雷夏先生とゆく、緑蜜高等学校ダンジョン部!!! 作:山下敬雄
海賊七つ道具エメラルドカトラス、その美しく恐ろしい曲刀はオーラを乗せて海を切り裂き遊ぶ。
その緑のオーラ斬撃に、取り囲んでいたダーククリーナーたちが次々と巻き起こる海流にのまれ、バブルシールドを割られバブルクラッシュ状態となり護水外へとはじき出されていく。
「バンちゃんと仲良くしない気!?? へそ曲がりの剣はバンちゃんがポポーチみたいに躾けてみせるアハハハハ!!!」
(さいわい海賊はまだアレに慣れていない……この状況を覆すオーラは────機を待つか、迎えるか…!)
その秘刀曲刀の扱いに海賊女が慣れるのも時間の問題と考えられる。
直接やりあったサンゴには海賊バンちゃんが未だ底知れない力とオーラを秘めており、それに見合う適応成長能力を持っていることがなんとなく分かっていた。
だがしかし、シャル率いるダーククリーナーのしつこい包囲を突破しないことには何を仕掛けることもできない……。いたずらにその握る槍の届かない時が過ぎてゆく────────。
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客席裏に吸盤べっとりと貼り付ける目あり、
東の入場洞の近くに壁にとけこむ目あり、
はげしく舞いただよう砂粒にその色カタチ光の反射具合まで完璧に擬態するタコあり。
(ココココタココココ! …………どうやら乗り遅れたタコパの雰囲気ではネェな…)
乱戦の中ひとり、いっぴき、小高く荒れ積もった砂粒に擬態し蛸の貝間ココタコは息と脚をひそめ隠れ潜んでいた。
(つっても俺にも分かるぜこれが相当やばくて、俺が相当今日は
ココタコは出遅れたわけではない。突如海中闘技場の試合中に起こった渦潮に呑まれないように観客席の裏に自慢の吸盤でへばりついていたら、目を開いたときには何故か皆は忽然と姿を消し観客がじぶん一人になっていたのだ。
そして今に至り……砂に汚れたココタコの視界には今、グループ雲丹で闘ったことのある必死に踏ん張り白貝を構え足掻く彼の姿がちいさく…熱く…映る。
今の自分の姿と、彼の姿と、何を言われなくても……感覚器官の吸盤が、ぶつ切りにされた今は治りかけの赤い脚が……疼く。
(仲間が…たたかっているのだココタコ。今やらないとあとであのタコスケとあのクレープとやらを食いながら笑えないだろう。──俺の本当の得意技は【
完全擬態していた蛸身は決意し、戦乱の中を砂中の色粒にまぎれ忍び寄る。
狙いは〝瓢箪〟。ココタコはサンゴの仕掛けを幾度か見て、自分も気付いていたソレを奪い取ることに今は多大な意味があることを。
そして完全擬態を駆使し隠密行動に成功したココタコはここぞと砂を蹴飛ばし幾多の脚裏を向け、一気に狙いすました背の瓢箪にくらいつく。
が、その慎重に慎重にあたためていざ放った迅速な仕掛けも振り向いたヤツにバレた。ぎょっとするような漆黒の瞳が一瞬の殺気に睨み振り返った。
「そんな目で…見とけエエエエエエ!!!」
「は? タコがしゃべっ…うわっぷ……!」
ココタコはしぼめまた尖らせた口からタコ墨を吐き出した。
振り向いた女、ウニークの顔面を目掛けて吐き出した特製オーラを含んだ墨が辺り水中を黒く覆っていく。
両者争う音が聞こえたと思えば、やがてぶつ切りの蛸足がよごれた海中をただよう。
『ええお水筒もってはんなぁ』
争いの最中の漁夫の利、蛸人間を吸盤を引きはがしウニークが手を伸ばし掴み取ろうとした水を転げ浮かぶ瓢箪は──天から垂れ下がった黄金のオーラの糸が釣り上げた。
観客席にひとり座っていたエベザリスは烏帽子をただよわせ金髪を勢いよくはためかせる、豪快に手持つ釣り竿でオーラと集中の乱れた誰のでもないユニークな商品を遠くから釣り上げたのであった。
自分のものであった瓢箪を意表を突かれに突かれ手元に失ったウニークは料理途中の蛸を放置し、瓢箪を急ぎ追った。
「タコをえさに釣られた私」
「ヒョヒョゥーー!!!」
上をゆくブツに追いついたウニークは釣り糸をぶち切り、動転した気を鎮め今度はもっとテキパキした手際で瓢箪をすぐ手にしようとしたが────
ヒョウアザラシのヒョウちゃんが真横から勢いよくそのお口に咥え瓢箪をかっさらっていった。
