速水奏ちゃんがメスガキ(?)を卒業したようです 作:ふりーじ屋/家庭内禁書
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役者の演技はすべて、こころに意図していることだけではなく、その心身に現におこりつつあることの性質や強さによって、変貌をとげるものなのだ。
――リー・ストラスバーグ『メソードへの道 演技とはなにか、スタニスラフスキーからメソードまで』
※
「たまにはコメディも悪くありませんね」
「お気に召されたようで幸いだ」
彼が奏の相手をするのに疲れて、休憩代わりに映画を観ようと持ちかけた。サブスクリプションのサジェストから選んだタイトルは古いイギリスの喜劇だった。
ロンドンのとあるアパートを経営する老婦人に、弦楽四重奏団が部屋を借りたいと申し出る。弦楽の練習場所に使いたい、と理由を語るが、本当は銀行強盗の計画を練っており……あり得なさそうな出来事をまことしやかに描く、イギリス喜劇映画によくある作風だった。まことしやかに描くためにストーリー、演出、身振り手振りに台詞回しに、と工夫をこらしているおかげで、物語のナンセンスさかげんが際立ち、観客の笑いを誘う。
「先生は、前にも見たことが?」
「これは初めてだったが、同じ監督の別作品なら」
彼は映画を映すリビングのモニターより、奏の横顔のほうばかり向いていた。奏から、当然のように家族用で二人がけに余るソファで並んで座って隣で見ることにされた。
当てつけのようにじろじろ見てやった。
くすくす笑っている奏の顔を見ていると、いつまでもそうしていたいと思わされた。そう思っていられるほどセックスの時より余裕があった。
「それを観たことがあったかどうかも、少しは気になってましたが」
「何か勘違いしたかな」
「こっちを見たことがなくて気になったのかなぁ、って」
映画を観始める前に、奏が眼鏡をかけた。彼の記憶の限り、学校ではかけていたりかけていなかったりだった。目を細めたりなんだりという視力が悪そうな仕草を見せた覚えもなかったので、彼は伊達眼鏡だろうと思った。
フレームが細身のラウンド型で、奏のような少女がかけると不釣り合いに古風なデザインに見えた。かなり昔にアニメで見た、主人公の少女を厳しくしつける家庭教師の中年女性を連想してしまった。
「気分を変えたくなったら、かけてるんですよ」
「おしゃれかもしれないが、そういうデザインって俺の世代だと懐古趣味のイメージがあってなぁ」
「あんまりに古くて一周回って新しく見えるものってありますよね」
ファッションの世界ではときどき30年以上前の流行が復活する。若者にとって自分の親世代のデザインは誰でも知っていて古臭く感じられるが、それより古ければ知る人が減って新しく見えやすくなる。
「先生、これ似合ってないなぁって思ってたでしょう」
「うんうん、速水はタイプライターとか目に留める人間だったな」
「先生~?」
奏が右手でフレームを上げるまねをする。閉めた右ひじに左手を添えている。アンダーバストを左前腕が支える形になって、着衣越しのもともと大きな乳房がますますこんもりして見える。さっきの映画の中で、偽弦楽四重奏団の紅一点が情報収集のため現金輸送車の運転手を誘惑していた。その媚態を老婦人に見られて、はしたないと説教されグダグダになってしまうお笑いシーンの一つだった。
こんな戯れも誘惑に見られてしまうとしたら女のスタイルがよいのも神経を使うだろうな、と心の中で余裕ぶってうそぶく。
「これが背伸びに見られないぐらいの年だったらなぁ」
「学校はとっくに卒業だな」
「ふりぐらいしてみようかしら」
「無理するとボロが出て気恥ずかしくなるかもしれないが」
彼はうっかり投射を口にした。無理してボロが出ているのは彼自身だった。年甲斐もなく少女の色香に迷い、老いて衰えてきた体に鞭打ってセックスに及んで疲れきって休ませてもらっている体たらくだった。心身ともに自分が気恥ずかしかった。
「先生がもっと若いふりをしてくれれば、ちょうどいいかしら」
「悪いこと思いついた顔してたと思ったら」
遠い昔、実の娘が幼かったころにおままごとに付きあってやったことを思い出した。
「めんどうになったらいつでも止めてくださいね」
「ふりぐらいしてみようかな、せっかくだし」
いい年になった男女がやることのうち最初に連想するのがセックス、という奏の口ぶりが、コメディ映画より乾いた笑いを誘った。子供っぽいというには俗悪で、大人っぽいというには軽薄だった。
※
「いいんですか?」
彼はソファに並んで座ったまま肩を抱いてやった。奏が自分でせがんでおきながら意外そうに声を高くした。コメディ映画を見たときの笑い声と違って、含みがあるようにこもって聞こえた。
