月岡恋鐘さんいわく「長崎で逆レ●プが人気? そんなわけ無かよー」 作:ふりーじ屋/家庭内禁書
※23
月岡家で恋鐘と一線を越えた数日後。
事務所で、アンティーカとの打ち合わせの予定が入っていた。
最初に部屋へ来て鍵を開けたのは俺だった。
そのすぐあと、恋鐘が入ってきて俺の隣りの席に座った。
恋鐘が座ってまもなく結華が扉を開いたかと思うと、
小走りで俺と恋鐘のほうにやって来て、俺たちの顔をしげしげと見たあと、
「勝った! こがたんが勝った!」
と快哉。来た見た勝った、ってか。
ユリウス・カエサルじゃないんだから……。
結華の声を合図にしたかのように、摩美々、咲耶、霧子も入ってきて、
「あーあ、まみみより悪い子になっちゃいましたねー?」
そうだな。もう摩美々に説教してやれない。
申し訳ないと思わないでもない。
「フフ、カエサルの『人は、ほかの人から思われているような人間にならずに終わることは、ありえない』という格言は、本当だったようだね」
咲耶も結華のふるまいからカエサルを連想したようだ。
もともと高校生にしてヘンリー・ジェイムズなんてかじる英米文学好きだったが、
大学に入ってから拍車がかかったようだ。ただ、その格言、確かワイルダーの創作だぞ。
「よかった……これで落ち着いて夜眠れます。末永くお幸せに……」
霧子は俺のことは気にせずちゃんと寝なさい。
ただでさえ目覚ましをたくさん抱えているんだから。
誰だよ、恋鐘に『おちんぽさん』とか『がんばれ♥ がんばれ♥』とか教えたの――と、
言いたくなるのを、俺はなんとかこらえた。冤罪の可能性がないわけでもないし……。
※24
そうしてアンティーカの間では、俺と恋鐘の関係は羞恥の……もとい、周知の事実となった。
それからいくらか経った今も、彼女らの協力のおかげで、
俺と恋鐘のソレは、業界にありがちな出所不明のウワサ扱いで済んでいる。
それは恋鐘へのフォローであると同時に、
「私たちが抑えてあげているうちに、プロデューサーとして『次の路線』5人ぶんに早く目処をつけて」
という俺への催促でもあるんだと思う。
恋鐘と俺との関係が正確に露見してしまったら、あの4人にも火の粉が飛んでくるので、
アンティーカが燃えてもなんとかなるよう布石を打つ必要がある。
恋鐘抜きのアンティーカをうまく舵取りする自信もないし。
幸いにして、さしあたって恋鐘の『次の路線』はすこぶる順調だった。
「プロデューサーっ、きょうもね、農協のおじいちゃんおばあちゃんに、
うちがあいさつする前から、恋鐘ちゃんじゃなか!? って言ってもらったんよー。
んふふー、うちの知名度も全国津々浦々、老若男女になりつつあるね~♪」
恋鐘はいま、某国営放送の「全国をまわって当地の食材を料理しておいしく食べる旅&グルメ番組」のメインを務めている。
十中八九で人気が出るおいしい仕事であるが、毎週のように田舎を――うまい食材があるのはだいたい田舎だ――ロケで駆け回るため、
時間的にも体力的にもとてもハードで、恋鐘ソロ活動の大半がこれ一本で埋まる勢いだ。
アンティーカと平行しての活動は物理的に不可能で、以前ならさっさと断念した種の引き合いだった……が、
「おいしく作って、おいしく食べる! これでうちの右に出るアイドルはおらんよー♪」
恋鐘の言うことも理があるので、オーディションを受け、恋鐘は見事メインの座を射止めた。
……メインと言うより、看板娘と言ったほうが似合う、というのがもっぱらの評判だったが。
ともかく、おかげで恋鐘は大きく人気の幅を広げつつある。
料理上手。佐世保という地域柄、山の幸も海の幸も、和食も洋食もわかる。酒もいける。
