※この作品はR-18です。

雷夏先生とゆく、緑蜜高等学校ダンジョン部!!!   作:山下敬雄

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怪戦

⬜︎ダンジョンデータベース

 

古井戸神子

特殊武器 赤蜜 黒蜜 蜜月 月無

○(水のオーラ)

×(雷のオーラ)

⬜︎(地のオーラ)

△(炎のオーラ)

【雷牙獣連撃】

【クリティカルショット】

【RCF】

【地蔵分身】

【爆炎斬】

【幻闘睡】

 

⬜︎

 

 

 

緑のどかな丘を黒いパジャマのままでお出かけ、まるで夢の中────

青空のどかなそこでするピクニックにしては振る風はうるさく、降る小雨は虹をつくり、荒ぶる雷は地を焦がした。

 

「なるほどそれがキミのもつ4つのオーラかい。といっても以前にもそのカラフルな大道芸と剣舞は見させてもらったね。──ワタシに何かようかい? 妖怪語で話すのはひさびさであまり得意じゃないとおもうのサ」 

 

白黒の衣装と髪をした存在シデンレイラはこの日、黒パジャマの剣士古井戸神子に珍しくも呼ばれ、ふたりしかいない部室エリアで4つのオーラ唸る光景を再び目の当たりにした。

もちろんただのパフォーマンスではない事をシデンレイラは分かっていた。彼女のオーラへの興味と彼女がどんな明々後日の言葉を話すかの恐怖、半々の心持ちで発言を待った。

 

「あぁたしかパンダフルウーマンって古武術戦闘アドバイザーでしょ? 遊園地のヒーローショーとかに引っ張りだこのタイプの、つきやまぁぁとか、てんらくくんとか、キッズに教えんのとくいじゃん、」

 

「ちがいますが…ちがうね。ふふ、まぁヒーローにも騎士団にも厄介なマーダーにもこの身を追い回すほどのファンが多いのは言われてみると否定はできないサ。それと獅子くんと鷲ちゃんはまだまだ白い手をひいてもいいけど、キミとではこの手も意味合いが変わるサ(おもちゃ某国のヒーローショーは昔バイトで経験ありますが……ブラックでした。────役がね、ふふ)」

 

小高い丘に一本生えた木にもたれかかっていたシデンレイラは調子を崩されつつもいつもの調子と節でド神子に受け答えをした。

 

「へぇーぇで、このド神子石像をどうするか。考えて、」

 

「ただの変哲のない石像のようだね。で?」

 

「おっと節穴ってヤツじゃん、はは、挑発した骨骨マンにはきいちゃったんだけどねぇ。こうやって────って感じに、」

 

もたれかかっていた木から樹皮に引っかかったマントを破けないように丁寧にはがす。

クールに近寄ったシデンレイラはド神子が肩を組んでいる彼女によく似た背丈をした石像を観察した。

そしてド神子が石のように硬い肩に手を置くと────シデンレイラの目にはオーラの流れの強弱が入れ替わったのがよく見えた。

 

「なるほど人のようにかたどった石にオーラを含ませて撹乱に用いたんだね? 敵を欺く術は多いほど場面場面でごまかし役に立つこともあるサ」

(なるほどさっきまで高め流れていた自身のオーラの流れをそのまま石像に転写したように……これは目に頼らない敵ほど逆に騙されるかもしれませんが……そうですねここまで精緻にしても見た目がこれではかなり使う上での状況と条件が限定的な……)

 

「ま、そんなとこよ。でさ、そのなんだっけ…共有資産ってやつ」

 

「共通概念だね(小ボケが多い人です、3秒以内に返しましょう)」

 

「そそ、それ。わたしにも教えてよ。この地蔵とことこ動かせたりしたら手数増えてとこじゃん、──得じゃん? 剣士らしからぬ、はは、」

 

「剣士らしからぬ……それよりも問題があるサ。共通概念の設定は積み木遊びが好きな鷲ちゃんのような万能色と異国の影魔法師やワタシ表裏色のオーラもちが得意とすることだから、ひとつの体に四属性のボタンを詰め込んだとはいえその全てが自然属性にかたよったタイプのキミには難しいと思うね。もしも仮に変な設定や役を自分に盛り込み課してしまうとその設定に足を引っ張られ属性と噛み合わないと逆に弱くなるサ、そのチグハグのボタンのようにさ。もしくはこのように────サ」

 

突如講釈を垂れるシデンレイラがグーで殴りつけるとピースしていた石像は破壊された。

そしてさらに向こうへと順々に、みどりの丘をのぼるように並んでいた石像たちは全て連鎖し砕かれた。

 

(オーラを読まれればこのように砕ける。この地蔵たちに設定されていた共通概念はおそらく【録画】。グーチョキパーと手でそれぞれおどけていたのはおそらく地蔵を置くリズムを一定間隔に取り地属性オーラの自動化をはかりやすくするために編み出したもの。いうなれば自身の動きをトレースさせるさながら【地蔵分身】。だから動きの順番通りに地蔵に巡っている逆の流れのオーラに変えられてしまえばその足跡は連鎖崩壊してしまう弱点があります。彼女らしからぬ非常によく練られている技ですが……問題はこの地蔵がまったくの攻撃力を持たないことと、わざわざオーラを消耗してもせいぜい一度の撹乱程度にしか使えないことです。これならばただ単に石を投げて飛ばした方が……なるほどそこは剣士らしからぬといったところでしょうか? ふふ────)

 

