聖騎士イズヴァルトの伝説 第六部 『戦旗編』 作:CHACOとJAGUAR
ハーメルンにて掲載
聖騎士イズヴァルトの伝説【新編】・前半まとめ
https://h.syosetu.org/novel/427506/
聖騎士イズヴァルトの伝説【新編】・忠烈編
https://h.syosetu.org/novel/363415/
読み飽きた人向けの最終回
https://h.syosetu.org/novel/428929/
豚小屋
https://h.syosetu.org/novel/429382/
ひよこ芸術
https://h.syosetu.org/novel/429966/
アルファポリス版です。バックアップ兼保管用
(本編と外伝を分けての掲載です。)
☆本編
聖騎士イズヴァルトの伝説 〜無双の武と凶悪無比なデカチンを持つ英雄の一大叙事詩〜
https://www.alphapolis.co.jp/novel/872528745/934913837
☆外伝
前世の記憶を持つ神業尺八使いの狸系美少女の妹と、女帝サキュバスの祖先の才を受け継ぐ清楚ビッチな姉の2人で、搾精の王国を建てちゃいます☆
https://www.alphapolis.co.jp/novel/872528745/779914728
転生したらあたし、セックス教団の教主の養女でいつでもどこでもエッチがしたくなっちゃう、レベル999のビキニアーマーの美少女魔法戦士でした!
https://www.alphapolis.co.jp/novel/872528745/959004604
旧版のイズヴァルトの伝説です。ノクターンにて掲載
ストーリーの細かいところがかなり違っておりますが、大まかな筋はおんなじです。
エリクサーみたいに栄養満点の精液を放つ絶倫聖騎士は、転生美幼女淫魔にまとわりつかれておちんちんをチューチュー吸われる。(旧題・聖騎士イズヴァルトの伝説)
https://novel18.syosetu.com/n3094lt/
ズルイルが着いた時には、村井達は残らず首を斬られていた。
その『処刑』を為したのはゴール族ではなく、管区長の『影』の職員だった。
「ヴィクトリア。なんてことをしてくれた?」
名を呼ばれた白髪の女は、首が刎ね飛ばされた村井の身体を足で蹴りながら、低い声でつぶやいた。
「カヅノもバカだ。こんな奴らを用いるとは」
「あいつは育てるために選んだのだろう。まあ確かに、ミナミ=ジロウの様な出来のいい奴なら、狂ったりはしなかっただろうがな」
ヴィクトリアは血を流す村井の首に向けてつばを吐いた。一瞬のうちに血液は凝固し、流れなくなった。
「カヅノはまだあいつをまだ傍に置いて育てようとしているのか! きゃつが内に秘めている魔力がわかっていないのか!」
「恐れるな。いくら魔力が抜きんでているとは言っても俺達の敵ではない。それよりもだ。この処刑についてどう言い訳する? 拘束術式で黙らせれば良かっただけなのに、何故殺した?」
やり過ぎたからだ、とヴィクトリアは返した。それと命令違反。ぼや騒ぎを起こして注意を引つける、だけの仕事だったはずだ。それを大勢を焼き殺してまわるとは。この一帯には村井達が焼き殺した人々の脂のにおいが立ち込めていた。おぞましくて不快きわまりないにおいだ。
「このようなクズどもに憐憫をかけるな、ズルイル。ソゴプール=エルフ族の闇の仕事人としての誇りは無いのか?」
「……狂犬め。もういい。帰っても俺は弁護しないからな」
「そんなつもりで言ったわけではない……」
そこでヴィクトリアは気づいた。誰かがやって来る。しかもとんでもない跳躍力で、建物に飛び移りながらだ。それから向かって来る者が漂わせる魔力に、懐かしいものを感じた。
いや、憎み、疎んじ続けていた者のそれだった。
「……親父が来ていたのか!」
その後だった。姿を見せた父に向かい、娘は猛然と突っ込んでいった。
□ □ □ □ □
北千住駅構内に逃げ込んで、南口改札口付近に集まっていなかった者は、幸運とも言えた。JR、東武鉄道、つくばエクスプレスの3つともである。
その時東口側か恐ろしい爆発音が起こり、勢いよく飛んできた瓦礫やガラス片が改札口の向こう側にいた人たちをなぎ倒す光景を、東武鉄道改札口真向いにあるカフェの店員は目の当たりにした。
