※この作品はR-18です。

雷夏先生とゆく、緑蜜高等学校ダンジョン部!!!   作:山下敬雄

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悪は流れる❹

「回復だってバンちゃん(にも効くかな)」

「かいふく!? おぼえてるの!グリーンマンすごぉーーい!!! あははははは」

「カイフクぅ!? なんでソイツをキラキラさせるの!!! バンちゃんをおおおお!!!」

 

「回復っす……けど…」

 

キラキラと緑に光る、傷をみるみると癒すその撃ち込んだオーラの輝きは〝回復〟。

敵も味方も味方かどうか分からない者もした十人十色の反応と視線に海都は困惑した。

 

▼

▽

 

海に青く揺れる怒りの形相がひどく近く鮮明に現れる──至近にいたるソレが、彼の構える白盾へと喰らいつくように曲刀で切りかかってきた。

 

「バンちゃんも回復しろおお!!」

 

「ええッ!?」

 

「シろ!!! カイン!! バンちゃんを回復うううう!!!」

 

「え、え!? 俺は楽天かい…!」

 

「カインんんんんん!!!」

 

得体の知れない強い気迫で理不尽な言動と剣筋をねじ込まれる。

オーラを弾けさせながら迫る青髪はどこぞの知る青髪よりも短くボサボサとあらく飛び跳ね揺れている。

 

勢いのある生きた剣を打ち込まれるのは彼はもう慣れた日々慣れさせられたものだが、唐突に迫る青い理不尽にはまだまだ慣れない。

 

「しまァっ!??」

 

それでもしっかりと構え防御する白を────円い縁に組みついた指がこじあける……そして見えてきた鼻ピアスをした青いヤツ。

 

形相を深めたバンちゃんは素手で盾をつかみ盾ごとぶん回し投げた。

 

水中をななめに強引に投げられ姿勢を回転させられてしまう海都。油断していたのか、気を抜いていたのか、相手が冷静だったのか、迫る女の勢いに飲まれていたのか。硬いレア盾を過信依存したあげく致命的に姿勢を崩されてしまっては考えることはできない。ぐるぐると回る視界思考に次の海都の行動が乱されていく。

 

彼にとって焦り招いたピンチは大ピンチ、彼の大ピンチは見知らぬ彼女の狂いこじあけた大チャンス。

なおもしつこく迫る、オーラを漲らせる青髪の狂人とあぶないあぶない切先を向ける曲刀に────

 

「剛・水!!!」

 

剣は剣に受け止められた。

鍔迫り合いも一瞬に絡み合った初めましての両者のオーラがはじける。

曲刀まで纏うギザギザのオーラは爆発するように流れ出た剛水の剣に弾き飛ばされた。

 

「バンちゃんを吹き飛ばしたあああ!!?」

 

青髪の狂人を海底の砂地へと一直線に剣を振り抜き叩き落とす。

別の青さ、透き通る水色髪の剣士が鉢合わせた一合の剣で勝った。

 

「ごめんねバンちゃん、お姉ちゃんそういうの…許せないとおもうから!」

 

「え??? イチゴさん???」

 

「ごめんね海都くん、お姉ちゃんなんかしろーい部屋でぇいままでぐっすり鍛錬してて遅くなっちゃったみたい? あ、みてこのタコさんのキュウバンカチューシャ、ふふっ似合うかなぁ?」

 

「ぐっすりたんれん……タコのかちゅー…ってそれより!ソイツじゃなくてその人! なんかなんか…とにかくヤバイっす!! そのッッ俺よりつよ」

 

「うん。今のお姉ちゃんにも分かるよ、あぁいうのヤバイオーラっていうんだね!」

 

「キラキラの邪魔をするヤツ!! バンちゃんは許さない!!!」

 

突如海都の大ピンチに割って現れたその力強い剣はお姉ちゃん。

以前よりオーラが目に見えて増幅しているその背姿に、海都は驚いたが……それよりも砂にまみれ立ち上がった青い存在のヤバさを苺茅に焦り教えた。

 

またオーラをギザギザと鳴らし底知れない圧を増した海賊のバンちゃんに、苺茅と海都は武器を構え直した。

 

 

 

▼

▽

 

 

 

サンゴはちらりと遠くの戦況を確認し、しずかに前を向いた。

 

バンちゃんはキラキラの回復オーラをもつ海都に執着している。

さらに苺茅も謎の鍛錬をぐっすり終えて助けにきた。

 

そのことを確認したサンゴは迷わず1対1で相対しているウニークに仕掛けた。

 

 

「ごめんね、バンちゃんちょっと頭のネジがすぐトんでっちゃうこだから。だからバンちゃんがね望んだ宝(キラキラ)を手にするまで大人しくしててくれるといいな」

 

「…! 海を荒らす海賊は見過ごせません。要らぬ欲望が要らぬ悪意を流す、垂れ流す悪意がめぐり見知らぬ誰かをまた苦しめる。どこであろうと悪が栄えていい試しはない、大人しくするのはそちらだ。海賊は無力化し黒海の収容所に連れて行く」

 

追う槍が瓢箪持ちに仕掛け続ける。

突いていく槍の連撃が紙一重で躱す黒髪を追い込み、ここぞと穂先から泡立つオーラはただの攻撃ではなくウニークの視界を覆い──消えゆく。

泡となって消えたわけではない、技と戦略で上回り完璧に意表を突き後ろから突き刺さらんサンゴの殺気に────

 

「海賊だから────なに? 見知らぬ誰かを苦しめるからなに? その誰かってダレ? そんなに大事そうなのに誰かなの? 垂れ流す? 息はするでしょ? 悪が栄える? 物をちょっと盗んだぐらいではなしがフれすぎ。誰でももってそうなそんなありきたりな長さのものさしバンちゃんには関係ないよ。だってあのこ、〝絶対〟だから。バンちゃんの世界が絶対で、私がバンちゃんの絶対世界に運良く入り込んだおまけ。バンちゃんはちょっとおかしいけど、正しいから、ずっとキラキラしててすごくユニークだから。それで正解。つまりあなた、不正解」

 

 

完璧に貫いた瓢箪はオーラ迸り、サンゴが与えた一太刀目の傷口からひび割れを広げ崩れてゆく。

しかし完璧を突いたはずが振り返る狂った瞳の黒い女に、壊れた瓢箪から漏れ出る黒いオーラ……その中からにゅるり出でた────黒い龍、いや、ナマズのような存在が、槍の柄をぐるぐると巻き付き────やがてサンゴの右肩にのっそりと噛みついた。

 

 

背の瓢箪を狙った末の思わぬ結果から、相手の奇襲のオーラ攻撃を受けたサンゴはひどくぐらつく頭と乱れたオーラ制御をなんとか元へと戻しながら、水中を落ちてゆく姿勢を戻した。

 

 

「バンちゃんわかった。倒せばいいみたい」

 

「当たり前のことをわかった風にいうなウニーク!!!」

 

「ちがうよバンちゃん、この水がね、ふるえながら私のオーラに言ってるの。『お宝はこのなかで1番強いものに開かれる』だって」

 

「アハハハハハハハならバンちゃん、今回もたたかってェッ!! キラキラの1番になっちゃえばいいだけだもんねええ!!!」

 

護水内に秘され設定されたお宝の獲得条件が信号をキャッチし震え伝わるウニークのオーラに判明した。

宝のありか条件が分かったとなれば、水を得る。

一層増した際限のない海賊二人のヤバイオーラに……サンゴ、海都、苺茅は態勢を整えこの強敵を抑える術を三人で頷き合い、負けじと己の体を伝うそのオーラを高めた────────。

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