※この作品はR-18です。

聖騎士イズヴァルトの伝説 第六部 『戦旗編』   作:CHACOとJAGUAR

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06 日本へ

 西暦2020年2月、ある日の朝である。

 

「……はあ。これは一体どういうことでござろうか?」

 

 イズヴァルトは海の上を浮遊魔法で浮かびながら、波に揺れながら浮かぶ飛行機の残骸を見て嘆いていた。

 

「せっかくの良い乗り心地でござったのに。雲の上をぴゅーっと飛ぶのを見て、大いに楽しめたでござったが……」

 

 ワシントンDCにある軍用飛行場から出発したのは昨夜のことだ。アメリカ政府が特別に用意してくれた機内食と年代物のウィスキーに感激しながら、イズヴァルトは空の旅を楽しんだ。

 

 飛行機は大統領仕様。アメリカ政府側の窓口となった特殊入国管理官のマーティ=マックフライが用意してくれた彼だけの特別便だ。飛行機はあと5時間で横田基地に到着する予定だった。

 

 彼はイズヴァルトが着ている『I♥NY』のロゴがやかましいトレーナーと、ちんちんに優しいぶかぶかのジーンズも用意してくれた。なのに飛行機は飛んだまま爆発を起こす欠陥品を寄越したとは。

 

------イズヴァルト。お前は暗殺されかかったようだな。

 

「そんな人聞きの悪いことを言ってはならぬでござるよ、髭切」

 

 いい加減に認めろ、それから考えろ。事情が飲み込めぬイズヴァルトに髭切は自分の推測を語った。どうやらヘラと同類の厄介者と思われたようだぞ、アメリカに。

 

「何故でござる?」

 

------お前があいつより強いというのを聞いて、恐れたのだろう。つまりはお前は世界を滅ぼせる化け物だと思われたのだ。

 

「なっ! 言いがかりもほどがあるでござる!」

 

 そう憤っても仕方が無い。それだけアメリカはヘラを恐れているという証拠でもある。ならばイズヴァルトにも警戒するだろう。飛行機事故を装った暗殺は、政府の一番のびびり達が計画したことだ。

 

 この爆殺で飛行機のパイロットとアテンダント数名が犠牲になった。しかし彼等の命を引き換えにしてもやりたい謀略だったとも言えた。アメリカは正々堂々と勝負するのを好む国だと聞いていたのに、これではイーガあたりの陰険な国家と大差無いぞ、とイズヴァルトは呆れてしまった。

 

「卑怯でござる! しかもこの卑怯はあっぱれとは決して言えぬ外道のやり口でござるよ! それならば、世界最強と誇る軍隊と対決させてほしいでござる!」

 

 だいたいアメリカには、ホーデンエーネンの精鋭騎士団たる『聖騎士団』や、ミョーゲチャコフ公国の鬼畜軽騎兵集団『騎馬愚連隊』に匹敵する精鋭部隊がいるそうじゃないか。

 

 それだけでない。非合法スレスレの麻薬を使って狂化した実験部隊だっているそうだ。まるで母国の『六枚銅貨部隊』みたいだ。アメリカ滞在中にそういう話を聞いて、イズヴァルトは胸を高鳴らせた。

 

 絶対に苦戦させられるでござる。死にものぐるいの戦いを楽しめるだろう。しかしなぜに暗殺なんぞで拙者を殺そうとした?

 

------俺が知っているアメリカというのはそういう国だ。そもそも、この世界の今の時間軸とは違うが、エーゾエルフどもの先祖の故郷でもあるからな。

 

「さようでござったな」

 

------イズヴァルト、今後はアメリカ人には絶対気をつけろ。不死の身体と向かうところ敵無しの武力と魔法を持つお前が死ぬことはまず無いだろうが、奴等は疑念が取り払えず、生きているお前を見つければ必ずや殺しにかかる。

 

「承知した。しかし、このあたりは一体どこでござろうか? 海ばかりが見えるだけで、島はどこにもごらざぬよ」

 

------日差しは弱く、潮風はやや冷たいが凍てつくほどではない。飛行してから10時間。太陽の向きを見ると、ニッポンの近くの海であることは間違いないようだ。

 

 飛翔魔法を使え。それで十分たどり着くことが叶うだろうと髭切は告げた。

 

「そうする他に無し、でござるか。ひこうき、とても良い乗り物でござったのに」

 