明るく健康的で、コメントもうまくなった。
未だに丸出しの佐世保なまりも『純朴そう』との評判(……)。
いま、農村・漁村地域における人気・知名度で恋鐘に比肩するアイドルはいない。
お嫁さんにしたいタレントの投票では、美城の五十嵐響子に惜敗したが、
息子・孫の嫁にほしいタレントの投票ではキッチリ雪辱(?)を果たした。
※25
「ねー、プロデューサー? もー、せっかくきょうは昼からいっしょやったんに。
そのぶん多めに……しとーよ……だのに、つれないけん、さみしいわぁ」
それで恋鐘のスケジュールはハードになったが、セックスする機会は意外と作れている。
田舎だからパパラッチは着いてこない。金と時間が多くかかるのに、
自分が不審なヨソモノとして怪しまれるのでは取材どころではない。
なので俺が気合を入れて職権乱用して恋鐘のロケに立ち会うと、恋鐘はいそいそと俺にくっついてくれる。
「地元の人にも、ゲストさんにも、スタッフさんにも、見せつけたらダメだ」
「んふふー、人前はダメぇ……? おお、プロデューサーっ、実はツンデレばい?」
「ツンデレってそんな意味だっけか」
きょうも中部地方の某山村のロケで、強引にスケジュールを調整してやってきた俺に、
恋鐘は鯉こくを作りながら流し目を投げてきやがった。
「それにしても、『月岡さん』はよそよそしかよ。
うち、初対面の頃から、プロデューサーには『恋鐘』って呼んでもらってたんに……。
いっそ、あんたの名字も月岡にシてやっちゃろー? そしたら『月岡さん』とは言えんもんね」
恋鐘は軽い調子で頬を膨らませてみせる。
その様子は、農村のおじいちゃんおばあちゃんが見れば可愛らしいとしか思わないだろう。
「恋鐘がそう言っても可愛げがあるで済むが、俺に恋鐘ほどの愛嬌はないから。
もし、俺が別の男の立場だったとして、恋鐘にデレデレいちゃいちゃしてる俺を見たら、殺意が湧く」
「さつい?」
「殺す意見と書く『殺意』だよ」
「おおげさちゃん!」
恋鐘は(両親と、佐世保の人たちと、アンティーカの面々を除いた)人前で見せつけられないのが不満らしい。
俺からしたら、それだけ見せつけられたら十分だろうと思う……のだが、埋めがたい差である。
「夜、具合を見計らって宿の部屋に行く」
「早よ来んねー? あしたも早いけん」
「行く直前、携帯にメッセージ入れておくから」
「……んふふー♪」
※26
そうして俺は、恋鐘が泊まる部屋の前に立っている。
ロケ班の人数を収められる宿泊施設が一つ二つしかない田舎だと、宿が同じでも怪しまれにくい。
あとは向かっているところさえ見られないよう気をつければいい。
その宿は宿泊客を呼び出す呼び鈴がなくて、代わりにレストランで使いそうな手振鈴があった。
メッセージで伝えたとおり、3回チリチリ、チリチリ、チリチリ……と鳴らすと、
「その鈴、なんか洋食屋みたいね、プロデューサー」
「俺も同感だ、恋鐘」
微かに開かれた扉から、恋鐘の瞳。
念のためもう一度辺りを見回してから、素早く身体を滑り入れ、扉を締める。
「待たせてごめんな、恋鐘」
「待つのも楽しかよ。ぜったい来てほしゅーて、ぜったい来てくれる相手なら」
恋鐘は、湯上がりの匂いと、白地に紫の花柄を散らした浴衣と、
絹の――信州紬かもしれない――薄紅のストールをまとっている。
いつもリボンのひとつ結びにしているロングヘアは、きょうはアップでまとめていた。
「んふふ~♪ 色っぽかろ~? 目が、そう言ってるばい」
恋鐘はストールをひらひらさせて、デコルテやうなじをチラチラさせながら笑った。