奏がしたがっていそうな趣向に合わせてやるにはどうしたらいいだろうと考えていたら、下手な焦らしだと思われたのかキスされわざとらしく歯を立てられた。
「……欲しいものがあるのね。奇遇ですわ、私も」
「これで退いたら男の恥、と思っただけかもしれないがな」
映画の作中で見た色仕掛けをなぞりつつ、あっという間に比較にならないほどすさまじくいやらしくなっている。彼の腕を伸ばしきらずとも抱ける奏の細い肩のすぐそばに、豊かな乳房が揺れる。ギャップのあまり何度間近で見ていても彼には冗談じみて見える。キスをもう終えたのに頬がしびれたままだった。
「んぷっ……ちゅっ、ちゅう……んっ、ちゅぶ……ぷふ、あは」
頬どうしが触れあったり近すぎで見つめあっても焦点がうまく結べないほど近い。奏の伊達眼鏡のレンズがぼんやり白く曇って少し驚く。汗の匂い、唾液の味、体温、弾力、笑い声とさまざまに一緒くたになって誘惑される。まだ枯れきっていない中年なら、すぐに熱を催して惑わされる。
「へぇ、なるほど、男の、恥」
罪を犯そうとしている悪役にぴったりなほどもったいぶった声音と言い草を前置きし、奏が手でも反撃してくる。着衣であるままの彼の股間に手を伸ばし、軽い力加減で、しかし所有物にそうするように悠々とふもとから頂まで撫でる。
「欲しければ、つかみに行くしかないわ」
こんどはそっとくちびるを重ねられる。どろどろと理性が溶けて汗か涙のように垂れて、心の引っかき傷のような羞恥にしみる。ただ、痛みが気を逸らしてくれない。むしろ奏の甘く柔らかく甘ったるい肉体が寄りかかってくるのを引き立ててくる。
「あっ……んっ、ふ……」
「つかみにいったら、つかまれるがままにされてくれるのか?」
「まさか」
乳房をむにゅりともんでやると、お返しなのか、ペニスの亀頭近くをぐりぐり指先でしごかれる。互いに着衣をしわくちゃにしながら露出させる。ブラジャーの支えも外されたあとの奏の乳房がずっしりとした重みで指も手のひらも押し返してくる。
「楽しいことなら、子供みたいに張りあっちゃうわ」
腕に力を入れて強引に抱き寄せくちびるを奪うと、抗議のように奏の乳房が彼の胸板を押し返してくる。柔らかいくせに強く反発する。意地になって反発を味わいながらどうにかソファの上で押し倒す。勃起した肉棒も奏のどこかにこすりつける。
「そんなにおっぱいが好きなら……挟んであげようか、ねぇ?」
捕食じみた勢いでくちびるを奪われても、奏が余裕ありげに手を差し入れて肉棒を再び捕まえる。しゅりしゅり、とわざと衣擦れを立てるように耳からも刺激してくる。
意地悪したくなって無視してキスを迫ると、ぷいっとそっぽを向かれる。かかとで彼の腰を打ってくる。たしなめているのか、拍車をかけているのかといった具合だった。
「そこまで言うなら、かわいらしい提案、乗ってしまおうかな」
体勢がひっくり返って、ソファに寝た彼の両脚に奏が乗りかかる。下着をぐいぐいずらして、勃起しているペニスを露出させる。鈴口を舌先でちろりとくすぐって、ぬるり、あっさりと口中へ飲みこむ。
「う、ぐ……く……見かけによらず、積極的、だな……!」
初めて知ったように演技してやると、奏がにんまりと笑う。カリ首まで口に収めたままで歯がこすれてぴりりと痛んだのは奏の作為かもしれない。じゅぶ、じゅるる、と口の中にあっというまに唾液がたまったようで、だらりと垂らすさまを見せつけられる。勃起がますます大きく固くなると、フェラチオの勢いも増す。すうぅ、と鼻で深めに息を吸ったあと、竿までもっと深く咥えにかかる。
「う、ぉあっ……!?」
奏が頬をすぼませるほど強烈な吸引に見舞ってきて、彼の四肢がこわばる。足の指先まで力を入れてどうにか堪える。ソファはすでに汗やよだれで汚れているかもしれないが、精液となると問題が段違いになる。
「んちゅっ、ちゅぱっ、ぢゅるっ……気持ちいいの、がまんしちゃうんだ」
「少しでも長く楽しみたいからな……」
フェラチオを中断したあと、奏が胸元の乱れた着衣をすっかり脱いでしまう。ゆさり、と解き放たれた乳房が迫ってくると、すっかり飲みこまれそうな、飲みこまれてしまいたいような、受け身な欲望がふつふつ湧いて背筋をくすぐられる。
「素直すぎてさもしい人、でも好きよ」
「む、ぐ……それ、は……くぁ、あぅ……!」
奏がくちびると舌に指を絡ませて、乳房の上に唾液を上塗りしたあと、彼のペニスを左右から挟みこむ。にちゅりにちゅりとこすりあげてくる。彼が急激な快楽のあまり腰を浮かせてしまうと、奏がさらに体重をかけてくるので押し負ける。そのようすを上目遣いに見てくる奏の目つきは、挑発的な色香にあどけなさが混じっていて、背徳的な気分を盛り上げる。
