※この作品はR-18です。

聖騎士イズヴァルトの伝説 第六部 『戦旗編』   作:CHACOとJAGUAR

23 / 41
以下、イズヴァルトの伝説関連のリンクです。

ハーメルンにて掲載


聖騎士イズヴァルトの伝説【新編】・前半まとめ
https://h.syosetu.org/novel/427506/

聖騎士イズヴァルトの伝説【新編】・忠烈編
https://h.syosetu.org/novel/363415/

読み飽きた人向けの最終回
https://h.syosetu.org/novel/428929/

豚小屋
https://h.syosetu.org/novel/429382/

ひよこ芸術
https://h.syosetu.org/novel/429966/


アルファポリス版です。バックアップ兼保管用
(本編と外伝を分けての掲載です。)

☆本編
聖騎士イズヴァルトの伝説 〜無双の武と凶悪無比なデカチンを持つ英雄の一大叙事詩〜
https://www.alphapolis.co.jp/novel/872528745/934913837


☆外伝
前世の記憶を持つ神業尺八使いの狸系美少女の妹と、女帝サキュバスの祖先の才を受け継ぐ清楚ビッチな姉の2人で、搾精の王国を建てちゃいます☆
https://www.alphapolis.co.jp/novel/872528745/779914728

転生したらあたし、セックス教団の教主の養女でいつでもどこでもエッチがしたくなっちゃう、レベル999のビキニアーマーの美少女魔法戦士でした!
https://www.alphapolis.co.jp/novel/872528745/959004604


旧版のイズヴァルトの伝説です。ノクターンにて掲載
ストーリーの細かいところがかなり違っておりますが、大まかな筋はおんなじです。

エリクサーみたいに栄養満点の精液を放つ絶倫聖騎士は、転生美幼女淫魔にまとわりつかれておちんちんをチューチュー吸われる。(旧題・聖騎士イズヴァルトの伝説)
https://novel18.syosetu.com/n3094lt/


23 悪魔と同じ名の魔人

 犬死。

 

 トレボーらこの場にいる『民間軍事会社』の彼等全員が、イズヴァルトと戦って思うことだった。隊員はちゃんと効果があるように配した。1階にいるイズヴァルトを狙い、2階や3階から銃で撃つ。手りゅう弾で吹き飛ばそうとする。1階にいる隊員は漏れなく全員が巻き添えになるだろうが仕方が無い。彼奴の抹殺が自分達の命より優先だ。

 

 手りゅう弾はすぐ尽きた。マシンガンも弾倉を何度も変える。イズヴァルトはゆっくりと歩いてくれるから良い的だった。殺せるはずだ。いや、もう死んでくれ。彼等は祈る様に照準をあわせ、弾丸を放ち続けた。

 

 けれどもだ。イズヴァルトは無傷だった。物理防護結界術式によるものだ。それに当たった感触に「使うまでもないのではござらぬか?」と彼は思った。半ば神となった今の身体だと、飛んでくる弾丸は飛んでくる小粒の石がぶつかる程度の衝撃になるだろう。皮膚を貫かれなくても痛みは感じる。

 

------むしろ厄介なのは爆弾だからな。防護術式が無いと吹っ飛ばされる。ひっくり返されるぞ、甘く見るな。

 

 髭切が助言に従った。砕けた床板に注意しながらゆるゆると歩き続ける。相手を絶望させる為にだ。何を用いてもこいつには効かず、ただただ弾薬を浪費するだけだと知らせればいい。もうだめだ、と思いあきらめてくれるはずだ。その後に彼等を雇い、指示した者の名を聞こう。首を刎ねるのならそいつだけでいい。

 

「バリヤーなんてもんは絶対じゃないはずだ!」

「いつかあいつの身体を貫けるだろう。そう思ってやるしかないんだ!」

 

 アメリカの傭兵達は、悲痛な声で叫び続ける。彼等が携えているマシンガンの発砲音もけたたましいが悲し気な響きに聞こえる。いい加減にしてくれ。弾倉の予備と銃身はもうそろそろ限界だ。

 

「くそっ! どうしてだ! なぜ当たらない! 殺せない!」

 

 2階にいる隊員のうち1人が叫んだ。彼の足元は血だまりがあった。彼と仲間達が撃ち殺した買い物客たちから流れ出たものだ。1階にいるあの男をおびき出して倒す為に無差別テロリストの真似をしたのに。死体達は天井を恨みがましい目で見つめていた。犬死とは彼等の為にあるようなものだ。楽しみにしていたショッピングモールでの休日は、惨い人生最後の日になってしまった。

