聖騎士イズヴァルトの伝説 第六部 『戦旗編』 作:CHACOとJAGUAR
人食い鬼と呼ばれる亜人、ゴールの特質。人肉を喰らい血肉にした時、あらゆる能力が最大限にまで発揮されるというものだ。人肉を喰らわぬ場合は亜人種の戦士よりも劣るというぐらいだが、発揮するとオーガの戦士と同等かそれ以上の戦闘力になる。
イズヴァルトもジル=ドッレの『同族』達と戦ったことがあった。その頃には半神の力を得て並大抵の亜人では敵わぬ実力を持っていたけれど、食人鬼達の戦闘力は馬鹿には出来なかった。油断は禁物。
ここでも彼等と戦うハメになるとは。なんという災難だと思いながらイズヴァルトが身構えた。ジルの肉体に変化があったからだ。
「うおおおおっ! 力が、力がみなぎるぞ!」
まずい肉だと蔑んでいた割には身体は満足しているようだ。ジルの輪郭が一まわり膨れ上がっていた。彼がまとっていた黒皮のジャンパーのファスナーが裂け、中に着ていたTシャツがのぞいた。
向こうの世界でのジル=ドッレの装備
『おにくだいすき! ゼギューくん』という大きな文字とともにオレンジ色の長い髪のコミカルな男の子のイラストが描かれている。その絵の左下に小さく、全国酪農連合の文字が。
「……随分と可愛らしい絵が描かれた服でござるな!」
「かわいいからだよ! 人殺しが可愛いものを愛でて何が悪い! あと、『まんせい』の牛と豚の一家の服も持っているぞぉ!」
「おお、あれか! 拙者も一目見てめろめろになってしまったでござる!」
「そうかあ! 俺とお前は気が合うかもなあ!」
ジルは大きく口を開けて笑った。ズボンの股間がやけに目立っていたのは、陰茎を怒張させてしまったせいだ。食人鬼は人肉を喰らうと生殖本能も旺盛になる。彼等は殺した敵の妻や娘を決まって犯し、勝利を収めた日に必ず孕ませると言われている程性欲が強くなった。
「でも敵同士だイズヴァルト! あとなあ、この世界の肉料理はとてもうまいぞォ!」
この世界の美味たる肉料理を味わう前に死ね。『まんせい』でサーロインを5枚も平らげたことがあるイズヴァルトにジルが襲い掛かる。一歩踏み込んだところで姿が消え、音だけが迫った。速い!
右手に持った剣を真一文字にして受け止めたが、すぐさま左手を峰に添えた。刃が鳴り合う音とともにドワーフの猛者の様な重圧が彼の身体をよろけさせた。なんという馬鹿力か!
ドワーフどころではなかった。それよりもっと馬鹿力を持つナハリジャーヤ=エルフかあるいは生涯の好敵手とも言うべき、ヤギウセッシウサイ程のだ!
あまりにも強烈な一太刀に踏ん張ったせいで足元を固めていたアスファルトが割れ、足が土の中にめり込んだ。知っていた食人鬼の膂力とは違う。彼等はドワーフに力で劣るオーガ族と同じぐらいのはずだ。
「ふふふ、驚いただろう!」
目にも止まらぬ連撃が。流石のイズヴァルトでも避けられず受け止めるしかなかった。キンキンキンキン、という擬音がイメージさせる素早い繰り出しなのだが、その一撃一撃が肉と骨が悲鳴をあげる程だった。
「この世界での俺は、あっちとは違うぞォ!」
ジルのロングソードの切っ先がイズヴァルトの首を狙った。避けられぬと思ったイズヴァルトはとっさに左手でそれをつかんだ。掌が貫かれ、手首の骨が砕かれた。激痛がはしった。しかしそれをものともせずに引っこ抜いた。ジルは尚も斬り裂きに来る。
「ははは、手負いだな! 無様だ! あちらの世界では『同郷』たちを赤子の手をひねる様にのしただろうが、こっちではそうはいかぬ!」
刃を掌から抜いたと同時に、間合いを空けイズヴァルトは血を流しながらも相手の斬撃を避けられた。しかしそんな悪あがきは今の自分には無駄だとジルはあざ笑う。
「この世界に来た精霊人はなぁ、あっちの10倍の力を得られるのだよ! 所詮は『はんぶんエルフ』の身体しか持たぬお前ではその験は薄いだろう! おおかた、吸血姫様に競り負けて追って来たのだろう、魔竜どもらと!」
------ほう。知らないのか。
髭切がイズヴァルトに呼び掛けた。ヘラをあと一歩まで追い詰めたことをしゃべるな。今のところは増長するあいつの好きな様にさせてやれ。
------亜人の力が10倍するなら、お前もそのぐらい強くなるはずだ。ただ、亜人らがこっちに来ると強くなるのは……。
(コージュ=ストーンマウントが残した日記に書いてござったよ。)
しつこく斬りつけに来る刃を避けながら、イズヴァルトは心の中で答えた。あの男が亜人の信徒を連れて前世の世界に里帰りした時、彼等はとてつもない力を発揮したという。精霊人の末裔でもあったコージュ本人もだ。
(亜人どのらがそうであれば、マハーヴァラ様の加護を得た拙者も同じはずでござる。)
------おおかた、今のところまで相手の力量をはかる為に全力を出していなかったのだろう?