「あぁー、なァるほど、さすがの説得力だわ、はは、(ちなみにこれオシャレ、東京で流行ってるってツキヤマが)」

 

「それは色んな意味で嘘だと思うが……。────あ、ならひとついいかい」

 

共通概念、一度設定したならば後戻りすることは難しい。

ときにさらなる自由を与え、ときにそれが足枷となる。

だからこそよく考えねばただの動かない地蔵、無用の長物となってしまう。

多く設定しすぎても扱いきれずに、それまであったオーラの流れを阻害し美しさや燃費を損なう可能性がある。仮に段階を踏まずに古井戸神子の作った地蔵を動かそうとするとオーラの消耗はより激しくなるだろう。

体感では6がちょうど管理しやすく良く、物足りなければスープに塩やスパイスを足すようにそこから徐々に増やしていく。よほどオーラの扱いに長ける器用達者でも多くても18まで。シデンレイラはそう考えており、月山雨楽楽にもそのように教えていた。

 

最高級の素材だからこそ味付けの失敗は許されない……。

このただ彼女の足跡を追い固まるだけの地蔵にいったい何を着せるべきか……シデンレイラは古井戸神子に思いついた幾つかの案を提案する。

 

こうして誰かと技について語り合う……それは少しド神子にとって懐かしい気もする。

礫を散らしたみどりの丘で大人たち2人の談義はながくつづいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎

 

 

 

 

 

 

 

 

闘いのときは思いがけなく。

ダンジョンの半ばにあり。

強力なオーラとオーラ、未知と未知との怪戦は鋭い盛り上がりを見せていた。

 

 

オーラぶつけ、剣と杖を合わせ。それでも足りずに古井戸神子はレアな珊瑚の剣と巻貝の剣を投げ放った。

水の息吹を感じる変わった柄から水流のエンジンを吹かし、ゼリーフェイスを追尾するおおきな二つの水手裏剣に──

 

手を素早く振り剣士は合図を出す。

接触するかに見せかけた二枚の手裏剣は、どちらも砕けてさらにスピードアップ。素早い水の矢が二矢放たれた。

 

ゼリーフェイスは一矢を避けたものの対応間に合わず水をかけられてしまったが、その水の矢の威力はまるで不足している。矢というよりはおもちゃの水鉄砲、敵を射抜くことはなかった。

 

ゼリーの身と黒いスーツが水に濡れてしまったものの構わず、ゼリーフェイスはすかさず反撃をする。地にできていた水たまりを利用し、正真正銘、敵を射抜くための水の矢を水面から魚が跳ねるように曲射した。

 

意趣返しじみた水遊びの水矢が、神子を襲う。

黒パジャマの動きをロックオンするように水矢は杖の号令で次々と突き刺さる。

 

しかし、水が射抜き穿ったのは石の塊。彼女の動きをトレースしたただの地蔵であった。

それがまるでロックオンを反らすかのような石のデコイとなる。

それでもなお鋭い水矢が宙を泳ぎ必死で彼女を追いかけ続けるが────

 

「フフフ次は石遊びですか?」

 

「いんや、じゃんけん──」

 

華麗俊敏なる動きで空を泳ぎ水矢を避ける、そんな彼女の軌道足跡が重い石色で描かれる。

空と地にばら撒かれ配置されたグーチョキパー三種のド神子地蔵は、水も滴るゼリーを目掛けて一斉に斬りかかった。

それは彼女の見せる事のなかった幾多の選択肢、幾多の剣線。

握る刀はなくてもどこからでも斬れたと言わんばかりに、数多虚空石の剣がゼリーフェイスに群がった。

 

意表を突かれた透ける青は完全に石色に埋もれた。

しかし相手に群がるふざけた石剣のそれだけでは終わらず……

ゼリーフェイスの視界には石拳、──グー、チョキ、パー互いに勝負し合い条件を満たしオーラを増幅させたひび割れひかる光景が広がっていた。

 

ゼリーの上で愉快なじゃんけんを。勝手自由に決した勝敗は連鎖爆発し、増大したオーラが一気に大爆発した。

 

剣士らしき幾多の斬り襲い掛かる選択肢から剣士らしからぬ爆発をまんまと浴びたゼリーの怪人は────

 

広がる視界不明瞭な砂煙の中でシルクハットを被り直す。

そして荒れた視界に乗じて突っ込んできた素早いシルエットに、石のマシンガンが撃たれた。

ゼリーの体内に含み忍ばせた礫を、透ける青の口からジャイロ回転させながら放つ。

命中精度を上げた即席の石弾の連射が、煙を裂き現れたシルエットを────砕いた。

 

砕いた…砕けた────撃たれていたのはただの宙を駆ける地蔵であった。

しかし本物と見間違えるほどの……それまで神子がゼリーフェイスに擦り込むように見せていた動きとスピードをしていた。

 

そしてからくりや抑えていた力量がゼリーのアタマに分かったからとて、

闘いは刹那の瞬間の連続、ただただより速い判断と剣が制する。

 

 

「ぽんっといくよ────【雷牙獣連撃(らいがじゅうれんげき)】!!」

 

 

砕けた精緻な動くド神子地蔵の前、敵を欺きゼリー背の後ろから現れた一瞬の雷光は一直線に到達する。

繰り出した技は神牙流秘刀秘技【雷牙獣連撃】。

黒いパジャマのそのまた内側、青く体内で唸るオーラのボタンを唸らせて…古井戸神子の本気の雷剣が一手遅れた敵、ゼリーフェイスに食らいついた────────。

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