ペニスはどんどん先走りの汁に濡れそぼって、奏がより強く挟みこむと助けを求めるように鈴口がぱくぱく喘ぐ。
「……っぅくっ!」
「いい反応よ、してあげている私まで、変な気分になっちゃう」
彼が快楽を噛み殺し言葉にならないうなりを漏らすと、奏がこんどは顔を上に反らして白い歯や細い首元まで見せつけてくる。伊達眼鏡も見えなくなって、一片だけ残っていた理知的そうな雰囲気も消える。同じ人間なのに一瞬で印象が変わってしまう。
奏が左右からぎゅうっと乳房を寄せる。締めて、いじめて、しぼり取ってやろうという意思が肌に書いてあるような強引な動きが、唾液と先走りでべっとり濡れていて滑りやすいためちょうどよく快楽を煽る。ときどきパイズリを止めて鈴口から漏れた透明な汁を指先でいじって銀色の糸を引かせる。
「ふふ、透明でちょっとだけ粘ついてて、よだれみたい、こっちでもキスしたい?」
パイズリの合間に彼の耳元に淫らな台詞を吹きこんでくる。
「うぅっ!? う、うーっ」
再び奏の乳房が彼のペニスをすっぽり包みこむ。左右からむにゅりと押し寄せるものが本当に手で揉まれている無意思の脂肪の塊かと疑うほど、彼の肉棒を執拗に官能的に愛撫してくる。温かい皮膚と粘膜が密着しあうが、奏のそれはまるでそのものが吸いついてくるようにぴったりとフィットする。ぴったりしているほど、すぐ後にずりずりと摩擦されるときの刺激も濃密になる。
「ねぇ、気持ちいい?」
「あ、ああ、気持ちいい、とても……!」
こんどは奏が乳房を上下に浮き沈みさせてくる。摩擦のベクトルが代わり、また上から下に落ちるときべちゃん、ぐちゃんと空気、体液が潰される音がうるさくなって、ペニスが乳房に犯されているかのような感覚が増幅される。膨らみの隙間から赤黒い亀頭がちらちらと見え隠れし、その先端がときおり舌先でくすぐられる。
「ぁ、あぉ、はぁ、おおおっ……!?」
「男の人も、素直が一番ね」
彼はすっかり呻きを抑えきれなくなる。ペニスがびくびくっと跳ねるたびに奏の眼鏡越しの目つきが緩む。注射をされるとき針先から目を逸らしたほうが痛みを意識しにくくなるように、パイズリの快楽が過剰なので彼は乳房、ペニスから目を反らして奏の顔に自分の視線を向けさせる。それから臍下丹田に必死に力を込める。それでも精液を噴出がいくらか遅らせられるのがせいぜいだろう。
「枯れたふりは、もうおしまいですか?」
彼の必死な自制を奏がますます楽しんでいるように見える。たぷんたぷんと柔らかく乳房を波打たせたり、丸々としたラインが崩れるのも気にせずぎゅうぎゅうと押しつぶしてきたり、あらゆる方法を知っているように乳肉で挟み、こすり、もんで、迫ってくる。ペニスの硬さをからかっているようにさえ感じられる。彼が過剰な快楽に眉根を寄せて歯を食いしばり、いっぽう乳房が調理で食材でも扱っているように当然にペニスをこねてくる。
「んんっ……抑えるのもいいけど、見て、私だって、こんなに……」
パイズリの圧迫が不意に消えたかと思うと、奏の乳房も丸々と整った形に戻る。摩擦がすぎて薄く白く泡立ってへばりつく体液までなら、映画のお色気シーンのようにも見える。
その乳房のてっぺんでぽってり赤く腫れぼったくなっている乳首、乳輪は、映画だとすればサービス過剰だった。だというのに奏が、そこへだらりと唾液を垂らして指先で塗って、悩ましげにデコルテをびくりと反応させる。
「してあげているだけで興奮するなんて、いやらしい女だと思う?」
「……最高じゃないか」
「皮肉じゃないことを祈るわ」
奏が彼のペニスを捉え直す。パイズリが再開される。ペニスを刺激するだけで飽き足らず、彼のものを挟みながら指で彼女自身の乳首をいじっている。乳肉が左右からこすりあってくる。乳房自体が奏の体を通して彼を縛りつけてくる拘束具のような気がする。それでいて乳房があまりに心地よすぎてこのまま囚われていたくてたまらない。むしろ束縛でぎゅうぎゅうしぼられ頭の中からあふれたものが快楽のような気がしてくる。
「限界になったら、言ってね」
「……ぉ、お、っ……限界なんて、とっくに……!」
「あらあら」
彼のペニスを圧迫したまま奏が上体をずぶずぶ上下させる。パイズリのストローク幅が広がり、乳房の大きさを遺憾無く発揮してペニスを責めたてる。彼の腰が跳ねるのも奏が上体の体重を使って押さえつけて逃がしてくれない。そうやって激しく動いたかと思えば、亀頭を舌でつついたままくちびるをすぼませてちゅぅうっと吸って細かい責めも止めない。
「で、出る、から、止め……ぅう……!!」
