雷夏先生とゆく、緑蜜高等学校ダンジョン部!!! 作:山下敬雄
きのこの傘のようなオシャレ帽子をかぶったマスターキャップちゃんに、白いミトンをつけた灰鼠のチュチュンが手をかざす。
やがて元気に手を振って見送ったマスターキャップちゃんとグリッドマップの味方座標を確認する博士、チュチュンは焼けこげたミトンと彼らがいたくろい絨毯を見つめ────
ときは三学期放課後ダンジョン日和、第一次調査隊を組んだダンジョン部の5名は発見した敵地へとワープ転送された。
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▼部室魔王城▼にて
焦げた絨毯を見つめる…………【第二次調査隊】と書かれた手作り感あふれるたすきを肩にした古井戸神子は寝ぐせをかきととのえた。
「てか、なんでもう行ってんの、夏ちゃんとジャグチたち、はは、」
「調査だからね」
「そっか、調査か、ならおつかい、」
「ちょっこし」
「まぁいいや、おつかいさぁんってことで、じゃぁお言葉にあまえてのんびりセクシード神子ダイナマイト小隊いっちまうかー」
第二次調査隊として遅れて部室エリアへと招集された神牙流道場当主代行古井戸神子、ミドリ農業高校1年牛頭梢、の追加の2人組が今まさに状況を把握し敵地へと赴こうと意を固めたそのとき────
すごく近くで爆発音が鳴り響いた。
「おぉ? わお、ダイナマイト」
「あぁー、今日はもうねろってさ、はは、」
辺りには鉄色のパーツが散乱する。DORAYAKIのアタマが吹っ飛んで中身の配線があんこのように露出して煙をあげていた。
「おや? しまったな、フフ、仕事をさせすぎたようだ。しかし人間とは自分ではできない傲慢な命令ばかりをくだすのに四六時中機械の君の脳に依存していてね、今日はもうすこしだけが────」
機械の破損したヘッドパーツを撫でて博士が彼を労わっていると突然、目にも止まらない刃が隣の白衣をそよがせ駆け抜けた。
それは半分に切れた──茸。白衣と金髪の間を真っ二つにされ通り抜けて地に落ちた。
「どうやら物好きな誰かがきのこを熱心に育てすぎてしまったぁ……ようだね。むやみな攻撃は相応のリスクも孕むとのお言葉が、こう……身に染みるね? フフ」
落ちた半分の茸を見た明智マリア博士は冷静な様子でそう言いながら、前に立つ黒いパジャマの裾をさりげなくつまんだ。
「走るきのこさんは飼ったことないでぇーす。ちょっこし、どする? どみこ?」
「あぁー、ゴズコ、じゃ、────きのこ狩りダイナマイトさくせぇ〜ん開始!」
ホームセンターで購入した原木を腐らせ、おしゃれな試験管を砕く音が鳴り響き。
やがてオーラに反応しぞろぞろと囲む茸の軍勢に、剣とバズーカとミトンを構える。
ド神子、牛頭梢、チュチュン、鼠執事、明智マリア博士、
第二次調査隊は敵地へと向かう前に、館内に不法に生えてきたきのこ型のモンスター狩りを開始した。
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仲間の協力を得て位置を割り出し道中とばしたどりついた未開のエリア。
既に第一次調査隊の5人による調査活動は激しくオーラをトばし始まっていた。
「うむ、ダンジョン! 今日の夏ちゃんは──バチバチにトマラナイぞぉ? はは」
【
そして木の顎を開き毒のご挨拶をたんと浴びせてきた巨竜のように育った茸樹の湿った大口に、柄から切り離され射出された青い【三日月】が通り抜けた。
その雷槍は巨竜をも討ち、全てを焼き払う。
ダンジョン部雷夏は次の舞台を目指し、痺れる大地を青のスーパースニーカーをよごし駆け抜けた。