 

「撃ち方、止め!」

 

 トレボーが皆に命じた。銃弾も手りゅう弾も何の意味を為さない。それがわかった。やるだけ無駄だ。だから次の手を打つ。傍にいた副官に目を向けた。

 

「弾で殺せねえなら刃物はどうだ?」

「やってみましょうよ。この『スペシャル』が通用するかどうか、試してみようじゃないですか」

 

 その副官は懐にさしてあったナイフを鞘から抜いた。抜き取ったものを投げ捨てる。転がらずに床の上で重い音を立てた。鉛でできた鞘だった。

 

 何の変哲もない小型のナイフだが、その表面にはうっすらと毒が塗られていた。イズヴァルトぐらいの体格の男を殺すのに充分な致死量である。

 

「隊長。それじゃあ、行ってきます」

 

 副官はナイフを別の鞘に収めて右袖に隠し、跳び出した。小兵だが部隊で一番刃物の扱いが上手い男だった。トレボーは無線機で「掩護しろ」と呼びかける、イズヴァルトを狙う銃口が再び火を噴き始めた。無駄に見えるが引きつけるには充分だ。イズヴァルトは駆けて来る男に気づきながら、防壁によってひしゃげる弾丸を眺めつぶやいた。賞賛だ。

 

(不屈の闘士の持ち主たちでござるな。ホーデンエーネンに来られれば、さぞかし良き武者としてほめたたえられたでござろうに……)

 

 相手に失礼だ。呑気なことを言うな。髭切からのささやきを聞いて気を引き締めた。発砲音が止まった。相手がイズヴァルトの懐に入って来たからだ。かがみこんだ男がナイフを袖から出す。切っ先がイズヴァルトの右足首に飛び込んできた。

 

(やけに小さい! さては、暗器でござるな!)

 

 防護壁なら弾ける程度だろう。だが、相手を増長させるためにそこまで見えないように騙す。いや、銃弾が飛んでこないだろうから解除だ。イズヴァルトは避けたが、ズボンの布を引き裂かれた。相手はもっと懐に入ろうとする。最初の一撃が決まらなければ離脱するのが正しい戦い方だが、彼は既に命を捨てていた。この男の皮膚を斬り裂きたい。それだけで勝負は決まるはずだ。

 

 ナイフ使いは味方にして鍛え上げたいぐらいに動きが鋭かった。剣を学べばかなりものになるだろうにとイズヴァルトは思った。だが温情は与えられない。避けながら相手が隙を見せるのを待った。生かしてやる情は無かったが、せめてもの憐憫はあったのだ。イズヴァルトが避けてばかりなのを見て相手は激した。

 

「なめるんじゃねえっ!」

 

 ナイフを持っていた左腕が、イズヴァルトの首を狙って突き上げる為に一瞬だけさがった。そこからが早かった。イズヴァルトは右手の指を折り曲げて相手の胸を狙う。指の関節には恐ろしい程の闘気が籠っていた。ナハリジャーヤ=エルフから学んだ『破壊拳』の技だ。貫通を目的とする。鎖帷子や板金はおろか、肉と骨も穿つ一撃だ。それが相手の左胸を叩いた。

 

「……うがっ!」

 

 ナイフの男はひと叫びしただけでもう声を出せなくなっていた。合成繊維の防護服は彼を守ってくれなかった。衝撃であばらは折れ、その奥にあった左肺が潰れた、大量の喀血の後に震えながら後ろに倒れた。絶命寸前の身体が残った生命力(エネルギー)をすべて出しつくそうと暴れていた。おぞましく見えもすれば悲しくもある、命の灯火の最後のひと燃えだった。

 

「……くそっ! あいつは化け物か!」

 

 トレボーが皆に命じる。カミカゼをやるぞ。誰もが生きて戻れるとは思っていないから、躊躇する者は1人もいなかった。

 

 トレボー以下、1階にいる者達が発砲しながらイズヴァルトに飛びかかっていった。2階や3階の連中からの援護射撃を受けながらだ。流れ弾に当たり死ぬものもいたが止まらなかった。

 

-------連中、死にものぐるいのようだな!

 

(わかっているでござる。もはや話し合いは通じぬというわけでござれば、致し方なし!)