もはや彼はソファの上にへばりつくのが精一杯で、がまんしようとしていた意志ごと精液をしぼり取られる。乳房にうずもれていた亀頭がにゅるんと飛び出て射精して、奏の首元や顎にびしゃびしゃと精液が叩きつけられる。それを浴びながらさらにペニスが追い打ちにぎゅうぎゅうとしぼられ、最後の一滴まで吐き尽くさせる。彼は快楽と虚脱感のあまり瞬きすらしばらく忘れていた。
「さて、たっぷりと堪能してもらったところで」
奏は乳房からペニスを解放した後も、彼の射精の余韻を見守っていた。パイズリ奉仕を終えて満足げな表情を浮かべていたが、彼の視線を受けると、急に遊び足りない様子で視線を返してくる。
「次は私が堪能させてもらう番かしら」
奏は彼の飛沫に汚れた眼鏡を直しながら、自分自身の肉欲を露わにして笑った。
※
「ねぇ、こんな格好、恥ずかしいじゃないの」
彼はソファの上に奏をあお向けにさせたあと、彼女のヒザが肩に着くほど両脚を引かせた。いわゆる〝マングリ返し〟の姿勢で、秘所はおろか尻の穴までさらす無防備を強いている。知識として知っていたがそんな体勢を女にさせたのはこれが初めてである。奏の演技に付きあって、これまでの自分らしくない男としてセックスに臨む使命感じみた気分がそうさせた。
「なら安心してくれ、俺から見れば壮観としか言いようがない」
「ねぇ、私はあなたのお望みに応えてあげたけど……欲しいものがあるからって、誰にでもこんなことするとは、思わないでね……?」
マングリ返しになると奏のスタイルの良さは一部消えて残りが倍になっている。むっちりした尻や描かれた裸婦像よりも少し大げさでさえあるウエストのくびれがこのポーズでは隠れてしまっている。といっても、それらを隠すのは叢雲でも風でもなく白くすらりとした両脚である。ヒザ頭がパイズリの記憶も冷めやらぬ乳房にむにゅりと押し合いへし合いしている。外力でひしゃげられて大きさがわかりにくくなっているが、はみ出す膨らみで弾力がかえって強く見える。
そのすぐ上には、〝こんな格好、恥ずかしい〟がまんざら演技でもなさそうな、目を伏せくちびるをとがらせ頬を赤らめた奏の顔が見える。
彼の手がゆっくりと太ももをさする。
「ん……」
「くすぐったいか?」
「そうされると、ダメ……いじわるしないで、これっぽっちも手加減してもらいたくない気分に、なっちゃう」
顔は涼しい顔をしているが、より接触に近い膣口と尻は一瞬ひくつく。彼が言わずとも見ないふりをすればそのまま流されるぐらいのかすかな反応。
「その姿勢のままでな」
彼の指先がゆっくりと陰核に触れると、奏がまた下半身をかすかに震わせる。女体の中でもっとも敏感な突起にして、快感を得ることに特化しているらしい肉の芽が、一こすり、二こすりとされてほころびていく。彼にしか見えないが、周辺の小さな襞もじわじわ熱を帯びて赤らんでいる。
「ふ、ぁ……は、ぁはっ」
「……まぁ、少しは動いてもいいさ」
そこも指で撫でる。奏の呼吸がすぅと波打つ。内ももに力が入る。完全に無防備な姿勢を強いられている奏は、普段の妖艶さからは想像できないほど乙女らしく体を縮こませていた。額に前髪が乱れて張り付くほど汗が滲み、くちびるが不服そうに引き結ばれている。
「ん、ぅ、あっ……っやっ、そんな、の……!」
「意外といいもんだぞ」
彼がマングリ返しの秘所に顔を近づけ、すぅはぁと匂いを嗅ぎながらくちづけ、舌を這わせる。クンニリングスを始める。奏がこれを経験済みかどうか知らないが、彼にはまるで初めてであるかのように感じる。初めて女を知ったときのような、あるいはそのとき以上の昂揚と驚きが胸に広がる。男を甘く誘うようで、近づいていくにつれて自分の生々しい欲望を強く帯びて蠢いている膣肉の匂い、味、感触。舌先でぷっくりしてきたクリトリスを舐めあげてやる。くちびるで優しく挟みつつこすりたてる。
「っ……んっ……ひゃんっ、あ、あっ……はぁぁあっ!」
マングリ返しを保つよう自らヒザ裏を抱えこむ奏の手までぴくりと動いて震えている。彼の舌使いに呼応して膣口も喘ぎじみてひくひくと開閉する。そこにねちねち舌を挿れていき唾液を注ぎこみながら肉壁をくすぐってやる。奏の腰が自然と浮き上がってきてしまうのを見て取り、片手で彼女の太ももをぐっと固定してやる。いたずらごころが湧いて肛門を指先でくすぐってやる。
「ん、ダメ、んっ、はぅ、んっ……んぅうっ……!」
肛門の反応は、性感より純粋なくすぐったさが勝っていると思しい。それでも括約筋とともにぴくぴく反応してくれて彼の嗜虐心をよく煽る。
彼はクリトリスを口淫したまま、指を膣口にゆっくりと挿入していく。膣内の湿った温かい空間が、挿入直後からきゅっと緊張する。拒絶とも歓迎ともとれる膣肉をかき分け、壁の少し盛り上がっている部分を中指の腹でとらえる。
「っ……っうぅー……ぅ……! そ、こぉ……!」
