雷夏先生とゆく、緑蜜高等学校ダンジョン部!!! 作:山下敬雄
「【
「【婆沌永遠水車《バトントワリング》】!!!」
手元で高速回転する青い大車輪がオーラシールドとなり地をも粉砕する棍棒を受け止めた。
もらった衝撃で地を引き下がった雷夏に赤獣のバウの巨躯は続けざまに飛びかかり襲いかかる。
「【
「【槍玉】ノ【伸槍】!!!」
雷鉄球は飛んできた赤獣をたどり着く前に迎え打つ、白槍から伸びていった穂先の雷鉄球はオーラを増した悪魔の骨棍棒にも引けを取らないほど、全力のチカラを込められている。
技と技はぶつかり合い激しく雷は唸り、赤いオーラは炎のように燃え盛る。
「【
「【爆雷斬】!!!」
相殺に次ぐ相殺、しかし赤い獣はまたギアを上げる。
剛力、その赤い獣バウの凄まじい膂力と迫力に、挑む剣は真正面から──正面からぶつかり笑っているのは雷夏。
雷剣と赤棍が小細工なしに衝突し、睨み合って、歯を食いしばり、笑い合って──吹き飛んだ。
満のチカラで振り抜いていたのは上裸の赤い獣バウ。吹き飛んでいたのは緑のジャージ、青い髪を突風に散らす雷夏。
緑と岩のステージを岩岩を衝突し砕きながらも、やがてスニーカーと両手の四つ足で地を抉りながら着き、体勢を整えた。
しかし──赤い獣バウの攻撃はやまない。今度はなんとも強引な遠距離技を披露、力まかせに地に叩きつけた棍棒は揺らした地から無骨な赤岩を隆起させていく。
「【
「【真田・サンダーランス】【夏ちゃんヨーヨー】!!!」
これまで技を使い技を使い溜まっていたテンションを解き放つように白いパイプに怒れる雷を宿し、雷塊を纏う槍を仲間がいるときよりクイックチャージクイックモーションにアレンジし投げ捨てた。
真正面の赤い岩をたしかに砕き、バウの胸まで白パイプのちくわ丸は届いたが威力は減衰しており無力。
両側から弧を描き魔法のように追って連動し隆起してきた赤岩に対して、2つの盾チップを使用──雷の糸で両腕と盾を繋げてあぶないヨーヨーと化す。
回転する盾はギザギザの青いオーラを纏い斬れ味鋭く赤岩を切断粉砕。
またしても距離を変えての技の応酬、しかしそれでもなお──
「【
「──【ゴッチャビーム・35%】!!!」
こちらもQCQM、ピンクのゴッチャマグナムから無理矢理即射したゴーチャビームは荒く歪に煌めくも、威力は上等。
──地をひっくり返すように隆起する今まで見せた中で最大パワーの赤岩の災害を、スベテ迸る虹色と唸る青の閃光に平らげた。
(怖気はなし、迷いもなし、闘える頭はあり。どこまでもテンションで喰らいついて来るタイプか、際限がないのかこいつ。ピエロの技にしちゃぁ破壊的、獣にしては笑いすぎだ)
ぐねる未完成の虹色のビームの飛沫をその体とその太腕に浴びダメージの焼け跡を味わうバウは、技の連続使用で息をひどく乱しながらもまた段々と自ずと……笑顔を作ろうとする珍しいいきもの雷夏を見た。
「ハァハァ……んやっ……ふぅーー。なかなかだなぁ」
「なかなか壊れないな、よく喰らい付いた褒めてやる。正直ここまで楽しめるタァ思ってなかったぞ雷小娘。誰にソレを習った? 次から次へと腹の捩れるようなマン振りを引き出すお前の指導者に興味がわいた、いいぞチカラの出し惜しみをしないヤツはいい戦士だ、俺に隠す意味なんてないんだからな」
「ふぅふぅーー…んや、指導者? 指導者は夏ちゃんだろぅ? まぁ夏ちゃんの歴代指導者といえばえーと高校イケイケ時代はシデンレーラだろ、そんでキャピキャピ先生時代はド神子とかまぁムゥちゃん…も! そうそう校長のミッチーもだな! まぁなんと言ってもダンジョン生まれの夏ちゃんだからな! 絶対的の果てまで負けられるか! というか負けないぞ、絶対的にぃ」
