※この作品はR-18です。

雷夏先生とゆく、緑蜜高等学校ダンジョン部!!!   作:山下敬雄

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晴れ渡るアオ

▼部室エリア はじまりの青い草原▼にて

 

 

「はは、結局ヤァばい勘違いだったわぁけか。まさか食いしん坊のちゅんちゅんまるに化けてるのがアオ女だったとはねぇ」

 

「その節はほんとうに申し訳ありません古井戸神子さん(ちゅんちゅんまる……くっ、くいしんぼ…?)」

 

「だからもういいって。あーそこそこ、カイカイくん次左耳ぶっぱなして、かぁゆいんだわ」

 

「ド神子さんまっ、まじでぶっぱなして大丈夫なんすか!? 回復弾……」

 

海都はその荒療治の方法に戸惑いつつも言われるがままに、快音波で焼けて調子の悪い神子の耳の回復をする。

 

そんな男子生徒に耳掃除をしてもらいながら、古井戸神子は知り合いの皆に片っ端から、特殊なオーラ電話で連絡を入れた。

 

オーラ電話は古井戸神子が拾い壊れたあのキノコ型の携帯電話の仕組みを飛び散ったパーツから解析し、明智マリア博士が試作したものだ。試作でまだ未熟なためか携帯と呼称するには少し大がかりな装置になっていた。亜空間のダンジョンからでも現世と区分される通常空間にいるオーラを持つ特異な人々に連絡を取ることが、理論上では可能であるのだ。

 

結局古井戸神子はガライヤ・ガラシャが魂角という大事なカケラを取り戻し、小鳥の姿から元の姿に示現し直し戻るためにその力を利用されてしまったという認識が正しく。度重なる勘違いから珍しくフラストレーションを溜めていた神子との間に少しだけあったガライヤとのわだかまりは既に解消されていた。

 

「私いえ我々はコスモス、ブルーコスモス。あなた方ダンジョン部の戦いぶりをいつもこの砕けた魂の奥底で見てきました。ぜひともケイオスに抗う平和のためにこのガライヤ・ガラシャにその力で協力していただきたく」

 

「そう言われてもねぇ。それ、今じゃないしド神子じゃなくない。ねぇカイカイくん、」

 

「えっと俺はぁ……まだ状況がよくわかんなくて……? って、手……!?」

 

ド神子はやはりどちらかというとあまり乗り気ではない。いきなり壮大な話をし協力を要請するガライヤに、やはり雷冬牙をその真剣で追うことにした古井戸神子とは目的のスケールと方向性が違い噛み合わなかった。居合わせた海都にも同調をうながすような様子であった。

 

当然海都に即断する意思のパワーはない。彼にとってコスモスやケイオスやマオウなど知らないことばかりを並べられ、話の展開が速すぎるというものであった。

 

しかし彼が迷いながらいると、足早に近づいて──握手。いや握手というよりはぎゅっと、急接近した美顔の女神に一方的に彼の手は彼女の白い両手で握り覆われていた。

 

「いきなりこのような願い、厚かましいと思われるのも無理はありませんが……事は一刻を争うものでこうしてる間にもケイオスの化身マオウと名乗りだした彼は8つの世界を見境なく──」

 

「その割にはちゅんちゅんまるで食いしんぼうだったじゃん。なんだかんだずっと平和だったわけじゃん、てことはまだ時間ありありなんじゃない、はは」

 

ガライヤの前のめりの圧に押され困り顔を後ろにのけぞり傾ける彼に、助け舟を出すかのように古井戸神子はまた始まった女神の熱い語りを遮った。元は青い小鳥であった彼女のことを、それほど急ぎの事態であるはずはないと神子は勝手に見透かし茶化すように言う。

 

「そ、それは……あのとき私の力が及ばず……オーラもチカラも…仲間も……多くを封じられうしな──」

 

海都の手を握るチカラが弱くなる……先ほどまでの熱意が一転、草花がしおれるように前のめりにガライヤは俯いた。不甲斐なく無力な小鳥のままでいた自分のことをおもいかえし、口にだし返す言葉を────選べない。

 

静寂にあの日の自身の無力さを回想し……うちひしがれていた……そんなときだった────

 

「ケイオスの魔王か、本当にいたとはおもしろいッ!! てことで、話は途中から聞かせてもらったぞ。このダンジョン部部長顧問の雷夏ちゃんが」

 

「アレ、夏ちゃん呼んでないのに? どうした、病室(ろうや)はこっちじゃないよ」

 

「夏ちゃんだからな、ド神子がひねくれて私を呼んでないことにさっきこそこそ電波したオーラを夏ちゃんレーダーがキャッチして気付いたのさ! ははははは、んやこのとおりオーラは冴えている大丈夫だ。それにロウヤにいっぱなしでは体に悪いと先生もダンベルを没収しながら言っていたからなはははは!! うんッ! やはりダンジョンの空気はいいな、それも新鮮な空気だ──ナ! あらたな予感のただようッ」

 

「はは、さぁすがだねイナズマダンジョンっこ、なぁがいけど、ははは」

 

海都の手をやんわり握りしめながらガライヤ・ガラシャは振り返る。

 

青い草原に靡くのは、それよりも濃く深い青。

一度あらためてオーラたっぷりのダンジョンの美味しい空気を深呼吸し……ギラついたその赤瞳が真っ直ぐに振り返った女神のことを見つめる。

あらたな予感、それは彼女にとって期待感にほかならない。絶対的の果てを目指す……ダンジョンにて、顕れた青き女神に、魔王なる敵の存在。

即断し歓迎する、そして挑む気はいつも以上に赤くギラつかせて満々だ。

 

病衣のまま抜け出してきた元気な雷夏が、久方のダンジョンその青い草原の部室へと現れた。

澱んだ静寂の空気はアオく晴れ渡るように失せてゆく────────。

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