※この作品はR-18です。

速水奏ちゃんがメスガキ(?)を卒業したようです   作:ふりーじ屋/家庭内禁書

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これは有償依頼63件目にあたります。

※あらすじ
立ちバック→正常位→(休憩)→パイズリフェラ→騎乗位→正常位、主にキスハメともみやで乳です。
あいまにいっしょにお鍋を食べます。


速水奏ちゃんは先生のおうちでお腹いっぱいにしてもらうようです

「空がこんなに早く暗くなると、すっかり冬なんだって気がしますね。夏だったら、まだ空が明るい時間なのに」

「暗くなったら子供が家に帰る時間なんだがな」

「子供が帰ったそのあとは、まぁるい大きなお月さま……って歌がありましたね」

 

 速水奏が、子供のように澄んだ声音で童謡を口ずさんでいた。奏の歌を聞いて、彼は一呼吸ほど胸が締め付けられた。いまの奏より彼が年少だったある日の黄昏、家路を急いでいたときの、よそよそしくそわそわした雰囲気が不意に蘇って、奏が黙っているあいだに薄れた。

 

「送ってやるよ。もう暗いし」

「ご冗談を」

「門限破りの言い訳を一緒に考えてやるから」

「必要ありません」

「お前が決めることなのか、それ」

「両親が家にいませんから。年末年始はいつもそうです」

「だからって、家に帰らなくていいってことにはならんぞ」

「だいじょうぶですよ。私、優等生ですから。少なくとも、両親はそう思っているので」

「バレなきゃいいってか。とんだ優等生がいたもんだ」

「先生が言うと説得力がありますね、むしろ」

 

 奏はくすくす笑いながら、彼の前で部屋をゆったり歩いて回った。娘よりスリッパの足音がおとなしいな、と彼が考えていると、あるドアの前で足を止めていた。

 

「こっち、先生がいつも使っているベッドルームなんですよね」

「寝るには早い時間じゃないか? メシもまだだぞ」

「ふふ、遅い時間なんだか早い時間なんだか。とにかく、夜ですよね」

「まぁ、夜だな」

「私、あんまり夜に出かけないので緊張していますよ」

「……へぇ?」

「特に、先生のおうちは初めてですし」

 

 奏と彼がたたずんでいる部屋は、彼が家族で住む家のリビング・ダイニングだった。

 

「速水は、映画が好きだったっけか」

「そうですけれど」

「レイトショー観に行かないのか? 空いてるし、ハズレ客少ないし、ちょっと安くなるし」

「観られないんですよ。私の歳だと」

「……そうなのか」

「なんで意外そうな顔するんですか」

「観ようと思えば観られるだろうに」

「どういう意味ですか」

「速水は大人っぽいから」

「学割のほうが安いんです」

「そうか、学生証を見せちゃったらさすがに」

「私の学生証、見ながらシてみますか?」

「やめてくれ」

「ふふっ、気が変わったら私におねだりしてくださいね、先生」

 

 奏は寝室へのドアノブに手をかけながら、彼に笑いかけた。

 嘲り半分、親しみ半分――奏以外の人間からは彼が見たことのない――名状しがたい笑みだった。

 

 

 

「ベッド、奥さんと別にしてるんですね」

「教師はなぁ。朝早かったり夜遅かったりだから」

「脚の長いベッドじゃありませんか。私、座ったら足が届かないかも」

「下に収納があるやつだから」

 

 奏は、ふだん彼が使っているベッドに勝手に深く腰掛けて、膝下を行儀悪くわざとらしくぶらぶらさせていた。深いグレーで浅いプリーツのスカートを膝丈まで垂らしていて、彼の視界で奏の膝頭が見え隠れしていた。

 奏の上半身は、オフホワイトでオフショルダーのセーターが覆っていた。織りでロープのように立体的な模様をつけていて、彼が――女子中学生にしては落ち着き過ぎて――野暮ったいと思うデザインだった。デコルテを胸元から肩甲骨へ、赤紫のレースのキャミソールの肩紐が横切っていた。ウエストラインを、奏の手に対しては少し太いレザーベルトで引き締めていた。

 

「先生、先に脱いでくださいよ」

「はいはい」

 

 奏は、当然のような口ぶり、身ぶり、手ぶりで彼に脱衣を要求した。へりくつでも言えば彼なら要求をのんでくれる、と信じ切っているようだった。実際、奏は――「先生のご家族、お留守なんですか? それなら先生の家、行きたいです。その日は私も空いていて……いいでしょう、娘さんのクリスマスプレゼント選ぶの手伝ってあげたんですから」――理由になっていない理由だけで、強引に彼の家の客となっていた。

 

「先に、ですよ」

「はい、はい」

 

 彼は気が進まなさそうな声音で返事した。それでいて滞りなく事務的に、シャツのボタンを外し、袖から手と腕を抜き、ベルトを緩めてスラックスを下ろした。奏がそこに座っていないかのようだった。

 

「脱がされているときの先生のお顔は、ここでも面白いですね」

「とんだ趣味だな」

「体育倉庫とどっちのほうが気まずいですか?」

「甲乙つけがたいな」

「でも、きょうは体育倉庫よりずっとゆっくり過ごせますよ。こっち来てください」

 

 脱衣が終わって立ち尽くす彼を、奏がベッドに座ったまま見上げていた。両腕をアンダーバストで組んで、背をわずかに屈めていた。広々したセーターのネックラインからあふれ出しそうなバストを、わざとらしく彼に見せつけた。

 

「中学生の教え子を家に上げて、シてしまうんですよね、セックス」

「きょうは、まだシないでも済むぞ」

「そう言ってくださるから、けっきょくシたくなるんです」

「あまのじゃくだな」

 

 彼は、奏の口ぶりが実年齢なりに子供っぽいと感じた。それでいて、すっかり花盛りのような色香と、ほとんど成熟しきったような肉付きも感じさせられた。まったく釣り合っていない。理性ががたがたと震えて、めまいか酔いのような感覚に襲われた。

 彼が奏と同じ年齢だったころ、同世代の女子に恋をした経験が少しあった。セックスアピールを感じた経験はまったくなかった。若かりし彼がセックスアピールを感じたのは、当時の彼よりもう少し年上の女性の肉体だった。彼にとって思春期の肉体は、男子でも女子でも、骨が先に成長して肉が成長に追いつかないせいで、手足や胴が棒切れのように心細く見えた。これではそそられようがなかった。

 そんな彼も、教職に就いてから数十年を経るうちに「最近の子は、成長が早い」と口で言ったことはあった。それでも、心では自分が中学生だったときの感覚を根強く残していた。

 奏がそれを覆すまでは。

 

「シたいんです、とことん」

「あまのじゃく、って言った途端にこれかよ」

「うふふ。先生がシたいことも、シてほしいんです」

 

 奏が立ち上がって、一歩二歩と脚を曲げ伸ばしして、彼のすぐそばで止まった。スリッパの足音がほとんど聞こえなかった。隠さなければならないと見せつけるための忍び足。

 

「どうしましょうか、ねぇ」

 

 奏はレザーベルトの金具をぱちんと外した。セーター越しの戒めをするりとほどいた。ゆるんだセーターの裾をつまんで、彼に握らせた。

 

「脱がせてくださいよ」

「はぁ。じゃあ、腕を上げて」

「むりやり脱がせてくださいよ」

「自分で言ってておかしいって思わないか」

「私を脱がせてしまったら、私の服をくしゃくしゃにして遠くに投げちゃってくださいね」

「着替えの用意がないぞ」

「へぇ」

「女物はあるが、勝手に使うわけにもいかないし」

「私は裸にされて、ここから逃げられなくなるの」

 

 彼の指先がぎゅうと緊張して、セーターをわずかにこわばらせた。奏は一瞬だけ息を呑んで、細く長いため息をついて、彼の指先を握り直した。

 

「夢に見てしまうことがあるんですよ」

「……どんな夢だ?」

「初めて先生にレイプされちゃったとき、日が暮れたあともあのままあの部屋に閉じ込められて、ずっと犯されていたらって」

「もしそうしてたら、速水と俺がいまこうしていることもなかっただろうな」

「そうなんですよねぇ」

 

 奏は、言葉の余韻が消えたあとも、くちびるを薄く開けていた。かすかに呼吸を波打たせていた。深くくぼんだ鎖骨と丸々とした乳房とに刷かれた陰が、それぞれわずかに動くぐらいだった。彼の指先を握ったままだった。

 

「シてよ、先生」

 

 細くてやわらかい体が、手首より先だけ頑なになっていた。

 

「れぅ、はむ……ん、ちゅっ……」

 

 瞬き二度か三度のあいだ見つめ合って、それからお互いに少し顔を傾けて、口づけた。探り合うように、軽くとぎれとぎれにくちびるを重ねた。

 

「あぁ、やめちゃったんですね。メビウスでしたっけ」

「もともと、家じゃ喫えない身分でさ」

「でも、やめてるんですよね」

「おう」

「いつまで続くかしら」

「なめるなよ。俺は何度も禁煙に成功したことがあるんだぞ」

「それ、同じ数だけ失敗してるってことじゃないですか」

 

 奏が、ぺろりと無造作にセーターの裾をまくり上げた。奏の笑みの下半分が彼の目から隠れて、代わりに例の成熟しきったふうな肉付きの素肌が飛び込んできた。

 

 

 

 