息をととのえた雷夏は汗でひどくベタついた髪を後ろへ豪快にかきあげながら、元気に赤い男を指差した。
頓珍漢なことを言う雷小娘、しかし負けないと言っている、それも絶対的に負けないと。赤い男は自分よりもちいさい青い小娘にそう笑われ言われたのだ。
男は小娘を訝しむもすぐに笑って見せた。自分よりも弱い存在がさんざん絶対などという言葉をこうも軽々しく使う。しかし小娘は間違っていないと絶対という言葉と存在の意味をよく知る男はまさに笑わずにはいられなかった。
「絶対的の…果てだと? ハッハッハ、喜べ雷小娘、その絶対的の果てがここだ。全力で壊してみて分かったろ俺を壊せるヤツはこの世にいないと、そして俺が壊せないやつはナント…いないッ」
男バウは自信満々豪快な口調でそう叫ぶ。
いきなり口癖の絶対的の果てを共有され男にアレンジ解釈された雷夏は面をくらい、やがてその首を傾げながら──
「こわせない…絶対的の…果て? はてぇ……? ──ははは、いんや留学生違うぞぉー。夏ちゃんは知っている絶対的の果てにはもっと強いヤツがいて、もっと強くてかっこいい必殺技をバチバチどどどーーーんッて使う! ふっふぅーん、絶対ちがうぞ赤髭留年生!!!」
「なんだと? そのバカな笑顔をやめずにイキっているお前の指導者のことを言ってるのか? それともその疲れ身でこれ以上俺を壊せるっていうのかハハハ雷小娘」
「あぁ、夏ちゃんならな! 絶対的に!」
「ハッハッハ、──ヤってみろ小娘!!! 絶対である俺にその絶対ってヤツを!!!」
赤いオーラ、闘気を一瞬にて爆発させその身に纏う。
それは脅し、それは笑い、それは期待、挑発、絶対の歴史を持つ者の他者へと見せる余裕。
絶対存在である赤い獣バウは挑発する小娘雷夏を叫び挑発し返す。
【ヤレるものならヤってみろ】
バウはその巨躯の巨足を大地に張り付けて、牙を見せ笑っている。こうした戦士とのやり取りを過去何度も繰り返してはその都度イカれた獣は笑って壊れずにきたのだ。
赤い獣のもつ混沌の紫眼に睨みつけられては逆に逃れられない。逃走はできずうながされるのは闘争、この絶対存在である男に出会ったのは生物ならだれしも運が悪いとおもい言える。この世に出会ってはいけない存在は骨の女王だけではない、厄介を通り越して災害、災害を通り越して絶対。
しかし、青い髪と赤い瞳、ダンジョン生まれの生物には見つめてきたら見つめ返す、ギラギラと瞳の色を輝かせる睨めっこは得意なのだ。
そして笑って────バチバチと唸らせる己の秘刀を体外へと剥き出し顕現した。
斜めにささる緑の鞘は危険なレバー、手に汗握る柄に、たしかに存在してたしかに知っていてされど深くは知らなくて……すっと…染み込むようにデジャヴする神牙流道場当主代行古井戸神子に手渡された設計図を思い描いていく────
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『おーいド神子またお前の代わりに考えてきてやったぞー』
『あー、トーガ、ありがトーガ、』
『それやめろっつったろ…流行ってないぞまったくぅ』
『はは、ん────』
『ん────これだ』
『これはなに? ばか?』
『いやーダンジョン部絶対的部長の俺にもそろそろさ、なんかこう必殺技が必要なんじゃないかと思ったのよ!』
『はは、夏ちゃん?』