その肌は薄紅が色移りしたように淡く紅潮していた。
「そうだな。今の恋鐘を、ほかの人には見せたくない、独り占めしたいって思ってしまうぐらい」
ほかの人に見せたくない。
それは、素人ならともかく、俺や恋鐘にとっては、存在意義を揺るがす禁句で、
「プロデューサー失格たい♪」
きっとそれゆえに、恋鐘は喜んでくれるんだろう。
無碍なセリフと裏腹に、声音はふわりと上機嫌。
「山が夜けん、寒かろーと思って羽織っとったけど、なーんか暑くなってきたばい……♥」
それならもっと温めてやろうと、布団で肩をくっつけてぴったり座る。
肩を抱く。頬と頬がくっつくそうな距離。恋鐘の、匂い。
「ごめん。会える時間、少なくなってて」
セックスはできるとはいえ、俺が恋鐘と話したり顔を合わせて過ごす時間は、
アンティーカでの活動がメインだった頃と比べると、さすがに減ってしまっている。
「やぁん♥ すぐそばでそがん不意打ちにしんみりされると、きゅんきゅんするばい♪
プロデューサーも、オトコの色気ばにじみ出てくるお年頃かー?」
恋鐘は茶化してくるが、たぶん、少なくなってる……少なくなってると感じているから、
昼間に『つれないけん、さみしいわぁ』とかこぼしていたんだと思う。
「……でも、おちんぽさんは、しんみりとは程遠いお点前のようで……♪」
……たぶん、そうだと思う……その、はず……。
※27
「ひぁあっ……きゃんっ♥」
ゆっくりと肩を押して、恋鐘の体を敷布団に押し倒す。
「今は、看板娘より、若奥様と言ったほうが似合いそうだ」
恋鐘は丸くて大きいタレ目に丸っこい輪郭の童顔で、髪型も常はポニーテールだからか、
(あるいは、落ち着きが無……もとい、活発な物腰のせいか)
世間では『看板娘』の評判どおり、実年齢より年下に見られがちだ。
「んふふ、そいじゃプロデューサーは、旦那様がよかっ♥」
いやんいやんと頬や耳を赤らめながら、目は狙いすました上目遣い。
ごくり、とノドが鳴ってしまう。照れくさくて、視線を下げていく。
「……プロデューサーの、すけべっ♥」
そうすると、桜色の鎖骨周り、しどけなく着崩れした浴衣の襟だか衽(おくみ)だかの間に、
お椀型の大きな二つの膨らみが織りなす谷間が見える。見てしまう。
「やぁ、あん……んんーっ……♥」
恋鐘が視線から逃れるように身じろぎすると、ゆさ、ゆさっと柔らかく重々しそうに揺れる。
封じられていた甘ったるい匂いが立ち上って俺の呼吸器を襲う。
嗅神経かどこかから脊髄を奔って一気に脳内を燃やしてくる。
「恋鐘……」
このままだと制御が効かずガツガツいってしまうのが目に見えていたので、
俺は恋鐘の上で覆いかぶさる位置から、恋鐘の横で添い寝する位置に体をずらし、
「恋鐘、キス、したい、してもいいか?」
「……んーっ……」
恋鐘は目を閉じると、爪一枚ほどの薄さでくちびるを開きながら軽く尖らせてきた。
うちから言わんでもシてほしい、という素振りだろうか。
「許可、取る余裕があるうちは、取っておこうと思って」
「ふぇ……なぁん、それぇ……?」
初夜でけっきょくキスしそこなったせいか、恋鐘はキスにこだわる。
それも、俺から奪われるように強引にキスしてもらいたがっている。
「……恋鐘、する。キス、するからっ」
そこをあえて一度無視して許可を願う。
恋鐘と関係を持っている間、いろんなルールをないがしろにしまくったせいか、
恋鐘との間には何か規律っぽいものがほしくなる。
……アイドルに手を出してるほかの不良プロデューサーと俺は違うんだ、
と思いたがってる、俺の悪癖が出ているだけかもしれない。
※28