「ん、ぃ、や……、いや、です……ぁんっ、はぅ、んっ……んぅうっ……!」

 

 彼は、奏の着衣を手の届かないところに放り投げてやった。

 そうして、むりやりのように素肌を彼に暴かれてからも、奏はあまのじゃくを演じているようだった。

 

「いちおう言っておくけど、イヤよイヤよも好きのうち……ってのはウソだからな」

「先生は……私のウソ、お嫌いですか?」

「言い方が悪かったな。ウソというか、妄想」

「私は、ウソって言う響きのが……んんっ……!」

「うっかりお前好み過ぎる言い方しちまった気がして」

 

 ベッドに押し倒された奏は、くるりと彼に背を向けて、その背中と両脚とを胎児のように丸めた。

 横たわる奏の首と肩とが、存外に白くほっそりして見えて、彼は息を呑んだ。触ってもいいか確かめるように、肩甲骨をなでてやった。奏の肩甲骨が背筋の溝とともにびくりとそよいだ。

 

「……で、どうなんです?」

「いまのところ、嫌いになるほどひどいウソをつかれた覚えがないな」

「じゃあ、好きですよね、私のウソ」

「速水のウソは……愉快だから好きだが」

「違うんですか」

「ときどき愉快過ぎる」

 

 彼は、奏を背中から抱き寄せられるほどすぐ後ろに、体を横たえた。二人とも揃えたように右半身を上にしていた。

 

「ぇ、あっ……先生……っ」

「本当にダメなときは、肘打ちやら膝蹴りやらをかますもんだ」

「……つねるぐらいじゃ、ダメですか」

「たぶんダメだ。骨折れるぐらいやっちまえ」

「はぁい」

 

 彼は右腕をぬらりともたげさせて、奏の後ろ髪を撫でた。彼が初めて彼女を犯したときと同じぐらいねっとりとしていた。薄暗いせいか、目が弱っているせいか、生え際の和毛がにじんでみえた。初めてのときと違って、信じられないほど甘ったるい匂いがやってきた。

 

「胸、触るぞ」

「私が触っちゃイヤ、というかダメ……って言ったらどうするんですか」

「それこそダメだ」

「そんなの……あ……ふぁ、あ、んん……っ!」

 

 彼は指先を奏の乳房の膨らみに這わせた。すると乳房の弾力がいきなり増した気がした。まるで脂肪の塊が筋肉のマネをして緊張してみせたようだった。

 

「手は、イヤって言ってる……つもり、か?」

「んきゅっ、ふ……!? さ、さぁ、どうでしょうね……」

 

 どうやら奏が寝転んだまま両腕で胸を抱えていて、腕がこわばって乳房をぎゅうと押したらしかった。さすがに、彼の手に不意をつかれたのか。

 その割に、彼は奏の吐息がゆるやかだと思った。口元が静かな一方で、奏の腰の向こうに小さくそわそわした気配を感じ取った。奏の膝やふくらはぎがシーツをこすって立つ音が、彼の耳についたらしかった。

 

「そんな細い腕じゃ、カバーしきれんだろ。でかいんだから」

「だからって、触っていいってわけじゃ……っん、ふ、あっ、あぅ、んんっ……!」

「どっちかハッキリしないと……都合のいいようにとられてしまうし、とってしまうぞ、俺が」

 

 彼から見て、奏の抵抗はまったく真剣味がなかった。抵抗より挑発と呼んだほうがしっくりくるほど効き目がなかった。奏の手が、乳房のアンダー側半分ほどしか隠せていない。トップ側はまるで無防備。彼が指先を軽く曲げてつついてやると、手の甲を奏に軽くつねられた。乳房の肌を舐めるように手のひらを寄せてやると、右肩をかたかた動かして邪魔された。

 

「んっ、ふぁぁっ……そ、そこっ……んっ、んくっ……」

 

 彼は指先を奏の乳房から離した。奏の右肩から二の腕、前腕をするするなぞっていった。手首あたりで乳房に方向転換すると、乳首らしき感触に引っかかった。

 奏は右手首と手のひらの境目あたりでカバーしていたつもりだったらしいが、彼の指先がつるりと入り込めた。

 

「んっ……ぁ、そ、こ……」

「うん、まだやわいな」

「やっ……やわい、って、なんです」

「乳首が。そんなに興奮してるわけじゃないか」

「次そんなこと言ったら本当にイヤって言いますよ」

「さっき俺がなんて言ったか覚えてるか?」

 

 彼が手を伸ばして指先で感じ取った限り、奏の左側の乳首は、右半身の体重と右手首の圧迫と、右乳房そのものの弾力とで押し合いへし合いされて、まるでうつむかされているようだった。

 彼は、それを指先で感じた瞬間、“興奮してるわけじゃない”と察して、しかもその判断を奏に聞かせてしまった。そんな自分がおかしくて仕方なかった。

 

「……だいたい、どこで判断してるんですか。男の人じゃないんですよ」

「さっきぎゅうぎゅうしてくれた指先とは、えらい違いだと思って」

「比べるところが間違ってます」

 

 いま見えないはずの奏の乳首の色づきを思い浮かべられた。彼女のくちびるよりほんの少しだけくすんだ薄桃色だった。いまよりもっと興奮して血が流れ込んでぴんぴんに勃起した乳首の感触も思い浮かべられた。奏のそれらは、人並みよりほんの少しだけ大きいようで、乳肉のボリュームに比べれば少し控えめなぐらいにぷっくりと育つ。彼の指先が圧迫してもぐいぐいと押し返すぐらいになる。そうなると、胸肌がもっと汗にまみれてぬるぬるしている。

 

「くひっ、ぁんっ! ……先生、強引、ですって……はぁぁっ、んぅぅぅっ……!」

「ダメだ、速水」

 

 指先で刺激を続けた。奏が首をすくめて、肩から腕あたりまでをこわばらせた。さわさわとシーツのこすれて立つ音がベッド上を行き来した。

 

「んっ、ふぁぁっ……そ、そこっ……んっ、んくっ……!」

 

 乳頭や乳輪をくすぐり続ける。奏の手や腕にごそごそ邪魔されるが、彼を払い除けてくるほどではない。奏に手の甲をつねられたぐらいの強さでつねり返してやろうか、と思って、止めておく。奏の首筋がイヤイヤするように振られて、ますます甘ったるい汗の匂いが色濃く迫ってくる。

 

「くすぐったいぐらいかな」

「え、えぇ、そうね……優し過ぎるぐらい……あっ、んんっ……」

 

 やっぱりつねり返してみる。

 

「んっ――ん、ひんぅっ……!! 先生、いじわる……!」

「俺が優しいわけないだろうが」

 

 奏が手で乳首を守ろうとするほど、彼はしつこく指先でそこをいじめた。うなじ側からでもわかるほど、奏がくちびるを噛み締めて声を殺すようになった。足元近くでシーツの音が右往左往していた。

 

「ふぅっ、うぅぅっ……んぅっ、ん、っ……」

「左手も使っていいか?」

「や、いきなり、耳元で……んっ、シたければ、どうぞ……?」

 

 後ろから両腕を回すと、奏の細さが彼の骨にまで伝わってくるようだった。奏と何度セックスしてもこの感覚が蘇ってくる。これから奏以外の女とセックスすることがあったとしても、その瞬間に奏の記憶に襲われてしまうかもしれない、と心配になる。

 

「ぇ……あっ……っ、んっ……」

「感じて……いなくもない、ぐらいか」

「ふ、う……ちょっと、焦れちゃう……わ……ぇふ、ぇう、んっ……」

 

 奏は彼に背中を向けたままゆらりと首をかしげて、くちびるをとがらせて見せた。

 彼は、「自分が同じぐらいの角度で首を曲げたら、どこかの筋を痛めるだろうな」と感心した。奏にどこか剣呑な趣も感じていた。

 

「っ……っっうぅー……ぅ……!」

 

 不意に、両乳首をつねってやる。ねじってやる。さっきよりぷっくりと頼もしい手応え。奏の背筋もかすかにねじられる。シーツがざわつく。噛み締めたままの歯列から、すぅすぅと細切れの吐息が漏れる。

 

「そういう趣向もそそるがね、速水」

「趣向って、何ですか」

「そろそろ素直になってくれても、いいかと」

「私、あまのじゃくなんですよね?」

「きょうの速水は、膝下に出るから」

 

 それから彼が二度、三度と奏の胸を撫でさすった。

 やがて奏から忍び笑いのような声が聞こえて、おもむろに腕を背後に回した。

 

「きょうは胸ばっかり見てるって思ってたのに」

「うおっ……!?」

「でも先生だって、受け身に回ったとき、わかりやすいんですよ」

 

 奏は首を向こう側に向けたまま、真後ろに手を伸ばして彼のペニスをとらえていた。

 

「先生でも、わかりやすいんですよ。こうなりますと、ね」

「はは、俺なんてちょろい男か」

 

 彼の脳裏に、ふと、奏が自分以外の男とセックスしている可能性が浮かんだ。奏が望めば、そう難しくないことだと思った。むしろ女ともセックスに及んでいるかもしれない、と想像が飛んだ。奏をレイプした人間が彼女の性生活について“望めば”などと勝手に前提をつけていることがおかしかった。おかしな考えがさらに跳ねて、彼以外とはセックスしていなさそうな気もしていた。そちらの根拠は、いま彼女がわざわざ彼とセックスしていること以外に浮かばなかった。

 

