雷夏先生とゆく、緑蜜高等学校ダンジョン部!!! 作:山下敬雄
自己紹介の一応のご挨拶を消化したところで、楽天海都はダンジョン部の顧問に、この先の彼女により取り決められているであろう……未来予定について質問をした。
「あの先生、きょうはどういった用件で……そのダン」
「流石に二日つづけてダンジョンには行かんぞ? まだまだ膜は全快でも、肉体的精神的な疲れも溜まっていることだ。ダンジョンが刺激的でたのしみなのは分かるが、アッセるなよ、新入部員♡」
青ジャージの顧問は腕を堂々と組み、質問に対してちゃんと答えた。やがて手の甲を下にひるがえし、チャーミングな仕草で男子生徒に指差しをする。
「いやアセ、はぁ……あの、それはひとまず良かったんすけど」
「てことで今日はダンジョンで決起会だ」
「へ?」「でぇす」
おどろき顔の新入部員男女を数え指差す。最後に重そうなコンビニの袋を片手にあげて、先生はガッツポーズを決めた。
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第イチ体育倉庫の七色に光る跳び箱から────────青い草原のナカへと移動。
「ソウゲン……なんすかここ?」
「ふふ、聞いて驚くな。これはダンジョン部室チップ(仮称)だ!」
「だ……ダンジョンブシツチップ?」
「あの工場で手に入れた不明チップがあったろ」
「たしか……ありましたね? それが」
「それがこれ、ダーーーーーーんジョン!」
「どゆこと……」
「にぶちん、危険なダンジョンで手に入れた平和なダンジョンということだ」
「平和なダンジョン……それってすなわちモンスターのいないってことですか?」
「そうそう、そうっ! モンスターがいないのは少々未完成で物足りないがこれがすなわちシュワッチ! わたしたちダンジョン部の」
「「ダーーーーーーーーんジョン!」」
「な部室だ、部室チップ」
脚をクロスして腕を大きく開く、あのラジオ体操にはありそうでないポーズ。
青ジャージとさっき見て覚えた牛柄ツナギが、おくれて台詞をハモり動作も合わせしようとしている。
広がる青い野に、どんよりとしたシャボン色の天……それでもなぜかそこそこ明るいこのエリア。
〝ダンジョン部室チップ〟と仮称されたこの何かの切れ端のようにも感じる異質なエリアは、雷夏率いるダンジョン部の部室として利用されることになった。
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この青い野の変わった部室で、決起会が開かれて数刻が経った。
ブルーシート上で先生が持ち込んでいた多すぎる茶菓子を頬張り、膝を突き合わせて話す主な内容は、雷夏先生のダンジョンチュートリアルの補足の続きであったが。
区切りよくしゃべり終わると、突然一人伝言を言い残して……青い元気の塊はこのエリアを発ち────────。
ポツンとそこに残されたのは高校一年生の男女二人。
その距離は文字通り膝を突き合わせる程近く、それよりも今、もっと密になっている……。合わせる箇所は膝だけではなく、二人のカラダが密着している。
「なんでああぁ♡」
「なでるのはどうぶつだからでぇす」
「ああああちょ」
突然黙してまじまじと見つめ近付いてきた長身の牛柄ツナギに……やがてゆっくりゆっくり追い詰められ捕まってしまった男子生徒。
訳が分からず逃れようとするがしかし回り込まれ……気付けば背後に密着されて捕まっている。
なでなでと彼の体を後ろからシャツ越しにまさぐり、後ろの彼女のスキンシップが徐々に盛り上がっていく。
状況がこう陥る前に2人に言い残されたありがたい言葉がある、雷夏先生のお言葉が。