 

 徹底的に絶望させるのみだ。剣を抜いて印を切り、重圧の魔法を刃に込めようとした矢先、2階と3階で数々の悲鳴があがった。銃撃が止まった。

 

「なんだ!」

 

 トレボーが見上げると彼も何かに引きずりあげられてしまう。視界が天井ではなく遠く離れた床を向いていた。細い糸の束のようなもので縛られ、逆さまになって吊りあげられたのだ。1階にいた他の隊員らもトレボーと同じだった。

 

 2階と3階では、へばりついた糸に身動きを封じられた兵士達。釣り上げられた彼らを見て、イズヴァルトは呼びかけた。

 

「クワンどの! いささか遅すぎではござらぬか!」

「ごめんなさい! いつ間に入ろうかと悩んでいたのよ!」

 

 その姿はイズヴァルトの真上に現れた。短いスカートを腰までまくりあげて脚と尻を顕わにした、首から上が蜘蛛の女。丸出しになった股から伸びた糸で、天井からぶら下がっていた。尻も乳房もしゃぶりつきたくなるぐらい見事だが、いきなり現れたことと顔の異形さに、トレボー達は恐怖を覚え、顔を引きつらせていた。

 

「……悲しいわ。本当の顔はこの世界の人達に嫌がられるわ。見せたくなかった」

「敵として立ちふさがったからでござるよ。仲良くなれば貴殿の人柄がわかって親しく接してくれたはず……でござる。しかしこれまでどこにおられた?」

「赤ちゃん用品店よ」

「何故にでござる?」

 

 間をおいて、友達に今度子供が生まれるから、とクワンは答えた。買い物のことはどうでもいい。ショッピングモールを襲ったこの連中だ。派手に殺し散らかした連中から聞き出さなくてはならない。きつくしばりつける糸の中でもがくトレボーを見てイズヴァルトは呼びかけた。

 

「貴公! この一団の帥と見受けられるが是か非か答えるでござる!」

「帥? 古めかしい言い方をする! なぜ俺を隊長だと思った? 違うかもしれんぞ!」

「拙者の勘でござるよ! それと、貴殿はどうにも武将みたいな気配がござる! 拙者のような単騎駆けの猪武者を存分にやる騎士ではなく、兵を束ねて率いる御仁に見えるでござるよ!」

 

 誰が隊長とか武将とか総大将だとか、長年の戦場経験を培ってきたイズヴァルトにはわかるのだ。えらいお侍さんやお貴族様は、一種の威厳をまとっている。トレボーにもそれを感じられた。彼の世界の基準でトレボーには、将来的に1万ぐらいの兵を率いる大将になれそうな威風があった。

 

「なにゆえかようなことをなされた! かような醜悪、武人にあるまじき行いでござるぞ! 丸腰なのをいい事に殺戮を為すは、外道そのものでござる! 恥と言うものがござらぬのか!」

「知るか! ジャップの命なんぞ虫けら以下だ! 俺達はただ虫を殺すゲームをしていただけだ!」

「なんということを!」

 

 イズヴァルトは激怒した。剣の柄を強く握りしめる。トレボーの首に目を向けた。

 

「お覚悟召されよ!」

 

 剣を振り上げて意気込む彼にクワンが注意した。嘘を言っているわ、あいつ。

 

「考えて。あいつらはこの国の人達じゃないわ。アメリカ人よ?」

「……まさか。そうでござったか」

 

 自分を狙ったのだな。イズヴァルトが呼びかけるとトレボーは舌打ちをした。本当の目的を知られたら『この後』がやりにくくなる。

 

「アメリカはそこまで拙者を殺したいのか!」

「知れたことを! お前があの『炎の悪魔』と同じ世界から来たのだと知っているんだぞ、俺達は!」

 

 トレボーとは違う声が答えた。2階からの声だ。兵士達はイズヴァルトに向けて叫ぶ。

 

「12年前に俺達のアメリカは、この世の終わりみたいな事に遭ったんだ!」

「1億もの『兄弟』たちが死んだ! ホントの兄弟もな! 俺が住んでいたフロリダは火の海になった!」

「ニューヨークもだ! サウスブロンクスじゃ10人しか生き残らなかった! 俺は親父とおふくろと友達を、あの炎に奪われちまったんだよ!」

 

