※この作品はR-18です。

雷夏先生とゆく、緑蜜高等学校ダンジョン部!!!   作:山下敬雄

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果てに待つ…《第三章 青い…-完-》

仰々しいそのルーティンから膨大なオーラの熱閃を放つ大技、クリティカルショットはブラフ。

敵を斬ったのは弾き飛ばされた愛剣赤蜜(あかみつ)ではなく、…あたため新たに目覚めた剣、蜜月(みづき)。

顕現するだけでも体力を使う二振りの秘刀と闘いを通しすり込んだ状況、膨大なオーラの隠れ蓑を用いて、古井戸神子は大胆不敵にもブラフをしかけた。

そしてまんまと賭けに成功し、オーラ燃え盛る炎剣で敵の太刀筋をかわし斬り裂いた。繰り出したのはクリティカルショットではないオーラを惜しまず燃やしたただの一太刀。

腹の中のエネルギーを燃やし尽くすほどの……。

 

「ずっと何か分からなかったけど、それド神子っぽいわ、はは…」

 

届いた剣、背の果てまで駆け抜けた剣。しかし振り返る体力もなく、黒い服がふらふらと今にも……。

 

ゼリーを天地に二分し、勝負ありの一太刀が胴をぶった斬った。

しかし相手はただの人間ではない。ここはダンジョン、人の常識で勝負は決まらず、致命的な傷を貰いズレ落ちていく溶けたゼリーは…………頭の帽子をおさえながら、切断面をまた接合しカラダにあいた空洞をみるみると減らし元の形に結びついていく。

 

不死身のゼリーは再生する。身を溶かすほどのその熱量をも、笑い味わい冷ましながら。

 

「おっとぉ、エネルギーの無駄遣いにもそういう意味がありましたか…フフフ。コレは少々ワタシも熱く誘われたモっ──」

 

不格好に溶けた刀傷を撫でながら、不死身のゼリーは不意に射しこんだ虹色の光に目を向ける──

その光が目に入ったときには既に、男のおかしな青いゼリー腹は大きくよじれた。

 

新たな熱は残してくれたその熱が冷める前に、撃ち込まれた。

 

ゼリーの怪人が溶けた胴体をくっつけている間にも放たれた虹色の閃光。

それは全てのチップをかき集めて、放たれた彼女のもうひとつの切札。

 

癒しの緑に光り立ち上がったのは、青髪赤目の不屈のダイバー。

狙い澄ましたそのちいさなピンクマグナムの銃口は禁じ手ばかりの悪へと、決して外すことはない。

 

「かませッ雷龍ッ──【ゴッチャビーム152%】!!!」

 

ギラつく赤目をもっと凝らして、悪のヘソを捉える。

 

白い飾り羽を分離させ今大きく広げ、

ちいさなトリガーとシークレットレアのキーホルダーをぐっと握りしめ、

時を超えて渡しそびれた置き土産を添えて、ゴッチャマグナムが熱い熱い虹色の閃光を撃ち放つ。

 

正真正銘にして本命、みんなでつないだ最後の切札、ダンジョン部雷夏の【ゴッチャビーム】が未知の悪敵ゼリーフェイスの腹を……溢れる弾ける未知のパワーで唸らせた────────。

 

 

 

 

 

 

▼

▽

 

 

 

 

 

 

雨が降る。降り頻る雨は粘っこく。

髪を濡らす冷たいその雨が意味するのは────

 

「やはりこのふざけたエネルギーすら興味深い。おもしろい星ができました、────フフ」

 

透ける青肌、その腹の中には光を放つマーブル模様の小さな球がある。

虹色のエネルギーの爆発が、嵐を呼び、やがて雨を降らし、青い宇宙の中に丸く固まった。

 

もはや不死身。数多のチップを消費し放ったゴッチャビームをも飲み込み飴粒のように小さく抑え込んだ。

怪人ゼリーフェイスは悪を穿つとっておきの閃光でさえ嘘のように嬉々として飲み干し、体内にその形容しがたい不思議なエネルギーを安定し留めてみせた。

 

「さて、伸びきった枝葉はもうゆらしきりましたか? そのようですね。では、名残惜しいようですが──最後の選択肢です」

 

残されたオーラ、残された切札、残されたチップ。

切り詰め、使い切り、その手の上に…己の身に余ったものは何か……。

敵に選択肢を問われなくとも既に、ダンジョン部の各々は整えながら考える。

まだ妖しいエネルギーを補給し放つ…禁じ手ばかりのゼリーの怪人を見つめながら。

 

(刺激を求めダンジョンに挑み、一枚一枚危ういカードの裏をめくりながら……今見えるおかしなこれが探索者たちを前にふらりと現れた死神というのならそうなのでしょう。ですが)

 

「はは、置き土産とか、やるじゃん」

 