突如起こった爆発と悲鳴は、JR改札口のほうも響いた。礫と煙がいくらか落ち着くと、血を流して倒れている者どころか、五体が砕け散って死せる肉塊と化した者が大勢いた。
床も屋根も想像を絶する壊れ方をしていた。大きな亀裂が一直線に通って、幅2メートル以上の断裂が起こっていた。その周囲に一番多くの肉塊が転がっていた。
外から伺えば北千住の駅建物は、大きな横穴を空けていた。その元凶たるイズヴァルトは、娘のヴィクトリアに抱え込まれながら西のほうを飛んでいた。衝撃波で北千住の大通りにあるビルの壁や窓を割りながら、国道4号のほうに向かっていた。
イズヴァルトは抜け出そうとしたが、ヴィクトリアのクリンチからはなかなか離れられない。父親譲りの怪力もあるが、身体強化術式を重ね掛けしたからもあるだろう。骨がきしみ痛みを覚えていた。
このまま抑え込まれ、飛ばされるのも止めたかったが力が出なかった。彼女は自分の身体の表面に強烈な魔封じの防壁を張っていた。
感じられる術式から、神聖魔法のものだと思ったが破るのは難しかった。イズヴァルトが知っているそれよりも進化していたのだ。
ヴィクトリア=ガモーコヴィッツ。
彼の幼年時代の戦場の師と同じ名前のこの娘は、いわば敵となった。ヘラとは仲が良く、彼女のむごい前世に同情し、この世界でやろうとする『正義』に共感して手を貸した。ヘラのそばにいたカヅノ=セイジと共にだ。
「……貴公! なにゆえ、拙者を憎むでござるか!」
「痴れたことを言うな! お前がこの世界に来たということは、ヘラはもういないということだろう! これは、仇討ちだ!」
我が娘ながら嫌なほど察しがいい。さすがは策士エレクトラの娘だと思うと、イズヴァルトは叫んだ。仕損じた。ヘラに逃げられた。
「……だから敵討ちなどと申すな! それと、貴公と拙者は争ってはならぬ! 親子ではござらぬかッ!」
その叫びには悔悟があった。もうこれ以上、身内に死人を出したくなかった。
最後までわかり会えなかったオルフレッドとヘラの野望によって命を散らしたエレナ。それから、数々の暗闘や合戦で命を散らした者たちの顔を思い浮かべた。
それともう1人、強い無念を抱かせる死者がいた。アーノンレンシと激しく争ったあの王妃だ。その残党と2人の後見役の遺書より、本当はどんな人物だったのかがわかっていた。マイヤとアドルフ王子とのもう1人の娘だったのだ。
「貴殿はエレナと同じ血が流れておる! エレクトラどのと、拙者との子ではござらぬかッ!」
親子の情を喚起させる。でもヴィクトリアは昏い目つきをしたまま言葉を発さなかった。しかし答えは出ている。いきなり高度を落とした。
「……何をなさる!」
押さえつけられたイズヴァルトの背中に硬いものがぶつかった。大通りを走っていた白いベンツだ。戦車の様に頑丈でそう簡単につぶされるはずが無かったそれは、いともたやすくひしゃげて中に乗っていた家族を押しつぶし、炎上した。
あがる炎の中から2人の身体が現れる、ヴィクトリアは父親の身体から手を放して身体の向きを変えると、イズヴァルトのみぞおちに強い蹴りを食らわせた。
「……ぐっ!!」
四重五重にかけた身体強化術式を載せて繰り出した蹴りである。イズヴァルトは血を吐きながら道路の上を転がった。その勢いは地を這いながら飛ぶ隕石のごとき衝力と破壊力があった。
大通りを走っていた車は次々と吹き飛ばされたりバラバラになって、歩道や建物に叩きつけられた。各所で断末魔と血しぶきが飛び、人の身体の一部が宙に舞った。赤黒い飛沫が大通りを染め、熱く揺らぐ炎と黒煙があちこちで起こった。
------イズヴァルト! これ以上暴れるともっと多くの人を巻き込むぞ!
「わかっているでござる!」
ごほっ、ともう一度血を吐きながらイズヴァルトは印を切った。空に向かって一直線に急上昇する。国道4号線の上空500メートルまで達すると、背中に納めていた剣を抜いた。
あたりを見回す。南にはスカイツリー、北は荒川だ。治癒の力でもう既に、ヴィクトリアにやられたところに痛みは無い。しかし、北千住の街の繁華街は炎と黒煙が充満していた。
------どうする? ここで娘にきついお仕置きをしておくか?