『いやまぁそうなんだけど…! 夏の花火にちなんで────ってわけよ』
『神牙流秘湯ひぎ? エロ?』
『あぁ、そうそう神牙流秘湯ひぎ!ってお前、その顔右斜め上にもくもくしてるイメージをやめろ、エロじゃない、エロくない、俺はスーパー、技だ技、必殺技、神牙流秘刀秘技! そのスキルチップ名も【
『なにそれ、スーパーエロいじゃん?』
『どこもエロくないっての!』
『はは、やろ────』
『おっ、よし! あ、言っとくが今度はおまえ一瞬で帰るなよッスーパーな俺ができるまで絶対付き合えよ、絶対的だ!』
『はは、エロっ』
⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎
⬛︎⬛︎⬛︎
⬛︎
「絶対的だぞ……神牙流秘刀秘技──【
緑のレバーはガクッと地へと落とされた。
天へ雷は迸る。
体内にスイッチを入れ
ギアを一気に上げ駆け抜ける一瞬の雷光は
青い髪を重ね靡かせて背は後ろ瞳は前
最高にひりつく風と絶好の青いオーラにノリながら
赤い瞳の見据えた絶対的の果てへと
最速で
ただならぬ雷剣を────────
剣士と剣士、暗雲に煌めく名のある剣と火花を咲かせつづけ、お互いの存在を確かめ合うような激しい打ち合いは終わりを迎える。
幾多の銀色の切先の星をついに見切り抜け、
全力の水剣は胸をかり披露された。
銀の鎧を纏うその身に受ける水色の刀傷を、剣聖の男は片手になぞる。
銀色の瞳は見つめる、惜しみなく放った銀星をついにくぐりぬけ秘めた刃を披露し浴びせた目の前の赤髪の剣士を。
斬られてもなお泰然とした表情は動じず、銀色の剣聖は最後にもう一度しずかにその意味を問うた。
「剣とは」
「ある奴は絶対的の果てだと言った、だから私は自己満足の果てを目指している──もはや折れようがないとよく知った」
「──若いな」
「私には今これ以上の剣はない、だが、まだまだレベルを上げ知りたいことがたくさんある」
「──あぁ見事だ。誇れ、お前はそのままゆけばいい…おまえの果てへ、共に────」
銀の剣聖はおおいに微笑った。
結末を迎えるとは思わなかった──傷跡から爆発するように流れた水と銀の煌めきに、唖然とした赤髪は濡れていく。
天から降る雨は、恵みの雨というよりは、
銀色に輝きを放ち虹を描いている。
唐突に終わってもなお銀色の剣は負けじと先をゆく。苦笑いをするしかないような銀色の雨にうたれながら。
「剣聖…まだまだ先は長いな────フッ…」
銀色の剣聖と赤髪の剣士。何の因果か巡り合わせた2人の剣士。剣と剣をかさねて認め合った2人、最後に披露された銀色の道しるべは高く天に煌めき、ムスイはそれを見上げて静かに黄色い鞘に秘刀を仕舞った。
▽▼
▽▼
唸る剣と剣は、強敵を打ち倒した。
ステージ間の渦を超え────駆けてゆく、荒野に隣り合わせ……並走する足音が近づいてゆく。
「ひとつ、討ち取った」
「こっちも、絶対的」
「手を抜けないなかなか使えるやつだった」
「こっちも全力、なかなかな!」
「──海都と女子高生は」
「つよい、大丈夫! この道をついでに会える!」
「フッ、同感だ」
「んや、夏ちゃん大金星」
「何を言っている、こっちは剣聖だぞ、私が倒した」
「こっちも拳セイッてかんじ!」
「小物だろ」
「んーや絶対大物!!! 絶対存在!!!」
「なんだそれは……急ぐぞ。まだヤツにこの一世一代の剣を浴びせていないんだからな」
「あぁ、このちょーーし新生夏ちゃん、秘刀秘技でボーンクイーンをぶっ倒す! 絶対的にぃぃ!!!」