「重ねた剣、重ねた鍛錬、さながらロールプレイングゲームのように強くなることを実感する。それは敵も味方も、アイツも ナッ!! ────成仏するにはまだ早いぞ、フッ…」
水剣は踊る。顔も知らない腐ったゾンビの兵隊たちと。
その流れるような剣捌きで、一体残らず不浄な存在を斬り伏せて浄化した。
「お宝は、アッチかい」
怪盗は黄金の銃口から伸ばしたダイヤのチェーンで爆弾茸を抱えた蜻蛉を捕まえながら、3・2・1のテンポで翅を取り替え、空まで伸びる大きなきのこの傘から傘のステージへと飛び渡る。
危ない爆発花火にお気に入りの白黒ツートンマントをはためかせて、オレンジのリップは浴びたダンジョンのそよ風に微笑みをつくる。
ダイヤをまき散らし煌びやかかつスタイリッシュに演じながら、怪盗は宝のニオイを追い求めミドリの空を駆けた。
例えば迷える森の中、迷うことにももう慣れたのか少年の過ごす迷宮日和。
迷っている暇よりも、敵と闘っている時間の方がもはや長い。
こっちに明るい道はないと立ち塞がる巨大エリンギも────
「相手がエリンギならぁぁ! ────俺でもヤれるって! けっこう…!」
銃口から放ったココア色のオーラソードが唸り、そのおおきな傘から岩のように硬い石突までを真っ二つに裂いた。
転がりながらもすぐに起き上がる。
緑色のブレザーはもうダンジョン用のスイッチを入れ、生い茂る道を迷いながらも次を目指した。
ある日森の中、出会ってしまった巨大な森鼠との綱引き対決は、一介の女子高生には──もう簡単だ。
「オーラって回転するんだからァ!!」
長い水色ブロック【I字ランス】を掴まれても、そのまま投げ飛ばした。
彼女を支点に回転するブロックは綱引き合っていた力自慢の森鼠を嘲笑うように、ゲームルールに則り、彼女の背方の地へとその巨体をかるがると持ち上げて叩きつけた。
今度はその制服のポッケにしゃれたハンカチを用意する余裕すらある。煌めく雫をひとつ拭いながら、小競り合いを制して息と髪を整えた彼女はその口を大きくひらいた。
「ってみんなどこ!!! 楽天くんもまたどっかいってるぅううう!? はぁ……はいはい、どうせいつもみたいにこっちが必死でピンチになるまで来ないんでしょ! ならもうッこっちから会いに行ってアレとかアレとか楽天くんに文句いってやるんだから!!」
「先生たちは…先かな……。月山さんは大丈夫だと信じてるけど……前みたいに途中で運良く会えぇ……うおわっ!?? これってぇ……コ、コウタケ!?? このマツタケより豊かな香りッ!あぁあクレープにもきっと…────ッほしいけど……今は…!!!」
「しまったしまったしまった夏ちゃん!は先生! カイト生徒とツッキーは……つよい!! まぁ大丈夫だろう! ナラ夏ちゃんはいつものようにイチバン乗りを目指すか!!!」
「お宝探しに爆発とハプニングはつきものサ(感知した死のオーラは────まぁ今のところ大丈夫でしょう。むしろ私がこのきのこ道秋道トンボ道、足をくじかないように気をつけましょうか! ──今は冬でした!)いや暖房いらずのダンジョンかい? ヤァッはぁっ!!」
「一番乗りなどと考えていそうだな…。…だがアレに先を越されるのもまったくシャクだな。それに骨の女王のときは当主代行に譲ってしまったが、フッ、おいでになる前にならず者を掃除しておくのも仕事か。待て、ヤツめ……それを考えていたか?? チッ──せいぜい骨のある茸が大将首だと斬りがいがある ナッ!!」
分断されてしまったのはいつぞやの骨とデジャヴする状況。だがひとりひとりのその強さそのオーラは、今や別物。
ダンジョン部第一次調査隊はそれぞれの力を発揮しながら、皆、ただ侵入した未知のダンジョンの先を目指した。