※この作品はR-18です。

雷夏先生とゆく、緑蜜高等学校ダンジョン部!!!   作:山下敬雄

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悪は流れる❺

護水内に6つのオーラの力はじけ波打つ。

行使し魅せた大きいオーラが2つ、次いで1つ。

強き者、純真なる者、善なる者の元に護水内に秘されていた〝宝貝〟はそれぞれ現れた。

 

 

「んぼぉーーはぁはぁ……4人がかりでこの強さァ!? これなら…寝坊しなきゃ良かったかも!」

 

「大丈夫、お姉ちゃんはぐっすりした分まだやれるよ」

 

「もちのろんお姉さんもグッスリやれるって!」

 

「ううん、お姉ちゃんのほうがやれるよ!」

 

「なんで張り合われて!?? うーーうん、お姉さん!」

 

「ううん、お姉ちゃん!」

 

「んぼぼぉ……!」

 

「あの、それよりこれが!?」

 

「はい。これが宝貝(ほうかい)です」

 

「アッチにもふたつ出てますけど?? 大丈夫なんすか!?」

 

「うん。作戦通り徹底して守り敵のオーラを減らしこの宝を開くオーラ量がもうあの2人にそれ程残っていないはずです! 万一無理に開こうとオーラを宝貝に割いたならば…ソコを一気に叩きましょう」

 

「な、なるほど!!」

 

「あはは、なんかしんないけどアッタマいいじゃん隊長さん!! あちらさんはどう算段しても宝の鍵を開けれなくて最初から詰んでたってことね! いわゆるこの状態、板挟みのジレンマってところねー! こっちの都合のいいぃ!」

 

「そのはずです!」

 

 

 

「アかないぃいい!!」

 

「おかしいねバンちゃん、うんともすんとも」

 

「ふざけるなウニーク!!! 話がちがう!!!」

 

「ごめんねバンちゃん、きっとさっき敵にオーラを使い過ぎちゃったから。ハメられたってヤツだ」

 

「ンンンンンなんなのーーーー!!! キラキラをおあずけなんて許せないぃぃ!!!」

 

秘密の鍛錬からサンゴと海都の味方に入った苺茅の剣とオーラ、そして縁とタイミングあってしれっと護水内に参戦したンボー・マラスカットの助力をもってしてもバンちゃん海賊団の2人を凌駕し倒すことはかなわなかった。

 

そして秘されていたはずの宝まで敵の手に渡ってしまうという最悪の事態を招きつつあった。

だがしかし、サンゴは皆に指示した守勢の闘いで攻勢に傾いた敵のオーラ量を削ることができた。

すなわち宝は敵の手に渡ってしまったものの閉じた宝の殻を開けるためのオーラが足りない。海賊の2人が宝を開けようとオーラを無理に練り高めたその瞬間、サンゴたちは一気に攻め入り、仮に海賊の2人がサンゴたちを護水内で余さず倒したとて宝を開くためのオーラは練り上げようとももはや足りない。

 

まさに板挟みのジレンマ、目の前にせっかく条件を満たし現れた宝の中身を拝むことなくおあずけされた状態である。

 

サンゴたちは荒げた息が落ち着いていき、失ったシールド値も今のうちに回復をし次の態勢を着々と整えようとする。

反面バンちゃんは息を鼻から口からごぽごぽ泡立て荒立て、ウニークは残オーラ量と相談し指折り数え立ったまま。

 

両者両陣、思惑めぐりうちたてていく睨み合いがつづいたそのとき────────

 

 

どうにもならずにいた板挟みのジレンマはさらなる勢力の介入により──はげしく泡立ち打ち砕かれた。

 

オーラをひそめていた思わぬ乱入者たちがぞろぞろと泳ぎ現れ、サンゴたちを海賊をも敵味方関係なしに取り囲む。

 

何事か、わけもわからないままに黒いシェルアーマーを纏う連中に取り囲まれた護水内の戦士たちは慌てた反応をみせる。

そして取り囲むやいなや黒い連中は彼女らに次々と襲い掛かった。

 

迅速に攻撃をしかけてきた意味の分からない黒い脅威にたじろいでいた海都は、不意に一瞬にしなり伸びてきた鎌のような物体を受け止めた。

 

「なんだ!? 物体…じゃなくてっオーラの…鎌?? いや、オーラの……パンチ!?のようにおもッ ッ──それにすごく速い!!?」

 

「ほぉ、シャルの技を受け止めなおかつその質を見破るとはなかなかの反応速度でコシャルな」

 