タイミングを共にする赤髪と青髪はボーンクイーンの首を目指して、スピードを上げていった。
▽
▽
ボーンブロックコロシアムにカタカタと骨がきしむ大合唱と歓声が鳴り響く。骨のドラムの演奏リズムと実況ホネズナーの煽りがこの催しの熱を絶やさない。
「がんばれがんばれー負けるなーてくにかるすっぴんつきやなうーらんいい音してるよーー!」
さらに、人声。両目を閉じていっそう高い賓客席から身を乗り出す若いひとりの女の熱ある応援が、剣を握る月山の耳まで届いた。
「って誰え!? それわたし!?」
「オウオウオウオウゲスト席にはかの国の第七王女。好きなものはたたかいの音の音フェチ、好きなファイトスタイルは暴力装置、わかりやすいからぁー! ダソウヨ」
「なにそれ…なんで人が観戦してんの…ッ【テクニカルスピン】いつ終わんの!」
拾い集めた骨骨を、剣先で砂地に描いたサークルで囲った。月山の描いたサークル内に積まれていた骨は、全て高速回転しながら前方に散り飛んでいき、いつまで経っても湧いてくる挑戦者である骨の兵士たちを機転の効いた骨の弾幕で一掃した。
「おつかれまんもすナナナイスうらちゃん!!! って言いたいもころだけどぅ~……なっははは普通にもっこり死にそぉーーーう!ざうるすっ!!! あ、カメラは生きてるららラッキーごほんッ…はいダンジョンお姉さんです、
ダンおねが栃木のホームセンターで買った安全帽に取り付けたAIカメラはその光景を捉える──
ティラノサウルス。
ガラララと重い音をあげ格子牢が上へと開き、骨の調教師にリードをされて入場してきたのはウェザリングされた恐ろしい白骨の竜。
解き放たれると、くつわを解き、顎首を振り回してリードに繋がれていた調教師を投げ飛ばし砕いた。
「って撮ってる場合じゃないでしょーー!! 恐竜でてるううう」
「ははははは博物館に売ったらおいく…あれ? ウラちゃん? その目の色ダンおねと被ってね?」
くるり癖のあるプリティーな茶髪をおでこにかきあげて、ダンおねはうら若き黒髪ストレートの女子高生とじーーっと瞳孔の奥まで見つめ合う。
「どうでもよくなく今そこじゃなーーい!!! 【Sショット】!!!」
「うわっ!??なんで撃ったのおお今ダンおねぬえええええ!!!! ダンおねの腰に変なブロックが突き刺さってるうううううちょちょちょちょーーー味方味方ダンおねミカタ!!何してんのウラちゃん!?? どんな斬新なツッコミ!??」
「説明は後! たたかって!!!」
「いやいやどう考えても説明は今!!! ダンおねが○ゴになってるうううううもうこんなカラダじゃ彼ぴとセックスするときもゴツゴツ当たって邪魔でお嫁にイケナイんんんんんんえええええええ」
「うるさいっ!!! 【テクニカルスピン】!!!」
「あっはい。年下JKに叱られてレ○になってもダンおねはぁぁたたかァァう!!! あれ、なんか身体軽いな。若返り? なははははだーーーーーーんじょんっ★」
暴れるティラノザウルスの骨獣を相手にも、青い瞳のコンビはよりチカラを合わせる。
死ととなり合わせでもめげず、オーラを元気に弾けさせる。
この逃げ場の見つからないほぼアウェイの闘技場で生き残るための闘いを続けた。
「2体!? ちょっとお!?」
「にゃははは親戚かな? となり町の博物館!」
また格子状の鉄門が開き、ティラノサウルスが2体に。
頭部ひだりにピンクのリボンをつけたティラノサウルスのラテは急遽追加参戦した。
「オウオウオウオウ、粉骨砕身孤軍奮闘するティラちゃんが可哀想なのでじゃじゃんとペアにしてみましたーー(ティラとラテおぼえてね)」