「うぉ、ふ、ぅ……」

「ふふっ。後ろ手だと、触る側としては新鮮ですが……先生、どう思います?」

「不意打ちみたいで……う、くっ……!」

 

 奏が後ろ手で彼のペニスに触れたり離れたりする。愛撫というには無造作だった。手遊びというには執拗だった。奏の左右の肩甲骨が、背筋を締め付けるようにぎゅっと寄せられていた。

 彼は奏の胸から手を離した。

 

「あらら、先生。もう私のお胸はよろしいのですか」

「んぐ、くっ……邪魔しちゃ、悪いかと思って……んんっ」

「せっかく、私が無防備になってしまっているのに」

 

 奏の声音は、両腕で防備らしきものを固めていたときより、むしろ自信ありげに聞こえていた。

 

「それとも、先生はイヤがっている女のほうが興奮しますか」

「そこまで難儀な性癖してないよ」

「どうだか」

 

 奏は左手を丸めて彼のペニスを握った。右手の指先でペニスのあちこちをくすぐり始めた。どうやらそれがしっくりくるらしい。

 

「ん、ぐっ……」

「固くなってきてますね、先生」

「おかげさまで、な」

「じゃあ、しましょう。キスも」

 

 奏が、こんどは首と肩とウエストあたりまでねじって、彼に横顔と流し目を投げつけてきた。彼が左肘をベッドへ突いて上体をずらすと、さして負担なくくちびるを合わせられた。

 また、彼は理由になっていない理由で奏の望みを叶えてやった。

 

「ふぁ、あ、んぷっ……れりゅ、んぅうっ……」

 

 二人の手と足が擦れ合ったり絡み合ったり、ときに互いを縛るように力んだ。圧迫でぬちゃりと潰され押し延べられていくように、愛撫の応酬が肌に薄く燃え広がっていった。

 

「れぅ、はむ……んくっ、ちゅ……あっ、んんっ……!」

 

 彼は、ついに奏の秘所へ指を伸ばした。こんや初めて触れるそこは、ほんのりとぬるく湿っていた。汗か愛液かわからなかった。

 

「ん、ぅ、あっ……は、あっ……触られ、ちゃいました、ね……」

「なんだ、初々しいぞ。最初よりずっと」

「いけませんか?」

「いや」

「けっこうでしょう。二重丸でしょう」

「テストの採点じゃないんだから」

「ふふ、ごめんなさい。おうちでお仕事のこと思い出させちゃいましたね……きゃっ……!」

「速水、お前わざと言ってるだろう」

「さぁ、どうでしょうね」

 

 彼はいまさらながら、教え子と自宅の寝室でわいせつ行為に及んでいる状況を気付かされた。意識の上に焼き付けられた。

 

「んっ……ま、まだ……しつこく、してください……!」

 

 きめ細か過ぎて、中年の弱った目には人間離れしてつるつるしているように見える肌が、来てはいけない距離に来ていた。

 

「っん、ふ、あっ、あぅ、んんっ……」

 

 細くしなやかにねじられた首筋と、ほんのり空気をはらんで膨らんでいる後ろ髪とが、届けてはいけない匂いを届けていた。

 

「んぷ、ちゅっ、ぢゅぅうぅ……!」

 

 くちびるが、触れてはいけない味と体温とに触れていた。

 

「ねぇ、シてください、初めてのときみたいに」

「……初めてのとき、って」

 

 そうと知ってか、奏はさらにもう一つ彼に禁を破らせようとしていた。

 

「立ったままの私を、後ろから、乱暴に、ゴムも着けないで、好き放題に……」

「……あぁ」

 

 唐突に彼を突き放して、ベッドから跳ねるように降りた。

 

「いけないんだ、先生っ」

 

 彼に聞こえた奏の声音は、彼女の背中よりうきうきと弾んでいるようだった。

 

 

 

 

「ゴムなんか、いらないんですって……だいじょうぶ、ですからっ」

「いやいや、お前」

「うふふ、そうですね……着けてたってだいじょうぶじゃありませんでした、先生は」

 

 彼は顔を上げた。奏が汗ばんだ肌もあらわに、壁に手をついているのが見えた。細い肩越しに、また横顔からの視線を注いでいた。奏の肌が鮮やか過ぎて、見慣れているはずの壁紙が妙に沈んで見えた。

 

「だめだめ、だめですっ……先生、やめて……!」

「そんなこと言ってなかっただろお前」

「いいじゃないですか。あの日とは違うんだから」

 

 視線に絡め取られて、手足が動いた。

 奏の丸くて白い尻肉に、すぐにでも挿入できそうなペニスをあてがってやった。奏の横顔が目も口も横に細長くして、くすくすと笑っていた。

 

「う……や、ですって……そこ、だ、め……んんっ……!」

「この姿勢なぁ……俺、腰いわせないか心配なんだけどな」

「じゃあ激しくしてください、あの日より……むしろ、いままででいちばん」

「速水」

「はぁい」

「お前ちょっと黙ろうか」

 

 小首をかしげていた奏の顔が、苦悶のように眉根をゆがめ、嘲笑のように舌をはみ出させた。

 

「うっ、ぅあ……ふ、ぁ、あ、はーっ……お゙っ、ほぁっ……!? い、いきなり、ぉく……ん゙ぁ゙……っ!」

「……黙れって言うと、騒がしくなりやがって、きょうの速水は……!」

 

 奏は尻や太ももやふくらはぎや、おおよそ下半身の主な筋肉をびりびりとこわばらせていた。肌の上にうっすら見て取れるほどだった。さっき膝下でシーツに寄せたシワと同じぐらい引き攣れていた。

 けれど彼にいちばん伝わっているのは膣肉のそれだった。

 

「お゙っ、く……うぁ、お゙っ、おっぐ、んんっあ、ゔぅっ、ううあぅ……!」

「舌ぁ噛むなよ……」

 

 奏が壁に向かって肘をこすったり、手のひらで叩いてばたばた騒いだりしていた。首をふるふると横に振っていた。

 そのくせ尻肉と膣肉は彼にべったり吸い付いて、彼の乱暴な前後運動を逆に追い回すようだった。

 

「余裕ぶってるのか、違うのか、どっちだよっ」

「あはっ……いーっ、ひぁ、ひっ……う、ゔ……あうっ……ゔ……ッ……!」

 

 彼が奏の膣奥を何度か捉えると、そのたびに奏の背筋がきりきりと仰け反った。さらに何度か繰り返すと、首が縦に振られているか横に振られているか定かでなくなっていった。

 

「ハッ、ハッ、はっ、ハッ、はぁっ……! せんせ、はげ、し……は、あ、んあ、はっ、あ゙ああっ……!」

 

 彼はどんどんピストンを重ねた。汗が多く濃くなってきた。ぬるぬるしてきた奏の尻と腰とをつかみ直さなければならなかった。ばつん、ばつん、と肉を打ち付けた。すぐ近くで、尻肉より控えめな肉のぶつかる音もぱつぱつ響いた。どうやら奏の大きな乳房が勢いよく揺らされて、肋骨あたりの肌にぶつかって鳴っているらしかった。いまさら奏のバストサイズに感心した。

 

「……ふぁっ、ほんとに、それっ、そぇ、だめ、だめ」

 

 やわやわと胸をまさぐった。両方の乳肉がふくれっ面のようにやわらかく反発していた。

 乳輪を探し当てた。そのあたりの乳肉を黙ってひっつかんだ。ぐりゅぐりゅと指先に力を込めた。奏の乳首はすっかりのぼせあがっていて、潰れる心配などさっぱりなさそうだった。

 

「……ひぃっ! ほっ、ほぉっあああ゙っ、あぁあ゙、あ゙ーっ……!」

「何が本当なんだかわからんぞ……」

 

 ピストンを再開した。いくらも往復しないうちに、膣肉がきゅうきゅうと痙攣して、びしゃびしゃと水音が舞い散って床やら壁やらにシミを作った。妻に怪しまれたらどうしよう、と一呼吸のあいだだけ考えた。

 

「はぁ、はぁ……んっ、や、あっ、だめ……はぅ、ほぁっ、はぁっ……あああっ!」

 

 彼の衝動が考えに巻き付かれて、わずかに勢いが減じて、ピストンがだらだら慣性任せになった。入れ替わるように、腟内がペニスにヒステリックなほど強く絡んできた。圧迫どころか、むしろ圧搾というほど強くなっていた。結合部からぐじゅぐじゅと粘って泡立つ体液が漏れて垂れ落ち、彼の危惧もどこかに滑り落ちていった。

 

「どっちが先に腰砕けになっちまうかな」

「も、ぅ……むり、むぃ、ですか……? ゔっ、ゔっあ、お、ぉくだめっ」

「俺は、速水の奥ばっかりコツコツやるほうが安心だが」

「あ、や、ぁ……わ、私、なか、ぁ……っく、く…………くううう、うゔぅっ……!」

 

 寝室のあまり明るくない照明の下でも、彼のあまりよくない視力でも、奏の肩や背筋のくぼみで光と影がゆらゆら行き来するようすが見えた。網膜にぼやけて映っていると、乾ききっていないままぐしゃぐしゃにされた油彩画のように、むしろ彼の脳裏にべったりとこびり付いた。

 

「はぁ、はぁ……んっ、や、あっ……もっと……っ! もっと、して、くださ……ああっ……!」

「……ぉ、お、っ、しま、る……! 本当に、ナカで、出しちまうかもな……」

 

