アスカは、小走りで廊下を駆けていた。
「ああ、もう、この私が忘れ物なんて」
走りなら毒づく。教室の机の中に教科書を忘れてしまった。別にそのまま入れっぱなしにしていてもいいのだが、運悪く課題が出ている。シンジが家にいれば、借りることもできるのだが――
(……関係ないわ、あんなやつ。もう家に入れてやるつもりもないし)
自然とシンジのことを連想してしまう自分に、アスカは苛立った。しかし、ここのところのイライラも、集中力の無さも、あるいは朝鏡の前に立ったときの冴えない表情も、みなシンジに原因があるのではないかと思う部分もある。
(気のせいよ、気のせいに決まってる。シンジが近くにいなくたって、ヒカリとどうにかなったって――私の心にはなんの影響もあるわけない)
けれど、そんなことを認めてやるわけにはいかない。
と、教室の前にたどり着いたアスカは、訝しさを感じで眉根を寄せた。滅多に――というか、全く使われない廊下側の窓のカーテンが閉められている。中からは複数の声が漏れていた。
言い知れぬ不安を感じて、アスカは扉に手を掛けた。そのまま、横に開こうとするが動かない。鍵が掛けられている。
胸騒ぎが大きくなる。
「誰かいるの?」
ノックをしてみるが、返答はない。ただ会話はやんだようだ。
「ねえ、誰かいるんでしょ。開けてよ」
ノックを速く、強くする。焦りがある。心の奥が早く中に入れと、急き立てる。
「さっさと開けなさいよっ! いるのは分かってるんだから!」
アスカは怒鳴って、大きな音を立てて戸が揺れるほど強く、拳を叩き付けた。これでも開けないなら、蹴り破ってやろうかと本気で思う。
と、前触れなく鍵を外す音がして、戸が開かれた。
「……」
唐突であったため、アスカは拳を振り上げた格好で固まってしまった。目の前には見慣れたクラスメート。中は校庭側のカーテンも閉められていて薄暗い。それと、すえた匂いがアスカのいる場所まで漂ってきている。
意を決して中に踏み入れて、アスカは目を疑った。
教室の中にはクラスの女子全員が――いや、レイはいない――いて、素っ裸に剥かれたシンジが床に寝かされ、手足を押さえつけられている。
「なによ、これ……?」
ただ漏れてしまった言葉、答えを期待したわけではなかったが、
「碇君の精処理をみんなで手伝ってあげてるの」
ヒカリが――笑顔で――告げてくる。
え? え? え? 意味が分からない。わけが分からない。いくつもの疑問符が頭の中に並ぶ。
頭の中を必死に整理して、どうにかこれが現実があることだけは分かると、
「ふざけないで! どう見たってレイプじゃない! なにやってんのよ」
アスカはヒカリに詰め寄り、胸元を掴んだ。ヒカリは笑みのまま、冷ややかにも感じられる視線で見返してくる。
「私、ヒカリがシンジと付き合うって言ったから……」
アスカは尻すぼみに言葉を途切れさせた。言ったから、なんだろう。今、頭の中に強く浮かんだのに、忘れてしまった。
「レイプなわけないじゃん。碇君、こー見えても立派な男の子だし、嫌がってなんてないし」
声に顔を巡らすと、シンジのすぐ前にしゃがんでいる少女。クラスで一番背の低い子だ。
シンジの顔見る。口はガムテープで塞がれ、目元には涙の後、視線は情けなくアスカに助けを求めている。
「どこをどうみりゃ、嫌がってないっていえんのよっ!」
一喝したつもりだったが、小柄な少女は全く動じずに、
「ここ、ここ」
シンジの性器を握った。
「嫌だったらぁ、二回も出した後で、こんなにびんびんにさせてるわけないじゃん」
初めてまじまじと見るシンジの性器は、確かに猛々しく勃起している。今まで三度目撃してしまった時と同じように。長く、太く、硬く、なにより熱そうだ。
「っ!」
アスカは、少女の頬を張っていた。
「きゃっ」
悲鳴を上げて少女は倒れる。
「なにすんのよ!」
起き上がり猛然と向かってくる少女に、アスカはもう一度手を振り上げたが、それを叩き付けるよりも早く、