クリトリスの根本にあるらしきGスポットという性感帯を、彼は信じていなかった。ただそのあたりに指を抜き差しする動作を、舌でのクリトリスへの愛撫とともに繰り返すと、奏の両脚は小刻みに痙攣したり、じゅぽじゅぽと卑猥な音を鳴らしたりして、奏の興奮を示す。
「ああ、女の味ってこんなんだったんだな、癖になりそうだ」
「……知らなかったみたいな言い方」
膣内から指を抜いて改めてクリトリスを指でこねてみる。指で揺られても包皮が剥けあがってピンクの肉芽が露出したまま震えている。
「ねぇ、こんなの……じれったいわ……」
無防備ながらぷっくり自己主張する女の弱点を見られながら、奏の声もますます期待を帯びている。クリトリスを摘まむように押し潰したり逆に指先で円を描くように撫で回したりしていじめていると、マングリ返しで閉じきれないままの内ももが閉じようとして震える。
「ふはっ……はぁっ、はぁっ……んんんっ……!」
抑えようとしているのか、愛撫を重ねられても奏の手足の震えはほとんど変わらない。対して、汗や愛液、粘膜の痙攣が刻一刻と変化する。
「んっ、んっうぁ……はぅ、んぅっ……」
彼は改めてクリトリスを中心に口淫を開始した。今度は舌全体で包むように覆って唾液を塗り拡げる。ときどき音がべちゃつくほど吸引する。奏が身をよじり、自ら押しつけるようにしながらもだえる。ときには肛門も同時に攻めていく。
「んあっ、あっ……ああ、あっ、う、ううっ、うあ……っ!」
マングリ返しの状態から奏の上半身がもぞもぞ動いてソファの衣擦れをうるさく鳴らす。ノド奥からせり上がる喘ぎとともに腰がぐっと持ち上がり、それからびくびくっとした振動が彼にも伝わってくる。膣口が収縮し愛液があふれ彼の頬まで濡らす。
「ま、まって……いま、つづけ、られたら……っ……ンああぁああ……っ!?」
彼がクンニリングスを続行しようとすると声で制される。構わず続けていると奏の腰が暴れる。それを彼が太ももをつかんで押さえこむ。くちびるを押しつけたまま舌先で素早くピストンするように舐めると、膣肉がぎゅっと収縮し潮吹きが始まる。噴き出した液体が彼の鼻やあごを打つ。
「手加減してもらいたくないんだったっけな」
「ん、ダメ、んっ、はぅ、んっ……んぅうっ……!」
マングリ返しの姿勢でクンニリングスが続く。奏の膣口からあふれた潮が、ソファを湿らせ床まで垂れる。彼女は絶頂後の弛緩状態のまま、なおも次の快感にさらされる。彼は口を離すことなく、舌をさらに深く潜らせる。
「ひぁっ、んくうっ……!」
奏のノドから腫れぼったい悲鳴が零れた。今度は中指と薬指を揃えて挿入し、腹側の壁を押し上げるような動きで刺激する。奏の体が大きく跳ね、太ももが筋肉の溝を浮き彫りにするほど張り詰める。
「やっ……やぁっ……そこっ……!」
抗議の言葉とは裏腹に、奏は両ヒザをしっかり抱えこみマングリ返しの姿勢を保つ。秘所は指を締めつけながらさらなる愛液を吐き出し始める。クリトリスを吸い上げるようにくちびるで包みこみながら、内部からの責めは続ける。手首から角度を変えて、次は親指でクリトリスを圧迫する。同時に中指、薬指を曲げて浅い場所をリズミカルにこする。
「んぉッ……ぉあ、うぅッ……!」
普段の澄ました声とも、対面座位などで耳元から注がれる嬌声とも別人のような低い叫びが聞こえる。かと思うと膣内が脈動して、前に彼へ浴びせた以上の量の潮吹き。
「……もっといじらせてみないか?」
奏が無言のままだった。震えるふくらはぎの間から覗く瞳が潤んでいた。返事を待たず、彼の唾液と奏の分泌物が混ぜあわせながらクンニリングスの追撃を見舞う。一度絶頂を迎えたことで余計に鋭敏になっているだろう所を敢えて狙う。クリトリスを口内で弄びつつ、指でさっきより奥を目指す。探検家じみた慎重さと冒険心で膣奥をまさぐる。口の中いっぱいに奏の匂いと味が広がっていく。
「や、ぁ……! ん、ぁぁ……っ……!!」
奏の性的興奮は相当なレベルに高まっているのだろう。ねっとりと火照った膣肉の締めつけばかりか声や吐息さえも抵抗しているのかそれとも煽っているのか、というふうになっている。当人には快楽が過剰なのか、たまに弱々しく首を横に振る。粘膜どころか全身すっかり汗みずくになって、部屋のわずかな明かりにも肌がてらてらと映える。
「いつまでも続けてしまえそうだ」
またも奏の腰が震えるあまりソファから落ちそうになるので、改めて両手で押さえこむ。これでクンニリングスに集中できるようになる。舌全体を押しつけ味蕾でこそぐように割れ目全体を責める。それから舌先でクリトリスの根本を摩擦する。何度も何度も同じ動きを繰り返すが奏の体は飽きないようで、痙攣や嬌声の間隔が狭くなり、やがて明らかに大量の愛液があふれ達する。
思わず生唾を飲む。自分や奏の羞恥心への気遣いも一つ落ちて、開き直ってずるずるとすする。
