雷夏先生とゆく、緑蜜高等学校ダンジョン部!!! 作:山下敬雄
また暴れ出した成長をつづけるバンちゃんを止められる剣はあるか。
今まさにオーラ渦巻く剣と剣はぶつかり合い、仰け反り水を赤く濁しながらもまた一合、刃と刃は噛み合った。
「あはははそんな剣ゼンッゼンキラキラしてない!! バンちゃんにはわかる!! オマエはちがうぅ!! バンちゃんの方が上手いジャムイチゴ!!!」
「イチゴお姉ちゃんは!! それでも強くなったよバンちゃん!!! そしてそれでもッスゥちゃんの方がゼンゼン強いんだから!!!」
「ばかばかばかばかバンちゃんの方が強いいいいい!!! バンちゃんが剣もおしゃれもイチバンンンンン!!!」
「うーうん、イチは…お姉ちゃん!!!」
剣と剣はぶつけ砕ける。
それでも次の剣を要求し、海都のオーラで回復強化した剣は苺茅の手元へとまた投げ渡された。
キラキラと緑のオーラが激しい飛沫の火花を散らす。
煌めく伝説の海賊の剣と流水流の剛剣、まさにしのぎを削り合い、一合一合互いの剣がぶつけ合い奪い合い研ぎ澄まされていく────────。
(バンちゃんがたのしそうにしてる。じゃあはずれた私は──不自然なお姫様待遇を叩こう)
そう考えバンちゃんの遊びの輪には入らず独立し動き出した駒を、
ウニークを止められない。
ヒョウちゃん、ココタコ、ンボおね、グループ雲丹の面子が立ちはだかるも続々とやられていく。
一瞬ウニークの手に触れられただけで何故か気を失ったように動けなくなっていた。
「ひょぅぅ……」
「ココココ……なんだこのオーラ…酔う……」
「変なリズムに……クラクラ……あ、もだめ…」
そして数珠状のオーラを手首に纏ったその見せたことのない不吉な魔手が今届き、手厚い護衛に守られていた満身創痍にみえるサンゴをついに襲った。
そのとき────、ウニークの横腹に素早く煌めいたオーラがめり込み突き飛ばした。
「どんな不吉なオーラ攻撃も届かなければ対処しやすいものでコシャル」
「…!」
「ルふふ、どちらに賭けるかと問われれば。読み難い潮時…ならば一度どちらの顔もアツく立てておくべきかと…ルふふふふ。恐ろしいオーラのお告げだルふふふ…」
なんの気まぐれかダーククリーナーのシャル隊長は迫るウニークに横やりを入れサンゴの護衛に突然加わった。
しかし、不可解なそれは裏の隊長が表の隊長と同じく、流れ近付いてくる恐ろしいナニか、をおぼろげにいち早く察知できたゆえの行動であったのだ。
そして。
やがて流れつき護水内に充満してきた、その察知せざるをえない潤沢なオーラに────。
「このぞくりとするオーラ。ソッソッソ」
「シャシャシャお姫様気分かい」
「急にぜんしんに鳥肌が…!?(ってオレは蛸だったぜ)」
「え、これって! このオーラの感じって!? 本当にきたってことすか!?」
「うん、そうだよお姉ちゃんの言う通り!!」
皆にもぞくりと伝わる、青く煙る不思議なオーラがサンゴの近くへともくもくと漂い集まってきた。
「嫌な流れ、のいて漁夫の利もちゃんとできないヤツ」
「ルふふちゃちゃっとももう遅かろう。シャルの技はやすやすと…ッ!?」
ウニークは高速で飛んできたオーラ鎌を手首にしていた黒数珠で受け止め縛り、相手に触れることに成功した。小癪な技をオーラを伝染させ見極められたシャルはすぐに切り離したものの時既に遅し、ウニークの伝わせるクラクラするオーラを浴びてしまいがっくりと膝をつき沈んでいく……。
そして予想外のチカラをみせ裏の隊長を突破した黒い魔の手は再びサンゴに襲いかからんと────
黒い片手はサンゴの突如伸ばした素手に、がっしりと組み合わさった。
それは正気か、判断ミスか。一瞬深読みしたウニークがまたオーラ攻撃をそのまま仕掛けようとしたが、
「クラクラ…しない…!」
「あいにくオーラの扱いだけは褒められた記憶しかありません」
「【
クラクラと揺れているのはその身に流れ続け纏うなおも増えつづけている膨大なオーラ、それが障壁となりウニークの不吉なオーラ攻撃をサンゴの身に直には通さない。
【蜃気流転】
ウツボ姫、その寝入る大貝から漏れ出す特別なオーラは蜃気。
その蜃気を自分の身に流れ入れる特別な訓練を受けた者がいる。
ウツボ姫がたとえ離れた場にいてもオーラを限りなくロスなく他者へと受け渡しできる秘術である。
姫との信頼関係がありオーラの扱いに才のあるサンゴだからこそ成せる誰も知り得ない秘匿の作戦。
水煙草をくゆらせ嗜むウツボ姫のある日遊び生み出した、自分と同じ程のチカラを発揮する者を生み出す、適合する者への遠隔でのオーラの受け渡し術なのであった。
ついに逆に揺らめく、ウニークの身に纏うオーラまで。彼女の慌て動転した心情を代弁するかのように。
さらにそれだけではとどまらず、
彼女の背にずっと使い物にならなくただ鎮座していた〝宝貝〟が、カタカタと音を鳴らし振動している。
不味いと思ったウニークであったが、その絡み合った指が──離れない。離してはくれない。
なんの意趣返しか膝をつかされたウニークは見上げる。海賊を見下げるそれは鮮やかなピンクというよりは、燃え滾る瞳の色。
「不味い…それはよくばり…ッ!」
「【
繋がった2人をのみこみ一気に迸る柱のようなオーラは、眩く護水内を光り照らした。
やがて膨大なオーラ圧に吹き飛ばされて、していた鼻ピアスまで外れ飛んでいったウニークと。
何かが水を押しのけ泳ぎ、翔ぶように上から下へと鮮やかなオーラの放物線を描いていく。
上から狙いをつけたのは危なく見せびらかしている緑の宝石。
その行動に一切の迷いはなくオーラをふかし駆け降りていく。
剣士と切り結んでいた青髪の海賊が一瞬見上げたときにはもう、──ぶつかり合った緑の刃と高速回転する槍、貝の穂先。
ドリルのように回転力をつけた白槍は宝剣ごと海賊の体を吹き飛ばした。
爆発するような衝撃とパワーに、数多の泡粒が散り立ち昇っていく。
肩代わりをしていた海都と苺茅のピンチに、深い緑の鎧を纏った麗しいピンク髪の戦士が舞い降りた。
「待ちくたびれた機にオーラは無事全回復しました、あとは任せてください! 海都、苺茅さん!」
「その鎧は…サンゴさん…!!! は、ハイーッ!!!」
「うんうん!! 真剣勝負だねサンゴちゃん!!!」
「バンちゃんの、バンちゃんの真似ええええええ!!!」
蜃気を流転し、開かずにいたもうひとつの宝貝は見合うオーラとその力に完全に開かれた。
新たな力を纏い堂々泳ぎ現れた海扇部隊隊長のサンゴは段違いに