雷夏先生とゆく、緑蜜高等学校ダンジョン部!!! 作:山下敬雄
(ひぃふぅみぃぷぅ……このままやけてるっぽいRCFでホネホネ道場の拭き掃除する感じでスキできそ? いやぁーー、ほねほねほねほねほねっほね、はは。んあーー、□のド神子セクシーが1回として、温めてさんか)
「おっと──△おにぎりはピンチ」
突如天から降り注いできた巨大親指と人差し指を斬り捨てた。
燃え盛るオーラを一瞬纏うド神子の剣は、天から踏み下ろされた巨大骨の左足その指を赤熱切断し凌いだ。
そして、勢いそのままに足骨格を抜け出し前に出ようとしたところに骨草が殺到。
RCF、ライジングクレープフィールドの防御ボタンを押しこれに対応。邪な骨の発生を聖なるクレープの敷物で抑え、さらに敷物枠外から成長し曲がりド神子に収束するように伸びてきた鋭い骨草を白い雷でロックオンし迎撃。
「フッフ、企んでおろうが手は抜かんかようにな」
「【RCF】────、はは、ちょっと手洗ってきなよ、骨か…はは」
攻めようにも一筋縄にはいかず。
ド神子が防御を解き、攻撃の割合を10や20増やそうと始動すると、ボーンクイーンは上手く隙をついてくる。さらに意図してか炎のオーラを使わせて、ド神子の赤蜜のクールダウンを遅延させる。
4つ体内にあるド神子のエンジン心臓部であるド神子スイッチ、炎オーラは今現在ド神子がなんとか顕現させ扱える赤蜜と紐付けられている特別なオーラ。
クリティカルショットを放つ際にも多分に必要なのが炎オーラであり、クリティカルショットは今まで刃に纏う近接そして差し迫るピンチを経験することでしかまともに使えないのが課題であった炎オーラを無理くりゴッチャビームと海都の盾拡散ビームを参考にド神子が独自アレンジしたものである。
ド神子はボーンクイーンの繰り出す骨の技の強度に合わせて引き出さざるを得ず……どちらが先に音を上げるか、それとも企みを成功させるか。
決する時は刻々と──流れる汗、疼く骨とオーラと共に。
古井戸神子の実力を認めその確かな目で見極め…入念に下ごしらえし唱えた【
【クリティカルショット】をこれから持ちうるスベテの技で……虎視眈々と計算し狙い続ける、この不利なフィールドにも仲間の技で対応しつづける古井戸神子。
女王と剣士、勝利の天秤がどちらに傾くかは未だ知れず。
▼
▽
剣を地に突き刺し白い敷物を広げていく。際限のない骨草を刈り焼きながらド神子はふたたび、指折り数えニヤリ……けいさんする。
「【流水陣】────……おい寄るな、自力でやれ」
「はははムゥちゃん、水臭い! じゃーこっち!」
激しく流れ続ける水色のシートからバチバチと轟き続ける白いシートへとひょいと青髪緑ジャージは元気に飛び移った。
「はは、らっしゃい、あっちのいもうとの部屋より広いよ」
「んーたしかにこれはカイト生徒の…んやんやド神子! 夏ちゃんを差し置いて勝手にボーンクイーンとおっ始めてナニやってんの! まったくぅー駆けつけてみたら1人で骨骨サンバしておっかしぃぞぉー、絶対的にぃ【夏ちゃんヨーヨー!】」
「はは、なんか夏ちゃんたち迷子だったからさ、はは、まいっかたのしそうじゃん、って、ホネホネサンバほーねほねっよっと【RCF】」
「はぁ…まったくだ当主代行、それでっ、これはっ! 既に気色の悪い…術中のように思わしくないように感じるが!」
「あーー、なんか地に足つかないっしょジャグチ。ネタバレによるとこの部屋、全て骨骨まんの骨のカラダらしいんだわ、はは、だからびょんびょーーんって好き勝手すね毛ぼーぼーらしい」
「なるほど…それで」
「あーーははそれでね。もうかれこれ10ぷん、飽きたからさ、ピクニック前に言ったとおり──できる? なんならヤッちゃっていいよ、はは、」
途中参戦した雷夏とムスイの2人は目をまん丸と見合わせて、またド神子を見た。