 彼は、膣内射精など何年ぶりだろう、と思い出そうとした。はかどらなかった。奏を資料室でレイプしたときはどうだったか。

 

「んぐぅうっ、ううゔっ!! はぁっ、はぁっ…ぃ、いぐっ……むっ、もおおお゙っ!」

 

 奏が壁についたままの手で、どうにか口を塞ごうと悪戦苦闘していた。声を殺せないぐらい切羽詰まっていて、そんな声を聞かせたくないと恥じらうぐらいには余裕があるらしかった。

 腟内がますますヒステリックになった。

 

「あ、う……く、もう、で、る……ぉお゙イグ……ぅ……っ!」

 

 彼は奏の奥底を、ペニスでコツコツと刺激し続けていた。腰を引いて突き出して、膣内をえぐって尻を叩いて、乳首をつねって乳房をもみくちゃにして、そのうちに彼のペニスがついに射精した。そのくせ最初のレイプをなぞるように、ペニスを膣内から抜こうとした。奏の丸々として微痙攣する尻を、どろどろの精液が汚していた。

 

「ハッ、はっ、ハッ、はぁっ……! ふ、うふ、とうとう、ナカに、出しちゃいましたね、先生……?」

 

 彼から精液を塗りたくられながら、奏はくつくつと笑った。

 

 

 

 

「速水は……そんなに乱暴にされてる割に、楽しそうにするなぁ」

「……いけませんか?」

 

 彼は“速水奏という女子学生”に対して、憐れみのような感情を覚えることがあった。射精後のような醒めかけた瞬間にときおりそうなった。

 

「お前に爪痕が残ってしまってさ。強くつかみ過ぎたんだ。すまん」

「きょうに始まったことじゃありませんよね」

「そうだな」

「先生は、いけないってわかってても、シてくれますよね」

「あぁ」

 

 奏自身がそうと知りつつ口火を切ったとはいえ、教師からレイプされたというのに悲しんだり怒ったりしたようすを奏が彼に見せていなかった。一度も見せていなかった。それが引っかかっていた。

 そうなってしまう種の人間に、彼は教師生活の中でいくらか覚えがあった。

 

「じゃあ、次は優しく愛してくださいよ。そこに、ベッドもあるじゃないですか」

 

 速水奏という人間は、愛されたことが――少なくとも、彼のやり口より穏当に、平凡に――あるんだろうか。あるかどうか、どの生徒を見ても彼の経験上だいたいの想像がつく。

 だが、奏だけは彼にだいたいの想像すら許していない。

 

「……首に」

「首がどうしたんですか」

「俺の首に、手をかけてくれ、速水……ぐぇぇえ、違う、そうじゃない、締めるんじゃない」

「違うって……どうするんですか?」

「うなじに手首から引っ掛けて……もっと、しっかり手のほうに体重かけて」

「ベッドに運ばれるにも、マナーがあるんですか」

「マナーは知らないが……速水がそうしてくれないと、支点が俺の腰だけになって、負担がぜんぶ俺の腰にいっちまうんだよ」

「ああ、力点、支点、作用点って……理科の先生みたいですね」

 

 胸板に擦り寄せられた奏の頭髪が、彼は妙にくすぐったくてたまらなかった。

 

 

 

「仰向けに寝て抱かれるときって、すごく無防備な感じがするんですよ」

「バックよりもそうなのか?」

「そうかもしれませんね」

「どうでも良さそうだな、自分で言った割に」

 

 奏が――彼女自身で口にしたとおり――ベッドに顔向けに横たわって、ゆるゆると太ももを広げていた。立ちバックで責められて達したときの汗やら愛液やらが、まだ肌と粘膜とに張り付いていた。

 

「おしゃべりなら、入れてからでも……できますよね」

「そりゃあ、そうだが」

「正常位、っていうんでしたっけ、これ。シながらでもおしゃべりしやすいところ、好きですよ」

 

 彼は膝立ちで奏の太腿のあいだににじり寄って、秘所にペニスをあてがった。奏が手を伸ばして、茎と亀頭の輪郭線をくすぐるように軽く撫でてきた。

 

「あはは……ナカで感じると、おっきいなぁって思うんですけど。手でいじると、可愛いかなって気もします」

「……可愛いかぁ? んぐぉっ!?」

「ほら、いじると面白いですし」

「お前にかかりゃ、俺のチンポもおもちゃか」

 

 入り口にあてがい、ずぶずぶと腰を沈めていった。

 

「ん、んんっ……!」

 

 奏の膣内が、汚れを知らない処女のように狭くきつく彼を迎えた。それが一瞬のうちに過ぎ去って、すぐににゅるにゅると舐めしゃぶるような刺激に変わって、さっそく彼を快感に悶えさせた。精液を尻に塗りつけられた仕返しのようだった。

 

「んくぅぅぅ……んっ、はぁ、あっあっ……また、おっぱいですか……? お好き、ですね……」

「なんだ。しつこいって思われちまったか」

「そんな聞き方って、ないわ……んんんんっ……あうっ、ふぁあっ、ああっ」

 

 彼はさっきより奏の乳房をだいぶ味わいやすいと感じた。体位の違いのせいだと思った。ぷっくりとしこりたっている乳首をつねると、奏がかよわい悲鳴をあげながら肩から腹までをびくんと痙攣させた。膣内の刺激がまた一瞬だけきゅうきゅうと狭くきつくなった。

 

「ああっ……あっ、んっ、くふっ……きゃんっ……!? あ、ふ、ふぁ……ま、また、だめ、ぇ……!」

 

 乳房を弄ばれながら腟内をきつくしたりゆるくしたりする奏が、いつもより少女らしく感じられた。女らしい色香と仕草をしている最中の彼女に対して、ひどく反語めいた感想だ……と彼自身も思っていた。

 思うだけで乳首への愛撫を続けた。ときおりピストンも挟んだ。

 

「う、あっ……あう、あゃ、ぅ……っ!」

「おしゃべりしやすいって聞いたが……仰向けで、こんなもの腹に突っ込まれてたら、そんなに……大差ない気もするが」

「んんっ……それは、先生が……」

「俺が?」

「先生が、もっとこっちに来てくれれば……」

「はい、はい。おっぱいばっかりいじっててすまんね」

 

 彼は挿入したまま上体を傾け、重心が前に流れた。奏に覆いかぶさっていった。彼女の肩と首近くに手のひらを突いて支えた。以前、奏と同じ学年の女子生徒が、壁ドンがどうとかおしゃべりしていた光景を思い出した。彼はいまさらに「あれ、正常位の暗喩だったのか」と納得した。少女漫画の暗喩どころか、それを彼の目前で実際に演じている奏が、目を細めてくすくす笑っていた。

 

「おしゃべりだけじゃなくて、キスもしやすいんですよ」

「入れながらのキスって、歯を立ててしまいそうで怖いんだよな」

「……先生、気づいてます?」

「何を、思わせぶりなことを」

「先生って、キスしながらだと、射精が長いんですよ。どくどく……って」

「まさかぁ。射精なんていっつも一瞬じゃないか」

 

 奏の吐息が、彼の頬や首筋あたりをそよそよとくすぐっていた。奏の腕がまたおもむろに鎌首をもたげて、彼のうなじに手首をひっかけた。ベッドに運ばれたときをなぞるようだった。

 彼は奏の額に浮いた汗の雫をいくらかぬぐってみた。奏にくすくす笑われた。

 

「ウソじゃありませんって。試してみましょう、ね?」

「ああ、チンポだけじゃなくって、俺そのものがお前のおもちゃか」

「うふふ」

 

 頬が擦れ合う寸前の位置で一呼吸いれて、軽くくちびるを重ねる。

 

「ちゅっ、ちゅぷっ、んちゅっ……」

 

 自分がいままで積み上げてきた記憶やら経験やら価値観やらが、ほんの少しのバードキスで、ちゅっちゅっと軽い音にまぎれて、ぱちぱち弾けて消えてそれきり戻れなくなるかもしれない。もうそうなりつつある。

 そこまで思っていても、続けてしまう。

 

「はぷっ、んぐ……せんせ、もっと……ちゅる、ぢゅ、んふ、ぢゅうっ……んんっ……!」

 

 豊満なバストが、彼の胸板や腕に押し付けられた。むにゅんと潰れながら、強く弾んで彼を押し返していた。二人の肌のあいだで汗がべちゃべちゃとぬかるみのように鳴った。

 キスが深くなった。彼は波打つ奏から押し返されるままにしていた。すると奏が不平を鳴らすように、彼のくちびるへ軽く噛みついた。

 

「ふぇぷっ、ふぁ、あ、んぷっ……れりゅ、んぅうっ……ふ、くぅ、んん……ひああぁ、あぅ、う……!」

 

 接吻が途切れた。彼は黙ったまま奏を見下ろした。見上げてくる奏に言葉を奪われた気分だった。

 

「顔は……近い割に、見えにくいですね」

 

 奏が、いま顔を赤くして瞳や粘膜をとろけさせて喘いでいるままに、絶頂に喘いでのたうつだけのオンナになってくれたら、どうだろう……と思った。それこそおもちゃのようだった。さっき自分で口にした「おもちゃ」が投射だったかもしれない。

 

「ぁ、ふぁ、んっ……私も、キス、好きです……シてると、しゃべれないのが惜しいけれど……」

 