シデンレイラが思考を巡らせながら見つめる先、残されたふたつのパジャマのボタンを留め直した古井戸神子は剣を構えた。手元に濡れて戻ってきた気の利く珊瑚の柄を握りしめて。

 

「手の感覚はもどった、十分」

 

赤髪の剣士は袖から取り出したレアチップ、銀の剣を。己の進みつづけた剣の道を絶やさない。名も知らぬ剣聖の剣を拝借し、討つべき敵へと刃を光らせた。

 

 

「ハァっ…………ハァ……」

 

 

その背、その息遣いは死んでいない。

赤と青と黒、三人それぞれの覚悟の前に水を差すことはきっとできないとシデンレイラも生徒たちも…。

 

(何が正解で、何が不正解か。ここで今選びとるべきカードが私にはありません。しかし彼女らの中、彼女のなかには)

 

「ここが果てでいいのかい」

 

シデンレイラに問われた青い背はゆっくりと振り向き、────頷く。

そのちっぽけな銃を手にしたまま。

銃口からたちのぼる白い煙にも、赤い瞳はその輝きをまだ失わない。

シデンレイラの目に映る彼女は微塵も諦めの色をしていなかった。

 

その眼差し、その呼吸、言葉にするエネルギーすら惜しむその静かな頷きに、シデンレイラは色々な意味を感じた、よぎった。

だが離れたその手を伸ばしても止めることはできないと悟った。

 

 

(いつかは今……雷夏という絶対的な存在は)

 

古井戸神子は逃げるつもりはない。

ムスイも逃げない。

青い背をすり抜け、言わずとも彼女の前に2人は躍り出た。

 

「その選択肢でよろしいとは思いませんが。フフフフフ」

 

それが最終選択、これがダンジョン部の選び抜いた最終布陣。

 

古井戸神子とムスイは握り心地の悪くない剣をそれぞれ握り。

雷夏は小銃に熱を込めて、探る…まだ賭けれるチップを……最後の切札を──────

 

そんな固めた彼女らの覚悟に、悪竜の翼を後ろにひらき一瞬の風を切るゼリーボディが……迫る。

 

2人の剣士は外せないタイミングをその目に凝らし。

構えた剣で邪悪な選択を阻むため、それぞれのオーラを解き放つ。

 

満身創痍でもその銃を放さない、殺気をはなちギラつく赤目に迫る透ける青は────

 

 

 

そのとき異界暗雲から雷は舞い落ちた。

 

布陣したダンジョン部に悪意がぶつかるよりも速く、舞い降りた雷がゼリーボディを焦がした。

 

その雷は瞬く間に黒い悪竜の片翼をもぎとり、強襲した敵へとフラッシュし一気に迫る。

 

「あなたは? フフフ、よもやあなたでしたか。二度目いやはや三度目のさい」

 

『失せろ、ゼリー野郎』

 

 

 

【ジライザン】────!!!

 

 

 

邂逅一瞬に、後ろに飛び退いた焦げたゼリーを追いかけた刃は迷いなく敵を斬るために振るわれた。

 

漆黒の雷が天より下る。

阻む杖ごと焼き斬り裂き生じたあまりにも膨大なエネルギーは、ゼリーの腹をかっぴらく。

さらに空間を歪め、三つ迸った雷柱が渦巻き地を燃やしながら斬り裂いたゼリーの身、その光る点に狂ったように踊り集束していく。

 

そして轟いた音さえも揺らぎ吸い込まれる。

起こった雷さえ、オーラさえ、跡形もなく。

不死身のゼリーさえ、────消し飛んだ。

 

かき混ざり合い、一気に爆発したエネルギーがまた巻き戻るように渦巻き、やがて斬ったスベテを虚空へと消し飛ばした。

 

 

どよめきを増す異界暗雲から、舞い降りたのは雷ではなく。

ぼろついたマントをひるがえし、まばらに落ちる雷光に照らされた……遠いそのシルエットは振り返った。

 

それは青を散らしなびかせ、それは赤く睨み灯り、

バチバチと…雷の威力余韻を音鳴らす……その痺れる刃をダンジョン部の者たちへと、今、ゆっくりと向けた────────。

 

 

 

 

 

 

《第三章 青い…-完-》






ここまで雷夏とダンジョン部の物語をお読みくださりありがとうございます。
今話で第三章(完)ということで、しばらくはこれまで連載した分の編集作業にあたりますご理解を。
第四章は今までのようにはいかない裏が表になる物語と、今までのような栃木緑蜜ダンジョン部の活躍と日常の両方を交えて…予定しております。

物語は残すところ……片手で数えるほど。絶対的の果てへ向けてもうしばらくお付き合いを。

それとお気に入り登録などできれば今後も雷夏ちゃんたち緑蜜ダンジョン部を応援よろしくお願いします。
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