「無理でござる。それこそこの東京を火の海にするような戦いになるでござるよ」
広大な灰色の大地を見てイズヴァルトは解ってしまった。この東京では戦えない。自分が本気を出してヴィクトリアとぶつかれば、少なくとも北千住は全域が火の海になるだろう。
「逃げるでござる、海のほうに」
------いや、湾岸部は工場が集中している。そんなところで戦えば、それこそ東京に厄介な毒物がまき散らされるぞ?
「人が多いというのも至極厄介でござる! とても戦場に向いた地形でござるのに! マイヤが語ったオータ=ドーカンやホージョーの時代であれば、さぞや!」
------2人ともこの東京を住みよく地ならしした大政治家だがな? 身構えろ!
ヴィクトリアは光り輝く球体の中にいた。そこからイズヴァルトに向かって無数の光線が飛んで来る。
(『極天の聖なる星の光輝』でござるか!)
コージュ=ストーンマウントが編み出した神聖術式だ。コーザとの戦いで一度見たことがあった。まるで要塞の様な大きさだった。それに比べてヴィクトリアのは見劣りがする。
だが、それから放たれる光線は油断ならぬ威力を持っていた。それを飽和攻撃で仕掛けてくるヴィクトリアはやはり、只者では無かった。
防壁術式で弾き、防ぎきれなかった幾筋かは身をかわして避ける。身を守りながらさらに高く飛んでも光線は執拗に襲い掛かって来た。この世界で彼女はかなりの鍛錬を積んだようだ。
------しつこいな。どう攻める? このまま魔力切れを待つか?
それは難しい。だいぶ時間がかかるだろう。
「ヴィクトリアはかなりの魔力を蔵しておるでござるよ? エレクトラどのに匹敵するぐらいでござる」
しかもこの世界に来た恩恵を彼女は受けているようだ。いくら何でもあっちの世界ではできない戦い方だ。そう思いながら駅のほうに目を向ける。さっきから気になっていた強大な魔力の気配が動き出したからだ。
(いや、闘気もでござる! この感じは……ナハリジャーヤの拳闘士エルフでござるか!)
そいつも相手にしなくてはならないだろう。イズヴァルトは攻めに出た。防壁術式を前方に集中させ、ヴィクトリアにめがけて突っ込んだ。
「ようやく戦う気になったか、イズヴァルト!」
彼女はそれにありったけの光線をぶち込んだ。しかし全部弾きかえされてしまう。光の玉の中で剣を構え、さらに身体強化術式を己に叩き込む。そうしなければ父の剛剣を受けきれない。
イズヴァルトは光の玉の殻を抜けた。
「ヴィクトリア! 改心せよッ!」
渾身の一撃を娘に見舞う。ヴィクトリアの剣もまた、イズヴァルトが振るう白刃に向けて奔った。
「ヘラの敵は私の敵だ!」
ヴィクトリアの足元のアスファルトが割れた。彼らの周囲に衝撃波が起こりビルの壁やガラスを割る。続く二回目、三回目の刃の打ち合いが路地の向こうの古い家屋を揺らして屋根の瓦を崩した。
「……ぐっ!」
その五回目の刃の火花が鳴った時、ヴィクトリアは呻いた。彼女の手首が悲鳴をあげたからだ。いくら魔法の重ね掛けをしても父が繰り出す衝力には敵わなかった。いや、避けるべきだった。
その様子をイズヴァルトは見逃さなかった。剣を落として娘に殴りかかる。右肩にそっと触れただけで彼女は激痛で悲鳴をあげて吹き飛ばされた。勢いよく転がってうめきながら起き上がった時には、イズヴァルトの剣の先は彼女の喉を狙っていた。
「剣の鍛錬を、まだ続けるつもりでござるか? 貴公が心を改めぬ限り、まだ続けるでござるよ?」
「どこまでも父親面か! ……まあいい。このまま私の首を貫け! だがな……」
その前に言っておきたいことがあると言って、ヴィクトリアは父親の顔をまっすぐと見つめた。老いてしまった自分とは違い、いまだ若々しい美男だ。なんとも忌々しいと吐き捨てた。
「何を聞かせてくれる、ヴィクトリア?」
「次の輪廻に向かう前に話してやるよ……私はこの世界で」
彼女は眉間にしわを寄せ、実父をにらんだ。
「ずっと行方不明だった母様とピピンさんに再会したのよ。そして、母様の最期を看取ったの」
北千住をー、ぶっこわす!
ってな感じで進みます。