 奏に覆いかぶさったまま腰を上下に打ち付けた。ギシギシとベッドが音を立てているのがウソらしく聞こえた。速水奏とまともなベッドで寝られるはずがなかったのだ。きゅうきゅうと腟内が締め付けてくるのは本当らしく感じられた。速水奏とセックスできるはずはなかったのに。

 ペニスを覆ってくる感覚は、快楽が強過ぎてしびれて恐ろしくなるほどに高まっていた。

 

「あ、あ、あぁぁ……! あ、はっ……おしゃべりは、お預けですか? それ、ならっ……!」

 

 上から体ごと膣奥を叩かれながら、奏の四肢が彼に食いついた。ピストンに合わせて不規則に揺れる顔も、首筋に手を回して捉えた。奏のくちびるも襲いかかってきた。

 

「ふぎゅ、っく……だめ、だめ、逃しません、先生……っ……」

 

 結合部では恋人同士のように熱く濡れて交わりながら、くちびるではぎこちなく噛みつき合うキスを続けた。

 

「んぷ、んぐ……! ちゅ、れぅ、むぢゅっ、んんぐ、ぁぷ……っ!」

 

 恍惚の中で奏が身をよじっていた。奏の乳房が彼に押し付けられて、ずりゅずりゅ、ぐいぐいと何かをねだるように行ったり来たりしていた。

 彼はなだめるぐらいの力加減で、奏の肩や背中や尻を撫でたり拍ったりした。まるで返事のように、キスの合間にこくりと喉を鳴らすのが聞こえた。

 

「んぢゅる……れろ、えぅ、れろおぉっ、はむぅ……先生も、もう、すぐ……イッて、くださいます……?」

「もうイッて……余裕、ありそうじゃないか、速水は……」

「そう感じます……? ふふ、ぁは……ちゅ、ぢゅ……んんっ……!」

 

 奏の下腹と太腿とふくらはぎとが彼の腰に絡みついていた。結合部にぐりぐりと力をかけて、どこまでかうかがいしれないほど奥の底をこすりつけている風だった。膣内射精の催促を通り越して、子宮口で亀頭を舐めまわされているんじゃないか、と錯覚した。

 ひとたまりもなかった。

 

「っく、く……くううう、もう、で、ぇ……ぉ、あ……っ……!」

 

 出る、とつぶやいたつもりだった。つぶやいたころには、もう精液を放出していた。くちびるのあいだに、奏の舌をねじ込まれた。さらに強くずりゅずりゅと膣肉にこすられるのを感じながら、精液を吸い出されていた。結合部からあふれる水音が、ぐちゅぐちゅといっそう濁っていた。それを聞きながら、しつこい催促に屈して精液を搾り取られるままだった。

 

「ぁ、ふぁ……ふふっ、長いですよ、やっぱり……キス、してるときの先生は、ね……っ」

 

 奏のくちびるあたりから、舌なめずりのような響きが漏れた。奏がわざと聞かせたか、それとも偶然で聞こえてしまったのか、あるいは空耳か、どれとも彼が迷うほど無造作な響きだった。

 

 

 

 彼は、奏を風呂場に追いやった。体液でべちゃべちゃと汚れたシーツを剥がして洗濯機に放り込んだ。タンスから新しいシーツを出して、これも翌朝までに使い物にならなくなったらどうしようと思った。すぐ、考えてどうにかなることでもなかったと割り切って、シーツをかけ直した。

 

「お湯、いただきましたよ」

 

 彼が見る限り、奏は風呂上がりまで静かでしおらしい少女の顔と体をしていた。奏が去った浴室で、彼が自分の汗を流そうとシャワーを出してまもなく、素肌のまま背中側から抱きついてきて、濡れるのも構わずささやいてきた。

 

「先生、まだシたいですよね」

「やめろ、のぼせる」

「お風呂じゃなきゃいいんですか?」

 

 曇った鏡の向こうに、奏の曲線美が半分だけ映っていた。もう半分は彼の姿に隠れていた。

 

「可愛くないことを言いやがって」

「可愛い? そんなのずいぶん言われてません。忘れちゃった」

 

 奏に背中からしなだれかかられた。彼はむにゅむにゅした乳肉と、ぷっくりした乳首と、それに意識の9割を持っていかれた。残りの1割は「わざとやっているんだろうな」という諦念混じりの推察だった。ほかはシャワーを止めるほどの意識も残っていなかった。

 

「シたい、ですよね?」

「それなら……パイズリ、シてもらいたいな、速水に」

「うふふ。先生ったら、おっぱいだいすきなんですから」

「でも、あとでな」

「あら、おつかれなんですか」

「腹も減っただろ」

「いいえ、おかまいなく」

「俺ぁこの調子で続けられたら干からびてしまうよ」

「干からびてしまえばいいのに……いいえ、ウソです、ウソですってば」

 

 鏡越しに奏が困ったような笑みを見るまで、彼はそれを冗談には思えなかった。

 

「メシは前もって用意してある。待たせやしない」

「ええ、さっき見つけちゃいました」

「だよなぁ。湯上がりになんか飲んどけって俺お前に言ったもんな。台所、見て回るよなぁ」

「だから、また汗だくになるほどシちゃっても平気ですね」

 

 彼は、奏を風呂場から追い出した。浴槽に身を沈めて、そのぬるま湯がすべて速水奏の残り湯だと思い出した。奏の残り湯のくせにあまりにさらさらしていると思った。

 体の軽く水滴を払ってから脱衣所の足ふきマットに立った。向こうからドライヤーがうなっている音が聞こえた。

 髪を乾かしている奏が見えた。

 

「速水ぃ」

「娘さんや奥さんのを勝手に借りるわけにいかないのでしょう?」

 

 奏の肌は、オーバーサイズになってしまっている男物のシャツでだぶだぶに包まれていた。

 

 

 

 

「さっき見たとき、気づいたんですけど」

「見ての通りだ。鍋だぞ。寒い季節にふさわしいだろ」

 

 彼は、内からぐつぐつ音を鳴らす土鍋をミトンごしに持って、テーブル上の鍋敷きにどんと置いた。

 フタの蒸気穴からふつふつ湧き上がる湯気で、奏の顔が3分の1ほど隠れていた。フタを開けると、湯気が一瞬だけ広がってすぐに消え、奏が白い歯を見せて笑っていた。

 

「ニンジンが」

「嫌いなのか?」

「花みたいに切ってるじゃないですか」

「まぁ」

「花びら5枚で梅の花ですか? 可愛い」

「台所に型抜きがあっただけだよ」

「それにしては、型で抜かれたほうのニンジンが見当たりませんでしたけど?」

 

 湯気の向こうで、奏のくちびるの両端がいっそうニヤリとつり上がっていた。

 

「食欲をそそる匂い、しますね」

「ごま豆乳鍋だな。苦手だったら諦めろ」

「いただきますとも。お味、奥さんか、娘さんのお好みなんですか」

「俺の好みだよ」

「そう……ふふっ」

「独り身のころ、冬は鍋ばっかりで、いろいろ味を試したんだ」

「では、これが先生の一押し、オススメなんですか」

 

 ぐつぐつ音の勢いがだいぶ収まっていた。上からもやし、白菜の菜、長ネギ、薄切り豚肉。すりゴマと豆乳の混ざって白く不透明な汁がぶくぶく細かい泡を立てていた。奏を微笑ませた花形のニンジンが、木綿豆腐や椎茸と並んで半分それに浸かっている。その下に沈むのは白滝、白菜の軸、大根。

 

「これは、まず胃に優しい」

「ごまと豆乳ですものね」

「あと、水炊きや寄せ鍋と違って、アク取りがてきとうでもだいじょうぶだ」

「豆乳が固まったのと区別がつかないだけじゃありませんか?」

「それに、飽きたときに味を変えやすい」

「変える……というと?」

「トマトの缶詰とか、キムチとか」

「ふふ、白に赤が映えそうですね」

 

 すでに奏がテーブルへ箸と皿を並べていた。

 彼は鍋に向かって右側の席を選んだ。

 

「いただきます」

「召し上がれ」

「家族、みたいですね」

「それは……そうだな」

 

 彼に再び、“速水奏という女子学生”に対して憐れみのような感情が浮かび上がってきた。セックスに一区切りついて、入浴やら食事やら所帯らしい行為をともにしたのが引き金になったらしかった。

 奏が、湯気を立てる豆乳鍋に息を吹きかけて冷まして、薄切り豚肉や例のニンジンをくちびるに触れさせ、咀嚼して……姿や立ち居振る舞いが、どうもふつうの女子中学生らしかった。

 彼は、自分がさっきこの女とセックスして、膣内に精液を注ぎ込んだのだ……と強いて思い起こした。ノドや腹のあたりがざわついた。

 

「おいしいですよ」

「そりゃよかった」

「お料理、上手なんですね」

「上手とは言えないかな」

「ご謙遜を」

「レパートリーが少ないんだ。俺が作るのなんて、安く上がって、手間もそんなにかからなくて、あとは……」

「あとは?」

 

 彼は、奏が“家族”と口にしたのが引っかかっていた。

 彼の感覚だと、子供は親に逆らうな……という雰囲気は、家父長制度が終わったいまも隠然と(あるいは公然と)続いていた。むしろ、親たちが「我が子」への影響力を固守しようとして、教員の立場から家庭環境を詮索しにくくなった気もしていた。現に彼は、奏の両親がなぜ年末年始に留守がちなのか知らない。