古井戸神子が素直に雷夏とムスイの2人を頼った。
それだけで──赤と青。2人の神牙流道場の弟子は湧き上がった。
「無論…!! 無論だ当主代行!!」
「おーー絶対的お弟子、雷夏ちゃんにまかせろォォ!!」
「はは、良いね、じゃー今から1分──まかせた天然と天才!」
数えた意味のない指折りは、ふたつ笑うグーにして────
顕現させた黄色い鞘から、妖しく煌めく剣は引き抜かれた。
水陣を一層拡大し敷きながら熱ある意を決した赤髪の剣士ムスイは今、骨草の道を駆けて行く。
「フッフ我ボーンクイーンの心骨は時空をも朽ちることなく支配する、あらゆる世界あらゆる剣士…ふふ先ずは貴様らを全て我の膝下に屈服させ一度死を与える、しかしそれは仮初の死であり死ではない始まりだ! あらゆる時と時代を移ろいながら芳醇なる生と死の間を共にとこしえに歩もうぞ我完全なる骨と天秤を持つボーンクイーンの下でなハッハッハ!!!」
「骨が時空を剣士を支配するだと? フッ。たった一度の剣の道を銀色に朽ちてやがて高々な星になる、託し託され! 剣とは!」
「朽ちる事のない骨を求め我の下に強者は集まる、才ある者に相応しい死などはないフッフその命と骨を託すなら我、我が時空を剣を天にあまねく才をスベテをいただき導く!!! 【骨膜Ⅴ】──【
ボーンクイーンは限界を感じさせぬ際限なき心骨の正体をついに一つに束ねる、完全顕現した巨大な餓捨髑髏は地を這い。
剣一本でむかってくるムスイへと向け巨大なされこうべは雄叫びを上げた、目一杯行使して耐えている流水陣の防御スキルごともみくちゃに押し潰そうとシャレにならない骨草の大魔法が湧き上がる────
「おっとかきまぜてっ♡【RCFクレープパーティー】、はは、毛布くんとじっくりやいたパーティーだよムスイ、ヤレ──」
地に刺していた剣はぞんぶんに白い地をかき混ぜる、そして見つけた今までド神子とボーンクイーンが戦いつづけた綻びに聖なる技フィールドを次々と発生させる。
心骨の劇場は、骨より白く輝くぽこぽこと焼き上がる数多の白いクレープフィールドに彩られていく。
「なにっ? 我の心骨の劇場の支配に穴を…!」
ボーンクイーンが企むようにド神子も密かに土壇場で閃き、然るべきタイミングで大技のお邪魔をすることに成功。
邪悪なる巨大な骨骨はきしみ良い悲鳴を上げる。
「花火、星、爆発、爆発…いや…ヤル…神牙流一世一代────【
悲鳴を上げながらも向かってきた巨大な右ストレートを秘刀黄蜜は斬り裂いた。
裂かれた刀傷から、ムスイの中、刃に込めて…今か今かと
まさに溂溂と爆発する全てを穿つ水の牙となり────
「時空はぶち壊す!!!」
一世一代の水牙は、右ストレートを真っ直ぐに穿った。
聖なる光に晒されて、水牙にその手を穿たれて、顕現したばかりの餓捨髑髏は邪悪なる勢いを大きく削がれた。
赤髪の剣士が爽やかに微笑い──水飛沫、銀色の雨降り
「ッ──おのれッッ!!! この速さッ!? 獣がァァ!!!」
半壊した餓捨髑髏から分離させ叩きつけたのは両の巨足、足裏で踏み潰す天から打ち下ろされる足技のラッシュに、
牙を剥き出しに笑う青い雷獣の勢いそのスピードはジグザグと止まらない。
ついに真正面、青髪赤目は黒髪赤目は見つめて、
「神牙流秘刀秘技──【
「ナラン!!!」
巨大な両足は拍手し合わせるように、目の前のただならぬ刃構える景色をペシャンコに押しつぶす。
手ごたえ足裏ごたえはバチバチと……痺れる骨の振動音と青いオーラの残り香をのこして。
餓捨髑髏の左の巨手はボーンクイーンを包み守ろうと────真横、握るスキマのコース、骨のドレスのターゲットを掻っ攫うのはとてつもなく速い青い雷光。
「──【
青く、青く、青く、秘刀名刀緑蜜のオーラブレードは骨のドレスに十四を刻む。
雷音唸る黄色いスーパースニーカーは、その轟く獣足で最後に悪を打ち上げた。
