雷夏先生とゆく、緑蜜高等学校ダンジョン部!!! 作:山下敬雄
▼骨の領域11▼にて
犬獣が鋭い鳴き声に鋭い爪で纏わりつき突き刺すも引っ掻くももがくも、その白セーターの女の見たことない身のこなしには当たらない。
「もっと全力でくるでぇーす、そな弱火だと変異チップの試運転にならないでぇーす、アクビガデルゼ」
「ゼェハァ……こっこのハイエダーツ様を舐めくさりやがって! このクソ雌獅子がぁ!! ダラらららららららるぁ!!!」
一度飛びのき後退し中距離から投じた、爆発性のオーラをのせたダーツが次々と突き刺さっていく。
──手応え、見ごたえ十分。
鮮やかに暴力的にぬりつぶし、爆殺した景色にハイエダーツは勝利の遠吠えをあげる。
「がルゥ――――――――ン!!! 俺色に爆ぜやがれクソったれのしょんべんがぁっはっはっは!!! はぁ!??」
それはなんだ、ありえない。
獣の眼が目をむきだし見たのは、全てのダーツが浮かび──全ての尖りが翻り、こちらを突き刺し見ているそんなおぞましい光景。
蔦のように伸びるセーター糸の一本一本にからめとられたご自慢のオーラダーツが、宙に浮かんでいる。
心地よさそうに爆風にウェーブする獅子のような金毛、ギロリと一瞬凄んだ金色の眼に──
「俺のダーツマインが馬鹿なありえぬハッタリだぁああああヲッ!?? ンブっ!??」
負け犬の遠吠えを封じるのは、やがて赤く染まる毛糸。
一瞬にてその身は赤くがんじがらめ、駆け抜けた獅子の足音すらハイエダーツにはわからない。
編みこまれたそのオーラは赤く色づき、熱く縛り、やがて燃えゆく炎となる。
「【不知火】のオシマイでぇーす」
爆風を背に、赤い糸は彼女の元へとかえっていく。
しゅるしゅると編まれていき、また元のセーターを形作った。
「ほじつはディーンスタークのコノハニョサクラヒメ、さいごのはソデスネ火種ぐらいにはなりまた、ゴッツァンサン──」
一本一本に編みこまれた類稀なるオーラ操作術と、
それを可能にするWASAが開発した変異武器チップのヴァリアブルセター、
そして曜日ごとに一味ちがう乱属性のオーラ色。
ハイエナを圧倒する金獅子の名はセリー・ヴェーバー。火曜日はお熱いようだ。
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▽
白骨の屍の転がるエリア。
巨大な化石の頭部やらにひそんでいた武装した犬人たちは、のこのことやって来た2人の獲物を取り囲んだ。
「我々はシぃぃズ! 貴様らぁここが誰のナワバリかわァァかってのことかぁ? ガルッハッハ」
「んや? ちこちこはしるシーズーにしちゃ鼻が長いな?」
「殺す! ナニカしらねぇがぜってぇ殺おおおおおす!!! ハイエース様が命ずる、野郎ども青毛と赤毛を斬り刻めええええええ」
「んやんや! ははは犬種と見当ちがいだったか(夏ちゃんなんちて)。ご挨拶よりそういうす速い展開は好きだぞ夏ちゃん!!」
突然ブチギレたリーダーの指示で武装した犬人集団は一斉に取り囲んだ青と赤の珍しい毛をさた人間へと襲いかかった。
「おい雷夏。任せてもいいか」
「んや?いいの? どしたー食欲がないのか?」
「いや、ただ骨より犬との戯れは気がのらんだけだ」
「はは、それは悪いが言えてる夏ちゃん」
「ハイエース様を二度も侮辱したしゃべる豚どもォォぜってぇ殺す赤雌豚!!!」
すぐに斬られた頼りない部下にかわり、リーダー自ら余裕をみせた剣を仕舞った赤髪に、ゴツい曲刀を二刀手に取り血気盛んに襲いかかる──が。
バチり、青い刹那の発光とともにソレは一瞬にて前に現れた。
「ンナっ!!? 青い野犬が死ねぇええええ!!!」
「止まって見える夏のシーズーとはこのことか、ふふふ────【
青毛へと振り下ろされた曲刀それはあまりにも遅く、剣と体に込め現を流れる雷電ソレはあまりにも速い。
寄りつくハイエナは纏めて、駆け回る雷獣の牙に噛み砕かれ、貫き斬られた傷から遅れて青い花火は乱れ咲く。
「野犬じゃない夏ちゃんだぞ♡!」
野犬と呼ぶにはあまりにも速い。
野犬どもが用意したスリリングなご馳走は雷夏に一匹のこらず食べ尽くされた。
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▽
雷夏とムスイは骨の領域7で待ち隠れていたハイエースたちをやっつけた。
ボロボロになったハイエースを筆頭に生き残った2、3の野犬たちは尻尾をまいて辛くもどこかへと消えて逃げていった。
「よーしもういっちょ追うか?」
「やめておけ。負け犬を棒で叩けど何も出てこん。いらぬ恨みだ」
「んやんやそれもそうか。しかしシーズーは誰でも名乗れるのかーもう少し骨があれば全力夏ちゃんのお披露目をしたかったんだがなぁ?」
「さぁな。おおよそ支配者のボスがやられたのを盗み聞きハイエナ行為にきたハイエナだろう」
「にゃるほどなーさすがダンジョンおもしろいぞーはは。しかし困ったこまったぞー。あったまってきたところだというのに、なんとも食べ方が中途半端になったなー(困ったこまったこま夏ちゃん)」
「フッ。そういえば──試してなかったな」
「おぉ、ははは! いいねぇー! さてはパワーアップした夏ちゃんにうずうずってヤツだな!」
「馬鹿言え、ちょうどいい壊せそうな壁がそこにあるなら ナッ!」
ハイエナだけでは物足りない。
敵のいなくなった殺風景なエリアで、次に牙を向けたのは────
眼光を飛ばし合う、雷夏とムスイ。
絶賛調査中のダンジョン道中であろうとお構いなし、オーラを滾らせてやまない己の牙でワラい構え合った。