部屋に戻るとシンジは、がだかだと身を震わせていた。自分でも悪いことをしたと分かっているみたい。
私は怒ったりしない。シンジは、こうして私のもとにいてくれるのだから。
けど、躾はきちんとしなくちゃいけない。シンジのためにも。
シンジを膝の上に乗せると、震えが直に伝わってくる。こんなに怯えて可哀想。
早くその罪の意識を取り去ってあげよう。罰を与えることで。
「反省してくださいね」
平手を振り上げて、シンジのお尻に力一杯振り下ろす。
パッン、と小気味のいい音がして、シンジが悲鳴を上げる。
「憎くて叩くんじゃありませんよ。シンジが愛しいから叩くんです」
もう一度。
さらに、もう一度。
パッン、パッンとシンジのお尻を太鼓みたいに叩き続ける。
その叩き心地、呻き声の心地よさに、ほんのすこし度が過ぎたみたい。
気づくとシンジのお尻は真っ赤に腫れ上がり、瞳からは涙が零れていた。
「反省してくれましたか?」
口枷を外してあげると、
「ごめん…ごめんなさい……もうしない…しないから、許して……」
シンジは素直に謝ってくれる。もちろん、私は許してあげる。でもその前に、
「じゃあ、どうすればいいのか分かりますね」
反省を態度でも見せてもらわなくちゃ。
「う、うん……」
手枷を外して、シンジを立たせる。
「何回……?」
「そうですね。素直だから、三十回でいいです」
「三十回……。うん、分かった」
私が答えるとシンジは頷いて、自分のおちんちんを平手で叩いた。これが私の教えた反省のしかた。
「ほら、ちゃんと数を数えながらじゃないとだめですよ。もう一度、始めから」
「あ、うん……一回」
数を数えながら、おちんちんを叩く。素直で可愛い。
渾身の力を込めているはずだ。でないと意味がない。証拠にシンジの顔は叩くごとに、苦痛に歪む。
「十回……うぅ」
十回目くらいから、シンジのおちんちんは変化を見せ始めた。ふふっ、大きくなってる。
「二十一……うまく叩けないよ……」
「だめですよ、力を抜いちゃ。思い切り叩いてください」
二十回を越えた頃には、完全に勃起していた。たしかにお腹に着くくらい上を向いてしまい、叩きづらそうだ。でもシンジは健気に、それを叩く。その度におちんちんが、上下に派手に震えて私の目を楽しませてくれた。
「三十っ」
反省が終わると、おちんちんははち切れんばかりになっていた。
「よくできましたね。もう、悪いことはしちゃだめですよ」
シンジの頭を撫でてあげる。
「うん……」
「それから、ちゃんと反省できたご褒美です」
私は跪いて、シンジのおちんちんに口を付けた。
熱い。シンジのおちんちん。
亀頭を丸ごと頬張って、その感触を楽しむ。
手では陰茎を擦って、もう片方で睾丸を揉んであげる。シンジは睾丸を強く、掴まれるのが好きみたい。握っていると小刻みに体が震えるのが分かる。ふふっ、震えちゃうくらい気持ちいいんだ。思い切り握ってあげるね。
「うぅ、あぁぁっ」
裏筋に舌を這わせると、シンジは切なそうな声を上げた。とっても敏感なところだもんね。
もっと感じるところを責めてあげる。私は亀頭の先――尿道口を、舌を差し入れるようにして擦った。最初は痛がったけれど、今ではこれをするとシンジはすぐに、
「だめっ。出ちゃうよ……」
ほら、射精してしまう。
「まだですよ。私がちゃんとくわえてから」
おちんちんを、できる限り奧まで飲み込む。シンジの精液は一滴だって逃したくない。
目で出してもいい合図を送り、とどめに陰茎を擦り上げてあげると、シンジはすぐに精液を噴出させた。
口の中でおちんちんが跳ねる。喉に精液がぶつかるのが分かった。
射精が終わってもすぐには口を離さずに、おちんちんを吸う。こうすると先に残っていた精液を味わえる。シンジもいったばかりですごく敏感だから、堪らなく気持ちいいみたい。
私が満足するまでおちんちんを吸い尽くすと、そのころにはおちんちんはまた勃起している。嬉しい。私にこんなに感じて、欲情してくれるシンジが何ものにも代え難く愛しい。
今度はおまんこで、愛してあげよう。
私はシンジを寝かせて、その上に跨った。
今日は日曜、時間はいくらでもある。シンジの精液を全てこの身に受け入れてしまいたい。
シンジのおちんちんを私のおまんこに入れようとした瞬間、階下で玄関のドアが開く音がした。
え? 玄関のドアは、さっき鍵を閉めたはず。義父は今日も仕事で、こんな時間に帰ってくるわけがない。
私が混乱している内に、素早く階段を上る音があっという間に近付いて――
バンッ、と目の前のドアが押し開かれた。
「やっぱり気になって、見にきちゃったわ。ほんと可愛い子犬ね、山岸さん♪」
