雷夏先生とゆく、緑蜜高等学校ダンジョン部!!! 作:山下敬雄
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理想を追い求める。
求め続け幾星霜、この埃積もるスペースにも気付けば色々なトレーニング器具があるね。
ぶら下がり健康器、今では役立つクローゼット代わりで助かるよ。いくら鍛えても物干し竿にはなれないからね、アハハハ。
朝と夕焼けは小焼けたちとともにグラウンドを一緒に走ったりする。
緑野光男、ミッチーはこういう校長がいたらおもしろいだろうなを、いく。
そうだよね?
でもね残念なことに人はつよくぶつかったり平然と隠したりする、掲げるキラキラの理想は各々ちがったりするんだ。
ここでさまざまな小焼けたちを見てきたね、みんなおもしろい理想っこだったよ。でもね僕が見てきた中にひとり…理想っこの生みの親であるミッチーが妬けるほど放っておけない理想っこがいたね。
アレはたしか忘れもしない13年前、
ま、いいや省こう。時はシンリョクだからね?
ナッチーには生々しいなまめかしいオーラがあった。
トーガンの理想はここでありここじゃないどこかで絶対的…最速でかなった。あの食べ物は邪気や出汁を吸い寄せて夏バテに効くというからね。
いや、ほんとうにそうかな?
理想とは兄、妹。求めるものが一致したときこそ叶う!
そうだとも輝かしいシンリョクの緑蜜の明かりのもと、
この魔法の迷宮は彼、彼女のためにしばしのこしておこう。
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「実はね僕はとことん人として理想派なんだけど人生だけは適当でいいやと思っていたんだ」
「(その一人芝居ゼンブきこえてますが)はぁ理想派の適当ですか? たしかにいつもとおな──」
「そうだねっ! 校長の仕事も、そういつものようにフレンドリーに作り笑いしてればいいやとね」
「素だと思いますが…」
ダンジョンでのめでたい生存会のあと、岬麗は例のあの人をたずねた。
サプライズ登場したあの人は今目の前でガチャガチャとトレーニング器具で遊び出しては目も合わせずにひとり語っていた。
もう何年…いつも相手にする校長がこれであるので、岬麗の受け答えもすっかり慣れたものであった。
やっとガチャガチャとならしていた音をやめ、左右上下に揺れていた小ステージの上から体幹を鍛え終え──飛び降りた。
緑のジャージ姿はこの学校指定の見慣れたものである。この学校のトップも着ているのはおかしなことではないが一般的にはなかなかお目にしたことのないであろうおかしなことである。
「だからね
「だからに繋がりませんよ」
「君がいたから繋がったね!」
踊り出した。
汗かき王子はさわやかにキラキラと表情を輝かせ、直立していた彼女の手を取りメガネを取り、踊り出した。
かろやかなステップを踏むクラウンブレイドの髪型をした操り人形はぐるりと細身を回され、のばした互いの右手と左手で繋がったままこの緑蜜の王子に淡々と答えた。
「私は仕事で呼ばれて来ただけです。すでにそこには1人でした。ダンジョンきゅ──」
「そう、それが完璧」
「雷冬牙の思い描いていた理想!」
「妹をのこし死んで理想というのでしょうか? 他の部員たちも?」
「そうだそこが疑問でね」
「百戦錬磨の彼らはきっと不意にあらわれた強大な悪と戦ったのだろうね。それこそ彼女を呪うほどに。彼女の自由を勝ち取り叶えた」
「しかしね私は信じている、カッシーとワカタカはナッチーの中に勇ましく生き、兄妹は理想を未来を追い求め続けていると! (君の定期報告も参考にしてね)」
「それは…拍手を送りたいものですがもう100度目なので割愛しますね」
