雷夏先生とゆく、緑蜜高等学校ダンジョン部!!! 作:山下敬雄
ウツボ姫の下に属する
そしてサンゴはさっそく疑わしき者たちに尋問を開始した。
「さて、聞かせてもらおうか。ここで何をしていた?」
「ええーっと……ただ襲ってきたモンスターを倒してただけで……」
「モンスターだと? アレをウツボ姫様のペットと知ってのことか?」
「ぺ、ペットぉ??」
「とぼけるなよ。とぼけるとその牢をもっと狭くしてやってもいいのだぞ。アレは大人しい性格だ手を出さないかぎり決して無意味に襲いかかることなどない、内と外で結託したお前たち海賊どもが何かのエサで制御し無理矢理ウツボ姫様のペットを引き連れて盗んだんだろう? そして今失敗して逆に襲われるハメになったと見るのが妥当だ」
ピンクシェルアーマーを纏った珊瑚のように美しいピンクグラデーションの髪をした女兵が、生やした牢に捕らえた焦燥顔の海都と黙る苺茅を見下ろし泰然とした表情で睨みつけている。
必死で訴えてもサンゴの顔色は変わらない、常に一定である。
情に揺らぐことはない。ただ疑わしきはとことんまで突き詰めて疑うにかぎるのだ。
「もっと狭く…そ、それは困るっすね……。って!! 俺ほんとなんも知らなくて!! 全然そんなことなくて!! マジの初対面で、こんな鯨みたいに大きいモンス…ペットの世話なんてできませんよ!!」
「まだとぼける気か、よくもまぁ口が回るものだ。よしまだ吐かぬのならさらに狭くしてや──!!?」
尋問のレベルをさらに上げようと手に触れた珊瑚牢にオーラを込めようとしたそのとき────海扇部隊たちがネットと槍の杭で拘束していた寝たきりでしょぼくれていたウミウシが突然もがき暴れ出した。
地に刺さる杭を引き抜き、覆っていた特製魚ネットをぶち切り、おさえようと尽力していた海扇兵たちを吹き飛ばしていく。
部隊長のサンゴがそんな危うい光景に気を取られていると──
「おい何を勝手に出てきている海賊ども。(私の最硬質の珊瑚牢を…?)」
「海賊じゃないよお姉ちゃんだから!」
「っす! ととととにかくアレ止めてからにしませんか!! あのまま閉じ込められてるとほんと死んじゃうんですんません!! あーーッあとで入り直しますから!! だ、だだだだだから一時パーティーを組むってのは…」
「パーティー? ……白い貝?」
サンゴは勝手に牢を熱してぶち壊した推定海賊たちを見るも、状況はそれどころでない新鮮な板挟みのジレンマがあり動けず。
しかし話をしあっている時間もない。
あとで壊した牢に入り直すという話はもちろん信じない。
サンゴはその海藻のような色合いの服をきた男が構える真っ白な貝を見つめて────騒がしい場がかもしだす空気を呑み込んだ。
一時組むことになった海都、苺茅、サンゴの人間と貝間のパーティーはなおも機嫌悪く暴れるミゾレ色の巨大ウミウシへと各々の武器を構えた。
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▽▽
最終的に即席パーティーで一度また無力化した巨大ウミウシは、海扇部隊が数手でカラダを調べ上げた末にみつかった疑わしき患部に、海都の回復弾をナカから打ち込みその怒りの原因を治療し鎮めることに成功したのであった。
そして話した通りにあらたに作られた心なしか広めの珊瑚牢の中へと戻った海都と苺茅は、彼女らの棲む見知らぬ海の都へと導かれていった。
▼ウツボ姫の空洞▼にて
口をぱかりと開けた大きな貝殻に敷いた座布団の上で胡座を組んでいる。
その名はウツボ姫、この領海を支配する実質トップである。
虎柄にも似たウツボ柄の派手布をへそ出しスタイルで体に纏い、黒基調黄のラインが入った長髪は瑞々しく美しい威厳をかんじる
そんな気品がありながら危うい香りのする人物と、海都と苺茅は人払いをされ2人だけで謁見を許された。
「ふむ。その風貌……コスモスの使者か」
「あまり災いを呼ぶでない。ワシはどちらにも干渉せぬ何度言われてもそのスタンスを崩すつもりはない。頭を失ったギャングなぞ、それはまた別モノじゃろ? おぬしらがワシのいない海と語りかけていることと同じことよ、組織だけで動いているような金魚のフンとはワシの歯は噛み合わぬのじゃ、無理なかろう」
緊張の開口一番、語られた話がいきなりなんの事かわからない。海都はとりあえずまた知らぬ海賊団かなにかと見なされてはたまらないので、自分たちの所属を明かし見当違いのそれを否定することにした。
「いや、俺たちは…いや俺は先生のダンジョン部でぇ……そのーコスモス海賊団じゃないかとぉー…はい…」
「せんせーのだんじょんぶ? なんじゃそれは。それに…カハハ、コスモス海賊団とはのー笑わせよる」
黄金の空洞の天へと水タバコをくゆらせていたウツボ姫は笑い上げた。
そして前のめりに海都の顔を遠目に覗き、鋭い眼で観察をはじめた。
「ぬ? しかしおぬし、珍しいオーラを持っておるの」
「えっと…」
「まぁそれはおいおいでよい。それより美しい水色髪のおぬしは、────呪われておるの」
「のろわれ? うーうん、大丈夫お姉ちゃんは呪われてないよ?」
「姉弟であったか? にしてはちっとも似ておらんのー? カハハ、何かと契約したか? なにかよからぬ水の波動をかんじる。殴り飛ばしたくなるようなの」
「いちごさんが?? 殴り……えぇ…あときょうだいじゃなくて…」
「つまりそのさっきからしゃしゃり出て見せびらかしておる白貝と同じことよ。何かが宿りおぬしのからだを蝕んでおる」
消えずに残っていた海都の白盾を見たウツボ姫は、それを水タバコで指差し。意味深なにやつく笑みで語った。
しかし、依然分からぬ話の連続にきょとんとし座布団に座り見合った海都と苺茅は、もう一度ウツボ姫のにやつく顔を見て首を傾げ口をそろえた。
「「からだを蒸しパンで折る?」」
「ドッ、どてぇええええ!?? 真剣な話じゃなにが蒸しパンじゃーーー!!! たわけーーーーー!!!」
横道の横道の穴にそれすぎた話は結局ゲストの2人には分からず、どこから飛び出したトンチンカンな無礼発言にひとりで滑りこけたウツボ姫は威厳を損ないながら大声で騒ぎだした。