 イズヴァルトは飛行機の残骸を残して飛び立った。彼が目指す国はもうすぐだった。

 

 

□ □ □ □ □

 

 

 日本。

 

 今、世界で最も裕福な国と言われている。

 

 12年前に起きた大破壊、『獄炎の1か月間』により大きく凋落したアメリカとヨーロッパ諸国、それから複数の国に分裂してしまったロシアを抑え、世界第一位の経済国と呼ばれている。

 

 そのライバル、あるいはいずれ凌駕する存在と言われていた中国は、もう終わりかかっているという。大破壊前には15億もいたという人口は6億にまで落ち込み、どこもかしこも暴動が蔓延しているそうだ。

 

 とはいえ、その日本も一時期、大国から転落する危機が起こった。9年前の大地震がそれだ。

 

 3万人もの人々を失い、それどころか東日本のインフラを大きく損ねた大津波が、それを100倍する人々に恐怖を植え付けた。

 

 その後から国力に陰りが見え始め、それまで経済の勢いで覆い隠していた数々の社会問題が表出した。

 

 子供がなかなか生まれない歪な年齢分布や長時間労働が蔓延する労働環境。それから、いくらか持ち直していたが解決していない社会的な貧富の格差。

 

 そもそも大破壊の前から、長い停滞と政治的な失策や無策で、人々は苦しみ続けていた。世界第一位の経済大国とは更なる正しい努力の結実ではなく、棚から転がり落ちただけのトロフィーだ。

 

 けれどもイズヴァルトが見た光景は、まるで闇など無いと言わんばかりの、輝かしい日本の都の姿であった。

 

 石と砂と硝子の平野であり森といえる東京。夜でもあちらこちらに灯火で照らされ、暗さという見当たらなかった。彼の目線ではだ。

 

「……やはり、すごいところでござる」

 

 街中をうろつき、魔竜からもらった日本銀行券を用いて旨いものを食って過ごした一日の終わりの事である。彼は六本木にある超高層ビルの屋上から日本の夜景を見渡していた。

 

「髭切。素晴らしい街でござるな、ここは。広さはコーヅケーニッヒと同じぐらいでござろうが、何もかもが段違いでござるよ!」

 

 イーガの魔法都市に比べれば空気が悪く、なんだか腹がむかむかするような悪臭に包まれているが、東京はまさに究極の都といえた。科学が魔法を凌がした世界の象徴だった。

 

「人があふれ、物に満ちているでござる。これこそがマイヤどのの前世の世界の、最も栄えた都というものでござろうか?」

 

------そうだな。いや、しかしおかしい点がある。

 

「なんでござろう?」

 

 自分の記憶であれば、この世界の今の時期ならば街中でこんなに人が溢れかえっているはずがない。時渡りで数万年、数千万年も過ごした髭切の言う事だから、多少は間違っているかもしれない。

 

------しかし、これだけははっきりと覚えているぞ、俺は。

 

 今の時期、西の中国で新種の疫病が発生し、それが日本にもいくらか広まって、人々が家に閉じこもるようになったはず。それから近い未来に詐欺師の様な扇動者たちが雨後の筍のように汚い地面から生え出て、愚かで心が弱い人々を翻弄し続けた、と。

 

------それが今、のはずなのだ。でもお前と俺が見ているここは、俺が見てきたあの時と違う。疫病が起こる前と同じだ。

 

「それほどまでその疫病というのは、恐ろしいものだったのでござるか?」

 

 是。髭切はこう語った。3年もすればワクチンや免疫で下火になったが、それまでは各国で大いに猛威をふるった。アメリカと中国とインドとロシアでは、とんでもない数の死者を出したそうだ。まるで世界大戦のような死者の数だった。

 

------それと魔竜の部下は、お前にこの国について教えた時、9年前に起きたあるやっかいな事故のことを教えなかったな?