 

「……俺が好きな味の料理しか作れないんだよ。この鍋も、独り身のときに覚えたのさ」

「いまは、作ってあげたりしないんですか」

「嫁さんが……男は台所に入るんじゃない、ってタチで」

「うふふ、そうなんですか」

 

 

 奏が――教師からレイプされても怒ったり悲しんだりした顔を見せない――どこかおかしな女子学生に見えた。けれど、奏がおかしい……とは言い切れない。むしろ、大人から見た子供の精神状態がどこか異常な場合、その原因はたいてい家か学校かどこかのコミュニティにあるものだ……と彼は経験則で知っていた。子供にはあらゆるしわ寄せがやってくる。

 少なくとも、奏のいる学校はおかしかった。彼が教鞭をとっていることがその証明になっていた。

 

「ずるずる、ずる」

「そうやって飲まれると、味噌汁みたいだな。色のせいで」

「優しい味、しますよ」

「だってごまと豆乳だぞ。まぁいいや、たんとお食べ。若いんだから」

「はぁい」

 

 奏の学校や家庭がおかしかったとしても、奏が周りのおかしさに気づいているかどうか。

 いくら速水奏が大人びていたとしても、自分の周りの人間を冷静に判断することはできない、と彼は考える。自分が生活費を依存している人間やら人間集団やらのことを、冷静に判断しろと要求されたとする。大人にもそうそうできるかどうか。

 実際、彼はできなかった。奏をレイプする直前、自分の失職が頭をよぎってすっかり動揺しておかしくなっていたのだ。

 

「速水が、ちゃんとふだんからメシ食ってるのか……ってのは、心配してないけど」

「あらら、私のどこを見てのご判断なのでしょうか」

「体力」

「そういうことにしておきますよ」

 

 速水家がどこかおかしいのかもしれなかった。彼は妄想するだけだった。おかしな人間の中には、実はそれなりに注意深く観察しないとしっぽを出さず、周りに気づかれていないで済んでいる種類がいる。彼と奏の2人も、彼ら以外から見れば、いまだにくたびれた中年教師と物静かな優等生であった。

 教員生活のなかで彼は、どこかおかしいと判断しうる家庭を見たことがときどきあった。その家庭の生徒に「お前の親ちょっとおかしいから、素直に言うことを聞かないで、面従腹背しといたほうがいいぞ」と言いたくなったことが何度かあった。一度も言えたことがなかった。

 

「先生?」

「どうした」

 

 彼が見る限り、現代日本は幸か不幸かそれなりのメリトクラシーだった。能力があってボロを出さなければ、子供を一人私立中学に通わせるぐらいの収入を得られる。

 この速水奏は、学校での評価は『おとなしい優等生』であった。それを思い出した。それがどうした、と彼はバカバカしいような心細いような気分になった。彼にとって、奏は学校で教師にレイプされて素知らぬ顔ができる女だった。

 

「箸が止まってますよ」

「ちょっと、な」

 

 親が、仕事や趣味にのめり込んでいたり、体や心を病んでいたり、個人的な事情で子供を構ってやれない――それが度をすぎていると、子供は『お前の気持ちなんか重要ではないんだ』というメッセージを受け取る――こういうメッセージに冷静に対処できるとしたらもう大人の仲間だ、子供に求めていい条件じゃない――速水奏はどうなのか。

 

「ふふ。私には好都合です」

 

 あるいは、速水奏の母親が奏と同じぐらい美人なのかもしれない……と、彼の妄想が彷徨っていた。それは家庭がおかしくなるパターンの一つだった。娘がしだいに大人の女へと近づいてくるとき、美人の母親は年を食ってセックスアピールを失い始める。母が娘の成熟に脅威を感じる場合がある。すると母は、娘に嫌味を言ったり、嘲ったり、辱めて自信を奪ったりして、弱い立場のまま押さえつけておこうとする。娘はそれに反発して、いっそう背伸びをして大人を真似する。ますます事態が悪化する。たいてい父親は無力である。

 

「お腹いっぱいになって、眠くなって、高いびき……とか、心配しなくて済みそうで」

 

 彼の妄想は、その妄想の主演女優たる速水奏によって雲散霧消させられた。

 

 

 

「さっきまではしんみりした顔して、ここもおとなしかったのに……なんだか、あっという間に大きくなっちゃってますね」

「正直、自分でもびっくりしてる」

「私、ご期待されちゃいました? それは何よりです」

 

 奏は彼をベッドのヘリに座らせると、両膝のあいだに膝立ちで陣取った。彼の下腹部に、例の豊かな乳房が触れる……寸前で、アンダーバストから手を入れて、ふよん、と1回だけ揺さぶってみせた。汗はすっかり洗い流されていた。左胸の乳輪の近くに、うっすら引っかき傷が残っていた。

 

「さっきいじめられたおっぱいが、仕返ししなきゃ……って、うずうずしてるところなんです」

 

 彼は、奏の乳房を鑑賞していた。触って弄びたいという欲望が“さっき”のおかげで後ずさりしていて、眺めて味わいたいという欲望が前に出ていた。

 形は白く整った釣り鐘型だが、ボリュームはアンバランスなほど大きい。奏自身の手でも持て余してしまっている。裸の乳房がゆったりと左右に広がっていて、谷間が深くなだらかだ……と見ていたそばから、ぎゅっと寄せられ、みちみちと狭い1本のスリットに成り代わった。

 

「挟まれる前から、ここばっかりに気を取られてますね」

「そんなことは……うむむ、大いにある」

「素直でよろしい」

「いいのかよ」

「先生以外の人は、じろじろ見てるくせに見てないふりするから」

 

 彼は優越感と危機感を同時に煽られた。奏の白く丸々とした巨乳の鎖骨側に、うっすら汗の気配を嗅ぎ取った。くちびるよりほんの少しだけくすんだ薄桃色の乳輪と、指先でしごくのにちょうどよい乳頭がかすかに上下していた。“じろじろ”とはどこまでのことだろうか。

 

「んっ……視線、感じちゃう……」

 

 彼は再び、彼以外と奏とのセックスを妄想する。奏を“じろじろ”見ていた男たちは、しゃにむに、あるいはおずおずと奏に挑みかかっていた。

 奏は、乳首を強くされるほうが好みなのか、緩くされるほうが好みなのか。つねられたり、ねじられたり、しごかれたり、歯形をつけられたり、じゅるじゅると音がするほど吸われたりするほうがいいのか。くすぐられたり、撫でられたり、赤ん坊よりも優しくくわえられたり、お菓子のように舐められたりするほうがいいのか。そうしてやったら、奏はどんな嬌声を聞かせてやるのだろうか。

 

「見とれてくださっているところ、お邪魔するようで心苦しいのですが」

「いいよ、勝手に見せてもらってるだけだから」

「始めますよ、パイズリ」

 

 奏が右手の人差し指をすうっと立てて、くちびるに寄せた。沈黙をうながすジェスチャーか、という彼の見立ては外れた。

 奏は舌先とくちびるから、どろりと唾液を漏らして、それを人差し指に伝わせてから、手のひらで乳房に塗りつけていった。彼が“見とれてくださっている”あいだに口中にためていたらしい。それを潤滑剤にするつもりらしい。

 彼は奏と出会う前に、くちびるをぼうっと空けて直に乳房へ垂らしてからのパイズリをしてもらったことがあった。比べて、奏の下準備がほんの少しだけおしとやかに思えた。

 

「んぅ、ぅっうっうっ……んぉっ……う、ぁ……っ」

「あっついですね、先生の……火傷しちゃいそうですよ」

 

 彼は、奏の乳房に包まれてみると、さっきの残り湯よりももう少しだけ微温い気がした。脂肪組織の本来の機能がエネルギー貯蔵庫と遮熱材である、と思い出した。その微温さに見合わないほど、奏の乳肌が張り詰めていた。てらてらと光って、みちみちと詰まって、やわやわと弾んで、生命力の塊のようだった。自分のしおれてきた下腹や太腿とは別の生き物としか思えなかった。

 

「先生も、もう、濡れてますね? ふふ」

 

 奏が両手をアンダーバスト側に忍ばせて、乳肉の膨らみをきゅっと寄せてから、だらりと谷間を開いてみせた。べっとりした粘液が泡立ったり糸を引いたりしていた。奏の言う通り、あれのうちのいくらかはペニスの漏らした先走りだろうか。

 

「じっくり、ゆっくり、ずりずり……ってシてあげますよ。さっきが慌ただしかったので」

「至れり尽くせりだな。もう速水なしでは生きていけなくなっちまいそうだ」

「じゃあ干からびるしかありませんね」

「それは困る、手加減してくれ……う、ぐ――はぁぅう!」

 

 奏がぷっくりと立ってきた乳首を、それぞれの手の人差し指と中指で挟んで、そのままパイズリを再開する。感触がくちびるよりもぷりぷりと強く弾んでいた。

 

「ん、ぁ……こうすると、私も、先、こすれて……手加減する余裕、ないかもしれません……」

「あぐ、ぅ、ぉ……仕返しが、仕返しじゃなくなって……ぉ、うぉ……!」

 

 奏のパイズリが、激しくなったり緩くなったり、不規則なリズムで続いた。奏の汗や涎がもっと胸乳に垂れ、ぬちゃぬちゃとスムーズになった。それで滑りやすくなってかペニスが圧力から逃げるように何度か逸脱して、そのたびに奏に捕らえ直された。