(最初から気づいておられよう。拙者の性格は悪辣でござるよ? マイヤが嫌だと泣き叫んでも、おちりのあなをぺろぺろと舐めたくる程に。)
かわいいぶりぶりうんちを見せてくれた、とても柔らかい窄まりが懐かしい。そんな事を思い出す余裕をイズヴァルトは持っていた。そして全力を引き出した。容赦はしない。
1秒後のことだった。ジル=ドッレはかつてないほど大きな殺気と力に吹き飛ばされてアスファルトの上を転がった。10メートル先にある大木に背中を打ち付けて声を上げる。まさか、今のは?
しかしすぐに何をされたのかを悟った。肘の先から両腕が無かった。いや、脚もだ。斜めに斬り飛ばされた太い脚は、イズヴァルトの足元に転がっていた。
血が流れ股間が急にしぼんだ。まだ治癒魔法がある。それさえあれば。命乞いをして時間を稼ごう。でもそれはつまらぬ考えだった。
「ぐへっ!」
いびつなコマ送り写真の様に急に目の前に現れたイズヴァルトにより腹を串刺しにされた。自分が手に持っていた剣でだ。イズヴァルトは真紅の輝きを放つミスリルの剣の切っ先を、彼の左胸に当てた。
「さて、お話しいただこう。貴殿はなにゆえ拙者らを襲ったのか。それからあの者達は何者で、どう出会ったのかを含めて、でござる」
「ふん……ちったあ自分の頭で考えろ」
「知らぬゆえに、考えられぬでござるよ?」
イズヴァルトは刺した。分厚い胸板をえぐった。臓腑までは達していない。ちゃんとしゃべって貰う為にだ。
「じゃあ、話してやろう。『俺達』は20年前にやって来た。吸血姫様のあの相棒と、沢山のパラッツォ教徒の連中と共にな」
ヘラの力で異界に通じる『扉』を広げさせ、あの世界の沢山の者らがこちらの世界に渡った。おおよそ1000名。従うゴール達は、ほぼ全員だ。
「俺達はこの20年間、吸血姫様が来られるまで待っていた。姫様の為の王国を築く為の準備をしながらな……」
「王国?」
「ふふ。姫様が解釈しなおしたパラッツォの教えを聖典とした、新たなる『救世主の宮殿』を拝する宗教王国だ!」
驚くイズヴァルトの顔を見て満足そうに笑い、ジルは血を吐いた。
「ぐふ。その聖典には神聖術式の覚え方やこの世界にあるありとあらゆる神の教えは嘘、と書かれている……」
「いや、パラッツォの教えはかようなことを……!」
「全ての異教の神々も拝せよ、それは主神様の化身であるゆえに、の一節か。ふん。ヘラ様はそれをも否定しているぞ。あの聖典の中ではな」
神はただ1つだ。『偉大なるお方』のみ。あらゆる呼び名があるそのお方こそが世界の唯一無二の神。その下にある天界の存在は全てが唯一神のしもべであり、下位の聖霊でもあると。
記録にある『最後の預言者』こそが正統嫡流。多神の教えは絶対否定する。いや、彼等があがめているのは神ではなく聖霊そのもの。
「そして自分こそが神の代理である救世主。吸血姫様こそが新たなる神の子。いわば、マスィーフなのだ……」
「大それたことを! 異界の教義を違う世界に押し付けるなでござるッ!」
激怒してイズヴァルトは貫き通してしまった。心の臓まで裂かれたジルは笑いながら目を閉じた。身体が崩れ、砂となって風に飛ばされた。
------イズヴァルト、もっと聞きだすべきだっただろう?