 

「大地震で津波が来た、とだけでござった。貴殿が前に語ってくれた『げんしりょくはつでんしょ』とかいうものの事故については言及が無かったでござる」

 

 そうだ。髭切は言った。その事故の長く長く続く後始末のせいで、この国は苦しみ続けることになったと記憶しているが、どうも違う。

 

------その時に魔界が裏で干渉したのか。いや、わからんな。イズヴァルト、とにもかくにもこの街に住む魔族を探そう。

 

「わかったでござる」

 

 日本に来てまだ1日も経っていない。この街にいる魔族、あるいは魔竜のしもべを探してマイヤの生まれ変わり、大洲栞子がどこにいるか教えてもらおう。

 

 彼女のことだけでなく、他にも様々な事が知りたかった。

 

 

□ □ □ □ □

 

 

 ワシントンDCCで魔竜の部下達に(こっそりと)教わった話では、大洲栞子は裏で、不法渡航をし悪事に加担する魔族狩りに従事していたそうである。

 

 栞子と魔界からの監督官でチームを組む。魔法は使えないが魔力を持つ存在を見分ける力を得ていた彼女は、どんな弱い魔力でも探りとった。おそろしくしょぼい魔力、私じゃなきゃ見落としちゃうね、的に。

 

 彼女たちのチームの検挙率は素晴らしく高かった。逮捕者には栞子からのきついお仕置きが必ず待っていた。前世の世界で『職人の極み』とまで言われた口唇での愛撫術だ。男も女も枯れるまで吸われ続けたという。

 

「それでなかなか老けなくなって、それどころか年齢不詳の『妖怪若作りババア』とまで言われているそうでござる……酷い話でござるよ」

 

------まるでサキュバスだと聞いて思ったがな。イズヴァルト、お前にとっては良い話ではないのか?

 

「悩ましい限りでござるよ……」

 

 いまだちんちんは抑えが効かないし、1日1回射精しないとシーツをザーメンまみれにしてしまうけれども、生殖は十分やりきった、とイズヴァルトは思っている。

 

「おばあちゃんとなったマイヤと、余生をゆっくり過ごすのが夢でござるよ。老いてもなお、ちんちんとおまんこを用いての仲良しこよしをやるのは、生き足りなかった者に任せたい」

 

------ふうむ。できるならやってみろ。キラとかいう獣人の女をはらませたからには、まだまだお前の股間は引退しきれんだろうがな。

 

「いっそのこと、きんたまを抜いたらどうでござろう?」

 

-----神なのだぞ、お前は? それぐらいすぐに復元できてしまうだろう?

 

 秋葉原の街にある洋服屋で買った、『戦闘力5』という文字がでかでかとプリントされた趣味の悪いトレーナーを着てイズヴァルトは悩んだ。不死身の肉体というものは、ややこしい。

 

 万世橋へ向かう。そこに強い魔力の気配があると髭切が教えてくれたからだ。イズヴァルトは試しに行ってみる事にした。

 

 橋を渡った途中でイズヴァルトは足が止まった。大層可愛らしいオークやミノタウロスの一家の絵が書かれていたステーキ店の看板に目がくらんだからだ。

 

「なんだかほっこりとする絵柄でござるよ」

 

 12時前だ。朝ご飯も少々遅かった。ちなみにだが泊まったホテルの朝食はバイキング形式だった。思い切り食べたのだが、イズヴァルトの胃袋はまだ入れられる状態にあった。

 

 『モーちゃん』や『ブーちゃん』のご一家の、かわいい絵を見てイズヴァルトは無性に腹が鳴ってしまった。幸せ気分になるとお腹がすいてくる。入ってみたい。

 

------後にしろ。まずは栞子の仲間を探すことに専念しろ。

 

 しぶしぶ従うことにした。なぜなら万世橋に来てから、かすかだが魔力の気配を感じたからだ。須田町から神田へ。その途中にある人っけが無さそうな中華料理店がその魔力の発生源があった。本当にここにいるのでござろうか?

 

------たぶん魔界の者だろう。入っていい。

 

 『女媧料理店』という看板が掲げられたその店の中に入った。突然店員が出てきてイズヴァルトに呼びかけた。

 

「すみません。本日昼間はあいにく予約で席が埋まっているんですよー……あれ?」

 

 小柄だがやけにおっぱいが大きな若い娘は目を見張ってイズヴァルトを見た。え。どうしてここにいらっしゃるの?