『ダンジョンで大事なのは事前の準備だ。つまり持ち込みの食料水、薬や湿布類等の補給物資のことを言いたい。ダンジョンの仕組み上この人数では後から輸送できるような兵站手段は現状ダンジョン部にはほぼないに等しいおやつ代の決められた片道旅行だ。そこで先生は閃いた回復系男子生徒くんのDオーラザーメンで自家製の回復薬が作れればいいと思ってな。ふふそこでのそこでだ男子生徒くんのお世話係を先程散歩がてらスカウトしてきた彼女にその一端を任せてみた。なんでも部員であるキミのことを話したらダンジョンだけでなく人間の男の子というどうぶつに興味があるらしくてなミドリ農業高校の生徒とあってどうぶつにも人間にも分け隔てなくやさしいだろう? てことで、先生はちょっとダンジョンで一発ヤッてくるから今日は1ねん新入部員どうし仲良く交流──青春してみたらどうだ!』
どこかへ駆けてゆき雷夏は先刻ひとり消えた。まじまじと赤い目で見ながら告げられた男子生徒は耳を傾けたものの話す内容の半分も結局分からず……。
「なでなでなでなでぇす」
「ほあああぁ♡」
「はーいどうぶつ大人しくなぁる」
まさぐるなでなでがつづく。前かがみになっていく体と反り返っていく肉棒をいつの間にかチャックを下ろされブレザーを脱がされ解放されていく。胸やおなかを飼育員の彼女に全体的に撫でられどうぶつの彼はじんわりと火照っていく。
もはや逃れられない、いつまでも長身で密着しなでてあたためられてそのままチンポまで右手でゆっくりやさしくなでられていき……。
灰髪の彼女の言葉通りにどうぶつ男子生徒はそのぬくもりととても心地いいなでなでに囚われて、大人しくされてしまう。
「なでなでなでなで──もぐもぐちゅぶぁぇあ──なでなでなでなでぇす」
「あああひゃ♡あああてぇやめへぇ♡」
もぐもぐ空の咀嚼をし……分泌させためていた唾液を手のひらに移して──作った唾液ローションをどうぶつペニスに纏わせて滑りをよくしていく。そして後ろからの手淫を続行。
ぬちゃぬちゃしごく手に水音立つ…より気持ちのいい快楽に絡められる。男子生徒はどんどんと前にかがんでいくが、それにむにゅり……ツナギごしの豊満な胸を当てながら密着し直し、彼女の発する平坦ななでなでボイスが耳元でやる気のない念仏のように流れつづける……。
ミドリ農業高校の1年牛頭梢はどうぶつペニスの様子を確認しながら手コキで絶え間なくお世話していく。
「なでなでなでなでなでどうぶつなでなで」
「あぁああだめっ♡でりゅううううう♡」
ぴゅーーーぴゅーぴゅーっ……。限界を迎え、白いミルクを野に盛大に吐き出していく。
ミルクを盛大に放出する……そんな彼を左手でむね全体をなでなでし落ち着けながら、射精しているおちんちんも同時になでなで。べったりとまた口から継ぎ足した農業高校女子の唾液ローションを用いた手コキで刺激しつづけた。
その長身で覆いかぶさる余裕と包容力のある攻め立てに、世話されたどうぶつは耐え切れずに鳴き、野にザーメンをお漏らししつづけていく。
息を乱す男子生徒というどうぶつを落ち着いた息遣いで、飼育員の彼女はちんぽから精液が飛ぶさまを眺めていた。
恍惚の男子生徒は射精後の余韻に脱力する。背後に未だ密着する彼女にあたため抱かれながら、その柔さに沈み込み浸っていく。
「ぬぅうぉ…………でぇす。────────あ、野に
「あぁぁ…………ぁ」
快感を野に放出しきり脱力する体を抱き支え、どうぶつのアタマをなでなでと愛しかわいがる。
しかし回復薬制作という任務を忘れていた牛頭梢は、やさしく撫でて乱れた彼の黒髪をぽんとかるくたたいた。
射精をし大人しくなったどうぶつ系男子生徒は、何故か四つん這いの姿勢にさせられていた。