「んっ、ちゅ、ふぅ……っ♥ ぅ、ぷぁっ、あっ……♥ プロデューサーっ……んぁあぅ……っ!」
横から、迫る。
慎重にやったつもりなのに、くちびるどころか、前歯がカチカチ擦れ合う寸前まで突っ込んでしまう。
俺は焦れている。恋鐘にも伝わってしまっただろう。開き直る。
舌で恋鐘のくちびるを割り開くと、恋鐘もざらつく味蕾をそわそわと寄せてくれる。
「あむっ、んんっ……れるっ、んっ、ちゅっ、れりゅぅっ♥」
恋鐘の舌と口内は、胸のミルクじみた汗の甘い匂いと違って、ほのかに甘酸っぱい。
酸っぱいといっても、こちらをからかい半分で撫でてくるような後を引く味で、
俺は釣られてあさましく恋鐘の舌を追っかけ回してしまう。
「んっ……はむぅ……んっ、ちゅ、ちゅぅっ♥ ……あぅぅ……っ♥」
俺を煽るのは味だけじゃない。くちびるの先、舌の根本、前歯の裏。
恋鐘がくすぐったがって反応するところは、つるつると吸い込まれてしまう。
「あ、んんっ♥ へぅ、っ……♥ ひぅ、ひんむっ、んんぅうっ……!」
恋鐘はキスだと、口蓋の浅くざらざらしたところを撫でられるのが弱いようだ。
鼻息は俺の頬がそよそよするほど荒くなる。手指は俺の腕をぎゅうぎゅうと力を込めて掴んでくる。
大きな胸は肺や胸筋のうごめきに合わせて、視界の端でふるふると揺らぐ。
紐で結んで隠しているだけの左右の太腿は、じりじりと擦り合わさる気配さえする。
「んちゅ、ふっ――き、きす、もっと――んんぅう……ひぁっ♥
んちゅるっ♥ ちゅるるぅ、んっ、ちゅちゅぅっ……あぅ……すご、ぁ……♥」
そんなのを堪能していれば、唾液は止めようと思っても止まらず、
べちゃ、ぴちゃっ……とはしたない響きを立ててしまう。
舌と舌の交尾で、触られてもいないペニスが勃起して窮屈がっている。
腕や足腰が恋鐘を押し倒そうと勝手に力むのを抑えなければならなくなってきた。
恋鐘の浴衣がたてる衣擦れもずるずるざらざら長くたなびいてきた。
辛抱たまらなくなって、恋鐘のどうしようもなく豊かな胸に、手が伸びる。
「んぅむっ……!? ひぅうっ♥ ひゅっ、ふぅんっ……んんんぅーっ……♥」
恋鐘が首や肩辺りを反らして、キスが細い唾液の糸の切れ落ちるさまとともに終わる。
「キスで……恋鐘も、興奮、シてくれてたか……?」
「む、むね、いま触られ……感じちゃ……ふぁぁっ……♥ はぁ、あっ、んんっ♥」
触った瞬間から、服の上からでも乳首が硬くしこっているのが分かる。
目線を落とすと、恋鐘の肌のあちこちに浴衣の薄布はぴたぴたと張り付いていて、
乳首だか乳輪だかの勃った隆起――もう突起と言う単語では間に合わない――が布越しに浮き出ている。
外を歩けない有様。『ほかの人には見せたくない』どころではない。
※29
「ふぁっ、はぶ――んぢゅっ♥ ひ、ぁ、ぷろでゅ――んくぅっ!
そ、そこ、ぉ……♥ し、しちゃ、あ……ちゅぷぅっ……♥ んっ、んんぅっ……!」
胸の稜線を撫でる。ふもとから手のひらでふわふわと揺さぶる。
ぷっくりと愛らしくも貪欲に膨らんだ乳輪をこね回し、乳首をかりかりと引っ掻いてやる。
嬌声が溢れ出てくるのを、キスで塞いでやる。
「ふぁっ、んぢゅっ、ぢゅぷっ……♥ んっ、んぁぅうっ、んんぅっ……!」
首、胸、肩、背中、愛撫を拒むようにぶるぶるっと震える。
なのに肝心の乳首や乳輪は、こすられ、しごかれ、刺激を重ねられるほどに、
膨らみも、弾力も、熱さえも増していく。
「はじめてのとき、なんで、触ってやれなかったんだろ、触ればよかった……」
「んぅむっ……れりゅっ、ふぁ、はぅんっ……♥ 触りたか? いま、触って……あ――ひぅうぁあっ♥」
