雷夏先生とゆく、緑蜜高等学校ダンジョン部!!! 作:山下敬雄
鋭いオーラのぶつかり合う闘いはラウンド4へ、
姫が寝入る大貝にコードを接続され行われたそのゲームは幻想かリアルか乱入か。
どちらにせよ黒い招待を破り捨ててまで向かった夢の対決は不十分ながらも実現したのであった。
白い異界に侵入し現れた半身蛇のような女は噛みついてきた鋭いオーラの味を、その全身、首筋の噛み跡から……尾の先まで……揺らし懐かしんだ。
「所詮
「ははは節穴じゃのぉ、ワシが本気でヤれば今頃喋るその口もなかろうに。幻体とはいえ姉でなければ一口にかじり取っていたところじゃ、病み上がりの者を痛める趣味もないのでの、ちとハンデをつけて少し泳がせてみたのじゃ。──しらずか勝手に思いのほか張り切っていたようじゃがな」
「ははははは、チロチロお前の異界から漏れ出していた小細工のことか。よかろう……惜しいが今回はここまでにしておいてやろう……。……ぬるま湯でぬかるでないぞ。妹とはいえ堕落したオーラはすぐに分かるぞ……」
「ウツボ姫に天敵はおらん。ワシの有する海の編成にもな。はてはて…ここにきて以前よりよく育ったものじゃ、ある意味おかげさまでの」
「はははは何を吹き込まれたのか知らぬが遊びで我を飼おうなどと思わないことだ。もはや深みで磨き上げたこの我のオーラと牙が外海に溶け抜け出す方法はかように…いくらでもあるのだ。そしてこの牙が我らウツボ姉妹を飼おうとした愚かな貝神どもを食い尽くすその日まで……ゆめゆめ忘れるなよ、我が愛しの妹、シロよ……」
「忘れとらんさ。世話の焼ける姉上よ」
その存在が煙のように失せていく。
細め妖しく微笑った黄眼で、同じ眼色をした久方ぶりの妹の顔をじっとりと最後まで睨みはなさず……。
「ウツボの天敵は……ふむ。ワシもまだまだ鍛えねばのぉー?」
消えゆく黒い閉間と、噛み砕かれた跡だらけの懐かしのオーラの匂い漂う白い部屋、WINと表示された所詮お遊びに。
痺れる強烈な気配が消え入るまで目をそらさず見つめたウツボ姫はひとつ、手に取った水煙草をふかしながら…もくもくと留まった青い煙にぼんやりと映る外の様子をうかがった。
▼白い海賊船▼にて…
おとなしく小麦色の三角に口を寄せたのは、はしゃぎ疲れた海賊か。
白い甲板、帆柱にもたれながら口元をクリームでよごす。隣には鮫のフードをきた少女が青髪海賊の消沈した表情を覗き込んでいる。
「しーずぅ…なかま……。……バンちゃんはオマエみたいなのいらない……しらない……」
「ええぇ?? もう同じ船のなかまだと思ってたのにいぃ?? ──じゃあそれ返して♡くれープ! そっちのあじぃ♡」
「イヤッ!! これはバンちゃんの!!!」
「わっ!? 急に大きい声!? あはははははヘンなのぉおあははは」
「ぁむ……………………足りない……ジャム……あつあつのジャムが…足りない…」
「ええジャム作りィ! やる??ええーーやるーーー!!! わたしもわたしもーー!!! バンちゃんまぜてまぜてぇーー」
クレープをゆっくりとかじり思い立った青い海賊はおもむろにもたれていた帆柱から立ち上がった。
ギャレー、船の調理室へと向かうために、目にした船の昇降口の背骨のような梯子を滑りふらふらと降りていく。鮫パーカーの少女もまたパーカーの色を黒く変えながら猫のように尻尾を揺らし、その海賊の後を勝手についていった。
(騒いで膨らんだぶんしぼんだように大人しくなっちゃうの。ほんと勝手なバンちゃん────)
ふらふらと消えた馴染みの青い背に船首に座り込んでいたウニークは微笑った。ときたま脈打つように振動するその瓢箪を撫でながら……。
操舵士もなしに舵輪はひとりでに左右を行き来回り続ける。
海を抜け、空を泳ぎ、やがて虹をくぐり、とどろく雷鳴のBGMをかける。
バンちゃん海賊団たちをのせた白くおおきな海賊船はまだ見ぬ宝の眠るどこかへとユラユラと進んでいくのであった────────。