私の夢って何だろう。
「皆を守る盾になること」
違う。
「大切なものを失わないようにすること」
違う。
「恋愛をして幸せになること」
違う。ただいつも通りの日常を過ごせればそれだけでよかったんだ。後輩がいて、時々先生が来て。くだらない話で盛り上がって……
「……行かないと」
花を5つ添えて私は今日も外に出る。
相変わらず外は乾いたように蒸し暑い。砂塵が待って視界を奪うことも日常茶飯事だ。今に始まった話ではない。
「……今日も1日頑張る……何の為に私は頑張っているんだろう」
答えの出ない自問自答を繰り返す。無意味だと分かっていても考えてしまう。生きている以上仕方がないのだ。
「……どうして私の人生はこんなに上手くいかないの……?どうして……あっ……」
ふととある人を思い出す私にとって唯一残った、いや残っていないのかもしれないけれど……大切な人。医者からはもう助からないと言われている。それでも僅かな希望を抱いて病院に向かった。
「ここのところ毎日お見舞いに来ていますね。その想いが先生に届くといいですね」
看護婦さんにそう聞かれた時に、
「はい……私にはこれくらいしか出来ませんから」
そう答えるので限界だった。
病室に行くとそこに彼がいる。数十日前から意識不明の先生。辛うじて生きている状態らしいけれど……息をしているだけで私にとっては嬉しい。
「先生、また来ちゃった。今日はね、プレゼントがあるの。手紙は……嫌なことを思い出しちゃうから書けなかったんだけど……折り鶴、持ってきたよ」
生きててくれてありがとう、と書いたカードと折り鶴を机に置いた。この言葉と折り鶴が彼の目に映る日がいつか来ることを祈って。
「……ねえ先生、私また1人になったんだ。先生と頑張って守ってきたものが全部なくなっちゃったよ。でもさ、ここからまた1から……1……から……」
「……出来ないよ。もう……立ち直れない。数年頑張ったけど何1つとして守れなかった」
「……辛いよ。死にたいよ。皆に会いたいよ……」
「……ごめんなさい。また来るね」
彼女は一礼をして病室を去る。これが最後の見舞いになるとも知らずに。
『速報です。…………の救命は困難と判断し死亡宣告を……』
折り鶴を贈った次の日に彼は死んだ。私には何もなくなった。いや、私だけが残ってしまった。
「あ……あは……あはは……あははははははは!!」
それを意識した時、数日ぶりに大笑いをした。何に笑っているのか分からないほどに大笑いをしている。
「はは……もういいや」
私は自決用の手榴弾を1つ持って歩き出す。……私もそっちに行くからね。
3部はこのくらい重いです