くちびる、舌、胸、さきっぽ、恋鐘がねだるところを、きりきり、ぐりぐり、愛撫を上塗りする。
恋鐘が、そこを、されるのが、好きだから、喜ぶから――それだけ、じゃない。
「じゅるるるぅっ――は、ぁああん♥ ぢゅ、ちゅぱっ♥ じゅるる……んふ、くぅぅうっ……♥」
恋鐘は『オトコの人は、胸ばっかり見とーよ』『これのせいで、肩がこるんよー』
と未だにときどき邪険に扱う自分の乳房を、あろうことか俺に向かって、
いやらしく、誇らしげに、扇情的に震わせる。
発情臭をうかうかと漂わせ、ビンビンにしこりたった乳首も乳輪も見せつけてくる。
自分が、俺の意地を粉々にして欲望を引きずり出すに足るメスなんだ、と叫んで回って――
「ひぅゅんっ!? んぁ――ひゃ、あぁぁあ……っ♥
あ、あ゛ぁあ……♥ そ、こ、こすっちゃ、だ、め、ぇ……♥」
勃起乳首の根本と乳輪の境目あたり。何度も行き来するうちに浮かび上がってきた、恋鐘の弱点。
そこを、つまむと抓(つね)るの間の加減で、ぜったいに離さないとばかりに繰り返し刺激する。
「ひゃあっ♥ あっ、ひ、へぅうっ♥ くぅんっ、ううっ……♥
は、ぁむっ、んむちゅっ♥ じゅるっ♥ ちゅふっ、ちゅむふぅんっ♥」
くちびるの間からだらしなく伸びる舌先も、絡め取って、引きずり出す。
察してくれた恋鐘は、くちびると舌で応えてくれる。
「んぢゅっ……んれるっ、はむっ……んぶっ、はむむっ、れろぅ……っ♥
れるぅっ、ふぶっ……♥ んくっ――はむぅんっ、う、く――んぅう、っ……♥」
恋鐘は閉じていた目を半開きにして、瞳でも先を促してくる。
俺は指先に意識を伸ばして、恋鐘の、あらわなメスの、その先に改めて挑みかかる。
※30
「はひゅんっ!? くひっ……あっ、そこ、おっ……――っ♥」
恋鐘の、さきほどまでじりじりと擦り合わされていた太腿が、びくんと跳ねる。
浴衣の薄布か、布団のシーツか、何かの布が、哀れっぽくキリキリ引き攣れる音を立てた。
「っ♥ ふぁ、あ゛……だめ、そこ、ぉ……だめぇっ……♥」
言葉と裏腹に、恋鐘のカラダはイヤらしくくねって、俺を誘う。
……『ダメ』って言葉も、もしかして俺を挑発する意図かもしれない。
恋鐘は『ダメ』と言われて燃える女だから。
「んぐぅ……あ、ぁあぅうっ……♥ ひ、ぅうっ、う゛、あ、ぁ、んん――っ♥」
瞳孔をくらくらさせる。珠のような汗が額にちらちら浮いて垂れ落ちる。
胸のふくらみを俺の手にぎゅうっと押し付けてくる。
腰どころかへそ周りや肋骨のすぐ下までわななかせている。
恋鐘は、達しているのかもしれない。
口を塞いだり胸で喘がせたりシているので問う術はない。
とにかくよさそうな心地に見える。いい具合だと思う。
※31
「恋鐘――お尻、こっちに、向けるんだ」
「ふぁ……♥ ぁ、う、うん……っ♥」
耳元で告げると、恋鐘は一瞬はにかみを見せた後、布団の上で四つん這いになった。
乱れた浴衣は、ゆらゆら波打つ恋鐘の背中や、大きく張ったお尻の曲線を縁取って強調する。
そこから布団へ向かって垂れた生地は、恋鐘の太腿――ペニスが思い出して武者震いする――も、
恋鐘の激しい興奮状態を俺に教えてくれていた乳房も、半分くらいしか隠していない。
「はーっ……♥ あ、ん……♥ プロデューサーぁ……っっ♥」
尻たぶを浴衣越しに手で覆う――俺の手では覆いきれないが――余裕が戻ってきたのか、
恋鐘は、作為的な味の混じった甘い声をたなびかせる。
「こっちの下着も着けてなかったのか……やって来たのが俺じゃなかったら、どうするつもりだったんだ」
