※この作品はR-18です。

雷夏先生とゆく、緑蜜高等学校ダンジョン部!!!   作:山下敬雄

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本能と真剣

天井から突然のしかかったグーチョキパー、それぞれお好きなじゃんけんのポーズを決めた数多の石の人形たちが。

ド神子の勢いのある手合図で飛行していた青獅子の背と翼を捕え押しつぶす────そして罠にかかり落下した……石の重りを背負った青獅子ごと粉々に起動し爆発した。

 

怪敵ゼリーフェイス戦でも見せたシデンレイラに教えを請い習ったダンジョンでの闘い方と、自らのオーラのひとつに設定した技を披露する。

 

しかし決まり手ではない。粉々に爆発した煙たい景色から再び黒い翼で飛翔した青い影に。

 

「【クリティカルショット】」

 

狙い澄ます時間は十分。オーラを練り上げチャージされたその秘刀赤蜜の切っ先が予測し捉えた先に高エネルギーの熱閃を放つ。

 

しかしそれよりも速く届いた怪音波がド神子の耳を焼いた。

獅子が吠えるのとも違う、奇怪な高鳴りが耳を一瞬熱くつんざく。

予想外のかわせない攻撃に思わず顔をしかめた。そして放った熱閃は、獅子の腹を焦がしたが上手く避けられてしまった。

 

いや、上手く避けられたというより集中をかき乱されその剣の切っ先がブレていた。そう思わざるをえなかった。

 

獅子は迷わず反撃を行う。ムササビのように滑空しながら飛びかかり、ムカデの尾で隙を見せた剣士の剣を弾く。さらに降り立った地から反転しその四つ腕の鋭い爪のラッシュで追い込み、それでもひらりひらり避ける剣士にはさらに至近から怪音波を浴びせた。

 

 

▼

▽

 

 

耳が焼け焦げたように痛み詰まる……まるで耳が聴こえない。

実力不足に慢心。体力不足に……そんな足りないものばかりを補っていたのは己にある何なのか今一度痛むカラダとアタマで考えてみる。

 

おもむろに冷たい床から立ち上がった彼女は、口元の血赤色を拭い……いっそその目を瞑ってみる。

閉じたそこにあるのは暗がりだ、集中しひろがりつづける暗がりの舞台。自分という存在が突っ立ち、ただ用意された相手がそこにいる。ただそれだけの────

 

 

 

「来なよ」

 

 

 

虚空のツルギを構える……目を閉じる獲物に誘われ襲い掛かった吼える青獅子は、その振りかぶって繰り出そうとした右腕とはちがう──左腕のふたつをいつの間にか失っていた。

 

弾け飛ぶ腕フタツ、鋭い苦痛に遅れ気付き悶える青獅子は逆上して翼を大きく広げ、すぐさま地を真っ直ぐに飛翔し噛みつきかかった。

 

敵を倒すのに必要なこと……それは獰猛に迫りくる敵の殺気を読み取ること、危ういオーラを感知すること、そして最適な反撃(アンサー)を打ち繰り出す……そんなことよりも。

この目の前の青い獅子のように──剥き出しにする、彼女のなかに静かにひそめる本能と真剣を。

 

 

「────【斬影剣(クリティカルブレード)】」

 

 

寝ても覚めても剣だった。戯れるのも、襲い来るのも。

いつしか蓋をし失われていたあの頃の思い出を……今開く目に、

錆びついてもなおその刃は輝く……秘刀妖刀……月無(つきなし)を手に────未熟な己が敵を斬り裂くために。

 

暗がりの舞台はパっと色付き染まりゆく、勝者のきりさいたその素晴らしき色に。

凝らす刹那に繰り出した……影すらも斬り裂く必死の一太刀に、剣士古井戸神子は妖しげな笑みを浮かべていた。

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