※この作品はR-18です。

雷夏先生とゆく、緑蜜高等学校ダンジョン部!!!   作:山下敬雄

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ゲームセンターデート?

▼栃木県蒼月市 コインランドリーDREAMER▼にて

 

由緒正しき神牙流道場よこにあるコインランドリーDREAMER。

海都はこの日CGGのエプロンや頭巾などを一気にまとめて洗濯するために訪れていた。

しかし回る洗濯機の音だけではなくやけに騒がしい。ピコピコじゃらじゃら、何やら慌ただしい電子音や何か金属っぽいものが落ちる音が重なり、海都の耳に聞こえていた。

 

そんな音のありかを探り、コインランドリーの奥の方へとおそるおそる進んでいくと──

 

『え楽天くん? なんでここにいんの??』

 

突如コインランドリー入り口の自動ドアをひらき現れた月山雨楽楽の目には。振り返る私服姿の楽天海都がそこにいた。

 

「え?? 月山さん?? なんでここに??」

「ってこっちがきいてんの! 私はいつもの…わかるでしょ!」

「いつもの……あぁー? はい」

「はいじゃないんだけど!」

「えぇ……あはは。俺はちょっとCGGのエプロンとか洗濯と乾燥しにきたんす、ここが一番新しくて良いらしいんで。コインランドリー」

「ふぅーん。コインランドリー」

「はい。コインランドリー」

 

「ってなんでくるならくるって言わないのぉ!! (だからはいじゃないし!)」

「えぇ……っす……すんま…せん…(月山さんの携帯に連絡してもムスイさんにしか繋がらないからなぁ…)」

 

「あ! ちょっと着替えてくるからそこで待ってて楽天くん!」

 

「え??? あ、はい…!」

 

よく喋る道着姿の彼女が、背を見せ走ってゆく。

汗ばむうなじと、いつもとちがい後ろに束ねた黒髪の尾が急いだ様子で秋のドアをくぐっていった。

 

海都はそれをぼーっと見届けながら長椅子に腰掛け、ストローから紙パックのコーヒー牛乳をひとくち吸い込んだ。

 

 

 

 

乾燥機は紫、ミドリに踊り、回り続けている────。

 

 

ばったり出会った少年少女はどちらもいつもとは違う私服姿で、共にもうひとつの響く喧騒の扉を開いていった。

 

開きくぐったその景色は見るからに、ゲームセンター。

並ぶ筐体から、色味豊かな光がたのしげにさえずっている。

誰もプレイしている様子はないのに、うるさくてたのしそうなプレイ音が重なり響きあっている。

 

「これってぇ…」

 

「奥はゲーセンだって、ド神子さんからきいたけど」

 

「「ゲーセンだね…」」

 

当たり前の事を同時に言ってしまい、ふたりは見つめ合い、また並び立つ様々な筐体を眺めた。

 

「とりあえずさっき洗濯乾燥代でおまけのコインを貰えたみたいなんですけど? どれから遊びますか? 月山さん?」

 

「え?? んーーーーーーー……とりあえず片っ端から! 楽天くん、いこっ!!」

 

「え!? 片っ端からは足りないんじゃぁああ??? おわっ!?? 月山さんゲーセンで走っちゃ…!!」

 

「大丈夫、誰もいないからぁああはは!!」

 

照れ隠しか、手を引く。少し赤らんだ彼女はポップな音の中を走る。彼と共に、誰もいないゲームセンターをふたりは意味もなく駆け回った。

 

 

 

子供用のコインゲーム筐体からはじまったふたりの遊びは…

やがて聳え立つコインのタワーを倒し、ハイタッチで喜び合い。

走るミニチュアの馬を熱心に応援して頭を抱えたり。

ミニバスケのフリースローを全部決めてしまった彼女を讃えたり。

クレーンゲームで両替した100円のタワーを操作台に積み上げた、熱くなってしまった彼を苦笑いで応援したり。

まだまだふたりは熱冷めぬままレーシングゲームで競い合ったり────。

 

ノリに乗って知らずうちに、まさに片っ端から貸切のゲーセンを楽しんでしまっていた。

 

 

(月山さんってやっぱゲームセンスが俺なんかよりふつうに断然ある気が……なんとかレーシングゲームは僅差で勝てたのはよかったけど…あと〝にゃんくれー〟もゲットできたし!)

 

今ある筐体に齧り付く月山の熱心な背とゲーム画面を見つめる海都。

〝にゃんくれー〟とはクレープに巻かれただらけた猫のキャラクターである。そのぬいぐるみ、ココア味のにゃんくれーをかたわらに置きながら月山は絶対に負けられない画面上の闘いに集中していた。

 

【テトマズオンライン】

月山雨楽楽、彼女のもっとも得意なゲームといえばやはりテトマズ。

テトマズオンラインとは従来のひとり遊び用の落ちモノゲームからより白熱する対戦形式になったテトマズのことである。

テトマズオンラインをプレイするのは初めてであった彼女であったが現在9連勝中、そして今謎の乱入者があらわれ10戦目の真っ最中である。

後ろの彼の食い入るような熱視線を浴びながら……月山雨楽楽は自身のオーラの概念であるテトマズで負けるわけにはいかないのだ。

 

「ああああはぁあああ!! コイツコイツなんなのおお!! さっきからお邪魔ばっかりいい!!! ヌェえ!!? またわたしがホールドしてたI字が猿星人に盗まれてるうううう!!!(バナナブロックって何ィ!?) あぁもうぅ!! またチマチマ貯めたスコアで変なお邪魔星人がきてるうううあぁもうっっジャマするより自分のブロックに集中なさいよ!!! これそういうゲームじゃッッあ!!? ないのおおお!!!」

 

(…月山さんってゲームで声出して熱くなるタイプなのかな? ずっとハマってる感じだけど…今のうちになんか適当な飲み物とか買ってきた方がいいのかな?)

 

 

 

『井の中の蛙、3さまをしらず。ん──てくてくチューブ投稿動画タイトルは【3さまが田舎のゲーセンではしゃぐバカっプルをふつーにぶっコロがしてきた。ぱーと①】、きまり。フフ…』

 

騒がしくなってきた男女ペアに対して、向こう側の筐体に光るほくそ笑む顔。謎のプレイヤー3様が棒付きキャンディーをほっぺに含み舐めながら田舎少女なビギナーに洗礼を。響き渡る心地良い悲鳴の味をあじわっている。

 

楽天海都と月山雨楽楽のゲームセンターデート(?)は片手持ちのカップに入れたコインと財布の小銭が空ほどになるまでつづいたのであった────────。

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