雷夏先生とゆく、緑蜜高等学校ダンジョン部!!! 作:山下敬雄
幾度も転じた戦況が流れ流れついた末に訪れた……奇しくも宝珠持ち同士の一戦、並外れた力とオーラを持つ者同士の真剣勝負。
手に入れた宝は悪にも正義にも平等に、より強い敵を討ち倒すための覚醒をうながした。
「ピンクから変えたモスグリーンがなんだってのさ!!! こっちはエメラルドカトラス!!! そんなうるさいだけのばかなの!!! つぶれろぉ!!!」
急ぐあまりパワーアップの選択を誤ってしまったのか回転する大槍貝はエメラルドカトラスの威力には及ばず、それに加えて以前の槍と比べてオプションと重量が増えたことで取り回しも悪くなった。
そしてついにひび割れた穂先はばらばらと辺り水中に砕け散っていく。
うるさい回転音が止み、大きく振りかぶる海賊の宝剣から出でる輝かしい緑の波がサンゴを襲った。
そのキラキラで深緑の存在を浄化せんとばかりに、やがて緑波はぶつかりターゲットに直撃した。
青髪の海賊はその捉えた手応えに舌を出しテンションをさらに高める、しかし────やがて舌を巻き、巻いた舌を噛んだ。
「シロぉ!? 泡あわできっ着替えたぁ!? バンちゃんのしらないおしゃれェ!?? ばかなばかなばかな!!!?」
受けとめていた回転する大槍を破壊され手痛い緑の直撃を受けてしまうが、サンゴは新たに纏った特殊装甲でダメージを大幅に軽減した。
深緑の鎧が、微細な白粒のオーラを纏い……
「【ナノバブルコーティング】────、ッいきます!」
エメラルドカトラスの斬撃を受けても無傷であるその白き存在、やがて迷いなく向かってくる存在にたじろぐバンちゃん。それでも気迫に負けず宝剣から、次の緑波を連続で放って寄せ付けないように絶叫しながらイカれた女海賊は張り切る。
「オーラを行使します!!!」
「バンちゃんが黙ってさせるかぁ!!!」
次々と放たれた緑波は白く染まった鎧から分離した♡や☆のカタチの泡に、不思議にも吸い寄せられて本体のサンゴから反れていく。
またも驚く華麗な技の連続に、バンちゃんは赤く染まるほど熱心に舌を噛みつづける。
そしてやがて緑の波の連続をかいくぐり至近に迫ろうとした素手のサンゴを斬りつけようとした危うい宝剣は──
繰り出したその一撃はあまりにも速い。
「【オーラシャッコー】!!」
「ぃガっ!??」
襲おうとしたエメラルドカトラスを手元から後ろ彼方へと弾き飛ばした。左右腰元装甲から伸びた内蔵武装は【オーラシャッコー】、溜めていたオーラを柔軟に弾ませシャコのように素早く伸びた深緑のパンチが海賊の剣よりも速く思惑を砕いた。
しかし、バンちゃんはそれでも宝剣を再び飛ばされたのと逆の手に呼び寄せた。
自身に紐づき刻まれたエメラルドカトラスは、ンボおねに盗られたときのようにまた主人の手元へと賢く帰って来た。
「バンちゃんが!!! バンちゃんがキラキラをなくすかぁ!!!」
「手にしたとて…! 【オーラテッポウA!・B!】波ァ!!!」
手にしたとて、既に手に装着し変わったカタチの銃口が海賊を睨んでいる。
【オーラテッポウA・B】
それはいかにも海老の鋏。
左右の手腕に装着した緑の甲殻グローブは、開いた鋏を溜めたオーラとともに力強く閉じることで水中にとても速い衝撃波を生み出す。
そして直撃したターゲットは太陽をぶつけられたような熱量と沸き起こった数多の微細の泡粒に埋もれる。
ただのテッポウどころではない、一度ひらいたトリガーを閉じ合わせただけでとてつもないエネルギー量を生み出す必殺のオーラテッポウ。
破壊力抜群のパンチャーの次は、さながら早撃ちの海のガンマンへ様変わり。
次々と繰り出すサンゴの進化したオーラの美技が海中闘技場護水内で炸裂する。
その背は誰かを守り抜く深緑の正義、そして敵を貫き染め上げる白き正義。
狂暴な女海賊バンちゃんを白い泡粒と共に白目を剥かせ……海底のマットへと沈めていった────────。