「やめて」
ヒカリが間に入ってくる。
「でも――」
「いいから」
納得がいかない様子の少女を、ヒカリがなだめた。
「アスカは今までずっとしたいと思ってたことを、私たちに先を越されてちょっと怒っているだけなのよ。 ね?」
アスカの方に首を振り返らせ、言う。
「なっ!?」
普段のヒカリからは想像もつかない言葉に、アスカは驚愕した。そんなことない。あるはずない。胸中で繰り返す。
「もう我慢しなくてもいいのよ。好きにしていいのよ、碇君のおちんちん」
「ふざけないで!」
ヒカリの声を振り払うように、アスカは腕を横に振った。その拍子に、視線がシンジの性器を捉えた。血管が浮き出て、これでもかというほど膨張している。痛くはないのだろうかと不安になってしまう。
肉棒――そんな卑猥な言葉が、ぴったりな物体。最初に目撃してしまった夜は、その形が頭から離れず寝付けなかった。男性器とは皆あんなに大きいのだろうかと思った。二度目に見たときにはリツコに握られていて、その後に原因を知った。三度目は、ヒカリが顔を精液で白く染めていた。
怒りが湧いた。リツコが、ヒカリが、シンジが憎かった。それは――
「触りたかったんでしょ、アスカも」
ヒカリが耳元で囁く。
(さ、触るくらいなら……)
ふらふらと、体が勝手にシンジの前にしゃがみ込んでしまう。手が伸びて、ペニスを鷲掴みにした。
(熱い……)
皮膚を通して熱が伝わってくる。力を込めてみると、驚くほど硬い。
鈴口からは透明な滴が漏れ出していた。どうしてか分からないが、その滴が――そんなものが堪らなく美味しそうに見える。舐めてみたいという衝動が、急速に大きくなっていく。
アスカは、シンジの顔を覗いた。彼もこちらを見ていて、視線が交差する。シンジは目で助けを求めている。嫌々するように首を振っても見せた。
(なによ、馬鹿シンジ。他の女には散々しゃぶらせといて、この私にはさせないつもり?)
アスカは構わず、亀頭に口を着けた。鈴口に溜まった汁をすする。
(甘い……)
味覚の甘さではなくて、胸の奥に響くようなそんな甘さ。
「あぁーーっ!」
大声が上がった。あの背の低い少女だ。
「今は私の番――」
「いいの。アスカは、いいのよ」
文句を言い掛けた少女を、またヒカリが押し止める。少女は、納得できない様子で頬を膨らませた。
夢中で汁を吸うが、もちろんすぐに無くなってしまう。
「もっと出しなさいよ、馬鹿シンジッ」
もっと味わいたくて、手で陰茎を擦り、もう片方の手で睾丸を揉みしだいた。亀頭は口に含み、一滴も逃すまいと待ち受ける。
我慢汁が出てくると、アスカは両手でペニスを掴み絞り出すようにして、それを飲んだ。
(あぁ、美味しい…なんでこんなところからでる汁が、こんなに美味しいのよ……)
やがて、シンジが苦悶の表情を見せ始める。
「?」
その直後、口の中でシンジのペニスが爆ぜた。それまでの汁とは違う、熱く粘っこい液体が口内にぶちまけられる。
あまりの量にアスカは口を離してしまった。口から出た後にも射精は続いていて、アスカの顔に付着する。青臭い匂いが鼻を刺した。
精液は飲み下しずらかったが、やはり胸に甘さを広げてくれる。痛くてどうしようもなかった場所を癒してくれるように。
アスカが荒く息を継いでいると、射精して萎えかけたシンジのペニスが見る間に復活し、再び天井を向いた。
「なんだ、まだ元気なんじゃない」
アスカは立ち上がると、ショーツを脱ぎ去った。
シンジの体を跨ぐ。
「ちょっと、ちょっと、本番はみんながフェラした後にするんでしょ? いいの? ねえ、いいの?」
後ろで小柄な少女が、ヒカリの制服の袖を引っ張って騒いでいる。ヒカリは黙ったままだ。
止められたって、やめるつもりなんかない。今まで、散々のけ者にされたのだから。
「うぅ、ううぅ」
呻き声を上げながら、シンジは必死に首を振る。
(ふ~ん、そんなに私とするのは嫌ってわけ?)
