※この作品はR-18です。

雷夏先生とゆく、緑蜜高等学校ダンジョン部!!!   作:山下敬雄

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ダンジョン談義をぬけだして

「なるほどダンジョンの中に現れたその門らしき何かに吸い込まれて、なっちゃんはたまたま私と同じ緩衝世界にやってきたんだね」

 

「【爆雷斬】を放ったあのあと…最後におぼろげに記憶しているのが……そうだな…そこまでだ。で、その何度も出てくる緩衝世界とは一体ぜんたいなんなんだ? 説明されたが夏ちゃんはまだビビっとすべてを納得してないぞ?」

 

「(ということは匣(はこ)の外のさらに外…………ていうことはマトリョシカみたいに? そうでもなくて──か? うん、それしかないね?)────あ、えっとなんだっけ? そうそう! だからそういう意味でも今ここがちょうど緩衝世界なわけ、表と裏のバランスを保つために…そうそう! 間にかまされた…そうだね、ものすごくふわふわぁ~~ってした異なる時空と時空に挟まれた都合の悪い時間軸をちょうどよく調整するための緩衝材の役割をもつ……うん、不要で必要な仮置場の世界ってわけ。つまりこの島のように一見脈絡ないものが漂流し集まりチグハグで不要のように思われても二つの大きな時空の間でとりあえずサイクルさせることでエネルギー循環的に意味がある、それが〝緩衝世界〟!! 暇を持て余していた時空粒子学研究者クロノスキーはそうおもしろく名付けたの。だからこうしてあなたとわたしが何気なく話し合っているだけでもお互いに干渉しあいエネルギー的な学術的な意味があるということなの。うんうん!」

 

「時空と時空……ここがそのあいだの仮世界? んや、緩衝世界とは簡単に言い表せるダンジョンじゃないことは分かった。それで裏とは海都生徒が見つけたウツボ姫のいるウロボロシーのようなものか? 今までの話から察するに夏ちゃんたちが住むのが表で表の外の亜空間がダンジョンだろ、進んだ先にある裏はそのようなものとは違うのか?」

 

「んー。ウロボロシー…聞いたところによるとそれはアレでしょダンジョンに出張したエリアの名前でしょ。つまり夏ちゃんのいうダンジョン内で獲得していったエリア。夏ちゃんたちダンジョン部と同じように別の内側の現実世界といわれる場所から外部亜空間のダンジョンを探索している特異なオーラと能力をもつ人たちのことだよ。今したわたしの定義ではそれらも含めて表だよ」

 

「……ははーん、なるほど? 拠点の大きさは違えどウロボロシーも部室エリアと言ったところか?(交流試合のあとはまだ遊びに行ってはいないが)」

 

「そうそう大別すればそうみたい、マリア様レポートによるとそうだと思うよ。だからさっき話に触れた裏っていうのはおそらくもっと……旧いものじゃないかな」

 

「ふるいもの?」

 

「んー。もっというとどうにも進みすぎたか、あるいは失ったものかな。うーーん……うんうんできた!────もっとわかりやすく、今までの話をまとめて図解するとこうだね」

 

 

 

①なっちゃんたちの住む一世界を仮称ガイアとする。

 

②ガイア含むそれで一つの安定した匣のカタチを成す散り散りにおおきく存在すると推測される8つの異世界……8つすべて含めたそれを表とする。

 

③広大な外部亜空間ダンジョンは匣の中の散り散りの異世界同士を一時的にアトランダムな道のりで繋げ、厄介で未知なエネルギーであると思われるケイオスの影響で顕現したモンスターの討伐や新たなエリアの獲得チップの収集などを促し、匣の中のエネルギーの循環をさらに安定させるためのクリーンアップシステムと思われる。しかし多くのことは未だ定かではない。

 

④ダンジョン部がダンジョン探索中に開き吸い込まれてしまったケルベロスの門をくぐりなっちゃんは現在クロノスキー博士とクウちゃんのいた謎の島の緩衝世界へと迷い込んだ。はぐれてしまったダンジョン部の他の者たちもおそらくこことはちがうどこかで同じような状況に巻き込まれていることであろう。

 

⑤今回の厄介ごとを引き起こす起点物質となったケルベロスの門はおそらくダンジョン部が戦闘中に何らかの原因で高まったケイオスエネルギーの影響であらわれたもの。そしてその門のエネルギーもまたあまり足りていなかったと推測させる、本来はその門は【裏】に直接通じるものであったのだろうが、推力が足りずに間にある緩衝世界へと散り散りに落ちてしまったのだろう。やはり異なる時空から時空へと移ることは易々とできるものではない。

 

⑥【裏】それはおそらく高濃度のケイオスを含有する空間のことだろう。表の亜空間つまりダンジョンに影響を及ぼすほどのケイオスを常に漏出して供給している、表とは異なる時空集合体と考えられる。ちなみにダンジョンにあふれるケイオスと対を成すのが仮称コスモスエネルギー、既にダンジョン部が制圧した部室エリアに多く計測されている。このエネルギーはケイオスの漏出をおさえる浄化作用をもつだろう。

 

 

 

 

「とまぁクロノスキー博士が現段階でマリア様レポートから読み取れることは以上だね。ちょっと長くなっちゃったけど何かデザートとか──あ、それよりなっちゃんってここから出たいんだっけ?」

 

「……──あぁそうだ! 夏ちゃんはダンジョン部の部長で先生だからな。…ざんねんだけどこうして実りある楽しいダンジョン談義ばかりしてはいられないんだ! そうだそうだそういえばダンジョン部の他の部員たちも夏ちゃんみたいに緩衝世界に落っこちたのはほんとうか!! どうすればいいんだキィちゃん!! どうすれば海都生徒やツッキーやムゥちゃん……ッ──みんなに会えるんだ!!!」

 

「うんその答えはたぶん。──これしかないよね? あは」

「じゃあその子と一緒に外にいるモンスターとやらを倒してきてよ。そして、────これ集めてきて。類似性の検索には数多のチップを使うから、それまでに私もこのDORAYAKIという機器を設計図通りにがんばって完成させておくよ!」

 

「なぁんだそんなことでいいのか! はははははお茶の子さいさいモンスター退治なら任せておけ、ダンジョン部雷夏に!! 絶対的に!!!」

 

『ククゥ!』

 

 

これ以上ダンジョン談義に花を咲かせている場合ではない。

かけていた椅子から腰をあげ勇ましく立った雷夏の頭に、透明獣のクウちゃんが飛び乗った。

 

雷夏は必死な形相で熱く問いすぐに出てきたクロノスキー博士の助言を得て、ラボの外へとモンスターを狩りチップを集めることにした。

亜空間万能レーダー調査機DORAYAKIを完成させ、離れたエリアの類似性を検索するために必要となる数多のチップを集めるために。そして離れ離れになった部員たちを……探し出すために。

 

ダンジョン部雷夏はクウちゃんを引き連れて今、鉄色のドアを開け、意気揚々と駆け出した────────。

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