「グヌゥゥまだまだ獣がこれしぎゔごっ!!?」
夏の斬撃は花火。
その威力、遅れて咲いてくる。
「ははは、時空は絶対的ぃぃ!!!」
女王の骨身があらぬ方に捩れるほどの青い青い雷オーラが宙に咲き誇る。
「させんんんんんっ!!!!」
骨膜の白ドレスをバラバラとはしたなくもがれようと、ボーンクイーンは遠目の地にただならぬ切先構えるヤツの好きにはさせないと叫ぶ。
遅れてきた雷夏の雷属性オーラにその身の集中を乱され、保てず崩壊しつつある餓捨髑髏。
いくら想定外の大技の連続に乱されようと心骨の劇場の支配はまだボーンクイーンに。
突如、大きなされこうべの目は赤く妖しく灯り、しなやかな背骨を体とする蛇となりて黒パジャマを襲い噛みついた。
巨大な白蛇に蹂躙され荒れゆくステージ、引き攣りワラう心骨の女王の目に映る────
砕いていたのは黒い布切れを纏う、□オーラでつくるド神子ピース石像であった。
「はは骨と石、まちがえるなんてざんねん、いくよ、神牙流秘刀秘技────」
地上死角から天真上へと構え直す秘刀名刀赤蜜その切先、
「ぬかせっぬかせええええええ!!!!」
「【クリティカルショットおおおおおおお】!!!」
掲げる切先の先に迸る赤い閃光は、開眼見据える邪悪なダークガーネットの瞳へと吸い込まれていく。
「時空は超える!!!」
「────までもないんだわ、はは、」
決着。
最後に天と悪を貫いたのは、熱い熱い炎のオーラビーム。
心骨の女王ボーンクイーンと、神牙流当主代行古井戸神子の戦いは、途中参戦した雷夏とムスイ2人の助力を得て、白煙たちのぼる勝利の剣を今そこに掲げる。
神牙流の三つの剣。秘刀秘技、一世一代の大技は余すことなくボーンクイーンへと披露されたのであった。
ふたつの剣がほっと息つくひとつに駆け寄っていく────。
『地獄へといざなえびーーーーむっ!!!』
海都は月山を庇った。
海都の構えた緑の強化ベールに包まれた白盾は髑髏マイクの口から放たれた赤い閃光を、赤く染まり焼けながらも──受けきった。
純白の盾がしっかりと約束と役目を果たして、オーラを練り上げた月山の頭上にぬるりと浮かび上がった〝L〟字ブロック。
「【ゴッチャLーザー】!!!」
黄色い閃光は、L字から伸びゆき──そのまま描くL字のレーザーとなり瞬く間に標的に光り到達。
ぼんっ!!!──っと爆発するのは骨ズナーあらためリッチになっても命よりも大事な商売道具の髑髏マイクステッキ。
「マイクならここッ【グラビティJステッキ】!」
「オウオウオウオウあ、どうも、──ん?」
トマホークのように投擲された黒いJ型のステッキブロックは、リッチの右の肋骨に引っかかり──それをありがたく摘み受け取ろうにも引き剥がれず。それには強力なオーラと今まで溜めたプレイヤー月山のスコアを込められている。
「オウオウオウオウなんだなんだこりゃ!!? オウオウッオレは磁石じゃぬーモグもがガガガがががぁ!??」
【グラビティJステッキ】に込められた共通概念はあまたの隕石を引き寄せる地球の320倍ある、それぐらいこわいチカラを込められた木星の引力。
闘いのこの場は円形劇場ボーンブロックコロシアム、月山の眷属ともいえるブロックんたちが築きあげたステージ。コロシアムは続々と分解されていきリソースとなる。襲い掛かり規則を持って積み上がるブロック群が、喋る巨大な骨人形のスカスカの隙間を、落ちものゲームのように埋めていく。
「なんだってそりゃもうッ【テトマズ】!!!」
天から出現した特大の赤い赤いMarsブロックは、ブロックに埋め尽くされ首だけ上のされこうべ、その黒い節穴で覗く骨顔に──降り注ぐ。
ヒビ割れたブロックに整頓された地にふりそそぐM字は到達し、一気に積み上げた全てのブロックを焼き払った。
ごうごうと燃えて一瞬に消え去る。消し炭と黒い更地だけが、やがてそこに残る。
「ハッ、なんだこりゃ今までの
