※この作品はR-18です。

雷夏先生とゆく、緑蜜高等学校ダンジョン部!!!   作:山下敬雄

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黒潮

最後まで轟いていたのは青い雷のオーラ、全てを討ったのは青い剣士。

全てを滅し尽くし、静寂の時間がまた押し寄せてきた。

 

手強い巨大剣竜を討ち取り、青い剣士は佇む。だが、その刀を仕舞うことはない。まだ晴れぬこの黒い異界の辺りを注視し見渡していく。

 

「この異界──」

 

そのとき、さざめく。青い髪を揺らした、一陣の不吉な風。

黒いページの数々は風にあおられた波のように騒ぎ、大波小波……気付けば海のように高くなる。

 

「うおわっ!? な、な!??」

 

「ダメだわ。それに触れると溶けてる。結界の維持に集中して」

 

荒れる黒海に呑まれる……白い三角錐の結界はその内にぽたりぽたりと雫を垂らす。

それは熱量を持ち海都の緑のブレザー裾を溶かし白煙を上げる。

ただごとではないと驚いた海都はイロハの言う通りに結界の維持に集中する。揉まれ揺れる足場で懸命に……オーラをスキルチップに注ぎ突貫工事で成している派生技をつづけていく。

 

やがて、黒く荒れた景色が引いていく……。

よいながら……白い小舟を守り切った海都とイロハはやがて明けた黒潮に、目撃する。

 

青髪の剣士、その背の向こう側に────狂ったように渦巻く黒を吸い上げ現れた。

 

白いヤツ。

その激流渦潮の智を飲み干し、ゆったり降り立った純白の人型は……赤い眼を今開き、不要になったエネルギーチューブのようなへその緒をみっつ千切った。

 

生まれ出でたそれは、恐ろしいオーラを孕んだ白。

赤い眼は見つめるターゲットと同じように輝き、しかと視る……横に瞬きしたもうひとつの眼がその額に開いた。さらに頭頂のひとつはえた奇妙な触覚がなにやら探るように蠢き、男の方を向きながらカラフルに光り点滅した。

 

「人のカタチ…。今までと雰囲気がちがうわ、この肌まですごい鬼気を感じる」

 

「アレは……いったい……」

 

生まれたときには二足で立っていた。それが今、黒いページの地から現れた煌めく琥珀をその手にした。そしてその生物はまるで、ダンジョンのダイバーたちがチップを使うようにその琥珀の戦闘記憶を読み取り────

 

右腕に装備したのは剣竜の角、その剣。腕と一体になった大剣が一振り……その白い人型生物は、なんと青髪の剣士と同じように構えた。獣の構えではない、それはこの異界のモンスターたちを倒してきた青い剣士の構え。

 

「それで俺を喰らったつもりか」

 

『キシャーー!!!』

 

我慢できずに奇怪な化物の鳴き声を上げ飛び出した白獣の右剣と、迎えうった青髪の男の秘刀が瞬く間にかち合った。

異界に生まれた新たなモンスターはもう待ちきれない。新たになった学んだその力で暴れずにはいられない。ターゲットは青髪の剣士、圧倒的な強さを持つその男を前にその産声を元気にあげた。

黒い異界で魑魅魍魎を相手に繰り返されたその闘いを知恵を技を栄養に、シミュレートするのは人間だけではない。生物ととしての進化、最強に至る道のりはもうすぐそこ刃と刃が鎬を削り合う、赤くギラつくそこにある────。

 

うずうずと渦巻き高まる狂気と殺意そして闘争本能に火が灯る。

青髪の剣士と新獣エスカ、最強の男と最恐の生物の戦いが不吉な海鳴りを鎮め……それぞれのオーラ纏う一太刀に幕を開けた────────

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