「んふふ~……ギリギリになって、やっと鈴3回って合図、メッセージでうちに教えて……
そがん、ドジなうちでも、間違えようがないぐらいにシたんは……
間違えたら、ぜったいダメなんくらいの……うちに、せろさってコトやったんね……?」
俺はただ周りの目を警戒していただけで、そんな気はなかった……はず、なのだが、
恋鐘にそう言われると、そうだった気がしてくる。
実は、きっとそういうことだったのだろう。
「ん、うぅうぅ……すけべ、すけべぇ♥ そ……目で、うちの、見ちゃ……堪忍、してぇ……」
恋鐘は俺の視線で恥じらう。マンコは布で遮られて見えないが、
マンコから溢れ出て太腿を伝う愛液は見えるので、あざとい焦らしに見えてしまう。
俺が浴衣をたくし上げ、マンコを直視すると、
デリケートゾーンの肌と粘膜で目線を感じ取ったように、恋鐘はうめいた。
「ぁあ、あ゛……っ♥ ひ、ぁぅ♥ ふぅっ……っ♥」
太腿に伝うお漏らしから期待したとおり、恋鐘のマンコはすでに十分すぎるほど熱く潤っていた。
「準備、できてるな……」
もういい加減に思考がショートしていて、俺は黙ってペニスをあてがう。
ペニスは初夜と同じように、思考が失せるほど大きく激しく勃起しているようだった。
恋鐘のたっぷりとした腰を両手でつかみ、膣内へ押し入って――
「ふぎゅ……っ、ひ、ぅぁう゛っ――」
「……ふぎゅっ?」
恋鐘が聞き慣れない声――すぐそばから聞こえなければ、恋鐘の声と判断できなかったかも――を漏らした。
何か妙なところを触ってしまったか……? と恋鐘の顔を見ると、薄紅のストールを口元にあてていた。
※32
「恋鐘?」
「あ、あの、その……う、うち……声、が……ね……」
……どうやら、恋鐘は自分の『せからしか』ところを気にしていたらしい。
ただ、それを俺に知らせたということは。
「……それなら、いつもより激しくシていいな?」
恋鐘は首を傾げさせ、こちらに顔を向けたまま、こくん……とノドを鳴らした。
「んふぅっ♥ ~~~っッ♥ ぅぁお゛ッ、んんぅん゛~~ッ♥」
切っ先で恋鐘を割り開く。
甘かったはずの恋鐘の声は、布団とストールと恋鐘自身の手でもみくちゃにされ濁っている。
「う、ぐ――し、締まる、ぅ――!」
恋鐘は腰と尻をがくがくさせ、太腿だか膝だかふくらはぎだか、とにかく両足のどこかで俺の下肢を縛る。
股関節がムチャな角度に動いているんじゃないか。
だってバックで女からそんなことが――恋鐘はカラダが柔らかいから平気かもしれないが――とにかく、膣内までがわけのわからないキツさで俺を迎え撃つ。
歯を食いしばる。
あっという間に射精してしまいそうだ――旦那様♥ とかさっき恋鐘に持ち上げられて舞い上がって、
ゴムを着けていない。着けていないまま入れてしまった。
「……孕ませる、か」
「……っ~~~~ッ♥」
恋鐘はこちらに突き出した尻と肉壺を、ぴゅくぴゅくと波打たせる。
妊娠願望もあらわに――願望だけじゃなく、膣内の肉も粘膜もさざめいて、
奥に咥えこんだ亀頭を奥底の――子宮口だろうか?――に、クチクチとなすりつける。
「ぉ、うぉっ」
恋鐘は射精をねだるばかりではなく、自分がそれにふさわしいメスだと雄弁に主張する。
口をふさいでいる代わりなのか、カラダの動きががつがつと積極的に迫ってくる。
「いつもは……受け身がいいとか、そんな顔しておいて。
恋鐘は……肝心なときは、自分から、動きたがるんだな……?」
「――っは、ぁ、ぅ、へぅ……っ、く……ぅ……♥」
恋鐘は、これまで、どちらかといえばシてくれシてくれとねだることが多かった。
「……恋鐘も、おまんこのほうが素直じゃないか?
