聖騎士イズヴァルトの伝説 第六部 『戦旗編』 作:CHACOとJAGUAR
ハーメルンにて掲載
聖騎士イズヴァルトの伝説【新編】・前半まとめ
https://h.syosetu.org/novel/427506/
聖騎士イズヴァルトの伝説【新編】・忠烈編
https://h.syosetu.org/novel/363415/
読み飽きた人向けの最終回
https://h.syosetu.org/novel/428929/
豚小屋
https://h.syosetu.org/novel/429382/
ひよこ芸術
https://h.syosetu.org/novel/429966/
アルファポリス版です。バックアップ兼保管用
(本編と外伝を分けての掲載です。)
☆本編
聖騎士イズヴァルトの伝説 〜無双の武と凶悪無比なデカチンを持つ英雄の一大叙事詩〜
https://www.alphapolis.co.jp/novel/872528745/934913837
☆外伝
前世の記憶を持つ神業尺八使いの狸系美少女の妹と、女帝サキュバスの祖先の才を受け継ぐ清楚ビッチな姉の2人で、搾精の王国を建てちゃいます☆
https://www.alphapolis.co.jp/novel/872528745/779914728
転生したらあたし、セックス教団の教主の養女でいつでもどこでもエッチがしたくなっちゃう、レベル999のビキニアーマーの美少女魔法戦士でした!
https://www.alphapolis.co.jp/novel/872528745/959004604
旧版のイズヴァルトの伝説です。ノクターンにて掲載
ストーリーの細かいところがかなり違っておりますが、大まかな筋はおんなじです。
エリクサーみたいに栄養満点の精液を放つ絶倫聖騎士は、転生美幼女淫魔にまとわりつかれておちんちんをチューチュー吸われる。(旧題・聖騎士イズヴァルトの伝説)
https://novel18.syosetu.com/n3094lt/
この北千住に、本当に黒髪エルフが潜んでいるのだろうか。
ニンゲンの女の姿に化けたポリメコフィアンナは、高架道の上で、マルイのデパートを見上げなが思う。北千住駅西口のだ。
黒髪エルフらしい2人連れは、ついてきたラッドの話によるとこちらの喫煙所で見かけるらしい。東口のパチンコ屋の目の前のにはいないそうだ。あっちは薄暗くて雰囲気が暗く、魔族でも肺がんになりそうなぐらいに煙たいそうだ。
(本当にいるのかしら?)
普段は入らぬ喫煙所に入った。大型ビジョンで聞いたことも無い、タレントやコメディアンの顔が映っていた。手すりを見下ろすとこの街のトレードマーク『わんわん巡査』の像がうかがえる。喫煙具なんぞ持っていない彼女は、煙草を咥えていたラッドに尋ねた。
「大体、この時間に来るんでしょう?」
大型ビジョンの時刻は午後6時。確かにとラッドは答えた。タバコは水色と白のパッケージ、きついハイライトだ。
重い紫煙のにおいを嗅いで、ポリメコフィアンナは手で払うふりをした。
「ハーマイオニーさんみたいに、きつい煙草を吸っているのですね?」
「これはまだ軽いほうですよ。あの姐さんはこっちに来たら、両切りのピースを吸ってますから」
ハーマイオニーは重度のヤニカスのサキュバスだ。魔竜の部下でもあり、この世界に仕事で何度か来たことがある。彼女が来た時はポリメコフィアンナは一時的にトップの座を彼女に預けている。魔界でもそれなりの実力者というわけだ。
「両切りのピースですか……日に何本ぐらいでしょう?」
「缶のやつを2缶使い切る、って言ってましたね。そういや、あの姐さんの愛人になったこっちのニンゲン、大抵がCOPOで苦しんでましたね」
ハーマイオニーは行為の最中でもタバコを吸うので、締め切った部屋でのセックスを続けると相手の男は大抵、肺の病気になった。
吸精の魔としては『極上』のランクにあるテクニックと器官、胸と尻が大きな美女なのだが、ニコチン中毒なのが玉に瑕だった。ポリメコフィアンナも彼女と行動すると、いつも喉の調子が悪くなった。正直に言うとあのサキュバスとは、一緒に仕事をしたくない。
「ラッド、ハイライトはやめなさいね。もっと軽いのにしなさい」
「でも、軽いのだと紙を吸っているような気になるんですよ。このくらい重くないとおいしくないですよ」
「はああ……」
道路を隔てた雑居ビル群を見つめながら、ポリメコフィアンナはため息をついた。それよりもエルフらしき人物を見つけ出さなければ。
彼女は念話魔法で、近くで見張っているメンバーたちに呼びかけた。彼等は雑居ビルや大型ビジョンがあるビル、マルイの屋上に姿隠しの魔法を用いて潜んでいた。
「精霊人の反応は無いかしら。あの世界の者の魔力なら、よほどの手練れでないと隠ぺいできないはずだけど?」
「……全然ですね」
マルイの屋上にいたメンバーからの返事だった。他のビルに潜んでいるメンバーも同じだ。下級の魔族でもこの世界でなら、最低でも半径1キロメールまでは相手の魔力を探知できるのだが。
(となれば、今日は来ていないか、あるいは……かなりの手練れということかしら?)