「くひぃっ……!! あ……あ、あっ、あ、だ、めぇっ、来るっ……!」
無心に奏の性器をしゃぶり続けるうちに、だんだん酸欠で朦朧となる。奏の膣口から、愛液に代わってより白くねっとりした液体がこぼれ出す。何十秒かぶりに視線を上げると奏がマングリ返しのままどうにか手を伸ばして口を抑えて声を殺しているのが見える。その光景に自身まで背筋がゾクゾクと震えて止まらなくなる。
決めたわけでもなく、これまでは奏とキスを絡めながらむさぼりあうセックスを続けてきた。ここまで一方的に快楽に染めている展開などなかった。
「……続けたいとは思っているんだが、まぁ」
いま奏が受け身になってくれているおかげで、肉体への負荷が減って、どうにか気分が望むだけ続けられそうなセックスなのだと気付く。娘より年下の女に気を遣わせて、と自分に呆れる。それを奏に気取られたら、と思うとますます気恥ずかしい。押し隠すようにクンニリングスを強める。
「くっ、ふぅぅう……っ! ぁはあっ……やぁっ、あぁっ……!」
奏の嬌声がまた花開くように高まる。くちゃ、にちゃ、と粘膜を舐めて立てる水音に、合いの手のように挟まって彼を喜ばせる。これまで挿入の下準備や奏の女体を味わうばかり意識していた愛撫の楽しみが色を変えて感じられる。
ふと、初めて彼に犯させたときの奏の笑いもそのせいだったのか、と思い至って、手も口も止まる。
「んっ、んっうぁ……はぅ、んぅっ……」
奏がマングリ返しで秘所をさらしたまま、半ばだけ目を開いて彼を窺ってくる。伊達眼鏡がとっくにずり落ちて見慣れた快楽に染まった視線だった。
「……そっちにばっかり、エッチなキスしちゃって……!」
「ご不満かな」
「こんなに不満をためこんでいられるんだなぁって自分に驚いてるぐらい」
奏の脚がついにマングリ返しから降りて、まだクンニリングスできる体勢にいた彼の肩やうなじをべちんとぎこちなく叩いた。
※
「足りないでしょう……もっと味わいましょう、あなたも、私も」
彼はソファに腰掛け、結局いつもよくやっているように対面座位で奏とつながろうとする。ゆだった頭が、いつもほど長く保つわけがないと自嘲混じりの警告を発している。いつもよりしつこく愛撫して余計に興奮したせいか、すでに何度も性交中に射精したかのような気分だった。
演技に付きあってやっているとの意識がすっかり消え失せていた。
「っん、ふ、あっ、あぅ……んん、ふっ……うわぁ、私のでべとべと」
「さすがにキスはためらわれるかな」
「どうせ先生の味しか感じないわ」
奏のくちびるが彼のそれに押し当てられる。奏の乳房が彼の胸板をむにゅりと圧迫し、ずりずりこすれ性器が視界から隠れてしまう。感触を頼りに性器どうしを近づけてつながる。互いの唾液を混ぜ合わせる。膣肉も接吻のようににちにちとペニスを抱擁してくる。マングリ返しで指を締めつけたより優しげで穏やかだが、射精衝動をダイレクトに呼び起こされる。挿入直後でありながらまるで何時間もセックスをしているかのように熱い。
「はうぅ、んぷっ……ちゅっ、ちゅう……んっ、ふふ……こっちでもべとべとにしちゃわないと、ね」
奏が腰をゆっくりと抜けきる寸前まで浮かせ、彼の額や眉にもキスを見舞う。舌先から唾液を垂らして頬も鼻も濡らしていく。目の近くにも垂れて彼は目を閉じる。
好き放題されているのに、奏のことが健気に思えて神妙な気分になる。
「それから、奥も……固くして、待っててくれたんでしょう?」
ずぶり、と膣奥のほうが迫ってくるような勢いで腰が沈められる。騎乗位に近いほど積極的に腰をうねらせてきてペニスを絞めあげる。下腹部同士が密着しても深くつながろうとしてか、奏がさらに体重をかける。快楽と結びつけられた重さが幸福感さえ催す。
「むふっ、むふぅんっ、んぁ、んふ……ぅ……!」
キスの合間にする息継ぎが犬のように切羽詰まる。腰の動きがむしろエスカレートする。汗を散らしながら、奏が彼の肩や背中をつかんで爪を食いこませる。彼の肉体を焚きつける愛撫のつもりらしい。
「ん、ああっ、あはは……こ、声、出ちゃ……は、ひっ、あう、んっ……ふ、ぅ……!」
奏が嬌声も抑えきらないまま、彼のうなじに腕を絡めて頭を押さえこみ深いディープキスを求めてくる。彼女の股座から愛液があふれて二人の結合部でじゅるじゅる籠もって響く。彼が射精を堪えるはずみで口吻を力ませてしまうと、奏がくちびるを離して抗議してくる。
「もっと、よ……んっ、うっ、あ、あっ……! あぁっ、はぁぁぁぁ……!」
キスしたいのか膣イキしたいのか、奏の体は貪欲に慌ただしく動き回る。膣壁がペニスを圧迫し痙攣するのも強引で彼は気圧されかける。どうにか、奏の肩を抱きしめ返しつつ腰を持ちあげてピストンを合わせてやる。ずぶずぶと突きあげると、膣奥のコリコリとした触感が返ってくる。
