうか。
最善ではないし、この行為は僕を慰める為の自慰に過ぎない。もっと力があれば出来る事はある筈なのに僕にはそれが浮かばなかった。螺旋のように繰り返される実験の中で今回も継ぎ接ぎだらけになった誰かも定かではないフェイだけが生き残る。その苦痛に涙が自然と漏れても、僕の涙を拭ってくれる誰かは居なかった。
「苦しひ……助けて……」
心と体に蓄積した疲労とスピリア注入による浮遊感によって意識が飛んでいくように落ちていく。痛みに満ちた自分を救ってくれる誰かに手を伸ばして、届かないのを自覚しながら暗闇に身を投じて瞼を閉じた。
「……これで最後ですか」
かつてフェイを含むデビルドーターが実験に利用されたスピリアの精製所。その跡地にて久遠 由奈はその場に居たかつての同僚である旧ファントムソサエティのエージェントを皆殺しにした上で佇んでいる。
由奈の目的は旧ファントムの残党ならびに新ファントムに鞍替えした者達の打倒。葛葉キョウジやスプーキーズ、ヤタガラス等の対ファントム戦力の協力者としてフェイと共に暗闘を繰り広げていた。
「フェイを連れてこなかったのは正解でしたね。此処にはどうしようもならない思い出が多すぎる」
旧ファントムにとっても或いは他の組織にとっても此処は既に終わった場所だ。スピリアという劇物を産み出す為にあらゆる事がなされた悪鬼外道の坩堝だったとしてもスピリアの製法が確立され、主要な裏組織に拡散し切った今では最早価値はない。
残っていたのはスピリアの研究に憑りつかれた者か狂ってしまった者、後は他に行き場のない者か子供を嬲るのが好きな者ばかり。どうしようもない袋小路に引き篭もり続けた者達はあまりに遅すぎる審判を以て断罪された。
「はぁ」
由奈の口から気だるげな声が漏れた。
この場の制圧は完了したが此処に向かってきているヤタガラスに状況の引継ぎをしなければならない。今はこうして協力関係を築いているが由奈も元は旧ファントムの殺し屋であり、彼らからの心象は宜しくない。
元々これらの作戦に参加しているのもフェイに関わる事だったからであり、そうでなければ見向きもしなかっただろう。後悔はないが、彼らとのやり取りを考えると憂鬱だった。
「……フェイ」
制圧したこの場にて警戒態勢に入りつつも物思いに耽り、ふと思い人の事を考えた。
この場所で殺戮をする最中で研究者の一人がフェイの名を呼んでいた。それはフェイに執着し、研究を繰り返していた狂った男だった。
最早人の言葉すら話せなくなったそれはサーバー機器に縋る様にして、其処に繋がれたモニターを見つめ続けていた。
「貴方の受けた苦しみを私は何も理解してあげられる事が出来ない。昔の貴方はあんなに苦しんでるのに」
壊れかけて点滅したモニターに映っていたのは悪魔や悪魔でもない異形に犯し嬲られるフェイの姿だった。
男であるフェイが潰されて絶命して、蘇生されてまた実験させられる映像があった。女になったフェイが妊婦のようにお腹を膨らませて同じデビルドーターに群がられている映像もあった。
幾年に渡るフェイの尊厳と心体を壊し尽くす実験のデータにフェイの心の欠片が混ぜられた幾多の思念達がそのサーバーには収められている。
その事実に気付き、怒りのままに男を殴り飛ばした。男の罪に対して罰を与える様に、フェイに与えられた痛みを少しでも理解させる為にまず手足を落とした。
男は痛みも認識していないかのように虚ろだった。心を過去に置いていったかのようにモニターに映るフェイを見続けている。男を嬲る事を無意味に感じた由奈はその男の首を切って殺して、サーバーだけがこの場に残った。
此処に残されたデータの全てはヤタガラスに渡さなければならない。気分で言うのであれば今直ぐにこのサーバーを破壊したかったが残された映像データは既に裏社会にて拡散されている。
スピリアの実証実験としてフェイは常に使われ続けて、その映像データは主要組織に行き渡った上で既に陳腐な物と化している。それ以外のデータもサーバーには収められているのだろうが今に至ってそれを破壊する意味はなかった。
「……帰ったら、もう引き篭もってしまいますか」
今回の拠点破壊を以て、フェイの過去に関わる施設ならびにスピリアの開発に携わっていた者達の討滅は大まかに完了した。唯一残った鴻上博士はスプーキーズ位しか追えないだろうし、何より由奈には追う気力がない。
羅刹となって故郷を潰してから様々な組織を渡り、その中でフェイと出会って彼女の運命は変わった。人食いである自身を受容して抱き締めてくれる存在に由奈は絆されたが、彼に纏わる過去と因縁を知ってしまった。
華やかなフェイの笑みの裏には多くの屍が積み上げられ、その心は酷く歪んでしまっていた。フェイという人格は維持しているものの彼ではない多くの思念が集合しては揺らいで、最終的に彼の心そのものになっている。
心を差し出し、喰らって誕生した精神的キメラ。出会った頃より幾分かマシにはなっているがフェイの心が正しい形に戻る事は最早有り得ない。そして、その事実を確かに残された映像と共に記憶してしまった由奈も酷く疲弊していた。
「彼の力を使えば自給自足ができる異界は作れる。其処で二人っきり……いえ、真澄も誘いましょうか。妬ましいですがあの子にとって大切な人ですし、あの子の心を守れる人は多い方がいい」
だから由奈が選んだのは現実逃避だった。
この世界では既に霊地の活性化や度重なる環境破壊、気象以上等によって世界崩壊の危機に瀕しているという噂が流れていた。
実際に世界がどうなるかという点で興味はなかったが、区切りとして丁度良いと由奈は判断した。
自らとフェイと、ついでに真澄を誘っての異界における隠遁生活。今を生きるのに疲れたから、心を癒す為に穏やかな日々をただ望んでいた。その過程で世界が滅びれば自分達も死ぬし、存続すればほとぼりを見て帰ってくればいい。
外野からはきっととやかく言われるだろうが、旧ファントムに所属していた者としての禊は最低限果たした。持っている情報を全て吐いた上で協力し、新ファントムからはそもそも距離を取っている。関わる理由は微塵もなかった。
「ゆっくり、休みましょう。全部忘れて、安らかに」
痛みも何もない永遠の夢のような日々を欲して、フェイとまた会えるその時を由奈は待った。
<久遠 フェイ>
主人公なのにロスキリ登場人物で一番尊厳と心も体も破壊されている人。
スピリアを抽出・注入を繰り返されて、デビルドーター達の思念も受け入れていった結果として心がぐちゃぐちゃになった。デスピリア本編だとそれらの繰り返して記憶生命体となったが此方はオベロンの加護によって肉体を維持している。そのせいで長く苦しんだし、由奈達と出会えて今も戦えている。
<久遠 由奈>
ヤンデレというかシンプルに心が病んでる人。
自分を受け入れてくれる存在が初めて見つかって、人生初の幸せな日々を過ごしている所に冷や水が如くフェイの過去をぶっかけられる。想い人に何があったか全て記憶しておくべきという思考からあらゆる方法で凌辱され尽くした映像を見続けて、ネタに出来ないタイプの脳破壊を喰らった。この後、フェイにアリになるように説得しようとするもフェイがキリギリス(現世で頑張る選択)になったのでそのまま此方もキリギリスになった。今も昔も本当はフェイと穏やかに生きていきたいだけ。