伸ばした手を引き寄せさわやかに答える──また熱く踊りながら語り合う、校長と雇われの教師の社交ダンスでのやり取り。
それもほどほどで体が火照り心の高鳴りがすこし冷めて終わり。
校長は時代の遺物である、ぶら下がり健康器にぶら下がらせていたタオルを手に取り汗を拭き取っていった。
そして振り返り王子の笑顔で、独りになりがちな校長のお相手に励んでくれた彼女の目を見た。
「ありがとう岬麗先生。100度も聞ける物語でよかったよははははははは。シンリョクシーユー! 僕も理想を維持しなければならないのでね、君も理想のオーラとやらに(僕にはさっぱりだけど)近付けるよう旅立ちたまえ~。二足の草鞋、いや三足かい? ナンソクでも旅は長いからあるにこしたことっ、そちらもほどほどにつづけていきたまえ~。ではゼンリョクシーーユーー!」
ガチャガチャと器具の音が鳴る、校長はまた飽きずに鍛えだした。
手錠のような謎のシルバー器具を両手に持ちぐるぐると前後に円を描くように回して腕と手首を鍛え、同時にエアロバイクを漕ぎ大腿四頭筋を鍛えていく。
全てを聞きスベテを見た岬麗は元気な校長に一礼し、年季の入ったドアはしめず……熱気のこもる校長室を抜け出していった。
「いい校長であるか悪い校長であるかでいうと…そうでしょうが、理想派の適当ですか? 雷夏にとってダンジョンが理想郷ならば、拾って、追われて、その後をまた追う…私のような者がいても……きっとおおざっぱなバランスを取るあのどこかの公園のシーソーの上でチャンバラをし許されるのでしょうね? ふふ、────今のはまったく上手くありませんね…今日のシデン・レイラと岬麗は表裏一体ひどいものです……ふふふダンジョン、一度迷い込んだからには私にもこの先何か宝のひとつぐらいはあってもいいのかもしれませんね。──なるほど? それが彼らの宝だったのかもしれませんね。ふふふ」
岬麗は雷夏の後を追い、またシデン・レイラとなる。これからもきっと、その方がおもしろい。彼女は確信している。
それもきっと道端で偶然ひろった責任ではない、ただたのしいから岬麗はシデン・レイラに化粧しダンジョンに出かける。
そしておなじく、
責任ではない理想、
緑野光男は日々をはしりながら理想している、忘れ物の彼の校章が夕焼けに輝くかぎり。
緑蜜高等学校の一学期は終わって至福の夏休みがつづいている。
学生たちのすごす夏休みは大人たちのすごすソレよりも長いという。
じゃあ学生たちとともに学校で部活動に励む彼女らはどうなのか。そんなことは誰もしらない。
集合場所は鬱蒼に隠したグラウンド端の体育倉庫のナカ。
丁寧にまいにち掃除されたナカ。
大人も子供も古びた跳び箱を飛び越えよう、
秘密の部活動は秘密の部室で────
「どうやらほんとあぜんな陣地のよですね」
「うん、安全みたい。というかビーチ……だけ……博士に報告は」
「そですねー、そろそろヴァリアブルセターのメンテもしてもらえないとセリーの武力はBB級にハンゲンでぇーす。ドノミチノミーあっちよりここにいるメリットの方が今はありまー」
セリーとイザベラ、緑蜜高校ダンジョン部に仮入部することになった2人はその部室内で密談を始めていた。
日亜静謐バカンスに来たはずが今現在2人はいつもの仕事の延長線上であり、
この雷夏が部室ダンジョンと呼んでいる、ほぼ安全な敵のいないダンジョンを独自調査している。
2人セリーが持参した水着の水着姿で波打ち際に佇みながら、サングラスをかけ日の照らすおなじ海を見ている。
「うんたしかにアマリアナップは帰ってなさそう……帰ってもうちゅうの資材運搬やオーラの研究とか人体実験、ポケット災害の調査させられる…だけ……」
「そですねー、セリーもあまり乗り気はありませー。今のアーメリガはこじんまりなのでぇーす、ケリョクトーソー」