「今度はアザラシ、かわいいけどかわいくない、はやい」
「海賊が盗られてトロトロしてるなウニーク!!! ウニークのキラキラはバンちゃんのキラキラァ!!!」
ウニークの泳力ではそのアザラシの速度には追いつけないだが、ぼさっとするウニークにかわりバンちゃんがオーラをふかしながら高速で泳ぎ可愛くない盗人アザラシへと追いついた。
「かしこいアザラシは真っ二つのペットになれええええ!!!」
緑に妖しく煌めいた刃がギザギザのオーラを纏った。
逃げ惑う可愛いアザラシは一瞬振り向きひどく驚きつつも、瓢箪を咥えつづけ全速力で泳ぎ逃げてゆく。
盗人アザラシを真っ二つにせんとし振りかぶった刃は────何故か何も切れずにバンちゃんの握る手から失せていた。
アザラシが真っ二つになる前にンボおねはスキルを発動した。
振りかぶったエメラルドカトラスはンボおねの手元にカード化し取り上げられたのであった。
【ハッスルオーラハッキングリズム】
既にバンちゃんの腹に二発食らわせていたマジックマラカスの殴打攻撃により、相手のオーラをマジックマラカス内に奪い溜めてそして自分のオーラをリズムよく振り混ぜ合わせ、ンボおねは相手のオーラ技を奪い使った。それが〝ハッスルオーラハッキングリズム〟相手のオーラを殴打攻撃し奪い取れば奪い取るほどに正確なリズムに鳴らし乗るほどにこのスキルの成功率は上がるのだ。
「さっき二発腹にぶち込んだら十分、ンボおねの代名詞【ハッスルオーラハッキングリズム】!! ってうきゃっ!?? ウソ!??もうモたない!??」
「ばかばかばかばかバンちゃんのキラキラが奪えるかぁ!!!」
しかし、マジックマラカスは爆発し、カード化していたエメラルドカトラスはンボおねの挟む指先から失せた。足止め手止めは一瞬一振りにとどまり、またバンちゃんの手元にはエメラルドカトラスがしっかりと握り戻っていた。
そしてまた当然のように、より一層怒りとオーラを込めた緑の斬撃が逃げるアザラシに向けて放たれた。
ヒョウちゃんが危ない、狙われた緑の斬撃に対しては────緑に発光する回復強化した白い盾が間に割り込んだ。
「「一世一代ぃぃ!!!」」
「カイン!!? バンちゃんの邪魔ぁああああ!!!?」
海都と苺茅は協力し同じ盾を重なり2人のオーラを重ね構えた。
エメラルドカトラスの斬撃波を円盾になんとかすべりいなし、大きく弾き飛ばされながらも2人はヒョウちゃんと瓢箪を守り抜いた。
しかしそのとてつもないオーラのぶつかり合いで起こった海流に吹き飛ばされたヒョウちゃんは呑まれ、瓢箪が口元からこぼれ落ちていく。
重い重い瓢箪が海を落ちていく。誰のものでもないルーズボールのように。
落ちていく瓢箪の行方は────黒いシェルアーマーたちをやっと抜き去った傷だらけに輝くピンクのシェルアーマーが一直線に泳ぎ、迫る。
「何が出てこようとも……!」
瓢箪から不意に現れたのはいつぞやの黒ナマズ。
おおきく膨らみ大口を開けながら守り待つ、最後の障壁は────
「貫く……!!!」
その槍貝は、威嚇し出てきた噛みつこうとしたナマズごと高速で貫いた。
もっと速く、速く、ピンクシェルアーマーを壊し剥き出しの裸になりながらも、生み出したさいごのオーラ噴射で泳ぎ迫り一気に────。
ひどくオーラ発光しながら穂先の貝は砕ける……瓢箪をもっと深く抉り砕きながら────
すると静寂をまぬけに転びただよった瓢箪の蓋から、ナニかが噴き出した。
噴き出したものは小さな瓢箪の飲み口から大きく出でて、豪速で走る黒い影があたりをキレキレに泳ぎながら爆発したかのように暴れ回った。
何よりも素速い黒は海賊たちをダーククリーナーたちを次々に当たり散らし弾き飛ばした。
「退屈なファイトにうたたねしていたアタシを変なカタチの水槽に閉じ込めたお馬鹿はどいつだい? ハハハ、拍手の準備と、賭けるべき相手はもう決まったかい? 腹をすかせた海の王者サ、今夜はてぬるい殺戮ショーじゃ──スまないかもネェ!!」
形勢逆転、海の王者キラーラ爆誕。
瓢箪よりいの一番に出でた黒影は牙をみせ笑う鯱女、いつもよりキレを増しド派手に泳ぎ、闘いなれた彼女のテリトリー海中闘技場護水内に堂々と舞い降りた。