望むように、奏の体がうねる。
「んひゅっ……!? そ、そぇ、だめ、だ、め……だめ、だか、ら……おうぅっ……お、おく……いっ、っっうぅぅ、ぅう……!」
奏が整った顔を歪ませ、声も不自然に途切れされる。彼は奏の膣肉に負けまいと腰をぐりぐりと捻り押しつける。
「んぉ、あ、ぁ……ぉお、ッほおぉ……そ、こぉ……ばっか、り……!」
彼がソファ上で対面座位のまま奏とつながっていると、必然的に奏への責めが膣奥への執拗なノックに集中する。汗でぬめって滑りやすい肌を抱きしめて交合を安定させながら、不安定なソファから落ちないぐらいのピストン運動を繰り返す。そうなれば自然と、ペニスで膣奥までうがちながらそこを細かく行き来することになる。
そんな刺激が蓄積してか、いつしか奏の下腹部が、これまでより忙しなく震え始めている。単なる快楽からの反射ではなく、これから訪れる極致に対する予兆らしかった。
膣奥で子宮が収縮するような動きを感じた。ペニスの先端にコリッとした触感があたり、それが徐々に鈴口あたりを輪のように締めつけるふうになった。まるで手コキの指輪をまねして膣奥が準備を整えているかのようだった。
「わ、わたし……あそこ、されるの、すき……あなた、しか、ぜったい、わからない、から……」
奏は学校内外で評判の美少女であり、顔から服越しの胸、尻、太ももから、もしかしたら手の指、足の先までも勝手に欲望の対象にされている。奏を犯す妄想で欲望の対象を腟肉に広げる男や女もいるだろう。
けれど現実には、奏の膣奥は彼以外の何者も知らない。だから好きだと囁いてくる。
「あ、はっ……んぐ……うっ、あお゙……ぉお゙ッ、い、いっ……っ……!」
彼がさらに膣奥責めを繰り返すと、奏の肌のほとんどすべてがびくびく震えるようになる。普段の奏からは想像もできない低くひしゃげた声が漏れて、すぐあとに奏が恥ずかしげに彼からそっぽを向くが、くちびるは奇妙に緩んでいて、恥じらいより誇らしげに見えた。
「あっという間ね、さびしいぐらい……でも……おォおお゙……ッ!! ふかいっ、ふかい゙い……ちゃっ……っく、イク、いッぐううゔっ……!」
そこからタガが一つ外れたのか、これまでのセックスより深く激しい絶頂を女体で示す。下腹部の震えがペニスを縛りつけるかのような強烈な痙攣となり締めつけが走った。腟肉から潮吹きとも愛液とも何ともよくわからない体液があふれる。
「あ、はっ……ほぉぉおっ……んんっあ……い、いっ……っ……!」
「……速水……!」
彼はあっけなくがまんを凌駕され射精に至りながら、射精をがまんしていたのと同じぐらい必死に目を見開き奏の表情を脳裏に焼きつける。
普段の完璧に磨かれた美貌が歪み、半開きのくちびるからよだれが滴る。彼女の瞳孔が半開きのまぶたの裏に見え隠れして、汗だくの額や頬に乱れ髪が貼りついていて、比喩ではなく悦楽に溺れているかのような姿が見える。
耳元から、平時の近寄りがたい美貌からは想像もできない獣じみた喘ぎが聞こえる。しかし、すっかりセックスにのめりこんだ彼にはどこか恍惚と蕩ける蜜のように甘く響く。膣肉は狂おしく収縮と弛緩を繰り返し、彼のペニスを灼熱の坩堝で焼き焦がさんとするかのように締め上げる。
「で、でる……出て……ぉ……ッ……!」
奏の肉体そのものが嵐となって彼を飲みこみ、すべての境界線を曖昧にしていった。膣壁の無数の襞が蠢き、彼の欲望を更なる深みへと引きずりこもうとする。
射精が続く間、彼は文字通り魂が抜けるような感覚に襲われた。睾丸から精液が否応なく駆けあがって、奏のもっとも深い場所で爆ぜる。奏の痙攣と絡まってもみくちゃになって、結合部から収まりきらない蜜と白濁が混じりあった液体になってあふれ、ソファと彼の下肢のあいだで潰れてこぼれる。
汗に濡れた肌と肌が溶け合うように密着し、二人の境目が失われていく。対面座位の姿勢から崩れ落ちそうになりながらも、どちらからともなく相手の体を強く掻き抱く。
「ぴちゃ、れぢゅ、れぢゅ……ん、はぁっ、はぁ、はっ……く、ん、んっう……」
荒い呼吸で切れ切れになりながらキスを重ねた。くちびるが着いて離れてするごとに、充足感と喪失感が入り混じって胸を満たす。やがて余韻のうちに痙攣が収まって、心も落ち着きを取り戻す。
「んぁ……はっ、はぁっ、あ……先生、そんなエッチも、されるんですね……」
「……お気に召されたようなら」
ペニスを抜いた。奏の秘裂が真っ赤に充血して、膣口がヒクヒクとかすかに震えていた。いやらしく名残惜しげに開閉しているふうに見えた。激しい交合の跡が生々しく、愛液と精液の混合液が糸を引いていた。
「……あっという間な感じがしましたね」