射精してくれ、射精してくれって、うるさいぐらいだ」
そのたびに俺は、一方的な展開に終わった最初の交わりを思い起こして、
『ホントは……プロデューサーから、シて、もらいたかったんよー……』
という気持ちが滲んでるんだと思っていた。
それはたぶん、半分くらいしか本当じゃなかったんだろう。
※33
「ふっぅ、うぅッ……♥ ん、くっ♥ ふぅう゛っ……へぅ、んぉぅ……っ♥」
奥を、じっくり、何度も、丹念にペニスの先でこねていると、
恋鐘はむっちりと張った丸尻と腰を、首ふり人形のようにカクカクとうなずかせだす。
それを、ぶじゅっ、ぶじゅっ、ぷしっ、ぷしっ……と愛液が泡立つまで繰り返させると、
やがて、肉襞のきゅうきゅうとした締め付けとは別に、奥の方でくつっくつっと柔らかい痙攣を感じる。
そこをペニスの切っ先で探り探りシていくと、
「うっ゛――ぅっ、ぁぅうっ――ん゛ぁぉぉぉぉぉ……♥」
一聴して恋鐘のものと全く思えない、吼えてるんだか鳴いてるんだか、獣じみた声。
このメスが本当にただの精液をしごきとるための肉壷、孕み袋に思えてくる。
「う、ぐっ……恋鐘、ぇ……」
そう意識してしまったら射精など我慢できない。
射精を我慢する意義が取っ払われてしまった。
「恋鐘、こがね――っ」
名前を呼ぶと、膣内の浅いところがきゅうきゅうとむせんで、足のどこかがコトコトぶつかってくる。
それぐらいしか、恋鐘とここにいることを感じるヨスガがない。
奥底は、勝手に、くつっくつっと、射精を、妊娠をねだってきて――
「こが――ぅ、ぐ、ぅ……ッ!」
――出る、出る、持っていかれている、精液、が。
「ぁ――ん、ぅ、んっ♥ ぅぁ、お゛ッ♥ んく――んぅん゛……ッ♥」
恋鐘のナカに――今度はハッキリと――射精している感覚が、わかる。
粘膜でうながされるまま、何度も、何度も、今までにないぐらい、たくさん。
「ぁ、ああ、あぅ――んぐ、ぅううぅうぅ……ッ!」
やった。とうとうやってのけた。
恋鐘、恋鐘、を……。
※34
「……ぁ、ぁ……んんんぅう……っ!? ぷ、プロデューサー、ぁ……っ?」
がっくり、力が抜ける、崩れ落ちる。
恋鐘の背中にのしかかってしまう。
「はぁ、う、ぁ、はぁ……ハァ……ッ……」
「んぎゅっ――プロデューサー……だいじょぶ、ね? ね、ねーっ?」
恋鐘の声、揺さぶり……遠くなっていた意識が、こちらを振り返る。
「……あ。ごめん。上、乗ってしまった」
「のっ……乗るのはよかけど、苦しか声でうめいて、いきなり黙らんといてよ!?
心臓が止まっとると思ったばい! つられてうちの心臓も止まりそうだったばいっ……」
恋鐘は涙声になっていた。
意識が朦朧としていた俺を貪ってた頃と、反応がえらく違うな。
「……健康診断には引っかかってないし、運動してて倒れたこともないんだが」
「もー、気をつけてほしかよ……プロデューサーだけのカラダじゃ、なか……?」
じゃあ、俺はなんで意識を飛ばしてしまったんだろう。
恋鐘と最初にシたとき完全に骨抜きにされたのが、心理的にくせになってしまったんだろうか。
「ところで……まだ、プロデューサーのおちんぽさん、大きかね……♥」
……泣いたと思ったら、また恋鐘は……。
「ひぁ、あ――へぅうぅ……きゅうきゅうすーの、くるっ……♥
あ、あ、あっ♥ んぅぅ、ぉ、おぁあぉっ♥ だ、め、ぇ――ッ♥」
――ぱぢゅっ……――ちゅ……ちちゅっぱん……――ぱんっぱんっ……
――ずりゅっ……りゅ――ぎし、きしっ……ぎゅ――……きゅううっ……
※35
数カ月後。
恋鐘は妊娠し、番組で産休をとり、俺と籍を入れた。
世間で言うできちゃった婚というやつだ。
……作ろうとしてできたんだから、『できちゃった』というのはおかしいと思うのだが……。
恋鐘のファンの反応は、3つに分かれた。
「こんな思いをするのなら花や草に生まれたかった」など悲憤慷慨する声、
「歌ならぬ『メシのお姉さん』だと思ってた」など本気なのかネタに走っているのか迷う声、
「あんな良い子が24、5まで売れ残ってるほうがおかしかった」という鄙(ひな)びた声。
最後まで残ったのは3番目の声だったので、俺はまだなんとかやっていけている。
「……もし廃業したら、観光協会さん来ーて営業ばせろと言われとったんにー。
きっと向いとーよ? 売り込みとか得意中の得意ちゃろう?
佐世保ならうちといっしょにいっぱいしとうたことあっとけんね。
まぁ、いずれにせよ。
……がんばれ♥ がんばれ♥ うちの旦那様……♥」
(おしまい)