髭切にたしなめられてイズヴァルトは悔し気にうなずいた。とりあえずはジルが殺した4人の遺体をあらためよう。この寒さなのに彼等は貫頭衣とサンダルといういでたちだった。
銀の首飾りは、全裸で割礼を施していた『預言者』の十字架像がついていた。枢機卿らがかけていたものに比べれば小ぶりで、あまり良い銀を使っていない様にも見えたが、つくりはそっくりだった。
「では、この者らもパラッツォの教えの通りに……もしや」
イズヴァルトは手前にあった遺体の服をめくった。毛織で厚手のそれの中は何も身に着けていなかった。
縮こまっていたが割礼痕が目立つ亀頭むき出しの陰茎があった。やけに使い込まれていたようだ。そこを覆っていた生地は黄色くべっとりとしたもので汚れていた。あきらめの悪い生殖本能が、絶命の直後に大量の精を放ったようだ。
だが見える物以上にそこには異変があった。常人よりもはるかに強い牡臭だけでなく、どうにも淫欲を促す雌のにおいが。魔族のそれと同じだった。
「……いささか、甘いにおいが漂っているようにも思えるでござるな?」
------サキュバスのだ。つまりはあの淫魔どもの中に協力者がいるという事だろうな。
「で、ござろうか。むしろ、この世界に暮すサキュバスどのらはきゃつらにさらわれたのかもしれぬでござろう。こんな悪いことをする子はおまんこで、めっ! をなさるでござるよ、あの方々は……」
サキュバスは魔族の中でも特に平和主義者だ。こんな殺戮をしでかす連中に協力するわけが無かった。大体、得られる精液が減るのだ。好き好んで自分の家の井戸に毒を投げる者は、どこの世界にいるのだろう?
まずはラプンツェルの居所だ。森に広がる炎を消す為の水魔法を使おうとイズヴァルトは思ったが、髭切に止められた。この世界の事は住人達に任せてやれ。むしろ、身元不明の焼死体が身元を割り出せないぐらいに損傷すれば、警察の捜査がイズヴァルトにも及ばないだろうと思ったからだ。
「……ひどいことを考えるでござるな?」
------どうしても、ってならこの6人の服と装飾品と陰部をはぎとるぐらいにしろ。パラッツォ教の割礼痕なら目だつだろう。
パッツォ教徒の男性は割礼痕のすぐ上に入れ墨をつけていた。多産と幸福を祈ってのものだ。もとはエチウのオーガが施していたものだと聞いた。果たしてその6体全てに入れ墨はあった。
「首飾りと服はわかるがちんちんまで……本当にせよと申すか?」
------裏筋に戦場で敵首をかいたこともあるなら、そのぐらいは余裕だろう、聖騎士イズヴァルト?
イズヴァルトは深いため息をついた。でも敵首ぐらいはかいたことがあった。耳だって。栄達の為に戦場でおぞましい行いは日常茶飯事だった。1人か2人だけにするでござるよ。対象にした2体を並べてイズヴァルトは死神・アエーシュマに向けての歌を唄った。彼等の後世が戦いとは無縁な良いものにしてもらう為にだ。
そうして1人の服をはぎとり、陰茎をつかむ。それを剣で切り取ろうとした時に、自分を呼ぶ声が聞こえた。
「イズヴァルトさーん!」
炎と煙の中をラッドが駆けながら呼んでいた。ポコリーヌに欲情し同調した彼女と車の中で激しいセックスをしていたはずなのに。どうして?
「い、今すぐ戻ってください!」
「なにゆえでござる!」
「襲われたんですッ! みんな殺されちゃいました!」
メサドはおろか、捕まえたモルフェットも容赦なく。
「それから、ポコリーヌさんまでもがですよッ!」
ラッドの目は涙にあふれていた。
物語に品が無い? 知らんがなですぞ。
以下、イズヴァルトの伝説関連のリンクです。
ハーメルンにて掲載
聖騎士イズヴァルトの伝説【新編】・前半まとめ
https://h.syosetu.org/novel/427506/
聖騎士イズヴァルトの伝説【新編】・忠烈編
https://h.syosetu.org/novel/363415/
読み飽きた人向けの最終回
https://h.syosetu.org/novel/428929/
豚小屋
https://h.syosetu.org/novel/429382/
ひよこ芸術
https://h.syosetu.org/novel/429966/
アルファポリス版です。バックアップ兼保管用
(本編と外伝を分けての掲載です。)
☆本編
聖騎士イズヴァルトの伝説 〜無双の武と凶悪無比なデカチンを持つ英雄の一大叙事詩〜
https://www.alphapolis.co.jp/novel/872528745/934913837
☆外伝
前世の記憶を持つ神業尺八使いの狸系美少女の妹と、女帝サキュバスの祖先の才を受け継ぐ清楚ビッチな姉の2人で、搾精の王国を建てちゃいます☆
https://www.alphapolis.co.jp/novel/872528745/779914728
転生したらあたし、セックス教団の教主の養女でいつでもどこでもエッチがしたくなっちゃう、レベル999のビキニアーマーの美少女魔法戦士でした!
https://www.alphapolis.co.jp/novel/872528745/959004604
旧版のイズヴァルトの伝説です。ノクターンにて掲載
ストーリーの細かいところがかなり違っておりますが、大まかな筋はおんなじです。
エリクサーみたいに栄養満点の精液を放つ絶倫聖騎士は、転生美幼女淫魔にまとわりつかれておちんちんをチューチュー吸われる。(旧題・聖騎士イズヴァルトの伝説)
https://novel18.syosetu.com/n3094lt/