最後に砕けず降りてきた黒い十字架のブロックが真っ直ぐに、骨を消し去った更地に突き刺さる。シスターはとりあえず綺麗さっぱりになった墓標のソレに適当な祈りをささげた。
「月山さんっ! えっとぉ……おつかれさま! だ、大丈夫?」
構えた盾で礫と風をしのぎながら……振り向いた海都は色々言いたいことが多く何を言おうか迷ったあげく、彼女の身を案じるその一言を選択した。
すると月山は聞いたそのたった一言に、彼の顔を見合わせながら安堵の息と出し切った疲れ顔に笑みをつくった。
「ハァハァ……ん……ありがとう楽天くん…」
立ちながら少しふらつく月山の体を左脇から海都は肩を貸し、支えた。
そしてまたべたつく汗かく2人は横を向き合い、恥じらいつつも笑い合った。
「うーーらちゃーーん! すごいじゃんすごいじゃん何あれ何あれーーぷ○ぷ○? パネルでぽ○!? ドクターおでんくん?? ねぇねぇねぇえ!! はいこちら現場リポーターのダンおねですッッ今日の勝利者いんたび────────」
右脇から支えカメラを回すダンおねに、引き攣り笑いながら月山は謎のインタビューに答える前に水をくれと要求をした。
構成するブロックがところどころ抜けた歯抜けの観客席からシデンレイラは生徒たちを見守る。
「〝テトマズ〟──月山雨楽楽の共通概念はそのほとんどがレトロゲームのテトマズをなぞるもの。ということは私シデンレイラのスタイリッシュオーラや幸運オーラのように、同じく戦闘をスコア化しスコアを多量に稼げばブロック全てを一掃するMarsシステムや【ゴッチャLーザー】【グラビティJステッキ】なる強力な彼女オリジナルのスキルチップ技を次々と解放して使えるようになる……。そう、設定された共通概念によるより高い次元での自由の解放、見事にブラッシュアップされた彼女が彼女がプレイしやすいよう戦闘用に独自アレンジした最新版のゲームテトマズと言えるでしょう。戦闘が長引くほどにそのスコアは増し、スコアをオーラに変換肩代わりすれば底知れないチカラを生み出すもの…まさにハマったときの万能色の神髄、そして見事な連携プレイ」
「表裏色と万能色のオーラは相性がいいということで、私がアドバイスし教師らしく教えれることは多いものでしたが。これはいずれ、教えられる日も近いのではないのでしょうか? というかもうどれもこれもクセありスペシャルな生徒たちには……岬麗、シデンレイラ…多分に教えられていますがね、私も常にどこぞの最果てではありませんが最新版を目指しているというところでしょうか? ふふ────」
観客席をあたためていた尻をあげたシデンレイラは、ボロついたマントをはためかせ生徒たちのいる円形劇場へと颯爽と飛び込んだ。
「あははははーーーーてくにかるすっぴんつきやならっら~~てとまぁーずぅ~~! だんだんだだだーーん!!! いいおとっいい音してたよーーシスターよりぃーーあはははは!!!」
「どこからどれがわたしの名前かきいていい…?」
第七王女はいたく此度のながいながい闘いの音を、飽きずその耳に楽しんでいたようだ。
▽
▽
牛頭梢と素体を借り復活した小谷螺夢は────
荒れたラボ内の瓦礫に埋もれた助けを求める呼び声を引っ張り助けた。
「ふぅはあぁーーー。助かったわありがと……────やっぱり変なきぶんねぇーー」
礼を言い話す彼女は目の前の小谷螺夢を見つめ、心ここになしでぼーっとしている様子の銀髪の集団をキョロキョロと眺めた。そして目の前の2人につづける。
「どう? それでもうくたばった? あの男」
「ちょっこし? くたばった?」
「くたばったねぇー…ついさっき」
「ほんとのほんとに?」
「ほんとのほんと、にぃ?」
「ほんとのほんとだねぇー…」
「んっっっっっしゃーーーーーーーーーーーー!!!!!!」