 

「あぁ、また逃げ出して……焦らされてるみたい」

「そう言われて、も……ぉあ、ぅ、勝手に、なっちまって……」

「びくっ、びくってするの……感じ過ぎちゃうからですか?」

「う、ぅう、そうだ、速水の……ぉおおっ!」

「じゃあ、どっちが先にしびれを切らしちゃうか……がまん比べといきます?」

 

 奏も、パイズリされているペニスに匹敵するほどの快楽を味わっているのか。奏の口ぶりで、彼はそう思わされた。腟肉で勃起ペニスを締め付けられてついピストンや射精してしまうのと同じぐらい、自然にそうなっていた。

 

「うぉおっ、はや、み……っ!」

「あ……ふぁ、あ、んんっ……! また、びくんって、逃げ出していいですよ。すぐに勝負がついたら、拍子抜けしちゃうもの」

 

 すっかり勃起したペニスを汗や涎まみれのぬるぬるにして、乳房で抱きしめたかと思うとずるりと滑って逃してしまう。それが繰り返される。奏がわざとやっていると、彼は2度目で気づいていた。遊ばれている。興が醒めるどころか、ますます奮い立った。

 

「あぁ、んっ……もう、先生、往生際が悪い……!」

「は、ァ、あ……ッ!!」

 

 奏が腕と乳房でペニスを抱きしめながら、上半身ごと揺らしていた。亀頭から根本まで執拗に責めていた。ストロークが長くなって、彼はまるで膣内や口腔に挿入している気分にさせられていた。

 

「ねぇ、先生……私が勝ったら、もう一泊いいですよね?」

「おい、勝手に勝負にしておいて……ぅ、お……! お゛っ、ほぉぉおっ――ぐ、んん――だ、ダメに、決まってるだろっ」

「膝蹴りか肘打ちでもしたらいいんじゃないですか」

「さっきの、根に持ってるな……ぐ、ぅ……!」

「当たり前じゃないですか」

 

 彼が射精をこらえてくちびるを噛みしめるほどに、奏のくちびるが楽しげに緩んだ。

 不意に乳の弾力が離れて、一息いれたか……と彼に思わせながら、奏は少し赤くなった勃起乳首を指に挟んでカリ首にこすりつけてきた。

 

「は、ぉ、ァ、あ……ッ!!」

「言ったでしょう? さっきの仕返しって」

 

 小指の先ぐらいしかない突起に射精させられそうになって、彼はおかしくて笑いそうになった。快感が深く突き刺さりすぎて笑うどころではなかった。

 

「それとも……勝負じゃない、って私が言ってあげたら、いいんですね」

「ぇふ、ぇう、あ、うっ……!」

 

 こんどは奏が、たぷたぷと柔らかい感触で、ペニスを包み込んでいた。動きが止まると、改めてパイズリという行為の異様さが彼の意識に浮かび上がった。腟内や太腿と違って、乳房は何かを挟むような構造をしていない。そもそも赤ん坊に乳汁を吸わせるとか、セックス中でも相手に揉まれるとか、ふつうなら受け身に回る器官である。

 彼はそんな奏の乳房にやられっぱなしになっていた。

 

「教え子のおっぱいで好き勝手にされて、射精がまんできなくっても」

「うぁあ、あっ……ぃや、その……」

「なんです? お説教ならじゅうぶんですよ」

 

 奏が、ゆるゆるとパイズリを続けながら、本当に不思議そうに彼を見上げていた。ふだん教室や廊下で見る奏の顔より無邪気な表情に見えて、彼はペニスを刺激されたまま気圧された。

 

「言いかけて止めないでくださいよ、気になるじゃないですか」

「ぅ、あ……あの……めんどうだぞ」

「めんどう?」

「髪とか、目とか、かかると……」

「へぇ、ふーん……」

 

 遊びの時間は終わったとばかりに、奏が両腕と乳房でみっちりとペニスをホールドし直した。

 

「かけちゃったこと、あるんですか。誰かに」

「ぉ、あっ!? うっ、あお゛……ぉお゛ッ、い、いっ……」

 

 隙間のない乳肉の圧力で、彼はいままで本当に奏から手加減されていたのだ、と思い知らされた。

 彼のぬらつく亀頭と泡まみれのカリ首に、奏がくちびるを寄せてくる――いったん離して、からかうように舌先で弄ぶ――すぐに鈴口をくちびるで挟んだ。

 

「ちゅっ……ぢゅる、んぷっ……」

「む、ぐ……うぁ、あぅ……! う゛ぅー……あぐ、く、ぁ……も、ぅ……!」

「こうシてれば、だいじょうぶですね。いつ先生が出しちゃっても」

 

 奏は、パイズリとフェラチオによる愛撫で彼に絶え間なく襲いかかっていた。彼の悶絶に視線と肌とをぴったり合わせながら笑っていた。ただ、彼を気持ちよくさせて屈服させて絶頂させるのが楽しい、といった笑みだった。

 

「んちゅ、れりゅっ、ぷはぁっ……ねぇ、先生が出しちゃったら、あしたも……」

「はぁ、あ、ッ……ぉ、俺の寿命をこれ以上縮めないでくれ……!」

「あらら、言ってみただけですよ。まだ、先生の教え子でいたいですから」

 

 速水奏は、この関係を隠し通せたとしても、春には彼の教え子を卒業する。そうなったあとのことを、奏はどう考えているのか。

 彼はそれに思いを馳せようとして、うまくいかなかった。パイズリフェラが許してくれなかった。

 

「ぢゅちゅ、んっ、ふぁ、んっ……ちゅく、ちゅ……ん、ん……」

「う、ぐ……く……ぅッ……ぁ、ぅ……ッ」

「こっちにキスしても、びくってシちゃうんですね、先生の」

「速水が……」

「私が?」

 

 あまりに快楽が強くて濃かった。まだ射精しないでいて会話できていることが、彼自身さえ不思議に思うほどだった。肉体という器いっぱいに快楽が溜まっていて、表面張力でかろうじてこぼれずにいた。奏からの刺激を受けたら、それがため息であっても崩れそうだった。

 

「……気持ち良過ぎて、もう何もできない」

「あらら、降参されちゃいました」

 

 不意に、パイズリもフェラチオも止まった。ペニスがいきなり空気の中に戻されて、彼に足を踏み外して落下したような喪失感が湧いてきた。興奮が空回りして、奏に触れられてもいないのにぜぇぜぇと喘いでいた。必死で呼吸を整えているあいだ、勃起しっぱなしのペニスがゆらゆら動いた。

 

「ぅ、あ……は、ぁ……」

「お背中、さすりましょうか」

「……速水」

「さすってあげましょうか」

「朝には帰れよ」

「……はぁい」

「聞き分けがいいな」

「夜はずっと付き合ってもらいますからね」

 

 奏が舌先をぺろりと見せながら、彼の肩をぐいと押して、体をベッド上に押し倒した。

 

 

 

 

「先生はご休憩なさっていてください。私が動きますから」

「まだまだ余裕そうだな……」

「続けられそうですよ、いくらでも」

「俺と速水じゃ、最初から勝負がついてたんじゃないか」

「そうですね、でも、楽しい」

 

 ベッドで仰向けに寝かされた彼は、彼の腰にまたがってくる奏を見上げていた。心底から、自分が彼女に敵わない気がした。

 

「セックスも、いつも一緒じゃないですか。先生がエッチな目で私を見て、興奮して、ときどき可愛くなって、射精して、終わり」

「それは……そうだな、身も蓋もないが……」

「一緒だって楽しいですよ。何回でも、ずっとシたくなるぐらい」

 

 奏から“セックスも、いつも一緒”と聞かされて、彼は半分だけうなずいた。もし自分がもっと若かったら、全面でうなずいていたかもしれない、と思った。セックスを重ねるうちに、奏が二十歳、三十歳と女としてさらに脂がのってくる姿と、自分がすっかり老いさらばえた姿も思った。

 

「ね、先生っ、こっち見て」

 

 また、現実の奏が彼の妄想に取って代わった。

 

「ナカに、出してください」

「またかよ」

「いっぱい欲しいんです」

 

 もう奏は彼の返事を待たなかった。さっき湯浴みした秘所が、湯よりもっとじっとりした愛液で濡れていた。濡れそぼってこぢんまりとした陰毛やら、乳肌にも負けないほど滑らかな内腿やらをペニスにこすりつけて、彼が悶えるのを見ながら笑った。何度もこすりつけたあと、鈴口を割れ目の入り口に食い込ませた。

 

「見つけちゃいましたよ……けっこう、入れにくいんですね。手こずっちゃった」

「……あ、そうか。胸がでかいから、見えないのか」

「胸がでかいとか言うんじゃありませんよ」

「お前以外に言う相手がいないわい」

「そういうことも言うんじゃありません」

「速水が先生みたいだな」

 

 奏はくちびるをとがらせながら、ゆっくりと腰を沈めていった。亀頭が熱く、きつく、ぬるぬるした粘膜に埋まっていった。肉の隘路を割り開いて、一進一退するようで、少しずつ、少しずつ、膣奥へ引きずり込んでいた。

 ペニスが進んでいるのか流されているのかも定かでなかった。

 奏の体重が浮き沈みするたびに、カリ首をぎゅうっと圧迫して、彼は思わず腰を動かしそうになった――動かしてしまったらこれが終わってしまう――偏執が彼を押し留めた。

 

