※この作品はR-18です。

雷夏先生とゆく、緑蜜高等学校ダンジョン部!!!   作:山下敬雄

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悪は流れる⓫

辺りの水をぽつりぽつり染め上げる白墨から……

魔法のゲートをくぐるように一本一本ぶつ切りに奇襲出現する太い烏賊のゲソを、鯱は両腕のヒレブレードで次々と絡めとられる前に食いちぎった。

 

そんな鯱女と烏賊爺の激しい攻防も、眼下にどよめく海底の眩しい威力の跡に……争っていた両者目を奪われていた。

 

「育児(コッチ)でも、派手に勝負あったようだね!」

「ソソソ、まこと著しい…!」

 

 

 

半壊した海中闘技場にて、光がオーラがその輝きを穏やかにし。

濁る砂とたちのぼる熱い泡粒のなか……

 

それでも立ち上がろうとする深さの知れない執念と、立ち続けているのがやっとの満身創痍の正義が見つめ合いならんでいた。

 

「ぜぇ……ハぜぇ……ば、バンちゃんは……バンちゃんはぁあ!!!」

 

這いつくばりながらも砂を握りしめる。届かない髑髏の銃に手を伸ばす青い海賊。

 

白い大筒は砲身から花咲くように壊れ、逆流した余剰オーラがシェルアーマーの熱を上げ深緑の殻がひび割れ綻んでいく。海扇部隊隊長のサンゴはそれでもそこに毅然と立ち続けた。

 

(残りのオーラでまともに動けてあと数秒……)

 

目の前に転がる青い執念を打ち砕く術までも思考しながら。

 

 

 

しかし凝らすサンゴの目の一杯に、〝ソレ〟がおおきくおおきく現れたのはそんな終わりゆくシーンの、突然のことだった────────。

 

 

轟音とともに半壊していた闘技場の外壁を突き抜ける。

海賊と貝間、両者の間を隔て割くように巨大な白が滑り込んできた。

 

みえるスベテが骨のように白い、それは大魚というより大船。

それが今、影に覆われたサンゴの前に聳え立っていた……。

 

「これは…! ──!?」

 

それが何かを言い当てるよりも、サンゴは並び開きゆく白い横腹の砲門に────

 

忽然と現れた危機に間に合わせようと、動き出そうとした彼女の視界に────また別の何かが勢いよく滑り込んできた。

 

けたたましい爆発音が隔てた青壁に鳴り響く。

それは青壁ではなく巨大生物、巨大ウミウシ。

ウツボ姫のペットであるミゾレちゃんが壁となり、危うい場面にその巨体を滑り込ませていた。

 

次から次へと現れては波立つ、最後まで波瀾を呼びつづけおおきくおおきく壊れゆく海中闘技場で。

 

やがて騒がしく盛大に炸裂する砲のメロディーが残る者たちの耳に遠のいていく。

そしていつの間にかとまっていた海底から動き出した白船はいつの間にか遠くへと浮かび流れていた。

 

祝砲のプレゼントが降り止むころには、

 

『あははははグリーンマン、バブルマン、今日はみんなもわたしもたくさんレベルアップして楽しかったよーーー!! だからつよくなってつよくなってまたゼッタイ生のゲームで会おうねーーー!!! あははははははあははは────────』

 

「って! この…声!?? あのこの!?? おおおいそっち乗っちゃァ!!! ────────な、なんだっ…た……」

 

 

 

壊れた海中闘技場から姿を消した。

バンちゃん海賊団のバンちゃん、ウニーク、フンフン、ポポーチ、ガガーネット。

加えて海都とも一時共闘していた鮫フードの少女が船尾からちいさい姿で手を振っている。

 

海都の構えて傘にしていた白盾は一息ついたのかやがて散りゆき……。

サンゴのいつまでも見つめる白い海賊船は白く渦巻く海流を天に開き、白骨の尾を生きたように揺らしながらどこかへと消えていった────────。

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