「それだけ楽しかったんだろう」
「ん……でも、もう一度だけ、今度はベッドで」
「……もう一度だけで済むよな?」
ソファでのセックスで心身ともにふやけて心許ないようすに、お互いに苦笑いしながら寝室へ移った。ベッドでの続きは、ソファからは真逆のような側位となった。慎重なほど時間をかけて結合を始める。
奏が背中を向けたまま首を傾げて流し目を送る。それを合図にくちびるを寄せる。
「……んっ、ふっ……んふふ……」
吐息を味わうぐらい軽いキスから始まり、くちびるより外に伸ばして舌を絡ませたりする。舌の粘膜や唾液は指先ほど外にさらされただけで味がねっとりと移り変わる。特に匂いが立つ。ともすればディープキスより相手を濃厚に感じる。唾液の水気が吐息で少し奪われ、感触もねっとりして、それが絡む味蕾のざらつきも神経をごそごそくすぐってくる。
「ちゅぷ……るちゅ、じゅる、んぱっ……んぅ……」
息継ぎを後回しにして舌を絡ませていて、鼻息が荒くなって互いの頬をくすぐりあう。奏が肩を開いて彼の後頭部に手を回してくる。四十肩か五十肩の自分とは断然違う関節の可動範囲だ、と彼に妙な感嘆が湧く。
キスがまた深くなる。奏のくちびるが彼に痕を刻む勢いで吸いついてくる。柔らかなくちびるが彼を捉え、ねっとりと熱を帯びた舌が絡みついてくる。やがて彼の舌を押しのけるように口腔へ侵入し、唾液を垂らしながら歯茎の裏や上顎まで丹念に愛撫していく。
奏の舌が彼の口腔内でうねるたびに、濡れた音が室内に響いた。ぴちゃぴちゃ、れろれろという淫靡な音が興奮をさらに煽る。
彼は奏の背中に手を回し、汗ばんだ肌に指を食いこませながらキスに応えた。彼女の背中がしなやかに敏感に反応し、接吻に集中しながらも楽しげに身もだえる。
「んぢゅ、んぷ、ちゅう、んぷ、ぱぁ……ふ、ふふっ、まだまだ、ですねっ」
「……体力、あるなぁ」
少なくとも彼はちょっとした後戯のつもりであったのに、互いの舌がどんどん求めあってしまう。奏のほうからくちびるを被せてきて彼の口の中で舌を遊ばせる。舌先で前歯の裏をくすぐったり舌の根どうしを重ね合わせたりする。くちびるどうしが離れると唾液の糸が伸びて垂れる。
その糸を奏が拭いもせず再びくちびるを寄せると今度は彼のほうから積極的に舌を突き出して奏のくちびるを割る。歯列を探り、舌の付け根に届くよう深く口内を侵略する。
「先生だって」
キスで熱くなったままのペニスがいつしか硬く勃起していた。膣口と亀頭が近づくと奏が笑いながらお尻を振って誘ってくる。彼が腰をつかみその尻肉側からペニスをあてがう。
ぐちゅりと音を立てて挿入した。
「んあっ……ん、う、ぅふ、はぁ、あはぁっ……」
対面座位から相変わらずぬるぬる誘いこまれるように、側位で奏の膣内へ侵入する。ソファでの激しい情事によって赤く充血した膣穴がヒクつきながらペニスを迎え入れる、奏が控えめな喘ぎ声を漏らす。
亀頭が奏の最奥まで到達すると、彼女は合図のように腰をくねらせた。
「ぇ、ぉっ、ほぉっ……す、すき、なんですか、それ……? 先生、ったら……」
「そうだな、好きだな……悪趣味と思われるかな」
奏であっても膣奥まで占領されると、横隔膜や呼吸器に影響が及んでか、女らしくなく低音の、間の抜けたふうにも聞こえる響きを漏らす。彼女の同級生であったら、その演技をしなければ犯すと脅されてもためらってしまうような声だった。
「……私が何やってもそんな調子のくせに」
「それもそうだな」
膣肉が彼のモノをきゅぅっとしぼってきた。応じて、ぐちゅ、ずぷっ、と腰をゆっくり動かす。膣内は当然のように熱く締めつけが強いままで、擦れるたびに背筋まで焦がす電流じみた快感が弾ける。
子宮口らしきそこへ狙いをつけて、ぐりぐりとペニスの先端で撫でまわしてやる。奏が嬌声に悲鳴が混じりながらも気持ちいいのだと言い張るので、ついやりすぎる。奏の膣壁がますますペニスを締め付け、快感が増幅される。
「もっと、もう、少し、つづけてっ、いいのっ、私……ああ、あっ、う、ううっ、うあ……っ!」
奏が彼の肩や首に手を絡めながら腰を揺らして、彼の動きに合わせて自ら奥まで招き入れる。奏が弓なりに反らした体をぶるぶる震わせながら達する。同時にもう一層激しさを増した締めつけに耐えきれず彼も精を解き放った。
「あ、はっ……んぐ……うっ、あお゙……ぉお゙ッ、い、いっ……っ……」
軽い後戯のつもりだった、などとはとうに忘れていた。
※
「切なくなるつもりは、なかったのですが」
奏に浴室で汗を流すよう言うと、奏は軽く振り返って白い歯もあらわに笑った。何も言わなかったかのように扉が閉じられて、冬に不似合いなざんざん振りの雨のようなシャワー音が二人の間に響いた。
(おしまい)