「ふぅ、は、ぁ、あっ……! 腰、動いちゃいます……っ……んっ……!」

「これ以上、強くは……されたら……う、ぅぐ……!」

「ふ、ふっ……わかってますって、私、いい子ですから」

 

 奏がころころ笑いながら、彼のペニスを根本まで膣肉で締め付けていた。フィットしないイスに座り直すのを繰り返すように、もぞもぞと腰を小さく何度か前後させた。結合部の水音がにちゃにちゃとこもった。

 

「おっぱい、触りたいですか……?」

「あ、ぅ……!」

「あはは、女の勘というほどでもありません」

「ん、ぅ、あっ……ぅ、あっ……」

「先生が、目つきでそう言ってました」

 

 彼は、ゆっくりと奏の乳房に両手を伸ばしていた。成熟した女の胸を揉むというより、小さな子の頭を撫でるほうに近い手付きだった。重さを確かめるようにアンダーバストへ指先を差し伸べると、奏がくすぐったそうに身をねじった。膣肉の擦れ方もあふれる水音もうっすら捩れた。

 

「んっ、うっ、あ、あっ……! ん、ふふっ……先生、こんどはおっぱいに優しくしてくれるんですね……?」

「はぁ、ぁ、はぁ……いまは、速水に優しくしてもらってるからなぁ」

「う、ふっ……あんっ、もう……」

「このぐらいにしておいてくれ……」

「じれったい、のに、これ、つづけられたら、ぁ……っ……」

 

 彼がほんの少しのあいだしか“優しくして”いないうちから、奏はずっと“優しく”されたら困るという素振りだった。本当に困っているように眉根をひそめた。女子中学生にしてはあまりに豊か過ぎる乳房が、彼女の呼吸だけでうっすら揺れた。乳房のふもとから彼の指先に、息をひそめても止まらない拍動が伝わっていた。

 

「あぅっ、んふっ、んぅぅぅっ、うんぅぅぅっ……」

 

 奏が声や吐息を押し殺していた。腰の動きを控えめにしていることにつられて、反応まで控えめになったようだった。そのぶん奏の肌とその下に性感がこもっているようだった。肌にいくつか玉のような雫を乗せたり、滑り落ちたりしていて、さっきの湯上がりと同じぐらい湯上がりらしくなっていた。

 

「これ、ぇ、すきに、なっちゃう、かも」

 

 そう漏らしてから、奏は2度3度と腰を震わせ、彼の手首をつかんだ。彼の手を胸から横取りするように、両手それぞれで指を絡めた。

 

「ね、だから……あんまり、好きにされると……困っちゃいます、ね」

 

 彼は、どういう意味だ、と聞きそうになった。聞けなかった。こんな問いで、奏から何か答えを聞かされたが最後、つられて何かを口走ってしまう。彼自身にとって危う過ぎて想像をためらう言葉を漏らしてしまう。

 

「ナカ、出してください」

「そうか」

「でも、がまんしきれなくなったらでいいですよ」

 

 奏の腟内は優しげなまま、手と指はねだりがましく彼を圧迫した。無造作に腰をへこへこ揺すっているだけの間に、ペニスが膣壁のあちこちにこすられ、押し込まれ、しごかれていた。

 彼の射精欲をじりじりと高めていた。結合部の水音が粘ついて、舌なめずりのようにはしたなく響いた。

 

「がまん、か……」

「ええ」

 

 奏は彼の手を握りながら、腰をじりじり後ろに引かせて、下腹を少しずつ反らしていった。彼のペニスも反り立とうとしていて、挿入したままお互い自分の方へ相手を引き寄せようとして、奇妙な拮抗が生まれた。奏がじりじりと押し切っていった。彼に挿入されている部分で、彼のものがどこまで入っているのか、さっきどこまで精液を注ぎ込んだのか、これから……それらを一緒くたにして、彼に確かめさせているようだった。

 奏が腰をほんの少し持ち上げて、また沈めた。彼は亀頭が子宮口に軽く触れている気がした。彼女がいちばん奥まで飲み込んでいるときも、そうでないときもそう感じた。

 

「うぉ、ふ、ぅ……」

「ん、ぁ……ふふっ、先生、手でもけっこうわかりやすいですね」

 

 奏が腰を動かしながら、絡めた指も緊張させた。彼の手の甲へ爪先を立てた。膣内が締まって、ペニスがさらに硬くなった。

 彼は思わず歯を食い縛っていた。

 

「ね、先生。がまんしきれなくなったら……」

 

 この期に及んでまだ射精しないでいられる彼自身を褒めた。いよいよ我慢できなくなっているのにそのまま奏に身を任せる彼自身に呆れた。

 彼のペニスの先から根本まで、熱く濡れきった腟内にぴったり吸い付かれて、離してもらえそうもなかった。

 

「私ですか? がまんなんて、シてませんよ」

 

 汗で滑りかけた手を、奏が握り直した。

 

「こうしてるの、楽しいですし」

 

 奏の金色がかった瞳が、夜空と月明かりのように見えた。

 

「がまんしきれなくなった先生が、いちばん好きです」

 

 彼は一瞬だけ、奏との関係を“がまん”しなくていい反実仮想の自分を思い描いた。そんな自分がいたとして、奏からどこまで好かれるだろうか。そんな幻影が現実のセックスの熱さにもまれて、熱湯に放り込まれた氷のようにゆるゆる溶けて形を失った。

 

 

 

「……いっ、っっうぅー……!!」

 

 彼は強引に上体を起こした。騎乗位で腰を揺らしていた奏を押し倒した。ほどなく、奏が整った顔を歪ませ、狭く引きつったノドからかすれた声をもらしていた。

 

「ハッ、ハッ、おぁっ、ハッ、はぁっ……!」

 

 彼は言葉を失ったまま、奏の膣奥にペニスをこすりつけていた。ときおり腰を引いて叩きつけた。

 

「あ、せ、せん……お゙っ、おっぐ、んんっあ、だめ……んぐうっ、あ、ぅ、ほんと、に……ぉ、あ、お゙イグ……ぅ……っ……!」

 

 密着したままのピストンで、脂汗とも愛液ともつかないものが肌で潰れてぐちゃぐちゃと鳴った。触れ合っているところすべてがセックスの結合部に匹敵するほどやかましくなっていた。

 奏のうなじに手を回しながら、腰を押し込んだ。

 

「ぃ……ぃま、キス、なんて、わた、し」

 

 奏の膣肉がぎゅうっと締め付けてきて、彼の精液を搾り取ろうとしていた。くちびるの端から、唾液を二筋三筋と垂らしていた。

 

「んぷ、んぐ……! ちゅ、れぅ、む、あぅううっ……!」

 

 彼は射精をこらえながら、奏に覆い被さってキスをした。頭を撫でた。汗か涙かで頬に張り付いたショートレイヤーも撫でた。

 もう一度、奏の舌を吸った。言葉よりも強くあいまいに奏へ伝えた。どんな言葉よりも、奏がどうとでも都合よくとってもらえればよかった。

 

「ひっ……ま、まだぁ……もう、ぃ、く、ぅ……っ……!」

 

 こんどこそ精液が溢れて、止まらなかった。

 奏は身体をぶるりと震わせた。彼の腰に両脚を絡めて、尻を浮かせて、無防備に子種を注がれようとしていた。膣壁がひっきりなしに痙攣してペニスを締め付けていた。

 

「ぃ……ん、ふぇぷっ、ふぁ、あ、んぷっ……れりゅ、んぅうっ……ふふ、だから、せんせぃ、は……」

 

 彼の意識もゆるゆる溶けて形を失うまで、ずっと彼を逃さなかった。

 

 

 

 

「お手伝いしましょうか、先生」

「その前に、自分の服に着替えておけよ」

 

 彼が目覚めたばかりの重い体に鞭打って浴槽を洗っていると、その背中に向かって奏が声をかけてきた。

 

「ふふ、お風呂掃除で服が濡れちゃったらどうしましょう」

「じゃあ、シーツ剥がして洗濯機に入れて、あと鍋を洗っておいてくれ……できるかな」

「できますよ。それぐらい」

「洗濯機の使い方は」

「わかりますって」

「あと、鍋は食洗機を使えんし」

「まさか、食洗機がないと洗い物もできない子だって思われてたんですか、私は?」

 

 奏はわざとらしいほどぷりぷりした口ぶりで文句を投げつけた後、スリッパをぱたぱたさせて脱衣所から去っていった。

 彼は必要以上に洗剤を泡立て、必要以上にごしごしと丹念に浴槽をこすっていた。腰を曲げないと棒付きブラシが浴槽の底まで届かず、腰にずしりと痛みを感じた。脱衣所の向こうで洗濯機がぶぅんと動くのが聞こえ始めてからも、もうしばらく浴槽をこすり続けた。浴槽がすっかり泡で白くなっていた。

 

「お鍋、洗って、かごに入れておきましたよ」

「ありがとう。もう出られるか?」

「まだ朝ですよ」

「ちなみに、朝メシの用意はない」

「そうなんですか。それで?」

「外に出ないと食うものが何もない」

「……そうですかねぇ」

「ないったらないんだ」

「手料理はもうおしまいですかぁ」

「そう、終わり」

 

 彼はシャワーで浴槽の泡を流し始めた。奏がふだん晩や朝に何を食べているのだろう、と考えて、想像もつかない自分がおかしかった。

 

(おしまい)

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