雷夏先生とゆく、緑蜜高等学校ダンジョン部!!! 作:山下敬雄
栃木県緑蜜市の道の駅でもはやお馴染み。
クレープグレープグループの創作クレープの数々。
地元で既に営業している人気店クレヤマクレープのライバル店として、突如の春にあらわれた新参クレープ店も地元の住人たちに受け入れられてきたようだ。
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クレヤマ VS グレープ
夏の終わりの焼きそばクレープ対抗フェア!! やってます!!
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こんな催しまで────
本日も営業日、クレヤマクレープとクレープグレープグループお隣同士の対抗フェアは今日まで。
クレープの食べ比べで大盛況、道の駅の昼は活気を帯びていた。
そんな中、サングラスをかけた客が並んでいた客列に割り込み入ってきた。
この日店番の海都は注意しようとしたが、彼女は後ろの男性にサングラスをくいと下げ悩殺ウインクをし、男性はどうぞどうぞと道を譲ったようだ。
ちょっと季節外れなおしゃれのロングコートを纏った銀髪がゆったりと当然のように割り込みをする。
そんな光景はもう何度目か、苦笑いしながら海都は不問にするしかなかった。
そして優雅に割り込みした銀髪が店番のすごく似たような顔立ちの銀髪から焼き上がりの焼きそばクレープを手にした。
「ん──なにこれ。塩辛そうだから普通のにして。ひらたいパン屋さん」
「あぁーっと普通のですか。じゃあシュガーバターがおすすめっす! これ中が特製のバターソースになってて────────」
すっかり常連のエリア・マナハイムは店主代行海都おすすめのシュガーバタークレープを先程のフェア商品ととりかえて、隣の銀髪の店員さんから再度受け取った。
ラボにいた銀髪たちは顔の広い雷夏や校長の伝手で栃木の地にとけこみ、様々な興味を示したことをしている。マリア博士いわく感情の希薄な素体の彼女たちの好きなようにやらせるのは治療にもなるのだとという。興味を示した事柄は人類リサイクル創成装置で浸り薄まった元の精神と何かしら関連があり手がかりがあるかもしれないからだ。しかしこれは実験の実験ともいえる、あのラボの男がつくった装置と立てた仮説の再検証を行うという意味合いも……研究者のはしくれである明智マリアには興味のあるところであった。
ちなみに素体元となったオリジナルのエリア・マナハイムはそんな自分によく似た彼女らを影武者兼ファッションモデルにして、様々な服を着せて外へと繰り出させて楽しんでいるのだとか。美しい存在が自分の他に何人もいるのは案外便利であったらしい。
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緑蜜高校も、もう2学期。
夏の終わりをこえて夏のなごりのさみしげな暑さをかんじる学生生活がはじまっていた。
クレープ屋に学校に…部に、何足もの草鞋を履く楽天海都は放課後の廊下でまたあちらこちら最近どこかで見たような銀髪と出会った。
店にも銀髪、客にも銀髪、そして学校にも。
「なははー、そんな驚かないで、きみが楽天海都くんだよね」
「えっと、そうっすけど? エリアさん? それともエリミさん?」
「なはははは、そのエリエリ族じゃなくてね。私はちょっこし例外の、小谷螺夢──復活したって子しってる?」
独特ななまった感じでよく笑う銀髪はエリエリ族でもマナハイム族でもないという。たしかに海都の知る銀髪たちとはハキハキと話す雰囲気のちがう…スカート丈の少し短い女子生徒仕様だった。
そして彼女はなぜかひらりその場で一回転してみせ、自分のでじぶんのではない体を海都に見せびらかすような様子である。
「え? えっとたしか! 牛頭さんにきいたそのーーぉ……人ですよね!?」
「そのぉーーひとっ! なははは」
「え、でもなななんでこの学校に……?」
「それはね。あたしここが母校なの。遠い遠い母校なの。またイチから友達のつくりなおし? 何かとあってじぶんの部屋に帰るわけにもいかないし…そうっ、同じ図書委員ではじめてみるのもいいかなーーって? ウケる? この下手な語り? なはは」
死の探訪の海から見知らぬ肉体にとりつき精神が幸運にももどってきていた小谷螺夢は、遠い遠い母校の2年生図書委員のつづきを、同じ深緑のブレザーを身にまとって────────。
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この市でひとつしかない幼稚園の横には教会がある。
ちゃんとした教会はあれど職業シスターの者が不在であったそこに、おさまるべくしておさまった。
シスターライトは今日もまた熱心に祈りを捧げる。
それは元いた世界の仲間たちのことや、これまでのヤンチャな戦いの記憶など。
知らぬ土地の神に祈りながら……思い馳せてゆく────
外はドタドタと騒がしい。
祈りの時間よりも、最近は────シスターライトは教会のドアを勢いよく開いた。
子どもたちとはしゃぎまわる王女がいる。
彼女もまた新しい遊べる場所を見つけたようだ。園の先生たちからもどうやったらそんなに子どもたちに懐かれるのかきかれるほどに。
目の視えない彼女は子どもたちに手をひかれいたずらをされて笑っている。
「ガキが立派になっていやがる──ふっ」
シスターライトはその光景を見てわらった。
光射す庭で、どろんこになりながら遊ぶ……そんなふざけた平和に────────。
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異世界から縁あって来たる者があれば、はるばる西の国から勝手に来たる者もあり。
「こんなあぜ道まるで【夏下みゃおのネコど~ちゅ~♡】だな」
「
「あぁ? だまって歌え退屈でアタシの耳が死んじゃうだろうが。もっかい一番からな」
「もうムリ……ゲームボールアドバンツーも電池ぎれ…」
「ちょっとぉ、ジーナもサンも遊んでないでさがしてよ?」
「長女らしいこと言ってんじゃねーぞ、寄り道方向音痴やろうが。ハァまったくクソだりぃ」
「
「だから付き合う男もそのはた迷惑なヤジルシに四六時中ブッ刺されてろくな息してないんだろうが…ほあぁ……ねむったりぃ道…」
西から栃木へと、流れる水はマイ木刀を腰に差し、みどりのどかな迷えるあぜ道をゆく────────。