雷夏先生とゆく、緑蜜高等学校ダンジョン部!!! 作:山下敬雄
カラフルな弾幕が盛大にばら撒かれ、一人と一匹の闘いの様相はまた纏う闘気を昂らせエスカレートする。
やがてまた至近に挑み、激しく攻防もつれ合い……。新獣エスカの怒りの反撃をさいど二つの半月から満月に合体させた盾の機能でいなしながら、冷静な剣と獰猛な剣が勇ましい火花雷音を散らしていく────。
「────!! ──いいだろう……ナラ 使ってやる!」
そしてまた激しく両者の盾と剣がぶつかり合おうとした時────琥珀の剣を受け止めた白盾が、緑、青、白、黒と…変わるがわるその刹那の間にも明滅した。
そして黒を帯びた青の雷電が、白盾から弾けるように迸った────────
「うわっっ!?? ────────え? き、消えた? いやッ、これってぇ────このオーラ! なんでかわかる……? どこかに……たたかってぇ…いるっっ??」
「うん…。きっと戦いやすい場に誘い込んだのね。あの白盾のナカに」
「戦いやすい…場? あの盾の……」
辺りを眩く照らした青黒い雷光は明け、青髪の男と新獣エスカの姿は海都とイロハ2人の見つめる視界にはない。突然に激しいオーラの高まりと衝撃と共に消えたのは……此処、薄気味の悪い黒い異界よりももっと彼の〝戦いやすい場〟へと強力なモンスターを誘い込むためであった。
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盾は誰かを守るためにあり、誰かを守るために剣を阻み刃を跳ね返す。
しかしその光り輝く白盾は跳ね返すどころではなく、猛り打ち込んできた相手のオーラをも利用し……盾の中の
ここはどこか、どこかの宇宙。ただよっているのか。
急に放り出された静かな異界のありさまに、首を振り見渡し消えた青髪の行方をさがす、アンコウのような頭の触角をカラフルにせわしく光らせ警戒をする────。
警戒しつつも急に景色のチャンネルが切り替わったような変化に新獣エスカは狼狽える。
そんなモンスターが未知の状況にうろたえているところを、すばやく駆けた刃が襲い掛かった。
『見知らぬダンジョンに迷い込んだ気分はどうだ』
それはまるで縦横無尽、かつ猛烈に全方向から襲い続ける刃。
電光石火の不意打ちを受けたモンスターは地に足がつかず宙を好き勝手浴びせ斬られるがままに転がる。立て続けに斬撃を貰い、鳴き声をあげながら反撃をおこなうも一太刀浴びせては消える青い影はもうそこにはいない。
しかし、天も地もない異界の仕様を理解したのか、立て直したモンスターは、縦横無尽に駆ける青髪の剣士に走る軸を合わせるように対応した。
やがて同じ縦横無尽の空間に慣れ、追いついたモンスターはヤラれた分をやり返すように、打って変わって猛攻を仕掛ける。すばやい刃と刃が幾度も交差し、たたかいの火花を赤紫に滲む宇宙空間に咲き乱れさせる。そしてまた両者がスピードを上げ交わらんとしたとき────
「【王牙雷獣拳:白虎】!!!」
モンスターの視界にあらわれたのはスリムなフォルムの剣じゃない。滾らせた青のオーラを纏った白い巨拳が突然にぶち当たり叩き込まれた。
刀剣の武器チップを白い盾にインサートし、三本のかぎ爪をつくる。変容し攻撃力を増した白盾は爪を鋭い青のオーラで研ぎ澄まし、まるで殴りつけるように正面に鉢合わせたモンスターを斬り裂いた。さながら雷属性の巨大バグナウがくらべて頼りない琥珀の剣で挑んできた新獣エスカを吹き飛ばしたのだ。
「逆に試し台にされる気分はどうだ、うれしいか」
直撃した巨拳に、宇宙空間を漂う寺院の残骸の中にぶち込まれてしまった新獣エスカは……。名も知らぬそこにあった寺院内の大きな偶像の手のひらに悠然と舞い降りた男の挑発に、激しい怒りをあらわにし答える。
しかし怒りの牙で噛み付かんと走り出そうとしたそのとき、左から弾幕。
浮かぶ白の半月が水平にたおれ、ひそめていた銃口を向け激しい横殴りの雨を撃ちつづける。
左からの奇襲にのけぞっている間にもさらに今度は右からもう片方の半月が、その身に剣を携え飛んできた。
そしてぶわり…刃は逆流する紫電を外に流し。
それは【投雷】──投げつけた剣の元へと瞬間移動する技の効果で、モンスターに見事突き刺さっていた半月剣の元へと青髪は一瞬にて現れた。
そのまま刀を悶えるモンスターの腹にブッ刺したままガトリングを浴びせつづける。ひとりでに浮かばせた左の半月銃が、刀で突き刺し持ち上げた獲物を容赦なく蜂の巣にしていく。
そして──
「──【切電】!!」
たらふく撃ち込んだ痺れるオーラを利用し、つながった新獣エスカの体内迷宮を流し込むオーラで攻略し見極め、今一気に解き放つ。
浴びせ続けたガトリング砲で架電し、さいごに秘刀青蜜で切電するそのアレンジした大技が炸裂し咲き誇る。
剣を堂々と掲げる剣士の合図に、一瞬堰き止められた極大のオーラ流れは、一気に天へと反発するように大爆発した。
青くカラフルに咲いてゆくそれはある男にとって怒りでも悲しみでもない、ダンジョンへ…いや、強敵へと惜しみなく放つ餞だ。
眩い雷光に照らされて微笑む古の女神、おおきく見守るように佇む寺院の偶像は、吹き荒れるオーラの嵐にひびわれながら崩壊していく……。