「おつぎはどうぶつ男子生徒のミルク搾りでぇす」
「ああぁ♡」
「根元をぎゅっとナカユビくっすりコユビこうこう」
下に垂れ下がった男子のおちんぽの根元をぎゅっと指輪っかをつくり中指薬指小指と順々に握っていき、更なるミルクの放出を促していく。ミドリ農業高校1年牛頭梢は牛の乳を搾る要領でするがそれ程どうぶつさんの反応は良くなく感じ。
「うーーーん、これちがうかぁ。あんま喜んでないねどうぶつ」
「はぁはぁ……ちょっともうやめふぇ!?」
「やっぱこれかぁ、はーいしこしこぉしこしこぉ────おおぉ、うん」
牛頭梢、しこしことスタンダードな手コキを開始。
突然開始された速いテンポの手コキに無防備だったちんぽが熱量を増し刺激が増幅されていく。
後ろから開始された見えないタイミングの手コキの不意打ちに思わず声が出てしまう。
彼女のことが見えない四つん這いの恥ずかしい姿勢での手コキはまた違ったアプローチで、興奮が一気に高まってしまった。
絡み早まっていく、また特別な唾液ローションをべぇっと手に吐き出し乗せて、男子のペニスへと躊躇なく擦り合わせていく。がくがく脚が震え喜びどうぶつが泣いているのを確認し『おぉ』と短く牛頭梢は感嘆している。
やはり男子生徒というどうぶつには普通の女子生徒の手コキでじゅうぶん大興奮なのであった。
「ああああでひゃうでしゃう♡♡」
「おぉ」
ぴゅーびゅー……勢いよく吐き出したザーメンが敷いていたブルーシートを白く汚す。
その様、射精の瞬間を顔を横向け股下ウシロから覗き込んでいた彼女。
まだ続くながい射精を液体を絡ませた手で最後までうながしながら────やがて全ての精を出し切った。
────────ブルーシート上のそれを一緒にながめる。
二度目の射精で脱力しきった男子生徒は体を他校女子に預けて一緒に座る。
まだすこし荒げる息遣いでいる彼の黒髪をどうぶつをブラッシングするようにやさしく彼女は
撫でている。それがなぜか安心と心地よさを産み、また女子生徒のおおきな女体のベッドに沈んでいく。
「めちゃくちゃ射精てるけど、すき?」
「はぁはぁ…………」
彼の息遣いがながれ沈黙する……そしてそんな落ち着いた間に、またぽんと彼女の手はどうぶつのアタマを打ち、忘れ物を思い出した。
「あっ、またやっちゃぁ。────らくてんかいとコンドームつけてもっかい」
「も、もむりぃ…………」
弱音を吐いた彼の疲れた顔はなぜか両手でぺちんと頬肉を挟まれた。
それで一連の牛頭梢との交流イベントは終わり、彼女の気が済んだのか三度目の射精は免れた。
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「というわけで、牛頭梢でぇす」
「楽天海都……ですっ」
アレから間を置き、彼女に「ほいっ」と手渡された気の利く水をありがたくもらい、飲み、無事生き返った海都。
改めて互いの自己紹介をし直し、気を取り直した真の交流イベントが始まっていた。今度は順番とばしの過度なスキンシップはなく……男子生徒は女子生徒のあまり動じない灰色の瞳と向かい合った。
「ミドリ農業高校畜産科学科の1年でぇす」
「はぁ……あの」
「おぉ?」
「えっと、色々トラブルやら聞きたいことはあるんすけど……なんでそのぉ、離れたミドリ農からはるばる緑蜜まで来てダンジョン部に?」
「んーー、いきなし難しいな、らくてんかいと」
「え? ごめ」
「んーー。ぶっちゃけそんなに農業高校、ヤリタイ事じゃなかったぁ? からでぇす」
右手でおもむろにピースを形作る。そんなおどけた素振りで真正面を向きなおした彼女の灰色の瞳は、海都に目を合わせ答えた。