前者であればまだいいが、後者になるとかなりまずい。ポリメコフィアンナ他、ここに張っているメンバーは戦闘はそれほど得意ではなかった。イズヴァルトを除けば、一番の武闘派と言えたのはこの前やられたポコリーヌだった。彼女にはあの世界の、『できがいいほうの』ハーフエルフと互角に戦える力があった。
(わかったわ。念のため、駅ビルの中を探索しているイズヴァルトさんとクワンに、こっちに来るよう伝えて置いて。)
わかりました、という返事を聞いた。イズヴァルトとクワンは黒髪エルフらしい人物がいないか、駅ビルの中を散策していたのだ。
□ □ □ □ □
イズヴァルトはエスカレーターの前にある店で、不思議そうに商品を物色していた。二足歩行のまるっこいキャラクターのグッズを売っている店だ。ぬいぐるみやエプロン、皿や水筒などが売られていた。
「ふうむ。このカバさんのような獣人の生き物は、なんでござろう?」
隣にいたクワン=ダッタが、彼の腕を引っ張った。仕事の最中なのに寄り道しないで。
「クワンどの、この獣人は何でござろう?」
「『ムーミントロール』っていうの。フィンランドっていう国の漫画に出て来る妖精よ」
「ようせいでござるか……どう見ても獣人さんでござる。とはいえ、可愛らしいでござるな……」
イズヴァルトはバッグから財布を取りだした。ぬいぐるみを買っておくでござる。マイヤへの土産物にしようと考えたのだ。ちなみにだが財布には1万円札が10枚入っていた。
「クワンどのも、1ついかがでござるか?」
「仕事優先でしょ? 無駄遣いはだめよ」
イズヴァルトはうなだれた。そこに、店の中にいたカップルの男のほうがこう呟くのを聞いた。
「あのねえちゃん、ベトナム人なのか」
クワンは日本人に化けていたが、どうにもスタイルが良すぎて『ちょっと違うところの女』に見られるところがあった。ゆったりとしたピンクのニットのワンピースを着ていた。お腹がやや目立っているのを見て、妊婦だと女のほうが指摘した。
「夫婦かな。美男美女だよね?」
「けどあのガイジン、オタクだろ。『ソウルジェム』の絵がでかでかとプリントされてるトレーナーを着ているし?」
「『お菓子の魔女』のやつが売ってるの、教えてあげればいいじゃない?」
「ああ。俺がよく着ているやつか」
そのカップルは店を出て行った。イズヴァルトは自分が着ているトレーナーのことを言っていたのだと思って、胸のところを引っ張ってみた。
「『お菓子の魔女』ってなんでござろう? それと、このいろいろ装飾がついた卵みたいなのは、なんでござる? 貴殿に買ってもらってからずっと気になっていたでござるが……」
「ワタシが一番好きな『ジャパニメーション』に出て来る宝石よ。その中に女の子の魂が入っているの」
どんな作品なのかをクワンは手短かに説明した。女の子が魔法戦士に変身して、魔女というお化けと戦うが、身体が壊れされてもいくらでも死なずに再生できるよう、この卵みたいな装飾具に魂を入れておくのだとか。
「……ちょっとこわい話でござるな?」
「まあでも、ワタシ達魔族の様に、思念体を入れるという設定に親近感を湧くの。ちなみにそのアニメ、魔竜様も一時期ハマってたわ」
グッズを集めるだけでなく、服づくりが得意な部下に魔法戦士の服を作らせた。一緒に観ていた姪っ子にプレゼントしたそうだ。イズヴァルトもよく知っているツダサンチョーの姪でもある魔王の娘がそうらしい。
「この世界にしょっちゅう来ていたのでござるな、魔竜どのは」
「だったら仕事に戻らなくちゃ。栞子さんに会いたいんでしょ? それとラプンツェルも気になるし。ラーラ=ベルたちも……」
ラーラ=ベルたちとは未だ、連絡が付かない。それが気がかりで買い物という娯楽を楽しめない、クワンは言った。それとこの前の船橋での一件で、自分達は本格的に命を狙われているとわかったから、のんびりとはしていられなかった。
「で、ござるか」
駅ビルの散策を再開しよう。そう決めたイズヴァルトに、外で見張っている魔族からの声が脳裏に響いた。
(戻ってこい、でござるか。)
念のためにだという。すぐに切れた。クワンにも伝える。しかし引っかかるものがあった。念話術式についてだ。
------おい。あいつら、あんな平易な術式を使うとは、随分と不用心だな? サキュバスなら、もうちょっと複雑なのを使うぞ。
(髭切。下級の魔族らにはできぬ相談でござるよ。しかし……。)
イズヴァルトは念話魔法でこう言われた。手ごわい敵かもしれない。違和感を抱いたのはそれだ。あちらの世界のは、手ごわいの度あいが違う。
(貴殿ら、黒髪エルフどのらを甘く見ているのでござらぬか? 拙者みたく『のうみそきんにく』の連中が多い一派でござるが、魔族の術式もそれなりに勉強している者ばかりいるでござるよ?)
相手が魔法が得意なツックイーやカイロネイアのエルフなら、もう少し用心していただろう。あそこに迷い込んだ魔族は中レベルのでも、魔界の術式を解析され、魔封じを受けてしまう。
黒髪エルフは確かに「魔法が得意」という印象は無い。とはいえそれは、カントニアのエルフと比較してだ。彼等も対魔族の術式をいくらか覚えていた。
(……もしや、気づかれたでござろうか?)
大体、こう言われているではないか。あちらの亜人は魔界の中級魔族と同等ぐらいの力を持っている、と。
じゅじゅつかいせん……