いきなり腹の底から叫び出した銀髪の美女にビックリマークとクエスチョンマークを両方浮かべる牛頭梢と小谷螺夢。
「あーーーー死んでくれたぁぁぁ解放ぅぅぅ!!! やっほおおおおおおおお!!!」
「やっほーーっ、ははなに」
「やっほーー、なははなんだろ…」
「あなたたち特殊部隊? 魔衛兵? 剣聖? わかったわかった言えない事情があるのね? わかるわ王族や財閥の令嬢の主催する堅苦しい舞踏会にも何度も呼ばれたことがあるんですもん。なんでもいいなんでもいいわ、とにかくとにかく助かったんだからまずはそれを祝いましょう。あっ、水ある? ────ぷはぁっ…ふぅー、あーわかってるわかってる、久々に生気ありそうな人間と喋ってるんですもん、滅茶苦茶私はいま鳥のようにさえずりつづけていると思うけどそれは仕方ないわひとつの咳払いすら堰き止められていて止まらないんですもん、でも上手かったでしょ?あぁーーーっ喉凝ったぁーー、あ、喉凝ったってのはね最初に助けられたら言おうと思っていた表現なの喉、こったことある? 私って素材だけですんごく可愛いからあんましゃべんなくても相手が必死でしゃべるからさ、わかる? それでさぁ、なんでこうなってるかっていうとねインテリ大学の男子との飲み会でねそれはもうなんか、あー、わたしってすんごく可愛いじゃん? ねぇ同じ顔してるあなた、──うんっそう鏡ね、やっぱかわいい。それでね興味本位でねそういうことを言ってみるわけ、だって色々タンポポを愛でるようにハグした男が綿毛になるまで待つのも一興でしょ? わたしって街並みを歩いてるだけで様々惹き寄せちゃうから真剣交際なんて不義理でしょ? だから全部タンポポからスタートにしてあげたの男なんてそんなものでちょーど良い感じにアピールしてくるから、それでわたしがふぅーーーって吹いてどこまで飛ぶかを──────とにかくクソ野郎がくたば────────」
「「もしかして…エリア・マナハイム?」」
あまりにも長く喋りつづける銀髪の美女に、耳打ちせーので声を合わせて牛頭梢と小谷螺夢は、ひとこと、さえぎって問うた。
途切れた話の間に頷いて、また一拍置いて喋り続けた銀髪の美女。
顔を見合わせた牛頭梢と小谷螺夢はまた話し相手の顔に向き合い。大人しくエリア・マナハイムなる人物のどうしても喋りたい話をきくことにしたのであった。
久々の生の人間相手に、長らく噤んでいた感情と解放されれば誰でもいいから話そうとおもっていたエピソードトークをエリア・マナハイムは表情感情鬱憤さまざまにまじえ2人に語りつづけた。
白骨の栄華を極めた異世界の骨の女王は、地球の剣士の放った紅蓮の閃光に散った。
貫いた天から謁見の間を照らす明るいスポットライトが差し込む。
その光にかがやいた剣の元へと駆け寄るムスイ、雷夏。
「当主代行、もう当主と呼ぶべきでしょうか?」
「はは冗談とヘタな敬語はやめなムスイ、代行は永遠に代行だよ。で、イッセイチダイってなに? そこだけ完璧じゃないよ、はは、」
「そうだぞムゥちゃん、ちゃんと神牙流秘刀秘技で合わせないと! 一緒に修行編をしたというのにぃ、裏切りかぁ?」
「何を馬鹿を…はぁ…私の勝手だろ。フッ。そんな事はどうでもいい、骨が焼け残って再生でもされたら厄介だ協力しろ雷夏」
「あははそだなー天才夏ちゃんの目にまかせろ、天然!」
「馬鹿いえ天然はおまえだ」
騒がしい2人は突っ立つ当主代行の顔を同時にみた。
「はは、そうだね。秘技を二発、さすがにちょっと横になるからまかせるわー、天然と天才。」
大の字で天光を浴びる。
悪を貫いた赤い牙は内にまた秘めて……闘いのぬくもりが体を伝う。
弟子ふたりに後片付けを任せて神牙流道場当主代行の古井戸神子は、わらいながら目を閉じた。
▽
▽
⬜︎ダンジョン部
記憶クリーニング除去装置を経て人体リサイクル創生装置により用意された素体。
おそらく研究と称してお金と自分の体を引き換え、あるいは悩みのある若者、あるいは罪人……あるいは……