予想外の返ってきた答えに、海都は両手を上げ、体を後ろに反る。あまり人生で出したことのない驚きのリアクションを見せてしまった。
彼女自身が何を思って行動しようが、それはそれ、彼女牛頭梢という人間の性格の一部と納得しつつも、やはりさっきの発言は彼にとって衝撃であり……。
「ええ!? そ、そなんすね……それは……でもっ! ダンジョンの方がやばくないすか……。あのー、先生がいないぶっちゃけここだけの話っすけど、俺、昨日ダンジョンで気味悪い鼠人形の大群やら、赤い帽子かぶった工場長とかいう巨人に、特に巨人はほんともうやばくて! 先生と一緒に襲われてはっきり言ってなかなか死にかけました……。そのッ、なんというか、命はんぶんぐらい削られた……みたいな──!」
鬼ならぬ先生のいない内に……。
ダンジョン部の新入部員になるつもりの彼女に、昨日のダンジョンチュートリアルでまさに体験し感じた恐ろしさを、少し先生に申し訳なく思いながらも、楽天海都は詳らかにかつ感情豊かに、告げていた。
「おぉ? まじぃ? おぉ。ほほ。工場長なにそれ? んーー、でも生きてるじゃん」
彼の話を聞き、止めていた右手のピースを倒し、彼女の二本の指が見つめる彼の必死な黒目に、離れて突き刺さった──。
「え?」
「なんか退屈しなそうじゃん。あの目ん玉ギラギラな先生もらくてんかいとも含めて。ここっそんな雰囲気でぇす」
右前方にピースを突き出し、左側頭にもピースを添えて、合わせてダブルピースをおどけて披露。
牛頭梢は、彼女なりの感情MAX値をノセたような素振りと表情で、明るく答えた。
知る限りのマイナス要素を隠さず伝えたはずが、そんなのどこ吹く風か、そのゆるっとちゃらけた返ってきた同学年女子の新鮮な反応に、海都はまた面を食らってしまった。
「退屈はたしかにしなかったっすけど……いやぁはは、でもやっぱ死にかけた気がぁ」
「そんなたのしそうに死にかけたって言うんだ」
「え」
座ったままぐっと前に乗り出し、灰色の瞳が不意に接近し、覗き込む。
意図せぬ至近でその瞳をよく見ると……キラキラと光る灰色の星がある。彼女にじっと見つめられて何かを言い返そうとしたが、適した言葉が見つからず。それでも海都がふと思い返して見つかったのは、つい昨日の……工場の青い爆発花火と先生のギラつく赤い目であり……。
「いやーやっぱたのしくは……イノチがかかって」
「おぉ、イノチたしかに? でも、それはみんなそうじゃない? おぉ?」
「いやぁ……たしかに……先生も……あ…そっ、すね?」
「うん。だとおもう、でぇす」
また彼は深く思い返してみる。雷夏ちゃん先生は確かに戦闘中に素人の生徒を叱責したり、命がけであったと。でも暗い感じは終始なかった。
いくら考えても出てくるのは明るい表情や……笑う表情。さらに数度あった強制的に押し倒される、エロティックな……。
楽天海都の脳が計算処理した結果────雷夏ちゃん先生はやはりおかしいのではないかと、苦笑いを浮かべてしまう結論が出てきてしまった。
「いやー、やっぱ懸けてるイノチの重みが違う感じが……それに俺、ダ、ダンジョン部入ってないと思ってるんですけど」
「んーー。それは牛頭梢じゃなくて先生の前で言った方がいいとおもう、でぇす」
「ご、ごもっともで…………言える、かな……」
想像し得るギラついた赤目の前ではソレは言えそうにない。
思ったよりよくしゃべってしまった楽天海都と牛頭梢の1年生同士の気さくな青春交流イベントはつづく。
「その牛柄のツナギってどこで」
「おぉ? これダルメシアンでぇす。ちっちっち」
「ええ!? ダルメシアン!?」
「ナニがだるいしあぁんなんだ? 雷夏ちゃん先生のご帰還だぞ」