アーメリガに帰っても現在アマリアとナップは全州の侍狩りへ、
マリア・アケチ博士はドラヤキと呼ばれるダンジョンレーダー機器の改修作業に没頭していると思われ、
のこされた2人の隊員では仕事はなく第4探索部隊ホワイトカノンベルは実質活動休止状態。WASA内ではあまり重要視されていないサブスペース開発部では便利屋扱いで他の仕事に回されるのがオチなのである。
「うん。でも気になる…ここは日亜のWASAの手付かず?」
「そのとりWASANBONにみつかてないみたいでぇーす。イナカのせいひちゅにダンジョンが放置されてあた例はきいたことありまー。じじつじょうイナカナっちゃんの完全独立部隊でぇーす、ね?」
「そう…そのひとまたダイブしてるみたい……。これで10日れんぞく……ホワイトカノンベルの10倍以上のペース」
「アハッ、ナッちゃんはじしょーダンジョン生まれらしいでちゅからね、ダレにも彼女は止められませぇーん、テイシュカンパク」
「ダンジョンうまれ……」
「ダンジョンをたのしもうとしてたのしむのがフツーのアマリアナップさんみたいなクレイジー、ソデスネシカシィ……ほんとのナチュラルはダンジョンをたのしむのイチコウテイで完結でぇーす」
「それが……雷夏ってひと?」
「でぇーすね、ゼタイテキィ…アハッ」
自称ダンジョン生まれと豪語する日亜人、雷夏。
脅威のペースでダンジョンへと潜る彼女は、ダンジョン生まれというのもあながち間違いないのではと……あのいつ見ても陽気な青髪赤目、絶対的に忘れられないギラギラと濃い人物の顔を思い浮かべたイザベラ・ゴールドは納得したのであった。
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▽
話題の人物は今────
迫力ある前足を踏ん張り──動く白いトリケラトプスは角から赤い雷ビームを放った。
「──ッおい同族だぞ、あの鬱陶しいのをなんとかしろ」
連打される赤い雷を避けたが捉えられた。ムスイはいつもの流水陣は節約し纏うただのオーラの水剣でビームを弾き斬りうまく対応した。
「お、いいのか? よーしじゃぁ…夏ちゃん一番槍いい」
ムスイのかるい煽りに、あおられたままに笑い雷夏は構わず突貫した。赤い雷ビームは勇猛か無謀に突っ込んできた青を狙い撃つ。
赤目をいっそうギラつかせた青はスピードを上げて、地を穿つ赤い雷光を掻い潜る。
すかさずムスイは泡粒群を生成し敵へと打ち込んだ。十字砲火のカタチで明確なアシストをする。更にハンドガンの援護射撃も加わり、前衛で踊っている雷夏をたたかいやすく誘導する。
泡に釣られたトリケラトプスもすぐさまこれに対応、三つの角から怒る赤いオーラを放出。なかなかのオーラコントロールで泡粒を全て赤く破裂させ迎撃に成功した。
「骨にはこれが有効ザウルス!」
戦闘はリアルタイム進行、止まってはくれない。
ムスイの援護でできた余裕に練り上げた【槍玉】と【伸槍】の連携スキルチップコンボ。
何もなかったちくわ丸の穂には【槍玉】の効果で丸い鉄球が備わり、【伸槍】の効果でどこまでも伸びていった柄が、鉄球を乗せて、ギラつく赤目がロックオンしたターゲットへと運んでいった。そしてトリケラトプスのご自慢の角が一本砕けた。
思ったよりも伸びたきついストレートをもらい、グラつき怯んだ化石恐竜のデカ顔に、さらに振り下ろすもう一発。
デカデカと育った鉄球は纏う青い雷オーラを化石頭の脳天頭蓋に叩きつけ、クリーンヒット、お見舞いされた。
半壊するほどに崩壊しひび割れた頭で、化石恐竜トリケラトプスは苦悶の鳴き声を上げた。
「ヤリーー! 注文通りこれでもうビームは出せな──」
「おい、余計にびーびー漏らしているぞ」
自慢の三つ角を訳の分からない青い雷にすべて平らげられて、トリケラトプスはお怒りだ。