 皆の声は荒く、狂っていたが、悲しさだけしか感じられなかった。イズヴァルトは同情しだして叱り飛ばせなかった。前世の世界に戻ったヘラは、そこまでのことをしたのだ。前の人生の記憶を取り戻し、深く恨んでいた相手を思い出した彼女は容赦などしなかった。

 

(ヘラ。そなたはやり過ぎたでござるよ……。『ねおこん』と『ぶっしゅ』が仇であれば、その者らのみを葬り去れば良かっただけのこと。そなたの故郷を攻める手を貸していたとはいえ、市井の人々まで害するのはよくないことでござった。)

 

 しかし、カナザワース島の人々のほとんどを葬り去った、皇帝宮のごく一部を残してだ。数百万人。いや、1000万を超える。

 

 血に染まった悪鬼と化した彼女に、もはや説諭など通じないだろう。イズヴァルトは気を取り直した。トレボーに言う。

 

「生き残っている方々全員に、詳しく話を聞かせていただくでござるよ。拙者の協力者の尋問にも付き合っていただく。それまでは処刑はせぬ」

「ふん。結局は殺されるのか。まあいいだろう……これは俺の直感なんだが、アンタはどうも憎めない。悪いことをしなさそうな奴に思える。もしかしたら、俺達の復讐に手を貸してくれるかもしれないだろう」

「復讐でござるか?」

「ああ。『炎の悪魔』へのだ。アンタの世界から来たっていう話だが、何か知っていることはあるか?」

 

 イズヴァルトはヘラの事について語った。初めは年が離れた友、というよりかは『姪っ子』みたいなものだったが、前世の記憶を取り戻して『食人鬼』と化した。追い詰めたがあと一歩のところで逃げられた。この世界に潜んでいるはずだ。

 

「……そうか。なるほどな。ヘラってのは前世じゃ、この世界のあの戦争の、幼い犠牲者だったのか」

「情状酌量の余地はござる。なれど、あまりにも無関係の人を殺し過ぎた。拙者は彼奴を討たねばならぬ」

「そっか。成し遂げれられればいいな……おい、聞こえるかトニー」

 

 ヘルメットの無線機は繋がったままだった。

 

「『お迎え』が欲しい。セスナを飛ばしてくれ。北館だ。お土産を先に落してくれればこっちで引き取る」

「……何の話でござるか?」

「アンタへのプレゼントだよ……飛ばせば3分か。いいぜ。歓迎会の準備は終わっているからな。それじゃあ、またあっちで会おうな!」

 

 無線が切られた。イズヴァルトとクワンはいぶかしむ。歓迎会とは何なのだ? 問いかけるとトレボーはにやりと笑った。

 

「アンタを迎える為のさ。米軍に協力してもらうよ。ていうかあいつらには何が何でもそうさせてやる」

「よかったでござる……しかし守りを固めるだけで手出しは無用とお伝えするでござる。ヘラは思念だけ残っているようでござるが、それでもこの世界を滅ぼすぐらいのことはできるらしいでござる」

「……お化けになっているのか。なのに危害を与えられるとはね。ひでえぐらいに厄介だ」

 

 トレボーは笑った。それから後ろにいた部下に目を向けた。

 

「さて、そろそろお別れのお時間だ」

「……?」

「イズヴァルト、ヘラを倒せるといいな。まあ、ここから生き残れればの話だがな」

 

 隊長は目を見開き大声をあげた。

 

「今、神の御元へ! 地獄のだがな!」

 

 1階や2階のテナントから次々と爆風が起こった。それから次々と地揺れが起こり、床が崩れていった。トレボーらは崩れた床にできた穴の中に落ち、その下で燃え盛る炎の中でこの世を呪う言葉を叫び始めた。イズヴァルトらは浮遊魔法で陥穽からの難を逃れた。

 

------してやられたか!

 

「やはり、相容れなかったでござるか!」

「けどイズヴァルトさん、あいつが言っていたお土産って……!」

 

 トレボーが言っていたそれは今、習志野からこの『らーらぽーと』の北館上空に到達していた。一機の戦闘機が胴体につなげていてたそれを落す。イズヴァルトらの頭上を正確に狙って。

 

 落されたのはバンカーバスターだった。トレボー達、いや、アメリカは、イズヴァルトを殺し尽くそうと念入りに罠を張り巡らせていたのだ。




若い人にはなんのこっちゃという話ですが、トレボー=リルガミンはウィザードリィというゲームに出てくる王様の名前です。
(私がクリアしたことがあるのはPS版の1のみ。)
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。