雷夏先生とゆく、緑蜜高等学校ダンジョン部!!! 作:山下敬雄
▽宇都宮市民病院 太陽のへや にて▽
12月21日、クレパに向けてCGGの新作クレープの準備も忙しくなってきたこの頃。CGGの店主でもある母親に許可を得て時間をつくり彼はバスで市民病院前へと既に到着していた。
その人を見舞うのは初めてだ。それは彼にとっていつもよりどこか緊張する行為だ。
コン…コンと間隔をあけ慎重にノックをし、遅れてきこえた彼女の声をまってから、病室のドアをゆっくりとあける……。
そこにはいつものように笑みを浮かべる彼女がいた。ベッドの上で上体を起こし、らくな病衣をまとった彼女が訪れた彼にダンベルを片手にしながら元気に手を振っていた。
こうして昼の病室での再会となった雷夏と楽天海都。前回のダンジョンダイブ中に体力とオーラを使い果たし倒れてしまった雷夏は校長緑野光男にすすめられ紹介された宇都宮市民病院にて、その疲弊した頑丈な体の療養をすることになった。
会うのはこの前のダンジョンのとき以来となった先生と生徒は、再会を祝しまずは他愛のないことをお互いに語り合った。
そして、海都生徒は先生と話していた途中にこの病室の雰囲気がすこし、他の想像しうる病室と違うことに気付いてしまった。
「あのぉーせんせぇこれってぇ…。…なんで病室がゴッチャンだらけ…の部屋に!?」
「あぁこれか。ははは元々ここにあったらしいぞ、どうだすごいコレクションだろう! 家に持ち帰りたいぐらいだ!」
「え、もともと!? そうなんすか? てっきり先生のコレクションかとおもいました?」
「んや? そうだぞ」
「え、どういう…???」
ひとつのベッドを見守るように飾られていた超鋼RIKISHIゴッチャンのフィギュアやプラモデル漫画DVDにいたるそうそうたるコレクションたち。
それは海都生徒が思っていたように雷夏かのじょの集めたコレクションなのだという。
もっとそのことについて詳しく話を聞くうちに、本人の口から海都の知らない…いつも元気な彼女と縁のなさそうな事実が浮き彫りになっていった。
「昔ここにいたことがある? ────ま、まじすか?? せんせぇが?」
「あぁ、夏ちゃんはどうやらそうみたいだ。ここにこうしてぼーっとおさまっていると、自分でも懐かしい…そんな気がしてきたな。ははは。あと価値のあるゴッチャンコレクションは、この病院の院長さんが患者さんたちの元気がでるからと当時そのままに残してくれていたらしいぞ。はははなかなかロマンチックだな? んや」
「……先生って…なんかいろいろ不思議っすね」
意外な話を明かされた。病室のベッドとは縁のなさそうな元気の塊である彼女が、『昔ここにいたことがある』そうベッドに居ながらノスタルジックにつぶやいた。
あおい窓の陽光を見つめ照らされながら、穏やかにわらう横顔を見る……。海都も感化されてか、そんなことを少しだけしんみりとつぶやいた。
「ははは、たしかにな。だが、おもしろいだろ? こんな謎不思議多き先生は? ミステリアス&ライトニング! 解き明かすほどに魅力がゴロゴロおおおおお夏ちゃんだ!! ハハハハハ」
「あはは…たしかにっすね!」
自分にまつわる謎でさえ──楽しむ。
たとえ明かされても芯の部分は変わりようがない、雷夏はやはり楽天海都の知りうる〝雷夏先生〟のままのようだ。