現れたのは葛城とかいったか、帰ったはずのネルフの女性だ。
その姿を見て、シンジが歓声を上げる。そんなに嬉しいの? 私から逃れられることが。
「ミサトさんっ!」
「は~い、シンちゃん。おひさ」
女性は軽く手を挙げて、おどけた様子で一歩こちらに近付いた。
私は威嚇するように怒鳴り声を上げた。
「なんで……なんで分かったの!?」
「そりゃ分かるわよ。あなたの倍は生きてますからね。あなたが嘘をついてることくらい、すーぐに分かったわよ」
女が、また一歩近付く。私たちとの距離は、もう二メートルも無い。この距離がゼロになったとき、私はシンジを失う。たぶん永遠に。
嫌だ。そんなことさせるもんか。
私はシンジを掴んで立ち上がり、後ずさった。けど、すぐに背中が壁にぶつかって逃げ場を失う。
「うぅぅっ!」
自分でも獣じみて思えるうなり声が、口から漏れる。私は机の上のペン立てに手を伸ばした。
カッターナイフを手に取り、がちゃがちゃとできる限り刃を伸ばして、シンジの首筋に押し当てる。
「渡しません。絶対に渡しませんよ。シンジは私のもの。私の理解者。私の恋人。私の運命!」
本という虚構の中にしか救いを求められなかった私が、現実で手に入れた唯一の物。たった一つの本物。
「渡すくらいなら――殺します」
吐く息が熱い。自分の言葉に酔いそうになる。殺すことで愛する者の全てを手に入れる。そんな愛し方が、なにかの本に書いてあった。読んだときにはあまりぴんとこなかったし、正直今も理解できないのだが、まあいい。それが愛し方なのなら。シンジを殺そう。私はシンジを愛しているから。
なのに女は、なんの動揺も見せず涼しい顔で懐に手をやり、
「その段ボールを切るのにも手間取りそうな、ちゃちいカッターであなたがシンちゃんの喉を裂くのと――」
拳銃を取り出した。言うまでもなく本物なのだろう――モデルガンとの区別なんて私にはつかないけれど。
「私があなたを撃ち殺すの、どっちが速いかしら?」
へえ、ネルフの職員ってそんなことまで許されるんだ。知らなかった。すごいんだ。将来、就職先の候補に考えておこう。国際公務員だし、安定職だ。
「撃てばいいわ。いくらでも撃てばいい。それでもシンジは渡さないから!」
恐くなんかない。私は、シンジを守るために最後まで戦って、そして――死ぬんだから。
最後の瞬間まで最愛の人のために行動できるなんて、そのかけがえのなさを嫌と言うほど意識できるなんて、こんなに幸せなことはない。
「やめてくださいっ!」
叫び声を上げたのは、シンジ。
「心配しなくても、だいじょうぶよ。こー見えても私、射撃は得意なんだから。シンちゃんに当てたりしないわよ」
それを聞いて安心する。狙いは正確じゃないと困る。シンジを殺していいのは、私だけなんだから。
「そうじゃないです。マユミを――山岸さんを撃つなんて、やめてください。そんなことする必要ないじゃないですか」
全身の力が抜けた。
なんて、優しいんだろ。こんな酷い目に遭わされているのに。それでも私の心配をしてくれるなんて。こんなだから、私は好きになってしまったんだ。
「シンジ……」
カッターナイフが手から抜け落ちる。私は狂っていた。けれど、それが自覚できてしまうということは、やっぱりどこか狂い切れていなかったんだと思う。シンジの言葉で、それに気づいてしまった。
だから彼の首に傷を残して、自分が撃たれるなんてことは、私にはもうできなかった。
シンジの首から腕を離して、私はその場に崩れ落ちた。
思ったほど、酷いことにはならなかった。
あの後、三日間ほどネルフに拘留されたが、ただ閉じこめられているだけで――私は記憶操作や、マインドコントロールをされるのではないかと覚悟していたけれど――ほとんどなにもされなかった。最後に、もうシンジに近付くなと言われただけだ。
この程度で済んだのは、シンジが口添えしてくれたんだと思う。それとあの葛城さんも。
その後で、このどこにあるかも分からない精神病患者のための施設に押し込められた。待遇はいい、ベットに縛り付けられたりはしないし、食事も三度きちんと出る。外出はできないが、施設内の庭を散歩するくらいはできる。
一度、迷ったふりをして外へ出ようとしたら、出入り口を見張っていた大柄な男に注意された。出口は一カ所だけで、他は四、五メートルある塀がぐるりと隙間無く囲んでいる。
私は、まともになろうと思った。
罪を認めて、それを償おうと決心した。
シンジのことは、もう諦める。
だって、そうしないとここから出られそうにないから。
幸い、職員の受けはいい。遠くない将来、ここから出られると思う。そうしたら――
待っててね、シンジ。今度は、もっとうまくやるから。