雷夏先生とゆく、緑蜜高等学校ダンジョン部!!! 作:山下敬雄
前のめりの勢いそのままに飛びかかった雷剣、そのぶつけた雷オーラを受け止めた──活き活きと彼女の色である青のエネルギーに色づいた古杖。
猛る剣に杖をビタリと止め合わせ、雷夏が睨むゼリーのような肌の男は直立したまま……その青髪赤目の人間のことを興味深そうに見つめた。
「はじめましてでいきなり斬りかかって悪いな! だが斬りたくなるぐらいバチバチにあやしいヤツにッッ──遠慮のカケラはひとつもいらないな!!」
「いえいえ、そのとおり。どうも切りたくなるような体質と色合いのようで。こちらこそはじめまして、フフフ──」
はじめましてのご挨拶は飛び込み重く預けた雷刃。
宙に身を浮かべるほどの一太刀、雷夏は遠慮なくぐいと目一杯押し込んだが、
突然オーラが爆発し、もたれかかる剣と体ごと弾く爆発の勢いを浴び後ろへと撥ね退けられてしまった。
後ろへとすっ転んだ青ジャージは、熱くなった彼女の帰りを待っていたダイヤのオーラチェーンに引き寄せられ──そのみっともなく地に寝転んでいた体勢をすぐに正された。
「おい、貴様はバカか。1秒たりとも敵の出方を見れないのか、おい」
「ははは、すまない…。でもムゥちゃんも剣を向けていたから」
「顔色をうかがっていただけだ、馬鹿め」
「顔色は真っ青のようかい、妖怪?(アレが現れてからこれ見よがしに呻く黒幕王子おそらくなんらかのオーラ攻撃にすでに……そして先程からつづくダンジョンでのカロリーの高い連戦。新手の黒幕の実力は未知数、帰還の切符チップで退くべきか残りのオーラでつかえうる切札は────)」
「フッ、まぁいい。どのみちこれから斬り伏せてあの透けた鼻を明かすつもりだった。勝手に突っ走るヤツを見習ってこっちも勝手をさせてもらうぞ、文句はないな転び屋?」
「んや。──あぁ! それでいい!! それに──……どうやらあのゼリー顔を倒す必要があるようだ!!!」
赤髪と青髪二人の覚悟とやり取りは決まり、三人の覚悟が決まった。
「ご相談のじかんは終わりましたか? さて、あなた方の選択肢は────なるほど」
ダンジョン部の彼らにとって、待ちながら白々しい選択肢を投げかけ問うゼリー顔の男がいる。
しかし、苦しそうなうめき声をあげる黒幕王子に。
雷夏の注文通りに必死に回復にあたる海都生徒。
それらも直接的あるいは間接的に、彼女らの闘う意思を固める要因であったか。
それともその透けて見える青にまた誘われてしまったのか。
「「無論、倒す!! お前をな!!!」」
「のようだね(こちらも相手もそのつもりのようかい…!)」
「未知に挑む────それもまたエネルギーを高める賢い選択肢であると思いますよ、フフフ」
赤髪青髪が突きつける刃の返答に、優雅に杖を回して余裕綽々に突き返す。
熱い青赤の剣士たちとは役割を変え、ひとり緊張をならし冷静さを保つ白黒の道化師は、後方に控える女子生徒に目線と手ぶりで合図を送り、新手の出現で荒れた戦況を的確になだめていく。
未知に挑む────まさに平然と発した言葉の通りの存在に、
高まるのは緊張か、オーラと名付けられたエネルギーか、それとも透ける死の予感か。
舞台は整えられた。それを運命というには一方的である、突然与えられた選択肢にもそれでもふたりは勇ましく選び取った。
退くなどという命を守り癒すカードは持っていても、使わずに。
同調したわけでもなく最初からふたりの頭にはない。
剣を握ったからには挑みつづける。
そう己の剣が告げ、己の心が汗を流し告げている。
内に秘めた闘志をさらし敵を討てと────。
ダンジョン部雷夏、ムスイはまるで佇み待つその濃い黒を纏った薄い青の存在に……恐れることなく今度は2人がかりで刃を剥き出し噛みついた────────。