「え、先生!? もう帰ってきたんすか!」
「おぉ。もぅ。あっちゅーま」
その後、雑談が意外にもこのタイプのなかなかに違う2人の生徒の間に続いていたところで────突然、座る男子生徒の後ろから現れ帰ってきたあのお方。
コンビニの袋片手にちょっくらダンジョンへと出向き無事帰還。さっき見かけた時よりも少し、汚れほつれた青いジャージ一式を纏う雷夏ちゃん先生がいた。
生徒たちはパッと、のそっと、それぞれ憩っていたブルーシートの陣から立ち上がる。たわいない会話に不意に割り込んできた先生のことを、驚きつつも2人で出迎えた。
「もうぅっ♡って、牛柄だけにお邪魔だったかァ、初々しい青春劇の? ははははふふ」
「ダルメシアン」「ダルメシアンっすね……」
「なんだと……」
牛柄のツナギはダルメシアン。グレーのショートカットに似合っている。
牛頭梢は自慢げに胸の辺りの生地を両手で摘み伸ばし、その柄を主張した。
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「先生、この急にとんできた青い鳥なんですか……知ってます、牛頭さん?」
「んーー……あはは。無知無知のぉ~~しらないでぇす」
鳩くらいの大きさの青い鳥が羽ばたいてやってきていた。
少し距離を取りながら、不用意に近づくと飛んで逃げていきそうな、だけども遠くないまだ打ち解けていない公園の鳩のような間合いに、
「あぁこいつはだなっ、そらっ────」
先生がごそごそとコンビニのレジ袋から取り出して投げ捨てたチップを、鳥はシャープな嘴で野から拾い上げ、天を仰ぎ、鵜のようにソレを飲み込んだ。
「おやつ(チップ)を食べる! ふふ、かわいいだろ」
両手にドヤッと腰を当て、その食事シーンを笑顔で先生は見つめている。生徒たちもまた各々の表情で、バードウォッチングを共にしていた。
「おぉ、食いっぷりぃ、かわいいねぇ」
「……食べる? なんで……そもそもなんで青い鳥が……」
「なんで? それは──」
「「ダーーーーーーーーんジョンっだからな!」」
散々見たような気がするあのポーズ。今度はなぜか牛頭梢もぴたりと合わせることができた。目と呼吸を合わせて仰々しい合図を事前にしたからだろう。
並び立ってそれをこちらに「じゃーーん」と恥じらいなく、かつ自信ありげに披露する。そんな彼女らの無駄なことを無駄に頑張っている様に対して、何かリアクションを求められている気がした楽天海都は、無反応ではいられず…………なんとか笑うしかなかった。
「ははは、おっと? そらっ────」
おねだりの視線にチップはばら撒かれる。雷夏、27歳、ケチではない。
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満腹で満足したのか青い鳥もどこへと飛び去り、ここにふたたび3人集まったところで話は次に。
海都は、牛頭梢にもさっき2人でいた時に漏らしていたそもそもの問題を切り出しづらそうにしていた。
だが、しっかりと自分の顔を目を覗いてくる先生の、やはりあの少々うるさいギラつく赤い目を見て……少し曇ったようなトーンで、彼は切り出した。
「あのー先生俺……ダン」
「あぁそうだ! これが土産だ」
「え」
生徒の顔をまじまじと見つめて思い出したのか、先生は拳をひろげた手のひらにひらめき叩く。ジャージのお尻ポケットからごそごそと音を立て、取り出した──。
「回復系男子生徒くん。お前が今後扱う武器はまず何がいいかと思ってな。やはりこれ、スタンダードなハンドガンを積極的に使うのが良いと思った。なかなか初陣でアレだけ怖気ずかず引き金を引くことはできないものだぞ? ちょっとした才能だな」