大きな白骨獣2体が顎をかっぴらき、一度死してなお、空気を震わせつよき生命を誇示するように吠える。
2人対2体
見合わせた──何故か半笑いの青天と、眉に皺を寄せ細める荒れ模様のマリンブルー。
ダンおねと月山、青い瞳のコンビは頷く。
2人対1体のときはじょじょにじょじょに隣り合わせに息を合わせ優勢に試合を運べていた。しかしさっきまでのペースと戦いぶりを考えてダンおねも月山も頭に描き当てはめてかんがえる……2体の巨大骨獣が相手ともなれば────
人おのおの一度にヤレることには限界がある、一度に考えることにも……。
うるさい吠え声が耳を通りすぎ、刻々と骨をきしませ過ぎる時に手に汗をにぎる。
極度の緊張を握る間にも、大きな対なる竜が牙を剥き動き出した────
「よーーしダンおうわぁっ!?? まぶっ!!!」
トツジョ、円形の地に熱帯びていた骨の歓声を砕き、横殴りに貫くまばゆき光。
降り注いできた桜色の雨は、ピンチを砕き麗しきを助ける──青目をいっぱいに見開き映る、既視感。
「ダンおおおこれはぁ!! これはぉもやしのもしやぁぁあ」
「────っす…月山さん…!」
「──ら、楽天くん…!!!(え、いまのかっこよすぎない?? ちょっとぉ……)」
月山の目の前に舞い降りたのは、煙る純白の盾をたずさえた同じ緑ブレザー、その背。苦笑い気味に振り向いたのは、彼女の助けねがう妄想を超えてきた…カッコ良過ぎる登場を果たした1年D組同クラス、楽天海都であった。
「だらぁァァァァァァ!!! 【ゔぁミリオン†マーズクライ】!!! ギャンギャンボギボギ喚くデカ犬が自分の尾骨とちんぽしゃぶってしんでろおおおお!!!」
海都と同じく潜んでいた黒い修道服は骨に埋め尽くされていた客席を薙ぎ払い、──急襲。
黒十字架にノセられた黒雷と赤星の闘気は燃え盛り、ただオーラを散らして敵をその聖職者にもっとも相応しい巨大鈍器で殴り潰す。
赤黒い旋風となりぶんぶんと、海都の盾拡散レーザーで砕け切っていなかった2体のティラちゃんとラテちゃんもろとも凄まじい膂力とスイングスピードで粉砕していく。
「かっこいって…アレはなに……」
「シスター…っすね」
「み、味方なの…」
「み、味方? っす? ね…」
「ヤバくない……? シスター服きた雷先生だったり……しないよね…?」
「いやちがうかと……あっ!それよりっ回復を!」
「あぁー、それならまだダイジョブだから」
「え? そすか? さすが月山さん……もしかしてぇ」
「いるからッ!!!」
「え、え??」
「そもそも楽天くんや雷先生がかってに居なくなってるからァァ、ほんとどこ行ってたのおお」
「えっと…俺もなんかはぐれててェ…ガライアの女神石像の──」
「って楽天くんそういえばさっきの大関級のゴッチャビーム! 観客に打ち込んでどうすんのさっきの!?(何人か死んでない!? 骨だけど)」
「ええ!? あぁ!? そっ…すね!?(観客とかあるんすかね…たしかに…と、闘技場?? これって?)」
「そっ…すねじゃないんだけど……ほらやっぱり来たあああ──もうっ……ちゃんと守ってよね」
「了解…っす!」
「にゃははは死鳥舎くん、ナイスここぞの白馬の王子っぷりぃ! それはとってもとっえもいいとして♪ダンおねだよダンおね無視しないでダンおねをっダンおねをプリティーで麗しきダンおねを守りたまえー」
「何回言ってんの! 楽天くん、守るのはこっち!!! 遅れたんだから前で働いてよねっ!」
「えっと…あはい!
