雷夏先生とゆく、緑蜜高等学校ダンジョン部!!! 作:山下敬雄
カラフルなオーラの星が弾け、やがて宙空にうかぶ寺院を呑み込む青い華が咲き誇る。
赤紫の宙をただよい佇みながら、その赤目でそんなフラッシュする鮮やかな光景を遠目に眺めていた。
「終わりたくないか────お前も」
盛大に咲かせた青い花火のあとに────青を祓い噴き荒れる真っ赤なオーラ。
怒りのオーラはマグマのように噴火し、今赤い柱が青を穿つ。
オーラの膜にくるまれていたサナギはやがて羽化し、赤いマグママントを蝶の翅のようにおおきくひろげる。薄くひろげた眩き炎熱が、見つめる青髪赤目の剣士のかわいていた肌を灼く。
さらに熱風と共に吹き飛び流れあらわれたのは、ただのデブリ残骸だけではなく。
いつの間にか取り囲む岩石群は、フジツボのような砲口を宿し次々と炎石の弾丸を撃ち放ちはじめた。
全方向から位置取りをキレよい動きで変えながら襲い続ける熱い弾を、避けつつ岩から岩を蹴りながらダッシュする青髪は────
「【切電】」
スニーカーで踏みつけた青い足跡の数々が、秘刀の柄の底で小突いたひとつの岩石を起点に爆発する。数を増やせばいいというものではない……オーラを通しその技の質を見破られれば、いとも簡単に連鎖爆発し見掛け倒しの技は崩壊する。
狼狽えるもすぐに新獣エスカは今も前へと迫る青いヤツに対する怒りを増す。
また同じ技を展開するも、ばら撒かれたライトニングガトリング砲のカラフルなオーラ弾幕が第二陣の岩石群が到達する前に喰らい砕く。
障壁を瞬く間にクリアし、目の前に迫る青いヤツに、
もっと大きく広げた怒りの翅が、オーロラのように熱く煌めき歪み、逆に誘い込んだのか────進み続ける青いヤツを包み囲うように前方へと展開される。そしてその蒸し焼ける程に熱い炎熱のオーロラから、出でた幾多の火炎の槍や鞭が青いターゲットを消し飛ばし止めようと乱雑に襲い掛かり続ける。
しかし、青は止まらない。背に満月を背負い一度見たお手本を見習い、試作ビルドする。
もっと自由に────満月は二つに咲くように開き、甲殻虫が背をひらき翅を広げるように……。
背の装備からふたつ噴射するオーラの光はジグザグに飛行し、鋭くえぐるように赤い炎熱の景色を切り裂いてゆく。
猛進する青は誰にも何にも止められず、ついにその大きな翅を広げていたちいさな蝶のからだまで到達する。
迎え討とうとした琥珀の剣は瞬時に勢いをつけた雷剣に叩き折られ、
やられながらも怯まず次に向けた左の砲口の腕は、体をひねり最速で繰り出した右の鋭いオーラふかす青翅に切り裂かれた。
しかし、今切断された残骸が、ふらふらと男の背へと流れ着く……。
ひどく赤熱する断面は────やがてマグマのようなオーラの柱を爆発するように噴火させた。
誘い込み誘い込んだ末のとっておきのトラップであったか、肉を切らせて焼き尽くす……刹那にみせたオーラ量を多分に割いた奇策が、攻め続ける相手へと炸裂した。
だが、────その男はまだ終わらない。モンスターにもその男の強さは分かっていたのか。
お互いの武装を壊し出し尽くし、今取っ組み合う。
マグマを切り裂き現れた青髪と、急ぎストックしていた琥珀の記憶を読み込み再生する白獣が、
その素手と素手の両手で、きつく絡ませ握手するように。
焼け焦がす赤いオーラが、痺れる青いオーラが、激しく明滅しながら押しのけ合う。
「【ライトニング……クレープフィールド】!!!」
しかし、バチバチと炎雷渦巻くオーラは……やがてその削り合い高め合うオーラ力勝負の均衡をやぶりひとつの技を成す。
組み合う2人を囲み、お互いのオーラで焼き上がるように描く円形のフィールドが雷音を轟かせオーラ湧き上がるように迸る。
モンスターは両手を捻じ曲げ痺れ悶える。悪しきを裁く雷属性のクレープエリアが、力勝負に負け先に技を出すことができなかったモンスターを懲らしめていく。
溜まらず焼け焦げた離してくれない手を腕を、自ら爆破し切り離したモンスターは一時はなれ琥珀の記憶をやぶれた片腕に埋め込みロードする。
すぐさま真似するように繰り出したアンバランスな巨大獣拳は────迎え打つ素の拳に無惨にも砕かれた。
またも奇策秘策は通用せず打ち破られる、いともかんたんに。
一度オーラの勝負で勝れば、次に繰り出すいかなる大技も練り上げのあまいただの拳以下。ノリにノった青い男のオーラをそうそうのすことはできない。
拳を逆に砕かれたモンスターが理解不能におののく内にも、一気に殴り続け追い込む。
痺れるオーラをのせたパンチのラッシュが白獣の体に堂々と打ち込まれ炸裂しつづける。
そして。背方の円形エリアから焼き上がり飛び出した──最強の盾をふたたび受け取り装着し、繰り出したシールドバッシュ。轟く雷のオーラとともに敵を彼方へと吹き飛ばしていった。
上手くいかない……あの白を手にしてからあの青いヤツの動きがまったくつかめない読めない。
あの白だ────
右にもっと長い琥珀の剣を、左にさらに白い外殻を、それでは足りないもっとパワーの高い体を……。
多大なダメージに打ちのめされながらも、触角をせわしくひからせ余る琥珀をすべて使い再構築する。
白獣エスカが最後にみせた智と怒りのおおきな進化を遂げたそのフォルムは────
青いターゲットへと、新しいカラダで反撃しようとするが動けない。
よく周りに…自分の身の異変に目を凝らすと、青くがんじがらめにされていた。
身に食い込むように突き刺さりもつれる……痺れるオーラの針糸を、その巨体では何故か振りほどくことができない。
「強くなっても強くなっても、たりやしない。ダンジョンは」
ゆっくりと歩み……構えるのは白い盾。
白い盾に一体に忍ばせていた、黒い刃が妖しく満月から突き出し……。
イマ、青と緑の翼をひろげ駆けた────
「お前の喰らう時間はもう────────のこっていない」
しずかに靡く青髪、既に特別な一刀に斬り裂いた敵を背にのこし──。
左右に優雅にひろげた青と緑の翼が上向きゆっくりと仕舞われ、やがて同時に天をさす。
そうして黒い刃に点ったふたつのオーラの光は、重なり合い──遅れ咲く最高のイチゲキを喚び起こす。
天雷喝采──鳴り響いた一瞬の天雷が、真っ逆さまに墜ち全てをほんの刹那に喰らう。
闘い明けの息をつく…青髪赤目の耳には、まだのこる……決着の雷鐘をいつまでも異界のソラに虚しくとどろかせた────────