長らく眠り浸すことで極限まで薄れた元の体の持ち主の旧い記憶と精神は、じかんをかけ変容した体の顔形と新たに外部から吹き込まれた記憶に見合わない。
そして空にちかく薄まった記憶と精神はあらたに宿ったものに主導権を明け渡す。
そのまっさらなよく似た器にエリア・マナハイムの精神、死の探訪をし磔にされていた小谷螺夢の精神もラッキーにも?戻っていた。
そう考えられる。
⬜︎
「これってぇ使っていい?」
「いいんじゃないのー、もらっとけば」
小谷は鏡のように向かい合うオリジナルのエリア・マナハイムに一応きいてみた。
返ってきたのはなんともあっさりな答えであった。
「なはは…」
「でさぁ、はやく外に連れだしてくれなぁい? ここもういたくないんだけどカビ臭くて辛気臭いじゃない」
「といっても、ねぇー?」
「ちょっこし、ぎんいろ多すぎ?」
「なはは、だねぇ…」
「だからだからそれも使えばいいじゃん? むしろ影武者がいっぱいいたら助かるでしょ。いいよ、全員私の美しさをかまわずあげるわ。世界にわたしみたいな美女がひとりだと好きな服も靴も帽子も着きれなくて不便じゃない? すぎるがゆえにこんなことにもなっちゃったわけだし? さてさて、クソ野郎から解放されたし焼きたてのパンが食べた~い、さぁさぁわたし外の光に連れてって」
「なはは…そういうエピローグかぁー…」
牛頭梢と小谷螺夢はとりあえずエリア・マナハイムの荒唐無稽な提案を飲む。
固まり指をしゃぶりみつめる銀色髪たちを辛気臭いラボから引き連れて────。
▽
▽
ダンジョンに持ち込んだ機器DORAYAKIが示す敵マップの各地、骨の折れる戦闘を経て、イマ全ての四角い格子が青く染まる。────いつの間にか冒険にでた懐かしの面子が帰ってくる。
青い野の部室ステージで待つ明智マリアとチュチュンの元へと続々と。
「きいたぞ高位アンデッド…リッチを討ち取ったか。フ、女子高生」
「携帯…かえして」
「フ、考えておこう」
生還した月山はきちんと自分なりのハイスコア、まさにやることはやったので携帯を返してもらえるように赤髪の女剣士に即要求した。
男子生徒は見つけたにんまり顔の先生の元へと興奮気味に駆けてゆく。
「先生! やったんすね! ……ボーンクイーン!!!」
「おぉカイト生徒! んーやった! 夏ちゃん先生の大活躍でなっ! んんカイト生徒の方はどうだ? 途中ででくわした幹部級のひとりぐらいヤッちゃったかぁ?」
「えぇっと俺はそれがぁ……色々と運が良く…」
「青髪赤目、お前がこのガキの言っていた先生か」
「んや? そうだが♡なんだ新しい部員か? ふむふむ、ほーほー強そうだな!? どれどれ背はすいすーいっと」
「あ?」
「んや? 入らないの? 入るだろ?♡ダンジョン部♡」
「おいガキぃ……コイツはなんだ。他に話の通じそうなやつはいないのか。とっとと案内しろ」
「話と条件はいくらでも飲むぞ、何が望みだ、もぅ言っちゃえよー♡恥ずかしいのか?」
「おいっ、舐めてんのか大型犬?」
「夏ちゃんは犬というよりは、そだなー、猫ぉー! 猫の動きはダンジョンでも参考にさせてもらってるぞぉ! そうそう!」
「おい馬鹿女、説教だ、こっち来い!!!」
「おぉー、ちょーど入部テストもしたいと思っていたぞ♡ノリがいいな」
「話にならねぇ…もういい青髪赤目、お前は拳骨の方が効きそうだ」
「なんで…たたかって……」
彼の目に映るシスターと先生。出会って僅か1分で、十字架と剣を打ちつけ合い激しく語り合いだした。
▼
▽
あぶない骨の脅威を見事折りつくし、一転いつものような雰囲気を取り戻しつつある賑やかなダンジョン部室のダンジョン部一同。
しかしひとり。
逞しい巨椀に首根っこをつかまれ引きずられながら、青い野をゆく者がいる。
携帯を返すか悩んでいたムスイはふと目撃する。