白骨をカラカラカラと身震わせ鳴らし、全身全骨から赤いオーラを漏出させている。
荒野のステージを赤いオーラでバチバチと鳴らし八つ当たりし、お構いなしにあちこち焼いて巨大モンスターの発狂行動がとまらない。
「ははは……カイト生徒みたいなやつだな!」
「えぇ!? な、なな、なんでぇ……俺…」
「角なしになったからかはしらんがコントロールは残念なヤツだ左右からさっさと片付けるぞ、フッ」
「あぁ、ダンジョン部ぅいくぞー!!!」
「ハイ! …っす!」
みなぎる赤い雷光に、青は怯えない竦まない。
新たに味方する頼れるレアチップちくわ丸をこの手に、ぐるぐるぐるぐる旋風を頭上に起こす。
やがてビタリ…止めて、威勢よく構えた。
やはり自分は剣、赤髪は流水の陣を張る。
いつの間にかここまで間合いが育った…慣れとは恐ろしいとふと思いつつ、赤髪の剣士はしずかに微笑った。
自分は彼女らの背を見ているだけ、でもただ見ているだけじゃない。
しっかりと見る…だけじゃない。
考えてみる…だけじゃない。
今よりもいっそう仲間を頼る、そんな言葉を思い出した。
彼も色々と思考しながら日々を成長し生きている。
しかし、楽天海都はまだまだぜんぜんわからない。
先生に叱られるか褒められる、今はまだそれが彼の明確な判断基準。
握る汗…ハンドガンを手に取り、じっと前方の景色に目を凝らした。
骨の恐竜が襲い掛かろうとも不思議とそれほど怖くはない。青と赤、彼女らの背を見ていると──。
ここはまた切符チップを乗り継いで乗り継いでやってきた知らないが骨のあるダンジョン。
雷夏、ムスイ、楽天海都、
攻防知力スピード回復、バランスのとれたパーティーは立ち塞がる骨を砕きダンジョンを突き進んでいく。
ダンジョンにおける回復役の役割は
パーティーメンバーのDSシールド値を回復することである。
とても当たり前のことで重要なこと、まさにパーティーの生命線であり要。
ステージを制圧し、安全を確保したダンジョン部は準備に取り掛かった。もはやダンジョン部ゆいいつの男子生徒は雰囲気で悟ることができる、逃れられないその先の運命を。
そして広げ敷かれた緑マットの上で──繰り広げられている。
とてつもなく強い力におさえつけられた細身はあらがえず。
胸部にやわらかな舌が這う、ちゅるちゅると吸い上げられては口の中で興奮し尖ったかわいらしいモノはあそばれ。
激しいスキンシップに声が漏れていく、漏らされていく。
そんななさけない様を攻めを継続しながら、
赤目はギラりニヤつき、
青目は細めて微笑った。
「ちゅべぁ……おい、またダメな顔になっているぞ海都」
「ちゅちゅ~~っ──ん♡カイト生徒はこれが好きだからなぁ♡そしてもっと好きな夏ちゃんキスで絶対的とどめだぁ♡──」
乳首舐めからそのままスライドし、
唇が舌が近付いてくる──左右から、
「あっあぁあひゃめ…ンンーー♡♡♡♡」
じりじりと襲いかかる光景に──襲いかかられ、左右から隙だらけの青年の口に滑り込んでくる雷夏先生の舌とムスイの舌。
もみくちゃにキスされていく。青年のひとつしかない舌を唇を奪い合うような長い長い貪るキスに────耐えられない。
この猛攻に海都が耐えられるはずもなく──キスと同時にシゴきつつむ手に導かれ射精した。
「んっ♡♡いっぱいびゅーーしたな♡♡まったくぅ」
「ふっ堪え性がないな、いつになったら鍛えられるんだココは?」
赤と青2人の美女コンビの息継ぎもさせてくれない熱烈なキスに、もみくちゃにされペニスをシゴかれながら堪え性もなく大射精。
己の鳩尾に熱い白線が到達するほどの至福の射精をし、混ざり合った唾液でべたべたになったとろけたダメな顔が出来上がっていた。
「んじゃ、夏ちゃんの勝ちだからい・く・ぞ♡」