少しだけ、寂しい気持ちになるが、
(それなら意地でも犯ってやるわよ。なにをしたって私が一番だってこと、教えてあげるから)
アスカは逆に意欲を燃やして、シンジのペニスを掴み、狙いを定めて腰を落とした。
「うぅっ」
「あっ、あぁっ」
シンジとアスカは、同時に声を上げた。
秘所が、巨大なペニスに押し広げられる。亀頭を飲み込むのだけでも一苦労だ。
痛い。自分の指以外のものを初めて受け入れる秘所が、裂けてしまうのではないかと思える。けれどそれ以上に、このペニスを完全に飲み込まなければいけないと感じる。
「あぁ、あぁっ、うぅぅっ!」
アスカは、うなりながら腰を下げ続けた。
やがてシンジのペニスは、全てアスカの秘所に飲み込まれる。
「はぁ……はぁ……あぁ」
身体の芯から喜びが湧き上がる。全く異なる体の、男性器と女性器。それがぴったりと繋がっている。まるで定められたように。
「どうよ、私の中は?」
見下ろして聞くが、シンジは瞳に涙を浮かべるばかりで答えてくれない。
(なによ、私はこんなに嬉しいのに――嬉しいって体が感じてるのに。あんたは、なんにも感じないわけ? いいわよ、だったら無理やりにでも感じさせてあげるわ)
アスカは、腰を上下に動かし始めた。
「あ、あっ、はぁっ」
嬌声が口から漏れる。大きく広げられた膣内が、ペニスに削られる。巨大な男性器は、感じる部分全てを同時に刺激していた。
「はぅ、馬鹿シンジ…あんたも、もっと気持ち良さそうな顔、しなさいよっ」
「うぅ、うぅっ、ううぅううっ」
シンジが快感に堪えるように、眉根を寄せる。
「ふふっ、ようやく色っぽい顔になったじゃない」
アスカはシンジの胸に手を付いて、腰の動きを激しくさせた。こうしていると、世の中の他のことは全て煩わしいもののように思えてくる。ただこうして性器を結合させるために、自分は生まれてきたのではないかと、そんな錯覚さえ覚える。
「うぅっ! うぅぅっ!」
シンジの呻き声が大きくなり、どうにかアスカの下から逃れようともがき始める。手足を完全に押さえつけられた状態で逃げようもないが。
「なによ、イキそうなの? いいわよ。出しなさいよ。あんたの汚い精液、全部私の中に出しちゃいなさいよっ!」
アスカは、腰の動きを限界まで早くした。
「うぅうぅぅぅっ!」
シンジの悲鳴と共に、アスカの膣内に精液が放出される。
「出てる……あぁ、出てるわよ。あんたの精液、私の中に……」
満たされる。満たされていく。
「全部よ。全部出しなさい」
告げるが、シンジは滂沱の涙を流している。と、
「ねえ、終わったなら早くどいてよ。私の番なんだから」
肩に掛けられた少女の手を、アスカは鋭く振り払った。
「嫌よ……」
血を吐くようにつぶやく。
「え?」
払われた手を抱いた少女が、怪訝な面持ちをする。アスカの様子の変化に気圧されたのか、ヒカリの側まで後退っていた。
「〝これ〟は私のものなんだから、あんた達になんて、指一本触れさせないわ!」
アスカは、ありったけの声量で叫んだ。
叫び声が消えた後には、静寂が訪れた。小柄な少女も、他の女子も、ヒカリでさえも、もちろんシンジも、一言も発さない。
「ほら、馬鹿シンジ、まだ残ってんでしょ? あんたの玉ん中、空になるまでするわよ」
アスカは、ゆっくりと腰の動きを再開させた。
◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆
「うっ……うぅ……」
シンジは漏れそうに鳴る声を、必死に抑えた。
見下ろすと、性器を嬲っているアスカが、意地悪い目で笑っている。
「声、出したっていいのよ。気持ちいいんでしょ? 聞かせなさいよ、女の子みたいな声」
(出せるはず、ないじゃないか……)
それを分かっていて、アスカは言っている。トイレの個室の中。それも女子用――男子用は、アスカに却下された。
「あぁ、出るよ、アスカ……」
射精するときは言えと、アスカに命じられているので、その通りに告げる。
「いいわよ、出しなさいよ」
「うん…はぁ、うぅぅっ」
許可を受けて、シンジはアスカの口の中に精液を噴き出させた。
アスカはそれを飲み干して、口の端から漏れた精液も舌で舐め取った。実に艶っぽい表情を浮かべる。
シンジは、自身の性器が大きさだけでなく、なにか女性を魅了する要素を植え付けられていることに薄々気づいてはいた。
「ふぅ、やっぱり口だけじゃ物足りないけど、本番するには休み時間は短すぎるわね。帰ったら、たっぷりするわよ」
「あ、でも、今日は委員長達と……」
「そっか。泣いて頼むから、一週間に一度だけは、あんたを貸すことにしたんだったわね。いいわ、とっとと終わらせて帰ってきなさいよ。どうせ、あんた私じゃなきゃ満足できないんでしょ?」
自身に満ちた表情でアスカが言う。実際アスカは、誰より強く求めてくれる。愛情だと、誤解してしまいそうになるほど。。
もう元の性器に戻して欲しいなんて思わない。求めてもらえることは、なによりの幸福だ。それが自分ではなく、自分の性器でしかないとしても。彼女たちがシンジのペニスの虜になってしまっているように、シンジもまた――
「ふふ、また大きくなってんじゃない。帰ってからのこと、想像した?」
快楽の虜になっていた。逃れようがない。逃れたくもない。