右手から右手に受け渡す。何も買ってもないのにお釣りでもぎゅっと手渡すように、手が離れたときにぬくもるチップが7、8。たくさん────。
たった今話したその内容から、ハンドガンのチップをまとめて集めたものだと想像できた。
受け取ったまだぬくもるチップは、自分のものというよりは先生から授かったもの。
握り込めず……。
口をぽかんと開けながらその手の上で重なる欠片をながめ、やがて顔を上げおもむろに先生の方を見た。
先生はそんな彼にゆっくりと一度頷く。自信満々に明るい顔がそこにある。
「俺が、ちょっとしたサイノウ……」
「あぁ、回復系オーラスキルも含め、才能はひとそれぞれダンジョンには分かりやすくあるものだぞ。ふふ、てことだ。──ほい、牛頭梢にも新入部員歓迎チップを配ろう」
「おぉ、めっちゃうれしい」
新入部員歓迎チップという名のプレゼントを手と手で触れあい受け取る。
それでひとつ用は済み、近づいていた先生は何故か少し後ろへと戻る。
そして初々しい二人の姿をじっくり並べて見据えれる位置に股を開いて、堂々と佇む。
「てことで、さぁダンジョンだ!」
「え?」「ギラギラ」
ぐっと握りしめて見せつける左拳。表情は熱くうるさく、燃える赤と青がギラついている。
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舞台はもう自陣の平和な青い野ではなく、ダンジョン部は切符チップで乗り継ぎ乗り継ぎ、見知らぬツギハギされた旅路を進んでいった。
そして────────
「こ、このタイミングでッ【
先生に倣い、出来るだけ手早くを心掛け狙いすました。
手持つハンドガンの銃口から赤い一粒が飛んでいき、やがて展開する赤い膜が鼠人形を包み込み、急激に上がった熱量で蒸し焦がした。巻く膜クレープグレープ弾を回復から見事、攻撃へと転換アレンジし、閃いた熱熱な一品。
「んじゃ。【
いかしたダルメシアン柄の戦闘着を身に纏い……右肩に重く担いだバズーカ砲から発射する────灰色の牛の頭。形成されたオーラは着弾し灰色に中規模爆発を起こし敵を2、3まとめて屠る。ミドリ農業高校一年牛頭梢、記念すべき最初のDスキルチップが扱いやすく手堅い威力を見せつけた。
「【
槍が切っ先のそのまた果てへと伸びる、そしてただただシンプルに黄色い鼠を貫き、出来上がる鼠の串刺し肉。雷夏ちゃん先生の槍技のひとつである。刀技とは一味と一癖、コンセプトを変えているようだ。
「パリンパリン」と爽快な音が重なり合い、イエローの綿が散っていく。
「ぱんっ」と右手後ろに反動を受けながら伸びた赤い槍は縮み、如意棒のように手ごろな大きさへと便利に戻った。パーティーの一連のDスキルチップの攻勢の出来栄えに、顧問は白い歯を覗かせる。
「よぉし、よくやった!! 今だ、進め!!!」
「おぉ。シンゲキ!」
「ハイーーーー!!! ってなんでまたネズミで工場!?」
「相変わらず戦闘中の質問責めが大好きで得意のようだなカイト生徒くん。ここはもうダンジョンだからなーーーー! ふふ、イクゾッ! 絶対的先生を援護しろ!」
ダンジョンに挑み、次への切符チップで誘われてきたのは……またもや海都と夏ちゃんコンビには思い出深き既視感のある工場のステージ。
コンベアに運ばれ生産されていく黄色い鼠人形の大群を相手に、先生の大雑把な指示のもとに生徒二人は付き従い動く。
挑む、今度は3人で。
緑蜜高等学校ダンジョン部、雷夏、楽天海都、牛頭梢。
青髪青ジャージ、絶対的なその背を頼りに。不気味なダンジョンに潜むモンスターを共に討ち倒し、元気に声を張り上げ、三人は進撃していく────────。