「おい、かってにナニやってるふざけるな」
「ちょ、ちょとだしたばかりの待っ──あっあぁああああ♡♡♡♡」
大興奮の射精をしピンク色の恍惚に浸っている間に──今度は挿入。
有無を言わせぬ、雷夏先生の快楽の追撃がカイト生徒を不意におそった。
不意に襲った刺激に頭がチカチカする。
騎乗位でぐりぐりと腰をおどらせるように回しグラインドする。それだけでいつものようにすぐ海都のペニスはまた押し寄せる甘さに硬くなった。
ニヤつく元気な赤目はトマラナイ。助走をぞんぶんにつけ、硬くなるならそれでいい……パンパンと尻肉を打ち付け水音を跳ねされた。
圧倒的な快楽と力の前ではどんなことばも泣き顔も無力……。
パーティーメンバーが全回復するまで矢継ぎ早の補給行為は続いた……のであった。
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もはやこれが環境のデフォルトにかんじてきた暗雲のモト、すこしじめる荒野ステージ。にて
まんたんまで補給をすませたのち次々と乗り継いで、
やってきた殺風景なこのステージ。
ダンジョン部の三人パーティーは迫り来るモンスターを各々の武器で砕き殲滅した。
モンスターを倒してもそれで終わりじゃない。
いつものようにDウォッチで識別した剣チップはムスイ次に雷夏に優先し、パーティーで得意なチップをひろい分けわけしていく。
そんな作業にふけているときに、剣のチップを袂の巾着にしまったムスイは雷夏に話しかけた。
「おい何故ここには骨しかいない」
「んー、きっとダンジョンもカルシウム不足なのかな?」
「ふざけるな、あれだけ相手にしていた鼠人形どもや巨人がこのところ一切出なくなるのはおかしいと思うだろ…なぁ海都」
「え? あぁたしかにっすね?」
「そういやそうだな、ソーダ夏ちゃん!」
「はぁ……いいか」
「んや、きっとステージのレベルが上がったってことだな! ダンジョンは進むほどに未知との遭遇そういうことがあるぞー、ほら拾う切符チップもぜんぶなにかしらの骨やそれを暗示したマークだったろー! 基本だよ基本わすれたムゥちゃん? まさかカイト生徒も?」
「いや…わすれ──」
「分かってるなら最初からそう言え、その通り次の街や次の塔、階層に行くとモンスターの顔ぶれが変わるのはRPGの定番だ、今はそこそこ砕き甲斐のある骨ゾーンにいるらしいな。あと馬鹿のフリをしてお前が抜けてはいないか確認しただけだ」
腕を組む水色道着は目を閉じてひとりで小刻みに頷いている。
クールな侍のような振る舞いだが、言動はゲームのようなことしか言っていない。
雷夏はニヤけた顔でムスイのよくわかる講釈を聞いた。
「ほぉこの雷夏先生に生徒からの愛のある抜き打ちテストだったか。それとは別に、また出たよムゥちゃんのRPG例えツッコミ、ってカイト生徒が♡」
「え、えぇ!? いや俺なんも──」
となりのカイト生徒は戸惑う、言ってもいないことを妄想代弁され。
おどろいた生徒の黒目はニヤつく先生の赤目に抗議し──足元がおろそかだ。
それは当たり前、会話中に足元を気にする人間はほぼいない──
「──!」
ニヤつく赤目はパっと見開かれ、──雷夏が履いていた足元のスーパースニーカーは発した雷電にバチバチと焼かれた。
「ふぅ、あぶ夏ちゃん…」
雷夏先生は突っ立っていた生徒をタックルをかますように最短最速一直線に担ぎ運んだ。
さっきまでしていた息が死ぬほどのタックルを突然にもらい、腹筋を痛めた生徒は痛みでしかめた顔で……目撃する。
そこに鋭く尖った骨が突き出ている。
ちょうど自分が足跡をつけて突っ立っていたと考えられる位置にである。
さすがにすぐ先生の取った行動にも海都は痛む腹を気にしながらも合点がいった。