月山と海都+ダンおね。
そうこうハプニングに見舞われたお互いの状況を語り擦り合わせるうちに──
暴れに暴れた黒十字架はティラちゃんとラテちゃんをピンクのリボンがひらひらと一本舞い落ちるまで……平らげ。
海都の放った拡散ビームとシスターの暴力っぷりに巻き添えにされ、怒った骨の観客が次々四方八方から円形劇場のステージへと飛び入り乱入してきた。
「なになにシスターぁぁ?? あっシスターと誰ぇ? あはははすっごーーーいバキバキぼきぼきぃぃーーー負けるなゴーゴーシスターずぅー!!! しすたーシスターおっそーーーいおはようさきに外で待ってたよーーあはははーーー」
骨の観客に1人混じる、少女の明るい肉声、一層大きいひとりの歓声がシスターの冷えた耳の鼓膜に響いた。
見慣れた姿。目を閉じ落ちそうなほど身を乗り出している黒いローブの少女を見つけたシスターは、腹底からかきあつめた怒声をかき鳴らした。
「チッ、クソガキ王女やっぱりいやがったな。おい!!! そこから降りてこい第七のガキィィ」
「えぇーやだやだまだまだいけるいけるシスターずぅーぼーりょくそーちぃー!!! なんかバキバキ過去一いい音もりあがってるうーー!!!」
「クソガキィィクソ第七王女ぉぉ!!!」
高みからかける元気な声援と、見上げ睨み放つチグハグな怒声の応酬が鳴り止まない。
「みっ、味方でいいのよね【I字ランス】」
「【策咲クレープ以下略】──いちおぅ…今はきっと味方っす…!」
「あひははは十字架が武器の吐信映えするバトルシスターゲットだぜぇ! いくよせーっの、だーーーーーんじ」
「お前ら全員イマから説教だ、ダラァァァ!!!」
『オウオウオウオウ過去一盛り上がってきたところだァァボーンブロックコロシアム野郎どもこの流れにノリたいヤツは全員かかれえええ!!!』
ボーンブロックコロシアム、熱気の冷めやらぬ異質の空間で。
観客を飽きさせないように起こったのは乱入につぐ乱入。
ダンおね、月山に海都、シスターを加えて、技と武と骨の応酬。
豪快に小気味よく骨の砕ける音と勇ましい武を奮う風の音は、かの国の第七王女の両耳を悦ばせていく。
▽
▽
「はは、」
一方こちらもコロシアム、円形劇場にて熱き戦いの催し……ではなく1人劇場。
道中エンカウントに次ぐエンカウント。土から現れる骨のヒトや魔獣を珊瑚柄の剣で撫でるも、なかなかの終わらないお邪魔要素に行手を全力で塞がれ部室魔王城へとまだ辿り着けないでいた古井戸神子は。
「あぁなにかとおもえば鼠ーハウスのときとデジャブる古井戸神子、はは、どいつもこいつもコツコツのホネホネも持久戦はやめてほしぃんだわ、はは、骨の折れるえいやっ、はは折れた、」
いくら磨いたその剣その技、天に近い神牙流道場当主代行の剣士といえど、ひとり。歴史に名を残す剣豪も1人で楽に数多を制する者などいない、常に優秀なお付きの者がいたともささやかれている。
だが今は1人、道場では味わえずダンジョンにて命をおき深々と味わう……課題や弱みが丸裸にされていく。
「ひぃふぅみぃぷぅ……あー、どーしよーかなぁ。古井戸神子も教習所でドライブテクがせいちょーしたとかんがみてどっちがねんぴでお得か? あぁーはは、──まいやいっちゃえド神子。んじゃ、神牙流秘刀秘技──」
指折り数え首かしげ、意味ありげに数えた指を虚空にぶん投げた。
わらわらと向かってくる骨の脅威を眼中に入れ、目はまたその先に、
真っ直ぐ見据えた城門に向けて、構えのばした切先の先は、明るく発したオーラを伝いにつたい……果てまで熱く煌めいた────。