 

「……むっ。そういうそなたは、どこかで会ったでござろうか?」

「会ってますよ! ほら、ワタシです! 魔竜さまのお手伝いをしていたたぬきの獣人のポコリーヌですよ、ほら!」

 

 小娘はエプロンのポケットから出した葉っぱを頭にのせて「へんげ!」と叫んだ。煙が起こって元の姿に戻る。顔と身体は同じだが、尻にはたぬきのような尻尾が生え、頭にも耳が生えていた。

 

「確かに! 貴殿は育児休暇でコンゴウアミダラデンの宿泊施設を出てそれきりになった、仲居のポコリーヌどのではござらぬか!」

「はいそうです! 今は『監督府』の一員としてニッポンに滞在していますけどね。ここはその監督府の事務所の1つなんですよ」

 

 魔族の監督官達の会合や飲み会に使われているという。ニンゲンのお客さんは予約で席が埋まってて、と返していつも追い出している。

 

 奥に入ればポコリーヌと同じく、獣人の魔族が何人か集まって中華料理をつついていた。イズヴァルトに会釈したが来るとは知らされていないという。

 

「……アメリカ政府を通じてこちらの魔界の監督官達に知らされる、と聞いたでござるが」

「たぶん行き違いがあったんでしょう。アメリカはあの大破壊があってから、何から何までぐだぐだになっていますからね。面白いものはたくさんつくってくれているけど」

 

 たべていきますか、とポコリーヌがイズヴァルトに呼びかけた。椅子を1つ持ってきてもらって円卓の中に入った。集まって飯をつつきながら尋ねた。今日集まった理由はただの食事会でござろうか?

 

「いや、そうじゃありませんよ」

 

 プードル型の獣人が悩ましそうに答えた。この国にいる上位の監督官のうち1人が何者かにさらわれた。1週間も音沙汰なしだ。この東京のどこかにいるとは思うが、なかなかに見つからない。

 

「何者でござるか?」

 

 盆に置いたビールの瓶とコップを差し出しながらポコリーヌが教えた。

 

「サキュバスのラプンツェルさんですよ。コンゴウアミダラデンで黒山羊の魔人のスギタニゼンジュウボウさまの秘書をやってられた、とても髪が長い……」

「ああ! しかし、秘書でござったか? ゼンジュウボウどのとおまんこばかりしていたように記憶しているでござるが?」

「そりゃそうですけど、とっても優秀な方なんですよ。魔竜様の魔界での地元では役場の総務にいて、それなりの地位にありましたから」

 

 魔界では子育てをしながら保育園と老人ホームの食堂のまかないをしていた自分とは全然違う。ポコリーヌは下っ端の労働者だが、ラプンツェルはお役人である。

 

 長い髪を振り乱しながら「ちんちんさいこ〜!」とあえぐ姿しか見たことが無いイズヴァルトは信じられなかった。それほどまでの実力者が何者かにさらわれたのは、魔界の者にとって一大事であったのだ。




以下、イズヴァルトの伝説関連のリンクです。

ハーメルンにて掲載


聖騎士イズヴァルトの伝説【新編】・前半まとめ
https://h.syosetu.org/novel/427506/

聖騎士イズヴァルトの伝説【新編】・忠烈編
https://h.syosetu.org/novel/363415/

読み飽きた人向けの最終回
https://h.syosetu.org/novel/428929/

豚小屋
https://h.syosetu.org/novel/429382/

ひよこ芸術
https://h.syosetu.org/novel/429966/


アルファポリス版です。バックアップ兼保管用
(本編と外伝を分けての掲載です。)

☆本編
聖騎士イズヴァルトの伝説 〜無双の武と凶悪無比なデカチンを持つ英雄の一大叙事詩〜
https://www.alphapolis.co.jp/novel/872528745/934913837


☆外伝
前世の記憶を持つ神業尺八使いの狸系美少女の妹と、女帝サキュバスの祖先の才を受け継ぐ清楚ビッチな姉の2人で、搾精の王国を建てちゃいます☆
https://www.alphapolis.co.jp/novel/872528745/779914728

転生したらあたし、セックス教団の教主の養女でいつでもどこでもエッチがしたくなっちゃう、レベル999のビキニアーマーの美少女魔法戦士でした!
https://www.alphapolis.co.jp/novel/872528745/959004604


旧版のイズヴァルトの伝説です。ノクターンにて掲載
ストーリーの細かいところがかなり違っておりますが、大まかな筋はおんなじです。

エリクサーみたいに栄養満点の精液を放つ絶倫聖騎士は、転生美幼女淫魔にまとわりつかれておちんちんをチューチュー吸われる。(旧題・聖騎士イズヴァルトの伝説)
https://novel18.syosetu.com/n3094lt/
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