※この作品はR-18です。

雷夏先生とゆく、緑蜜高等学校ダンジョン部!!!   作:山下敬雄

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瞳色は恋ですか?

「オレが感じたのはどっちだ? 構えていた翼の女のニオイのほうか、それとも──あの細よわっちぃ卵が先か」

 

「青い雷獣に寄ってたかるのはどいつも頭の足りねぇ壊(イカ)れた馬鹿だな、砕けた骨より骨はありそうか? はっはっはっはっは」

 

青い野のひらかれし門前に突っ立つ……

赤獣の巨躯はどこぞから送り付けられた黒い手紙を破り捨て燃やし、

なおもしびれる巨拳を天に味わいながらかかげた。

 

 

 

▼

▽

 

 

 

天のつらら石から水の滴る音がぽつりと響く……。

やがて、ダンダンと、騒がしく────鍾乳洞内の濡れた地を、まっさらな白いハイヒールが泥を跳ねさせながら駆けてゆく。

 

水色の髪を乱しながら────

握る刀がない剣士は、しつこく追ってきた空飛ぶ貝殻を殴りつけた。

剛力を見せるも、貝殻はひび割れただけで無事。空中で姿勢を制御しながら宙返りし、元の編隊へと戻った。

貝殻を開きながら飛行し、貝殻を合わせ閉じて突撃を繰り返すモンスター〝貝蝶〟4体は水色髪の人間を息切らす程に協力して追い詰めていた。

 

「ぐっ……」

 

殴りつけた右の拳が痛む。剣の代わりに拳を振るうも、本調子ではないのか相手が道場でも相手したことのない飛行能力を有しているからかいつもの剛力を100で発揮することが、できない。

 

地が揺れ滴る水粒に、汗粒が混ざる……。

彼女は痛めた拳でもなんとか、あらぬ剣を握り構えながらも──。

 

 

【蝶:真珠弾】

蝶のカタチ触角部をつながるオーラと点であらわし模した、貝蝶は1匹に2つある真珠を分離し射出した。

 

剣士に対するまさかの飛び道具の斉射に、乱れた水色髪は反応が遅れた。

 

(しまっ……!! そんなでたらめなこうげきがっっ────)

 

ダンジョンを知らないものには酷である。

先刻人生一の大敗を喫した剣士の集中を欠いたメンタルには酷である。

しらず泣きながら迷い込んだ…準備も杜撰な挑戦者が、迷宮に潜むモンスターたちの餌食になる、それもまた──────

 

 

『ダンジョおおおおおン!! 【巻く膜CG弾】!!!』

 

 

何かを打ち込まれ、包まれ……腹の底から叫ばれたそんな勇ましい声が鍾乳洞に反響する。

 

放たれた8つの重い真珠の弾丸は、純白の盾をへこませることもできない。

不意に現れた彼女の目の前、黒髪の緑の騎士は振り返らない。

フザケタ真珠の反動をもちこたえて守っただけでは終わらない、迷わず闘うことを選んだ。

 

「【熱熱3way】!!!」

 

先程の敵の斉射で舞い上がった泥水と土に紛れて即射された熱熱なクレープ膜は、油断していた貝殻蝶を包み捕まえ──蒸す。

 

だが、それでは火力と威力が足りない。咄嗟に殻を閉じて墜ちた貝殻蝶たちは土中へとスピンしながら潜り熱をすこしでも冷まし、またはばたいた。

 

そして再び【蝶:真珠弾】を斉射────しかしご自慢の重い弾がまたあの白く輝く大貝に弾かれた。

飽き足らず4匹示し合わせたように硬い硬い大貝へと突撃をしかけた。

 

硬いものに寄ってくる習性でもあるのか、舞飛び向かう4匹のモンスターには────

 

冷たい冷たいオーラ斬りを────

 

 

「【ココアァ】!!!」

 

 

ハンドガンから扇状に伸びたココア色のオーラソードは、2体を切り裂き、2体を団扇のように使いはたきおとした。

 

熱熱からカチコチ、急激な温度の変化は身を亡ぼす劇薬と化す。どんなに硬い相手にも計算されたダンジョンでの闘い方で、敵モンスターである4体の貝蝶はまっぷたつに切り裂かれ、はたかれて粉々にひび割れ滅された。

 

「ふぅー…向かってきてくれて助かったぁ……──あ、大丈夫…すか? そのぉ…」

 

見つめている。

ぼーーっと見つめている。振り返った背の彼の顔を、顔面を、その黒くかがやく瞳の奥の先まで吸い込まれていくように視線がはなれない。カチューシャを忘れてぼさぼさになった水色髪と、どろんこになった白いハイヒールと白いワンピースで、ただ見つめて時がとまっている。

 

ぽかぽかと芯の方までココロまで……彼女の身を包む不思議なやさしいあたたかさ、迷い込んだ今は幻想的にもみえる鍾乳洞の中で出会った──無邪気でクールな微笑みをみせる男の子。

 

それは恋なのか?

あたたかくて泣きそうで、何故か彼女の目から涙がこぼれてくる、その感情は?

沈んでいた表情が安堵へと涙へと移り変わっていく、トマラナイ。

 

「え!?? なな、なんで泣いてぇ…あのぉ…おわっ!?? え、え!??」

 

きもちのきゅんと昂るヤジルシのままに────西川苺茅は楽天海都の体へと抱き着いて、そのあふれてとめられない大粒の涙をきらめかせた。

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