得体の知れない赤い獣が当主代行の姿を片手に引きずる道の先に、急ぎ剣を片手に割って入った。
「ナッ!? 当主代行!」
「おーい、たすけとくれーー、はは、だれこの赤毛のあせくさおっさん、はは」
「おい止まれ! 貴様ナニモノだ!」
「お前らの中に世界一の〝絶対的〟剣士がいる、壊しがいのあるヤツがいると聞いたが、なんだお前? ハッハッハお前でもいいぞ?」
「チッ、こいつは…もしや……おい雷夏おまえ…」
「んや、あーそいつは絶対存在バウ! ド神子とやりたがってるみたいだぞ!」
「おいお前たしか赤い獣は倒したと私に自慢げにいったな? 言ってたな?」
「はは、夏ちゃんジョーク!」
「俺を倒す? ハッハッハできない注文だ。全員まとめて来い〝絶対的〟とやらを壊し尽くしてやる」
絶対存在バウ。
最速の雷に幾度うたれても、その存在を壊すことはできない。骨の女王ですら懐柔することはできない。
世界に現れたバグのような存在。
女王との決着後のもう一戦、赤い獣に絶賛片手に散歩されているお疲れの当主代行を助けるために……決闘のエリアを変え、雷夏たちは立ち向かうのであった。
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「わーうそーヤラレちゃったじゃんーしらない田舎勇者に骨がやられたー」
少女はレトロなコントローラーを片手に、少女がオーラ思考し同時に宙に投影した画面が青く塗りつぶされていく様を見た。
映る……広がる広大なエリアの一部、骨のテーマパークが鮮やかに染まり沈んでいく。
「ふっ、それぐらいじゃないとつまらん。種を蒔いたなら、徒花ぐらいは咲かせてみせろ。俺の世界」
「あはははーーなにそれへんなうたー偏屈魔王っぽーーいあはははーー」
城内に座す者はその席に脚組み、頬杖を突く。
用意された王座とはそれ程に退屈だ。
偏屈魔王はかるくワラい、傍のもうひとつのちいさな王座であそぶ参謀の少女には目もくれない。
少女はそんな偏屈魔王の膝上に飛び乗り、コントローラーを操りながら彼の顔をみてずっと無邪気に笑う。
「くだらない。いちいちそんなことで報告するな」
「あははーーだってだってぇだから楽しいでしょ?♡」
「くだらん。コスモスとかいう偽善に肥えた連中も」
「もーーそんな弱いのとちがうもーーん! 田舎勇者だよ勇者、そしてぇいずれ勇者連合! 魔王ならもっと勇者を応援しないと!」
「俺が出向けというのか、小指の骨ほども足りそうには見えんな」
「ちがうよーーー! そんなのすぐ死んじゃうじゃーん! 魔王が直接応援するなんてバカバカバカの脳筋ーーーーもう無粋なんだから魔王!」
「なら俺の通りにつづけろ。咲かない雑草は散らしてしまえ、俺を飾るのは強く綺麗なものだけでいい」
「あははは魔王っぽーーい! お姫様っぽーーい! あはははは」
少女が投影する世界マップの片隅の映像ログを見ていた魔王は、頬杖をついたまま座した肘掛に指のリズムを鳴らす。
そんな少女の声だけが元気そうに響き渡るおどろおどろしい内装雰囲気の城内で。
青い人間の戦い様を見つめる、シルクハット被りの青い存在が王座の後ろからしれっと現れた。
「青い髪とカタナという武器。ぷふふふ、バタバタと愉快」
「何を笑ってんのーーというじゃなくて刀だよ刀! 魔王もプリンもしらないのー? あははは日本の勇者サムライはかっこよくてつよいつよいよーー」
「いえ、つよいのはご存知ですよ。おもにハートの方ですが。ただ、種を蒔くのはやはり必要だと思いましてね。お互い」
「魔王とわたしのシーズと勇者にあんまり変なことしないでねーー暗黒魔将プリンあははは」
「しませんよ。──ゼリーなので」
大階段の途中で帽を脱ぎ、王座へと丁寧なご挨拶をする。
味わうように被り直した……表情の読めないゼリーは睨む魔王を背に去っていった。