「ヤバイんじゃないのこれ! 次から次へとどれが敵よ! まさかのははーんお姉さんからハイエナしようたって! ってうわっ!??」

「ハイエナさんって海にもいるんだ。でもお姉ちゃんスゥちゃんとの真剣勝負の方が好きかな!」

「ハイエナってなにさ! バンちゃんの邪魔をするな!!」

「ハイエナってなんだろう。バンちゃんこれヤバいよ、きっと漁夫の利、まるっと盗む気」

「それならわかるウニーク!!! 嘘と漁夫の利はバンちゃんだけしか許さない!!! キラキラに寄るナぁ!!!」

 

四方八方から声とぶつかり合う戦闘音が飛び交う。

なおも黒いシェルアーマーたちはサンゴたち4人、バンちゃん海賊団2人を勝る多勢で取り囲む陣形を流動させながら崩さない。訓練された動きでどちらもを包囲していた。

 

「我々はダーククリーナー。黒ウツボ様の秘洞暗殺部隊」

 

「くろ…ウツボ!? なら味方じゃ! なにしてんすか!?」

 

「貴様らと括りにするな。我々が信奉するのは黒ウツボ様ただひとり、牙の欠けたぬるい雑魚の集いにこのオーラをかすことはないでコシャル」

 

「言ってる意味がぁ!」

 

「価値のない殻は砕き潰し、そして宝貝は我々が手にしついでに未だ呑気に寝入るウツボ姫を叩き潰してやろう。ふははは、今日という絶好のオーラ日和、黒ウツボ様は波乱革命をお望みだ。あらたな海の編成、黒海ウロボロシーは面白くなるぞ! 黒ウツボ様がその強さ、オーラ、美しさを増し外に舞いもどったからにはすぐに呑み込むぞ愚かな貝王もの果ては貴様の未海をもの!」

 

黒と暗赤色の髪、毛先の方は虹色の派手を纏う。

他の黒よりも一見し目立つ存在、海都は先程盾に素早いオーラ攻撃を受け取った得体の知れないその相手と戦闘中に話した。

その黒の使い手は自分たちをダーククリーナーと名乗り、ウツボ姫とは別と考えられる黒ウツボ様なるものを信奉している。

当然その黒の使い手が語る内容は余所者の海都には一度聞いただけでは意味の分からないものだった。

 

なおも僅かなモーションから溜め放たれ高速で伸びてくるオーラパンチが、白盾を割らんばかりの音をぶつけ奏でる。

海都の動きを縛るようにその使い手から連続で放たれつづけるしなる殴打オーラ攻撃を────サンゴは間にさした横槍で見極め弾き返した。

 

「話す必要はありません。隠れていた旧い影が表にしゃしゃり出てきただけです」

 

「ルふふふ大人しく宝貝を渡せ新しい表の隊長。それで貴様の任務は概ね完了でコシャル、貴様のいらぬお節介心も煌めく宝を見つける価値があったものよのルふふ。ウツボ姫ことシロ様のことも仕えていたよしみで譲歩しようではないか、それと貴様らの闘いぶりも影でゆっくり見物させてもらったでコシャル、新たな大海の支配者となるクロ様なら悪いようにはしなかろう」

 

「なるほどナンパするほど人員がいないのですね! そちら側は!」

 

「難破船の乗り心地はどうやら? オーラの備蓄はどれほどかルふふふ…」

 

黒ウツボに仕える秘洞暗殺部隊その隊長であるシャルは不敵に嗤う。

余裕があるのはどちらか、オーラがないのはどちらか、表の隊長のみせる強情な抵抗さえもシャルはわらって流し返す。

 

バンちゃん海賊団、ダーククリーナー、そして背を寄せ合い踏ん張るツギハギの連合部隊。

三勢力が海中闘技場の護水内で入り乱れオーラが昂り、オーラがぶつかり、オーラが迸る────────

 

もう何度も危うい踏ん張りどころを知っている……海都は必死で盾を構え続けまた守り続ける、

ンボーはマジックマラカスで黒を殴打し息切らし踊り続ける、

苺茅はその剛剣でまとめて殺気を吹き飛ばし、

サンゴはどちらの悪にも傾かない、沈まないように邪悪な黒をひとつひとつ仲間と呼べる者たちと協力し断ち切っていく。

 

あちらでもこちらでも武器を交え、互いの殻を砕き、海がひどくざわめき熱量を上げる。

 

やがて……迸るひとつのオーラが今膨大になり、思惑乱れ敵を塗りつぶさん闘いをつづけていた皆の気をビリビリとひいた。

 

ハイエナでも漁夫でもない…………一番乗りを手にしたのは、青髪の海賊女であった。

 

めぐり張り巡らすちっぽけな他者の思惑など凌駕する、欲しつづけ欲しつづけ一番に宝を欲しつづけていた……その女の昂るオーラと一直線な欲求、ヤバさ底知れず。

 

硬く硬く閉ざされていた宝貝は重々しく軋む音を鳴らし開き、中に秘されていた宝珠はイカれてもなお純真な海賊の体の中へと宿り移った────────。

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