時同じく流水の陣を敷き、ひらりひらりと鋭く突き刺さらん骨を回避。水剣は踊りながら地から殺気を孕み隆起する邪魔な骨をくだいた。
「おい、足元だけじゃない視線だ、感じたら気をつけろ」
「んやそうだな! ムゥちゃんは目と殺気だけじゃなくダンジョンはオーラもちゃんと察知して注意だぞぉ! ぼーっとしないでカイト生徒もやるかー! このまま担ぎ夏ちゃんでもいいけど!」
「どわっ!? ──え、はい! わかりました! 不意打ちじゃなければ下りて俺でもなんとか……アッ、(コイツもう出てきて…はやい…? ラッキー?)ハイやれそう? です! 盾も使えるみたいっす! 食らっても回復でなんとか…」
「うん、んや! そうかそうかそれは安心! せいかいせいかい夏ちゃん! オーラをみろ! 骨はそこから出てくる! 避けるのがやばくなったらお得意のスキルチップの罠を敷いてモグラ叩きの対応! だーーっ」
「…っす!」
俵担ぎにされていた海都は頷き、剣片手に器用に骨を砕く雷夏に下ろされた。
流れる荒れる水剣、
あそぶ雷獣迸る雷剣、
薄く敷かれた白いクレープの聖域は邪な骨を寄せ付けない。
三者三様に、乱れ咲く不可解な骨のアタックをやり過ごしていく。
ここにただでヤラレる弱者はひとりもいない。ダンジョンは危険と隣り合わせ、ダンジョン部の誰もが隣り合わせにし鼓動してきた場所。
『どらすけ、それに此度とりすけがヤラれたと思えば──貴様らの仕業か、ほぉ』
「ムゥちゃん今なんかしゃべった? もしかしてまた勇者RPGごっこか?」
「その耳は飾りか! 喋ってるのはこの骨だ! 【流水斬】!」
地から現れた骨の兵隊をまとめて水剣は真一文字にぶった斬った。喋る骨は砕け散りダンジョンの光へと還った。
『なるほどどれも…そこそこおどれる肉どもが、どれ少しあそんでやろう』
「おい、──このしゃべる骨どもはお前の知り合いか雷夏」
「いや、全然しら夏ちゃん! 夏ちゃんに骨になった友達はまだいないぞお!」
地から白腕を伸ばし肉の無い髑髏が歯骨をカタカタさせながら喋っている。またさっき聞いた声とそれぞれ別の声が重なり合い、侵入者たちに告げている。
『我々はシーズ、ハッハッハ友達ではない、約束通り我の領分にやってきたうごける肉だ好きにやらせてもらうぞ』
骨がしゃべっている……ここまで鳴き声を発することはあったが骨がしゃべることなどはなかった。
明らかに異様なダンジョンのムードに、ダンジョン部の3人は眉間の皺を深めていく。
そして骨の愉快不可解な言動を耳に通し、赤目はおどろき見開かれた。
「なんだってぇ!?」
「シーズだと…知り合いか!?」
「いやまったくしら夏ちゃん!! ぜったいてきにぃ」
青い横顔はムスイに振り向き、シャキーンと、なぞの親指を立てた。
「ふざけるな、(だとおもった)骨どもが来るぞ! 俗に言うスケルトン兵ださっきの足元から来る魚の骨とは違うぞ! こういうのは生前より死んでいる方が鍛錬され強いというものだ舐めて手抜きはするな骨になるぞ!」
「あぁ、カイト生徒は先生をいつものように援護だ!」
「は……はい!」
白い骨の兵隊はステージに散らばった武器チップを使いそれぞれ武装した。
ダンジョンのレベルが上がった、雷夏とムスイの考察はあながち間違いではないと、不意にやって来た並々ならぬ未知のシチュエーションが証明した。
『ハッハッハそうだ死にたくなければ踊れ肉ども、そしてその程度で恐れ傾く生死の天秤を抱えて死んでゆけー! ハッハッハ』
「はははは、生きてても死んでてもイキのいい~…ダ~ンジョン!!!」
異なる生死の天秤は傾いてゆく、そして走りだした雷鳴はとどろきワラう。
しゃべるダンジョンに恐れはない、むしろいつの日か願っていた待望。
雷夏は骨の兵とチャンバラをし絶対的の果てを斬り裂いていく。